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JP3744082B2 - 動圧発生溝加工方法および装置 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸とスリーブを有し、スリーブの軸受内周面に動圧発生溝を有する流体軸受の動圧発生溝加工方法およびその加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、軸受応用機器の高性能化に伴い、流体軸受を用いた機器が増加している。この種の流体軸受は、図8に示すように内周面に動圧発生溝9が設けられたスリーブ4の内径に軸10が回転自在に挿入され、軸10とスリーブ4の隙間には潤滑剤が注入されており、軸10またはスリーブ4のいずれか一方が回転することにより動圧発生溝9のポンピング作用で圧力を発生し、非接触で高精度に回転するものである。
【0003】
従来のこの種の溝付の流体軸受の加工方法および装置について、以下図9から図11に基づき説明する。従来、金属材料等からなるスリーブ4の内周面に動圧発生溝9を加工する方法としては、溝加工前工程と溝加工工程の二つの工程を要する。
従来の動圧発生溝の加工装置として図9に溝加工前工程を行う装置、図10に溝加工工程を行う装置を示す。溝加工前工程においては、図9に示すとおりピン1によりスリーブ4中央に供給された硬質なボール5スリーブ4の穴20に挿入することにより穴20内周面6をなめらかにする。次に、溝加工工程においては、図10に示すとおりガイド軸2またはスリーブ4のいずれか一方に回転速度Wの回転とともに相対的に速度Vの送りを与えることにより、ガイド軸2に組み込まれた硬質な転造ボール3A、3Bによる塑性加工によりスリーブ4の内周面6に動圧発生溝9を形成する。図8に示すようなヘリングボーン形状の動圧発生溝9を加工するにあたっては、図10において、スリーブ4の穴20の中心軸方向略中央まで転造ボール3A、3Bが進んだ時にガイド軸2の送り速度Vは変えずに回転方向を逆方向の回転に切り替えることにより形成することができる。
【0004】
従来の動圧発生溝加工工程を図11に示す。溝加工前工程は図11の♯1から♯3の工程にあたる。♯1の工程においてスリーブ4をセットして、♯2の工程においてスリーブ4の穴20の内周面bにボール5を挿入した後、♯3の工程においてスリーブ4を取出す。溝加工工程は図11の♯4から♯6の工程にあたる。♯4の工程においてスリーブ4をセットして、♯5の工程において転造ボール3A、3Bにより溝加工を行い、♯6の工程においてスリーブ4を取出す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、機械部品加工の分野において、大量生産に使用される加工装置に対しては、加工タクトの短縮および加工コストの低減のために、加工工程を減少させることが要求されている。
本発明は、動圧発生溝を有する流体軸受の加工において、加工工程を減少させることを可能とする動圧発生溝加工方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明は、動圧発生溝加工装置においてピン部と転造ボール部を有している。
これにより。流体軸受のスリーブへボールを挿入して内周面の仕上げ加工を行う工程と動圧発生溝加工終了工程とを連続して行うことが可能となり、加工工程を減少させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、先端部によりスリーブの内周面にボールを挿入して下穴の仕上加工を行うピンと、前記ピンより延設され、前記ピンの軸に対して直角方向に放射状に複数個の転造ボールを有するガイド軸とを有し、前記スリーブまたは前記ガイド軸の少なくともいずれか一方に回転および回転軸方向の送りを与えることにより、仕上げ加工を行った前記スリーブの下穴の内周面に前記ガイド部を挿入して前記転造ボールにより動圧発生溝を加工する動圧発生溝加工装置であり、ボールの挿入と動圧発生溝加工を連続して行うことが可能となり加工工程の短縮ができるという作用を有する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、ボールおよびガイド軸の挿入負荷を計測するロードセルを有することを特徴とする請求項1記載の動圧発生溝加工装置であり、ボールの挿入と動圧発生溝加工を連続して行うことが可能となると共に、ロードセルにより計測されたボール挿入時の負荷を演算変換することにより動圧発生溝加工前のスリーブの穴の内径を求めることができスリーブの部品精度管理が可能となる。また、ロードセルにより計測された動圧発生溝加工時の負荷を演算変換することによりガイド軸が回転する際の転造ボールにより形成される回転円の最大外径を求めることができ、転造ボールの摩耗を管理することができるという作用を有する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、ガイド軸同心状の凸部を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の動圧発生溝加工装置であり、ボールの挿入と動圧発生溝加工を連続して行うことが可能なると共に、ガイド軸中に設けた凸部により動圧発生溝加工後のばり取りが可能となる。また、凸部が動圧発生溝部に挿入される際の、ロードセルにより計測された負荷を演算変換することにより動圧発生溝深さを求めることができ、加工精度を管理することができるという作用を有する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、ピンと、前記ピンより延設され、前記ピンの軸に対して直角方向に放射状に複数個の転造ボールを有するガイド軸とを用い、スリーブの内周面に前記ピンの先端によりボールを挿入して下穴の仕上加工を行う工程と、前記スリーブまたは前記ガイド軸の少なくともいずれか一方に回転および回転軸方向の送りを与えることにより、仕上げ加工を行った前記スリーブの下穴の内周面に前記ガイド部を挿入して前記転造ボールにより動圧発生溝を加工する工程とを連続して行う動圧発生溝加工方法であり、ボールの挿入と動圧発生溝加工を連続して行うことが可能となり加工工程の短縮ができるという作用を有する。
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における流体軸受の動圧発生溝加工装置の要部断面図である。
図1において、1はボール5をスリーブ4に挿入するためのピンであり、ガイド軸2に組み込まれた3A、3Bはスリーブ4の内周面6に動圧発生溝を形成するための転造ボールである。ピン1はガイド軸2と同一軸上に構成されている。転造ボール3A、3Bは硬球、セラミクス球等であり、スリーブ4に比べ硬い材料が選択されている。
【0012】
以上のように構成された流体軸受の動圧発生溝加工装置について、図1を用いてその動作を説明する。図1において、ピン1によりスリーブ4の下穴20の開口部に供給された硬質なボール5をスリーブ4の下穴20に挿入することにより内周面6をなめらかにし、続いてガイド軸2またはスリーブ4のいずれか一方に回転速度Wの回転とともに相対的に速度Vの送りを与えることにより、ガイド軸2に組み込まれた硬質な転造ボール3A、3Bによる塑性加工によりスリーブ4の下穴20の内周面6に動圧発生溝が形成される。
【0013】
図2は本発明の第2の実施形態における流体軸受の動圧発生溝加工装置の要部断面図を示し、図1に示す第1の実施形態と同じ構成部材には同じ符号を示し、その説明を省略する。
ここで、前記第1の実施形態と異なるのは、ロードセル7を、ガイド軸2に取付けた点である。
【0014】
上記のように構成された流体軸受の動圧発生溝加工装置の動作において、第1の実施形態と異なる動作は、ロードセル7によりボール5がスリーブ4の下穴20に挿入される時の負荷を計測し、その数値をコンピューター等により演算変換することにより動圧発生溝加工前のスリーブ4の下穴20の内径Dを求めることができる点である。図3にボール5挿入時にロードセル7により計測された荷重とスリーブ4の下穴20の内径Dとの関係のグラフを示す。スリーブ内径Dが大きくなるにつれてロードセル荷重が減少する関係がある。このことにより、スリーブの部品精度を管理することが可能となる。
【0015】
また、もう一つ第1の実施形態と異なる点はロードセル7により動圧発生溝加工時の負荷を計測し、その数値をコンピューター等により演算変換することによりガイド軸2が回転する際のガイド軸2に組み込まれた転造ボールにより形成される回転円の最大外径D′を求めることができる点である。図4に動圧発生溝加工時にロードセル7により計測された荷重と転造ボールにより形成される最大外径D′との関係のグラフを示す。転造ボールにより形成された最大外径D′が小さくなるにつれてロードセル荷重が減少する関係がある。このことにより、転造ボールの摩耗を管理することが可能となる。
【0016】
図5は本発明の第3の実施形態における流体軸受の動圧発生溝加工装置の要部断面図を示し、前記第1および第2の実施形態(図1および図2)と同じ構成部材には同じ符号を示し、その説明を省略する。
ここで、前記第1および第2の実施形態と異なるのは、ガイド軸2に同心状に凸部8を設けた点である。
【0017】
上記のように構成された流体軸受の動圧発生溝加工装置の動作において、前記第1および第2の実施形態における動作と異なる動作は、ガイド軸2に組み込まれた転造ボール3A、3Bによりスリーブ4の下穴20の内周面6に動圧発生溝を形成した際に生じる加工ばりを凸部8によりばり取りを行う点である。
また、もう一つ第1および第2の実施形態と異なる点は、凸部8が点造ボール3A、3Bにより形成された動圧発生溝部に挿入される時の負荷をロードセル7より計測し、その数値をコンピューター等により演算変換することにより、図8に示すスリーブ4の下穴20の内周面6に形成された動圧発生溝の溝深さHを求めることができる点である。図6に凸部8を動圧発生溝部挿入時にロードセル7により計測された荷重と動圧発生溝深さHとの関係を表わすグラフを示す。動圧発生溝深さHが大きくなるにつれてロードセル荷重が減少する関係がある。このことにより、動圧発生溝深さを管理することが可能となる。
【0018】
図7に本発明の実施形態における加工工程を示す。♯1で示すスリーブセットの工程においてスリーブ4をセットして、♯2で示すボール挿入の工程においてスリーブ4の下穴20にボール5を挿入し、続いて#3で示す溝加工の工程において転造ボール3A、3Bにより下穴20の内周面6に溝加工を行い、次に♯4で示すばり取りの工程において凸部8によりばり取りを行う。これら一連の工程を、ガイド軸2とスリーブ4の一連の相対運動の中で連続的に行うものである。尚、♯4で示す工程のばり取りはなくてもよい。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の動圧発生溝加工装置は、先端部にピンと、ガイド軸部に複数個の転造ボールを有しており、ボールの挿入による下穴加工と動圧発生溝加工を一連の動作で行うことが可能であり加工工程の短縮ができるという有利な結果が得られる。
【0020】
また、ロードセルにより計測されたボール挿入時の負荷を演算変換することにより動圧発生溝加工前のスリーブの内径を求めることができスリーブの部品精度管理が可能となる。また、ロードセルにより計測された動圧発生溝加工時の負荷を演算変換することにより転造ボールにより形成される回転円の最大外径を求めることができ、転造ボールの摩耗を管理することができるという有利な結果が得られる。
【0021】
更に、ガイド軸に設けた凸部により動圧発生溝加工後のばり取りが可能となるとともに、凸部が動圧発生溝部に挿入される際のロードセルにより計測された負荷を演算変換することにより動圧発生溝深さを求めることができ、加工精度を管理することができるという有利な結果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における動圧発生溝加工装置の要部断面図
【図2】本発明の第2の実施形態における動圧発生溝加工装置の要部断面図
【図3】本発明の第2の実施形態におけるロードセル荷重とスリーブ下穴内径との関係を示すグラフ
【図4】本発明の第2の実施形態におけるロードセル荷重と転造ホールが形成する円の最大外径との関係を示すグラフ
【図5】本発明の第3の実施形態における動圧発生溝加工装置の要部断面図
【図6】本発明の第3の実施形態におけるロードセル荷重と動圧発生溝深さとの関係を示すグラフ
【図7】本発明の実施形態における動圧発生溝加工方法の加工工程の図
【図8】本発明に係わる流体軸受の断面図
【図9】従来の動圧発生溝加工装置の溝加工前工程における加工装置の要部断面図
【図10】従来の動圧発生溝加工装置の溝加工工程における加工装置の要部断面図
【図11】従来の動圧発生溝加工工程の図
【符号の説明】
1 ピン
2 ガイド軸
3A,3B 転造ボール
4 スリーブ
5 ボール
6 内周面
7 ロードセル
8 凸部
9 動圧発生溝
10 軸

Claims (4)

  1. 先端部によりスリーブの内周面にボールを挿入して下穴の仕上加工を行うピンと、前記ピンより延設され、前記ピンの軸に対して直角方向に放射状に複数個の転造ボールを有するガイド軸とを有し、前記スリーブまたは前記ガイド軸の少なくともいずれか一方に回転および回転軸方向の送りを与えることにより、仕上げ加工を行った前記スリーブの下穴の内周面に前記ガイド部を挿入して前記転造ボールにより動圧発生溝を加工する動圧発生溝加工装置。
  2. ボールおよびガイド軸の挿入負荷を計測するロードセルを有することを特徴とする請求項1記載の動圧発生溝加工装置。
  3. ガイド軸に同心状の凸部を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の動圧発生溝加工装置。
  4. ピンと、前記ピンより延設され、前記ピンの軸に対して直角方向に放射状に複数個の転造ボールを有するガイド軸とを用い、スリーブの内周面に前記ピンの先端によりボールを挿入して下穴の仕上加工を行う工程と、前記スリーブまたは前記ガイド軸の少なくともいずれか一方に回転および回転軸方向の送りを与えることにより、仕上げ加工を行った前記スリーブの下穴の内周面に前記ガイド部を挿入して前記転造ボールにより動圧発生溝を加工する工程とを連続して行う動圧発生溝加工方法。
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