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JP3739142B2 - 電子素子の冷却構造 - Google Patents
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勝夫 江口
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、作動流体の潜熱として熱輸送するヒートパイプを利用して、電子素子の過熱を防止する電子素子の冷却構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータの分野では、多機能化や処理速度の向上に伴って演算処理装置などの電子素子の出力が増大されている。また一方で、コンピュータの小型化および軽量化が強く望まれており、したがって当然、ケースの内部空間において演算処理装置などを冷却する装置が占有できるスペースも極めて限定されている。そこで従来では、冷却装置の一例として熱輸送能力に優れるヒートパイプが使用されている。
【0003】
図2は、昭和60年10月25日に日本国内で頒布された書籍「実用ヒートパイプ」(日刊工業新聞社発)に記載されているパーソナルユースのコンピュータ(以下、パソコンという。)用ヒートパイプの一例を示している。このヒートパイプ1は、いわゆる平板型ヒートパイプであり、コンテナは断面矩形に形成され、そのコンテナの図における下側の面が加熱部1aとされ、かつ上側の面が放熱部1bとされている。この放熱部1bの外部には、多数の放熱フィン1cが設けられている。そして、コンテナの内部には、真空となるよう吸引された後、水等の凝縮性の作動流体3が所定量封入されている。
【0004】
他方、プリント基板4の上に形成された回路の所定箇所には、中央演算処理装置(以下、CPUと記す)2が取り付けられており、またそのCPU2の上面には、ヒートパイプ1が加熱部1aを密着させて取付けられている。
【0005】
そして、このヒートパイプ1では、前記回路に通電されてCPU2が発熱し、その熱によって加熱部1aが昇温した際に、封入されている作動流体3が加熱されて沸騰して蒸気となり、この作動流体3の蒸気が上方に移動して低温の放熱部1bおいて凝縮する。すなわち、作動流体3の蒸発潜熱の状態で運ばれた熱が、放熱部1bの外部に設けられた放熱フィン1cから放散される。
【0006】
このように、CPU2の冷却にヒートパイプ1を使うことによって、蒸発潜熱の状態で大量の熱輸送が可能となり、そのため、CPU2の冷却を効果的に行うことができる。その結果、CPU2の過熱によるパソコンの作動不能や機能低下等の発生を防止することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、ヒートパイプ1自体がパソコンケースの内部に設置される構成であるから、放熱フィン1cからの放熱は、当然、パソコン本体1の内部において行われ、したがって、パソコンケースの内部空間に熱が籠り易い不都合があった。
【0008】
そこで従来では、パソコンケースに排気孔を備えるとともに、放熱フィン1cに対して送気する送風ファンを設けた構成が提案されている。すなわち、送風ファンを動作させると、パソコンケースの内部の空気が放熱フィン1cを通過した後に、排気孔を経由してパソコンケースの外部に流れ出るように流動する。したがって、この構成によれば、CPU2の熱が流動する空気と共にパソコンケースの外部に運ばれるから、上述の課題を確実かつ容易に解消することができる。
【0009】
しかしながら、送風ファンを備えた上記の構成では、CPU2およびヒートパイプ1と接触して温度の高い空気がパソコンケースの内部を排気孔に向けて流動するため、その経路中に既設されている部品が不可避的に昇温する問題があった。
【0010】
この発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、電子素子に対する冷却能力が高く、また電子素子以外に筐体内に備えられる部材の昇温を防止できる電子素子の冷却構造を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するために、この発明は、筐体の内部に、発熱する電子素子が設置された電子素子の冷却構造において、前記電子素子に、小径でかつ可撓性のヒートパイプの一端部が熱授受可能に配設されるとともに、そのヒートパイプの他端部に、ヒートシンクが熱授受可能に配設され、さらに、前記筐体の内部の空気を吸入する吸部が前記ヒートシンクに設けられ、かつ前記吸込部からヒートシンク内に入った空気を筐体の外部に向けて送気するファンが設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
したがって、この発明によれば、電子素子が発熱すると、まず、その熱はヒートパイプの一端部に伝達される。すると、液相の作動流体が加熱されて蒸発し、その作動流体蒸気はヒートパイプのコンテナのうち内部圧力の低いヒートシンクに配設された端部に向けて流動し、ヒートシンクに熱を奪われて凝縮する。
【0013】
また、ファンを動作させれば、ヒートシンクを通過するように空気が流動し、その空気は更に筐体の外部に流れ出る。その場合、ヒートシンクの保有する電子素子の熱が、流動する空気と共に筐体の外部に運ばれる。したがって、筐体の内部空間に熱が籠らず、電子素子が良好に冷却される。
【0014】
このように、発熱源である電子素子の熱が熱輸送能力の高いヒートパイプを介してヒートシンクに一旦集められた状態で、そこから直接に筐体の外部に排出されるから、電子素子に対する冷却能力が高いだけでなく、筐体内に備えられる他の部材を不要に昇温させるおそれがない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の具体例を図面を参照して説明する。ここに示す例は、ノートブック型のパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)に搭載したCPUの冷却に適用した例である。この発明の筐体に相当するパソコンケース5は、プラスチックパネルあるいはマグネシウム合金などの金属パネルによって形成された中空容器である。このパソコンケース5の図1での上面部には、回動軸(図示せず)を中心とした所定範囲内で自在に開閉するディスプレイ6が備えられている。
【0016】
パソコンケース5の内部の底部付近には、プリント基板(図示せず)がほぼ水平に設けられている。このプリント基板の図1での上面には、この発明の電子素子に相当するCPU7が取り付けられている。CPU7の上面には、ヒートパイプ8の一端部および伝熱ブロック9が取り付けられている。より詳細には、一例としてヒートパイプ8は、幅の狭い中空扁平形状の銅製コンテナの内部に、作動流体として純水を封入したものが採用されている。なお、このヒートパイプ8は、可撓性を有していてコンテナの中間部分を自在に屈曲させることができる。
【0017】
これに対して、伝熱ブロック9は、CPU7とヒートパイプ8との熱伝達を促進させるために必要に応じて備えられるものであり、一例として銅あるいはアルミ合金等から形成された板状体であって、その図1での下面には、ヒートパイプ8のコンテナ形状に倣った凹部が形成されている。そして、この伝熱ブロック9は、凹部にヒートパイプ8を緊密に嵌め込んだ状態でCPU7の上面に図示しない適宜手段によって密着して固定されている。したがって、CPU7とヒートパイプ8とは、互いに熱伝達可能になっている。
【0018】
他方、パソコンケース5の底部には、一例として矩形断面のアルミニウム製パイプの内面に、多数の平板体(フィン)を狭い間隔で平行に備えた構成のヒートシンク10が布設されている。そして、このヒートシンク10の上面部には、ヒートパイプ8の他端部がコンテナの下面を沿わせた状態で取り付けられている。なお、ヒートパイプ8の中間部分は、パソコンケース5の内部に備えられた図示しないパーツ同士の隙間、いわゆるデッドスペースを通るようにして適宜に折り曲げられている。また、ヒートシンク10の布設状態での高さは、CPU7の高さよりも大きく設定されており、したがって、ヒートパイプ8は、このヒートシンク10に配設された端部がCPU7に配設された端部に対して上方に位置している。
【0019】
なお、必要に応じてヒートパイプ8のうちCPU7およびヒートシンク10と接触しない中間箇所の外周部を断熱被覆してもよい。このように構成すれば、ヒートパイプ動作中にコンテナからパソコンケース5の内部空間に放出される熱を減少させることができる。
【0020】
ヒートシンク10のうちCPU7から離れた側の開口端には、小型のファン11が一体に取り付けられている。より詳細には、このファン11は、一例として下部水平吐出し型の半径流ファンであって、その吸込み部12側の開口箇所は、ヒートシンク10の開口端に気密状態に取り付けられている。これに対して、ファン11の吐出し部13の開口箇所は、パソコンケース5に設けられた排気孔(図示せず)の近傍に配設されている。すなわち、このファン11を動作させた場合、パソコンケース5の内部の空気は、ヒートシンク10のうちのCPU7に接近した側の開口端から、その内側に入り込むとともに、ファン11の吐出し部13に向けて流動した後、更に排気孔を経て外部に送り出される。
【0021】
つぎに、上記のように構成された電子素子の冷却構造の作用について説明する。まず、ファン11を動作させる。すると、パソコンケース5内の空気がヒートシンク10の内側を矢印方向に通過して、そのままパソコンケース5の外部に排気孔を経由して流れ出る。このような空気の流動は、当然、ファン11が停止するまで継続して生じる。
【0022】
他方、パソコンの使用に伴う通電によってCPU7が発熱すると、その熱はヒートパイプ8の一端部および伝熱ブロック9に伝達される。その場合、ヒートパイプ8の外周部が伝熱ブロック9によって覆われているために、ヒートパイプ8に対してCPU7の熱が無駄なく伝達されて、コンテナの底部に溜まっている作動流体が加熱されて蒸発する。したがって、ヒートパイプ8のうち伝熱ブロック9に取り付けられた端部の内面が蒸発部となる。
【0023】
蒸気となった作動流体は、内部圧力および温度が共に低いヒートシンク10に配設された端部に向けて流動し、ヒートシンク10に熱を奪われて凝縮する。したがって、ヒートパイプ8のうちこの端部の内面が凝縮部となる。前述の通り、ヒートパイプ8は、勾配を持たせた状態に配設されているから、その動作態様はボトムヒートモードとなり、作動流体の蒸発・凝縮サイクルがスムースに行われ、その結果、熱輸送能力が高くなる。なお、凝縮して液相に戻った作動流体は、コンテナ中間部の内面を伝わって蒸発部まで還流し、そこで再度加熱・蒸発する。
【0024】
他方、ヒートパイプ8からヒートシンク10の上面部に伝達されたCPU7の熱は、ヒートシンク10のほぼ全域に伝導される。前述の通り、ヒートシンク10の内側には、ファンによって空気の流動が生じており、その空気によって、ヒートシンク10の保有するCPU7の熱が排気孔を経由してパソコンケース5の外部まで運ばれる。すなわち、CPU7の熱は、空気と共にパソコンケース5の外部に排出される。したがって、パソコンケース5の内部に熱が籠らないため、パソコン使用中におけるCPU7の過熱が防止される。
【0025】
このように、ヒートパイプ8によってCPU7の熱をヒートシンク10に一旦集めた状態で、パソコンケース5の外部に直接に排出させるため、パソコンケース5の内部空間に熱が籠らず、従来の冷却構造よりも冷却能力が向上し、また、CPU7以外の既存パーツの過剰な昇温が防止される利点も生じる。
【0026】
さらに、この具体例の冷却構造では、CPU7からファン11への熱輸送をヒートパイプ8を用いて行うため、通常、パソコンケース5の壁面付近に設置せざるを得ないファン11にCPU7を隣接させる必要がなく、そのため、パソコンケース5の内部におけるCPU7のレイアウトの自由度が向上する。また、ヒートパイプ8がデッドスペースに配設されているから、従来の冷却構造よりもパソコンケース5自体を小規模化することができる。
【0027】
なお、上記具体例では、ノートブック型パソコンのCPUの冷却を例示したが、この発明は上記具体例に限定されるものではなく、例えばデスクトップ型パソコンやサーバー等に搭載される電子素子に適用することもできる。また、扁平状コンテナのヒートパイプを採用したが、これに替えて例えば一般的な円形断面のコンテナ形状のヒートパイプを用いるとともに、ヒートシンクの上面部に、U字状断面の取り付け溝を形成し、そこにヒートパイプを沿わせた状態で緊密に嵌め込むように構成してもよい。
【0028】
さらに、上記具体例では、下部水平吐出し型の半径流ファンに替えて、例えば従来知られた構成の軸流ファンを採用することもできる。また、ヒートシンクとファンとは、その作用として一体に連通した構成であればよく、したがって、例えば両者の間に吸込ダクトを設けることもできる。
【0029】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明によれば、ヒートパイプの一端部を電子素子に熱授受可能に配設するとともに、そのヒートパイプの他端部に、ヒートシンクを熱授受可能に配設し、さらに、吸込部をヒートシンクに一体に連通させ、かつ筐体の外部に向けて送気するファンを設けているので、電子素子に対する冷却能力を従来になく向上させることができる。また、電子素子以外の筐体内に備えられる部品の昇温を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一具体例を示す概略図である。
【図2】従来技術であるパソコン冷却用のヒートパイプを示す概略図である。
【符号の説明】
5…パソコンケース、 7…CPU、 8…ヒートパイプ、 9…伝熱ブロック、 10…ヒートシンク、 11…ファン、 12…吸込部。

Claims (1)

  1. 筐体の内部に、発熱する電子素子が設置された電子素子の冷却構造において、
    前記電子素子に、ヒートパイプの一端部が熱授受可能に配設されるとともに、そのヒートパイプの他端部に、ヒートシンクが熱授受可能に配設され、さらに、前記筐体の内部の空気を吸入する吸部が前記ヒートシンクに設けられ、かつ前記吸込部からヒートシンク内に入った空気を筐体の外部に向けて送気するファンが設けられていることを特徴とする電子素子の冷却構造。
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