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JP3747232B2 - アルミニウム鋳造鍛造品の製造方法 - Google Patents
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JP3747232B2 - アルミニウム鋳造鍛造品の製造方法 - Google Patents

アルミニウム鋳造鍛造品の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用部品等に用いられるアルミニウム鋳造鍛造品の製造方法に関する。より特定すれば、展伸用アルミニウム合金を原料として、鋳造した後に鍛造して作製され、耐腐食性、及び、機械的性質が優れていて、自動車の燃費改善のために軽量化が求められている車両用足廻り部品に使用されるアルミニウム鋳造鍛造品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地球環境問題の1つである地球温暖化は、人間のあらゆる活動における二酸化炭素の影響が大きいといわれており、世界的に、工場や発電所から排出される二酸化炭素の低減と、二酸化炭素を生じる化石燃料の消費量低減が強く求められている。1997年に京都で開催された気候変動枠組条約第3回会議、所謂地球温暖化防止会議COP3において、日本は、主に二酸化炭素が占める温室効果ガス排出量の2008〜2012年の平均値を、1990年比で6%低減することを約束している。
【0003】
この会議の結果に基づき、自動車の燃費には、ガソリンエンジンで2010年度、ディーゼルエンジンで2005年度を目標年度として、車両重量区分別の目標基準値が定められた。又、税制も低公害車、低燃費車を優遇する措置が取られた。従って、今後、自動車購入者、及び、使用者の環境問題への理解度向上とともに、自動車製造業者においては、燃費向上のための技術開発を促進し、燃費の優れた自動車の開発に努めることが強く求められると考えられる。又、自動車購入者の意識向上に連れて業者間の競争も激しさを増し、これに打ち勝つためには、燃費向上技術の開発がより重要になってくる。
【0004】
自動車の燃費改善対策には、燃料電池、天然ガス、及び、電気等の新しい動力源の利用、若しくは、それらのハイブリッドな利用、あるいは、希薄燃料エンジンや直噴エンジン等の原動機系の技術改善、更には、動力伝達系の損失改善や、車体外形改善による走行抵抗の低減等があるが、最も効果があり、他のどの技術とも併用して適用可能なのが自動車重量の軽量化である。自動車そのものを軽量化すれば動力源への負荷が減り、何れの動力源であっても燃料の使用量を減らすことが可能となる。
【0005】
又、付加的に自動車の足廻りを軽量化することが、自動車の運転操作性、乗り心地感の向上に寄与するために、軽量化においては、車両の足廻り部品がより優先度の高い対象となり得る。
【0006】
一般に、自動車の軽量化を図る際には、コストアップという改善すべき課題と直面する。軽量化技術としては、構造設計技術と材料技術に大別されるが、構造設計技術たる車体構造や構成要素の抜本的改良に比べ、材料技術での対応、即ち、使用材料を変更することが、より取り組み易い軽量化手段といわれている。しかしながら、それらの軽量な材料は総じて高コストである。軽量化材料としては、例えば、FRP等樹脂材料、高張力鋼板利用による鉄の薄板化、アルミニウム合金、マグネシウム合金、チタン合金、セラミックス、金属複合材料、金属間化合物等が挙げられるが、その中で最も耐食性等の弱点が少なく、鉄に比べ高コストではあるものの、軽量化材料の中では、より低コストで適用し易いのがアルミニウム合金である。
【0007】
アルミニウム合金は、鉄の約1/3の密度であり、既にエンジンシリンダヘッド、エンジンシリンダブロック等に、より製造し易い鋳造品が多く用いられている。これら鋳造品は、高速射出成形、所謂ダイキャスト法によって製造され、生産効率が良く、比較的低コストで製造可能であるが、製造工程上からアルミニウム材料に空気が混入して成形されることが避けられず、高い機械的強度を持ち得ない。上記のように、軽量化が要望されている足廻り部品においては、強度不足による破損が、安全に係わる重要な問題に直結するため、ダイキャスト法によって製造される鋳造品の適用は困難であるという問題があった。
【0008】
足廻り部品、例えばウィッシュボーンサスペンションのロアアーム及びアッパーアームや、ステアリングに連動してタイヤを操るナックルアーム等では、その設置場所が車両のボディ内であっても路面から跳ね上がる雨水に濡れることが多い。又、渋滞時においては周囲の車から排出される排気ガスと常時接していて、運転中は常に腐食性雰囲気の中に晒されている。従って、車両の足廻り部品等の材料の条件としては、過酷な使用環境に耐え、腐食性が小さいことが、車両の安全性を長期にわたり保持するためには必要であり、更に加えて、強度や伸びの特性が充分で、欠陥が少なく、より軽いことが求められる。従来も、その条件に合ったA6061合金鍛造品やAC4CH合金スクィーズ鋳造品(低速射出成形品)等が、既に一部で用いられているが、これらは高コストという問題が解決されておらず、適用が極限定されているのが現状である。
【0009】
従来のA6061合金鍛造品等の、所謂純粋なアルミニウム鍛造品が高コストである理由は、鍛造工程数が多いこと、鍛造用原料そのものが高コストであること、更には、鍛造工程中にバリなどの無駄が生じて高コストの鍛造用原料が効率よく鍛造品に成形されていないこと等が挙げられる。又、スクィーズ鋳造品でも、工程数が多い上に射出スピードが遅いため生産性が上がらず、低コスト化出来ていない。
【0010】
このように、車両用部品、特に足廻り部品においては、軽量化を図るために、腐食し易い雰囲気の中で使用されても、長期の間、錆びたり、変形や破壊が起きない、より低コストなアルミニウム製品が求められているが、従来より、このようなアルミニウム製品を作製する材料として、改善された種々のアルミニウム合金が提案されてきている。
特開平5−59477号公報によれば、成分調整によって結晶粒の粗大化を抑制し、機械的性質が優れたものとした鍛造用アルミニウム合金が提案されている。珪素1.0〜1.5重量%、マグネシウム0.8〜1.5重量%、銅0.4〜0.9重量%、マンガン0.2〜0.6重量%、クロム0.3〜0.9重量%他を含有する成分となるよう調整し、マトリックスの強度向上、結晶粒の粗大化抑制を図り、引張り強さ40kgf/mm2を実現したとしている。
【0011】
しかしながら、この提案では強度の向上は図られているものの、従来の鍛造用原料の成分を変えただけで製造方法は変わらず低コストにならない上に、従来の鍛造用原料(A6061合金)より銅を多く含んでいるために耐食性が低下し、車両の足廻り部品への適用性には問題があった。
【0012】
又、特開平7−258784号公報によれば、鋳造性に優れ高強度な鍛造用アルミニウム合金材料が提案されている。珪素0.8〜2.0重量%、マグネシウム0.5〜1.5重量%、銅0.5〜1.0重量%、マンガン0.4〜1.5重量%、クロム0.1〜0.3重量%他を含有する成分となるよう調整したアルミニウム合金材料の溶湯を用いて、凝固過程の冷却速度を制御して連続鋳造した後、均熱処理を施し、続いて熱間鍛造を行って、その後に溶体化処理、更には時効処理を行って得たアルミニウム合金鍛造品は、最終製品に近い形状に鋳造する場合に、従来のA6061合金を原料とした際に生じていた鋳造割れが起きないとしている。
【0013】
この提案においても、鋳造性の改良が成されているものの、やはり、従来の鍛造用原料(A6061合金)を用いた場合に比べて、製造工程は同等かむしろ複雑化して低コストに結びつかない上に、銅をより多く含んでいるために耐食性が低下し、足廻り部品への適用には不安が残っていた。
【0014】
更には、特開平8−3675号公報によれば、機械的特性に優れた低コストな鍛造用アルミニウム合金が提案されている。珪素0.6〜3.0重量%、マグネシウム0.2〜2.0重量%、銅0.3〜1.0重量%、マンガン0.1〜0.5重量%、クロム0.1〜0.5重量%他を含有し、且つ、Mg2Siが1.5重量%以上になるように成分調整したアルミニウム合金を、10〜50%の据込率で鍛造加工することにより、鋳造時に熱間割れが発生せず、鍛造後に強度を向上させることが出来るとしている。
【0015】
この提案では、鋳造時に最終製品に近い形状に成形出来、押出工程を省略して鍛造出来るため、製造コスト低減が図られているが、酸化し易い銅の含有量を0.3〜0.5重量%として、少なくした場合には、引張り強さ、0.2%耐力が低下し、鍛造後の製品は、従来の鍛造品であるA6061FD規格値よりも強度が低下するといった問題が生じていた。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、国際的に二酸化炭素の排出量を規制し低減する取り組みが盛んになる中で、自動車の燃費を改善する要望が強まり、軽量であって従来の材料の中では比較的低コストであるアルミニウム合金を用いたアルミニウム製品を、高い機械的強度と優れた耐腐食性を保持しながら、更に低コスト化を図り、種々の自動車用足廻り部品に適用することが求められているが、適切なアルミニウム製品の製造方法が提案されていなかった。
【0017】
本発明は、上記した従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来技術の問題を解決することにある。より特定すれば、引張強さ、0.2%耐力、伸びが大きく、従来の鍛造品と同等以上の機械的性質を有していて、耐食性に優り、又、不用な鍛造用原料を再利用可能であって、より簡素な製造工程を採用したルミニウム鋳造鍛造品の製造方法を提供することにある。そして、この製造方法により製造されたアルミニウム鋳造鍛造品を自動車等の足廻り部品に適用し、燃費低減を図り、排出二酸化炭素を削減して、地球温暖化防止等の環境対策に貢献することにある。
【0018】
本発明者等は、上記の課題を解決するために、アルミニウム肉厚加工製品の原料や製法について種々検討した結果、展伸用アルミニウム合金を原料とし、含有する銅の重量比率を少なくして、酸化劣化、腐食性を抑え、最終製品形状に近すぎない形状に成形したプリフォーム成形品を先ず鋳造し、このものを所望の形状を有する最終製品となるまで鍛造加工することにより低コストアルミニウム鋳造鍛造品が製造できることを見出し、この製造方法により上記の目的を達成出来ることを見出した。
【0019】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明によれば、珪素0.4〜0.8重量%、鉄0.7重量%以下、マグネシウム0.8〜1.2重量%、銅0.1〜0.4重量%、クロム0.04〜0.35重量%と不可避的不純物と残余はアルミニウムであるアルミニウム合金を用いて、異形の形状を有するプリフォーム成形品を金型温度60〜150℃で鋳造する工程と、かくして得られた前記プリフォーム成形品を所望の形状となるまで鍛造する工程を含む、アルミニウム鋳造鍛造品の製造方法が提供される。この製造方法により得られたアルミニウム鋳造鍛造品は、銅を0.1〜0.4重量%含有し、引張強さが300N/mm2以上、0.2%耐力が260N/mm2以上、且つ、伸びが10%以上であり、車両用足廻り部品として好適に用いることが出来る。
【0020】
又、鋳造により得られるプリフォーム成形品が、所望の形状を有するアルミニウム鋳造鍛造品の最終形状を100%としたときに、加工率が18乃至60%となるように鋳造するものであるアルミニウム鋳造鍛造品の製造方法が提供される。更に、この製造方法においては、原料の一部として、鍛造工程中で発生したバリを利用することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のアルミニウム鋳造鍛造品について、実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0022】
本発明は、Al−Mg−Si系の展伸用アルミニウム合金材料を原料として、この原料を溶解して鋳造し、加工率が最終製品の18〜60%程度となるプリフォーム成形品を得て、更に、鍛造工程を経て作製されるアルミニウム鋳造鍛造品である。
【0023】
本発明は、アルミニウム鋳造鍛造品であって、含まれる微量金属のうち酸化し易い銅を0.1〜0.4重量%に抑えて耐腐食性を向上させ、且つ、引張強さが300N/mm2以上、0.2%耐力が260N/mm2以上、伸びが10%以上といった従来の鍛造品以上の機械的性質を有することが特徴である。銅の含有率は、0.1〜0.2重量%であることがより耐腐食性が高まるので好ましい。又、引張強さは好ましくは340N/mm2以上、0.2%耐力は好ましくは310N/mm2以上、伸びは好ましくは11%以上である。尚、本発明のアルミニウム鋳造鍛造品の引張強さ、0.2%耐力、伸びという機械的性質は、日本工業規格Z2201で規定されている試験法に従って求めたものである。
強度に貢献するものの錆を導き易い銅の含有量を抑えて、このような高い強度を実現したことで、腐食性雰囲気のもとで使用される自動車の足廻り部品、例えば、サスペンション系統やステアリング系統の部品に好適に用いることが可能になった。足廻りの重要な部品、例えば、フロントのウィッシュボーンサスペンションのロアアーム及びアッパーアーム、リアのスイングアームサスペンションのトレーリングアーム、ステアリングに連動してタイヤを操るナックルアーム等に、長期間錆びにくく壊れにくい低コストな本発明のアルミニウム鋳造鍛造品を適用出来ることで、車両の軽量化が一層進め易くなる。
【0024】
以下、本発明のアルミニウム鋳造鍛造品を具体的に説明する。
本発明は、Al−Mg−Si系の展伸用アルミニウム合金、即ち、6000番台の合金を原料として、銅の含有量を少なく抑えている。例えば、従来の鍛造に好適に用いられるA6061合金を原料として用いることが可能である。A6061合金の成分規格は、日本工業規格H4040によればアルミニウムを主成分として、他に微量金属を、珪素0.4〜0.8重量%、鉄0.7重量%以下、マグネシウム0.8〜1.2重量%、銅0.15〜0.4重量%、クロム0.04〜0.35重量%含む合金である。酸化し易い銅が少なく、充分な耐腐食性を有する合金材料といえる。
【0025】
銅は、これを含有させることによって、強度改善を図ることが出来る元素である。銅を含有させた鍛造品では、冷却後に常温放置し、時間をかけて結晶を析出させる、所謂時効処理で発現するAl−Cu、又は、Al−Cu−Mg系の析出物を得ることが出来、これらによって、Al−Mg−Si系の合金において、析出するMg2Siの強度改善作用を促進させることで強度が向上する。本発明では、従来の鍛造品以上の強度が必要なので、銅を含有させることが好ましい。しかしながら、例えば、自動車の足廻り部品等の耐腐食性が重要視される製品への適用を考慮した場合に、酸化し易い銅は、入れすぎると腐食し易くなるので、少なめに含有することが肝要である。
【0026】
銅は、アルミニウム鋳造鍛造品中に0.1〜0.4重量%含むことが好ましい。銅が0.1重量%未満では、強度の向上に寄与せず、0.4重量%より多い場合には、耐腐食性が低下し錆び易くなり、過酷な使用条件下では長期にわたり強度を維持出来なくなるので好ましくない。
【0027】
本発明においては、展伸用アルミニウム合金を原料として、これを溶解して鋳造するので、原料として、例えば、従来の鍛造用原料であって、通常の鍛造工程において多量に生じる不用なバリを再利用することが可能である。従来は、鍛造工程から発生するバリは、回収してより安価な鋳造材用のインゴットとして再利用されているだけで、より高価な鍛造用の原料としてリサイクルされていなかった。本発明では、鍛造工程から発生する、一般に使用する原料の概ね30%にもなる不用なバリを、鍛造用の原料としてリサイクルし、原料費の削減を図り、アルミニウム鋳造鍛造品の低コスト化を実現している。
【0028】
次いで、本発明のアルミニウム鋳造鍛造品の製造方法について説明する。
上記の通り、通常の鍛造時に必ず生じる不用なバリを原料として用いることが可能であり、製造コスト低減に寄与するのでバリを原料として用いることが好ましい。この原料は、展伸用アルミニウム合金であって、銅を0.1〜0.4重量%含有するものを用いる。
【0029】
この原料を、溶解炉に入れて約680〜780℃に熱して溶解し、次いで保持炉に入れて脱ガス処理、及び脱酸処理を施し、溶湯を得る。そして、この溶湯から、鋳造装置を用いて金型成形し、鍛造用素材を得る。
この際、金型の温度は、約60〜150℃に調整しておくことが好ましい。
【0030】
次いで、鋳造装置を用いて金型成形し得られた鍛造用素材を、約380〜520℃の表面温度に加熱し、鍛造プレスによって型打ちし、荒鍛造品を得る。
【0031】
そして、その荒鍛造品を、冷却後、再度、約380〜520℃の表面温度に加熱して、鍛造プレスによって仕上げの型打ちを行い、仕上鍛造品を得る。この仕上鍛造品を、トリミングを行い、T6処理等の熱処理が施されて鍛造製品となる。このような製造工程によって本発明のアルミニウム鋳造鍛造品が得られる。鍛造プレスの荷重は、例えば、自動車用足廻り部品たるナックルアームの場合に、荒鍛造で概ね2600〜2800トン、仕上鍛造で概ね3200〜3800トンである。
【0032】
本発明においては、本発明の製造工程中の、鍛造プレス、及びトリミングによって生じるバリも、バリ抜き機によって集められて、再び本発明のアルミニウム鋳造鍛造品の原料として再利用することが可能である。従って、全てリサイクルされ、廃棄物や安価な鋳造用原料となることがない。
【0033】
本発明の、アルミニウム鋳造鍛造品の製造方法では、原料を溶かして溶湯を得た後に行う鋳造において、鋳造用の金型の形状が、最終の鍛造製品の形状を100%としたときに、概ね加工率が18〜60%である形状とすることが好ましい。その後の鍛造によって、充分に強度が向上し、且つ、鍛造工程がより簡略化出来るからである。即ち、この加工率を概ね18〜60%とすることによって、鍛造による強度向上効果と鍛造工程の簡略化によるコストダウンとのバランスが保たれる。
ここで加工率とは加工の程度を表す値で、例えば、図3に示すような初めの厚さD1の材料Aが荷重Fによって加工され、加工後に厚さD2となったときに、その加工率Rは次式で表される。
R[%]=(D1−D2)/D1×100 (D1>D2)
但し、加工後の厚さD2の方が厚い場合には、次式で表す。
R[%]=(D2−D1)/D1×100 (D2>D1)
即ち、本発明において、アルミニウム鋳造鍛造品の最終形状を100%としたときに加工率が概ね18〜60%となるように鋳造したプリフォーム成形品とは、そのプリフォーム成形品を鍛造して最終製品を得る場合に、プリフォーム成形品の各部分の厚さと、最終製品において相当する各部分の厚さとにより求めた加工率が、各部分において概ね18〜60%におさまるような形状のプリフォーム成形品を鋳造によって得るということである。
【0034】
本発明においては、例えば、使用環境が必ずしも良くない自動車の足廻り部品等を最終製品としており、機械的強度と耐腐食性を、従来の鍛造品以上とすることが最優先である。このため、鋳造性については、即ち、流動性や引け巣性は、元来の鋳造材料に比べると優るものではない。従って、製造工程の効率向上を重視するあまり、鋳造して鍛造用素材を得る工程において、あまりにも最終製品に近い形状の金型で成形すると、割れやピンホール等の欠陥が生じ易くなる上に、その後の鍛造効果による強度向上も得難いので好ましくない。そのため、上記の加工率に抑えることが好ましい。
【0035】
本発明の、アルミニウム鋳造鍛造品の製造方法では、原料を溶かして溶湯を得た後に、鋳造用の金型を、最終の鍛造製品の形状を100%としたときの加工率が、概ね18〜60%程度となるような形状にして、鍛造による強度向上の効果を得ながら、従来の鍛造用原料より製品の形状に近づけ、プレスし易くしているため、従来の鍛造工程のように、押出、切断、加熱、粗鍛造、荒鍛造、仕上鍛造、トリミングといった工程よりも製造工程が簡略化されていて、製造コストの低減が図られている。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜4)
銅の含有量を変更したことを除いて同一条件により、アルミニウム鋳造鍛造品を4体作製し、それぞれの機械的強度を測定した。
図1は、作製したアルミニウム鋳造鍛造品であるナックルアームを示す図である。図1(a)はナックルアームプリフォーム成形品21の上面図であり、図1(b)はナックルアーム製品22の上面図である。このような形状の部品を低コストで軽量化し、自動車に適用することで、燃費の向上が図れる。
【0037】
A6061合金のバリを主とする端材を用意し、溶湯温度730℃で溶解し、実施例1として、Al−Cu母合金を炉中に添加して銅の含有量を0.29重量%に調整した溶湯を得た。これをもとに以下の通りナックルアームを製造した。尚、銅の含有量は発光分光分析装置によって測定した。
その後、最終のナックルアーム製品22の形状を100%としたとき、これに比べて加工率20〜30%の形状に型を取ったナックルアームプリフォーム成形品21を、鋳型温度100℃によって成形した。次いで、ナックルアームプリフォーム成形品21を、荒打鍛造温度400℃(表面温度)にて、鍛造プレスにより荒打鍛造荷重2800トンをかけて型打ちし荒鍛造品を得た。次に、荒鍛造品を、冷却後、仕上鍛造温度460℃(表面温度)にて、再度、鍛造プレスにより仕上鍛造荷重3200トン荷重で型打ちした。最後にトリミングで形状を整え、520℃で3時間加熱(T4処理)した後に冷却し、更に、180℃で6時間加熱(T6処理)して、最終製品としてナックルアーム製品22を得た。
【0038】
得られたナックルアーム製品22の機械的性質として、引張り強さ、0.2%耐力、伸びを測定した。作製したナックルアーム製品22から、図2に示す試験片採取位置41〜43において試験片を切り出し、それぞれについて機械的性質を測定した。その結果を表1に示す。
実施例2〜4として、銅の含有量を実施例1と同じ0.29重量%、実施例1と異なる0.15重量%、0.40重量%に調整して、実施例1と同様の方法でナックルアーム製品22を作製し、同様の試験を行った。その結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
Figure 0003747232
【0040】
4体の製品(実施例1〜4)の全ての試験片が、機械的性質である引張り強さ、0.2%耐力、伸びにおいて、従来の鍛造工程で製造される日本工業規格H4040によるA6061FD−T6の規格値以上が確保されていた。得られる機械的性質の範囲は、概ね、引張強さが305〜350N/mm2、0.2%耐力が260〜320N/mm2、伸びが10〜19%であって、本発明のアルミニウム鋳造鍛造品は、従来の鍛造品以上の機械的強度を有していることが確認出来た。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、引張強さ、0.2%耐力、伸びが大きく、従来の鍛造品と同等以上の機械的性質を有していて、耐食性に優り、又、不用な鍛造品原料を再利用可能であって、尚且つ、製造工程がより簡素で生産性の良い、低コストなアルミニウム鋳造鍛造品が提供される。そして、このアルミニウム鋳造鍛造品として、例えば、軽量な自動車用足廻り部品が提供されるので、自動車等の燃費が低減されて排出二酸化炭素が削減され、その結果、地球温暖化防止に貢献するといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のアルミニウム鋳造鍛造品の一実施例を示す図であり、図1(a)はプリフォーム成形品の上面図であり、図1(b)は最終製品の上面図である。
【図2】 本発明のアルミニウム鋳造鍛造品の機械的強度測定における試験片採取位置を示す説明図である。
【図3】 加工率を説明するための鍛造用素材の断面図である。
【符号の説明】
21…ナックルアームプリフォーム成形品、22…ナックルアーム製品、41,42,43…試験片採取位置。

Claims (4)

  1. 珪素0.4〜0.8重量%、鉄0.7重量%以下、マグネシウム0.8〜1.2重量%、銅0.1〜0.4重量%、クロム0.04〜0.35重量%と不可避的不純物と残余はアルミニウムであるアルミニウム合金を用いて、異形の形状を有するプリフォーム成形品を金型温度60〜150℃で鋳造する工程と、かくして得られた前記プリフォーム成形品を所望の形状となるまで鍛造する工程を含む、アルミニウム鋳造鍛造品の製造方法。
  2. アルミニウム鋳造鍛造品が車両用足廻り部品である請求項1に記載のアルミニウム鋳造鍛造品の製造方法。
  3. 鋳造により得られるプリフォーム成形品が、所望の形状を有するアルミニウム鋳造鍛造品の最終形状を100%としたときに、加工率が18乃至60%となるように鋳造するものである請求項1に記載のアルミニウム鋳造鍛造品の製造方法。
  4. 原料としての前記アルミニウム合金が鍛造工程中に発生したバリを含むものである請求項1に記載のアルミニウム鋳造鍛造品の製造方法。
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