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JP3741981B2 - 磁気検出素子及びその製造方法 - Google Patents
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JP3741981B2 - 磁気検出素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばハードディスク装置などの磁気再生装置やその他の磁気検出装置に搭載されるトンネル効果を利用した磁気検出素子に係り、特に再生出力や抵抗変化率の向上を適切に図ることが可能な磁気検出素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11は、従来におけるトンネル効果を利用した磁気検出素子(トンネル型磁気抵抗効果型素子)を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0003】
符号1は第1電極層であり、前記第1電極層1の上にPtMn合金などで形成された反強磁性層2、NiFe合金などで形成された固定磁性層3、Al23などで形成された絶縁障壁層4、NiFe合金などで形成されたフリー磁性層5からなる積層体9が形成されている。
【0004】
図11に示すように、前記積層体9のトラック幅方向(図示X方向)の両側であって、前記第1電極層1の上には、Al23などで形成された絶縁層6が形成され、前記絶縁層6の上にCoPtなどで形成されたハードバイアス層7が形成されている。
【0005】
そして前記ハードバイアス層7からフリー磁性層5上にかけて第2電極層8が形成されている。
【0006】
前記固定磁性層3の磁化は前記反強磁性層2との間で発生する交換結合磁界によってハイト方向(図示Y方向)に固定され、一方、フリー磁性層5の磁化は、前記ハードバイアス層6からの縦バイアス磁界によってトラック幅方向(図示X方向)に揃えられる。
【0007】
図11に示す磁気検出素子は、トンネル型磁気抵抗効果型素子と呼ばれる構造で、構造上の特徴としては、固定磁性層3とフリー磁性層5間に介在する層が、絶縁層で形成された絶縁障壁層4である点、電極層1、8が積層体9の上下に形成されている点である。
【0008】
図11に示すトンネル型磁気抵抗効果型素子は、トンネル効果を利用して抵抗変化を生じさせるものであり、固定磁性層3とフリー磁性層5との磁化が反平行のとき、最も前記絶縁障壁層6を介してトンネル電流が流れにくくなって、抵抗値は最大になり、一方、前記固定磁性層3とフリー磁性層5との磁化が平行のとき、最もトンネル電流は流れ易くなり抵抗値は最小になる。
【0009】
この原理を利用し、外部磁界の影響を受けてフリー磁性層5の磁化が変動することにより、変化する電気抵抗を電圧変化としてとらえ、記録媒体からの洩れ磁界が検出されるようになっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら図11に示す構造の磁気検出素子では以下のような問題点が生じた。
【0011】
今後の高記録密度化に伴い、前記フリー磁性層5の上面のトラック幅方向の幅寸法で規制されるトラック幅Twが小さくなっていくと、前記フリー磁性層5自体の大きさが小さくなっていくことで、前記フリー磁性層5にハードバイアス層7から縦バイアス磁界が供給されても、前記フリー磁性層5はトラック幅方向(図示X方向)に適切に単磁区化しにくく、また前記フリー磁性層5の反磁界の影響も強くなり、再生特性の安定性が低下した。
【0012】
これを解決するために、前記ハードバイアス層7の膜厚を厚くして強い縦バイアス磁界が前記フリー磁性層5に供給できるようにすることも考えられるが、これでは非常に小さい領域の前記フリー磁性層5の磁化が固着されやすく、外部磁界に対して感度良く磁化変動できなくなり再生出力が低下するといった問題が発生する。
【0013】
次に、図11に示すように前記積層体9のトラック幅方向の両側には絶縁層6が設けられている。前記絶縁層6は、前記電極層1、8から前記積層体9に流れる電流が、効果的に前記積層体9内を流れるようにするために設けられたものである。
【0014】
ところが、前記絶縁層6の上にはハードバイアス層7が形成されているため、前記電極層1、8から前記積層体9内に流れるべき電流の一部は、ハードバイアス層7に分流してしまう。そしてこの分流した電流はフリー磁性層5を介さずに絶縁障壁層4や固定磁性層3などに流れ込む。
【0015】
すなわち電流経路は電極層1、8から前記積層体9内に流れる正規ルートだけでなく、フリー磁性層5を介さずにハードバイアス層7に分流する電流ルートも生じ、これがシャントロスとなり、抵抗変化率(ΔR/R)の低下を招いた。
【0016】
例えば上記課題を解決するために、図12(図11の一部を拡大した部分断面図)に示すように、前記絶縁層6を前記フリー磁性層5の両側端面5a上にも厚い膜厚で形成することで、前記積層体9の両側端面は適切に前記絶縁層6によって覆われ、前記電極層1、8から前記ハードバイアス層7に分流する電流量を低減させることができるが、前記フリー磁性層5とハードバイアス層7間に厚い膜厚の絶縁層6が介在すると、前記ハードバイアス層7から前記フリー磁性層5に供給されるべき縦バイアス磁界が小さくなり、その結果、前記フリー磁性層5を単磁区化できなくなり再生特性の低下を招いてしまう。
【0017】
また上記したように今後の高記録密度化に伴い、トラック幅Twが狭くなると、前記積層体9の膜面と平行な方向(X−Yで形成される面)における面の面積は小さくなり、直流抵抗(DCR)が非常に高くなってしまい、再生出力の低下など再生特性の悪化を招いた。
【0018】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、フリー磁性層の磁化を整えるためのバイアス方式及び構造を適切に改良することで、今後の高記録密度化においても、再生出力や抵抗変化率の上昇など再生特性の向上を適切に図ることが可能な磁気検出素子及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明における磁気検出素子は、第1反強磁性層と、この第1反強磁性層の上面に形成され、前記第1反強磁性層との間で発生する交換結合磁界によって磁化が所定方向にされる固定磁性層と、前記固定磁性層の上面に形成された少なくとも絶縁障壁層を含むスペーサ層とを有する積層体と、
この積層体のトラック幅方向の両側に形成された絶縁層と、
前記スペーサ層の上面から前記絶縁層の上面にかけて形成され、磁化が前記固定磁性層と交叉する方向に揃えられたフリー磁性層と、前記フリー磁性層の上側に形成された第2反強磁性層とを有して成り、
前記積層体と膜厚方向に対向する位置での前記第2反強磁性層には、前記第2反強磁性層の上面から前記積層体方向に向けて凹部が形成され、
この凹部の下面のトラック幅方向における幅寸法が、前記積層体の上面のトラック幅方向における幅寸法より小さく形成され、
前記積層体の下側及び前記第2反強磁性層の上側に電極層が形成されていることを特徴とするものである。
【0020】
本発明は、従来のようにフリー磁性層のトラック幅方向における両側にハードバイアス層が設けられたハードバイアス方式を採用せず、前記フリー磁性層の上側に第2反強磁性層を設けたエクスチェンジバイアス方式を採用するものである。
【0021】
前記エクスチェンジバイアス方式であると、前記フリー磁性層のトラック幅方向における幅寸法をトラック幅Twよりも長く形成することができる。
【0022】
特に本発明では積層体上のみでなくその両側に形成された絶縁層上にもフリー磁性層を形成できる。
【0023】
このため前記トラック幅Twが今後の高記録密度化に伴って小さくされても、前記トラック幅Twの寸法に左右されることなく前記フリー磁性層の幅寸法を長く形成することができ、したがって前記フリー磁性層を適切に単磁区化することが可能になり、またフリー磁性層の反磁界の影響も弱くすることができ、今後のトラック幅Twの狭小化においても、感度に優れ、再生出力の向上を適切に図ることが可能な磁気検出素子を製造することが可能である。
【0024】
次に本発明では、反強磁性層、固定磁性層及びスペーサ層とを有してなる積層体のトラック幅方向の両側は絶縁層によって埋められている。
【0025】
従来では、前記フリー磁性層の両側にハードバイアス層があり、このハードバイアス層に分流した電流が、前記フリー磁性層を介さずに、絶縁障壁層や固定磁性層に流れたため、これがシャントロスとなり抵抗変化率の低下を招いたが、本発明では、ハードバイアス層自体がなく、また前記積層体の両側には絶縁層が埋められていることで、電極層から流れる電流は適切にフリー磁性層から前記積層体内を通り、したがって従来に比べて分流ロスが少なく抵抗変化率の向上を図ることが可能である。
【0026】
次に、本発明では、前記積層体の上面のトラック幅方向の幅寸法は、前記第2反強磁性層に形成された凹部下面のトラック幅方向の幅寸法(=トラック幅Tw)よりも大きく形成されている。
【0027】
すなわち本発明では、この積層体部分での膜面と平行な方向における面の面積をトラック幅Twの寸法に左右されることなく大きく形成することができ、したがって直流抵抗(DCR)を従来に比べて適切に低減させることができ、したがって再生出力の向上など再生特性の向上を図ることが可能である。
【0028】
本発明では、前記絶縁障壁層は、Al−OあるいはSi−O、またはAl−Si−Oで形成されることが好ましい。
【0029】
また本発明では、前記スペーサ層は、前記絶縁障壁層上にRu、Ir、Rh、Os、Re、Pt、Pdのうち少なくとも1種以上からなる保護層が積層された構成であることが好ましい。
【0030】
また本発明では、前記フリー磁性層上に、非磁性中間層及び強磁性層がこの順に形成され、さらに前記強磁性層上に前記第2反強磁性層が形成されていることが好ましい。
【0031】
この発明では、前記フリー磁性層、非磁性中間層及び強磁性層の3層で積層フェリ構造となっている。前記強磁性層は、凹部が形成されたそのトラック幅方向の両側における第2反強磁性層との間で発生する交換結合磁界によってトラック幅方向に磁化される。
【0032】
一方、前記フリー磁性層は、前記強磁性層との間で発生するRKKY相互作用による結合磁界によって、前記強磁性層の磁化方向とは反平行に磁化される。
【0033】
この実施形態では、前記凹部が形成されたそのトラック幅方向の両側の第2の反強磁性層下に形成された強磁性層、およびフリー磁性層の磁化は固定され、実質的に磁気抵抗効果に関与しない領域である。
【0034】
一方、前記凹部の下に形成されている強磁性層及びフリー磁性層の磁化は外部磁界によって反転することができる程度に弱く単磁区化された状態で、この領域が実質的に磁気抵抗効果に関与する領域となっている。
【0035】
上記のように、前記フリー磁性層の上に非磁性中間層、および強磁性層を積層した積層フェリ構造であると、前記フリー磁性層の磁化を安定した単磁区化構造にでき、再生出力の向上を適切に図ることが可能になる。
【0036】
なお本発明では、前記凹部は、前記強磁性層表面にまで達して形成され、前記凹部から前記強磁性層表面が露出していてもよいし、あるいは前記凹部は、前記非磁性中間層の表面にまで達して形成され、前記凹部から前記非磁性中間層表面が露出していてもよい。
【0037】
また本発明における磁気検出素子の製造方法は、以下の工程を有することを特徴とするものである。
(a)第1電極層の上に、第1反強磁性層、固定磁性層及び絶縁障壁層の順に積層された積層体を形成する工程と、
(b)前記積層体の上面にリフトオフ用のレジスト層を形成し、前記レジスト層に覆われていない前記積層体のトラック幅方向の両側端面を除去する工程と、
(c)前記積層体のトラック幅方向の両側に絶縁層を形成し、前記レジスト層を除去する工程と、
(d)前記絶縁層上から前記絶縁障壁層上にかけてフリー磁性層を形成し、さらに前記フリー磁性層上に第2反強磁性層を積層する工程と、
(f)前記第2反強磁性層上に、前記積層体と膜厚方向に対向する位置に穴部を有するマスク層を形成した後、この穴部から露出する前記第2反強磁性層を堀り込み、前記第2反強磁性層に凹部を形成し、このとき前記凹部の下面のトラック幅方向における幅寸法を、前記積層体上面のトラック幅方向における幅寸法より小さく形成する工程と、
(g)前記第2反強磁性層上に第2電極層を形成する工程。
【0038】
上記の製造方法によれば、前記フリー磁性層の上側に第2反強磁性層を形成し、エクスチェンジバイアス方式によって前記フリー磁性層をトラック幅方向に単磁区化させることができる。
【0039】
この方式によれば前記フリー磁性層を、ハードバイアス方式によって磁化させる場合に比べてトラック幅方向に長く延ばして形成することができ、前記フリー磁性層を前記第2反強磁性層との間で発生する交換結合磁界によって適切に単磁区化することができる。
【0040】
また前記フリー磁性層の下に形成される、第1反強磁性層、固定磁性層及び絶縁障壁層からなる積層体のトラック幅方向における両側を適切に絶縁層で埋めることができ、シャントロスが生じ難く抵抗変化率を適切に向上させることが可能な磁気検出素子を製造することができる。
【0041】
またトラック幅Twを、前記第2反強磁性層に形成される凹部の下面のトラック幅方向の間隔で規制でき、狭トラック化においても、前記積層体のトラック幅方向における幅寸法を、前記トラック幅Twの寸法に左右されることなく大きく形成することができる。したがって前記積層体の直流抵抗値(DCR)を適切に大きくすることができ、再生出力を従来に比べて大きくすることが可能な磁気検出素子を容易に形成することが可能である。
【0042】
従って本発明における磁気検出素子の製造方法によれば、高記録密度化においても再生出力や抵抗変化率など再生特性を適切に向上させることが可能な磁気検出素子を容易に製造することができる。
【0043】
また本発明では、前記(a)工程で、前記絶縁障壁層を、Al−OあるいはSi−OまたはAl−Si−Oからなる絶縁材料で形成することが好ましい。
【0044】
また本発明では、前記(a)工程で、前記固定磁性層上に、AlあるいはSiまたはAl−Siからなる層を前記固定磁性層上に形成した後、前記層を酸化してAl−OあるいはSi−OまたはAl−Si−Oからなる絶縁障壁層を形成することが好ましい。前記酸化には自然酸化、プラズマ酸化、ラジカル酸化、イオン酸化(ion−asist−oxidation;IAO)や、CVD法などを選択することができる。
【0045】
また本発明では、前記(a)工程で、前記絶縁障壁層上に、Ru、Ir、Rh、Os、Re、Pt、Pdのうち少なくとも1種以上からなる保護層を形成し、前記絶縁障壁層と前記保護層の2層でスペーサ層を構成することが好ましい。
【0046】
前記Al−Oなどで形成された絶縁障壁層が大気に曝されると、コンタミネーション(Contamination)などによるダメージによってバリア特性が損なわれ、抵抗変化率などの再生特性の低下を招きやすくなる。
【0047】
そこで本発明では、前記Al−Oなどで形成された絶縁障壁層を形成した後、連続してRuなどで形成された保護層をその上に形成し、前記絶縁障壁層が大気に曝されるのを適切に防いでいる。これによって前記絶縁障壁層上に保護層が形成された層構造を有する積層体が大気に曝されても、前記絶縁障壁層のバリア特性を適切に保つことが可能である。
【0048】
また本発明では、前記(d)工程で、前記フリー磁性層上に、非磁性中間層、強磁性層をこの順に積層した後、前記強磁性層上に前記第2反強磁性層を形成することが好ましい。
【0049】
また本発明では、前記(f)工程で、前記強磁性層表面が露出するまで前記第2反強磁性層を掘り込んでもよいし、あるいは前記第2反強磁性層の途中まで前記第2反強磁性層を掘り込んでもよい。ここで前記凹部下に一部残された前記第2反強磁性層の部分は、反強磁性としての機能が損なわれる程度に薄い膜厚であり、前記凹部下領域と前記フリー磁性層間(あるいは前記強磁性層間)で交換結合磁界が発生しないか、あるいは発生しても非常に弱い交換結合磁界であり、前記フリー磁性層(あるいは強磁性層)が強固に固定されることが無い。
【0050】
従って前記第2反強磁性層に形成された前記凹部下のフリー磁性層(及び強磁性層)を、適切に磁気抵抗効果を発揮し得る部分として機能させることができる。
【0051】
なお本発明では、前記マスク層を、無機材料で形成することが好ましい。
また本発明では、前記(d)工程ないし(g)工程に代えて以下の工程を有するものであってもよい。
(h)前記絶縁層上から前記絶縁障壁層上にかけてフリー磁性層を形成した後、前記フリー磁性層上に非磁性中間層を形成する工程と、
(i)前記積層体と膜厚方向に対向する位置での前記非磁性中間層上にリフトオフ用レジスト層を形成し、前記レジスト層に覆われていない前記非磁性中間層のトラック幅方向の両側に強磁性層及び第2反強磁性層を積層し、このとき、前記第2反強磁性層間から露出する前記非磁性中間層表面のトラック幅方向における幅寸法を、前記積層体上面のトラック幅方向における幅寸法より小さく形成する工程と、
(j)前記レジスト層を除去する工程。
【0052】
上記した(i)及び(j)工程を使用すると、上記した(f)工程における第2反強磁性層を掘り込む工程が必要無くなる。そして前記(i)及び(j)工程によれば、前記第2反強磁性層間に形成された凹部からは、前記非磁性中間層の上面が露出する形態を形成することができる。
【0053】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明における磁気検出素子(トンネル型磁気抵抗効果素子)を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0054】
図1に示す磁気検出素子の上下には、ギャップ層(図示しない)を介してシールド層(図示しない)が設けられており、前記磁気検出素子、ギャップ層及びシールド層を合わせてMRヘッドと呼んでいる。
【0055】
前記MRヘッドは、記録媒体に記録された外部信号を再生するためのものである。また本発明では、前記MRヘッドの上に記録用のインダクティブヘッドが積層されていてもよい。前記磁気検出素子の上側に形成されたシールド層(上部シールド層)は、前記インダクティブヘッドの下部コア層として兼用されていてもよい。
【0056】
また前記MRヘッドは、例えばアルミナ−チタンカーバイト(Al23−TiC)で形成されたスライダのトレーリング端面上に形成される。前記スライダは、記録媒体との対向面と逆面側で、ステンレス材などによる弾性変形可能な支持部材と接合され、磁気ヘッド装置が構成される。
【0057】
図1に示す符号20は、第1電極層である。前記第1電極層20が前記ギャップ層を兼ねていてもよいし、あるいは前記第1電極層20が磁性材料で形成されるときは、前記シールド層を兼ねていてもよい。なお前記第1電極層20は例えば、α−Ta、Au、Cr、Cu(銅)、Rh、Ir、RuやW(タングステン)などで形成されている。
【0058】
図1に示すように、前記第1電極層20上には、下地層21が形成され、前記下地層21の上にはシードレイヤ22が形成される。
【0059】
前記下地層21は、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち少なくとも1種以上の元素で形成されることが好ましい。また前記シードレイヤ22は、NiFeCr合金やCrなどで形成される。前記シードレイヤ22が形成されることで、その上に形成される各層の結晶粒径が大きくなり抵抗変化率の向上などを図ることが可能になる。
【0060】
前記シードレイヤ22の上には第1反強磁性層23が形成されている。前記第1反強磁性層23は、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成されることが好ましい。例えばPtMn合金などで形成される。
【0061】
あるいは本発明では、前記第1反強磁性層23は、X−Mn−X′合金(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Ir,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)で形成されてもよい。
【0062】
なお前記元素Xあるいは元素X+X′の組成比は、45(at%)以上60(at%)以下であることが好ましい。
【0063】
前記第1反強磁性層23の上には固定磁性層27が形成されている。この実施形態では前記固定磁性層27は積層フェリ構造で形成されている。
【0064】
図1に示すように、前記固定磁性層27は下から磁性層24、非磁性中間層25及び磁性層26の順に積層形成されている。ここで前記磁性層24、26は、例えばCoFe合金、CoFeNi合金、Co、NiFe合金などの磁性材料で形成される。また前記非磁性中間層25は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuなどの非磁性導電材料で形成されることが好ましい。
【0065】
図1に示す固定磁性層27では、前記磁性層24は前記第1反強磁性層23との間で発生する交換結合磁界によって例えば図示Y方向に固定される。一方、磁性層26は前記磁性層24との間で発生するRKKY相互作用における結合磁界によって図示Y方向とは逆の方向に磁化される。
【0066】
すなわち積層フェリ構造では、前記磁性層24と磁性層26とが互いに反平行状態に磁化されるのである。なお前記積層フェリ構造を構成するためには、前記磁性層24と磁性層26の単位面積当たりの磁気モーメント(飽和磁化Ms×膜厚t)が異なるようにしなければならない。例えば前記磁性層24と磁性層26が同じ材質で形成されるときは、前記磁性層24と磁性層26の膜厚を異ならせて形成する。
【0067】
図1に示すように、前記固定磁性層27の上にはスペーサ層48が形成される。この実施形態では前記スペーサ層48は下から絶縁障壁層28と保護層29との積層構造である。前記絶縁障壁層28は、Al−OあるいはSi−O、またはAl−Si−Oで形成された絶縁材料で形成されることが好ましい。前記絶縁障壁層28の材質を化学量論的に示せば、例えばAl−Oは、Al23で表され、Si−OはSiO2で表されることが好ましい。
【0068】
なお前記絶縁障壁層28の膜厚は5Å以上30Å以下であることが好ましい。これによって前記絶縁障壁層28内を適切にトンネル電流が流れ、トンネル磁気抵抗効果(TMR効果)を発揮することができる。
【0069】
次に本発明では、前記絶縁障壁層28の上には、Ru、、Ir、Rh、Os、Re、Pt、Pdのうち少なくとも一種以上で形成された保護層29が形成されている。
【0070】
この保護層29は、後で製造工程で詳しく説明するように、前記絶縁障壁層28を大気暴露によるコンタミなどや前記絶縁障壁層28や固定磁性層27などを酸化から保護するための層である。ただし前記保護層29は厚すぎるとトンネル磁気抵抗効果を低下させる原因ともなるため本発明では、前記保護層29は10Å以下で形成されることが好ましい。この程度の薄い膜であれば前記保護層29はトンネル磁気抵抗効果にほとんど影響を及ぼさず、高い抵抗変化率を得ることが可能である。
【0071】
なお前記保護層29の形成は本発明における必須の構成要件ではなく、前記保護層29が形成されないときは、スペーサ層48とは絶縁障壁層28のことを指す。
【0072】
図1に示すように、前記第1反強磁性層23から保護層29までの積層体30は、トラック幅方向(図示X方向)の両側端面30aが連続面となり、前記両側端面30aは、前記第1反強磁性層23側から前記保護層29側にかけて(図示Z方向)徐々に幅寸法が狭くなる傾斜面あるいは湾曲面として形成される。
【0073】
なお図1に示す実施形態では前記第1反強磁性層23の下側領域23aは、前記両側端面30aからさらにトラック幅方向(図示X方向)に延びて形成されているが、前記延出した下側領域23aの部分は除去されて、その除去された部分からシードレイヤ22、下地層21あるいは第1電極層20が露出していてもかまわない。
【0074】
なお前記第1反強磁性層23の下側領域23a上面から前記第1反強磁性層23上面までの膜厚は概ね100〜150Å程度である。
【0075】
図1に示すように前記積層体30のトラック幅方向(図示X方向)の両側には、絶縁層31、31が形成されている。前記絶縁層31はAl23やSiO2などの絶縁材料で形成される。
【0076】
なお前記絶縁層31の内側先端部31b、31bは、前記積層体30上に延出して形成されることが好ましい。これによって前記積層体30の両側領域を適切に絶縁状態にすることができる。なお前記絶縁層31の膜厚は概ね150Å程度である。
【0077】
本発明では図1に示すように、前記絶縁層31上から前記積層体30上にかけてフリー磁性層32が形成されている。前記フリー磁性層32は、例えばNiFe合金、CoFe合金、CoFeNi合金、Coなどで形成される。
【0078】
また前記フリー磁性層32は、磁性材料の積層構造で形成されてもよく、例えば下からCoFe合金膜、NiFe合金膜の順に積層された構造を提示することができる。前記CoFe合金を前記積層体30と接する側に形成することにより、前記スペーサ層48との界面での金属元素等の拡散を防止し、抵抗変化率(ΔR/R)を大きくすることができる。
【0079】
図1に示すように前記フリー磁性層32の上には、非磁性中間層33が形成され、その上には強磁性層34が積層される。前記非磁性中間層33は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuなどの非磁性導電材料で形成されることが好ましい。また前記強磁性層34は、NiFe合金、CoFe合金、CoFeNi合金、Coなどの磁性材料で形成される。
【0080】
さらに本発明では、図1に示すように前記強磁性層34の上には第2反強磁性層35が形成される。前記第2反強磁性層35は第1反強磁性層23と同様の反強磁性材料で形成されることが好ましい。具体的には前記第2反強磁性層35は、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成されることが好ましい。例えばPtMn合金などで形成される。
【0081】
あるいは本発明では、前記第2反強磁性層35は、X−Mn−X′合金(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Ir,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)で形成されてもよい。
【0082】
なお前記元素Xあるいは元素X+X′の組成比は、45(at%)以上60(at%)以下であることが好ましい。
【0083】
図1に示すように前記第2反強磁性層35には、前記積層体30と膜厚方向(図示Z方向)にて対向する位置の上面から前記積層体方向に向けて凹部35aが形成されている。
【0084】
図1に示す実施形態では、前記第2反強磁性層35と前記強磁性層34との間で発生する交換結合磁界によって前記強磁性層34の磁化はトラック幅方向(図示X方向)に固定されるが、前記第2反強磁性層35に形成された凹部35a下における強磁性層34の中央部Aは磁化が固定されておらず磁化変動できる程度に弱く磁化された状態になっている。
【0085】
上記したように前記第2反強磁性層35にはその中央部分に凹部35aが形成されており、この凹部35aが形成された部分での前記第2反強磁性層35の膜厚は非常に薄くなっている。例えば前記凹部35aが形成された位置での前記第2反強磁性層35の膜厚H1は10〜50Åである。このように前記凹部35aが形成された部分では前記第2反強磁性層35の膜厚H1が非常に薄く形成されているから、膜厚H1で形成された第2反強磁性層35と強磁性層34間にはほとんど交換結合磁界が発生しない状態になっており、したがって前記第2反強磁性層35に形成された凹部35a下における強磁性層34の中央部Aの磁化は強固に固定された状態には無い。一方、前記中央部Aの両側領域Bの強磁性層34は、その上に形成された厚い膜厚の第2反強磁性層35との間で十分な交換結合磁界が発生し、前記強磁性層34の両側領域Bの磁化は図示X方向に強固に固定された状態になる。
【0086】
一方、前記フリー磁性層32の磁化は、前記強磁性層34との間で発生するRKKY相互作用における結合磁界によって前記強磁性層34の磁化方向とは反平行に磁化される。
【0087】
前記フリー磁性層32の両側領域Cの磁化は、上記したRKKY相互作用による結合磁界によって強固に固定されるが、前記フリー磁性層32の中央部Dの磁化は外部磁界に対し変動できる程度に弱く磁化された状態になっており、外部磁界がこの磁気検出素子に流入してくると、前記フリー磁性層の中央部Dと強磁性層34の中央部Aの磁化が反平行状態を保ちながら変動し、固定磁性層27の固定磁化との関係で電気抵抗が変化することで、外部信号が再生されるようになっている。
【0088】
また図1に示すように、前記第2反強磁性層35の上にはTaなどで形成された保護層36が形成されている。なお前記保護層36は、前記第2反強磁性層35に形成された凹部35a内には形成されていない。
【0089】
そして前記保護層36上から前記第2反強磁性層35に形成された凹部35a内にかけて電極層(第2電極層)37が形成されている。前記電極層37は例えば、α−Ta、Au、Cr、Cu(銅)、Rh、Ir、RuやW(タングステン)などで形成されている。
【0090】
以上、図1の磁気検出素子を構成する各層について説明したが、以下では本発明における磁気検出素子の特徴的構造について説明する。
【0091】
(1)フリー磁性層32が絶縁層31上から積層体30上にかけて形成されており、前記フリー磁性層32のトラック幅方向(図示X方向)への幅寸法は、トラック幅Twよりも長く延ばされて形成されている。
【0092】
図1の実施形態において前記トラック幅Twは、前記第2反強磁性層35に形成された凹部35aの下面のトラック幅方向(図示X方向)における幅寸法で決定される。
【0093】
上記したように、前記凹部35aと膜厚方向で対向する位置にある前記フリー磁性層32の中央部Dが、外部磁界に対し磁化変動できる領域であり、この中央部Dのトラック幅方向における幅寸法は前記トラック幅Twとほぼ一致する。
【0094】
前記トラック幅Twは今後の高記録密度化に伴って益々小さくなる傾向にある。例えば前記トラック幅Twは0.1μm程度にまで狭小化される。
【0095】
このため従来のように前記フリー磁性層32のトラック幅方向における幅寸法がトラック幅Twで形成されると、前記フリー磁性層32が非常に小さくなってしまい、前記フリー磁性層32を適切に単磁区化することは非常に難しい。
【0096】
一方、本発明では前記トラック幅Twの寸法に左右されることなく前記フリー磁性層32のトラック幅方向における幅寸法を長く延ばして形成できる。そして前記フリー磁性層32のトラック幅Tw領域となる中央部D以外の両側領域C上側に厚い膜厚の第2反強磁性層35を形成した、いわゆるエクスチェンジバイアス方式を採用することで、前記両側領域Cの磁化を適切にトラック幅方向に固定できると共に、前記中央部Dを外部磁界に対し磁化変動できる程度に弱く単磁区化でき、トラック幅Twの狭小化においても感度に優れた磁気検出素子を製造することができる。
【0097】
特に本発明においては、前記フリー磁性層32を、積層体30の両側に形成された絶縁層31上にまで延ばして形成することが可能であるため、トラック幅Twの寸法のみならず前記積層体30の幅寸法にも左右されることなく前記フリー磁性層32の幅寸法を決定できるから、上記した前記フリー磁性層32の磁化制御をより適切に行うことが可能なのである。
【0098】
(2)第1反強磁性層23から保護層29まで形成された積層体30のトラック幅方向の両側には絶縁層31が形成されており、前記絶縁層から保護層29上にかけてフリー磁性層32が形成されている。
【0099】
このように前記積層体30のトラック幅方向の両側に絶縁層31が形成されていることで、電極層20、37から流れる電流は、フリー磁性層32を介して前記積層体30内部を適切に通過する。
【0100】
すなわち必ずフリー磁性層32から積層体30内部へ、あるいは前記積層体30内部からフリー磁性層32に電流が流れ、電流の分流が起こり難い構造となっている。
【0101】
これは前記フリー磁性層32の磁化制御を第2反強磁性層35を用いたエクスチェンジバイアス方式としたからである。従来では前記フリー磁性層32の磁化制御を、前記フリー磁性層32の両側にハードバイアス層を用いて行うハードバイアス方式を採用していたが、これでは前記電流がハードバイアス層に分流しやすく、いわゆるシャントロスの増大を招いていた。
【0102】
一方、本発明では、前記積層体30の両側を絶縁層31で埋めてしまうと共に、フリー磁性層32の磁化制御をエクスチェンジバイアス方式とすることで、上記の電流の分流は減り、シャントロスの低減によって抵抗変化率の向上を図ることが可能になる。
【0103】
(3)積層体30上面30bのトラック幅方向(図示X方向)における幅寸法T1は、トラック幅Twよりも大きい。
【0104】
図1に示すように前記積層体30の上面30b(Ru層29の上面)の幅寸法T1は、第2反強磁性層35に形成された凹部35aの下面の幅寸法で規制される、トラック幅Twよりも大きいことがわかる。
【0105】
このような寸法の大小関係を規制できるのは、トラック幅の規制と積層体の形成とを別々の工程で行うことができるからであり、このように本発明では、前記積層体30のトラック幅方向における幅寸法を前記トラック幅Twの寸法に左右されることなく自由に設定することが可能である。例えば前記上面30bのトラック幅方向における幅寸法T1は0.15μm以上で0.25μm以下であることが好ましい。またトラック幅Twは幅寸法T1より小さければよく、上記したように例えば0.1μm程度である。
【0106】
このように前記積層体30のトラック幅方向における幅寸法をトラック幅Twよりも大きく形成できることで、前記積層体30の膜面と平行な方向(図示X−Y平面と平行な方向)における断面積を従来に比べて大きく形成することができる。
【0107】
従って本発明では前記トラック幅Twの狭小化によっても直流抵抗値(DCR)を小さくすることができ、再生出力を従来に比べて大きくすることが可能である。
【0108】
以上のように本発明では、トラック幅Twの狭小化においても、感度に優れ、再生出力が高く、しかも抵抗変化率が大きい磁気検出素子(トンネル型磁気抵抗効果型素子)を適切且つ容易に製造することが可能である。
【0109】
次に前記第2反強磁性層35に形成された凹部35aの形状などについて以下に説明する。
【0110】
図1に示す実施形態では前記凹部35aの内側側面35b、35bは、下面35cから垂直方向(図示Z方向)に立ち上がって形成されているが、前記内側側面35bは、前記凹部35aの下面35cから上面に向うにしたがって徐々に前記内側側面35b間の間隔が広くなるような傾斜面あるいは湾曲面として形成されていてもかまわない。
【0111】
次に図1に示す実施形態では、前記凹部35aの下には第2反強磁性層35が一部残された状態になっており、前述したように、この凹部35a下での前記第2反強磁性層35の膜厚H1は非常に薄いために交換結合磁界が強磁性層34との間でほとんど発生しない状態になっている。
【0112】
ところで前記凹部35aは、前記第2反強磁性層35を例えばイオンミリングなどによって削ることで形成される。従ってイオンミリングでの削り量によって前記膜厚H1の寸法を適切に制御することができ、また前記削り量が多くなれば、前記凹部35aの部分での前記第2反強磁性層35は全て除去され強磁性層34表面が露出することもある。
【0113】
かかる場合、本発明では例えば点線で示すように前記強磁性層34表面も若干削られて、前記凹部35aの下面35cが、前記強磁性層34の上面34aより低い位置となる。
【0114】
さらに前記凹部35aが形成される位置での前記強磁性層34がすべて除去されて前記非磁性中間層33の表面が前記凹部35aから露出した状態であってもかまわない。
【0115】
ただし前記凹部35aが形成される位置での前記非磁性中間層33をも全て除去し、フリー磁性層32表面を前記凹部35aから露出させる形態でないことが好ましい。前記フリー磁性層32が露出することはすなわち凹部35aが形成される位置の非磁性中間層33がすべて除去されるということであり、このとき前記非磁性中間層33をすべて除去すると、フリー磁性層32までも一部削られてしまう。前記フリー磁性層32の中央部Dは実質的に磁気抵抗効果に関与する部分であるから、この部分での膜厚変動は、再生特性に大きく影響を及ぼすことになり、再生特性の劣化を招きやすくなる。また前記フリー磁性層32が露出し、その部分が外気などによって汚染されると再生特性の低下を招く。
【0116】
従って前記フリー磁性層32表面は露出しないように、少なくとも前記フリー磁性層32上に非磁性中間層33が残るようにイオンミリング時間などを調整して、前記凹部35aを形成する必要がある。
【0117】
図2は本発明における第2実施形態の磁気検出素子(トンネル型磁気抵抗効果型素子)の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。なお図1と同じ符号が付けられている層は図1と同じ層を示している。
【0118】
図2に示す実施形態では、積層体30構造、前記積層体30のトラック幅方向(図示X方向)の両側に絶縁層31が形成されている点、さらに前記絶縁層31から積層体30上にかけてフリー磁性層32が形成され、前記フリー磁性層32の上に非磁性中間層33が形成されている点は、図1と同じである。
【0119】
図2において図1と異なるのは、図2では、第2反強磁性層41及び強磁性層40に形成された凹部41aが、非磁性中間層33上まで形成され、前記凹部41aから前記非磁性中間層33表面が露出している点である。
【0120】
上記のように図1の場合でも前記凹部35aから前記非磁性中間層33表面を露出させることは可能であるが、図1に示す凹部35aの形成は、イオンミリングなどによって削り込むことで行なわれるため、前記凹部35aから露出した前記非磁性中間層33表面も一部削られてその部分での膜厚は薄くなりやすい。
【0121】
図2の場合においては、非磁性中間層33上に図2の形状の強磁性層40及び第2反強磁性層41をレジストを用いて形成することで前記第2反強磁性層41間に前記凹部41aを形成しており、イオンミリングでの削り込みで前記凹部41aの形成が行なわれているわけではない。図2の製造方法については後で詳しく説明する。
【0122】
従って図2では、前記凹部41aから露出した非磁性中間層33表面に削られた跡はなく平らであり、前記凹部41a下での前記非磁性中間層33の膜厚は、他の位置での前記非磁性中間層33の膜厚とほぼ同じである。また前記非磁性中間層33表面は、前記凹部41aから露出する部分も含めてほぼ平坦化面として形成されている。
【0123】
図2に示す実施形態では、前記非磁性中間層33上に形成された強磁性層40及び第2反強磁性層41の内側端面42は、下面から上面(図示Z方向)に向うにしたがって、徐々に前記内側端面42、42間の間隔が広がる傾斜面あるいは湾曲面として形成されている。
【0124】
図2に示す実施形態でも図1と同様に、フリー磁性層32が絶縁層31上から積層体30上にかけて形成されており、前記フリー磁性層32のトラック幅方向(図示X方向)への幅寸法は、トラック幅Twよりも長く延ばされて形成されている。
【0125】
そして前記フリー磁性層32のトラック幅Tw領域となる中央部D以外の両側領域Cの上側に厚い膜厚の第2反強磁性層41を形成した、いわゆるエクスチェンジバイアス方式を採用することで、前記両側領域Cの磁化を適切にトラック幅方向に固定できると共に、前記中央部Dを外部磁界に対し変動できる程度に弱く単磁区化でき、トラック幅Twの狭小化においても感度に優れた磁気検出素子を製造することができる。
【0126】
また第1反強磁性層23から保護層29まで形成された積層体30のトラック幅方向(図示X方向)の両側には絶縁層31が形成されており、前記絶縁層31から保護層29上にかけてフリー磁性層32が形成されている。
【0127】
このように前記積層体30のトラック幅方向の両側に絶縁層31が形成されていることで、電極層20、37から流れる電流は、前記積層体30内部を適切に通過する。
【0128】
すなわち本発明では、前記積層体30の両側を絶縁層31で埋めてしまうと共に、フリー磁性層32の磁化制御を第2反強磁性層41を用いたエクスチェンジバイアス方式とすることで、電流がフリー磁性層32から積層体30に流れる経路以外に分流することが減り、いわゆるシャントロスの低減によって抵抗変化率の向上を図ることが可能になる。
【0129】
また本発明では、前記積層体30上面30bのトラック幅方向(図示X方向)における幅寸法は、トラック幅Twよりも大きい。
【0130】
本発明では、前記積層体30の上面の幅寸法によってトラック幅Twを規制しているのではなく、前記トラック幅Twは前記積層体30の上面30bの幅寸法とは無関係に決定される。
【0131】
従って本発明では、前記積層体30のトラック幅方向における幅寸法を前記トラック幅Twの寸法に左右されることなく自由に設定することが可能である。そして本発明のように前記積層体30のトラック幅方向における幅寸法をトラック幅Twよりも大きく形成できることで、前記積層体30の膜面と平行な方向(図示X−Y平面と平行な方向)における断面積を従来に比べて大きく形成することができる。
【0132】
従って本発明では前記トラック幅Twの狭小化によっても直流抵抗値(DCR)を小さくすることができ、再生出力を従来に比べて大きくすることが可能である。
【0133】
以上のように本発明では、トラック幅Twの狭小化においても、感度に優れ、再生出力が高く、しかも抵抗変化率が大きい磁気検出素子(トンネル型磁気抵抗効果型素子)を適切且つ容易に製造することが可能である。
【0134】
なお図1及び図2に示す実施形態では、いずれもフリー磁性層32の両側領域Cの部分が非磁性中間層33と強磁性層34との積層フェリ構造とされており、前記積層フェリ構造と第2反強磁性層とを組み合わせた、いわゆるシンセティック・フェリ・カップリング(synthetic ferri coupling)のエクスチェンジバイアス方式となっている。
【0135】
図3は本発明における第3実施形態の磁気検出素子(トンネル型磁気抵抗効果型素子)の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。なお図1と同じ符号が付けられている層は図1と同じ層を示している。
【0136】
図3に示す実施形態では図1と異なり、フリー磁性層32上と第2反強磁性層35間に非磁性中間層33及び強磁性層34が形成されていない。
【0137】
すなわち図3では、前記フリー磁性層32上に直接、第2反強磁性層35が形成されている。そして前記第2反強磁性層35とフリー磁性層32間に発生する交換結合磁界によって前記フリー磁性層32はトラック幅方向(図示X方向)に磁化される。
【0138】
ここで前記第2反強磁性層35に形成された凹部35aの下面のトラック幅方向における幅寸法は、トラック幅Twとして規制され、前記凹部35a下に残された第2反強磁性層35の膜厚H1は非常に薄くなっている。そしてこの部分では前記第2反強磁性層35とフリー磁性層32間でほとんど交換結合磁界が発生せず、前記凹部35a下に位置するフリー磁性層32の中央部Dの磁化がトラック幅方向に強固に固定されることはない。
【0139】
一方、前記フリー磁性層32の中央部Dのトラック幅方向の両側に位置する両側領域C、Cでは、その上に形成された厚い膜厚の第2反強磁性層35との間で大きな交換結合磁界が発生するため前記両側領域C、Cの磁化はトラック幅方向に固定された状態にある。
【0140】
前記フリー磁性層32の中央部Dのトラック幅方向における幅寸法は、前記凹部35aの下面の幅寸法で決定されるトラック幅Twとほぼ同じ幅寸法を有し、前記フリー磁性層32の両側領域Cの磁化が図示X方向に固定されたことで、前記フリー磁性層32の中央部Dの磁化が図示X方向に揃えられる。
【0141】
図3に示す実施形態でも図1と同様に、フリー磁性層32が絶縁層31上から積層体30上にかけて形成されており、前記フリー磁性層32のトラック幅方向(図示X方向)への幅寸法は、トラック幅Twよりも長く延ばされて形成されている。
【0142】
そして前記フリー磁性層32のトラック幅Tw領域となる中央部D以外の両側領域C上に第2反強磁性層35を形成した、いわゆるエクスチェンジバイアス方式を採用することで、前記両側領域Cの磁化を適切にトラック幅方向に固定できると共に、前記中央部Dを外部磁界に対し変動できる程度に弱く単磁区化でき、トラック幅Twの狭小化においても感度に優れた磁気検出素子を製造することができる。
【0143】
また第1反強磁性層23から保護層29まで形成された積層体30のトラック幅方向の両側には絶縁層31が形成されており、前記絶縁層から保護層29上にかけてフリー磁性層32が形成されている。
【0144】
このように前記積層体30のトラック幅方向の両側に絶縁層31が形成されていることで、電極層20、37から流れる電流は、前記積層体30内部を適切に通過する。
【0145】
すなわち本発明では、前記積層体30の両側を絶縁層31で埋めてしまうと共に、フリー磁性層32の磁化制御を第2反強磁性層35を用いたエクスチェンジバイアス方式とすることで、電流がフリー磁性層32から積層体30に流れる経路以外に分流することが減り、いわゆるシャントロスの低減によって抵抗変化率の向上を図ることが可能になる。
【0146】
また本発明では、前記積層体30上面30bのトラック幅方向(図示X方向)における幅寸法は、トラック幅Twよりも大きい。
【0147】
本発明では、前記積層体30の上面の幅寸法によってトラック幅Twを規制しているのではなく、前記トラック幅Twは前記積層体30の上面30bの幅寸法とは無関係に決定される。
【0148】
従って本発明では、前記積層体30のトラック幅方向における幅寸法を前記トラック幅Twの寸法に左右されることなく自由に設定することが可能である。そして本発明のように前記積層体30のトラック幅方向における幅寸法をトラック幅Twよりも大きく形成できることで、前記積層体30の膜面と平行な方向(図示X−Y平面と平行な方向)における断面積を従来に比べて大きく形成することができる。
【0149】
従って本発明では前記トラック幅Twの狭小化によっても直流抵抗値(DCR)を小さくすることができ、再生出力を従来に比べて大きくすることが可能である。
【0150】
以上のように本発明では、トラック幅Twの狭小化においても、感度に優れ、再生出力が高く、しかも抵抗変化率が大きい磁気検出素子(トンネル型磁気抵抗効果型素子)を適切且つ容易に製造することが可能である。
【0151】
図4ないし図8は、本発明における磁気検出素子の製造工程図である。各図は、磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0152】
図4に示す工程では、下から第1電極層20、下地層21、シードレイヤ22、第1反強磁性層23、固定磁性層27、絶縁障壁層28と保護層29からなるスペーサ層41を連続成膜する。成膜工程にはスパッタや蒸着が使用される。
【0153】
本発明では前記第1電極層20には、α−Ta、Au、Cr、Cu(銅)、Rh、Ir、RuやW(タングステン)、下地層21には、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち少なくとも1種以上の元素、シードレイヤ22にはNiFeCr合金やCrなど、第1反強磁性層23には、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料、あるいはX−Mn−X′合金(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Ir,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)を用いて形成することが好ましい。
【0154】
なお図4に示す製造工程で用いている下地層21及びシードレイヤ22は設けてもよいし設けなくてもどちらでもよい。
【0155】
次に固定磁性層27は積層フェリ構造と呼ばれる構造で、磁性層24、26間に非磁性中間層25が介在した3層構造となっている。本発明では前記磁性層24、26をCoFe合金、CoFeNi合金、Co、NiFe合金などの磁性材料で形成することが好ましい。また前記非磁性中間層25をRu、Rh、Ir、Cr、Re、Cuなどの非磁性導電材料で形成することが好ましい。
【0156】
また適切な積層フェリ構造を得るには、前記磁性層24と磁性層26との単位面積当たりの磁気モーメント(飽和磁化Ms×膜厚t)を異ならせる必要がある。例えば前記磁性層24及び磁性層26に同じ材質を使用した場合には、前記磁性層24及び磁性層26の膜厚を異なる膜厚で形成する。
【0157】
なお前記第1反強磁性層23及び固定磁性層27を成膜した後、熱処理を施して前記第1反強磁性層23と固定磁性層27間に交換結合磁界を発生させ、前記固定磁性層27をハイト方向に磁化する。前記固定磁性層27を構成する磁性層24、26の磁化は互いに反平行状態にされる。またこの熱処理をいつ行うかは任意であり、例えば保護層29まで形成した後に行ってもよいし、固定磁性層までを成膜した段階で行ってもよい。
【0158】
また本発明では前記絶縁障壁層28をAl−OやSi−OまたはAl−Si−Oからなる絶縁材料で形成することが好ましい。化学量論的に示せば、Al23やSiO2などの絶縁材料で前記絶縁障壁層28を形成する。
【0159】
例えば前記絶縁障壁層28をAl−Oで形成するには前記固定磁性層27上にAlからなる層を形成し、次に前記Al層を酸化することが好ましい。酸化には、自然酸化、プラズマ酸化、ラジカル酸化、イオン酸化(ion−asist−oxidation;IAO)や、CVD法などを選択することができる。
【0160】
ところで本発明では前記絶縁障壁層28の上に保護層29が設けられている。前記保護層は、Ru、Ir、Rh、Os、Re、Pt、Pdのうち少なくとも1種以上からなることが好ましい。前記保護層29を設けることで、図4からなる膜構成の磁気検出素子を別の装置内に移動させるときに前記磁気検出素子が大気に曝されても前記絶縁障壁層28の大気暴露によるダメージを抑制することができる。
【0161】
仮に前記Ru層29が無いときは、絶縁障壁層28には、大気暴露によってコンタミネーションなどが発生しバリア特性の低下を招く。また絶縁障壁層28や固定磁性層27などが酸化されやすくなり再生特性の劣化を招く。
【0162】
従って前記Ruなどからなる保護層29を前記絶縁障壁層28上に設けることで、前記絶縁障壁層28のバリア特性の低下などを防ぐことができる。
【0163】
なお図4に示す磁気検出素子が大気暴露されないときなどは、前記保護層29を設ける必要はなく、図4に示す最上層が絶縁障壁層28となる。
【0164】
また図4においては、前記絶縁障壁層28と保護層29とは明確な2層構造として表されているが、後工程での熱処理などによって前記絶縁障壁層28と保護層29とが熱拡散を起す可能性があり、かかる場合、前記絶縁障壁層28と保護層29との界面は不明確になるものと考えられる。ただし組成分析によってスペーサ層41の中に、Al23などの絶縁材料とRuなどが入り交じっていれば、成膜当初は、図4のように2層構造として成膜されたものと推定することができる。
【0165】
次に図5に示す工程では図4に示す保護層29上にリフトオフ用のレジスト層45(図5を参照)を形成する。
【0166】
そして前記レジスト層45に覆われていない、反強磁性層23から保護層29までの積層体30のトラック幅方向(図示X方向)の両側領域をイオンミリングなどで除去する。図5では、除去された部分が点線で示されている。
【0167】
また図5に示す工程で、前記レジスト層45下に残された積層体30のトラック幅方向(図示X方向)における両側端面30aは、下方から上方(第1反強磁性層23側から保護層29側)に向うにしたがって前記積層体30のトラック幅方向への幅寸法が徐々に小さくなる傾斜面あるいは湾曲面として形成される。
【0168】
なお前記レジスト層45の大きさであるが、前記レジスト層45の下に残される積層体30上面30bのトラック幅方向における幅寸法T1が0.15μm以上で0.25μm程度になるように前記レジスト層45の大きさを調整する。
【0169】
また図5では、前記積層体30の第1反強磁性層23の下側領域23a、23aは前記両側端面30aよりもさらに図示X方向に延びて形成されているが、この延出した下側領域23aも全て除去され、前記第1反強磁性層23が略台形状で形成されていてもよい。かかる場合は、除去された前記積層体30のトラック幅方向の両側からシードレイヤ22、下地層21あるいは第1電極層20のいずれかの層表面が露出する。
【0170】
次に図6に示す工程では、図5に示す積層体30のトラック幅方向における両側領域に絶縁層31を成膜する(図6を参照のこと)。前記成膜にはスパッタ法や蒸着法などが使用される。
【0171】
本発明では前記絶縁層31をAl23やSiO2などの絶縁材料で形成することが好ましい。
【0172】
また図6に示す絶縁層31の上面が前記積層体30の上面と同程度の位置となるように前記絶縁層31を成膜し、このとき前記積層体30の両側端面30aの一部が露出しないようにする。前記積層体30の両側端面30aの一部が露出すると分流ロスの原因となりやすいからである。
【0173】
前記積層体30の両側端面30aを完全に前記絶縁層31によって埋めるには、図6に示すように前記絶縁層31の内側先端部31bを、リフトオフ用のレジスト層45の下面に形成された切欠部45a下に入り込ませ、前記内側先端部31aが前記積層体30の上面に乗るように形成する。
【0174】
このように前記レジスト層45に形成された切欠部45a下に絶縁層31の内側先端部31bを入り込ませるには、前記絶縁層31のスパッタ成膜時に、スパッタ角度を第1電極層20下の基板(図示しない)に対し垂直方向(図示Z方向)からやや斜めに傾けてスパッタ成膜を行う。
【0175】
また前記絶縁層31の成膜時に、前記絶縁層31を構成する絶縁材料31aが前記レジスト層35の周囲にも付着する。そして前記リフトオフ用レジスト層45を除去する。
【0176】
次に図7に示す工程では、前記絶縁層31上から前記積層体30上にかけてフリー磁性層32、非磁性中間層33、強磁性層34、第2反強磁性層35及び保護層36を連続成膜する。
【0177】
本発明では前記フリー磁性層32をCoFeNi合金、CoFe合金、Co、NiFe合金などの磁性材料で、前記非磁性中間層33を、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuなどの非磁性導電材料で、前記強磁性層34を、NiFe合金、CoFe合金、CoFeNi合金、Coなどの磁性材料で、前記第2反強磁性層35を、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料あるいはX−Mn−X′合金(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Ir,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)などで、前記保護層36をTaなどで形成することが好ましい。
【0178】
次に熱処理を施して前記第2反強磁性層35と強磁性層34間に交換結合磁界を発生させ、前記強磁性層34をトラック幅方向(図示X方向)に磁化させる。なおこの熱処理をいつ行うかは任意であり、例えば後で説明する図8工程での凹部形成後に行ってもかまわない。
【0179】
なお図7に示す実施形態では、前記強磁性層34、非磁性中間層33及びフリー磁性層32の3層構造で積層フェリ構造を構成しているため、前記強磁性層34とフリー磁性層32間で発生するRKKY相互作用における結合磁界によって前記強磁性層34とフリー磁性層32の磁化を互いに反平行状態にすることができる。
【0180】
なお図3の実施形態に示すように、フリー磁性層32上に直接、第2反強磁性層35を設ける場合には、図7に示すフリー磁性層32を成膜後、前記フリー磁性層32上に第2反強磁性層35を成膜する。
【0181】
次に図7に示すように、前記保護層36上に穴部46aが形成されたマスク層46を形成する。本発明では前記マスク層46を無機材料で形成することが好ましい。
【0182】
無機材料の中でも無機絶縁材料であることがより好ましい。無機絶縁材料としてはAl23、SiO2、Al−Si−O等の材質を提示できる。
【0183】
マスク層46に無機絶縁材料を使用する理由は前記マスク層46の膜厚を薄く形成でき且つ膜厚を薄く形成しても、例えば金属材料等に比べてイオンミリングに対するミリング率が小さくマスクとしての耐久性に優れるからである。前記マスク層46としてレジストなどを使用してもよいが、レジストの場合、前記マスク層46の膜厚は非常に厚くなるため、露光現像によって前記マスク層46に微小な間隔の穴部46aを形成しづらくなる。またこのマスク層46の穴部46a内の両側端面にだれなどが発生し、前記穴部46aを所定形状で形成しにくい。
【0184】
前記マスク層46に形成された穴部46aの間隔は、次の工程でトラック幅Twを規制するための間隔となるため、前記穴部46aは所定の寸法で、および所定の形状で適切に形成されていなければならない。
【0185】
ただし前記マスク層46として使用される無機材料は、保護層36や第2反強磁性層35よりもエッチングレートの遅い硬質な材料でなければならない。そうでなければ次の工程で前記第2反強磁性層35に適切な深さの凹部を形成できなくなるからである。前記無機材料には、Ta、Mo、W、Ti、Si、Zr、Hf、Nb、Al−O、Si−O、Al−Si−Oなどを選択することが好ましい。
【0186】
このように、前記マスク層46にはその中央部に穴部46aが形成されているが、この穴部46aは、例えば、前記保護層36の中央部上にレジスト層(図示しない)を立てておきその両側を前記マスク層46で埋めた後、前記レジスト層を除去して前記マスク層46に前記穴部46aを形成する。あるいは前記保護層36上の全体にマスク層46を成膜した後、レジスト層(図示しない)を前記マスク層46上に重ねて形成し、前記レジスト層の中央部に露光現像によって穴部を形成した後、この穴部から露出する前記マスク層46を削って前記マスク層46に穴部46aを形成する方法などが考えられる。
【0187】
なお本発明では、前記マスク層46に形成された穴部46aのトラック幅方向における幅寸法T2を、前記積層体30上面の幅寸法T1よりも小さく形成する。例えば前記マスク層46に形成された穴部46aの幅寸法T2を0.1μm程度で形成することが好ましい。
【0188】
次に図8に示す工程では、図7工程でマスク層46に形成された穴部46a間から露出する保護層36及び第2反強磁性層35をイオンミリングなどで堀り込む(図8を参照のこと)。
【0189】
図8に示すように、前記イオンミリングで前記第2反強磁性層35を途中まで掘り込む。これによって形成された凹部35aの下には、一部、前記第2反強磁性層35が残されるが、残された第2反強磁性層35の膜厚は非常に薄くなっており、このため、前記凹部35a下の反強磁性層35と強磁性層34との間で交換結合磁界が非常に小さくなり、前記凹部35a下に位置する強磁性層34の中央部A及びフリー磁性層32の中央部Dの磁化は外部磁界に対し変動できる程度に弱く単磁区化された状態になる。
【0190】
また前記凹部35aをどの層まで掘り込んで形成するかであるが、図8のように、前記凹部35a下に一部、第2反強磁性層35が残されるように、あるいは前記凹部35aから強磁性層34の表面または非磁性中間層33の表面が露出するように、前記第2反強磁性層35や強磁性層34まで掘り込んで前記凹部35aを形成する。
【0191】
いずれにしても前記凹部35aの下面35cのトラック幅方向(図示X方向)における幅寸法がトラック幅Twとして規制され、本発明では前記トラック幅Twを前記積層体30の上面のトラック幅方向の幅寸法よりも小さく形成することが可能である。
【0192】
図8に示す前記凹部35a形成のためのイオンミリング後、前記マスク層46を除去し、さらに前記保護層36上から前記第2反強磁性層35に形成された凹部35a内に第2電極層37(図1を参照のこと)を成膜すると図1に示す磁気検出素子の構造が完成する。なお前記マスク層46は、非常に薄い膜厚であるため除去しなくても前記第2電極層37を成膜する上で邪魔になることはなく、例えば前記マスク層46が金属材料で形成される場合には前記マスク層46を電極層の一部として使用できるので、前記第2反強磁性層35に凹部35aを形成した後、前記マスク層46表面をクリーニングなどして前記マスク層46を除去せずに、第2電極層37を形成してもかまわない。
【0193】
図9及び図10は図2に示す磁気検出素子の製造方法を示す一工程図である。なお各図は記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0194】
まず図9の工程の前に図4ないし図6と同じ工程を施す。
図9に示す工程では、積層体30のトラック幅方向(図示X方向)の両側に形成された絶縁層31上から積層体30上にかけてフリー磁性層32及び非磁性中間層33を積層する。
【0195】
その後、前記非磁性中間層33上にリフトオフ用のレジスト層47を形成する。このリフトオフ用のレジスト層47の下面のトラック幅方向における幅寸法T3はトラック幅Twを規制するための幅寸法であり、前記幅寸法T3を前記積層体30の上面のトラック幅方向における幅寸法よりも小さい寸法で形成する。
【0196】
次に図10に示す工程では、前記レジスト層47のトラック幅方向(図示X方向)の両側に露出した非磁性中間層33上に強磁性層40及び第2反強磁性層41を連続成膜する。前記成膜にはスパッタ法や蒸着法が使用される。
【0197】
前記強磁性層40及び第2反強磁性層41を成膜するときは、できるだけ前記レジスト層47の下面に形成された切欠部47a内に前記強磁性層40及び第2反強磁性層41の内側先端部を入り込ませるために、スパッタ角度を基板(図示しない)に対する垂直方向(図示Z方向)から斜めに傾いた角度として、スパッタを行う。これにより前記強磁性層40及び第2反強磁性層41の内側先端部が、前記レジスト層47の切欠部47a内に入り込み、前記強磁性層40間のトラック幅方向(図示X方向)における間隔が、図9に示すレジスト層47の下面の幅寸法T3とほぼ一致する。図10では、前記強磁性層40の間に露出する非磁性中間層の幅寸法でトラック幅Twが規制される。
【0198】
前記強磁性層40及び第2反強磁性層41を成膜した後、前記レジスト層47を除去すると図2に示す磁気検出素子が完成する。
【0199】
以上説明した本発明における磁気検出素子の製造方法では、フリー磁性層32の上に第2反強磁性層35、41を形成し、この間で発生する交換結合磁界によって、あるいは強磁性層34、40とのRKKY相互作用における結合磁界によって前記フリー磁性層32をトラック幅方向に磁化させることができる。
【0200】
従って前記フリー磁性層32を、従来のようにハードバイアス方式によって磁化させる場合に比べてトラック幅方向に長く延ばして形成することができ、前記フリー磁性層32を適切に単磁区化することができる。
【0201】
また前記フリー磁性層32の下に形成される、第1反強磁性層23、固定磁性層27、絶縁障壁層28及び保護層29からなる積層体30のトラック幅方向における両側を適切に絶縁層31で埋めることができ、シャントロスが生じ難く抵抗変化率を適切に向上させることが可能な磁気検出素子を製造することができる。
【0202】
またトラック幅Twを、前記第2反強磁性層35、41に形成される凹部35a、41aの下面のトラック幅方向の間隔で規制でき、狭トラック化においても、前記積層体30のトラック幅方向における幅寸法を、前記トラック幅Twに左右されることなく大きく形成することができる。したがって前記積層体の直流抵抗値(DCR)を適切に大きくすることができ、再生出力を従来に比べて大きくすることが可能な磁気検出素子を容易に形成することが可能である。
【0203】
従って本発明における磁気検出素子の製造方法によれば、高記録密度化においても再生出力や抵抗変化率など再生特性を適切に向上させることが可能な磁気検出素子を容易に製造することができる。
【0204】
また本発明ではAl−Oなどで形成された絶縁障壁層28が大気に曝されると、コンタミネーション(Contamination)などによるダメージによってバリア特性が損なわれ、抵抗変化率などの再生特性の低下を招きやすくなる。
【0205】
そこで本発明では、前記Al−Oなどで形成された層を形成した後、連続してRuなどの保護層29をその上に形成し、これによって前記Al−O層などが大気に曝されるのを適切に防止することができ、前記絶縁障壁層28のバリア特性を適切に保つことが可能である。
【0206】
また図9及び図10に示した製造工程では、図4ないし図8に示す製造工程の場合のように、凹部35a形成のためのイオンミリングなどによる掘り込み工程が必要ないため、より所定形状の磁気検出素子を製造しやすい。
【0207】
以上詳述した本発明におけるトンネル型磁気抵抗効果型素子は、ハードディスク装置内に搭載される再生用ヘッドとして使用できる他、MRAM等のメモリとして使用することができる。
【0208】
また前記トンネル型磁気抵抗効果型素子を使用した再生用ヘッドは、摺動型であってもよいし浮上型であってもどちらでもよい。
【0209】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、フリー磁性層が反強磁性層、固定磁性層、絶縁障壁層を含むスペーサ層からなる積層体の両側に形成された絶縁層上から前記積層体上にかけて形成されており、前記フリー磁性層のトラック幅方向への幅寸法は、トラック幅Twよりも長く延ばされて形成されている。さらに前記フリー磁性層上には、第2反強磁性層が形成され、前記フリー磁性層はエクスチェンジバイアス方式によって磁化される。
【0210】
これによって前記フリー磁性層を適切に単磁区化構造にでき、トラック幅Twの狭小化においても感度に優れた磁気検出素子を製造することができる。
【0211】
また前記積層体の両側を絶縁層で埋めてしまうと共に、フリー磁性層の磁化制御を第2反強磁性層を用いたエクスチェンジバイアス方式とすることで、電流がフリー磁性層から積層体に流れる経路以外に分流することが減り、いわゆるシャントロスの低減によって抵抗変化率の向上を図ることが可能になる。
【0212】
また本発明では、前記積層体のトラック幅方向における幅寸法を前記トラック幅Twの寸法に左右されることなく自由に設定することが可能であり、本発明では前記積層体のトラック幅方向における幅寸法をトラック幅Twよりも大きく形成できる。これによって前記積層体の膜面と平行な方向における断面積を従来に比べて大きく形成することができる。
【0213】
従って本発明では前記トラック幅Twの狭小化によっても直流抵抗値を小さくすることができ、再生出力を従来に比べて大きくすることが可能である。
【0214】
以上のように本発明では、トラック幅Twの狭小化においても、感度に優れ、再生出力が高く、しかも抵抗変化率が大きい磁気検出素子(トンネル型磁気抵抗効果型素子)を適切且つ容易に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第1実施形態の磁気検出素子(トンネル型磁気抵抗効果型素子)を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図2】本発明における第2実施形態の磁気検出素子(トンネル型磁気抵抗効果型素子)を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図3】本発明における第3実施形態の磁気検出素子(トンネル型磁気抵抗効果型素子)を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図4】本発明の図1に示す構造の磁気検出素子の製造工程を示す一工程図、
【図5】図4の次に行なわれる一工程図、
【図6】図5の次に行なわれる一工程図、
【図7】図6の次に行なわれる一工程図、
【図8】図7の次に行なわれる一工程図、
【図9】本発明の図2に示す構造の磁気検出素子の製造工程を示す一工程図、
【図10】図9の次に行なわれる一工程図、
【図11】従来の磁気検出素子(トンネル型磁気抵抗効果型素子)の構造を記録媒体との対向面側から見た部分模式図、
【図12】図11の一部の部分拡大図、
【符号の説明】
20 第1電極層
23 第1反強磁性層
27 固定磁性層
28 絶縁障壁層
29 保護層
30 積層体
31 絶縁層
32 フリー磁性層
33 非磁性中間層
34、40 強磁性層
35、41 第2反強磁性層
37 第2電極層
45、47 レジスト層
46 マスク層

Claims (15)

  1. 第1反強磁性層と、この第1反強磁性層の上面に形成され、前記第1反強磁性層との間で発生する交換結合磁界によって磁化が所定方向にされる固定磁性層と、前記固定磁性層の上面に形成された、少なくとも絶縁障壁層を含むスペーサ層とを有する積層体と、
    この積層体のトラック幅方向の両側に形成された絶縁層と、
    前記スペーサ層の上面から前記絶縁層の上面にかけて形成され、磁化が前記固定磁性層と交叉する方向に揃えられたフリー磁性層と、前記フリー磁性層の上側に形成された第2反強磁性層とを有して成り、
    前記積層体と膜厚方向に対向する位置での前記第2反強磁性層には、前記第2反強磁性層の上面から前記積層体方向に向けて凹部が形成され、
    この凹部の下面のトラック幅方向における幅寸法が、前記積層体の上面のトラック幅方向における幅寸法より小さく形成され、
    前記積層体の下側及び前記第2反強磁性層の上側に電極層が形成されていることを特徴とする磁気検出素子。
  2. 前記絶縁障壁層は、Al−OあるいはSi−O、またはAl−Si−Oで形成される請求項1記載の磁気検出素子。
  3. 前記スペーサ層は、前記絶縁障壁層上にRu、Ir、Rh、Os、Re、Pt、Pdのうち少なくとも1種以上からなる保護層が積層された構成である請求項1または2に記載の磁気検出素子。
  4. 前記フリー磁性層上に、非磁性中間層及び強磁性層がこの順に形成され、さらに前記強磁性層上に前記第2反強磁性層が形成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の磁気検出素子。
  5. 前記凹部は、前記強磁性層表面にまで達して形成され、前記凹部から前記強磁性層表面が露出している請求項4記載の磁気検出素子。
  6. 前記凹部は、前記非磁性中間層の表面にまで達して形成され、前記凹部から前記非磁性中間層表面が露出している請求項4記載の磁気検出素子。
  7. 以下の工程を有することを特徴とする磁気検出素子の製造方法。
    (a)第1電極層の上に、第1反強磁性層、固定磁性層及び絶縁障壁層の順に積層された積層体を形成する工程と、
    (b)前記積層体の上面にリフトオフ用のレジスト層を形成し、前記レジスト層に覆われていない前記積層体のトラック幅方向の両側端面を除去する工程と、
    (c)前記積層体のトラック幅方向の両側に絶縁層を形成し、前記レジスト層を除去する工程と、
    (d)前記絶縁層上から前記絶縁障壁層上にかけてフリー磁性層を形成し、さらに前記フリー磁性層上に第2反強磁性層を積層する工程と、
    (f)前記第2反強磁性層上に、前記積層体と膜厚方向に対向する位置に穴部を有するマスク層を形成した後、この穴部から露出する前記第2反強磁性層を堀り込み、前記第2反強磁性層に凹部を形成し、このとき前記凹部の下面のトラック幅方向における幅寸法を、前記積層体上面のトラック幅方向における幅寸法より小さく形成する工程と、
    (g)前記第2反強磁性層上に第2電極層を形成する工程。
  8. 前記(a)工程で、前記絶縁障壁層を、Al−OあるいはSi−OまたはAl−Si−Oからなる絶縁材料で形成する請求項7記載の磁気検出素子の製造方法。
  9. 前記(a)工程で、前記固定磁性層上に、AlあるいはSiまたはAl−Siからなる層を前記固定磁性層上に形成した後、前記層を酸化してAl−OあるいはSi−OまたはAl−Si−Oからなる絶縁障壁層を形成する請求項8記載の磁気検出素子の製造方法。
  10. 前記(a)工程で、前記絶縁障壁層上に、Ru、Ir、Rh、Os、Re、Pt、Pdのうち少なくとも1種以上からなる保護層を形成し、前記絶縁障壁層と前記保護層の2層でスペーサ層を構成する請求項7ないし9のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  11. 前記(d)工程で、前記フリー磁性層上に、非磁性中間層、強磁性層をこの順に積層した後、前記強磁性層上に前記第2反強磁性層を形成する請求項7ないし10のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  12. 前記(f)工程で、前記強磁性層表面が露出するまで前記第2反強磁性層を掘り込む請求項11記載の磁気検出素子の製造方法。
  13. 前記(f)工程で、前記第2反強磁性層の途中まで前記第2反強磁性層を掘り込む請求項7ないし11のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  14. 前記(f)工程におけるマスク層を、無機材料で形成する請求項7ないし13に記載の磁気検出素子の製造方法。
  15. 前記(d)工程ないし(g)工程に代えて以下の工程を有する請求項7ないし14のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
    (h)前記絶縁層上から前記絶縁障壁層上にかけてフリー磁性層を形成した後、前記フリー磁性層上に非磁性中間層を形成する工程と、
    (i)前記積層体と膜厚方向に対向する位置での前記非磁性中間層上にリフトオフ用レジスト層を形成し、前記レジスト層に覆われていない前記非磁性中間層のトラック幅方向の両側に強磁性層及び第2反強磁性層を積層し、このとき、前記第2反強磁性層間から露出する前記非磁性中間層表面のトラック幅方向における幅寸法を、前記積層体上面のトラック幅方向における幅寸法より小さく形成する工程と、
    (j)前記レジスト層を除去する工程。
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