JP3737553B2 - センサ機能を備えたカテーテル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、体内に挿入される部分の先端にセンサ機能を備えたカテーテルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、体内挿入式の医療器具の一種としてカテーテルが知られている。カテーテルを構成する直径数mmのカテーテルチューブは、人体内にある各種の管、例えば血管等の中に挿入されるようになっている。カテーテルチューブの先端は体内の所望の部位まで誘導され、その部位において計測行為(例えば血圧の測定等)や治療行為(例えば血管の拡張等)を行う。このため、カテーテルのオペレータは、カテーテルチューブの先端を外部操作によって所望の部位まで確実に誘導する必要がある。
【0003】
ところで、体内にある管は必ずしも直線状ではなく、部分的に屈曲していたり分岐している場合が多い。しかも、管の径は必ずしも一定ではなく、管自体が細くなっていたり、内部にある障害物(例えば血栓)によって管が細くなっていることがある。しかしながら、従来のカテーテルでは、カテーテルチューブの進行方向前方の状況を検知する手段がなかったことから、オペレータはカテーテルチューブの操作を自分の勘のみに頼らざるを得なかった。このため、カテーテルチューブの先端を所望の部位まで誘導するのには熟練を要していた。このため、最近ではカテーテルチューブの先端に障害物を感知するセンサの機能を設け、それによるセンシング結果に基づいてカテーテルチューブを操作することが提案されていた。
【0004】
障害物感知センサ機構を備えたカテーテルは、例えば以下のような構成を有している。管状をしたカテーテルチューブの先端部分の内壁面には、圧力障壁が設けられている。その圧力障壁は、管内にチップ収容室を区画している。チップ収容室内には、半導体式圧力センサチップが基板上に実装された状態で収容されている。チップ収容室内には、圧力伝達媒体としてのシリコーンゲルが充填されている。カテーテルチューブの開口部は、ピストンによって封止されている。従って、このカテーテルでは、ピストンの外面が先端受圧面としての役割を果たすようになっている。障害物の存在によって前記受圧面に圧力が加わると、その圧力はシリコーンゲルを介してセンサチップの感圧面へ伝達される。すると、感圧面に形成された図示しない歪みゲージの抵抗値に変化が生じる。その結果、前記センサチップは、圧力の変化に応じた電気信号をセンサ出力信号Sとして外部に出力する(図5参照)。そして、このセンサ出力信号Sの変動を監視することにより、オペレータは障害物の有無を感知することができるというものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のように構成されたカテーテルを血管等に挿入した場合には、以下のような問題が生じる。
【0006】
即ち、血管内には常時血液が循環しており、しかもその圧力は時間とともに変動している。よって、前記センサ出力信号Sには、障害物との当接によって変動する成分のみならず、血圧による変動分(図5のグラフにおいて規則的に現れている小さなパルス成分)が含まれていることになる。従って、この構成であると、場合によっては障害物の有無を正確に感知することができなくなることがあった。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、進行方向前方の状況を正確に感知することができるセンサ機能を有するカテーテルを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、カテーテルチューブの先端受圧面に作用する圧力を圧力検出手段によって検知し、その検知結果をセンサ出力信号として出力するように構成したセンサ機能を備えたカテーテルにおいて、前記センサ出力信号を波形の変動に規則性がある成分と規則性のない成分とに分離する信号分離手段を設け、該分離された信号に基づいて障害物感知信号を出力するたことを特徴とするセンサ機能を備えたカテーテルをその要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1において、前記信号分離手段は、前記規則性がある成分からなる基準センサ出力信号及び前記センサ出力信号を記憶する信号記憶手段と、前記基準センサ出力信号と前記センサ出力信号とを比較してその差分を前記障害物感知信号として出力する信号比較補正手段とで構成されていることをその要旨とする。
【0011】
以下、本発明の「作用」について説明する。
請求項1に記載の発明においては、カテーテルチューブの先端の進行方向前方の状況が変わった場合、カテーテルチューブの挿入抵抗が変化し、それに伴って先端受圧面に作用する圧力も変化する。例えば、カテーテルチューブが挿入されている管の内部に障害物や狭窄部位がある場合には、挿入抵抗が増加し、前記圧力もそれに伴って増加する。このような圧力の変化が圧力検出手段によって検出されると、その圧力検出手段は、その結果をセンサ出力信号に変換して外部に出力する。
【0012】
そして、圧力検出手段から出力されたセンサ出力信号は、信号分離手段によって、波形の変動に規則性がある成分とそうでない成分とに分離される。よって、目的とする成分のみを取り出すことができるとともに、その成分をセンシングに利用することができる。ゆえに、このような信号処理を行わない場合に比較してセンシング精度が高くなり、進行方向前方の状況を正確に感知することが可能となる。
【0013】
例えば、カテーテルが血管挿入用のものであると仮定すると、血圧による変動分は規則性のある成分に対応し、障害物との当接による変動分は規則性のない成分に対応するものとなる。そのため、上記のような信号処理を行うと、センサ出力信号から、障害物との当接による変動分のみが取り出されることになる。ゆえに、血圧による変動分によってセンシング結果が左右されにくくなり、もってセンシング精度の向上が図られる。
【0014】
以上の結果、オペレータは、そのセンシング結果を判断材料として進行方向前方の状況を確実に検知することができ、カテーテルチューブの先端を管内の所望の部位まで確実に誘導することが可能となる。
【0015】
次に、請求項2に記載の発明の作用について説明する。本発明では、信号記憶手段と信号比較補正手段とによって信号分離手段を構成している。信号記憶手段はセンサ出力信号を記憶する。信号比較補正手段は、前記信号記憶手段から呼び出した基準センサ出力信号と実センサ出力信号とを比較し、その差分を補正センサ出力信号として出力する。従って、このように補正されたセンサ出力信号をセンシングに利用することにより、高精度のセンシングを行うことができる。
【0016】
例えば、カテーテルが血管挿入用のものであると仮定する。このとき、基準センサ出力信号と実センサ出力信号とを比較しかつその差分を求めると、その差分は障害物との当接による変動分に相当するもののみになる。つまり、血圧による変動分が実センサ出力信号から除去され、障害物との当接による変動分のみが補正センサ出力信号として取り出される。このようなことが可能であるのは、実センサ出力信号及び基準センサ出力信号の双方に、波形の変動に規則性のある成分が含まれていることに由来する。従って、これらの差分をとると規則性のある成分が互いに相殺されてしまう反面、波形の変動に規則性のない成分のみが得られることになるからである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を血管用カテーテル1に具体化した一実施の形態を図1〜図4に基づき詳細に説明する。
【0018】
この血管用カテーテル1は、血管20に挿入されるカテーテルチューブ2と、それを体外にて操作するためにチューブ2の基端部に設けられる本体(操作手段、マイクロコンピュータ21、ディスプレイ装置等)とによって成り立っている。操作手段は、例えばチューブ2内に挿入された複数本のワイヤと、それらを操作するワイヤ操作部とによって構成されている。また、チューブ2の基端部には、チューブ2の先端付近に設けられた拡張用バルーンにエアを圧送するためのエアコンプレッサ等が設けられている。コンプレッサには送気管が接続されている。この送気管はチューブ2内に挿通されており、その先端にはバルーンが接続されている。そして、このバルーンにエアが供給されると、狭窄した血管20が膨張したバルーンの作用によって内面側から拡張されるようになっている。
【0019】
本実施形態のカテーテル1においては、カテーテルチューブ2の先端に、以下に示すようなセンサ部3が構成されている。チューブ2の内壁面には、圧力障壁4が設けられている。この圧力障壁4があることによって、チューブ2の先端部分にチップ収容室5が区画されている。チップ収容室5内には、半導体式圧力センサチップ6が基板7に実装された状態で収容されている。センサチップ6及び基板7は、ともに矩形状を呈している。そして、センサチップ6及び基板7の長辺は軸線方向C1 に沿って配置され、かつ短辺は軸線方向C1 に直交するように配置されている。なお、基板7の短辺の大きさはチューブ2の内径よりも僅かに小さく、基板7の長辺の大きさはチューブ2の内径よりもいくぶん大きい。
【0020】
前記センサチップ6は肉薄部分を有しており、その部分の上面(即ち、感圧面6a)には歪みゲージ8が形成されている。従って、本実施形態では、感圧面6aが軸線方向C1 と直交する方向を向いている。センサチップ6の上面及び基板7の上面には、それぞれパッドが形成されている。これらのパッド同士は、ボンディングワイヤ11を介して接合されている。また、基板7側のパッドには、信号ケーブル12の各々のリード線が接合されている。そして、この信号ケーブル12は、圧力障壁4の貫通孔13を貫通しかつチューブ2を通り抜けて基端部に到っている。
【0021】
前記基板7に透設された連通孔7aは、センサチップ6の感圧面6aの反対側面6bの下側領域と、圧力障壁4よりも基端側の領域とを連通している。従って、このセンサチップ6には、背圧(即ち大気圧)が基準圧力として作用するようになっている。
【0022】
また、チップ収容室5内には、圧力伝達媒体としてのシリコーンゲル14が充填されている。カテーテルチューブ2の開口部2aは、閉塞部材としての封止栓15によって封止されている。従って、この実施形態では、ピストン15の外面が先端受圧面15aとしての役割を果たすようになっている。なお、前記ピストン15の形成材料としては、例えばPTFE(ポリテトラフロロエチレン)や塩化ビニル等といった生体適合性の樹脂材料が使用されている。
【0023】
さて、チューブ2が挿入されている血管20の内部に障害物(血栓や腫瘍など)や狭窄部位がある場合、センサ部3の頭部が同部位に押し付けられることにより、挿入抵抗が増加する。従って、ピストン15の先端受圧面15aに作用する圧力も、それに伴って増加する。このような変化が起きた場合、チップ収容室5内に充填されているシリコーンゲル14の圧力が増加し、その結果として感圧面6aに加わる圧力も増加する。つまり、センサ部3の外部で起こった圧力の変化は、シリコーンゲル14を介して感圧面6aに間接的に伝達されることになる。すると、感圧面6aの歪みが大きくなり、その上にある歪みゲージ8の抵抗値に変化が生じる。そして、このときセンサチップ6は、圧力の変化を電気信号(以下、「実センサ出力信号Sr」と呼ぶ。)として外部に出力する。この実センサ出力信号Srは、ボンディングワイヤ11及び信号ケーブル12を介してチューブ2の基端部にあるマイクロコンピュータ21に入力されている。そして、前記実センサ出力信号Srは、マイクロコンピュータ21による所定の処理を受けた後、後段のディスプレイ装置に出力される。そして、最終的に前記圧力の変動が同ディスプレイ装置によって可視化されるようになっている。
【0024】
次に、本実施形態のカテーテル1における信号処理の仕方を図2〜図4に基づいて説明する。
ここで、図2(a)はカテーテル1の進行方向前方に障害物が存在していないときの実センサ出力信号Srの波形を示すグラフであり、図2(b)は障害物が存在するときの実センサ出力信号Srの波形を示すグラフである。図3は信号処理の仕方を説明するための概念図であり、図4はそのフローチャートである。
【0025】
カテーテル1の進行方向前方に障害物が存在していないとき、センサチップ6は、図2(a)に示されるような波形の実センサ出力信号Srを出力する。このときの実センサ出力信号Srには血圧の変動分のみが含まれており、その波形には一定の規則性がある。このグラフに描かれている実センサ出力信号Srの軌跡において見られる、ほぼ同じ形状をした小さなパルスP1 の1つ1つは、心臓の鼓動(即ち血圧の脈動変化)に対応している。なお、上記の実センサ出力信号Srに規則性があるのは、基本的に血圧の脈動変化自体に規則性があることに由来する。また、前記小さなパルスP1 のピークは最高血圧の値に対応し、ボトムは最低血圧の値に対応する。
【0026】
一方、カテーテル1の進行方向前方に障害物が存在するとき、センサチップ6は、図2(b)に示されるような波形の実センサ出力信号Srを出力する。このときの実センサ出力信号Srには、脈動による血圧の変動分に加えて、障害物との当接による圧力の変動分も含まれている。即ち、このグラフに描かれている実センサ出力信号Srの軌跡において見られる大きなパルスP2 が、障害物との当接による圧力の変動分に対応する部分になる。なお、このような波形成分は、脈動による血圧の変動成分とは異なり、一定の規則性を有していない。
【0027】
図3において概念的に示されるように、センサチップ6から出力される実センサ出力信号Srは、信号分離手段としてのマイクロコンピュータ21に漸次入力されるようになっている。前記マイクロコンピュータ21は、信号記憶手段としてのメモリ22と、信号比較補正手段としてのCPU23と、計時手段としてのタイマ24と、A/D変換器25とを備えている。前記A/D変換器25は、センサチップ6が出力したアナログ信号をデジタル化した後、そのデジタル化された実センサ出力信号SrをCPU23に出力する。前記メモリ22は、入力された実センサ出力信号Srを一時的に記憶しておくための領域である。CPU23は、所定時間前のセンサ出力信号Sr,Ssを前記メモリ22から2つ呼び出してきてそれらを比較し、かつそれらSs,Srの差分ΔSを演算によって求める。本実施形態では、t秒前のセンサ出力信号Sr(詳細には実センサ出力信号Sr)と、t+n秒前のセンサ出力信号Ss(詳細には基準センサ出力信号Ss)とが呼び出される。ここで、nはその時の心拍数(即ち脈動の周期(秒))から割り出される数値である。tは、あらかじめ設定された正の数である。なお、このtの値を小さく設定するほど、センシングのタイムラグを小さくすることができる。本実施形態では、tの値を数百msec以下に設定している。また、各種時間の計測は、CPU23内のタイマ24に基づいてなされるようになっている。
【0028】
そして、所定の場合にCPU23は、その差分ΔSを補正センサ出力信号(即ち、障害物感知信号)Smとして外部に出力する。なお、CPU23は、常時、血圧脈動信号を外部に出力している。
【0029】
次に、信号処理の仕方を、図4のフローチャートに基づいて説明する。
ステップ31では、CPU23は、センサチップ6から連続的に出力される実センサ出力信号SrをA/D変換器25を介して入力し、かつそれをメモリ22内に一次的に記憶させる。なお、メモリ22内にはそれ以前の実センサ出力信号Srが既に記憶されているものとして、以下の説明を進める。また、メモリ22内に記憶されている実センサ出力信号Srのうち古いもの(例えばt+n秒よりもずっと以前のもの)は、自動的に消去されるかまたは新データが上書きされるようになっている。そして、このステップ31の後、CPU23は次のステップ32に移行する。
【0030】
ステップ32では、CPU23は、t秒前の実センサ出力信号Sr及びt+n秒前の基準センサ出力信号Ssをメモリ22内から呼び出してくる。この後、CPU23は次のステップ33に移行する。
【0031】
ステップ33では、CPU23は、両者Sr,Ssを比較し、その差分ΔSを演算によって求める。この後、CPU23は次のステップ34に移行する。
ステップ34では、CPU23は、さきほど求めた差分ΔSの値が正であるか否かを判定する。このような判定の結果、差分ΔS≦0であるときには、CPUは次のステップ35に移行する。一方、差分ΔS>0であるときには、CPUは次のステップ35に移行することなく、別のステップ37に移行する。
【0032】
ステップ35では、CPU23は、実センサ出力信号Srのみを「血圧脈動信号」として後段のディスプレイ装置に出力する。ディスプレイ装置に付設されている計算手段は、この結果に基づいて血圧及び心拍数を求め、画面上にその結果を数字等によって映し出す。この後、CPU23は次のステップ36に移行する。
【0033】
ステップ35では、CPU23は、画面上にある「障害物あり」の表示灯をオフ状態に保持する。この後、CPU23は、再び最初のステップ31に戻り同様の処理を開始する。
【0034】
従って、差分ΔS≦0である場合、カテーテル1のオペレータは、ディスプレイ装置によって画面上に可視化された結果を見ることにより進行方向前方に障害物が特に存在していないことを把握することができる。その結果、オペレータは、カテーテル1の押し込み操作を続行してもよい、と判断することができる。
【0035】
ステップ37では、CPU23は、実センサ出力信号Srを「血圧脈動信号」として出力するばかりでなく、求めた差分ΔSを「補正センサ出力信号Sm(障害物感知信号Sm)」として出力する。ディスプレイ装置に付設されている計算手段は、この結果に基づいて血圧及び心拍数を求め、画面上にその結果を数字等によって映し出す。この後、CPU23は次のステップ38に移行する。
【0036】
ステップ38では、CPU23は、画面上にある「障害物あり」の表示灯をオン状態に保持する。この後、CPU23は、再び最初のステップ31に戻り同様の処理を開始する。なお、前記「障害物あり」の表示灯を点滅させることにより、オペレータによりいっそうの注意を喚起させてもよい。また、「障害物あり」の表示灯の点灯または点滅に加えて、障害物感知信号Smの値から判断した障害物から受ける圧力を、画面上に数値等によって表示してもよい。さらに、「障害物あり」というようなメッセージに代え、「狭窄部位あり」、「注意」などといったメッセージを表示することとしてもよい。
【0037】
従って、差分ΔS>0である場合、カテーテル1のオペレータは、ディスプレイ装置によって画面上に可視化された結果を見ることによって、進行方向前方に障害物が存在していることを把握することができる。その結果、オペレータは、カテーテル1の押し込み操作を続行すべきでない、と判断することができる。そして、この場合には、ワイヤの操作によって、カテーテル1の進行経路を別の経路に変更する等の措置を講じることになる。また、現在カテーテル1の先端部分がある箇所が目的の場所であるならば、そこで治療行為や計測行為を実施することになる。
【0038】
以下、本実施形態において特徴的な作用効果を列挙する。
(イ) 本実施形態では、圧力分離手段としてのマイクロコンピュータ21が設けられており、それによる信号処理が行われる。このため、センサチップ6が出力した実センサ出力信号Srは、波形の変動に規則性がある成分P1 と、規則性がない成分P2 とに分離される。よって、目的としている成分P2 、即ち障害物との当接による変動分のみを取り出すことができる。ゆえに、血圧による変動分がセンサチップ6に作用していたとしても、それによってセンシング結果が左右されることはない。それゆえ、かかる信号処理を行わない場合に比較して、センシング精度の向上を図ることができる。
【0039】
従って、オペレータは、その正確なセンシング結果を判断材料として進行方向前方の状況を確実に検知することができる。ゆえに、カテーテルチューブ2の先端を血管20内の所望の部位まで確実に誘導することが可能となる。
【0040】
(ロ) 本実施形態では、信号分離手段としてのマイクロコンピュータ21が、信号記憶手段としてのメモリ22と、信号比較補正手段としてのCPU23とによって構成されている。既に述べたように、CPU23は、メモリ22から呼び出した基準センサ出力信号Ssと実センサ出力信号Srとを比較し、その差分ΔSを補正センサ出力信号Smとして出力する。従って、このように補正されたセンサ出力信号Smをセンシングに利用すれば、より高精度なセンシングを行うことができる。
【0041】
なお、求められた差分ΔSは、障害物との当接による変動分に相当するもののみになる。つまり、血圧による変動分が実センサ出力信号Srから除去され、障害物との当接による変動分のみが補正センサ出力信号Smとして取り出される。このようなことが可能であるのは、実センサ出力信号Sr及び基準センサ出力信号Ssの双方に、波形の変動に規則性のある成分P1 が含まれていることに由来する。従って、これらの差分ΔSをとると規則性のある成分P1 は互いに相殺されてしまう反面、波形の変動に規則性のない成分P2 が得られることになるからである。
【0042】
(ハ)本実施形態では、上述した信号処理が、信号分離手段であるマイクロコンピュータ21によって実行されるという特徴がある。よって、この構成であると、例えばアナログ回路によって同様の処理を実施した場合に比べ、波形成分P1 ,P2 の分離性を向上させることができる。従って、実センサ出力信号Sr中に含まれている両波形成分P1 ,P2 のレベルがほぼ等しくても、確実にそれらP1 ,P2 を分離することができる。よって、アナログ回路とした場合よりもセンシング精度がおのずと高くなる。
【0043】
なお、本発明は上記の実施形態のみに限定されることはなく、例えば次のように変更することが可能である。
(1)実施形態のステップ34においては、ΔS≦0のときにステップ35に移行させ、ΔS>0のときにステップ37に移行することとしていた。これに代えて、例えばΔS≦x1 (x1 :正の数)のときにステップ35に移行させ、ΔS>x1 のときにステップ37に移行することとしてもよい。このように設定しておけば、差分ΔSの値に多少ばらつきがあってもそれを許容することができる。なお、この場合のx1 は、ある程度小さな数値であることが好ましい。
【0044】
(2)実施形態のステップ38において、表示灯の点灯もしくは点滅に代えてまたはそれらに付随して、警告音などを鳴らしてもよい。
(3)実施形態のステップ32においては、t秒前の実センサ出力信号Srを順次呼び出すことにより、それを基準センサ出力信号Ssとして用いていた。これに代えて、例えばメモリ22にあらかじめ記憶されているデータを基準センサ出力信号Ssとして常時用いてもよい。また、カテーテルチューブ2のセンサ部3以外の箇所に存在する既存の血圧センサからのセンサ出力信号を用いて、それとの間で差分ΔSをとるという方法であってもよい。ただし、1つの半導体式圧力センサチップ6のみによってセンシングを行うことができる実施形態のほうが構成簡略化につながるという点において好ましい。
【0045】
(4)実センサ出力信号Sr中に含まれている分離されるべき波形成分は、3つ以上であってもよい。
(5)実施形態のようなマイクロコンピュータ21によるデジタル信号処理に代えて、例えばアナログ回路による信号処理を行うことも勿論可能である。
【0046】
(6)圧力検出手段6から出力されるセンサ出力信号は電気信号に限られることはなく、例えば光信号等であってよい。
(7)本発明は、実施形態において例示したセンサ部3とは異なる構造を有するカテーテル1にも適用することができる。例えば、前記ピストン15の代わりに、シリコーンゴム製の単なる封止栓等を使用した場合がそれに該当する。また、実施形態のような相対圧型のセンサに限定されることなく、絶対圧型のセンサにおいて使用されることも可能である。
【0047】
(8)本発明のカテーテル1は、体内にある血管20以外の管(例えば、気管支、消化管、リンパ管、尿道等)への挿入に使用されるものでも勿論よい。
ここで、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0048】
(1) カテーテルチューブの先端面に作用する圧力を圧力検出手段によって検知し、その検知結果をセンサ出力信号として出力するように構成したセンサ機能を備えたカテーテルにおいて、前記センサ出力信号を波形の変動に規則性がある成分とそうでない成分とに分離することを特徴とするセンサ機能を備えたカテーテルにおける信号処理方法。
【0049】
(2) 前記信号分離手段は、前記圧力検出手段から連続的に出力されてくるセンサ出力信号を記憶するメモリと、前記メモリから呼び出した基準センサ出力信号と実センサ出力信号とを比較し、それらに差分があるときにその差分を補正センサ出力信号として出力するCPUとによって構成されたマイクロコンピュータであることを特徴とするセンサ機能を備えたカテーテル。
【0050】
なお、本明細書中において使用した技術用語を次のように定義する。
「ガイドチューブ: カテーテルを構成する部材であって、体内に挿入されるフレキシブルなチューブ状の部材をいう。」
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1,2に記載の発明によれば、進行方向前方の状況を正確に感知することができるセンサ機能を有するカテーテルを提供することができる。従って、このようなカテーテルを使用するオペレータは、進行方向前方の状況を確実に検知することができ、チューブの先端を管内の所望の部位まで確実に誘導することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した一実施形態におけるセンサ機能を備えたカテーテルの先端部分を示す概略断面図。
【図2】(a)は同カテーテルの進行方向前方に障害物が存在していないときの実センサ出力信号の波形を示すグラフ、(b)は障害物が存在するときの実センサ出力信号の波形を示すグラフ。
【図3】同カテーテルにおける信号処理の仕方を説明するための概念図。
【図4】同カテーテルにおける信号処理の仕方を説明するためのフローチャート。
【図5】従来のセンサ機構を備えたカテーテルにおけるセンサ出力信号の波形を示すグラフ。
【符号の説明】
1…カテーテル、2…カテーテルチューブ、6…圧力検出手段としての半導体式圧力センサチップ、15a…先端受圧面、21…信号分離手段としてのマイクロコンピュータ、22…信号記憶手段としてのメモリ、23…信号比較補正手段としてのCPU、P1 …波形の変動に規則性がある成分、P2 …波形の変動に規則性がない成分、Sr…(実)センサ出力信号、Ss…基準センサ出力信号、Sm…補正センサ出力信号、ΔS…差分。
Claims (2)
- カテーテルチューブ(2)の先端受圧面(15a)に作用する圧力を圧力検出手段(6)によって検知し、その検知結果をセンサ出力信号(Sr)として出力するように構成したセンサ機能を備えたカテーテル(1)において、
前記センサ出力信号(Sr)を波形の変動に規則性がある成分(P1 )と規則性のない成分(P2 )とに分離する信号分離手段(21)を設け、該分離された信号に基づいて障害物感知信号(Sm)を出力することを特徴とするセンサ機能を備えたカテーテル。 - 前記信号分離手段(21)は、前記規則性がある成分(P 1 )からなる基準センサ出力信号(Ss)及び前記センサ出力信号(Sr)を記憶する信号記憶手段(22)と、前記基準センサ出力信号(Ss)と前記センサ出力信号(Sr)とを比較してその差分(ΔS)を前記障害物感知信号(Sm)として出力する信号比較補正手段(23)とで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサ機能を備えたカテーテル。
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