JP3740638B2 - 膝ブレ−ス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は膝ブレ−スに関し、特に大腿部固定部と下腿部固定部とを回動可能に接合している枢着ジョイントを改良し、装着者の疾患に応じて矯正作用をなす膝ブレ−スに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、変形性膝関節症患者の膝関節矯正用膝ブレ−スは、ベルトを正視く字状に設けベルトの牽引力により膝を内外反中間位になるように構成したものや、下腿部固定部に複数のストラップを設けストラップの締着力で下腿部を矯正方向へ押し込み固定するように構成したものが存在している。
しかしながら、前記変形性膝関節矯正用膝ブレ−スは実際の使用結果、膝関節をベルトの牽引力で充分な矯正はできないという不具合を有していた。又、ストラップのみで脛骨を矯正する膝ブレ−スであると、ストラップ数が多くなり、ストラップの調整等に手間を要し装着作業等が煩雑で、またストラップによる矯正作用は不充分であるという不具合を有していた。
上記不具合を解消するために、近年、特公平6−139号公報や特許第3093269号に示す枢着部を改良した膝ブレ−スが開発されている。特公平6−139号公報記載のブレ−ス装置は、ヒンジ装置を横方向に長い長孔のガイド溝を設け、このガイド溝に沿って上下ブレ−スが横方向に移動可能に形成され、着用者の膝の曲げ運動を真似る運動をするように構成されている。
特許第3093269号の発明は何れも高位脛骨骨切り手術前後に膝を確実に保持しつつ、ある程度の膝の動きを許容しようとする着脱可能な膝ブレ−スに関するもので、従来のギブスによる膝の固定に代替するものである。特許第3093269号には2個の部分円形突起を有する内側支持板と部分円形突起を有する外側支持板との間に、前記円形突起と対応した形状の支持板を当接させて挟んで設け、この支持板に形成されているスロット(長孔)にボルトをスライド可能に設けて内外支持板を一体的に取り、傾斜角度を有する継ぎ手を介してア−ムと前記スロットを備えた支持板が接続され、継ぎ手の傾斜角度を所望の角度にすることによって傾きを制御可能にする発明と、円形突起を有する外側支持板間にヒンジ装置を設けこのヒンジ装置を膝関節の内側部に対向して配設使用し上下1対のア−ムが膝の外方へ回動するようにした発明と、回転継ぎ手を構成するスロットを備えた支持板の上下延設部とア−ムとを枢着した発明が開示されている。特許第3093269号開示の発明は、膝の屈曲の際、つまり膝関節への負荷が0の場合のみに上下1対のア−ムが膝の外側方へ回動し、ボルトが円形突起状支持板に穿設されたスロット内を支持板の膨出方向へ移動し、支持板高さ方向移動量と同一量をもって膝を上下反対方向に牽引する。膝伸展時、つまり立位で膝に負荷が掛かっている場合にはボルトはスロット内を外端方向へ下降し、上下1対のア−ムは略180°の角度をなし、大腿骨と脛骨への牽引作用はなくなる。そのため、膝屈曲時はア−ムの牽引力により大腿骨と脛骨とに間隙を生じ痛みが軽減するが、膝伸展時は牽引力がなくなるため膝に負荷がかかり大腿骨と脛骨との間隙が無くなり骨面が当接し、膝に痛みが生じる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記特公平6−139号公報開示の発明は長孔が横長に形成されているため、ストラップで大腿部と下腿部に固定的に取り付けられた上下のブレ−スは前記長孔の横方向長さ分移動しながら回動する。この場合、長孔若しくは軸の何れにも係止作用をなす部分を有していないため、ブレ−スは自在に動き、特定位置を中心として回動することが不可能である。そのため、ブレ−スに於ける枢着部が一定化しない場合が生じ、膝の運動の自由度は増すが、例えば内反膝や外反膝に対する適切な牽引や靱帯疾患に対する脛骨位置の抑制による矯正作用は充分ではないという問題点を有していた。
特許第3093269号はア−ムが膝の外側方へ回動した際に、ボルトが円形突起状支持板に形成されたスロット内を摺動し、ボルトが移動した支持板の高さと同一量をもって膝を牽引し、膝に負荷のかからないつまり膝関節にそれ程痛みを感じない膝屈曲時においてのみ膝関節に間隙を形成するようにし、膝に負荷がかかり膝関節が最も痛みを感じる膝伸展時には再び膝関節は間隙が無くなり大腿骨面と脛骨面が当接し、立位のときの牽引力外反回旋効果は全く無く、変形性膝関節症患者は屈曲と伸展の繰返しである歩行時に装着しても何等痛みは軽減されないことを理由に、長時間の装着が嫌になるという事態を招来していた。
本願発明は、上記状況下で創案されたもので、ギヤの動力伝達手段等を利用し変形性膝関節に対しては必要な部分のみを牽引矯正し、且つ回旋異常を併有している場合は牽引しながら正常な回旋に矯正し、又、靱帯疾患に対しては異常な脛骨の前進若しくは後退を正常な動きに矯正する未手術の膝に装着するための膝ブレ−スを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願発明のうち請求項1記載の発明は、装着者の大腿部と下腿部を夫々固定する大腿部固定部と下腿部固定部とを有し、装着者の膝の屈伸運動を可能にするために前記大腿部固定部と前記下腿部固定部とを装着者の膝の左右側面に位置する枢着ジョイントにより回動可能に接続した膝ブレ−スにおいて、装着者の大腿骨に沿わせて大腿部左右対向側面に固定される左右1対の第1、2のア−ムと、脛骨に沿わせて下腿部左右対向側面に固定される左右1対の第3、4のア−ムとを有し、前記第1、2のア−ムの下端部と対応する前記第3、4のア−ムの上端部とを枢着して上下2対のア−ムを形成し、装着者の膝の運動に対応して前記枢着部を中心として前記第3、4のア−ムが回動するように構成されてなり、ギヤと、該ギヤと噛合するラックを備え装着者の大腿骨若しくは脛骨の軸心に沿うガイド溝とが左右対となる前記ア−ムの端部に対向して設けられ、前記上下対となるア−ムは前記ギヤが前記ラックと噛合しながら前記ガイド溝内をスライド可能に枢着接続されてなることを特徴とする。
本願発明のうち請求項2記載の発明は、装着者の大腿骨に沿わせて大腿部側面に固定される上ア−ムと、脛骨に沿わせて下腿部側面に固定される下ア−ムと、ラックをガイド溝に沿わせてなる連結板と、弾性片とを有し、前記上ア−ム下端と前記下ア−ム上端に形成したギヤを前記ラックに噛合するように枢着し、該枢着部の枢軸に弾性片の両端を摺動可能に当接して前記連結板を介して接続された前記上下対のア−ムの端部を互いに離隔する方向に付勢するようにしたことを特徴とする。
本願発明のうち請求項3記載の発明は、上記ラックを備えたガイト溝が、互いに前後反対方向へ同一傾斜角度を有して傾斜して設けられてなることを特徴とする。
本願発明のうち請求項4記載の発明は、上記ギヤが歯元円の半径が異なる部分又は/及び歯の円周ピッチの異なる部分を設け、上記ラックが段差を有して形成され又は/及び前記ギヤの円周ピッチに対応して歯のピッチの異なる部分を設けてなることを特徴とする。
本願発明のうち請求項5記載の発明は、上記ギヤが円周ピッチの異なる複数のギヤを同心円に形成し、上記ラックには前記各ギヤ間の歯先円の半径の差分の段差を有すると共に、このラックと噛合するギヤの円周ピッチと同一ピッチの歯が形成されてなることを特徴とする。
本願発明のうち請求項6記載の発明は、装着者の大腿部と下腿部を夫々固定する大腿部固定部と下腿部固定部とを有し、装着者の膝の屈伸運動を可能にするために前記大腿部固定部と前記下腿部固定部とを装着者の膝の左右側面に位置する枢着ジョイントにより回動可能に接続した膝ブレ−スにおいて、装着者の大腿部を内側に収容可能な大腿部収容固定部の左右側面を下方へ延設して1対のギヤ取付片を設け、該ギヤ取付片の外側にギヤを固定的に対設し、装着者の下腿部を内側に収容可能な下腿部収容固定部の左右側面を上方に延設して1対のガイド溝形成片を設け、このガイド溝形成片にはラックを備えたガイド溝を装着者の脛骨の軸心線に対して直交して設け、前記ギヤが前記ラックと噛合しながら前記ガイド溝内をスライド可能にガイド溝に取付けられていることを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
図1(a)(b)は膝ブレ−スの要部の構成を示す分解斜視図、図2は膝ブレ−スの正面図、図3は装着状態を示す説明図、図4は膝関節外側部に配設されるヒンジ装置の作動状態を示す説明図、図5は膝関節内側部に配設されるヒンジ装置の作動状態を示す説明図である。これらの図に示される膝ブレ−スは膝の変形性膝関節症患者に対して矯正治療を目的として装着使用される右脚用膝ブレ−スであり、左右1対の第1、第2のア−ム1、2と、左右1対の第3、第4のア−ム3、4と、ヒンジ装置5、6と、ストラップ7、8、及び上下カフ9、10とより構成されている。
先ず、第1ア−ム1と第2ア−ム2は、捩じり荷重と曲げ荷重に抵抗するような剛性を有する材料を用い、装着者の大腿部11の左右対向側面に固定可能な幅狭で縦長な平板状に形成されている。第1ア−ム1と第2ア−ム2の上端部には上方に拡開すると共に後方に弧状に彎曲膨出する上カフ9の両端を取付け、第1ア−ム1と第2ア−ム2との離隔距離を装着者の大腿部11に対応したものにしている。上カフ9は摩擦抵抗力が上方から下方向には小さく、下方から上方向には著しく大きい材質のもの、例えば大腿部11との対向面に下方向に流れる細毛が密生した部材を用い、装着者の大腿部11の正背面何れか一面と当接すれば足りる。このように、上カフ9内側面の材質を上下2方向の摩擦抵抗力を互いに異ならしめたのは、膝屈曲時には上カフ9内側を円滑に大腿部11が下方に移動し、膝伸展時は大腿部11が上カフ9内側面の少なくとも一部と当接し、この当接面に大腿部11が上方へ作用し、つまり、大腿部11が上カフ9に対し上方に作用し、大腿骨を上方へ牽引しなければならないという理由による。ストラップ7は、装着者の大腿部11に膝ブレ−スを固定するための締着取付具である。第1ア−ム1の下端には連結板12がボルト13とナット14により固定的に取付けられている。連結板12には、第1ア−ム1の中心線の延長線上に沿う縦長なガイド溝15が穿設され、さらにガイド溝15の直線状後側溝縁に沿ってラック16が締着具17により取付けられている。ラック16はガイド溝15の曲線状後端縁に亘って設けてもよい。第2ア−ム2の下端には、装着者の足の内側面形状に対応するように下方に緩やかに外傾する角度調整板18をボルト33とナット34により固定的に取付けている。角度調整板18の外側面には、ギヤ19が回転しないようにボルト28とナット29で固定的に取付けられている。
第3ア−ム3と第4ア−ム4は、第1、2ア−ム1、2と同様に捩じり荷重と曲げ荷重に抵抗するような剛性を有する材料を用い、装着者の下腿部20の左右対向側面に固定可能に、幅狭で縦長な平板状に形成されている。第3ア−ム3と第4ア−ム4の下端部には前方に弧状に彎曲膨出する下カフ10の両端を取付け、第3ア−ム3と第4ア−ム4との離隔距離を装着者の下腿部20に対応したものにしている。ストラップ8は、装着者の下腿部20に膝ブレ−スを固定するための締着取付具である。ストラップ8と下カフ10は装着者の下腿部20に密接するように形成されている。下腿部20に対して大腿部11を上方に牽引するため下腿部20は支点としなければならないという理由による。第3ア−ム3の上端には、装着者の足の外側面形状に対応するように上方に緩やかに外傾する角度調整板21を固定的に取付け、角度調整板21の外側面にはギヤ22を回転しないようにボルト30とナット31で固定的に取付けている。第4ア−ム4の上端には連結板23をボルト24とナット25により固定的に取付けている。連結板23には、第4ア−ム4の中心線の延長線上に沿う縦長なガイド溝26が穿設されている。ガイド溝26の直線状前側溝縁に沿ってラック27が締着具32により取付けられている。
ガイド溝15、26内には、ギヤ22、19がラック16、27と夫々噛合しながらスライド可能に取付けられている。第1ア−ム1は第3ア−ム3と、第2ア−ム2は第4ア−ム4と夫々枢着接続されて上下2対のア−ムが形成されている。ガイド溝15、26内に於けるギヤ22、19の位置は、上下2対のア−ムが延伸状態の場合には最上位置に位置するように、ギヤ22、19はラック16、27と噛合して形成されている。
【0006】
次に、作用について説明する。図3に示すように、装着者の下腿部20の正面を下カフ10の背面と対向させ、大腿部11の背面を上カフ9の正面と対向させ、ヒンジ装置5、6が膝の左右両側面に位置するように膝ブレ−スの位置決め後、ストラップ7、8を大腿部11と下腿部20に夫々締着して下肢に膝ブレ−スを装着する。膝ブレ−スを装着した状態で装着者が膝を屈曲すると、第1ア−ム1及び第2ア−ム2がヒンジ装置5、6により後傾し、さらには伏すように回動する。上下2対のア−ムが延伸状態の場合は、ギヤ22、19のガイド溝15、26内に於ける位置は最上位置に位置しているが、第1ア−ム1及び第2ア−ム2が後方へ回動するとギヤ19や連結板12の位置が変化する。つまり、左右1対の第1、2ア−ム1、2を起きている状態から後傾し、さらには伏せると、ヒンジ装置5では、図4に示す通りラック16が連結板12と共に後傾移動し、この動力をラック16を介してギヤ22に伝達するが、ギヤ22は角度調整板21を介して第3ア−ム3に固着されているので、ラック16の動力を連結板12に伝達し連結板12をギヤ22に対して後方へ移動させ、ガイド溝15が移動してギヤ22をガイド溝15の第1ア−ム1側から反対方向へ位置させる。
又、図5に示すようにヒンジ装置6では、ギヤ19が角度調整板18及び第2ア−ム2と共に回動し、この動力をラック27に伝達するが、ラック27は第4ア−ム4に固着されているので、ギヤ19はラック27と噛合しながらガイド溝26内の最上位置からギヤ19の回動による円周移動量と同一距離分下方(第4ア−ム4側)へ移動する。
膝を屈曲状態から伸展状態へと移行する場合、第1ア−ム1及び第2ア−ム2はヒンジ装置5、6により回動し、伏した状態から起き上がる。まず、足の外側面に配設される第1ア−ム1と第3ア−ム3を連結するヒンジ装置5の作動状態を説明すると、第1ア−ム1に固着したガイド溝15を有する連結板12を第1ア−ム1と共に起き上がらせると、ラック16の動力をギヤ22に伝達するが、ギヤ22が角度調整板21に固着され回動しないように形成されているため、ラック16の動力を連結板12に伝達し連結板12を下方に移動させ、ギヤ22はガイド溝15内の最上位置に位置する。この場合、ガイド溝15内のギヤ22の位置は変化するが、連結板12の回動由来の変化であるため、第1ア−ム1下端と第3ア−ム3上端間の距離は殆ど変化しない。
又、ヒンジ装置6の作動状態を説明すると、第2ア−ム2が回動し起立する際に、第2ア−ム2に固着されているギヤ19が第2ア−ム2と共に回動する。ギヤ19は、ラック27と噛合しながらガイド溝26内を上方へ移動し、ガイド溝26内の最上位置に位置する。従って、第2ア−ム2の下端は、第4ア−ム4の上端から上方へ移動し離隔される。
本実施の形態の膝ブレ−スの装着により、ヒンジ装置5が配設されている膝関節外側部は大腿骨と脛骨を牽引せず、ヒンジ装置6が配設されている膝関節内側部は脛骨を固定した状態で大腿骨のみを上方へ牽引し、内反膝の特徴である大腿骨の脛骨への内側部の圧接状態を矯正する作用をなす。又、ヒンジ装置5が支点となって、ヒンジ装置6は下腿部20を前方から後方斜め上方へ回旋させる働きをなす。
又、歩行動作中に於ける膝が屈曲し下肢が前方へ振り出され踵が接地する動作では、上述の通り下腿部20は大腿部11に対して牽引、外反及び回旋する。そのため、上下1対のア−ム1、2、3、4は、ヒンジ装置5、6を支点とし反対方向にモ−メントを生じ反対方向に力が作用するが、ア−ム1、2、3、4は捩じり荷重と曲げ荷重に抵抗する材料よりなるので、僅かばかり捩れが生じる。次の歩行動作である踵及び足趾離床の動作では、反作用によりア−ム1、2、3、4には前記とは反対方向に力が作用し、下肢を蹴り出す方向に力が働き、装着者にとって歩行時の蹴り出し運動が楽になる。
【0007】
以上の図1〜図5に示される実施の形態では内反膝患者用の矯正用膝ブレ−スについて説明したが、ヒンジ装置5を膝の内側、つまり第2ア−ムと第4ア−ムとの接合部に配設し、ヒンジ装置6を膝の外側部、つまり第1ア−ムと第3ア−ムとの接合部に配設するように設けると、外反膝(X脚)を矯正するための膝ブレ−スになり、本発明にはこの外反膝矯正用の膝ブレ−スも包含される。ヒンジ装置5を膝関節の内側に、ヒンジ装置6を膝関節の外側に配設するように上下ア−ム間に設けた膝ブレ−スは、膝を屈曲した状態から伸展する状態に移行する際に、膝関節内側部は大腿骨と脛骨の何れも牽引せず、膝関節外側部は脛骨を固定した状態で大腿骨のみを上方へ牽引し、外反膝(X脚)の特徴である大腿骨の脛骨への外側部圧接状態を矯正する作用をなす。
【0008】
図6に示される実施の形態について説明する。図6(a)は左側視におけるヒンジ装置の作動状態を示す説明図、図6(b)は右側視におけるヒンジ装置の作動状態を示す説明図である。前述の図1〜図5に示される実施の形態と異なる点は、ラック16及びガイド溝15を備えた連結板12と、ラック27及びガイド溝26を備えた連結板23が、第1ア−ム1と第4ア−ム4の中心線の延長線に対して同一傾斜角度を有して前後反対方向に傾斜して第1ア−ム1と第4ア−ム4に夫々固定的に取付けている点である。このようにラック16、27を傾斜した構成にすると、膝の屈伸運動の際の異常な回旋を角度の微調整等をもって正常な回旋に矯正可能であるという効果がある。又、ラック16、27の何れか一方のみを傾斜させたものも本発明に含まれる。
【0009】
図7及び図8は、他の実施の形態のヒンジ装置を示す拡大説明図である。連結板35には、異なるピッチの歯が形成されたラック36、37が段差を有して取り付けられている。ガイド溝38内には、歯元円の半径が異なる部分を有し、且つこれらの各部分の円周ピッチの異なるギヤ39がラック36、37と夫々噛合するように取付けられている。
【0010】
図9及び図10は、他の実施の形態のヒンジ装置を示す説明図である。説明を簡単にするために前述の図7及び図8と同様の作用をなす部分は同一符号で説明する。連結板35には、段差を有し且つピッチの異なる歯を設けたラック40が取付けられている。ガイド溝38内には歯元円の半径が異なる部分を有し、且つこれらの各部分の円周ピッチの異なるギヤ39がラック40と噛合するように取付けられている。
【0011】
図11及び図12は、他の実施の形態のヒンジ装置を示す説明図である。ガイド溝38内には、同心円に設けたギヤ41、42を取付けている。ギヤ41、42には夫々円周ピッチの異なる歯が形成されている。ギヤ42はラック36と、ギヤ41はラック37と夫々噛合するように形成されている。
【0012】
図13及び図14は、他の実施の形態のヒンジ装置を示す説明図である。連結板35にラック43を取付け、ガイド溝38内に円周の一部分のみに歯を設けたギヤ44をラック43と噛合して形成されている。
【0013】
上述の図7〜図14に示されるラックやギヤの位置や大きさ等を変化させたヒンジ装置を図6に示される実施の形態のヒンジ装置として、ラックを反対方向へ同一傾斜角度を有して傾斜させて取付けると、回旋角度の微調整等を一層正確化することができ、装着者の疾患程度に応じた膝ブレ−スを提供することが可能になる。又、一方のラックのみを傾斜させたヒンジ装置にも上述の図7〜図14に示されるラックやギヤの位置や大きさ等を変化させたヒンジ装置を応用することができるのは勿論である。
【0014】
図15及び図16に示される実施の形態について説明する。ストラップ(図示省略)を有する大腿部収容固定部45の左右側面を下方へ延設してギヤ取付片46を対設する。ギヤ取付片46の外側にはギヤ47を回転不可能に固定的に取付けている。ストラップ(図示省略)を有する下腿部収容固定部48の左右側面を上方へ延設して1対のガイド溝形成片49を形成している。ガイド溝形成片49には、装着者の脛骨の軸心線に対して直交する横長なガイド溝50を穿設し、ガイド溝50の下側直線溝縁に沿ってラック51を設けている。大腿部収容固定部45が下腿部収容固定部48に対して略90°の角度を有して後傾している状態において、ギヤ47がガイド溝50内の後部に位置するようにギヤ47はラック51と噛合している。
図16を参照して作用について説明する。図16中、実線で示す大腿部収容固定部45が下腿部収容固定部48に対して後傾した状態から、大腿部収容固定部45と下腿部収容固定部48が延伸状態に移行する場合、ギヤ47は大腿部収容固定部45と共に図16中、矢印に示す方向に回動し、ラック51は下腿部収容固定部48と共に後退する。前十字靱帯が切断などの損傷を受けた膝は、膝を延ばす際に下腿部が前進しようとするが、本実施の形態に示す膝ブレ−スを装着すると、膝を伸展する際に下腿部収容固定部48が後退して下腿部を正常な位置になるように矯正することが可能である。
【0015】
図17に示される実施の形態について説明する。説明を簡単にするために、前述の図15及び図16と同様の作用をなす部分は同一符号を用いて説明する。1対のガイド溝形成片49に形成されたガイド溝50の上側直線溝縁に沿ってラック52を設けている。大腿部収容固定部45が下腿部収容固定部48に対して略90°の角度を有して後傾している状態において、ギヤ47がガイド溝50内の前部に位置するようにギヤ47はラック52と噛合している。
そして、ストラップ(図示省略)で膝ブレ−スを下肢に装着し、膝が屈曲した状態から伸展状態へと移行する場合、ギヤ47は大腿部収容固定部45と共に図17中の矢印で示す方向に回動し、ラック52は下腿部収容固定部48と共に前進する。後十字靱帯が切断等の損傷を受けた膝は、膝を伸展する際に下腿部が後退しようとするが、本実施の形態に示す膝ブレ−スを装着すると、膝を伸展する際に下腿部収容固定部48が下腿部を前進させるように働き、下腿部の異常な後退運動を矯正することが可能である。
【0016】
図18及び図19に示される実施の形態について説明する。上カフ(図示せず)とストラップ(図示せず)を有する上ア−ム62の下部にラック63を備えたガイド溝64を穿設している。下カフ(図示せず)とストラップ(図示せず)を有する下ア−ム65の端部にはラック63と噛合するギヤ66を形成し、側面にはフランジを有する枢軸67を設けている。上ア−ム62の下部は内側に差込み溝を設け、該差込み溝内に下ア−ム65の上端をギヤ66がラック63と噛合し、枢軸67がガイド溝64内を回動しながら摺動可能に取付けられている。
【0017】
【0018】
図20に示される実施の形態について説明する。上ア−ム68の下端と、下ア−ム69の上端にはギヤ70、71を形成している。連結板72には、ラック73を有する差し込み溝を内側に形成している。連結板72には長手方向に沿ってガイド溝74、75が穿設去れている。前記差し込み溝内には、ギヤ70、71とラック73が噛合し、且つ枢軸76、77がガイド溝74、75内を回動しながら摺動するように形成されている。連結板72には軸78を設け、軸78には弾性片79を巻着している。弾性片79の両端は枢軸76、77の周面に摺動可能に当接して上ア−ム68と下ア−ム69の端部を互いに離隔する方向に付勢するようにしている。
【0019】
以上の実施の形態においては、ギヤとラック、突起とガイド溝を用いて、大腿部収容固定部を牽引したり、若しくは牽引しながら回動させたり、若しくは下腿部収容固定部を回旋或は前進や後退をさせる膝ブレ−スを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなくこの原理を応用して例えば肘や肩関節用のブレ−スも本発明に包含され、又、同様の作用を有する膝ブレ−スはすべて本願発明に包含される。
【0020】
【発明の効果】
本発明は、上下1対のア−ムに左右相反する位置にギヤとラックを具備するガイド溝を設けているので、O脚やX脚等の変形性膝関節症患者に対して牽引のピ−ク時期を任意の角度で設定し、必要な値だけ必要な部分のみを牽引することができるという効果がある。
又、膝の側副靱帯損傷等や変形性膝関節症による内反位、外反位変形による大腿部と下腿部のなす異常角度を、より内外反中間位に矯正することができるという効果がある。
又、ギヤやラックの半径やピッチ等にバリエ−ションを有させることで、患者の個々の症状に対応した膝ブレ−スを提供することができるという効果がある。
又、ラックを傾斜させることで大腿骨を牽引しながら脛骨の回旋角度の微調整等を一層正確化することが可能であるという効果がある。
又、大腿部収容固定部下部に左右1対のギヤを対設し、下腿部収容固定部上部にラックを備えたガイド溝を設けることで、前後十字靱帯損傷等による下腿の異常な前進若しくは後退運動を矯正可能であるという効果がある。
又、大腿部収容固定部外側面に2個の突起を設け、下腿部収容固定部に前後方向に延びるガイド溝と、弧の中心が異なる部分を有するガイド溝とを設けることにより、痛みを感じる膝の回動範囲に於いては大腿骨を上方に牽引しながら回動することで痛みを軽減できるという効果がある。
又、本発明膝ブレ−スを使用することによって、手術時期を遅らせることができ、場合によっては手術をしなくて済むという多大な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】膝ブレ−スの要部の構成を示す分解斜視図である。
【図2】膝ブレ−スの正面図である。
【図3】膝ブレ−スの装着状態を示す説明図である。
【図4】膝関節外側部に配設されるヒンジ装置の作動状態を示す説明図である。
【図5】膝関節内側部に配設されるヒンジ装置の作動状態を示す説明図である。
【図6】ヒンジ装置の作動状態を示す説明図である。
【図7】ヒンジ装置を示す説明図である。
【図8】図7のA−A線断面図である。
【図9】ヒンジ装置を示す説明図である。
【図10】図10のB−B線断面図である。
【図11】ヒンジ装置を示す説明図である。
【図12】図11のC−C線断面図である。
【図13】ヒンジ装置を示す説明図である。
【図14】図13のD−D線断面図である。
【図15】膝ブレ−スの斜視図である。
【図16】膝ブレ−スの作動状態を示す側面図である。
【図17】膝ブレ−スの作動状態を示す側面図である。
【図18】ヒンジ装置を示す一部切欠説明図である。
【図19】図18のE−E線より見た図である。
【図20】膝ブレ−スの要部を示す一部切欠説明図である。
【符号の説明】
1 第1ア−ム
2 第2ア−ム
3 第3ア−ム
4 第4ア−ム
11 大腿部
15、26、38、50、64、74、75 ガイド溝
16、27、36、37、40、43、51、52、63、73 ラック
19、22、39、41、42、44、47、66、70、71 ギヤ
20 下腿部
45 大腿部収容固定部
46 ギヤ取付片
48 大腿部収容固定部
49 ガイド溝形成片
62、68 上ア−ム
65、69 下ア−ム
72 連結板
76、77 枢軸
79 弾性片
Claims (6)
- 装着者の大腿部と下腿部を夫々固定する大腿部固定部と下腿部固定部とを有し、装着者の膝の屈伸運動を可能にするために前記大腿部固定部と前記下腿部固定部とを装着者の膝の左右側面に位置する枢着ジョイントにより回動可能に接続した膝ブレ−スにおいて、
装着者の大腿骨に沿わせて大腿部左右対向側面に固定される左右1対の第1、2のア−ムと、脛骨に沿わせて下腿部左右対向側面に固定される左右1対の第3、4のア−ムとを有し、前記第1、2のア−ムの下端部と対応する前記第3、4のア−ムの上端部とを枢着して上下2対のア−ムを形成し、装着者の膝の運動に対応して前記枢着部を中心として前記第3、4のア−ムが回動するように構成されてなり、
ギヤと、該ギヤと噛合するラックを備え装着者の大腿骨若しくは脛骨の軸心に沿うガイド溝とが左右対となる前記ア−ムの端部に対向して設けられ、
前記上下対となるア−ムは前記ギヤが前記ラックと噛合しながら前記ガイド溝内をスライド可能に枢着接続されてなることを特徴とする膝ブレ−ス。 - 装着者の大腿骨に沿わせて大腿部側面に固定される上ア−ムと、脛骨に沿わせて下腿部側面に固定される下ア−ムと、ラックをガイド溝に沿わせてなる連結板と、弾性片とを有し、前記上ア−ム下端と前記下ア−ム上端に形成したギヤを前記ラックに噛合するように枢着し、該枢着部の枢軸に弾性片の両端を摺動可能に当接して前記連結板を介して接続された前記上下対のア−ムの端部を互いに離隔する方向に付勢するようにしたことを特徴とする膝ブレ−ス。
- 上記ラックを備えたガイト溝が、互いに前後反対方向へ同一傾斜角度を有して傾斜して設けられてなることを特徴とする請求項1記載の膝ブレ−ス。
- 上記ギヤが歯元円の半径が異なる部分又は/及び歯の円周ピッチの異なる部分を設け、上記ラックが段差を有して形成され又は/及び前記ギヤの円周ピッチに対応して歯のピッチの異なる部分を設けてなることを特徴とする請求項1、2又は3記載の膝ブレ−ス。
- 上記ギヤが円周ピッチの異なる複数のギヤを同心円に形成し、上記ラックには前記各ギヤ間の歯先円の半径の差分の段差を有すると共に、このラックと噛合するギヤの円周ピッチと同一ピッチの歯が形成されてなることを特徴とする請求項1、2又は3記載の膝ブレ−ス。
- 装着者の大腿部と下腿部を夫々固定する大腿部固定部と下腿部固定部とを有し、装着者の膝の屈伸運動を可能にするために前記大腿部固定部と前記下腿部固定部とを装着者の膝の左右側面に位置する枢着ジョイントにより回動可能に接続した膝ブレ−スにおいて、
装着者の大腿部を内側に収容可能な大腿部収容固定部の左右側面を下方へ延設して1対のギヤ取付片を設け、該ギヤ取付片の外側にギヤを固定的に対設し、装着者の下腿部を内側に収容可能な下腿部収容固定部の左右側面を上方に延設して1対のガイド溝形成片を設け、このガイド溝形成片にはラックを備えたガイド溝を装着者の脛骨の軸心線に対して直交して設け、前記ギヤが前記ラックと噛合しながら前記ガイド溝内をスライド可能にガイド溝に取付けられていることを特徴とする膝ブレ−ス。
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