JP3734868B2 - 磁力計測定値の誤差補正方法及びそのための装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、輸送機関に搭載された磁力計の測定値の磁気摂動と位置不整合とによる誤差の同時識別及び補正の方法に関し、また、この方法を実行する装置と、該装置を使用する各種装置とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
輸送機関、特に航空機に搭載された磁力計は、一般に磁気摂動を受け、輸送機関の基準座標系に対し厳密には位置整合されず、これが、この磁力計により得られた磁界の測定値を不正確にすることが知られている。
【0003】
摂動は、本質的に4つのタイプに分類することができる。
− 3つのタイプの磁気摂動、即ち、詳細には、
・磁化されていないが、磁力線を歪める強磁性体の磁力計の近くに存在する ことによる、所謂”軟鉄”摂動;
・直流が流れる、磁化された及び/又は導電性の材料の近くに存在することによる、所謂”硬鉄”摂動;
・輸送機関内の金属構造体における磁束変化により発生した渦電流によって生じる磁界、及び
− 取り付け誤差である。磁力計の理想的位置付けは、輸送機関の基準座標系に対する磁力計の基準座標系の完全な位置整合に相当する。しかし、製造公差のために、完全な位置整合は決して達成されず、これにより、得られたベクトル測定値の摂動が発生する。
【0004】
従って、正確な測定値を得るために、適切ならば、これらの摂動により発生した誤差を同定し、該誤差を補正することが必要である。多くの方法がこのような補正を行うために知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
使用するためには、磁力計を輸送機関に正確に取り付けられることを必要とする最初の既知の方法によれば、Hm=[B]・H+HB の形の磁気摂動モデルが定義されている。ここで、
− Hmは、磁力計により測定された摂動磁界を表し、
− Hは、磁界の実効値を表し、
− [B]は、”軟鉄”により発生した摂動を考慮した対称行列であり、非対称部分が存在しないことは、輸送機関に搭載された磁力計が正確に、適切に取り付けられていることによるものであり、
− HB は、”硬鉄”により発生した摂動による摂動磁界を表す。
【0006】
従って、磁気摂動が存在しない場合、行列[B]は単位行列を表して、摂動磁界HB はゼロであり、測定された磁界の基本単位係数は一定であり、末端は球を描く。摂動の影響を受けて、この球は離心した楕円体へ変形する。
【0007】
前記最初の既知の方法は、次の動作が行われることを規定している。
− 輸送機関の進行方向及び姿勢の変動中に、磁界の多数の測定値を取り、
− 得られた測定値に最もよく対応する楕円体を決定し、
− このように決定された楕円体から、行列[B]と摂動磁界HB との成分を計算する。次に、得られたモデルは、磁力計により得らた、磁気摂動を受けたその後の測定値から実効磁界Hを計算することができる。
【0008】
しかし、上記のように、この方法は、輸送機関への磁力計の特別で非常に正確な配置を必要としており、これには、特殊で高価な製造及び又は調節が必要である。更に、この方法により得られた精度は、不満足である。これらの欠点は、特に、第2の既知の方法により解決され、この方法は、輸送機関への磁力計の配置に関して受ける制約が、前の方法よりかなり厳しくなく、この第2の方法は、連続した2段階で実施される:
− 第1段階で、前の方法の段階と似た方法が使用されて、磁界の基準の恒久性を維持する測定値を求め、次に、前記測定値が位置不整合によってのみ影響を受け、
− 第2段階で、前の行列[B]に類似した変形行列の非対称な成分を磁界の垂直成分の変化から求め、この段階は姿勢の測定値を使用して行われる。
【0009】
この第2の既知の方法には、多くの欠点がある。特に、前述の2段階を実行するには、複雑で長い輸送機関の操縦手順が前提となり、この間に、使用される測定値が得られる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、これらの欠点を克服することである。本発明は、輸送機関、特に航空機に搭載された磁力計の測定値の誤差を簡単に、敏速に、更に正確に補正することが可能である方法に関し、これらの誤差は、磁気摂動と、前記輸送機関に接続された輸送機関基準座標に対する磁力計の位置不整合とによるものである。
【0011】
この目的のため、本発明によると、磁力計測定値の誤差補正方法は、
− 前記磁力計の誤差を補正する理論モデルが、次の形で画定され、
Hc=[A]・Hm+a・Hm’+Hp、
ここで、
・Hcは、補正された磁界、
・[A]は、求めるべき行列、
・aは、求めるべき係数又は行列、
・Hpは、求めるべき摂動磁界、
・Hmは、前記輸送機関基準座標(R1)において前記磁力計(2)により測定された磁界の値、
・Hm’は、前記輸送機関の角位置の関数として変化する前記測定された磁界Hmの時間導関数であり、
− 前記補正された磁界Hcは、前記輸送機関基準座標において画定される地磁界であると見なされ、従って、
[A]・Hm+a・Hm’+Hp=[M]・Hであり、
ここで、
・Hは、地磁気基準座標(R2)における磁界の実効値であり、
・[M]は、前記地磁気基準座標(R2)から前記輸送機関基準座標(R1)への座標行列の変化であり、
− 前記磁力計(2)によって前記磁界の少なくとも1つの測定値Hmを得て、
− 前記測定された磁界Hmの導関数Hm’を計算し、
− 前記座標行列[M]の変化の係数を求め、
− 成分Ex、Ey、Ezを有する誤差ベクトルEを次式により画定し、
E=[M]・H−([A]・Hm+a・Hm’+Hp)
− 合成誤差E2 =Ex2 +Ey2 +Ez2 を画定し、
− (δΣE2 )/δci=0、i=1〜n、のタイプのn個の等式により連立方程式をたて、ここで、(δΣE2 )/δciは、全ての測定値についての係数ciに関する前記合成誤差の合計ΣE2 の部分導関数に相当し、多数の係数は、前記理論モデルで決定される係数、即ち、[A]、a及びHpの係数並びに実効磁界Hの少なくとも1つの成分を表しており、
− 実効磁界Hの前記成分を含め、前記係数ciが得られるように前記連立方程式を解き、
− 前記係数から得られた補正モデルを用いて、磁気摂動と前記磁力計(2)の測定値の位置不整合とによる誤差を補正する。
【0012】
このように、本発明により、補正モデルが1段階で求められ、特に、測定値が得られる間、輸送機関操縦手順に関し実行することを簡単にしている。
【0013】
更に、本発明による方法は、前記補正モデルの計算と同時に、地磁気基準座標内の実効磁界の少なくとも1つの成分を決定することを可能にしている。
【0014】
更に、本発明は、他の多くの利点を有し、特に次の利点をもたらす。
− 航空機の試験飛行により確認された測定値の高精度。
− 磁力計の輸送機関への完全に自由な取り付け。これは取付装置を簡単にし、重量を軽減し、製造コストを低減する。
【0015】
その上、本発明は、理論モデルの要素及び、特に、行列式[A]の項の大きさについて制限されず、磁力計を製作する制約を緩和することができる。
【0016】
磁界の垂直成分だけを求める実施形態においては、E2 =Ez2 が合成誤差として使用することが好適であり、従って、行列[M]-1の第3行の係数だけが使用され、前記行列[M]-1は、前記輸送機関基準座標から地磁気基準座標への座標行列の変化であり、前記係数は、前記輸送機関の縦方向及び横方向の姿勢から求められる。
【0017】
更に、磁界の全ての3つの成分を求める実施形態において、行列[M]の係数は、縦方向及び横方向の姿勢と、前記輸送機関の進行方向とから有利に決定される。
【0018】
前記既知の方法は、上述のように、測定される磁界の二次的特性、即ち、基本単位係数の恒久性とその磁界の垂直成分の恒久性とを使用し、これに対して、本発明は、地磁気基準座標の磁界の3つの成分の恒久性を考慮することにより進行方向値を直接に使用するので、本実施形態は、前述の既知の補正方法と比較して精度を高めることができることが分かる。
【0019】
本発明により、前記理論モデルは、この方法を実行するために多様な形式を有することができる。
【0020】
第1の特に有利な実施形態によると、前記理論モデルは、ダイナミック線形モデルであり、このモデルでは、aは、輸送機関に存在する渦電流と、一方では磁界の測定値と他方では輸送機関の姿勢及び進行方向の測定値との間の遅れとを考慮している行列[T]を表している。
【0021】
この第1の実施形態は、行列の比例性を有する磁気摂動成分を測定された磁界の導関数により同定することを可能にしており、特に、金属構造体を組み込んでいる大型航空機などの輸送機関によく適しており、この場合、磁力計の測定値を摂動する渦電流は、位相を変えている間に発生する。
【0022】
第2実施形態によると、前記理論モデルは、単純化されたダイナミック線形モデルであり、aは、一方では磁界の測定値と他方では輸送機関の姿勢及び進行方向の測定値との間の遅れを考慮している係数τを表している。
【0023】
これら2つの実施形態は、また、磁力計の通過帯域の限界をある程度補償することもできる。
【0024】
上記2つのモデルは、いずれも特に、輸送機関の操縦中に得られた測定値を記録する試験取り付けのための測定磁界の導関数を有利に使用し、前記測定値はその後分析される。何故なら、これらのモデルは、しばしば試験取り付けにおいて制御することが困難な、一方では磁界の測定値の、他方では姿勢及び進行方向の測定値の取得における遅れの非対称を考慮することができるからである。
【0025】
測定された磁界Hmの導関数Hm’は、式Hm’=Hm∧ωにより計算されるのが有利であり、ここで、ωは輸送機関の瞬間的回転のベクトルを表す。
【0026】
本発明の実施を簡単にするために、理論モデルとして、式[A]・Hm+Hp=[M]・Hにより定義された定常状態の線形モデルを使用することが可能であることが有利である。
【0027】
更に、使用された進行方向値は、地理学的進行方向値、又は、自由なジャイロスコープ・モード姿勢/進行方向装置により送られた値などの、任意で一定の誤差を受けた進行方向値を表し、これは、本発明の多様な実施を可能にする。
【0028】
本発明は、前述の方法を実施するための装置にも関する。
【0029】
本発明によると、前記装置は、
− 磁力計により測定された磁界Hmを受信し、輸送機関の角位置の関数として変化する前記測定された磁界Hmの時間導関数Hm’を決定することができる第1計算モジュールと、
− 本発明の方法を実施するために使用される座標行列[M]の変化の係数を前記輸送機関の姿勢から、必要ならばその進行方向から計算することができる第2計算モジュールと、
− 前記第1及び第2計算モジュールに接続され、前記補正モデルと前記実効磁界の少なくとも1つの成分とを決定することができる主計算モジュールと、を有する。
【0030】
また、本発明は、上述した装置を有する2つの装置、即ち、一方では、進行方向測定においてずれを補正するために使用される磁力計を有する航空機搭載の進行方向/姿勢基準装置、他方では、磁力計と連結した航空機慣性装置に関する。
【0031】
前記磁力計と協働して、前記磁力計の測定誤差を補正するために、進行方向/姿勢基準装置においては、本発明による装置は前記磁力計の測定誤差を補正するために使用され、慣性装置においては、地磁界を正確に決定するために使用される。
【0032】
【発明の実施の形態】
添付図面は、本発明がどの様に実施されるかを明確に説明している。これらの図において、同一引用符号は、同様の要素を表す。
【0033】
本発明による装置1は、磁気摂動と、輸送機関3に搭載された磁力計2の測定値の位置不整合とによる誤差を補正することを目的としており、前記輸送機関3は、図1にヘリコプタの形で図示されている。
【0034】
磁力計2は、輸送機関と連結した輸送機関基準座標R1において、図示の実施形態で、地磁気電位の傾きと位置整合されたベクトルHなどのベクトルにより表された局部的に一定の大きさで方向性のある物理的磁気量の成分を測定することができる。磁力計2により測定された磁界Hmは、式Hm=[M]・Hを満たす。ここで、Hは、地磁気基準座標R2内の磁界の実効値を表し、[M]は、この地磁気基準座標R2から輸送機関基準座標R1への座標行列の変化を表す。
【0035】
地磁気基準座標R2は、例えば、下記のように定義された3つの軸V、N、及びEにより表される。
− Vは地球重力場の傾斜に平行な軸であり、地球の中心へ指向しており、局部的垂直線を描く、
− Nは地理学的又は方向性のある北を示す水平な軸である。
− Eは、図1及び図2に示されているように、東を示す軸である。
【0036】
周知のように、これらの基準座標R1及びR2の1つから他の座標への変化には、図2に示されたオイラー角ψ、θ及びφにより定義された3つの連続回転が必要である。ここで、
− ψは進行方向角であり、
− θは縦方向の姿勢角であり、
− φは横方向の姿勢角である。
【0037】
これらの3つの回転は、従来のオイラー角行列式の形で書かれる。即ち、基準座標R1(O1XYZ)から基準座標R2への変化を行う基準座標行列[M]-1の変化は、次のように定義される。
【数1】
【0038】
しかし、このような磁力計2は、一般に磁気摂動を受けて、通常、輸送機関の軸と完全には位置整合されず、これは測定値に誤差を生じ、従って、測定磁界は前述の式を満足せず、図2に示された成分HX,HY及びHZを有していない。
【0039】
周知のように、本質的に、誤差を磁力計2の測定値にもたらす4つのタイプの摂動がある。即ち、
− 3つのタイプの磁気摂動、詳細には、
・磁力線を歪める磁化されていない強磁性材が磁力計2の近くに存在することによる、所謂”軟鉄”摂動、
・直流が流れる、磁化されているか及び/又は導電性の材料が磁力計2の近くに存在することによる、所謂”硬鉄”摂動、
・輸送機関の金属構造体の磁束変化によって発生した渦電流により生じる磁界、及び
− 取り付け誤差である。磁力計の理想的位置付けは、輸送機関の座標系に対する磁力計の基準座標系の完全な位置整合に相当する。しかし、製造公差のために、この完全な位置整合は達成されることはなく、これにより、得られたベクトル測定値は摂動する。
【0040】
本発明による装置1は、これらの磁気と機械的摂動とにより発生した誤差を同定し、それらを補正するものである。
【0041】
本発明の第1実施形態の説明が、以下に記載されており、
− 磁力計2の測定値の磁気的及び機械的摂動による誤差を補正することを可能にする補正モデル、及び
− 地磁気基準座標内の磁界Hの全ての3つの成分
を同時に求めることができる。
【0042】
このために、磁力計の誤差を補正する理論モデルが、先ず第1に、次の形式で定義される。
Hc=[A]・Hm+[T]・Hm’+Hp (1)
ここで、上述の要素Hmの他に、
− Hcは補正された磁界であり、
− [A]は決定されるべき、角度値の制約なく、所謂”軟鉄”摂動と位置不整合とを考慮した行列であり、
− [T]は決定されるべき、渦電流、磁界と、一方で姿勢と進行方向の測定値との、他方で、ある程度まで、磁力計2の通過帯域の限界との間の遅れ差を考慮した行列であり、
− Hpは求めるべき摂動磁界であり、
− Hm’は輸送機関3の角位置の関数として変化する前記測定された磁界の時間導関数である。
【0043】
補正された磁界Hcは、輸送機関基準座標へ投影された地磁気基準座標であると見なされる。従って、
[A]・Hm+[T]・Hm’+Hp=[M]・H
【0044】
次に、前記輸送機関3の操縦中に、磁界の測定値は磁力計2により得られ、進行方向及び姿勢の測定値は、適切な装置、例えば、前記輸送機関3に取り付けられた自由なジャイロスコープモードの姿勢/進行方向装置(図示せず)により得られる。
【0045】
これらの操縦は、例えば航空機の場合、30°程度の横揺れで360°の右から左への2回転に相当する。
【0046】
姿勢と選択的進行方向の測定値は、前に定義したように、座標行列[M]の変化を計算するために使用される。
【0047】
前記理論モデル(1)は、次の体系の形に書くことができる。
【数2】
ここで、
− 項Aij、Tij及びRij(i=1,2,3及びj=1,2,3)は、それぞれ行列[A]、[T]及び[M]の係数であり、
− Hmx,Hmy,及びHmzは、ベクトルHmの成分であり、
− Hmx’,Hmy’,及びHmz’は、ベクトルHm’の成分であり、
− Hpx,Hpy及びHpzは、ベクトルHpの成分であり、
− Hn,He及びHvは、ベクトルHの成分である。
【0048】
この体系は、倍増定数内でただ決定することができる。この不定性を高めるために、各種の等式を各式にある係数、例えばHn,He及びHvで除することができる。しかし、係数He及びHvは、地球のある地域において非常に小さく、計算上の問題を提起する恐れがあり、前記等式は、次の等式を得るためにHnにより除することが好ましい。
【数3】
ここで、 aij=Aij/Hn
tij=Tij/Hn
hpx=Hpx/Hn
hpy=Hpy/Hn
hpz=Hpz/Hn
he=He/Hn
hv=Hv/Hn
【0049】
成分Ex,Ey及びEzを有する誤差Eは、次式により定義される。
E=[M]・H−{[A]・Hm+[T]・Hm’+Hp}
次に、この等式を考察する。
【0050】
しかし、上記の式を使用できるようにするため、式ε=E/Hnを満足する成分εx,εy及びεzを有する補正された誤差ベクトルが求められる。
【0051】
従って、前記εx,εy及びεzは、次式により定義される。
【数4】
【0052】
式E2 =Ex2 +Ey2 +Ez2、又は、形式ε2 =εx2 +εy2 +εz2
の合成誤差は、前記成分から決定される。
【0053】
次に、連立方程式が、(δΣE2 )/δci=0、i=1〜n、のタイプのn個の等式により成り立ち、(δΣE2 )/δciは、係数ciに関する全ての測定値についての合成誤差ΣE2 の合計の部分導関数に相当し、多数の係数ciは、前記理論モデルにおいて決定される係数、即ち、[A]、a及びHpの係数並びに実効磁界Hの成分であり、大きさ23×23の連立方程式は数値法により解かれる。
【0054】
正確な大きさを有する係数を復元するために、全ての得られた係数は、適切な除数により除される。この適切な除数は、例えば、係数a11、a22、又はa33の1つ、或は行列[aij]の決定子の1つであってもよい。
【0055】
得られた係数は、磁気摂動と磁力計の任意の位置整合との存在において、磁力計2により測定された磁界値から磁界の正確な値を決定することができる補正モデル(1)を構成する。
【0056】
上記のように定義されたダイナミック線形モデル(1)の代わりに、次のモデルを使用することも、本発明により可能である。
− 下記の形式の単純化されたダイナミック線形モデルか、
[A]・Hm+τ・Hm’+Hp (2)
ここで、τは、一方では磁界の測定値と、他方では姿勢及び進行方向の測定値との間の遅れを表す係数であり、
− 又は、下記の形式の定常状態線形モデル。
[A]・Hm+Hp (3)
【0057】
前記モデル(2)及び(3)の多様な係数は、モデル(1)と同様に、即ち上述のように決定される。
【0058】
従って、本発明による方法の実施形態は、前記補正モデルと地磁界の全ての3つの成分とを同時に求めることを可能にする。
【0059】
進行方向基準を使用せず、前記補正モデルの他に、前記地磁界の垂直成分Hvを決定することを可能にするだけの単純化されたモデルは、以降に説明されている。
【0060】
このために、前に定義された3つの理論モデル(1),(2)及び(3)が使用される。ダイナミック線形モデル(1)だけに基づいた実施が、以降に説明されており、単純化されたダイナミックモデル(2)と定常状態モデル(3)が同様に処理されている。
【0061】
[M]-1{[A]・Hm+[T]・Hm’+Hp}=Hの形で表される理論モデル(1)は、下記の行列式に詳細に書かれている。
【数5】
【0062】
この仮定上の場合では、実効磁界Hの成分Hn及びHeは、進行方向基準が存在しないので、アクセスできない。従って、上記体系の第3式だけが、磁界の成分を同定するために分析することができ、第3式は次式のように書かれる。
【数6】
ここで、R31* 、R32* 及びR33* は、前に定義された座標行列[M]-1の変化の第3行の3つの成分である。即ち。
R31* =−sinθ
R32* =cosθ・sinφ
R33* =cosθ・cosφ
【0063】
従って、これらの係数R31* 、R32* 及びR33* は、姿勢角θ及びφからのみ定義され、進行方向角ψからは定義されない。
【0064】
前記実施形態の場合のように、この式は倍増定数により異なる無限な数の解を有する。存在する不定性を高めるために、式の両方の項は、下式を得るためにHvにより除されている。
【数7】
ここで、 aij=Aij/Hv
tij=Tij/Hv
hpx=Hpx/Hv
hpy=Hpy/Hv
hpz=Hpz/Hv
【0065】
この場合、誤差ベクトルεの成分εzだけが決定される。この成分εzは次式により定義される。
【数8】
【0066】
次に、(δΣεz2 )/δci=0の式により形成された連立方程式が定義され、係数ciは再び理論モデル(1)の、求めるべき係数を表しており、この連立方程式は普通の方法で解かれる。
【0067】
得られた係数は、正確な大きさと所望の補正モデル(1)とを得るため、a11により除される。
【0068】
従って、実施は上述のものと同じである。
【0069】
本発明による方法のこれらの実施形態に関して、リンク4により磁力計2へ接続されている装置1は、本発明により図3に示されているように、下記の構成要素から構成されている。
− 計算モジュール5。2つの分岐4A,4Bに分割されたリンク4を経て、磁力計2により測定された磁界の値Hmを受信し、前記測定された磁界Hmの時間導関数を決定することができる、
− 計算モジュール6。適切な装置(図示せず)から、一方で輸送機関3の姿勢値をリンク7から、他方で選択的に、本発明を実施することが必要ならば、輸送機関3の進行方向値をリンク8を経て受信し、本発明の実施中に使用された座標行列[M]の変化の係数を計算することができる、
− 主計算モジュール9。前記計算モジュール5,6と前記磁力計2とへ、リンク10,11とリンク4の分岐4Bとを経て、それぞれ接続されており、前記補正モジュールと前記実効磁界とを求めることができ、得られた結果をリンク12を経て、例えば使用者の装置(図示せず)へ送ることができる。
【0070】
言うまでもないが、主計算モジュールと計算モジュール5,6とは、選択して異なるコンピュータへ取り付けることができる。
【0071】
特に有利な実施形態によると、計算モジュール5は、導関数Hm’を測定磁界Hmと輸送機関基準座標R1内の輸送機関3の瞬間的回転ベクトルωとのベクトル積から計算する。即ち、Hm’=Hm∧ω。ベクトルωは、このために、リンク20を経て計算モジュール5へ送られる。この方法は、他の既知の方法と対照的に、高周波において制約されない導関数を生成する利点を有する。
【0072】
本発明は、上述のように、多くの利点、具体的には下記の利点を有する。
− 既知の方法と比較して、得られた結果の精度が向上する。
− 輸送機関3への磁力計2の完全に自由な幾何学的取り付けを可能にする。
− 動作の単一段階の点での本発明による方法の実施の容易性。
− 簡単で廉価な実施装置1。
− 磁力計の精度に関する低い必要条件。
【0073】
更に、本発明による装置1は、前記輸送機関3に搭載される各種タイプの装置(図示せず)に対し有利に使用することができる。
【0074】
例えば、他の装置の中で、進行方向のずれを補正する磁力計を有する航空機の姿勢及び進行方向の基準装置には、前記磁力計の測定値の摂動による誤差を補正する装置1を使用することができる。
【0075】
その上、地磁気の歪み及び傾きを高精度で磁力計と協働して求め、前記磁力計の測定値の誤差を補正するために、磁力計と連結した航空機の慣性装置には、本発明による装置1を使用することができる。
【0076】
これらの多様な実施形態は、本発明の多方面の用途及び利点を明確に提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による装置を備えた輸送機関を図示している。
【図2】 本発明の実施を説明する基準系を示している。
【図3】 本発明による装置の構成図である。
【符号の説明】
1…装置、2…磁力計、3…輸送機関、4…リンク、5…計算モジュール、6…計算モジュール、7…リンク、8…リンク、9…主計算モジュール、10…リンク、11…リンク、12…リンク。
Claims (14)
- 磁気摂動と、磁力計(2)搭載の輸送機関(3)に結合された輸送機関基準座標(R1)に関する前記磁力計(2)の位置不整合とによる、前記磁力計(2)の測定値の誤差を補正する方法であって、
− 前記磁力計の誤差を補正する理論モデルが、次の形で画定され、
ここで、
・Hcは、補正された磁界、
は、求めるべき行列、
は、求めるべき行列、
・(Hpx,Hpy,Hpz)は、求めるべき摂動磁界、
・Hmは、前記輸送機関基準座標(R1)において前記磁力計(2)により測定された磁界の値、
・Hm’は、前記輸送機関の角位置の関数として変化する前記測定された磁界Hmの時間導関数であり、
− 前記補正された磁界Hcは、前記輸送機関基準座標において画定される地磁界であると見なされ、従って、
であり、
ここで、
・(Hn,He,Hv)は、地磁気基準座標(R2)における磁界の実効値であり、
・[M]は、前記地磁気基準座標(R2)から前記輸送機関基準座標(R1)への座標行列の変化であり、
− 前記磁力計(2)によって前記磁界の少なくとも1つの測定値Hmを得て、
− 前記測定された磁界Hmの導関数Hm’を計算し、
− 前記座標行列[M]の変化の係数を求め、
− 成分Ex、Ey、Ezを有する誤差ベクトルEを次式により画定し、
− 合成誤差E2=Ex2+Ey2+Ez2を画定し、
− 次の連立方程式をたて、
ここで、各方程式の左辺は、全ての測定値についての係数に関する前記合成誤差の合計ΣE2の部分導関数に相当し、多数の係数は、前記理論モデルで決定される係数、即ち、
及び(Hpx,Hpy,Hpz)の係数並びに実効磁界(Hn,He,Hv)の少なくとも1つの成分を表しており、
− 実効磁界(Hn,He,Hv)の前記成分を含め、前記係数が得られるように前記連立方程式を解き、
− 前記係数から得られた補正モデルを用いて、磁気摂動と前記磁力計(2)の測定値の位置不整合とによる誤差を補正する、
磁力計測定値の誤差補正方法。 - 磁気摂動と、磁力計(2)搭載の輸送機関(3)に結合された輸送機関基準座標(R1)に関する前記磁力計(2)の位置不整合とによる、前記磁力計(2)の測定値の誤差を補正する方法であって、
− 前記磁力計の誤差を補正する理論モデルが、次の形で画定され、
ここで、
・Hcは、補正された磁界、
は、求めるべき行列、
・τは、求めるべき係数、
・(Hpx,Hpy,Hpz)は、求めるべき摂動磁界、
・Hmは、前記輸送機関基準座標(R1)において前記磁力計(2)により測定された磁界の値、
・Hm’は、前記輸送機関の角位置の関数として変化する前記測定された磁界Hmの時間導関数であり、
− 前記補正された磁界Hcは、前記輸送機関基準座標において画定される地磁界であると見なされ、従って、
であり、
ここで、
・(Hn,He,Hv)は、地磁気基準座標(R2)における磁界の実効値であり、
・[M]は、前記地磁気基準座標(R2)から前記輸送機関基準座標(R1)への座標行列の変化であり、
− 前記磁力計(2)によって前記磁界の少なくとも1つの測定値Hmを得て、
− 前記測定された磁界Hmの導関数Hm’を計算し、
− 前記座標行列[M]の変化の係数を求め、
− 成分Ex、Ey、Ezを有する誤差ベクトルEを次式により画定し、
− 合成誤差E2=Ex2+Ey2+Ez2を画定し、
− 次の連立方程式をたて、
ここで、各方程式の左辺は、全ての測定値についての係数に関する前記合成誤差の合計ΣE2の部分導関数に相当し、多数の係数は、前記理論モデルで決定される係数、即ち、
及び(Hpx,Hpy,Hpz)の係数及びτ並びに実効磁界(Hn,He,Hv)の少なくとも1つの成分を表しており、
− 実効磁界(Hn,He,Hv)の前記成分を含め、前記係数が得られるように前記連立方程式を解き、
− 前記係数から得られた補正モデルを用いて、磁気摂動と前記磁力計(2)の測定値の位置不整合とによる誤差を補正する、
磁力計測定値の誤差補正方法。 - 前記磁界の垂直成分だけを決定するために、E2=Ez2を合成誤差として使用し、従って、行列[M]−1の第3行の係数だけを使用し、前記行列[M]−1が前記輸送機関基準座標(R1)から地磁気基準座標(R2)への座標行列の変化であり、前記係数が前記輸送機関(3)の姿勢から決定される請求項1または2に記載の誤差補正方法。
- 前記磁界の全ての3つの成分を決定するために、前記行列[M]の係数を前記輸送機関(3)の姿勢及び進行方向から決定する請求項1または2に記載の誤差補正方法。
- 前記理論モデルが単純化されたダイナミック線形モデルであり、ここで、τは、一方では前記磁界の測定値と他方では前記輸送機関の姿勢及び進行方向の測定値との間の遅れを考慮すると共に、前記磁力計の通過帯域の限界を少なくとも部分的に考慮している係数を表している請求項2に記載の誤差補正方法。
- 測定された磁界Hmの導関数Hm’が等式Hm’=Hm∧ωにより計算され、ここで、ωは前記輸送機関(3)の瞬間的回転ベクトルを表す請求項1または2に記載の誤差補正方法。
- 前記進行方向が地理学的進行方向である請求項4に記載の誤差補正方法。
- 前記進行方向が自由ジャイロスコープモード姿勢・進行方向ユニットにより送られた進行方向である請求項4に記載の誤差補正方法。
- 請求項1または2に記載の誤差補正方法を実施するための装置であって、
− 前記磁力計(2)により測定された磁界Hmを受信し、前記輸送機関(3)の角位置の関数として変化する前記測定された磁界Hmの時間導関数Hm’を決定することができる第1計算モジュール(5)と、
− 本発明の方法を実施するために使用される座標行列[M]の変化の係数を前記輸送機関(3)の姿勢から、必要ならばその進行方向から計算することができる第2計算モジュール(6)と、
− 前記第1及び第2計算モジュール(5,6)に接続され、前記補正モデルと前記実効磁界の少なくとも1つの成分とを決定することができる主計算モジュール(9)と、
を有する前記装置。 - 前記主計算モジュール(9)と前記第1及び第2計算モジュール(5,6)とが異なるコンピュータに搭載されている請求項11に記載の装置。
- 進行方向測定値のずれを補正する磁力計を有する航空機搭載の姿勢及び進行方向基準装置において、請求項11に記載された装置(1)を有し、前記装置(1)が前記磁力計の測定値の誤差を補正するために使用される姿勢及び進行方向基準装置。
- 磁力計と連結した航空機の慣性装置であって、請求項11に記載された装置(1)を有し、前記装置(1)が、地磁界を高精度で前記磁力計と協働して決定するため及び前記磁力計の測定値の誤差を補正するために使用される航空機の慣性装置。
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