JP3739655B2 - 離散的多周波変調により生成された信号における妨害の補償方法および該方法を実施するための回路装置 - Google Patents
離散的多周波変調により生成された信号における妨害の補償方法および該方法を実施するための回路装置 Download PDFInfo
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Description
本発明は、請求項1の上位概念に記載の離散的多周波変調により生成された信号における妨害の補償方法および請求項9記の上位概念に記載の方法、ならびに前記の方法を実施するための請求項6の上位概念に記載の回路装置に関する。
【0002】
離散的多周波変調(Discrete Multiton Modulation DMT、マルチトーン変調、マルチキャリア変調とも称する)は、直線的に歪んだチャネルを介してデータを伝送するのに殊に適した変調方法である。いわゆるシングルキャリア方式たとえばただ1つの搬送波周波数だけしかもたない振幅変調とは異なり、離散的多周波変調の場合には多数の搬送波周波数が使われる。個々の搬送波周波数の各々は直交振幅変調(QAM)に従い振幅と位相について変調される。このようにすることで多数のQAM信号が得られる。その際、搬送波周波数ごとに所定数のビットを伝送することができる。離散的多周波変調はたとえばディジタル無線放送DAB(Digital Audio Broadcast)のためにはOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)という名称で用いられ、電話回線を介したデータ伝送のためにはADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)という名称で用いられる。
【0003】
ADSLの場合にはDMT変調された信号を用いることで、交換局からアナログ接続された加入者へ電話回線を介してデータが伝送される。その際、ETSI規格およびANSI規格によれば、各搬送波周波数は約4kHzの帯域幅をもち最大で15bit/s/Hzまで伝送されるように定められている。この場合、bit/s/Hzの実際の数値を搬送波周波数ごとに異ならせることができ、このためデータレートと送信スペクトルを伝送チャネルに整合させることができる。
【0004】
DMT伝送システムは、伝送すべきシリアルディジタルデータ信号のビットをブロックにまとめる符号化器を有している。1つのブロックにおけるそれぞれ所定数のビットに対し1つの複素数が割り当てられる。1つの複素数により離散的多周波変調における1つの搬送波周波数fi=i/T(ただしi=1,2,...,N/2)が表現され、ここですべての搬送波周波数fiは等間隔で配分されている。なお、Tは1つのブロックの期間である。逆フーリエ変換により、信号ベクトルで表された搬送波周波数が時間領域に変換され、それによって送信すべきDMT信号におけるN個のサンプリング値がじかに表される。逆高速フーリエ変換(IFFT = Inverse Fast Fourier Transformation)を適用できるようにする目的で、Nについて2のべき乗が選ばれる。
【0005】
逆高速フーリエ変換後、サイクリックプレフィクス(Cyclic-Prefix)が実行され、これによればサンプリング値における最後のM(M<N)がもう一度、ブロックの先頭につけられる。これにより、伝送チャネルにより生じる定常化過程がM個のサンプリング値のあとに期間T・M/Nに応じて収まったとき、受信機に対し周期的な信号であると思わせる。受信機における等化のための手間はサイクリックプレフィクスにより著しく低減される。その理由は、受信機での復調後、伝送チャネルの直線的な歪みを取り除くために伝送チャネルの逆伝達関数により乗算を行えばよいからである。このためには各搬送波周波数ごとに、1つの複素数乗算または4つの実数乗算を必要とする。
【0006】
ADSLの場合、伝送チャネルは2線式線路(銅の2重心線)である。2線式線路であると、定常化過程のために1つのブロックの長さのわりには長い時間がかかる。他方、サイクリックプレフィクスにより必要とされる付加的な伝送容量は、できるかぎり小さく抑えるようにしたい。
【0007】
ブロック長がN=512の場合、ADSLではM=32というサイクリックプレフィクスが定められている。しかしM=32個の値の後であっても、2線式線路の定常化過程は収まらない。これにより受信機において、周波数領域等化器によっても取り除くことのできない妨害が発生する。このような妨害は、受信機において特別な信号処理措置を施すことによって低減することができる。
【0008】
そのため、復調器の前段に時間領域等化器(TDEQ = Time Domain Equalizer)が接続されている。この時間領域等化器は、係数の調整可能なディジタルトランスバーサルフィルタとして構成されている。時間領域等化器の役割は、伝送チャネルにおける定常化過程を短縮することである。このため、ディジタルトランスバーサルフィルタのインパルス応答値の個数を、サイクリックプレフィクスのM個のサンプリング値よりもできるかぎり小さくしなければならない。このような時間領域等化器の設計については、Al-Dhahir, N., Cioffi, J.M. による "Optimum Finite-Length Equalization for Multicarrier Transceivers", IEEE Trans.on Comm., Vol. 44, No.1, 1. 1996 に示されている。しかしながら欠点となるのは、時間領域等化器として使われるディジタルトランスバーサルフィルタのもつ多数の係数(20〜40の係数)に起因して、このような等化器のための回路はかなり余計に複雑になることである。さらにこの種の時間領域等化器の別の欠点は計算が非常に煩雑になることであり、この計算は20〜40の係数のフィルタ長であると1秒間に約5千万〜1億もの乗算となり、それに応じて回路も複雑になってしまう。しかもディジタルトランスバーサルフィルタの整合のため、各係数を調整しなければならない。
【0009】
したがって本発明の課題は、離散的多周波変調により生成された信号における妨害の補償方法およびこの方法を実施するための回路装置において、時間領域等化器よりも回路技術的に僅かな手間やコストしかかからず、かつ簡単で高速なアルゴリズムとして、もしくは簡単な回路として構成できるようにすることである。
【0010】
この課題は、請求項1の特徴部分に記載の構成を備えた離散的多周波変調により生成された信号における妨害の補償方法、または請求項9の特徴部分に記載の構成を備えた方法、ならびに前記方法を実施するための請求項6の特徴部分に記載の構成を備えた回路装置により解決される。
【0011】
本発明は、離散的多周波変調により生成された信号における妨害の補償方法に関する。この場合、離散的多周波変調により生成された信号は多数の搬送波周波数を有しており、各搬送波周波数は信号ベクトルを有している。複数の信号ベクトルのうちの1つの信号ベクトルである基準信号ベクトルから、エラー信号ベクトルが形成される。妨害補償のためこのエラー信号ベクトルは、前記の複数の信号ベクトルにおける残りの信号ベクトルの各々に加算される。基準信号ベクトル以外、前記の複数の信号ベクトルにおける信号ベクトルの各々に調整可能な係数のセットが割り当てられ、加算の前にこれとエラー信号ベクトルとが乗算される。有利にはこの方法の簡単なステップにおいてエラー信号が計算され、別の簡単なステップにおいて残りの搬送波周波数に加算される。個々の搬送波周波数相互間の妨害に依存性があることから、1つの搬送波周波数からエラー信号を計算すれば十分である。この方法は、時間領域等化とは異なりアルゴリズムとして非常に簡単に実施可能である。
【0012】
調整可能な係数は殊に有利には、調整可能な係数に割り当てられた信号ベクトルを有する搬送波周波数の伝送条件に従って整合される。有利には係数をこのように整合することにより、信号ベクトル中に含まれている可能性のある妨害をいっそう良好に抑圧できるようになる。
【0013】
1つの有利な実施形態によれば、調整可能な係数はエラー最小化のため反復的アルゴリズムにより調整される。
【0014】
殊に有利な実施形態によれば、調整可能な係数は平均二乗誤差アルゴリズムによって調整される。
【0015】
基準信号ベクトルは有利には値の離散的な基準信号ベクトルにマッピングされ、エラー信号ベクトル形成のためこの値の離散的な基準信号ベクトルが基準信号ベクトルから減算される。
【0016】
さらに本発明は、離散的多周波変調により生成された信号における妨害の補償回路装置に関する。この場合、離散的多周波変調により生成された信号は周波数領域において複数の搬送波周波数を有しており、その際、各搬送波周波数は1つの信号ベクトルを有している。基準信号ベクトルは第1の判定器回路へ供給され、この判定器回路により基準信号ベクトルが値の離散した基準信号ベクトルにマッピングされる。エラー信号ベクトルを形成するため減算器回路により、基準信号ベクトルと値の離散した基準信号ベクトルが互いに減算される。そしてエラー信号ベクトルは複数の加算器へ供給され、それらの加算器によりエラー信号ベクトルが基準信号ベクトル以外の残りの各信号ベクトルに加算される。複数の加算器の各々の前段には乗算器回路が接続されており、それらの乗算器回路によって最初のエラー信号ベクトルと調整可能な係数とが乗算される。
【0017】
調整可能な係数は有利には調整量により調整可能である。そしてこの調整量について殊に有利には2のべき乗が選ばれ、それによって調整可能な係数の調整を簡単なシフトレジスタによって実行できるようになる。
【0018】
さらに本発明が係わる離散的多周波変調により生成された信号における妨害の補償方法によれば、エラー信号ベクトルから複数の信号ベクトルにおける残りの信号ベクトルの妨害を近似的に計算し、妨害補償のため計算された妨害が複数の信号ベクトルにおける個々の信号ベクトルから減算される。この場合、有利には係数の適応調整は不要である。したがって適応中の収束の問題も発生する可能性がない。
【0019】
図面を参照する以下の実施例の説明には、本発明のさらに別の利点、特徴ならびに適用事例が示されている。
【0020】
図1には、離散的多周波変調により生成された信号における妨害を補償するための回路装置に関する第1の実施例が示されている。
【0021】
図2には、エラー信号の重み付け係数を形成するための回路装置の1つの実施例が示されている。
【0022】
図3には、判定器入力側におけるSN比のダイアグラムが示されている。
【0023】
図4には、離散的多周波変調により生成された信号における妨害を補償するための回路装置に関する第2の実施例が示されている。
【0024】
図1には、離散的多周波変調により生成された信号における妨害を補償するための回路装置が描かれている。この場合、シリアル/パラレル変換器1が離散的多周波変調により生成された信号INのディジタルサンプリング値を受け取る。シリアル/パラレル変換器1は、供給されたディジタルサンプリング値からブロックを形成する。この場合、1つのブロックはN個のパラレルな多数の信号を有しており、それらは復調器2へ送られる。ここでNは2のべき乗とする。
【0025】
復調器2は高速フーリエ変換器であり、これは時間領域におけるN個のパラレルな多数の供給された信号を周波数領域におけるn個の多数の搬送波周波数f0〜fnへ変換する。なお、離散的多周波変調では各搬送波周波数は直交振幅変調(QAM)によって変調される。各搬送波周波数は信号ベクトル20a,20b〜2na,2nbを有している。
【0026】
たとえばADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)の場合、それぞれ4.3125kHzの周波数帯域をもつ256個の搬送波周波数のうち搬送波周波数7〜250が、30.1875kHz〜1078.125kHzの周波数スペクトルに従い信号伝送に利用される。
【0027】
各信号ベクトルは2つの要素をもち、それらは複素数の実数部と虚数部を成している。複素数の大きさと位相は、QAM変調された信号の載せられた搬送波周波数(周波数チャネル、チャネル)に対応する。
【0028】
多数の信号ベクトルつまりは搬送周波数に従い、信号ベクトル20a,20b〜2na,2nbの等化のためn個の周波数領域等化器30,...,3n(FDEQ = Frequency Division Equalizer)が設けられている。周波数領域等化器は信号ベクトルのチャネル等化のために用いられる。このため各周波数領域等化器を、搬送波周波数に固有の伝送チャネル伝送特性に整合させることができる。各周波数領域等化器30,...,3nの出力側には、等化された信号ベクトルa0,b0 ないしan,bn がそれぞれ生じる。
【0029】
各周波数領域等化器30,...,3nの後段にはそれぞれ判定器回路40ないし4nが接続されている。判定器回路は、QAM変調された搬送波周波数の複数の信号状態空間のうちどの信号状態空間を供給された信号ベクトルに割り当てるのかを判定する。この場合、1つの信号状態は値の離散した1つの信号ベクトルに対応し、このベクトルは値の離散した振幅と値の離散した位相を有する。ある信号ベクトルを値の離散した1つの信号ベクトルに具体的に割り当てるために重要であるのは、伝送によってもできるかぎり少ししか妨害を受けない信号ベクトルである。
【0030】
各判定器回路40,...,4nの後段にはそれぞれデコーダ回路50ないし5nが接続されている。デコーダ回路は供給された値の離散した信号ベクトルから、その信号ベクトル中に含まれているバイナリ信号OUT0〜OUTnをデコーディングする。
【0031】
任意の信号ベクトルa0,b0 は基準信号ベクトルとして利用される。基準信号ベクトルは第1の判定器回路40により、値の離散した基準信号ベクトルa0′,b0′へ変換される。基準信号ベクトルは、他のすべての信号ベクトルを補正するために使用される。これは個々の信号ベクトル相互間の依存性に基づき行うことができる。
【0032】
基準信号ベクトルからエラー信号ベクトルが生成され、これは他のすべての信号ベクトルの補正に利用される。この目的で、基準信号ベクトルの実数部a0 と虚数部a0′が第1の減算器回路6へ供給され、互いに減算される。第1の減算器回路6の出力側に複素数の実数部Δa0 が生じ、これはエラー信号ベクトルΔa0,Δb0 中に含まれているエラー信号を表す。基準信号ベクトルの虚数部b0 と値の離散した虚数部b0 ′は、実数部に応じて第2の減算器回路7へ供給される。第2の減算器回路7の出力側には複素数の虚数部Δb0 が生じ、これはエラー信号ベクトルΔa0,Δb0 中に含まれているエラー信号を表す。
【0033】
基準信号ベクトルの要素からエラー信号ベクトルの要素を形成する式は以下の通りである:
【0034】
【数1】
【0035】
エラー信号ベクトルΔa0,Δb0 は補正すべき信号ベクトルに整合され、補正すべきチャネルに対応する信号ベクトルに加算されて補正が行われる。
【0036】
以下では、信号ベクトルan,bn に対応するある任意のチャネルの実例に基づきこの方法について説明する。この方法によれば基準信号ベクトルを有するチャネル以外、各チャネルが補正される。
【0037】
エラー信号ベクトルの実数部Δa0 は、第1の乗算器回路8およびそれと並行して第2の乗算器回路へ供給される。第1の乗算器回路8は、エラー信号ベクトルの実数部Δa0 を第1の係数Caa n と乗算する。また、第2の乗算器回路11は、エラー信号ベクトルの実数部Δa0 を第2の係数Cab n と乗算する。
【0038】
エラー信号ベクトルの実数部Δb0 は、第3の乗算器回路9およびそれと並行して第4の乗算器回路10へ供給される。第3の乗算器回路9は、エラー信号ベクトルの実数部Δb0 を第3の係数Cbb n と乗算する。さらに第4の乗算器回路10は、エラー信号ベクトルの虚数部Δb0 を第4の係数Cbb n と乗算する。
【0039】
第1の乗算器回路8および第3の乗算器回路9の出力信号は、第1の加算器回路12へ供給される。周波数領域等化器3nの出力側に生じる信号ベクトルの実数部an も、第1の乗算器回路12へ供給される。第1の乗算器回路は、供給された3つの信号を信号ベクトルのエラー補正された実数部an* に加算する。
【0040】
第2の乗算器回路および第4の乗算器回路の出力信号は、第2の加算器回路13へ供給される。さらに第2の加算器回路13へ、第2の周波数領域等化器3nの出力側に生じる信号ベクトルの虚数部bn が供給される。3つの供給された信号を加算する第2の加算器回路13の出力側には、信号ベクトルのエラー補正された虚数部bn* が生じる。
【0041】
先に挙げた方法は次式で表すことができる:
【0042】
【数2】
【0043】
信号ベクトルにおいてエラー補正された実数部an* とエラー補正された虚数部bn* は第2の判定器回路4nへ供給され、この第2の判定器回路はエラー補正された実数部an* とエラー補正された虚数部bn* を、値の離散した信号ベクトルan*′,bn*′における値の離散した実数部an*′もしくは値の離散した虚数部bn*′に変換する。
【0044】
値の離散した信号ベクトルan*′,bn*′は第2のデコーダ回路5nへ供給される。第2のデコーダ回路5nは、供給された信号ベクトルから信号をデコーディングする。
【0045】
この方法によれば基準信号ベクトル以外、各信号ベクトルについてエラー信号ベクトルが補正すべきチャネルに応じて重み付けされ、チャネルを表す信号ベクトルに加算される。
【0046】
エラー信号ベクトルを重み付けるための重み付け係数Caa n,Cba n,Cab n,Cbb n は、たとえば平均二乗誤差アルゴリズム(MSEアルゴリズム)などエラー最小化のための反復的アルゴリズムによって段階的に調整することができる(ここでkは離散的な時点を表す):
【0047】
【数3】
【0048】
式(1)に従い重み付け係数重み付け係数Caa n,Cba n,Cab n,Cbb n を計算するために、基準信号ベクトルのエラー信号ベクトルΔa0,Δb0 も補正すべきn番目のチャネルのエラー信号ベクトルΔan,Δbn も必要とされる。この場合、補正すべきn番目のチャネルのエラー信号ベクトルΔan,Δbn は、基準チャネルのエラー信号ベクトルに従い形成される。
【0049】
ある信号ベクトルを下方の周波数領域においてのみ妨害除去しようとする場合には、対称的な重み付け係数Caa n,Cba n,Cab n,Cbb n を用いた簡単なアルゴリズムで十分である。これはたとえば、復調器2およびシリアル/パラレル変換器1の前段に接続された時間領域等化器を使用した場合に該当する可能性がある。この場合、時間領域等化器に対する要求は、妨害補償のない時間領域等化器に対する要求よりも僅かである。この事例では重み付け係数Caa n,Cba n,Cab n,Cbb n は以下のように計算される:
【0050】
【数4】
【0051】
有利には重み付け係数の対称性により、重み付け係数を記憶するために必要とされるメモリスペースが小さくなる。
【0052】
この場合、調整のためのアルゴリズムは以下の通りである:
【0053】
【数5】
【0054】
図2に描かれている回路装置は、式(1)に相応するMSEアルゴリズムに従い重み付け係数Caa n,Cba n,Cab n,Cbb n を計算する。
【0055】
これらの回路装置の各々は第1の乗算器100を有しており、これは基準チャネルにおけるエラー信号ベクトルの実数部Δa0 もしくは虚数部Δb0 を、補正すべきチャネルから形成されたエラー信号ベクトルの実数部Δan もしくは虚数部Δbn と乗算する。
【0056】
第1の乗算器100に後置接続された第2の乗算器101は、第1の乗算器100の結果を回路ブロック102において形成される調整量gと乗算する。
【0057】
調整量gは、乗算を簡単にするため2のべき乗2- μが選ばれる。これにより第2の乗算器101のために簡単なシフトレジスタを用いることができる。
【0058】
さらに別の単純化は、エラー信号ベクトルの実数部Δai と虚数部Δbi のために単に極性符号だけを使用することにより達成される(これは式(2b)による簡単化されたアルゴリズムについてもあてはまる)。したがって第1の乗算器100が1bit演算に低減される。
【0059】
第2の乗算器101の出力信号は比較器103の負の入力側へ供給され、その出力側は遅延素子104を介して正の入力側にフィードバックされている。
【0060】
図3には、各判定器回路40,...,4nの入力側における妨害を補償する種々の方法に関してSN比(SNR= Signal-To-Noise-Ratio)が示されている。時間領域等化器と妨害抑圧がないと、−40〜−20dBのSNRは約1.1MHzまでの周波数領域に及ぶ。本発明による妨害補償方法(=妨害抑圧装置)によれば−70〜約−45dBのSNRとなり、このことは平均して25〜30dBの改善に相応する。32個の係数をもち復調器2の前段に接続されている時間領域等化器によれば、−70〜約−50dBのSNRとなる。
【0061】
図4には、離散的多周波変調により生成された信号における妨害の補償回路装置に関する第2の実施例が示されている。この場合、第1の実施例の素子と同じすべての素子には、やはり同じ参照符号が付されている。以下では、第1の実施例と第2の実施例との相違点についてのみ説明する。
【0062】
基準信号ベクトルのエラー信号ベクトルΔa0,Δb0 が装置200へ供給され、この装置によってエラー信号ベクトルが補正すべきチャネルに整合される。
【0063】
この目的でまずはじめにエラー信号ベクトルからエラー周波数特性のパラメータが計算され、これは次に別のチャネルの補正に用いられる。
【0064】
この回路装置を2次の系であるとみなすと、周波数領域等化器後のチャネルごとの妨害もしくはエラーの周波数特性は次式により計算される:
【0065】
【数6】
【0066】
この場合、パラメータc1 およびc2 は基準チャネル(たとえば0番目のチャネル)から上述の式に従い計算することができる:
【0067】
【数7】
【0068】
この式は複素数であるため、2つの未知のパラメータc1 およびc2 を計算するために2つの式すなわち実数の式と虚数の式が生じる。これにより、他のチャネルについてエラー周波数特性を分析的に計算することができ、個々のチャネルの補正に利用することができる。この方法において有利であるのは、伝送中に係数の整合が不要なことである。この場合、ただ1度だけ基準チャネルからパラメータc1およびc2を計算すればよく、これによって別のチャネルの周波数特性を計算することができる。このため適合時間が節約されることから収束の問題も発生しない。
【0069】
各チャネルにおけるパラメータc1 とc2 ならびにエラー周波数特性の計算後、周波数領域等化器前に補正されるときには1/FEQ_modにより修正され、、周波数領域等化器後に補正されるときにはFEQ/FEQ_modにより修正される。
【0070】
ついでそのように整合されたエラー信号ベクトルは、妨害補償のため加算器回路201,202によりn番目のチャネルに加算される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 離散的多周波変調により生成された信号における妨害を補償するための回路装置に関する第1の実施例を示す図である。
【図2】 エラー信号の重み付け係数を形成するための回路装置の1つの実施例を示す図である。
【図3】 判定器入力側におけるSN比のダイアグラムを示す図である。
【図4】 離散的多周波変調により生成された信号における妨害を補償するための回路装置に関する第2の実施例を示す図である。
Claims (9)
- サイクリックプレフィックスに起因して離散的多周波変調により生成された信号に発生する妨害の補償方法において、
前記サイクリックプレフィックスの期間では2線式線路の定常化過程は収まらず、
前記離散的多周波変調により生成された信号は複数の搬送波周波数を有しており、
各搬送波周波数は、周波数領域等化器(30;...;3n)により歪まされた信号ベクトル(a 0 ,b 0 〜a n ,b n )をもっていて、
複数の該信号ベクトル(a0,b0 〜an,bn)のうちの1つの信号ベクトルである基準信号ベクトル(a0,b0)からエラー信号ベクトル(Δa0,Δb0)を形成し、
該エラー信号ベクトルを前記複数の信号ベクトルにおける残りの信号ベクトル(an,bn)の各々に妨害補償のために加算し(12,13)、
前記基準信号ベクトル(a0,b0)以外、前記複数の信号ベクトル(a1,b1 〜an,bn)における信号ベクトルの各々に対し、調整可能な係数のセット(Caa n,Cba n,Cbb n,Cab n)を割り当て、該係数と前記エラー信号ベクトル(Δa0,Δb0)を加算(12,13)の前に乗算することを特徴とする、
サイクリックプレフィックスに起因して離散的多周波変調により生成された信号に発生する妨害の補償方法。 - 調整可能な係数(Caa n,Cba n,Cbb n,Cab n)を、該調整可能な係数(Caa n,Cba n,Cbb n,Cab n)の割り当てられる信号ベクトル(an,bn)を有する搬送波周波数の伝送条件に従い整合させる、請求項1記載の方法。
- 前記調整可能な係数(Caa n,Cba n,Cbb n,Cab n)をエラー最小化のため反復的アルゴリズムにより調整する、請求項2記載の方法。
- 前記調整可能な係数(Caa n,Cba n,Cbb n,Cab n)を平均二乗誤差アルゴリズムにより調整する、請求項3記載の方法。
- 基準信号ベクトル(a0,b0)を値の離散した基準信号ベクトル(a0′,b0′)にマッピングし、該値の離散した基準信号ベクトル(a0′,b0′)をエラー信号ベクトル(Δa0,Δb0)形成のため前記基準信号ベクトル(a0,b0)から減算する(6,7)、請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
- サイクリックプレフィックスに起因して離散的多周波変調により生成された信号に発生する妨害の補償回路において、
前記サイクリックプレフィックスの期間では2線式線路の定常化過程は収まらず、
前記離散的多周波変調により生成された信号は複数の搬送波周波数を有しており、
各搬送波周波数は、周波数領域等化器(30;...;3n)により歪まされた信号ベクトル(a 0 ,b 0 〜a n ,b n )をもっていて、
基準信号ベクトル(a0,b0)が第1の判定器回路(40)へ供給され、該判定器回路(40)により基準信号ベクトル(a0,b0)が値の離散した基準信号ベクトル(a0′,b0′)にマッピングされ、
エラー信号ベクトル(Δa0,Δb0)形成のため減算器回路(6,7)により、前記の基準信号ベクトル(a0,b0)と値の離散した基準信号ベクトル(a0′,b0′)が互いに減算され、
複数の加算器(12,13)へ前記エラー信号ベクトル(Δa0,Δb0)が供給され、該複数の加算器(12,13)により前記エラー信号ベクトル(Δa0,Δb0)が基準信号ベクトル(a0,b0)以外の残りの各信号ベクトル(an,bn)に加算され、
前記複数の加算器(12,13)の各々の前段に乗算器回路(8,9,10,11)が接続されており、該乗算器回路により前記エラー信号ベクトル(a0,b0)が調整可能な係数(Caa n,Cba n,Cbb n,Cab n)と乗算されることを特徴とする、
サイクリックプレフィックスに起因して離散的多周波変調により生成された信号に発生する妨害の補償回路装置。 - 前記調整可能な係数(Caa n,Cba n,Cbb n,Cab n)は調整量(102)によって調整可能である、請求項6記載の回路装置。
- 前記調整量(102)のために2のべき乗が選ばれる、請求項7記載の回路装置。
- サイクリックプレフィックスに起因して離散的多周波変調により生成された信号に発生する妨害の補償方法において、
前記サイクリックプレフィックスの期間では2線式線路の定常化過程は収まらず、
前記離散的多周波変調により生成された信号は複数の搬送波周波数を有しており、
各搬送波周波数は、周波数領域等化器(30;...;3n)により歪まされた信号ベクトル(a 0 ,b 0 〜a n ,b n )をもっていて、
複数の信号ベクトル(a0,b0 〜an,bn)のうちの1つの信号ベクトルである基準チャネルの基準信号ベクトル(a0,b0)からエラー信号ベクトル((Δa0,Δb0)を形成し、
前記基準チャネルのエラー信号ベクトル(Δa0,Δb0)から、まずはじめに前記基準チャネルのエラー周波数特性のパラメータc1,c2を計算し、
ついで前記基準チャネルのエラー信号ベクトル(Δa0,Δb0)から、前記複数の信号ベクトルにおける残りの信号ベクトル(an,bn)の妨害を近似的に計算し、
チャネルごとの妨害の計算を、
に従い計算し、
各チャネルに対するパタメータC1,C2およびエラー周波数特性の計算後、周波数領域等化前に補正するときにはエラー信号ベクトルを1/FEQ_modにより補正し、
周波数領域等化後に補正するときにはエラー信号ベクトルをFEQ/FEQ_modにより補正し、
ついで整合されたエラー信号ベクトルを、妨害補償のため加算回路(201,202)によりn番目のチャネルに加算することを特徴とする、
サイクリックプレフィックスに起因して離散的多周波変調により生成された信号に発生する妨害の補償方法。
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