JP3738570B2 - ドット記録方法および装置、並びに、そのためのプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ドット記録ヘッドを用いて印刷媒体の表面にドットの記録を行う技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
主走査方向と副走査方向に走査しながらドット記録ヘッドを用いて記録を行う記録装置としては、シリアルスキャン型プリンタやドラムスキャン型プリンタ等のようなインクジェット記録装置がある。インクジェット記録装置は、印刷ヘッドの複数のノズルからインクを吐出させることによって文字や画像を印刷媒体上に形成する。すなわち、印刷ヘッドの各ノズルにはインクが充填された圧力室と電気機械変換素子とが配設されており、この電気機械変換素子に電気信号を印加すると圧力室内に圧力が発生して、ノズルからインク滴が吐出される。
【0003】
インクジェット記録装置における画質向上のための技術の一つとして、米国特許第4,198,642号に開示されている「インターレース方式」と呼ばれる技術がある。図17は、従来のインターレース記録方式の説明図である。印刷ヘッド1は、番号#1〜#11で示される11個のノズルを有している。ノズルの副走査方向のピッチkは6ドットである。ここで、[ドット]という単位は、印刷媒体上に記録されるドットの副走査方向の最小ピッチP[インチ]を意味しており、kドットはk×Pインチに相当する。図17において、パス1,パス2…と記載されている印刷ヘッド1の位置は、主走査時における副走査方向の位置を示している。ここで、「パス」とは1回の主走査を意味している。各主走査後には、11ドットの一定の送り量Fで副走査送りが実行される。
【0004】
従来のインターレース記録方式では、主走査ライン(以下、「ラスタ」とも呼ぶ)に抜けや重複が無いように記録するために、以下の2つの条件が設定される。
[条件1]使用ノズル個数Nとノズルピッチkとは、互いに素の関係にある整数である。(ここで、「互いに素」とは、1以外の公約数が無いことを言う。)
[条件2]副走査送り量Fは、使用ノズル個数Nに等しい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
インクジェット記録装置に対しては、印刷速度の向上と画質の向上との2つの要求がある。印刷速度を向上するためには、印刷ヘッドのノズル個数を増加させればよい。しかし、従来のインターレース記録方式では、副走査送り量Fが使用ノズル個数Nに等しく設定されるので、ノズル個数を増加すると副走査送り量も増大する。
【0006】
ところが、副走査送り量の増大にほぼ比例して機械的な副走査送り精度が悪化するので、ノズル個数を増加させると副走査送り精度が悪化する。特に、隣接するラスタの記録の間に複数回の副走査送りが行われると、複数回分の副走査送りの誤差が累積されて、隣接するラスタ間のピッチが正しいピッチからかなりずれてしまうことがある。例えば、図17の右下のラスタ番号5のラスタの記録と、ラスタ番号6のラスタの記録との間には、5回の副走査送りが行われる。従って、これらの2本のラスタの間のピッチには、累積された副走査送り誤差が含まれる。
【0007】
図18は、図17において記録されるドットをより詳細に示す説明図である。ラスタ番号5,6の2本のラスタのピッチは、累積された副走査送り誤差によって拡大されており、この結果、目に付きやすい筋状の画質劣化部分が生じている。このような筋状の画質劣化部分は、「バンディング」と呼ばれている。バンディングは、画質を劣化させるので、従来からバンディングをなるべく低減したいという要望があった。
【0008】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、バンディングの発生を低減することのできるドット記録技術を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の装置は、ドット記録ヘッドを用いて印刷媒体の表面にドットの記録を行うドット記録装置において、前記ドット記録ヘッドに設けられ、1回の主走査中に複数の主走査ライン上で同一色のドットをそれぞれ記録し得るとともに、副走査方向に沿って一定のピッチk×P(kは3以上の整数、Pは前記印刷媒体上におけるドットの副走査方向の最小ピッチ)で配列された複数のドット形成要素を有するドット形成要素アレイと、前記ドット記録ヘッドと前記印刷媒体の少なくとも一方を駆動して主走査を行う主走査駆動部と、前記主走査の最中に前記複数のドット形成要素のうちの少なくとも一部を使用してドットの形成を行わせるヘッド駆動部と、前記主走査が終わる度に前記ドット記録ヘッドと前記印刷媒体の少なくとも一方を駆動して副走査を行う副走査駆動部と、を備える。前記副走査駆動部は、複数の異なる送り量を組み合わせたk回の副走査送りを1サイクルとする変則副走査送りを繰り返し実行し、この際、副走査送りが行われていない時点における前記複数のドット形成要素の副走査方向に沿った周期的な位置をオフセットがゼロである基準位置と仮定した時に、前記1サイクル中の各回の副走査送り後における前記複数のドット形成要素のオフセットがM×P(Mは0〜(k−1)の整数)のそれぞれ異なる値となるとともに、副走査の平均送り量が予め設定された基本ドット形成要素個数Naに等しくなるように前記変則副走査送りを実行する。また、前記ヘッド駆動部は、1回の主走査中に使用されるN個(Nは3以上の整数)のドット形成要素のうちのNb個(Nbは(N−Na)に等しい整数)の特定のドット形成要素を用いて、他の主走査中に記録対象となる主走査ライン上のドットを記録対象とする部分オーバーラップ記録を各主走査毎に実行する。
【0010】
部分オーバーラップ記録では、一色のドットの記録に関して、1個のノズルで記録が完了する第1タイプの主走査ラインと、2個のノズルで記録が完了する第2タイプの主走査ラインとが混在するような状態で各主走査ラインが記録される。このうちの第2タイプの主走査ラインは、2個の異なるノズルで記録されるので、バンディングの発生を低減することができる。但し、第2タイプの主走査ラインは、第1タイプの主走査ラインの2倍の走査時間を要するので、そのラインに関しては記録速度が1/2となる。しかし、上記(1)〜(3)を満足するようにすると、一部の主走査ラインが第1タイプの主走査ラインとなるので、すべての主走査ラインを第2タイプの主走査ラインにする場合に比べて記録速度の低下を緩和することができる。また、このドット記録装置では、変則副走査送りを利用しているので、送り量の組み合わせを調整することによって、画質をさらに向上させることができる。
【0011】
上記のドット記録装置において、前記ヘッド駆動部は、主走査が往復で双方向に行われる際に往路と復路とでそれぞれドットの記録を実行するようにしてもよい。
【0012】
双方向記録を行うと、往路で記録された主走査ラインと復路で記録された主走査ラインとの色の差異が目立つ場合がある。しかし、双方向記録の場合に、上述のような部分オーバーラップ記録を実行すれば、2個の異なるノズルで記録される第2タイプの主走査ラインの近傍において往路と復路の差異が目立たなくなり、画質が向上する。
【0013】
なお、前記複数のドット形成要素の副走査方向のピッチをk×P(kは3以上の整数、Pは前記印刷媒体上におけるドットの副走査方向の最小ピッチ)としたときに、1回の主走査中に使用されるドット形成要素の個数N(Nは3以上の整数)とパラメータNa,Nb,m,Lとが、以下の(1)〜(3)式を満足するようにしてもよい。
N=Na+Nb …(1)
Na=m×k±1 …(2)
Nb=Rd[L×Na÷k] …(3)
ここで、mは1以上の整数、Lは1≦L<kを満たす整数、Nbは前記特定のドット形成要素の個数、をそれぞれ示し、演算子Rd[]はかっこ内の値の小数部を丸める演算を示す。
【0014】
こうすれば、2個の異なるノズルで記録される第2タイプの主走査ラインの本数が、記録速度低下の抑制と、画質の向上と、の2つの観点から適度な値に設定できる。
【0015】
なお、各主走査ライン上において、Nb個のドット形成要素によって記録されるドットと、Na個のドット形成要素によって記録されるドットとが相補的な位置関係になるように前記ドット記録ヘッドを駆動するようにしてもよい。
【0016】
あるいは、各主走査ライン上において、Nb個のドット形成要素によって記録されるドットが、Na個のドット形成要素によって記録されるドットと重なるように前記ドット記録ヘッドを駆動するようにしてもよい。
【0017】
本発明によるドット記録方法は、1回の主走査中に複数の主走査ライン上で同一色のドットをそれぞれ記録し得るとともに、副走査方向に沿って一定のピッチk×P(kは3以上の整数、Pは前記印刷媒体上におけるドットの副走査方向の最小ピッチ)で配列された複数のドット形成要素を有するドット形成要素アレイを有するドット記録ヘッドを用い、前記副走査方向とほぼ垂直な方向に沿って主走査を行いつつ印刷媒体の表面にドットの記録を行う方法において、副走査送りとして、複数の異なる送り量を組み合わせたk回の副走査送りを1サイクルとする変則副走査送りを繰り返し実行し、この際、副走査送りが行われていない時点における前記複数のドット形成要素の副走査方向に沿った周期的な位置をオフセットがゼロである基準位置と仮定した時に、前記1サイクル中の各回の副走査送り後における前記複数のドット形成要素のオフセットがM×P(Mは0〜(k−1)の整数)のそれぞれ異なる値となるとともに、副走査の平均送り量が予め設定された基本ドット形成要素個数Naに等しくなるように前記変則副走査送りを実行し、1回の主走査中に使用されるN個(Nは3以上の整数)のドット形成要素のうちのNb個(Nbは(N−Na)に等しい整数)の特定のドット形成要素を用いて、他の主走査中に記録対象となる主走査ライン上のドットを記録対象とする部分オーバーラップ記録を各主走査毎に実行することを特徴とする。
【0018】
また、本発明による記録媒体は、1回の主走査中に複数の主走査ライン上で同一色のドットをそれぞれ記録し得るとともに、副走査方向に沿って一定のピッチk×P(kは3以上の整数、Pは前記印刷媒体上におけるドットの副走査方向の最小ピッチ)で配列された複数のドット形成要素を含むドット形成要素アレイを有するドット記録ヘッドを備えた印刷装置に、前記副走査方向とほぼ垂直な方向に沿って主走査を行いつつ印刷媒体の表面にドットの記録を行わせるためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、複数の異なる送り量を組み合わせたk回の副走査送りを1サイクルとする変則副走査送りを繰り返し実行し、この際、副走査送りが行われていない時点における前記複数のドット形成要素の副走査方向に沿った周期的な位置をオフセットがゼロである基準位置と仮定した時に、前記1サイクル中の各回の副走査送り後における前記複数のドット形成要素のオフセットがM×P(Mは0〜(k−1)の整数)のそれぞれ異なる値となるとともに、副走査の平均送り量が予め設定された基本ドット形成要素個数Naに等しくなるように前記変則副走査送りを実行する機能と、1回の主走査中に使用されるN個(Nは3以上の整数)のドット形成要素のうちのNb個(Nbは(N−Na)に等しい整数)の特定のドット形成要素を用いて、他の主走査中に記録対象となる主走査ライン上のドットを記録対象とする部分オーバーラップ記録を各主走査毎に実行する機能と、をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0019】
このような方法や記録媒体によっても、上記の装置と同様に、バンディングの発生を低減することができる。
【0020】
【発明の他の態様】
この発明は、以下のような他の態様も含んでいる。第1の態様は、ドット記録ヘッドを用いて印刷媒体の表面にドットの記録を行うドット記録装置であって、前記ドット記録ヘッドに設けられ、1回の主走査中に複数の主走査ライン上で同一色のドットをそれぞれ記録し得るとともに、副走査方向に沿ってほぼ一定のピッチで同一色の複数個のドットを形成し得る複数のドット形成要素が配列されたドット形成要素アレイと、前記ドット記録ヘッドと前記印刷媒体の少なくとも一方を駆動して主走査を行う主走査駆動部と、前記主走査の最中に前記複数のドット形成要素のうちの少なくとも一部を使用してドットの形成を行わせるヘッド駆動部と、前記主走査が終わる度に前記ドット記録ヘッドと前記印刷媒体の少なくとも一方を駆動して副走査を行う副走査駆動部と、ドットの記録動作を規定する記録速度がほぼ等しい複数のドット記録モードを記憶する記録モード格納部と、を備える。前記複数のドット記録モードは、複数の異なる送り量を組み合わせた変則副走査送りを利用した変則送りドット記録モードとして、1回の主走査中に使用される複数のドット形成要素のうちの一部の特定のドット形成要素を用いて他の主走査中に記録対象となる主走査ライン上のドットの一部を記録対象とする部分オーバーラップタイプの変則送りドット記録モードを少なくとも1つ含み、前記主走査駆動部と前記副走査駆動部と前記ヘッド駆動部は、前記複数のドット記録モードの中から選択されたドット記録モードに従ってそれぞれの駆動を実行することを特徴とする。
【0021】
この第1の態様によれば、記録速度がほぼ等しい複数のドット記録モードの中から、好ましいモードを選択することができるので、ドット記録装置毎により高画質の得られるモードを選択してドット記録を実行することができる。
【0022】
第2の態様は、1回の主走査中に複数の主走査ライン上で同一色のドットをそれぞれ記録し得るとともに、副走査方向に沿ってほぼ一定のピッチで同一色の複数のドットを形成し得る複数のドット形成要素が配列されたドット形成要素アレイを有するドット記録ヘッドを用い、前記副走査方向とほぼ垂直な方向に沿って主走査を行いつつ印刷媒体の表面にドットの記録を行う方法であって、ドットの記録動作を規定する記録速度がほぼ等しい複数のドット記録モードの中から選択されたドット記録モードに従ってドットの記録を実行し、前記複数のドット記録モードは、複数の異なる送り量を組み合わせた変則副走査送りを利用した変則送りドット記録モードとして、1回の主走査中に使用される複数のドット形成要素のうちの一部の特定のドット形成要素を用いて他の主走査中に記録対象となる主走査ライン上のドットの一部を記録対象とする部分オーバーラップタイプの変則送りドット記録モードを少なくとも1つ含むことを特徴とする。
【0023】
第3の態様は、1回の主走査中に複数の主走査ライン上で同一色のドットをそれぞれ記録し得るとともに、副走査方向に沿ってほぼ一定のピッチで同一色の複数のドットを形成し得る複数のドット形成要素が配列されたドット形成要素アレイを有するドット記録ヘッドを備えた印刷装置に、前記副走査方向とほぼ垂直な方向に沿って主走査を行いつつ印刷媒体の表面にドットの記録を行わせるためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、ドットの記録動作を規定する記録速度がほぼ等しい複数のドット記録モードの中から選択されたドット記録モードに従ってドットの記録をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、前記複数のドット記録モードは、複数の異なる送り量を組み合わせた変則副走査送りを利用した変則送りドット記録モードとして、1回の主走査中に使用される複数のドット形成要素のうちの一部の特定のドット形成要素を用いて他の主走査中に記録対象となる主走査ライン上のドットの一部を記録対象とする部分オーバーラップタイプの変則送りドット記録モードを少なくとも1つ含むことを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
A.装置の構成:
図1は、本発明の実施例としてのカラー画像処理システムの構成を示すブロック図である。このカラー画像処理システムは、スキャナ30と、パーソナルコンピュータ90と、インクジェット記録装置22とを有している。パーソナルコンピュータ90は、カラーディスプレイ21を備えている。スキャナ30は、カラー原稿からカラー画像データを読み取り、R,G,Bの3色の色成分からなる原カラー画像データORGをコンピュータ90に供給する。
【0025】
コンピュータ90の内部には、図示しないCPU,RAM,ROM等が備えられており、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム95が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ91やプリンタドライバ96が組み込まれており、アプリケーションプログラム95からはこれらのドライバを介して、最終カラー画像データである印字データFNLが出力されることになる。画像のレタッチなどを行なうアプリケーションプログラム95は、スキャナから画像を読み込み、これに対して所定の処理を行ないつつビデオドライバ91を介してCRTディスプレイ93に画像を表示している。このアプリケーションプログラム95が、印刷命令を発行すると、コンピュータ90のプリンタドライバ96が、画像情報をアプリケーションプログラム95から受け取り、これをインクジェット記録装置22が印字可能な信号(ここではCMYKの各色についての2値化された信号)に変換している。図1に示した例では、プリンタドライバ96の内部には、アプリケーションプログラム95が扱っているカラー画像データをドット単位の画像データに変換するラスタライザ97と、ドット単位の画像データに対してインクジェット記録装置22が使用するインク色CMYおよび発色の特性に応じた色補正を行なう色補正モジュール98と、色補正モジュール98が参照する色補正テーブルCTと、色補正された後の画像情報からドット単位でのインクの有無によってある面積での濃度を表現するいわゆるハーフトーンの画像情報を生成するハーフトーンモジュール99とが備えられている。
【0026】
図2は、インクジェット記録装置22の構成を示す概念図である。このインクジェット記録装置22は、印字ヘッド1と、キャリッジ軸2と、キャリッジベルト3と、主走査モータ4と、主走査モータ4を駆動するキャリッジ駆動回路5と、プラテンローラ6と、ギヤ7と、副走査モータ8と、副走査モータ8を駆動して印刷媒体PMを搬送する印刷媒体搬送制御回路9と、固定台10,11と、印字データ制御回路13と、プログラマブルROM(PROM)15と、を備えている。プラテンローラ6と、ギヤ7と、副走査モータ8と、印刷媒体搬送制御回路9とは、副走査駆動部を構成する。なお、キャリッジ駆動回路5と印刷媒体搬送制御回路9と印字データ制御回路13とは、1つの制御回路によって実現されていてもよい。また、これらの回路5,9,13,15を統括して制御する制御回路が別個に設けられていてもよい。
【0027】
主走査は、キャリッジ駆動回路5が主走査モータ4を駆動することによって実現される。すなわち、主走査モータ4がキャリッジベルト3を移動させると、キャリッジベルト3に固定された印字ヘッド1が2つの固定台10,11の間で往復動作を行う。印字ヘッド1は、往路または復路の動作中に、印字データ制御回路13から供給される印字データに応じてインク滴を印刷媒体PM上に吐出する。このような1回の主走査が終了すると、印刷媒体搬送制御回路9が副走査モータ8を駆動し、印刷媒体PMを所定の量だけ移動させる。
【0028】
PROM15には、複数のドット記録モードのパラメータを含むドット記録モード情報が格納されている。ここで、「ドット記録モード」とは、各ノズルアレイにおいて実際に使用するノズル個数Nや、副走査送り量Fなどの複数のパラメータで規定されるドットの記録方式を意味している。この明細書では、「記録方式」と「記録モード」はほぼ同じ意味で用いられている。具体的なドット記録モードの例や、それらのパラメータについては後述する。PROM15には、さらに、複数のドット記録モードの中から好ましいモードを指定するためのモード指定情報も格納されている。例えば、PROM15に16種類のドット記録モード情報を格納可能な場合には、モード指定情報は4ビットのデータで構成されている。
【0029】
ドット記録モード情報は、コンピュータ90の起動時にプリンタドライバ96(図1)がインストールされる際に、プリンタドライバ96によってPROM15から読み出される。すなわち、プリンタドライバ96は、モード指定情報で指定された好ましいドット記録モードに対するドット記録モード情報をPROM15から読み込む。ラスタライザ97とハーフトーンモジュール99における処理や、主走査および副走査の動作は、このドット記録モード情報に応じて実行される。また、印字データ制御回路13は、PROM15からドット記録モード情報を読み出し、その情報に従って印字ヘッド1によるドットの記録(印字)を実行する。
【0030】
なお、PROM15は、書き換え可能な不揮発性メモリであればよく、EEPROMやフラッシュメモリなどの種々の不揮発性メモリを使用することができる。また、モード指定情報は書き換え可能な不揮発性メモリに格納することが好ましいが、ドット記録モード情報は、書き換えができないROMに格納するようにしてもよい。また、複数のドット記録モード情報は、PROM15ではなく、他の記憶手段に格納されていてもよく、また、プリンタドライバ96内に登録されていてもよい。
【0031】
図3は、印字ヘッド1におけるインクジェットノズルの配列を示す説明図である。印字ヘッド1には、6色のインクのための6つのノズルアレイ61〜66が設けられている。すなわち、6つのノズルアレイ61〜66は、ブラック(K)、濃シアン(C)、淡シアン(LC)、濃マゼンタ(M)、淡マゼンタ(LC)、及びイエロー(Y)のインクをそれぞれ噴射する。なお、各ノズルnには、インクを吐出するためのピエゾ素子(図示せず)が設けられており、印字データ制御回路13から供給される印字データに応じてピエゾ素子が駆動されて、この結果、各ノズルnからインクが吐出される。
【0032】
6組のノズルアレイ61〜66は、副走査方向に沿って一定のノズルピッチkで千鳥状に配列された複数個(例えば32個や48個)のノズルnをそれぞれ備えている。なお、各ノズルアレイに含まれる複数個のノズルnは、千鳥状に配列されている必要はなく、一直線上に配置されていてもよい。但し、図3(A)に示すように千鳥状に配列すれば、製造上、ノズルピッチkを小さく設定し易いという利点がある。
【0033】
図3(B)は、1つのノズルアレイによって形成される複数のドットの配列を示している。この実施例では、インクノズルの配列が千鳥状か直線状かに関わらず、1つのノズルアレイによって形成される複数のドットは、副走査方向に沿ってほぼ一直線上に並ぶように、各ノズルを駆動するためのピエゾ素子(図示せず)に駆動信号が供給される。例えば、図3(A)のようにノズルアレイが千鳥状に配列されている場合には、同一のノズルアレイにおける2つのノズル列の間のピッチd[インチ]を主走査駆動速度v[インチ/秒]で除した時間d/v[秒]だけ2列の駆動信号のタイミングをずらせる。こうすれば、1つのノズルアレイによって形成される複数のドットを副走査方向に沿って一直線上に配列させることができる。なお、後述するように、各ノズルアレイ61〜66に設けられている複数個のノズルは、常に全数が使用されるとは限らず、ドット記録方式によっては、その一部のノズルのみが使用される場合もある。
【0034】
なお、6つのノズルアレイ61〜66の複数のノズルnは、1回の主走査時に、同一の複数の主走査ライン上において6色のドットをそれぞれ形成できるように、副走査方向の互いに同じ位置に配置されている。
【0035】
B.副走査送りの基本的条件:
本発明の実施例における部分オーバーラップタイプのドット記録方式を説明する前に、以下ではまず、非オーバーラップタイプのドット記録方式における副走査送りの基本的な条件について説明する。なお、「オーバーラップ」という語句は、ある1本のラスタ上の同一色のすべてのドットが、複数回の主走査において異なるノズルを用いて記録されることを意味している。「非オーバーラップタイプのドット記録方式」とは、各ラスタ上のすべてのドットが1回の主走査時に1つのノズルで記録される方式を意味する。また、「部分オーバーラップタイプのドット記録方式」とは、一部のラスタがオーバーラップで記録され、他のラスタが非オーバーラップで記録される方式(あるいは、使用される複数のノズルの中の一部のノズルのみがオーバーラップに使用される方式)を意味する。また、「フルオーバーラップタイプのドット記録方式」という用語が用いられることがあり、この用語は、すべてのラスタがオーバーラップで記録される方式(あるいは、使用されるすべてのノズルがオーバーラップに使用される方式)を意味する。後述するように、本願発明は、部分オーバーラップタイプのドット記録方式に関するものである。なお、部分オーバーラップタイプのドット記録方式における副走査送り条件は、以下に説明する非オーバーラップタイプのドット記録方式における副走査送り条件から導くことができる。
【0036】
図4は、非オーバーラップタイプのドット記録方式における副走査送りの基本的条件を示すための説明図である。図4(A)は、4個のノズルを用いた場合の副走査送りの一例を示しており、図4(B)はそのドット記録方式のパラメータを示している。図4(A)において、数字を含む実線の丸は、各副走査送り後の4個のノズルの副走査方向の位置を示している。丸の中の数字1〜4は、ノズル番号を意味している。4個のノズルの位置は、1回の主走査が終了する度に副走査方向に送られる。但し、実際には、副走査方向の送りは副走査モータ8(図2)によって用紙を移動させることによって実現されている。
【0037】
図4(A)の左端に示すように、この例では副走査送り量Fは4ドットの一定値である。従って、副走査送りが行われる度に、4個のノズルの位置が4ドットずつ副走査方向にずれてゆくことになる。図4(A)の右端には、各ラスタ上のドットを記録するノズルの番号が示されている。
【0038】
図4(B)には、このドット記録方式に関する種々のパラメータが示されている。ドット記録方式のパラメータには、ノズルピッチk[ドット]と、使用ノズル個数N[個]と、副走査送り量F[ドット]とが含まれている。この例では、ノズルピッチkは3ドットであり、使用ノズル個数Nは4個である。なお、使用ノズル個数Nは、実装されている複数個のノズルの中で実際に使用されるノズルの個数である。
【0039】
図4(B)のテーブルには、各副走査送り毎に、副走査送り量Fと、その累計値ΣFと、各副走査送り後のノズルのオフセットOFとが示されている。ここで、オフセットOFとは、副走査送りが行われていない最初のノズルの周期的な位置(図4では4ドットおきの位置)をオフセット0の基準位置と仮定した時に、副走査送り後のノズルの位置が基準位置から副走査方向に何ドット離れているかを示す値である。例えば、図4(A)に示すように、1回目の副走査送りによって、ノズルの位置は副走査送り量F(4ドット)だけ副走査方向に移動する。一方、ノズルピッチkは3ドットである。従って、1回目の副走査送り後のノズルのオフセットOFは1である(図4(A)参照)。同様にして、2回目の副走査送り後のノズルの位置は、初期位置からΣF=8ドット移動しており、そのオフセットOFは2である。3回目の副走査送り後のノズルの位置は、初期位置からΣF=12ドット移動しており、そのオフセットOFは0である。3回の副走査送りによってノズルのオフセットOFは0に戻るので、3回の副走査を1サイクルとして、このサイクルを繰り返すことによって、印刷可能領域内のラスタ上のすべてのドットを記録することができる。ここで、「印刷可能領域」とは、ラスタの抜けがない状態でドットの記録を行える領域を意味する。
【0040】
上記の例からも解るように、ノズルの位置が初期位置からノズルピッチkの整数倍だけ離れた位置にある時には、オフセットOFはゼロである。また、オフセットOFは、副走査送り量Fの累計値ΣFをノズルピッチkで割った余り(ΣF)%kで与えられる。ここで、「%」は、除算の余りをとることを示す演算子である。なお、ノズルの初期位置を周期的な位置と考えれば、オフセットOFは、ノズルの初期位置からの位相のずれ量を示しているものと考えることもできる。
【0041】
以下に説明するように、下記の条件C1〜C3を満足すれば、副走査送り量Fが一定か否かに係わらず、印刷可能領域においてラスタの抜けや重複が無いようにドットの記録を行うことが可能である。
【0042】
条件C1:1サイクルの副走査送り回数は、ノズルピッチkに等しい。
【0043】
条件C2:1サイクル中の各回の副走査送り後のノズルのオフセットOFは、0〜(k−1)の範囲のそれぞれ異なる値となる。
【0044】
条件C3:副走査の平均送り量(ΣF/k)は、使用ノズル個数Nに等しい。換言すれば、1サイクル当たりの副走査送り量Fの累計値ΣFは、使用ノズル個数Nとノズルピッチkとを乗算した値(N×k)に等しい。
【0045】
上記の各条件は、次のように考えることによって理解できる。隣接するノズルの間には(k−1)本のラスタが存在するので、1サイクルでこれら(k−1)本のラスタ上で記録を行ってノズルの基準位置(オフセットOFがゼロの位置)に戻るためには、1サイクルの副走査送りの回数はk回となる。1サイクルの副走査送りがk回未満であれば、記録されるラスタに抜けが生じ、一方、1サイクルの副走査送りがk回より多ければ、記録されるラスタに重複が生じる。従って、上記の第1の条件C1が成立する。
【0046】
1サイクルの副走査送りがk回の時には、各回の副走査送りの後のオフセットOFの値が0〜(k−1)の範囲の互いに異なる値の時にのみ、記録されるラスタに抜けや重複が無くなる。従って、上記の第2の条件C2が成立する。
【0047】
上記の第1と第2の条件を満足すれば、1サイクルの間に、N個の各ノズルがそれぞれk本のラスタの記録を行うことになる。従って、1サイクルではN×k本のラスタの記録が行われる。一方、上記の第3の条件C3を満足すれば、図4(A)に示すように、1サイクル後(k回の副走査送り後)のノズルの位置が、初期のノズル位置からN×kラスタ離れた位置に来る。従って、上記第1ないし第3の条件C1〜C3を満足することによって、これらのN×k本のラスタの範囲において、記録されるラスタに抜けや重複を無くすることができる。
【0048】
なお、上記の条件C1〜C3は、副走査送り量Fが常に一定である記録方式(「定則送り」と呼ぶ)に限らず、副走査送り量Fとして複数の異なる値の組み合わせを繰り返し使用する記録方式(「変則送り」と呼ぶ)にも適用可能である。
【0049】
C.ドット記録方式の比較例:
図5は、第1比較例のドット記録方式を示す説明図である。このドット記録方式は、以下の(1)〜(4)式を満足している。
【0050】
N=Na+Nb …(1)
Na=m×k±1 …(2)
Nb=Rd[L×Na÷k] …(3)
F=Na …(4)
ここで、Nは使用ノズル個数、kはノズルピッチ[ドット]、mは1以上の整数、Lは1≦L<kを満たす整数、をそれぞれ示し、演算子Rd[]はかっこ内の値の小数部を丸める演算を示す。また、演算子±は、加算と減算のいずれでも良いことを示す。
【0051】
第1比較例の副走査送りは、副走査送り量Fが9ドット一定である定則送りであり、上記(4)式に規定されているように、送り量FとパラメータNaとは互いに等しい。一方、後述する本願発明の実施例は、上記(1)〜(3)式を満足しているが、その副走査送りは複数の異なる副走査送り量の組み合わせを繰り返し使用する変則送りであり、上記(4)式は成立していない。第1比較例はこの点において後述する実施例と異なっている。
【0052】
図5のドット記録方式における各パラメータの値は、N=14,Na=9,Nb=5,k=4,F=9,m=2,L=2である。ここでは、(2)式の右辺の±の演算としては減算が使用され、丸め演算Rd[]としては切り上げが使用されている。なお、副走査方向のドットピッチ(印刷ピッチ)Pは、例えば720DPIの印刷解像度に相当する値(すなわち1/720インチ)である。
【0053】
上記(1)式に示されているように、使用ノズル個数Nは、2つの整数Na,Nbの和で与えられる。第1の整数Naは副走査送り量Fの値に等しいので、この第1の整数Naは図17に示した従来の記録方式におけるノズル個数に相当する。そこで、以下ではこの第1の整数Naを「基本ノズル個数」と呼び、基本ノズル個数Naに含まれるノズルを「基本ノズル」と呼ぶ。また、第2の整数Nbを「付加ノズル個数」と呼び、付加ノズル個数Nbに含まれるノズルを「付加ノズル」と呼ぶ。図5の例では、ノズル#1〜#9が基本ノズルであり、ノズル#10〜#14が付加ノズルである。基本ノズル個数Naと付加ノズル個数Nbの意義については後述する。
【0054】
図5の右端には、印刷媒体上のドット位置が示されている。白丸は基本ノズル#1〜#9で記録されるドット位置を示し、黒丸は付加ノズル#10〜#14で記録されるドット位置を示している。白丸と黒丸とが描かれているラスタから下に存在するラスタの範囲が、実際の記録の対象となる範囲(記録可能領域)である。なお、図5では、各ドットが往路と復路のいずれで記録されるかは区別されていない。
【0055】
図5の記録ドットのパターンを見れば解るように、付加ノズル#10〜#14による記録の対象となるラスタは、基本ノズルによる記録の対象ともなっている。この明細書では、基本ノズルと付加ノズルの両方によって記録されるラスタを「オーバーラップラスタ」と呼び、基本ノズルのみで記録されるラスタを「非オーバーラップラスタ」と呼ぶ。
【0056】
オーバーラップラスタ上の画素は、1回の主走査時において1個の付加ノズルによって間欠的に記録されるとともに、他の主走査時において1個の基本ノズルによってこれを補完するように記録され、これによって、そのオーバーラップラスタ上の全画素の記録が完了する。換言すれば、オーバーラップラスタは、1個の付加ノズルと、1個の基本ノズルとによって相補的に記録される。ここで、「相補的」とは、付加ノズルと基本ノズルによって、1本のラスタ上の全画素が、抜けや重複が無く記録されることを意味する。
【0057】
印刷媒体搬送制御回路9(図2)は、1回の主走査が終了するたびにFドット(すなわちP×Fインチ)だけ印刷媒体PMを副走査方向に搬送し、この結果、印字ヘッド1が、例えば図5のパス1からパス2の位置に移動する。パス5では、3つの基本ノズル#3〜#5が、既に付加ノズル#12〜#14によって記録されているラスタ上に位置決めされる。パス1では、付加ノズル#12〜#14は、オーバーラップラスタ上の偶数番目の画素を記録する。また、パス5では、基本ノズル#3〜#5が、これらのオーバーラップラスタ上の奇数番目の画素を記録する。この結果、3本のオーバーラップラスタに関する補完的な記録が完了する。以上の動作を繰り返すことにより、文字や画像が印刷媒体PM上に形成される。
【0058】
図6は、第1比較例に従って形成された記録ドットを示す説明図である。図6において、白丸は基本ノズルによって記録されるドットを示し、黒丸は付加ノズルによって記録されるドットを示す。この例では、付加ノズルで記録されたドットの位置は、同じラスタ上において基本ノズルで記録されたドットの位置から副走査方向(図6の上下方向)に多少ずれている。
【0059】
従来技術において説明したように、隣接するラスタの記録の間に複数回の副走査送りが行われると、複数回分の副走査送りの誤差が累積されて、隣接するラスタ間のピッチが正しいピッチからかなりずれてしまい、この結果としてバンディングが発生する。しかし、第1比較例では、隣接する2本のラスタが記録される間に副走査送り誤差(搬送誤差)が累積されている場合でも、その一方のラスタ上の一部のドットが付加ノズルで記録されるので、バンディングとして認識しずらくなる。この理由は、図6に示されているように、付加ノズルで記録されたドットの位置が、同じラスタ上において基本ノズルで記録されたドットの位置から副走査方向に多少ずれるからである。
【0060】
ところで、上述した(1)〜(4)式中の各パラメータの意義は、以下のように考えることができる。上述した(2)式と(4)式とから解るように、副走査送り量Fは、(m×k±1)ドットの一定値に設定されている。すなわち、副走査送り量Fは、ノズルピッチkの整数倍の値m×kに、1を加算または減算した値に設定される。仮に、副走査送り量Fがノズルピッチkの整数倍m×kに設定されているとすると、副走査送り後の各ノズルの位置は、副走査送り前のノズルの周期的な位置(すなわちkドットおきの位置)に再び配置される。従って、副走査送り量Fが(m×k±1)ドットである場合には、副走査送り後の各ノズルの位置は、副走査送り前のノズルの周期的な位置から+1ドットまたは−1ドットだけ副走査方向にずれた位置に配置されることになる。例えば、図5では、副走査送り量Fの値が(2×4+1)=9ドットなので、副走査送り後のノズルは、副走査送り前のノズルの周期的な位置から+1ドットだけ副走査方向にすれた位置に配置されている。
【0061】
上記(3)式の丸め演算子Rdを無視し、また、(4)式を用いると、(3)式は次の(3a)式に書き換えることができる。
【0062】
(3a)式の右辺の分子(Nb×k)は、付加ノズル個数Nbにノズルピッチkを乗じたものであり、ノズルアレイ内における付加ノズルの範囲を示している。付加ノズルの範囲は、図5の例ではノズル#10のラスタ位置からノズル#143ドット下のラスタ位置までの範囲である。パラメータLは、(Nb×k)を副走査送り量Fで除した値にほぼ等しいので、このパラメータLは、あるノズル(例えば最上端の付加ノズル#10)が付加ノズルの範囲を何回の副走査送りで通過するか、を示す値であると考えることができる。ところで、上述したように、1回の副走査送りによって、各ノズルはその直前のノズルの周期的な位置から1ドットだけずれた位置に配置される。従って、或るパスの後のL回の副走査送りを考えると、最上端の付加ノズル#10は、L回の副走査の間はそのバスにおける付加ノズルの範囲内に留まっており、かつ、1回の副走査送り毎にその前のノズルの周期的な位置から1ドットずつずれてゆく。例えば、図5において、パス1の後の2回の副走査送りでは、最上端の付加ノズル#10は、パス3までの2回の副走査の間はパス1における付加ノズルの範囲内に留まっており、また、1回の副走査送り毎にその直前のノズルの周期的な位置から1ドットずつずれてゆく。すなわち、パス2では、最上端の付加ノズル#10は、パス1における付加ノズルの範囲内において、その直前のパス1におけるノズル#12の1ドット後に位置決めされる。また、パス3では、最上端の付加ノズル#10は、パス1における付加ノズルの範囲内において、その直前のパス2におけるノズル#12の1ドット後に位置決めされる。
【0063】
このようなノズル位置の移動を考えると、パラメータLは、「オーバーラップラスタ(基本ノズルと付加ノズルとによって記録されるラスタ)が何本連続して配列されているか」、を示す値であると考えることができる。例えば、図5に示す第1比較例では、L=2なので、オーバーラップラスタが2本連続している。(なお、図5には、オーバーラップラスタが3本連続している部分があるが、この理由については後述する。)また、付加ノズルは、ノズルアレイ内においてノズルピッチkで配列されているので、k本の連続したラスタの中で、はじめのL本がオーバーラップラスタとなり、残りの(k−L)本が非オーバーラップラスタとなる。従って、ラスタの配列としては、L本のオーバーラップラスタと(k−L)本の非オーバーラップラスタとで構成されるk本のラスタ群が、繰り返し配列されたものとなる。
【0064】
ところで、Na本の基本ノズルによる1回の主走査で記録されるNa本のラスタの中で、Nb本の付加ノズルによっても記録されるNb本のラスタがオーバーラップラスタであり、残りの(Na−Nb)本のラスタは非オーバーラップラスタである。すなわち、Na本のラスタの範囲内には、L本のオーバーラップラスタと(k−L)本の非オーバーラップラスタとで構成されるk本のラスタ群が繰り返し配列され、この結果として、Na本中のNb本がオーバーラップラスタとなり、残りの(Nb−Na)本が非オーバーラップラスタとなる。例えば、図5に示す第1比較例では、k=4,Na=9,Nb=5なので、9本のラスタの範囲内で、2本のオーバーラップラスタと2本の非オーバーラップラスタとで構成されるラスタ群が繰り返し配列され、この結果、9本中の5本がオーバーラップラスタとなり、残りの4本が非オーバーラップラスタとなっている。
【0065】
図5の右端の図には、Na本毎のラスタの区分が示されている。この例では、Na本の1組のラスタの中の最後のラスタはオーバーラップラスタであり、また、次の1組の最初のL(=2)本のラスタもオーバーラップラスタである。従って、Na本毎のラスタの境界において、オーバーラップラスタが3本隣接している。しかし、基本的には、図5のラスタの配列は、L本のオーバーラップラスタと(k−L)本の非オーバーラップラスタとで構成されるk本のラスタ群が繰り返し配列されていることが理解できる。
【0066】
このように、第1比較例では、オーバーラップラスタと非オーバーラップラスタとがパラメータk,L,Na,Nbに応じてほぼ規則正しく配列されている。すなわち、ほぼL本ずつ連続するオーバーラップラスタが、ほぼ(k−L)本の非オーバーラップラスタを挟んでほぼ規則的に配列されている。図6において説明したように、オーバーラップラスタの近傍ではバンディングが目立ちにくくなるので、画質が向上するという利点がある。
【0067】
主走査を双方向に行う双方向印刷の場合には、上述したような規則的なオーバーラップラスタの配列が以下のような効果も発揮する。すなわち、図3に示したように、6色のインクのノズルアレイが同じラスタを記録するように配置されている場合に、往路では各ラスタ上にK,C,LC(淡シアン),M,LM(淡マゼンタ),Yの順に各色のドットが形成される。一方、復路ではこの反対に、各ラスタ上にY,LM,M,LC,C,Kの順に各色のドットが形成される。従って、往路で記録されたラスタと、復路で記録されたラスタとでは、多少色が違って見える可能性がある。このとき、オーバーラップラスタを形成せずに、完全なノンオーバーラップ方式でドットを記録すると、往路で記録されたラスタと復路で記録されたラスタとの色の違いが目立ってしまい、画質劣化として認識される。一方、オーバーラップラスタは往路と復路とで記録されるので、往路で記録されるラスタと復路で記録されるラスタとの色の違いがオーバーラップラスタの近傍では緩和される。すなわち、オーバーラップラスタを形成すれば、往路と復路でのラスタの色の違いが目立たなくなるという利点がある。
【0068】
バンディングを目立たなくさせるという意味からは、すべてのラスタをオーバーラップラスタにすることも考えられる。しかし、すべてのラスタをオーバーラップラスタにすると、すべてが非オーバーラップラスタである場合に比べて約2倍の主走査時間を必要とするので、記録速度が約1/2になる。これに対して、部分オーバーラップでは、オーバーラップラスタと非オーバーラップラスタとが混在しているので、すべてをオーバーラップラスタにする場合に比べて、記録速度の低下を緩和することができるという利点がある。
【0069】
図7および図8は、第2比較例のドット記録方式を示す説明図である。第2比較例のドット記録方式における各パラメータの値は、N=13,Na=11,Nb=2,k=6,F=11,m=2,L=1である。これらの各パラメータは、上述した(1)〜(4)式を満たしている。なお、ラスタ上のドット位置は、白丸(往動時に基本ノズルで記録される位置)と、黒丸(往動時に付加ノズルで記録される位置)と、白四角(復動時に基本ノズルで記録される位置)と、黒四角(復動時に付加ノズルで記録される位置)の4つに分類されている。
【0070】
図8には、図5と同様に、パラメータNa,L,kの意義が示されている。すなわち、第2比較例も、「ほぼL本ずつ連続するオーバーラップラスタが、ほぼ(k−L)本の非オーバーラップラスタを挟んでほぼ規則的に配列されている」という特徴を有している。
【0071】
D.ドット記録方式の実施例:
図9および図10は、第1実施例のドット記録方式を示す説明図である。第1実施例のドット記録方式における各パラメータの値は、N=13,Na=11,Nb=2,k=6,m=2,L=1である。また、副走査送りは、(8,9,10,16,15,8)ドットの送り量Fで1サイクルを構成する変則送りであり、この1サイクルの送り量が繰り返し適用される。これらの各パラメータは、以下に再掲する(1)〜(3)式を満たしている。
【0072】
N=Na+Nb …(1)
Na=m×k±1 …(2)
Nb=Rd[L×Na÷k] …(3)
【0073】
また、第1実施例は、上述した条件C1〜C3と類似した下記の条件C1’〜C3’も満足している。
【0074】
条件C1’:1サイクルの副走査送り回数は、ノズルピッチkに等しい。
【0075】
条件C2’:1サイクル中の各回の副走査送り後のノズルのオフセットOFは、0〜(k−1)の範囲のそれぞれ異なる値となる。
【0076】
条件C3’:副走査の平均送り量(ΣF/k)は、基本ノズル個数Naに等しい。換言すれば、1サイクル当たりの副走査送り量Fの累計値ΣFは、基本ノズル個数Naとノズルピッチkとを乗算した値(Na×k)に等しい。
【0077】
上記条件C1’,C2’は、条件C1,C2と同じである。条件C3’は、条件C3における「使用ノズル個数N」を「基本ノズル個数Na」に書き換えたものである。なお、第1実施例は、第2比較例を変則送りに変更したものであり、その他のパラメータは第2比較例と同じである。
【0078】
図11は、第1実施例における記録ドット位置の説明図である。図11には、(Nb×k)ラスタ分の付加ノズルの範囲が、送り量Fずつ順次ずれている様子が示されている。ある1回の主走査のみを考えれば、(Nb×k)ラスタ分の付加ノズルの範囲内では、付加ノズル(黒丸または黒四角で示す)はkドットおきに規則的に配置されている。上述した第2比較例のように、副走査送り量Fが一定の場合には、この付加ノズルの範囲が一定量ずつずれてゆくので、オーバーラップラスタがほぼ規則的に配置される。これに対して、第1実施例では、副走査送り量Fが一定ではなく、異なる複数の送り量が組み合わされて使用されているので、オーバーラップラスタの配置には、第1比較例や第2比較例のような規則性は無い。しかし、第1実施例では、オーバーラップラスタが適度に分散して配置されているので、比較例と同様に、バンディングが目立ちにくくなり、画質が向上するという効果がある。第1実施例では、オーバーラップラスタが規則的に配置されておらず、かなりランダムに分散しているので、第2比較例よりも高画質が得られる可能性がある。
【0079】
ところで、部分オーバーラップタイプのドット記録方式の記録速度は、基本ノズル個数Naの値にほぼ比例する。すなわち、1回の主走査時に記録されるラスタの正味の本数は基本ノズル個数Naに等しく、付加ノズル個数Nbに依存しない。第2比較例と第1実施例とでは、基本ノズル個数Naが同一なので、同じ記録速度を有している。また、第2比較例も第1実施例も、バンディングが目立ちにくく、画質が向上するという効果を有している。第1実施例では、オーバーラップラスタが規則的に配置されておらず、かなりランダムに分散しているので、第2比較例よりも高画質が得られる可能性があるが、実際に第2比較例と第1実施例のどちらが高画質を達成できるかは、印字ヘッド1におけるノズル間のピッチkの製造誤差に依存する。そこで、副走査送りとして、第2比較例のような定則送りに限定せず、第1実施例のような変則送りを行うことを許容すれば、ほぼ同じ記録速度の複数のドット記録方式の中から、画質の点で好ましいものを選択して使用することができるという利点がある。
【0080】
図12および図13は、第2実施例のドット記録方式を示す説明図である。第2実施例のドット記録方式における各パラメータの値は、N=15,Na=11,Nb=4,k=6,m=2,L=2である。また、副走査送りは、第1実施例と同じ変則送りである。これらの各パラメータは、上述の(1)〜(3)式および条件C1’〜C3’を満たしている。第2実施例は、第1実施例と付加ノズル個数Nbが異なるが、基本ノズル個数Naは同一なので、第1実施例と同じ記録速度を有している。
【0081】
図14は、第2実施例における記録ドット位置の説明図である。第2実施例においても、オーバーラップラスタが適度に分散して配置されていることがわかる。従って、第1実施例と同様に、バンディングが目立ちにくくなり、画質が向上するという効果がある。
【0082】
なお、上記第1、第2実施例の他に、上述した(1)〜(3)式を満足するような種々のドット記録方式を採用することが可能である。図15は、k=6でL=1〜3の場合における可能な記録方式のパラメータの組合せを例を示す説明図である。図15(A)のk=6,L=1,m=2,Na=11,Nb=2,N=13の場合は、図9〜図11に示した第1実施例に相当する。また、図15(B)のk=6,L=2,m=2,Na=11,Nb=4,N=15の場合は、図12〜図14に示した第2実施例に相当する。図16は、k=4でL=1〜3の場合における可能な記録方式のパラメータの組合せの例を示す説明図である。これらの例では、上記(3)式の丸め演算Rd[]として切り上げが使用されているが、切り捨てを使用することも可能である。
【0083】
図15および図16から解るように、ノズルピッチkの値が与えられたときに、パラメータm,Lの値を適切に設定することによって、好ましい基本ノズル個数Naと付加ノズル個数Nbとを決定することができ、これらの和から使用ノズル個数Nが決定される。逆に、使用したいノズル個数Nが決まっている場合には、図15や図16を用いて、使用ノズル個数Nから好ましい基本ノズル個数Naと付加ノズルNbとを決定することも可能である。
【0084】
図2に示すPROM15には、ほぼ同じ記録速度を有する複数のドット記録モードのパラメータをそれぞれ含む複数組のドット記録モード情報が格納されており、また、複数のドット記録方式の中から好ましいモードを指定するためのモード指定情報も格納されている。ここで、「ほぼ同じ記録速度を有する記録モード」とは、基本ノズル個数Naの差が約10%以内であるような記録モードを意味する。例えば、PROM15には、第1実施例と第2実施例の2つの記録モードのパラメータをそれぞれ含む2組のドット記録モード情報が格納される。2つのドット記録モードの中のいずれが画質の点で好ましいかは、印字ヘッド1の製造誤差に依存する。そこで、2つの記録モードの中のいずれが好ましいかが個々のインクジェット記録装置毎に決定され、好ましいモードを指定するモード指定情報がPROM15に格納される。こうすれば、同一の記録速度を有する2つのドット記録モードの中から、画質の点で好ましいモードを選択することが可能である。なお、選択可能な記録モードとしては、3つ以上の多数の記録モードを格納しておいてもよい。また、選択可能な記録モードは、第2比較例のような定則送りを利用するモードを含むようにしてもよい。
【0085】
上記実施例によれば、部分オーバーラップを使用し、また、副走査送りとして変則送りを使用したので、オーバーラップラスタを適度に分散して配置することができる。この結果、バンディングを目立ちにくくなり、高画質を達成することが可能である。特に、双方向記録を行う場合には、オーバーラップラスタが分散して配置されていることにより、往路と復路でのラスタの色の違いが目立たなくなるという利点がある。また、ほぼ記録速度が等しい複数のドット記録モードの中から、画質の点で好ましいドット記録モードを選択して使用するようにすれば、個々の記録装置毎に、より高い画質を達成できるという利点がある。
【0086】
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0087】
本発明は、双方向印刷に限らず、決まった主走査方向のみ(たとえば往路のみ)でドットの記録を行う単方向印刷にも適用可能である。
【0088】
上記実施例では基本ノズルと付加ノズルとが、同一ラスタ上の画素を相補的に記録を行っていたが、基本ノズルと付加ノズルとが同一ラスタ上の画素位置でドットを重複して記録するようにしてもよい。また、これ以外の記録方式を採用することも可能である。例えば、基本ノズルと付加ノズルとで相補的に記録を行い、かつ、付加ノズルにより記録されるドット径の大きさを基本ノズルにより記録されるドット径よりも大きくしてもよい。
【0089】
この発明はカラー印刷だけでなくモノクロ印刷にも適用できる。また、1画素を複数のドットで表現することにより多階調を表現する印刷にも適用できる。また、ドラムスキャンプリンタにも適用できる。尚、ドラムスキャンプリンタでは、ドラム回転方向が主走査方向、キャリッジ走行方向が副走査方向となる。また、この発明は、インクジェット記録装置のみでなく、一般に、複数のドット形成要素アレイを有する記録ヘッドを用いて印刷媒体の表面に記録を行うドット記録装置に適用することができる。ここで、「ドット形成要素」とは、インクジェットプリンタにおけるインクノズルのように、ドットを形成するための構成要素を意味する。
【0090】
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図2に示した印字データ制御回路13や、キャリッジ駆動回路5、印刷媒体搬送制御回路9の制御機能を、コンピュータ90が実行するようにすることもできる。この場合には、プリンタドライバ96等のコンピュータプログラムが、これらの回路と同じ制御機能を実現する。
【0091】
このような機能を実現するコンピュータプログラムは、フロッピディスクやCD−ROM等の、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供される。コンピュータシステム90は、その記録媒体からコンピュータプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送する。あるいは、通信経路を介してプログラム供給装置からコンピュータシステム90にコンピュータプログラムを供給するようにしてもよい。コンピュータプログラムの機能を実現する時には、内部記憶装置に格納されたコンピュータプログラムがコンピュータシステム90のマイクロプロセッサによって実行される。また、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータシステム90が直接実行するようにしてもよい。
【0092】
この明細書において、コンピュータシステムとは、ハードウェア装置とオペレーションシステムとを含む概念であり、オペレーションシステムの制御の下で動作するハードウェア装置を意味している。コンピュータプログラムは、このようなコンピュータシステムに、上述の各回路の機能を実現させる。なお、上述の機能の一部は、アプリケーションプログラムでなく、オペレーションシステムによって実現されていても良い。
【0093】
なお、この発明において、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像処理システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】本発明によるインクジェット記録装置の一実施例を示す概念図。
【図3】印字ヘッド1におけるインクジェットノズルの配列を示す説明図。
【図4】非オーバーラップタイプのドット記録方式における副走査送りの基本的条件を示す説明図。
【図5】第1比較例のドット記録方式を示す説明図。
【図6】オーバーラップラスタによるバンディングの防止効果を示す説明図。
【図7】第2比較例のドット記録方式を示す説明図。
【図8】第2比較例のドット記録方式を示す説明図。
【図9】第1実施例のドット記録方式を示す説明図。
【図10】第1実施例のドット記録方式を示す説明図。
【図11】第1実施例における記録ドット位置の説明図。
【図12】第2実施例のドット記録方式を示す説明図。
【図13】第2実施例のドット記録方式を示す説明図。
【図14】第2実施例における記録ドット位置の説明図。
【図15】k=6でL=1〜3の場合における可能な記録方式のパラメータの組合せの例を示す説明図。
【図16】k=4でL=1,2の場合における可能な記録方式のパラメータの組合せを例を示す説明図。
【図17】従来の記録方式を示す説明図。
【図18】バンディングの一例を示す説明図。
【符号の説明】
1…印字ヘッド
2…キャリッジ軸
3…キャリッジベルト
4…モータ
5…キャリッジ駆動回路
6…プラテンローラ
7…ギヤ
8…モータ
9…印刷媒体搬送制御回路
10…固定台
11…固定台
13…印字データ制御回路
20…画像出力装置
21…カラーディスプレイ
22…インクジェット記録装置
30…スキャナ
90…コンピュータ
91…ビデオドライバ
93…CRTディスプレイ
95…アプリケーションプログラム
96…プリンタドライバ
97…ラスタライザ
98…色補正モジュール
99…ハーフトーンモジュール
Claims (11)
- ドット記録ヘッドを用いて印刷媒体の表面にドットの記録を行うドット記録装置において、
前記ドット記録ヘッドに設けられ、1回の主走査中に複数の主走査ライン上で同一色のドットをそれぞれ記録し得るとともに、副走査方向に沿って一定のピッチk×P(kは3以上の整数、Pは前記印刷媒体上におけるドットの副走査方向の最小ピッチ)で配列された複数のドット形成要素を有するドット形成要素アレイと、
前記ドット記録ヘッドと前記印刷媒体の少なくとも一方を駆動して主走査を行う主走査駆動部と、
前記主走査の最中に前記複数のドット形成要素のうちの少なくとも一部を使用してドットの形成を行わせるヘッド駆動部と、
前記主走査が終わる度に前記ドット記録ヘッドと前記印刷媒体の少なくとも一方を駆動して副走査を行う副走査駆動部と、を備え、
前記副走査駆動部は、複数の異なる送り量を組み合わせたk回の副走査送りを1サイクルとする変則副走査送りを繰り返し実行し、この際、副走査送りが行われていない時点における前記複数のドット形成要素の副走査方向に沿った周期的な位置をオフセットがゼロである基準位置と仮定した時に、前記1サイクル中の各回の副走査送り後における前記複数のドット形成要素のオフセットがM×P(Mは0〜(k−1)の整数)のそれぞれ異なる値となるとともに、副走査の平均送り量が予め設定された基本ドット形成要素個数Naに等しくなるように前記変則副走査送りを実行し、
前記ヘッド駆動部は、1回の主走査中に使用されるN個(Nは3以上の整数)のドット形成要素のうちのNb個(Nbは(N−Na)に等しい整数)の特定のドット形成要素を用いて、他の主走査中に記録対象となる主走査ライン上のドットを記録対象とする部分オーバーラップ記録を各主走査毎に実行することを特徴とするドット記録装置。 - 請求項1記載のドット記録装置であって、
前記ヘッド駆動部は、主走査が往復で双方向に行われる際に往路と復路とでそれぞれドットの記録を実行する、ドット記録装置。 - 請求項1または2記載のドット記録装置であって、
1回の主走査中に使用されるドット形成要素の個数N(Nは3以上の整数)とパラメータNa,Nb,m,Lとが、以下の(1)〜(3)式を満足する、ドット記録装置。
N=Na+Nb …(1)
Na=m×k±1 …(2)
Nb=Rd[L×Na÷k] …(3)
ここで、mは1以上の整数、Lは1≦L<kを満たす整数、Nbは前記特定のドット形成要素の個数、をそれぞれ示し、演算子Rd[]はかっこ内の値の小数部を丸める演算を示す。 - 請求項3記載のドット記録装置であって、
前記ヘッド駆動部は、各主走査ライン上において、Nb個のドット形成要素によって記録されるドットと、Na個のドット形成要素によって記録されるドットとが相補的な位置関係になるように前記ドット記録ヘッドを駆動する、ドット記録装置。 - 請求項3記載のドット記録装置であって、
前記ヘッド駆動部は、各主走査ライン上において、Nb個のドット形成要素によって記録されるドットが、Na個のドット形成要素によって記録されるドットと重なるように前記ドット記録ヘッドを駆動する、ドット記録装置。 - 1回の主走査中に複数の主走査ライン上で同一色のドットをそれぞれ記録し得るとともに、副走査方向に沿って一定のピッチk×P(kは3以上の整数、Pは前記印刷媒体上におけるドットの副走査方向の最小ピッチ)で配列された複数のドット形成要素を有するドット形成要素アレイを有するドット記録ヘッドを用い、前記副走査方向とほぼ垂直な方向に沿って主走査を行いつつ印刷媒体の表面にドットの記録を行う方法において、
副走査送りとして、複数の異なる送り量を組み合わせたk回の副走査送りを1サイクルとする変則副走査送りを繰り返し実行し、この際、副走査送りが行われていない時点における前記複数のドット形成要素の副走査方向に沿った周期的な位置をオフセットがゼロである基準位置と仮定した時に、前記1サイクル中の各回の副走査送り後における前記複数のドット形成要素のオフセットがM×P(Mは0〜(k−1)の整数)のそれぞれ異なる値となるとともに、副走査の平均送り量が予め設定された基本ドット形成要素個数Naに等しくなるように前記変則副走査送りを実行し、
1回の主走査中に使用されるN個(Nは3以上の整数)のドット形成要素のうちのNb個(Nbは(N−Na)に等しい整数)の特定のドット形成要素を用いて、他の主走査中に記録対象となる主走査ライン上のドットを記録対象とする部分オーバーラップ記録を各主走査毎に実行することを特徴とするドット記録方法。 - 請求項6記載のドット記録方法であって、
主走査が往復で双方向に行われる際に往路と復路とでそれぞれドットの記録が実行される、ドット記録方法。 - 請求項6または7記載のドット記録方法であって、
1回の主走査中に使用されるドット形成要素の個数N(Nは3以上の整数)とパラメータNa,Nb,m,Lとが、以下の(1)〜(3)式を満足する、ドット記録方法。
N=Na+Nb …(1)
Na=m×k±1 …(2)
Nb=Rd[L×Na÷k] …(3)
ここで、mは1以上の整数、Lは1≦L<kを満たす整数、Nbは前記特定のドット形成要素の個数、をそれぞれ示し、演算子Rd[]はかっこ内の値の小数部を丸める演算を示す。 - 請求項8記載のドット記録方法であって、
各主走査ライン上において、Nb個のドット形成要素によって記録されるドットと、Na個のドット形成要素によって記録されるドットとが相補的な位置関係になるように前記ドット記録ヘッドが駆動される、ドット記録方法。 - 請求項8記載のドット記録方法であって、
各主走査ライン上において、Nb個のドット形成要素によって記録されるドットが、Na個のドット形成要素によって記録されるドットと重なるように前記ドット記録ヘッドが駆動される、ドット記録方法。 - 1回の主走査中に複数の主走査ライン上で同一色のドットをそれぞれ記録し得るとともに、副走査方向に沿って一定のピッチk×P(kは3以上の整数、Pは前記印刷媒体上におけるドットの副走査方向の最小ピッチ)で配列された複数のドット形成要素を含むドット形成要素アレイを有するドット記録ヘッドを備えた印刷装置に、前記副走査方向とほぼ垂直な方向に沿って主走査を行いつつ印刷媒体の表面にドットの記録を行わせるためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
複数の異なる送り量を組み合わせたk回の副走査送りを1サイクルとする変則副走査送りを繰り返し実行し、この際、副走査送りが行われていない時点における前記複数のドット形成要素の副走査方向に沿った周期的な位置をオフセットがゼロである基準位置と仮定した時に、前記1サイクル中の各回の副走査送り後における前記複数のドット形成要素のオフセットがM×P(Mは0〜(k−1)の整数)のそれぞれ異なる値となるとともに、副走査の平均送り量が予め設定された基本ドット形成要素個数Naに等しくなるように前記変則副走査送りを実行する機能と、
1回の主走査中に使用されるN個(Nは3以上の整数)のドット形成要素のうちのNb個(Nbは(N−Na)に等しい整数)の特定のドット形成要素を用いて、他の主走査中に記録対象となる主走査ライン上のドットを記録対象とする部分オーバーラップ記録を各主走査毎に実行する機能と、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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