JP3735966B2 - 樹脂組成物およびその製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性と耐衝撃性のバランスに優れた樹脂組成物に関するものであり、さらにリン酸エステル化合物を用いた場合には、耐熱性と耐衝撃性さらに難燃化効果のバランスに優れた樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリフェニレンエーテル樹脂は機械的特性、電気的特性、耐酸、耐アルカリ性、耐熱性等に優れ、しかも吸水性が低く寸法安定性が良いなどの性質を備えており、電気製品、コンピュータやワープロなどのOA機器のハウジング、シャーシ材料などとして幅広く利用されている。近年かかる分野で使用されるプラスチック材料に対して、安全上の問題から、高い耐熱性と難燃性、さらに耐衝撃性のバランスに優れる材料の要求が高まっている。
【0003】
米国特許第4322507号明細書では、ポリフェニレンエーテル樹脂と共役ジエンのエラストマー性ブロックポリマーおよびリン酸トリフェニルのような難燃剤からなる組成物において、層剥離が無く機械的物性を維持するという組成物が開示されている。しかし、ここでは組成物中に分散するエラストマー性ブロックポリマーの粒子径および粒子径のコントロールといった事に関しては何ら開示されておらず、ここで開示されているような方法により製造された材料は、時としてその難燃効果にバラツキを生じ、アンダー ライターズ ラボライトリズ
インコーポレーテド(UNDER WRITERS LABOLATORIESINC.)の定めるUL−94規格の上位燃焼性ランクであるV−0の要求を満たさない事もあった。
【0004】
またリン酸トリフェニルなどの難燃剤を用いた場合、成形加工時に樹脂相から該リン酸トリフェニルが揮発したり、金型表面やガス抜き部に該リン酸トリフェニルが付着するという成形時のトラブルを起こしたり、成形品表面から該リン酸トリフェニルがブリードして成形品の外観不良を引き起こすといった問題があった。
【0005】
本出願人は特開平7−53876号公報、特願平6−158315号において特定のリン酸エステル系化合物を用いる事により、成型加工時の揮発、成形品からのブリードという問題を解決できる提案を行った。
上記のような先行技術における樹脂組成物は、樹脂組成物中に分散する水添ブロック共重合体の粒子径をコントロールすることによって、難燃化効果のバラツキ、および/または高耐熱材料での耐衝撃性の保持という問題に関しては、なんら検討されていない。
【0006】
一方、最近のOA機器等は、目覚ましい進歩に伴って機器の高機能小型化、軽量化が進み、材料にはますます高い耐熱性と難燃性、さらに耐衝撃性のバランスに優れる材料の要求がされている。しかしながら、先行技術では、それら要求を満たすポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供するには至っていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術で達成することのできなかった、高い難燃性、または/さらに耐熱性と耐衝撃性のバランスに優れる、ポリフェニレンエーテル系脂組成物を提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決するため、ポリフェニレンエーテル系樹脂、難燃剤、および耐衝撃性付与材のあり方、およびその製造方法に付いて鋭意検討を重ねた結果、高い難燃性、または/さらに耐熱性と耐衝撃性のバランスに優れる樹脂組成物を見いだし本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂、80〜98重量部と、(B)水添ブロック共重合体のビニル芳香族化合物量が10重量%〜40重量%未満および、該ビニル芳香族化合物の数平均分子量が15000以上である水添ブロック共重合体、2〜20重量部、および(A)、(B)成分の合計100重量部に対して、(C)リン酸エステル系化合物および/またはエチレン性不飽和化合物、0.1〜30重量部を含んでなる組成物において、(1)マトリックス相:ポリフェニレンエーテル系樹脂、(2)分散相:(B)成分が、円相当平均粒子径、0.15〜0.29μmの構造を示す事を特徴とする樹脂組成物およびそれを製造するための方法を提供するものである。
【0010】
本発明の(A)成分として用いるポリフェニレンエーテル系樹脂とは、一般式(b)及び/又は(c)で表される繰り返し単位を有するポリフェニレンエーテル樹脂の単独重合体あるいは共重合体である。
【0011】
【化3】
(ここで、R5 、R6 、R7 、R8 、R9 、R10は独立に炭素1〜4のアルキル基、アリール基、ハロゲン、水素を表す。但し、R9 、R10は同時に水素ではない。)
【0012】
ポリフェニレンエーテル樹脂の単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。この中で、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが特に好ましい。
【0013】
ポリフェニレンエーテル共重合体とは、フェニレンエーテル構造を主単量単位とする共重合体である。その例としては、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体あるいは2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの共重合体等がある。
【0014】
本発明に用いるポリフェニレンエーテル樹脂の単独重合体あるいは共重合体の製造方法は特に限定されるものではないが例えば米国特許4,788,277号明細書(特願昭62−77570号)に記載されている方法に従って、ジブチルアミンの存在下に、2,6−キシレノールを酸化カップリング重合して製造することができる。また、分子量および分子量分布も本発明の要件を満たす限り、特に限定されるものではない。
【0015】
また、本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂中には、本発明の主旨に反しない限り、従来ポリフェニレンエーテル樹脂中に存在させてもよいことが提案されている他の種々のフェニレンエーテルユニットを部分構造として含んでいても構わない。少量共存させることが提案されているものの例としては、特願昭63−12698号公報及び特開昭63−301222号公報に記載されている、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニットや、2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等が挙げられる。また、ポリフェニレンエーテル樹脂の主鎖中にジフェノキノン等が少量結合したものも含まれる。
【0016】
本発明の(A)成分として用いるポリフェニレンエーテル系樹脂には、ビニル芳香族化合物重合体、ゴム変性ビニル芳香族化合物重合体を含んだものも可能である。
ビニル芳香族化合物重合体としては、スチレンのほか、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレンなどの核アルキル置換スチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレンなどのα−アルキル置換スチレン等の重合体、及びこれら1種以上と他のビニル化合物の少なくとも1種以上との共重合体、これら2種以上の共重合体が挙げられる。
【0017】
ビニル芳香族化合物と共重合可能な化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル化合物類、無水マレイン酸等の酸無水物などが挙げられる。これらの重合体の中で特に好ましい重合体は、ポリスチレン(シンジオタクチックポリスチレンも含む。)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)である。
【0018】
また、ゴム変性ビニル芳香族化合物重合体に用いるゴムとしては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン−イソプレン共重合体、天然ゴム、エチレン−プロピレン共重合体などを挙げることができる。特に、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体が好ましく、ゴム変性芳香族化合物重合体としては、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)、ゴム変性スチレン−アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)が好ましい。
【0019】
さらに(A)成分のポリフェニレンエーテル系樹脂には、下記のα,β不飽和カルボン酸またはその無水物等のエチレン性不飽和化合物により変性されたポリフェニレンエーテル系樹脂も含むことができる。これらを用いて変性したポリフェニレンエーテル系樹脂を用いた場合には、ビニル化合物系重合体との混合性に優れ、相剥離等のない成形体を提供できる。
α,β不飽和カルボン酸またはその無水物の例として、特公昭49−2343号公報、特公平3−52486号公報等に記載される無水マレイン酸、フタル酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、無水ハイミツク酸、5−ノルボルネン−2−メチル−2−カルボン酸、あるいはマレイン酸、フマル酸等が挙げられ、これらに限定されるものではないが、無水マレイン酸が特に好ましい。
【0020】
無水マレイン酸等のα,β不飽和カルボン酸またはその無水物とポリフェニレンエーテル樹脂との反応は、有機過酸化物の存在下、または非存在下で両者を混合しポリフェニレンエーテル重合体のガラス転移温度以上の温度まで加熱することによって製造できる。
本発明の難燃性樹脂組成物を製造する際には、あらかじめ無水マレイン酸等のα,β不飽和カルボン酸またはその無水物を結合したポリフェニレンエーテル樹脂を用いても良いし、難燃性樹脂組成物を製造する際に同時に、無水マレイン酸等のα,β不飽和カルボン酸またはその無水物を添加することによりポリフェニレンエーテル重合体と反応させる方法でも良い。
【0021】
つぎに、本発明の(B)成分として用いる水添ブロック共重合体とは、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加反応して得られる水添ブロック共重合体であり、例えばA−B、A−B−A、A−B−A−B、A−B−A−B−A、(A−B−)4 −Si等の構造を有する水添ブロック共重合体である。この(B)成分の水添ブロック共重合体は、その水素添加する前のブロック共重合体が結合したビニル芳香族化合物を10〜40重量%未満、好ましくは15〜40重量%未満、さらに好ましくは25〜40重量%未満を含む。
【0022】
またブロック構造に言及すると、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAが、ビニル芳香族化合物のホモ重合体ブロックまたは、ビニル芳香族化合物を50重量%を超え、好ましくは70重量%以上含有するビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックの構造を有しており、そしてさらに、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックが、共役ジエン化合物のホモ重合体ブロックまたは、共役ジエン化合物を50重量%を超え、好ましくは70重量%以上含有する共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重合体ブロックの構造を有するものである。
【0023】
また、これらのビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、それぞれの重合体ブロックにおける分子鎖中の共役ジエン化合物またはビニル芳香族化合物の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加または減少するもの)、一部ブロック状またはこれらの任意の組み合わせで成っていてもよく、該ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックおよび該共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックがそれぞれ2個以上ある場合は、各重合体ブロックはそれぞれ同一構造であってもよく、異なる構造であってもよい。
【0024】
このブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、ジフェニルエチレン等のうちから1種または2種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。また、共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ましい。
【0025】
また、上記の構造を有する水添ブロック共重合体の数平均分子量は37,500〜1,000,000、好ましくは50,000〜800,000、さらに好ましくは85,000〜500,000の範囲であり、結合したビニル芳香族化合物が10〜40重量%未満の範囲においてビニル芳香族化合物を主体とする重合体1ブロックにおける該ビニル芳香族化合物の数平均分子量は15,000以上であることが好ましい。該ビニル芳香族化合物の数平均分子量が15,000未満である場合には、組成物に剥離を生じ好ましくない。さらに分子量分布〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比〕は10以下である。さらに、このブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組み合わせのいずれであってもよい。
【0026】
このような構造を持つブロック共重合体は、上記したブロック共重合体の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの脂肪族系二重結合を水素添加した水添ブロック共重合体(ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物)として本発明の(B)成分として用いることができる。かかる脂肪族系二重結合の水素添加率は少なくとも80%を超え、好ましくは95%以上である。そしてこの水素添加率は通常、赤外分光光度計やNMR等で知ることができる。
【0027】
これらの上記した(B)成分の水添ブロック共重合体は、上記した構造を有するものであればどのような製造方法で得られるものであってもかまわない。公知の製造方法の例としては、例えば、特開昭47−11486号公報、特開昭49−66743号公報、特開昭50−75651号公報、特開昭54−126255号公報、特開昭56−10542号公報、特開昭56−62847号公報、特開昭56−100840号公報、英国特許第1130770号および米国特許第3281383号および同第3639517号各明細書に記載された方法や英国特許第1020720号および米国特許第3333024号および同第4501857号各明細書に記載された方法がある。なお、上記した(B)成分の水添ブロック共重合体はその結合ビニル芳香族化合物量が10〜40重量%未満であるが、結合ビニル芳香族化合物量が異なる水添ブロック共重合体を2種以上併用してもかまわない。
【0028】
また、本発明で用いる(B)成分の水添ブロック共重合体は、上記した水添ブロック共重合体のほかに、該水添ブロック共重合体とα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体とをラジカル発生剤の存在下、非存在下で溶融状態、溶液状態、スラリー状態で80〜350℃の温度下で反応させることによって得られる公知の変性(該α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体が0.01〜10重量%グラフトまたは付加)水添ブロック共重合体であってもよく、さらに上記した水添ブロック共重合体と該変性水添ブロック共重合体の任意の割合の混合物であってもかまわない。
【0029】
本発明の(C)成分として用いるリン酸エステル系化合物は、下記一般式(d)、
【0030】
【化4】
(ここで、Q1 、Q2 、Q3 、Q4 は、独立に炭素数1から6のアルキル基を表す。R1 、R2 はメチル基を、R3 、R4 は独立にメチル基または水素を表す。nは1以上の整数を表す。n1 、n2 は独立に0から2の整数を表す。m1 、m2 、m3 、m4 は、独立に0から3の整数を示す。)で表される。
【0031】
一般式(d)においてn1 、n2 が0で、R3 、R4 がメチル基であることが好ましい。また、一般式(d)においてm1 、m2 、m3 、m4 が0である、つまり、末端のフェニル基へのアルキル基の置換がないか、またはQ1 、Q2 、Q3 、Q4 が、メチル基であるつまり末端フェニル基へのメチル基が置換されている場合が最も好ましい。
一般式(d)におけるnは1以上の整数であってその数により耐熱性、加工性が異なってくる。好ましいnの範囲は1〜10である。また(C)成分はn量体の混合物であってもかまわない。
【0032】
本発明の(C)成分のリン酸エステル系化合物は、特定の二官能フェノールによる結合構造と、特定の単官能フェノールによる末端構造を有す。
二官能フェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称ビスフェノールA〕、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのビスフェノール類が挙げられるが、これに限定されない。特にビスフェノールAが好ましい。
【0033】
単官能フェノールとしては、無置換フェノール、モノアルキルフェノール、ジアルキルフェノール、トリアルキルフェノールを単独または2種以上の混合物として使用できる。特にフェノール、クレゾール、ジメチルフェノール(混合キシレノール)、2,6−ジメチルフェノール、トリメチルフェノールが好ましい。
【0034】
上記特徴を有する(C)成分として用いるリン酸エステル系化合物は揮発性が大幅に抑制されており、安定性、耐加水分解性にも優れている。また、ポリフェニレンエーテル系樹脂との間で反応を起こしてゲル化のような問題を起こすこともなく、ポリフェニレンエーテル系樹脂の分解を促進することもないし、成形加工機等の金属部分を腐食させることもない。
(C)成分のリン酸エステル系化合物は、上記の二官能フェノールと単官能フェノールをオキシ塩化リンと反応させることにより得ることができるが、この製法になんら制約されることはない。
【0035】
なお、上記で特定した構造のリン酸エステル系化合物の他に、本発明で用いる(C)成分のリン酸エステル系化合物は、発明の効果を損なわない範囲で一般的に用いられるリン酸エステル系化合物、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル系化合物やこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合タイプのリン酸エステル系化合物であっても構わない。
【0036】
さらに、(C)成分の、エチレン性不飽和化合物とは、アクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、オクチル、イソデシル、ラウリル、ラウリルートデシル、トリデシル、セチル−ステアリル、ステアリル、シクロヘキシル、ベンジルエステル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、オクチル、イソデシル、ラウリル、ラウリルートデシル、トリデシル、セチル−ステアリル、ステアリル、シクロヘキシル、ベンジルエステル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、メチルスチレン、スチルベン、ケイ皮アルコール、ケイ皮酸ニトリル、4−ビニルピリジン等が挙げられ、これらに限定されるものではないが、中でもアクリル酸ステアリルおよび/またはスチレンを用いた場合が最も好ましい。
【0037】
本発明の(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂と(B)特定の水添ブロック共重合体、および、(C)リン酸エステル系化合物および/またはエチレン性不飽和化合物を含んでなる樹脂組成物にあって該樹脂組成物中の水添ブロック共重合体を特定の分散構造としたものは、最近の市場が要求するOA機器等の安定した難燃性化、高耐熱性化、高機能小型化、軽量化等の高度な製品性能に対応することができる。
【0038】
本発明の各成分の組成として好ましい状態は、(A)成分の割合が、80重量部〜98重量部、さらに好ましくは、90〜98重量部である。高い耐熱性を目標とした場合、80重量部以下では充分な耐熱性が得られず好ましくなく、98重量部以上では、耐衝撃性が充分でなくなり好ましくない。(B)成分の割合は、2〜20重量部であるが、さらに好ましくは、2〜10重量部である。2重量部以下では、充分な耐衝撃性が得られず好ましくなく、20重量部以上では、充分な耐熱性が得られず好ましくない。
【0039】
(C)成分の割合は、(A)、(B)成分の合計100重量部に対して0.1〜30重量部である。好ましくは、2〜20重量部であり、さらに好ましくは、2〜15重量部である。0.1重量部以下または、30重量部以上では、(B)成分の水添ブロック共重合体を、円相当平均粒子径、0.08〜2.0μmの範囲にコントロールすることが困難となり好ましくない。また、(B)成分の分散構造は、0.08〜2.0μmの範囲が好ましいが、さらに好ましくは、0.08〜1.0μmであり、さらに最も好ましくは0.1〜0.5μmである。0.08μm未満または、2.0μmより大きい場合、難燃性のバラツキが大きくなる事、および/または耐衝撃性が充分でなくなる事により好ましくない。
【0040】
本発明の製造方法は、上記した(A)、(B)、(C)成分を下記に示す方法で溶融混練する。すなわち(A)成分と(C)成分の溶融混練状態下に、(B)成分を追加添加し同時にこれを溶融混練する方法であり、種々の混練押出機を用いて製造することができる。これらの方法を行う溶融混錬機として例えば、単軸押出機、二軸押出機を含む多軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等による加熱溶融混練機が挙げられるが、中でも二軸押出機を用いた溶融混練方法が最も好ましい。具体的には、WERNER&PFLEIDERER社製のZSKシリーズ、東芝機械(株)製のTEMシリーズ、日本製鋼所(株)製のTEXシリーズなどが挙げられる。
【0041】
押出機を用いた本発明の好ましい態様を以下に述べる。押出機のL/D(バレル有効長/バレル内径)は20以上60以下の範囲であり、好ましくは30以上50以下の範囲である。押出機は原料の流れ方向に対し上流側に第1原料供給口、これより下流にに第2原料供給口を設け、さらにその下流に第3原料供給口を設けたものが好ましい。なかでも、第3原料供給口の上流にニーディングセクションを設けたものがより好ましい。
【0042】
第2供給口への原材料供給方法は、特に限定されるものでは無いが、押出機第2供給口へ液化したリン酸エステル系化合物、および/またはエチレン性不飽和化合物を適当なポンプを用いて強制的に供給する方法が最も安定に押出機操作が行え好ましい。第3供給口下からの原料供給は、開放口よりの単なる添加供給よりも、押出機サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて供給する方が安定で好ましい。この際の溶融混練温度、スクリュー回転数は特に限定されるものではないが、通常溶融混練温度250〜370℃、スクリュー回転数50〜1200rpmの中から任意に選ぶことができる。
【0043】
本発明では、(A)成分80〜98重量部と(B)成分2〜20重量部の合計100重量部に対して(C)成分0.1〜30重量部を添加する。
かかる本発明の樹脂組成物の製造方法は、▲1▼:第1原料供給口より(A)成分を供給し、第2原料供給口より(C)成分を供給する。(A)、(C)成分の溶融混練状態下の第3供給口より(B)成分を加え、さらに溶融混練を続けて行う方法。または、▲2▼:第1原料供給口より(A)成分と(C)成分を同時に供給し、(A)、(C)成分の溶融混練状態下の第3供給口より(B)成分を加え、さらに溶融混練を続けて行う方法が、本発明の樹脂組成物の性能を発揮する上で重要な方法である。
【0044】
これらの方法で得られる樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂マトリックスに中に(B)成分が分散相を形成し、該分散相の円相当平均粒径が0.08〜2.0μmに分散する。
この分散粒子径範囲内で得られる樹脂組成物は、難燃性のバラツキが少なく、さらに/または耐熱性を保持した状態で耐衝撃性が改良されたものとなる。
【0045】
かかる(B)成分の分散形態を知るには、本発明の方法で得たペレット、またはそのペレットを290〜310℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、金型温度80から140℃の条件で射出成形して得られる試験用テストピースからミクロトーム(ライヘルト社製 ウルトラカットE)により超薄切片を作成し、オスミウム酸およびルテニウム酸により染色しサンプルとし、それを透過型電子顕微鏡(日本電子製 1200EX)により容易に観察出来る。具体的には得られた透過型電子顕微鏡写真をもとに画像解析装置(旭化成製 IP1000)を用いて分散相の周囲長から円相当径を求め平均化することで、分散粒径を求めることができる。
【0046】
なお、本発明の製造方法において、(B)成分を、(A)成分と一緒に第1供給口より供給したり、(B)成分と、(C)成分を第3原料供給口から供給した方法で得られた樹脂組成物は、(A)成分のポリフェニレンエーテル系樹脂中に分散する、該(B)成分の円相当平均粒子径が0.08〜2.0μmに分散されず、難燃性のバラツキが大きく、さらに/または耐熱性を保持した状態で耐衝撃性が改良されず好ましくない。また、本発明の方法と異なる方法の一つである、(A)、(B)、(C)各成分を、第1原料供給口より一括して供給する方法で得られる樹脂組成物も、同様に難燃性のバラツキが大きく、さらに/または耐熱性を保持した状態で耐衝撃性が改良されず好ましくない。
【0047】
本発明の樹脂組成物に本発明の効果を損なわない範囲で他の添加剤、例えば可塑剤、他の難燃剤、酸化防止剤及び紫外線吸収剤などの安定剤、離型剤、染顔料、あるいはガラス繊維、炭素繊維等の繊維状補強剤、更にはガラスビーズ、炭酸カルシウム、タルク、導電性カーボン等の充填剤を添加することができる。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、実施例によって本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
(I)ポリフェニレンエーテル系樹脂の調製
A−1:2,6−キシレノールを酸化重合して得た、還元粘度0.54のポリフェニレンエーテル。
A−2:2,6−キシレノールを酸化重合して得た、還元粘度0.54のポリフェニレンエーテル100重量部に対して、無水マレイン酸2重量部を320℃に設定したベントポート付き二軸押出機(ZSK−25;WERNER&PFLEIDERER社製、ドイツ国)を用いて溶融混練し無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂を得た。
A−3:2,6−キシレノールを酸化重合して得た、還元粘度0.54のポリフェニレンエーテル90重量%と、数平均分子量が77,000のポリスチレン10重量%を単軸押出機により加熱溶融混練した。
【0049】
(II)水添ブロック共重合体の調製
B−1:ポリスチレン(1)−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン(2)の構造を有し、結合スチレン量33%、数平均分子量170,000、分子量分布1.10、水素添加前のポリブタジエンの1,2−ビニル結合量が46%、ポリスチレン(1)の数平均分子量28,000、ポリスチレン(2)の数平均分子量28,000、ポリブタジエン部の水素添加率が99.9%の水添ブロック共重合体を合成した。
【0050】
B−2:ポリスチレン(1)−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン(2)の構造を有し、結合スチレン量30%、数平均分子量110,000、分子量分布1.06、水素添加前のポリブタジエンの1,2−ビニル結合量が42%、ポリスチレン(1)の数平均分子量16,000、ポリスチレン(2)の数平均分子量17,000、ポリブタジエン部の水素添加率が99.9%の水添ブロック共重合体を合成した。
【0051】
B−3:ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエンの構造を有し、結合スチレン量35%、数平均分子量120,000、分子量分布1.08、水素添加前のポリブタジエンの1,2−ビニル結合量が44%、ポリスチレンの数平均分子量42,000、ポリブタジエン部の水素添加率が99.9%の水添ブロック共重合体を合成した。
【0052】
B−4 :ポリスチレン(1)−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン(2)−水素添加されたポリブタジエンの構造を有し、結合スチレン量60%、数平均分子量80,000、分子量分布1.05、水素添加前のポリブタジエンの1,2−ビニル結合量が44%、ポリスチレン(1)の数平均分子量24,000、ポリスチレン(2)の数平均分子量24,000、ポリブタジエン部の水素添加率が99.9%の水添ブロック共重合体を合成した。
【0053】
B−5:ポリスチレン(1)−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン(2)の構造を有し、結合スチレン量55%、数平均分子量57,000、分子量分布1.06、水素添加前のポリブタジエンの1,2−ビニル結合量が42%、ポリスチレン(1)の数平均分子量16,000、ポリスチレン(2)の数平均分子量15,350、ポリブタジエン部の水素添加率が99.9%の水添ブロック共重合体を合成した。
【0054】
(III )リン酸エステル系化合物の調製
C−1:ビスフェノールA−ポリクレジルホスフェート:下記化学式(e)
(n=1〜3の混合物)
【0055】
【化5】
C−2:ビスフェノールA−ポリフェニルホスフェート:下記化学式(f)
(n=1〜3の混合物)
【0056】
【化6】
C−3:トリフェニルホスフェート〔大八化学(株)製:TPP〕
C−4:アクリル酸ステアリル(東邦化学(株)製)
C−5:スチレンモノマー(和光純薬(株)製)
【0057】
実施例1〜15および比較例1〜19
(A)成分のポリフェニレンエーテル系樹脂、(B)成分の水添ブロック共重合体、(C)成分のリン酸エステル系化合物を表1〜6に示した組成で、樹脂流れ方向に対し上流に第1原料供給口及び下流に第2原料供給口、さらに下流に第3原料供給口を設けた二軸押出機ZSK−25(WERNER&PFLEIDERER社製、ドイツ国)を用いて押出温度280〜320℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量15kg/時間の条件にて溶融混練しペレットとして得た。
【0058】
表中の製造方法▲1▼は、第1原料供給口より(A)成分を供給し、第2原料供給口より(C)成分を供給し、(A)、(C)成分の溶融混練状態下の第3供給口より(B)成分を加え、さらに溶融混練を続けて行う方法であり本発明でいう特定の製造方法である。製造方法▲2▼は、第1原料供給口より(A)成分と(B)成分及び、(C)成分を同時に供給し、溶融混練を続けて行う方法であり、本発明でいう特定の製造方法とは異なる。
このペレットを用いて290〜310℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、金型温度100℃または120℃の条件で試験用テストピースを射出成形した。
【0059】
本実施例中の物性値または特性値は、下記の方法により測定した。
荷重たわみ温度(DTULと略す。):ASTM D256に基づき、荷重18.6Kg/cm2 にて測定した。
耐衝撃性:4分の1インチ厚試験片を用いてASTM D638に従ってノッチ付きIZOD衝撃強さを測定した。
焼性:UL−94に規定された垂直燃焼試験方法に基づき、16分の1インチ厚試験片を用いて測定を行い、ランク付けを行った。
燃焼性のバラツキ:UL−94に規定された垂直燃焼試験方法では、1サンプルあたり5本の試験片を用いるが、そのバラツキを知るにあたり、1サンプルあたり25本の試験片を用いて評価を行い燃焼時間の標準偏差σを求めた。
なお、標準偏差:σは、下記式(I)により計算した。
【0060】
【数1】
(式中、nは該燃焼試験における接炎回数、xは該接炎における燃焼秒数。)
【0061】
成分の分散形態:4分の1インチ厚テストピースの射出成形時流動方向と垂直方向の面を、ウルトラミクロトーム(ライヘルト社 製ウルトラカットE)により超薄切片を作成しオスミウム酸、およびルテニウム酸により染色し、それを透過型電子顕微鏡(日本電子製 1200EX)を用いて観察、写真撮影する。
透過型電子顕微鏡写真をもとに画像解析装置(旭化成製 IP1000)を用いて分散相の周囲長から円相当径を求め平均化することで、分散粒子径を求めた。
【0062】
該評価の結果は、表1〜6に示した。
表1〜6により明きらかなように本発明による、該成分、該組成、該方法により得られた組成物は、耐熱性を保持した状態で耐衝撃性が著しく改良され、なおかつ難燃性のバラツキの著しく少ないものに改良された。
一方、本発明以外の、成分、組成、方法により得られた組成物は、耐衝撃性が著しく劣り、さらに難燃性のバラツキが大きく著しく劣るものであった。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
【発明の効果】
本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、高い難燃性、さらに/又は耐熱性と耐衝撃性のバランスに優れるという効果を有する。
Claims (16)
- (A)ポリフェニレンエーテル系樹脂80〜98重量部と(B)水添ブロック共重合体のビニル芳香族化合物量が10重量%〜40重量%未満および、該ビニル芳香族化合物の数平均分子量が15000以上である水添ブロック共重合体2〜20重量部、および上記(A)、(B)成分の合計100重量部に対して、(C)リン酸エステル系化合物および/またはエチレン性不飽和化合物0.1〜30重量部を含んでなる組成物において、
(1)マトリックス相:ポリフェニレンエーテル系樹脂
(2)分散相:(B)成分が、円相当平均粒子径、0.15〜0.29μmの構造を示す事を特徴とする樹脂組成物。 - 押出機を用い、(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂と(C)リン酸エステル系化合物および/またはエチレン性不飽和化合物の溶融状態下に、(B)水添ブロック共重合体を添加し、さらに溶融混練することを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物の製法。
- (A)成分のポリフェニレンエーテル系樹脂が、α,β不飽和カルボン酸無水物により変性されたポリフェニレンエーテル樹脂である請求項1記載の樹脂組成物。
- α,β不飽和カルボン酸無水物が無水マレイン酸である請求項3記載の樹脂組成物。
- (B)成分が、水添ブロック共重合体のビニル芳香族化合物量が10重量%〜40重量%未満および、該ビニル芳香族化合物の数平均分子量が15000以上であり、該水添ブロック共重合体の数平均分子量が85000以上である請求項1記載の樹脂組成物。
- (B)成分の水添ブロック共重合体が2〜10重量部である請求項1記載の樹脂組成物。
- (C)成分のエチレン性不飽和化合物が、ステアリルアクリレートである請求項1記載の樹脂組成物。
- (C)成分のエチレン性不飽和化合物が、スチレンである請求項1記載の樹脂組成物。
- (A)、(B)の合計100重量部に対して(C)成分が、2〜15重量部である請求項1記載の樹脂組成物。
- (A)成分のポリフェニレンエーテル系樹脂が、α,β不飽和カルボン酸無水物により変性されたポリフェニレンエーテル樹脂である請求項2記載の製法。
- α,β不飽和カルボン酸無水物が無水マレイン酸である請求項11記載の製法。
- (B)成分が、水添ブロック共重合体のビニル芳香族化合物量が10重量%〜40重量%未満および、該ビニル芳香族化合物の数平均分子量が15000以上であり、該水添ブロック共重合体の数平均分子量が85000以上である請求項2記載の製法。
- (C)成分のエチレン性不飽和化合物が、ステアリルアクリレートである請求項2記載の製法。
- (C)成分のエチレン性不飽和化合物が、スチレンである請求項2記載の製法。
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