JP3740924B2 - ウォータージェット推進艇における後進装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウォータージェット推進艇における推進装置の改良に関し、特に、前後進切換えを行なう後進装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種ウォータージェット推進艇における後進装置としては、特開昭58−170695号公報や特開平8−276895号公報に記載されているものがある。
【0003】
特開昭58−170695号公報の発明は、ノズルチューブの底面に開口部を形成し、この開口部の上下に開閉可能なる内側フラップと外側フラップを設けたものである。即ち、ノズルチューブの左右の側壁に設けた2本の操作レバーの一端に駆動シリンダーを、他端に内側フラップを一体に取付け、駆動シリンダーの伸縮により内側フラップを開閉させると共に、該内側フラップに外側フラップを回動自在に枢着し、該内側フラップを開閉させることにより外側フラップをノズルチューブに回動支点を有するリンク機構で開閉させて、船艇を前進・後進に切換える装置が開示されている。
【0004】
特開平8−276895号公報の発明では、操舵筒の上壁上方に油圧シリンダーを配設し、フラップを装着した作動軸を操舵筒上壁の下方に設け、操舵筒上壁の中央部に開口窓を設け、この開口窓からレバーを上方へ突出させ、レバーの上端は油圧シリンダーに、下端は前記作動軸に連結し、前記フラップとバケットとを連動作動させるための連動リンクを作動軸とバケットの間に設け、油圧シリンダーの伸縮により船艇を前進・後進に切換える装置が開示されている。
【0005】
【発明が解決しょうとする課題】
上記従来技術における船艇の後進装置では、以下のような問題点が有る。即ち、特開昭58−170695号公報に記載の発明では内側フラップは操作レバーと一体に構成しており、その回動支点は操作レバーの略中間部に設けられているので、前後進切換時には内側フラップ及び操作レバーに大きな力がかかるので相当な強度が必要となり、重量が重くなる。又、後進状態から前進状態に切換える際には、内側フラップにポンプからの全ての水圧が作用している為、この水圧に逆らって内側フラップを水平状態にして開口部を閉止するには大きな力を必要とし、駆動シリンダーの負担が大きくなる。
【0006】
又、特開平8−276895号公報に記載の発明では操舵筒の上部に開口窓が有り、後進時に噴出ノズルからの噴流が該開口窓から噴出するのを防止するため、遮蔽板を前記作動軸に設けている。しかしながら、遮蔽板を作動軸に固着しているため、フラップが水平状態となった前進時ではこの遮蔽板が噴流を該開口窓から外部に導出するような角度となる。このため、船艇の前進時、特に低速時においては噴出ノズルからの噴流の速度が遅くなり、縮少開口された噴出ノズルから噴射された海水は開放され直ちに拡散し始める。拡散した海水は前記遮蔽板を通じて開口窓から外部に噴出する。この時、開口窓から噴出した一部の海水はレバーに沿って上昇し、油圧シリンダー等の駆動装置へ飛散するので、これら駆動装置の腐食の恐れがある。又、上部のフラップは操舵筒の上壁の下方に内設してあり、フラップ及び作動軸の収納スペース分だけ操舵筒を大きくする必要があり、その分、重量も重くなる。又、上部のフラップとレバーを連結する軸に大きいトルクがかかるため、相当な強度が必要となり重量が重くなるという問題が有る。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係るウォータージェット推進艇の後進装置は、ウォータージェット推進艇の船底に開口した吸込口からポンプケーシングに水を吸込み、ウォータージェット推進装置により水を加圧し、船尾に設けた吐出ケーシングから加圧水を噴射させると共に、吐出ケーシングの噴出口の後端に左右に回動自在な四角形状のディフレクタを設け、該ディフレクタの後部開口を閉塞して進行方向を前進から後進に切換えるリバーサを配設したウォータージェット推進艇において、上記リバーサを上部リバーサと下部リバーサとで形成し、上部リバーサでディフレクタの上部壁面を構成し、下部リバーサでディフレクタの下部壁面を構成した。そして、この下部リバーサをディフレクタ側面で屈曲部に設けた支持ピンを回動支点とするくの字状レバーの一端と枢着し、レバーの他端は駆動シリンダーに連結している。又、下部リバーサは上部リバーサとリンクで連結しており、駆動シリンダーを伸長させることにより上部リバーサ及び下部リバーサはレバー及びリンク機構によってそれぞれ回動して略円弧状の後進流路を形成し、同時にディフレクタ底部が開口し、後進噴流の噴射口となるように構成する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は上述のように構成することにより、船艇を後進させる時には駆動シリンダーを伸長させることにより、支持ピンを支点とした回動自在なくの字状をしたレバーが回動する。このレバーの下端部と下部リバーサの後端部とを連結し、下部リバーサの中間部とディフレクタ底部の前端部とを小リンクで連結している。又、下部リバーサの小リンク連結ピンに大リンクの下端部を連結し、このリンクの上端部を上部リバーサの中間部に連結した。上部リバーサの前端部はディフレクタ上部で軸支しているので、レバーが回動することにより上下リバーサの後端部はディフレクタの内側方向へ回動し、後端部同士が密着する。さらに、下部リバーサの前端部が下方に回動することによって後進流の噴射口を形成する。上記のように上部リバーサと下部リバーサで略円弧状の曲線を描いた後進流路が形成される。このようにディフレクタの天壁及び底壁自体を上下リバーサとして構成しているので、ディフレクタの形状を小さくすることができ軽量化が可能となる。
【0009】
【実施例】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。まず、図1は本発明の後進装置を適用したウォータージェット推進艇1の一部を切断した側面図であり、船底2に開口した吸込口5からポンプケーシング6に水を吸込み、エンジン15で駆動しているウォータージェット推進装置4の羽根車(図示せず)によって水を加圧し、船尾3に取付けた吐出ケーシング8の後端部に設けたディフレクタ7の後部開口から加圧水を噴射するようにしてある。
【0010】
次に、図2〜図5に基づいて本発明の後進装置について詳述する。図2はウォータージェット推進装置4の側面図であり、このウォータージェット推進装置4によって加圧された水は吐出ケーシング8後端部の噴出口9からディフレクタ7へと噴射される。ディフレクタ7はピン16で左右に回動自在に支持されており、駆動装置(図示せず)によって左右に回動してウォータージェット推進艇1の進路を左右に変更することができる。ウォータージェット推進艇1の進行方向を前進から後進に切り換える場合にはリバーサ10、レバー11、駆動シリンダー12等で構成した後進装置を用いて後進流路を形成するものである。この後進装置の動作については図3〜図5に基づいて以下に説明する。
【0011】
図3はウォータージェット推進艇1が前進航走をしている状態のディフレクタ7の側断面図である。駆動シリンダー12はディフレクタ7の上部に配設し、この駆動シリンダー12のピストンロッド端12aをピン12bでくの字状をしたレバー11の上端部に連結している。駆動シリンダー12は小型船艇の後進装置ではディフレクタ7の上部センターに1ヶ所配設すればよく、比較的大型船艇の後進装置にはディフレクタ7の上部左右2ヶ所に配設するものである。駆動シリンダー12が1ヶ所の場合は左右のレバー11を1本のピン12bで連結し、このピン12bの中心部にピストンロッド端12aを取付ければよいものである。
【0012】
レバー11はくの字の折れ曲がり部で支持ピン11aを支点として回動自在になっており、レバー11の下端部と下部リバーサ10bの後端部とはピン10cによって連結している。そして、この下部リバーサ10bのやや前端寄りの中間部にリンク13aの下端部とリンク13bの後端部をピン10dによって連結している。リンク13bの前端部はディフレクタ7の底面前端部でピン7aによって連結している。又、リンク13aの上端部は上部リバーサ10aの中間部に固着してあるピン10eに連結している。そして、上部リバーサ10aの前端部は軸10fによってディフレクタ7の上部で軸支している。ディフレクタ7の天壁の後半部分を上部リバーサ10aで、底壁の後半部分を下部リバーサ10bで構成した図3の状態では上部リバーサ10a及び下部リバーサ10bはディフレクタ7の天壁及び底壁となって噴出口9からのジェット流をディフレクタ7の後部開口へとスムーズに誘導するものである。
【0013】
次に、前進航走から中立(停止)状態への動作を図4に基づいて説明する。駆動シリンダー12を伸長させることにより、レバー11の上端部は後方へ回動し、レバー11の下端部は前方へと回動する。そして、ピン10cはディフレクタ7の下部に設けた略山形状の切り欠き7bに沿ってディフレクタ7の内部方向へと移動する。すなわち、下部リバーサ10bの後端部もピン10cと一緒にディフレクタ7の内部方向へと移動するものである。そして、下部リバーサ10bの前端部はリンク13bによつて下方へと回動してゆき、噴射口14を形成する。さらに、上部リバーサ10aはリンク13aによって軸10fを支点としてディフレクタ7の内部方向へと回動してゆく。この時、ピン10eはディフレクタ7の側部に設けた円弧状の長孔7cに沿って移動する。そして、噴出口9からのジェット流の約半分が上部リバーサ10aの後端部と下部リバーサ10bの後端部の間から前進流としてディフレクタ7の後部開口から噴射され、残りの半分は上部リバーサ10aと下部リバーサ10bに導かれて噴射口14から後進流として斜め前方に噴射される。前進流と後進流との推力が均等になることにより、ウォータージェット推進艇1は停止状態となるものである。
【0014】
次に停止状態から後進状態への動作を図5に基づいて説明する。駆動シリンダー12を図4に示す中立状態からさらに伸長させることにより、上部リバーサ10aと下部リバーサ10bの後端部はディフレクタ7の内部で密着して略円弧状の後進流路を形成し、噴出口9からのジェット流は全量がこの後進流路に導かれて噴射口14から後進流となって噴出する。そして、後進状態から再び前進状態に切換える場合には駆動シリンダー12を縮少させればよいものである。又、図6に示す符号17はリンクカバーであり、ディフレクタ7の左右側面に配設している。このリンクカバー17はディフレクタ7の側部に設けた円弧状の長孔7cからジェット水の漏洩を防止するのと、リンク機構に水面の浮遊物が絡まって、リバーサ10が作動不能となる事態を防止したり、レバー11やリンク機構が風波の抵抗となることを減少する目的で取付けているものである。
【0015】
【発明の効果】
この発明の後進装置は上記のように構成したので、船艇の前後進切換時には上下リバーサでポンプからの水圧を分散しながらディフレクタ後部の噴出口を閉止したり開放したりするので、駆動シリンダーへの負荷が軽減される。又、ディフレクタの上部壁面と下部壁面とで上下リバーサを構成したので、ディフレクタ形状の小型化かつ軽量化が可能となった。そして、ディフレクタに設けたリンクカバーによってディフレクタ側面に配設しているレバーやリンク機構の突起物を遮蔽することにより風波の抵抗が軽減され、さらに、水面の浮遊物がレバーやリンク機構に絡みつき、運転不能になる事態を回避できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る後進装置を有するウォータージェット推進艇の一部を切断した側面図である。
【図2】本発明に係る後進装置を用いたウォータージェット推進装置の側面図である。
【図3】本発明に係るウォータージェット推進艇の前進状態におけるディフレクタの縦断面図である。
【図4】同じくウォータージェット推進艇の停止状態におけるディフレクタの縦断面図である。
【図5】 同じくウォータージェット推進艇の後進状態におけるディフレクタの縦断面図である。
【図6】本発明に係るウォータージェット推進艇におけるディフレクタの側面図である。
【符号の説明】
1 ウォータージェット推進艇
2 船底
3 船尾
4 ウォータージェット推進装置
5 吸込口
6 ポンプケーシング
7 ディフレクタ
7c 長孔
8 吐出ケーシング
9 噴出口
10 リバーサ
10a 上部リバーサ
10b 下部リバーサ
10d、10e ピン
11 レバー
11a 支持ピン
12 駆動シリンダー
13a、13b リンク
14 噴射口
17 リンクカバー
Claims (2)
- ウォータージェット推進艇(1)の船底(2)に開口した吸込口(5)からポンプケーシング(6)に水を吸込み、ウォータージェット推進装置(4)により水を加圧し、船尾(3)に設けた吐出ケーシング(8)から加圧水を噴射させると共に、吐出ケーシング(8)の噴出口(9)の後端に左右に回動自在な四角形状のディフレクタ(7)を設け、該ディフレクタ(7)の後部開口を閉塞して進行方向を前進から後進に切換えるリバーサ(10)を配設したウォータージェット推進艇(1)において、上記リバーサ(10)を上部リバーサ(10a)と下部リバーサ(10b)とで形成し、上部リバーサ(10a)でディフレクタ(7)の上部壁面を構成し、下部リバーサ(10b)でディフレクタ(7)の下部壁面を構成し、該ディフレクタ(7)の側面に支持ピン(11a)を設け、この支持ピン(11a)にくの字状のレバー(11)の屈曲部を回動自在に支架し、このレバー(11)の一端を下部リバーサ(10b)の後端部に枢着し、他端を駆動シリンダー(12)に回動自在に連結し、下部リバーサ(10b)の中間部又は前端部に設けたピン(10d)と噴射口(14)の前部下端とをリンク(13b)で回動自在に連結するとともに、上部リバーサ(10a)の前端部をディフレクタ(7)上部で軸支し、この上部リバーサ(10a)の中間部に設けたピン(10e)をディフレクタ(7)の側部に穿設した円弧状の長孔(7c)に挿入し、さらに下部リバーサ(10b)のピン(10d)と上部リバーサ(10a)のピン(10e)とをリンク(13a)で回動自在に連結して、駆動シリンダー(12)を伸長した時、リンク作用により下部リバーサ(10b)の後部が上方に回動し、同時に上部リバーサ(10a)の後部が下方に回動して略円弧状の後進流路を形成することを特徴とするウォータージェット推進艇における後進装置。
- 上記ディフレクタ(7)の側面にリンクカバー(17)を設けたことを特徴とする請求項1に記載のウォータージェット推進艇における後進装置。
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Applications Claiming Priority (1)
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| JP2000010029A JP3740924B2 (ja) | 2000-01-13 | 2000-01-13 | ウォータージェット推進艇における後進装置 |
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2000
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