JP3742004B2 - 継目無し可撓性無端状部材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、継目無しの可撓性無端状部材の製造方法に関する。この継目無しの可撓性無端状部材は、電子写真感光体や転写ベルトなど(以下、電子写真感光体等ということがある。)の電子写真プロセスに用いられる部材の製造に関連するものであり、したがって、本発明は電子写真感光体等の製造技術に係ると云える。
【0002】
【従来技術の問題点】
電気鋳造法により 主として筒状の部材に対し、ニッケル(Ni)などを電着する手法は従来より公知であり、従来から行われてきている。
【0003】
この手法は、従来技術では筒状のものの表面(内外面)へ付着量が厚くなるように、電着させることを目的としている。これに対し、電子写真プロセスに用いられる部材は、筒状の外面に電着する点は共通するものの、付着量を少なくし、ドラム表面に凹凸や段差が全く無い、平滑化を目的としているため、従来の電気鋳造法とは比較にならないほどの表面の平滑精度が要求される。
【0004】
そのため、特開平7−48691号公報や特開2001−164394号公報などでは 形状の異なる電極に対して 別々の電解液を用いた電気浴槽を個別に設けて、夫々の電気鋳造法を行っている。
【0005】
しかしながら、それらの製造法では、各個の電解液の調整などに手間取り、形状の異なる無端状部材を大量に及び/又は安価に生産することは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、形状の異なる複数の継目無し可撓性無端状部材に対し同時に電気鋳造を行うことである。本発明の別の課題は、可撓性無端状部材に対し精度良く電気鋳造を行うことである。
【0007】
【課題を解決する手段】
単一の電解液浴を用いて異なる電気鋳造を、同時に、且つ高精度に実施するという本発明の課題の達成は、次ぎの要件を充たすことにより達成される。
【0008】
即ち、請求項1に係る発明は、継目無し可撓性無端状部材の製造方法において、継目無し可撓性無端状部材の製造方法において、異なる2種類以上の金型を用い、単一の電解液により、各々の金型に対して異なる電気鋳造条件で、同時に電気鋳造を行うことからなり、かつ、その際、表面積の異なる2種類以上の金型を一つのハンガー(枠)に吊り下げ、かつ各ハンガー(枠)に2個以上の回転装置を搭載し、個々に金型の回転条件を可変制御することを特徴とするものであり、2種類以上の金型を各金型に対して異なる電気鋳造条件で、同時に電気鋳造を行うことにより、同時に2種以上の製品を製造できるようにしたものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、上記の電気鋳造法を利用した1浴1電源1金型で製造することを特徴とする。1浴(1電解槽)ごとに1個の電源を設け1個の金型を用いることで、上記請求項1に記載された方法で電気鋳造条件を適宜選択することにより所定の膜厚を有する継目無し可撓性無端状部材を効率よく製造することができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、上記請求項1又は2の発明において、電気鋳造用の電解槽を一列に2槽以上並べて、個々の電解槽ごとに電流制御することを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、上記請求項1ないし3の何れかの発明において、表面積の異なる金型を複数本同時に搬送するとともに搬送速度を可変制御することを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、上記電気鋳造法による継目無し可撓性無端状部材の製造を行う装置であって、単一の電解液を複数の電解槽に供給する電解液供給手段を有し、2種類以上の金型を吊り下げるためのハンガー(枠)を設けるとともに、各ハンガー(枠)に2個以上の回転装置を搭載し、金型ごとに個々に回転条件を可変制御するようにしたことを特徴とする継目無し可撓性無端状部材の製造装置である。
【0014】
上記の請求項1ないし5の何れかの発明において、次のような条件を付加できる。例えば、表面積の異なる感光体基体金型を複数本同時に昇降できるようにするとともに昇降速度を可変制御できるようにすることもできる。
【0015】
更に、電解液はストック槽1槽に対し電解槽を少なくとも2槽設け、電解液をストック槽から流量計を介し個別電解槽に必要な流量設定ができるように改良し得る。また、同時に、電解液は常にストック槽と2段濾過フィルターでフィルターリングできるように構成すれば一層好ましい。
【0016】
同様に、電極の位置を変更できるようにすれば、作業、操作が容易になる。
【0017】
【作用】
本発明においては、単一の電解液により、異なった形状の複数のものを、同時に、所望の膜厚に電気鋳造できる点に特徴を有するが、これは各電極の電流制御によるものである。
【0018】
即ち、各電極の電流を制御することから、異なる形状のものでも、その大きさに見合った条件に調整ができ、1種類(単一濃度の単一組成電解浴)の電解液でも、同時に膜厚の等しい又は異なる電気鋳造物を製造することが可能となる。
【0019】
【実施の態様】
図1を参照して本発明を説明する。
【0020】
本発明は、単一の電解液を用いるにも拘らず、異なった形状で、しかも複数のものを同時に電気鋳造できる点に特徴を有する。図に示すとおり、形状の異なる2種類の金型5及び金型6を吊下げ具12を使用して吊り下げ、それぞれの工程を経たものを、可動フレーム10により、個別の電解槽4に浸漬させ、個別の回転モータで回転させる。この際、回転数としては 1〜30rpmが好ましく、4〜8rpmが更に好ましい。
【0021】
金型5及び金型6を電解槽に浸漬し、数秒後に給電装置1から個別に処理すべき金型の表面積に見合った所定の電流を通電させ、金型表面にニッケル膜を形成させる。
【0022】
ニッケルの膜厚は、電鋳処理時間と電流密度とを適宜選択できることから、操作条件により無段階に調整できる。
【0023】
この場合、電極8の距離を可変させることにより、特に精度良く膜厚の制御をすることが出来る。複雑な形状のものを電鋳処理するには、この電極位置と被処理物との距離の調整が適切であることが望ましい。
【0024】
電解液の液組成はスルファミン酸ニッケル等の公知の溶液(浴)を用いることができる。
【0025】
ニッケルメッキ浴には、光沢剤、ピット防止剤、pH調整剤などの各種添加剤を加えることが出来る。そのような添加剤処理により、効率良く電気鋳造できる。
【0026】
電解液には恒常的に濾材3を用いて循環濾過(フィルタリング)をさせ、また濾過に使用するフィルターメッシュは微細であることが好ましく、メッシュにはサイズの異なる2段階以上の方法を採択することが望ましい。
【0027】
その際、電解液の循環フィルタリングは必要であって、循環させないと、電解液中の電気鋳造金属(例えばニッケル)が沈殿することになり 浴槽の底部や側壁に固形物が発生することとなる。電解液の循環量はポンプ等の公知の循環手段11でその流量を調整できる。
【0028】
その電気鋳造法としては従来公知の各種のものが適宜使用できるが、スルファミン酸ニッケル電気鋳造法が高品質のものが得られる点から特に好ましい。
【0029】
本発明の無端状部材は、その製造方法が電気鋳造法によることから、継ぎ目がなく、また、電子写真用有機感光体の基体のみならず、現像トナー搬送用スリーブ等の画像形成装置用部品の基体として使用可能である。
【0030】
本発明の無端状部材の形態は、用途に応じて適宜の形態とすることができる。
【0031】
本発明では、無端状部材の製造に電気鋳造法が使用されるが、その電気鋳造法としては、従来公知の各種のものが適宜使用できるが、特にスルファミン酸ニッケル電気鋳造法が高品質のものが得られる点から好ましい。
【0032】
以下、スルファミン酸ニッケル電気鋳造法を用いた場合を例に説明を行う。
【0033】
まず、所要形状の金型を用い、スルファミン酸ニッケル電気鋳造法により、金型表面にニッケル電鋳層を形成する。
【0034】
この電鋳層は、電鋳条件として、例えば電鋳液の液温を50〜60℃、電析電流5〜10A/dm2(dmとはデシメートルの意味)、電析時間10〜30分間とすることにより成形することができる。
【0035】
使用するスルファミン酸ニッケル液の成分は、スルファミン酸ニッケル300〜500g/l、塩化ニッケル40〜60g/l、ホウ酸40〜50g/l、界面活性剤5〜15ml/l、サッカリンナトリウム100〜150ppmとすることができる。
【0036】
スルファミン酸ニッケル電気鋳造法により無端状部材を形成した後、金型から無端状部材を引き抜くためには、形成された電鋳層に圧縮応力を持たせる必要からサッカリンナトリウムが添加される。
【0037】
このサッカリンナトリウムは成膜時には光沢剤ともなり、無端状部材の表面を平滑化し光沢面とする。光沢化した表面を陽極電解によって溶解を容易にするために、通常のスルファミン酸ニッケルメッキ液光沢浴組成の塩化ニッケル量20〜30g/lを40〜60g/lと増量する。またこの増量により、陽極での消耗分を補えるため液組成の安定が図られる。
【0038】
界面活性剤は成膜時に金型表面と電鋳液との濡れを良くするために5〜15ml/lの範囲で添加する。成膜のピンホール発生を抑えるためには10〜15ml/lの範囲でやや多目に界面活性剤を使用する方が効果はある。もっとも、電鋳液の発泡が多くなるので消泡剤の併用が必要になる。ピンホールの発生を抑制することで成膜後の陽極電解の際、金型の孔蝕を防止することができる。
【0039】
本発明において、以上の要件を備えた場合に、電気鋳造法による無端状部材の形成を従来と同様の手順により行うことができる。
【0040】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。
【0041】
この実施例は本発明の一態様を示すに過ぎず、これにより本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0042】
図1に示す表面積が異なる2種類の金型5及び金型6を吊下げ具12に可動フレーム10を用いる。それぞれの工程を経た後個別の電解槽4に浸漬させ、個別の回転モータにより6rpmの範囲で回転させる。
【0043】
表面積の比率は 金型5:金型6=3:1である。
【0044】
金型5及び金型6を電解槽浸漬後5秒間経て、給電装置1から各電極に対し個別に表面積に見合った所定の電流を通電させニッケル膜を形成させる。
【0045】
金型5及び金型6の表面積において、電流密度5A/dm2の条件で30分間電鋳することにより約30μm厚さのニッケル膜を形成させた。電解液の液組成はスルファミン酸ニッケルを用いた。
【0046】
電解液は40l/minにて循環させ、フィルターメッシュは微細のものを2つに重ねて濾過(フィルタリング)させた。
【0047】
以上のように電気鋳造を形状の異なったサイズの継目無し可撓性無端状部材として、同時に製造した結果、素管の膜厚はともに30±5μm以内となった。
【0048】
【発明の効果】
継目無し可撓性無端状部材の素管を電気鋳造法製造で1つの生産ラインで表面積の異なる素管を同時に製造することが望ましいが、通常は同一表面積の金型を複数並べ大量生産を行っていた。すなわち、表面積の異なる素管を生産する時は金型をすべて交換して、対応していたため表面積の異なる金型が多量に必要であった。これに対し、本発明では表面積の異なる2種以上の金型を1つのハンガー(可動フレーム)にセットし、個別の、複数の電解槽にそれぞれ振り分けて浸漬させるものであって、個別の直流電源から必要な電流量を通電することにより、表面積の異なる素管を同時に何種類も製造することを可能ならしめている。そして、各ハンガーに少なくとも2個の回転装置を搭載し、これらの回転装置は個別に吊り下げた金型の回転数の制御が可能なため、電鋳において表面積の異なる素管製造が同時に実施できることを可能ならしめている。
【0049】
請求項2の発明では、上記継目無し可撓性無端状部材の素管製造において、電気鋳造法を応用した1電解槽(1浴)・1電源・1金型方式で製造するため、あらゆる表面積の素管を本発明では製造(鋳造)可能としている。
【0052】
請求項3の発明では、上記継目無し可撓性無端状部材の素管製造において、電気鋳造法を応用した電解槽を、一列に2槽以上配置して、電解槽を個別にするとともに電源も個別にすることで表面積の異なる金型へ必要な電流量を通電可能としている。
【0053】
請求項4の発明では、上記継目無し可撓性無端状部材の製造において表面積の異なる金型を複数本同時に搬送車で搬送するに際し、重量バランスが悪く搬送時に揺れが発生する場合に、搬送速度を可変とすることにより、揺れを吸収して、安定的に搬送できる技術を提供している。さらに、請求項5の発明では、ハンガーに複数の金型を吊り下げるための吊り下げ具を設けて、上記の方法を工業的に容易に実施できる装置を提供している。
【0054】
なお、好ましい発明の態様として、継目無し可撓性無端状部材の素管製造において、表面積の異なる金型を複数本同時に昇降装置により昇降せしめ得るが、昇降速度を可変できると、電解槽への突入、引き上げ時の電解液の液はねを防止できる利点がある。
【0055】
更に、電解液予備槽1槽に対し、個別の電解槽を少なくとも2層設けると、予備槽から個別電解槽への電鋳液の供給量が所定(必要)量となるように、流量計と流量調整バルブとにより調整し得る。表面積の相異なる複数の金型において、個別に流量調整ができると、素管を所望の膜厚となし得る。電解液をクリーニングする為には微細なフィルターを用い、少なくとも2段濾過により浮遊物の除去するとよく、素管表面の欠陥の発生を防止できる。また、電極の距離を可変とすると、膜厚のばらつきを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例模式図(構成図)の一例である。
【符号の説明】
1 給電装置
2 電解液ストック槽
3 濾材(濾過手段)
4 電解槽
5 金型
6 金型(形状等が金型5と異なるもの)
7 攪拌手段
8 電極
9 電解液供給手段
10 可動フレーム(ハンガー)
11 循環手段
12 吊下げ具
Claims (5)
- 電気鋳造法による継目無し可撓性無端状部材の製造方法において、異なる2種類以上の金型を用いて、単一の電解液により、各々の金型に対して異なる電気鋳造条件で、同時に電気鋳造を行うことからなり、かつ、その際、2種類以上の金型を一つのハンガー(枠)に吊り下げ、かつ各ハンガー(枠)に2個以上の回転装置を搭載し、金型ごとに個々に回転条件を可変制御することを特徴とする継目無し可撓性無端状部材の製造方法。
- 電気鋳造法を利用して1浴1電源1金型で製造することを特徴とする請求項1記載の継目無し可撓性無端状部材の製造方法。
- 電気鋳造法を実施するに当り、一列に2槽以上の電解槽を並べ、各電解槽を個々に電流制御することを特徴とする請求項1又は2記載の継目無し可撓性無端状部材の製造方法。
- 表面積の異なる金型を複数本同時に搬送する際、搬送速度を可変制御することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の継目無し可撓性無端状部材の製造方法。
- 電気鋳造法による継目無し可撓性無端状部材の製造装置において、単一の電解液を複数の電解槽に供給する電解液供給手段を有し、2種類以上の金型を吊り下げて電解層に浸漬するハンガー(枠)を設けるとともに各ハンガー(枠)に2個以上の回転装置を搭載し、金型ごとに個々に回転条件を可変制御するようにしたことを特徴とする継目無し可撓性無端状部材の製造装置。
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