JP3747426B2 - ホログラム付き缶体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、缶胴にホログラムが付与されているホログラム付き缶体に関し、特に、印刷層が形成され且つレリーフ型ホログラムが形成された樹脂製フィルムを缶胴に貼着しているようなホログラム付き缶体に関する。
【0002】
【従来の技術】
虹色に光ると共に見る角度によって色が微妙に変化するホログラムについては、従来から装飾性を高めるために様々な分野で使用されており、そのようなホログラムとして平滑な材料表面にエンボス加工で極微細な凹凸を形成してなるレリーフ型ホログラム(エンボスホログラム)が従来から一般的に使用されていて、缶詰用の容器となる金属製の缶体についても、文字や模様の印刷部を設ける缶胴の装飾性を更に高めるために、そのようなレリーフ型ホログラムを缶体の胴部に付与するということが従来から提案されている。
【0003】
すなわち、缶胴にホログラムを付与するために、例えば、像として表現すべき原稿からの光の波面に相当する干渉縞が凹凸の形でレリーフ型ホログラムとして形成されている工具の表面を、加工すべき金属表面に係合させて転写することで、該金属表面にレリーフ型ホログラムを直接形成するという方法が、特公平5−7265号公報によって提案されている。
【0004】
また、缶胴に印刷を施し、その上から透明な熱硬化性樹脂を塗装してから加熱して完全に硬化させた後に、所望の部分のみに熱硬化性樹脂の印刷を行い、更に加熱して印刷した樹脂が完全に硬化する直前に、ホログラム箔を熱硬化性樹脂による印刷上面に圧着させ、ホログラム箔をスタンピングした後に加熱して完全硬化させるというような方法も、特開平6−210943号公報によって提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来の金属製の缶体に対するレリーフ型ホログラムの付与について、特公平5−7265号公報に開示されているような方法では、平板状態の金属表面にホログラムを形成した後で円筒形に丸めて缶胴を形成する場合には、ホログラムが形成された金属面に過大な負荷をかけることとなって、ホログラムに悪影響を与える恐れがある一方、円筒形に缶胴を形成した後の曲面状態の金属表面にホログラムを形成する場合には、円筒面と工具との係合作業などを極めて微妙且つ正確に行わなければならず、作業能率が大幅に低下することとなる。
【0006】
さらに、ホログラムを形成した後で印刷する場合には、印刷インキがホログラム効果を阻害するのを防止するために、ホログラム部分に印刷インキが付着しないように正確な位置合わせをしたり、印刷時にインキが飛び散らないように印刷速度を低くする必要があり、また、その逆に印刷を施してからホログラムを形成する場合でも、印刷されていない金属面にホログラムを形成するためにやはり正確な位置合わせが必要となって、何れにしても、作業が面倒であり、作業能率が低下して、生産速度を上げにくい。
【0007】
しかも、ホログラムを形成した金属面は、そのままでは錆びてしまうので、透明塗膜で覆う必要があり、印刷後にホログラムを形成すると、印刷層保護のための塗装工程・乾燥工程の他に更にホログラム保護のための塗装工程・乾燥工程が加わるため、かなりコスト高となってしまう。
【0008】
一方、特開平6−210943号公報に開示されているような方法でも、所望の部分のみに熱硬化性樹脂の印刷を行う際の位置合わせが必要となり、また、缶体への加工工程が多いので、生産性が上がりにくく、コスト高になるという問題がある。
【0009】
そこで、上記のような問題を解消するために、缶胴に貼着するための透明な熱可塑性樹脂フィルムの表面(缶胴側とは反対側の面)に直接レリーフ型ホログラムを形成しておくか、あるいは、透明な熱可塑性樹脂フィルムの表面の上層に設けた滑性剤含有の熱硬化性樹脂層の表面にレリーフ型ホログラムを形成しておいてから、透明な熱可塑性樹脂フィルムの裏面(缶胴側の面)に印刷を施した後、印刷層を覆うように設けた接着層を介して、該フィルムを缶胴に貼着するという方法が、この出願に先立つ本出願人の出願(特願平9−152896号)により提案されている。
【0010】
そのような缶体貼着用フィルムを利用したホログラム付き缶体によれば、従来の方法によるホログラム付き缶体と比べて、製造工程をあまり増やすことなく、また、作業能率を大幅に低下させるようなことなく、缶胴の表面にレリーフ型ホログラムを良好に形成できることとなるが、そのような缶体貼着用フィルムを利用したホログラム付き缶体についても、更に詳細に検討した結果、以下に述べるような問題のあることが判った。
【0011】
すなわち、従来の印刷済みフィルム貼着缶体では、貼着するフィルムの表面に、缶体表面の傷付きを防止するための保護層(トップコート層)として、シリコンやワックス等の滑性剤を0.1〜4.0重量%程度含有した透明な熱硬化性樹脂を塗布するのが一般的であって、そうしないと、その後の製缶工程中あるいは缶詰製造工程中に缶体外表面に傷や汚れを発生させたり、また、円筒状に形成された缶体の滑り性能が悪くなることで、加工のタイミング遅れや、円筒缶胴から口絞り(ネックイン加工)する際に口絞りダイとの摩擦力が上がるため、成形力が上がって缶体が座屈するという問題が生じる。
【0012】
この点に関して、上記のようなホログラム付きのフィルム貼着缶体では、熱可塑性樹脂フィルムに直接レリーフ型ホログラムを形成しておく場合、極微細な凹凸が広い範囲に形成されていることで滑り性がかなり改善されてはいるが、貼着するフィルムの表面に滑性剤含有のトップコート層を設けていないので、缶体外表面に傷や汚れを発生させる恐れがある。
【0013】
そこで、そのように缶体外表面に傷や汚れが発生するのを防止するために、ホログラム形成面の上に透明な熱硬化性樹脂のトップコート層を塗布すると、極微細な凹凸として形成されたホログラム形成面が、このホログラム形成樹脂と光の屈折率が近い透明な熱硬化性樹脂で埋められてしまうため、光の屈折現象によるホログラムの効果が消失してしまうこととなる。
【0014】
なお、ホログラム効果を必要とする部分に対して、ホログラム形成面の上に更に金属蒸着による反射層を設けた後、全体を透明なトップコート層(オーバーコート層)で被覆するということが、特開平8−179679号公報に開示されているが、そのようなものでは、ホログラム形成面の上に金属蒸着の薄膜層を更に設ける必要があり、こういった処理は手間がかかってフィルム自体が高価なものになってしまうと共に、ホログラム形成層の下層に設けた印刷層とホログラムとの重なりによる深みのある装飾効果を期待することはできない。
【0015】
一方、上記のようなホログラム付きのフィルム貼着缶体で、熱可塑性樹脂フィルムの上層に透明な熱硬化性樹脂のトップコート層を設けてその表面にホログラムを形成しようとすると、完全硬化している滑性剤含有の熱硬化性樹脂の表面にレリーフ型ホログラムを形成することで、加工条件がかなり厳しくなって、生産効率の低下や製品歩留まりの低下が避けられないと共に、ホログラム形成時の加工負荷が増大するので、原版として使用するホログラム版の耐久性が著しく低下することとなる。
【0016】
さらに、そのような問題とは別に、製品の多様化という観点から見ると、多彩なホログラム模様をデザインとして生かすために、エンボス版を変更して色々なレリーフホログラムを形成したり、ホログラム形成樹脂層を様々なパターン状に印刷して該樹脂層にホログラムをエンボス加工するようなことが従来から一般的に行なわれている。
【0017】
しかしながら、そのような従来の方法によりホログラム付きフィルム貼着缶体においてホログラム模様の多様化を図ろうとすれば、異なるホログラム模様の貼着用フィルムを多数用意しておき、製缶ラインにおいて使用する貼着用フィルムをその都度交換しなければならず、それにより、単に型替え時間が増えるだけでなく、ホログラム模様の異なる多種類の貼着用フィルムの在庫を多く抱えることとなる。
【0018】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、缶体貼着用フィルムの表面にレリーフ型ホログラムを形成することで、製造工程を大幅に増やしたり作業能率を大幅に低下させることなく、金属製缶体の缶胴表面にホログラムを良好に形成すると共に、そのように缶体貼着用フィルムの表面にホログラムを形成した缶体において、缶体の滑り性能を確保して、製缶工程や缶詰製造工程での缶体表面の汚れや傷の発生を防止したりする一方、ホログラムと印刷層との重なりによる深みのある装飾効果を失うことなく、簡単に且つ経済的に、缶体に施すホログラム模様の多様化を図ることができるようにすることを課題とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、主体層となる透明な熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に印刷層を施した印刷済みの樹脂製フィルムが、印刷層を覆うように施された接着層を介して、缶胴金属板の外周面に貼着されているようなフィルム貼着缶体において、樹脂製フィルムの缶胴金属板側とは反対側の表面に、極微細な凹凸によるレリーフ型ホログラムを形成すると共に、滑性剤を含有する透明な硬化性樹脂のトップコート層により該ホログラムの形成面を部分的に被覆することで、トップコート層で被覆されずホログラムとして残される部分が、細線の繰り返し又は細線の組み合わせによる模様となり、且つ、該細線の太さが0.2〜0.5mm、該細線間の間隔が1.0〜2.0mmとなるように形成されたり、或いは、規則正しい繰り返しパターンによる模様となり、且つ、一つの図形又は点の最大寸法部分が1.0〜3.0mm、各図形又は点同士のピッチが1.5〜4.0mmとなるように形成されていることを特徴とするものである。
【0020】
上記のような構成によれば、予めレリーフ型ホログラムが形成された印刷済みの樹脂製フィルムを缶胴金属板に貼着する(円筒状缶胴の金属面に貼着するか、又は、平板状の缶胴用金属板の金属面に貼着する)だけで、缶胴の表面にホログラムと印刷模様とが重なった深みのあるホログラム装飾効果を付与することができ、しかも、部分的に設けられたトップコート層により、缶体の滑り性能を確保して、製缶工程や缶詰製造工程で缶体表面に汚れや傷が発生するのを防止することができる。
【0021】
また、ホログラム形成面に塗布用ローラー(グラビアコーター等)でトップコートを塗布するときの塗布模様を変えるだけで、ホログラムとして残される部分の模様を変えることができるため、簡単にホログラム模様の多様化を図ることができる。
【0022】
その際、トップコート層で被覆しない部分を、細線の太さが0.2〜0.5mmで、細線間の間隔が1.0〜2.0mmとなるように細線の繰り返し又は細線の組み合わせとしたり、或いは、一つの図形(又は点)の最大寸法部分が1.0〜3.0mmで、各図形(又は点)同士のピッチが1.5〜4.0mmとなるような図形(又は点)の繰り返しパターンとしていることで、ホログラム形成面よりも下層にある印刷文字や印刷図柄の視認性を良好なものとすることができる。
【0023】
すなわち、本発明者等の研究によれば、ホログラム形成面と印刷層が重なっている部分では、下層にある印刷文字や印刷図柄が小さいと、見る角度によってはホログラムの虹色の反射光で見え難くなることが判明した。特に、内容物の説明や注意書のために使用される小さな印刷文字が読み取り難くなるが、このような説明や注意書はホログラムに邪魔されずに充分に読み取れるようにすることが望ましい。この点に関して、上記のようにホログラムとして残される部分を小さく分散させることによって、ホログラムによる装飾効果を生かした上で、ホログラムの虹色に邪魔されることなく、小さな印刷文字や印刷図柄でも充分に読み取ることができるようになった。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のホログラム付き缶体の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
本発明のホログラム付き缶体の一実施形態について、図1(A)は、缶胴の断面を部分的に示し、図1(B)は、そのような缶胴の断面を更に拡大して示すものであり、また、図2は、図1(B)に示した缶胴断面の部分を斜め上方から見たものであって、缶体1は、缶胴の本体部分を形成する円筒状の金属板2に対して、印刷を直接施さず、予め印刷を施した缶体貼着用の樹脂製フィルム3を熱接着により一体的に貼着した印刷フィルム貼着缶体である。
【0026】
缶胴の金属板2に貼着されている印刷済みの樹脂製フィルム3は、主体層となる透明な熱可塑性樹脂フィルム4に対して、その裏面側(金属板2に接着される側)に、複数色の印刷インキからなる印刷層5を設け、該印刷層5を全面的に被覆するように、接着剤からなる接着層6を設けると共に、その表面側(金属板2とは反対側)に、極微細な間隔の凹凸によるレリーフ型ホログラム3aを表面に形成した透明なホログラム形成層7を設け、更に、該ホログラム形成層7のホログラム形成面3aを部分的に被覆するように、滑性剤を含有した透明なトップコート層8を設けたものである。
【0027】
なお、滑性剤を含有した透明なトップコート層8は、本実施形態では、図2に示すように、平面的に見て格子模様の規則的なパターンで、ホログラム形成層7の表面に形成されたレリーフ型ホログラムの形成面3aを、50%以上の被覆率で部分的に被覆している。
【0028】
上記のような本実施形態のホログラム付き缶体では、透明な熱可塑性樹脂フィルム4の上側に重ねられた透明なホログラム形成層7の表面に形成されたレリーフ型ホログラム3aを、透明なトップコート層8が部分的に被覆していることにより、トップコート層8で被覆された部分は、ホログラムの極微細な凹凸がホログラム形成層と屈曲率が近いトップコート層8の樹脂により埋められることでホログラム効果が消失して、透明な熱可塑性樹脂フィルム4の下側に重ねられた印刷層5による印刷模様だけが明瞭に見えるようになっている。
【0029】
これに対して、トップコート層8で被覆されない部分は、ホログラム形成層7の表面に形成されたレリーフ型ホログラム3aが、透明な熱可塑性樹脂フィルム4を通してその下側の印刷層5による印刷模様と重なった状態となっているため、缶胴の表面に光を受けると、見る人の位置により、ホログラムによる虹色が見えたり、印刷模様が見えたりすることで、見る人に対して強い印象を与えることができるようなホログラム効果を発揮するようになっている。
【0030】
特に、印刷層5(通常、厚さは5μm以下)が、該印刷層5よりもかなり厚い透明な熱可塑性樹脂フィルム4(例えば、10μm以上)の裏面側にあり、且つ、ホログラム形成面3aを表面に有するホログラム形成層7が透明な熱可塑性樹脂フィルム4の表面側にあることによって、深みのある立体的な装飾層となり、それによってより一層高級感が出るため、たとえ印刷層5の色数を減らしたとしても高級感が失われることはない。
【0031】
この点に関して、従来の3ピース缶用鋼板に対する多色オフセット印刷、および缶体貼着用樹脂フィルムに対する多色グラビア印刷では、重ね刷りが可能なので、インキの色数は3原色だけ又はそれに墨色を加えた4色で殆どの印刷が可能なはずであるが、装飾印刷の豪華さや高級感を出すために、それよりも多い6色から8色の色を使った印刷が行われており、また、ドライオフセット印刷法により缶体に対して直接多色印刷をする2ピース缶でも、最近は7色や8色のインキを使った印刷が増えている。
【0032】
これに対して、本実施形態のホログラム付き缶体は、透明な熱可塑性樹脂フィルム4の裏面に形成された印刷層5による装飾効果に加えて、見る角度によって虹色に光るホログラムが、透明な熱可塑性樹脂フィルム4の表面側(本実施形態では、ホログラム形成層7の表面)に形成されることで、たとえ4色あるいはそれ以下の色数を使って印刷したとしても、印刷効果にホログラムによる装飾効果が加わることで豪華さや高級感がでることにより、消費者に対するアピール度が高くなる。
【0033】
そのように印刷層5の色数を少なくすることができるということは、印刷する際に使用するインキの数が少なくて良いということであり、その結果、印刷の型替えに要する時間が短くなり(版の数はインキの数と同じであるため)、また、印刷前の各色の版の印刷図柄の見当合わせに要する時間も短くなるので、印刷の準備時間が大幅に短縮化できる(印刷作業効率が向上する)という利点につながるものである。
【0034】
なお、本発明者等の実験によれば、ホログラム効果が現れる部分の裏側の印刷インキの色について、濃い赤色,濃い茶色,濃い緑色,黒い色(墨色)のように明度が比較的低い場合や、また、透明な熱可塑性樹脂フィルム4の裏面側に4色以下の色数で印刷をする場合であっても、これら明度が比較的低い色のベタ印刷である場合に、その上側に形成されるホログラムによる装飾効果がより高いものとなることが判っている。
【0035】
ところで、上記のような本実施形態のホログラム付き缶体1の各部分に使用される材料の具体例(これに限られるものではないが)については、以下の通りである。
【0036】
缶体1の缶胴を形成する金属板2については、冷延板,溶融亜鉛および亜鉛合金メッキ鋼板,電気亜鉛および亜鉛合金メッキ鋼板,ブリキ,極薄錫メッキ鋼板,ティンフリースチール,クロムメッキ鋼板,アルミメッキ鋼板,ニッケルメッキ鋼板,その他の各種合金メッキ鋼板,アルミニウム合金板,その他の金属板、および、それらに必要に応じて、化成処理、例えば、リン酸塩処理,クロメート処理,有機クロメート処理,コバルト複合酸化膜処理,ニッケル置換メッキ,その他の処理を行ったものを用いることができる。
【0037】
樹脂製フィルム3の主体層となる透明な熱可塑性樹脂フィルム4については、10〜30μmの厚さのポリエステルフィルム,ナイロンフィルム,ポリプロピレンフィルム等、比較的透明性が高く、しかも耐熱性に優れた樹脂フィルムを使用することができて、例えば、ポリエステルフィルムとしては、エチレンテレフタレート,および,エチレンイソフタレートを主たる構成成分としたものが用いられる。
【0038】
熱可塑性樹脂フィルム4としてポリエステルフィルムを使用する場合、本発明の特性を損ねない範囲で他の成分を共重合しても良く、例えば、共重合するジカルボン酸成分としては、ナフタレンジカルボン酸,ジフェニルジカルボン酸,ジフェニルスルホンジカルボン酸,ジフェノキシエタンジカルボン酸,5−ナトリウムスルホイソフタル酸,フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸,コハク酸,アジピン酸,セバシン酸,ダイマー酸,マレイン酸,フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等を挙げることができる。
【0039】
また、共重合するグリコール成分としては、プロパンジオール,ブタンジオール,ペンタンジオール,ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA,ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール,ポリエチレングリコールなどのポリオキシエチレングリコール等を挙げることができる。
なお、上記のジカルボン酸成分、およびグリコール成分については、2種以上を併用してもよい。
【0040】
熱可塑性樹脂フィルム4としてナイロンフィルムを使用する場合には、ナイロン66,ナイロン610,ナイロン612等のジアミンとジカルボン酸との縮重合物、あるいは、ナイロン6,ナイロン11,ナイロン12のようなラクタムの開環重合物の何れも利用することができる。
【0041】
熱可塑性樹脂フィルム4の裏面に施される印刷層5については、熱硬化性のウレタン系樹脂等からなるインキが使用されており、その印刷方法としては、グラビア印刷,フレキソ印刷,オフセット印刷等、各種の印刷方法を適宜選択可能であるが、色数を豊富に使って色調豊かで美麗な文字や模様を印刷したい場合には、グラビア印刷により印刷層5を形成するのがよい。
【0042】
印刷層5を裏側から全面的に覆うように施される接着層6については、加熱と加圧により密着し易く、且つ、印刷層5に使用されるインキとの密着性が良好な熱硬化型の接着剤によって形成されるもので、そのような接着剤としては、ポリエステルを主成分とする熱硬化性樹脂があり、その他の硬化性樹脂成分としてEB硬化性(電子硬化性)樹脂を併用することができる。
【0043】
なお、接着層6については、ウレタン系,エポキシ系,イソシアネート系の熱硬化型接着剤も使用することができ、また、印刷効果を高めるために、接着層6を構成する樹脂に白色系の着色剤を混入させることもある。
【0044】
接着剤に使用されるポリエステル樹脂は、従来から公知の多塩基酸と多価アルコールの縮合物で熱可塑性樹脂であり、数平均分子量7,000〜40,000、好ましくは10,000〜30,000の範囲のものが使用されていて、該ポリエステル樹脂の製造は、下記の酸成分とアルコール成分とを反応容器中で200℃〜250℃の温度で縮合重合させることによって行われる。
【0045】
ポリエステル樹脂の製造に使用される多塩基酸としては、アジピン酸,スベリン酸,アゼライン酸,セバチン酸,デカン−1,10−ジカルボン酸などの脂肪族二塩基酸、へキサヒドロフタル酸,ヘキサヒドロトリメリット酸,テトラヒドロフタル酸などの脂環族多塩基酸、およびその無水物、フタル酸,イソフタル酸,テレフタル酸,トリメリット酸,ピロメリット酸などの芳香族多塩基酸、およびその無水物、その他、マレイン酸,フマル酸,イタコン酸等を挙げることができる。
【0046】
ポリエステル樹脂の製造に使用される多価アルコールとしては、エチレングリコール,プロピレングリコール,ジエチレングリコール,1・2−ブチレングリコール,1・6−へキサンジオール,1・4−シクロヘキサンジメタノール,ネオペンチルグリコール,ポリラクトンジオール等を挙げることができる。
【0047】
また、接着剤に使用される熱硬化成分としては、メラミン樹脂,グアナミン樹脂,ウレア樹脂等のアミノ樹脂、およびフェノール樹脂が使用可能であり、また、イソシアネート硬化として、トリレンジイソシアネート(略称TDI),4・4′ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族イソシアネート、あるいは、へキサメチレンジイソシアネート(HMDI),イソホロンジイソシアネート(IPDI),キシレンジイソシアネート(XDI)等の脂肪族イソシアネートを使用することができる。
【0048】
また、接着剤に使用されるEB硬化性(電子硬化性)樹脂については、数平均分子量300〜5,000、好ましくは1,000〜2,000のポリエステル系オリゴマーであり、これらは0.3〜5.0モル/kg分子、好ましくは1.0〜3.0モル/kg分子の重合性不飽和二重結合を有するものである。
【0049】
このポリエステル系オリゴマーとしては、数平均分子量5,000以下の水酸基含有低分子量ポリエステルに(メタ)アクリル酸をエステル結合させたものを挙げることができ、該低分子量ポリエステルについては、上記のポリエステル樹脂成分の多塩基酸と多価アルコールを結合して得られるものである。
【0050】
ポリエステルを主成分とする熱硬化型接着剤(EB硬化を併用する場合有り) に配合される応力緩和剤としては、シリカ,ベントナイト,クレー,タルク,硫酸バリウム,炭酸カルシウムなどを挙げることができ、着色(例えば、白色)が必要な場合には酸化チタンの含有も可能である。
【0051】
透明な熱可塑性樹脂フィルム4の表面側に設けられる透明なホログラム形成層7については、レリーフ型ホログラム3aを形成するためのエンボス加工時には、完全には硬化しておらず加圧成形又は熱成形可能であり、ホログラム形成後の加工時には、完全に硬化されていて、加工の際の圧力又は熱圧力、接着剤中の溶剤に耐えるだけの耐性を有することが必要である。
【0052】
そのような樹脂としては、紫外線硬化性樹脂,電子線硬化性樹脂,熱硬化性樹脂,自然硬化性樹脂等の反応性の硬化性樹脂が使用でき、特に生産性を考慮した場合、紫外線若しくは電子線で硬化する樹脂が適していて、具体的には、例えば、実公平5−47108号公報,特開昭60−254174号公報,及び特開昭63−108374号公報等にホログラム形成層の材料として開示されているような周知の硬化性樹脂を使用することができ、そのような透明な硬化性樹脂をホログラム形成層7として使用することにより、エンボスホログラムの加工が容易となり、生産効率が上がると共にホログラム版の耐久性が向上する。
【0053】
透明なホログラム形成層7の表面に(本実施形態では、格子模様のパターンで)部分的に設けられるトップコート層8については、缶体の缶胴表面に滑り性を与えるために、滑性剤を含有した透明な硬化性樹脂として、例えば、エポキシ−アミノ系樹脂,エポキシ−メラミン系樹脂,ポリエステル−アミノ系樹脂などの熱硬化性樹脂に対して、シリコンやワックスなどの滑性剤を0.1〜4.0重量%配合させたものが使用されている。なお、紫外線硬化性樹脂または電子線硬化性樹脂に滑性剤を配合したものも使用できる。
【0054】
このトップコート層8の主樹脂としては、ポリエステル樹脂,アクリル樹脂,エポキシ樹脂等を使用することができ、硬化剤としては、メラミン樹脂等のアミノ樹脂、フェノール樹脂等を使用することができ、さらに、滑性剤としては、ラノリン,カルナバ,パラフィン,ポリエチレン,PTFE(四フッ化エチレン樹脂),ポリエーテル変性ジメチルシラン等のシリコン類およびシリカ等が有効である。
【0055】
ところで、図3および図4は、本実施形態のホログラム付きの缶体1の缶胴の金属板2に貼着される印刷済みでホログラムが形成された缶体貼着用の樹脂製フィルム3を製造するための工程の一例を示すもので、この例では、予めコイル巻きした状態の製品として別途に用意された片面ホログラム付きの熱可塑性樹脂フィルムの長尺フィルムを原料材として使用し、この長尺フィルムを走行させながら、該フィルムのホログラム形成面3aとは反対側の面に、印刷層5と接着層6を順次設けることで、缶胴となる金属板2に貼着する前の印刷済みでホログラムが形成された樹脂製フィルム3の長尺フィルムを製造している。
【0056】
原料材とする片面ホログラム付き熱可塑性樹脂フィルム自体の製造については、図示していないが、エンボスホログラム用金型を、先づ、従来から行われている方法により、フォトレジストを塗布した乾板にレーザー干渉縞を露光させて、その干渉の強度に対応した凹凸のレジストを作り、次に、これに金属を蒸着し、膜を形成させて導電性をもたせ、その上にニッケルをメッキしてから、該メッキ層を原版から剥がすことで、極微細な凹凸形状が精密に写し取られたエンボスホログラム金型を製造する。
【0057】
そのように既知の方法により製造されたエンボスホログラム金型を、そのまま熱可塑性樹脂製の長尺フィルムの表面に繰り返して熱プレスしても、該フィルムの表面に極微細な間隔の凹凸によるホログラムが繰り返し再現された長尺フィルムを得られるが、そのようなエンボスホログラム金型そのものによるスタンプ方式による加工では、加工の速度が上がらない。
【0058】
そのため、それ自体誘導加熱法や内部に加熱流体を流す等の手段で加熱できる金属ジャケットロールの回転する外周面に、エンボスホログラム金型の凹凸形状を型押し加工することで、このエンボスホログラム加工用の金属ジャケットロールにより、連続的に走行している12μmの厚さの熱可塑性樹脂製の長尺フィルムの表面に対し、該ロール外周面のレリーフ型ホログラムを加熱しながら連続的に押し付けて、長尺フィルムに表面にレリーフ型ホログラムを繰り返して形成するようなエンボスホログラム加工を高速で行なうようにしている。(勿論、ホログラムの形成面を構成する樹脂の硬化の程度によっては、エンボスホログラム加工用の金属ジャケットロールを加熱しないでも、エンボスホログラム加工を高速で施すことは可能である。)
【0059】
なお、本実施形態の場合、ポリエチレンテレフタレートからなる透明な熱可塑性樹脂フィルム4の片面に透明なホログラム形成層7を設けて、該ホログラム形成層7の表面にレリーフ型ホログラム3aを形成していることから、その原料材となる片面ホログラム付きの熱可塑性樹脂フィルムを製造する際には、先ず、熱可塑性樹脂製の長尺フィルムの片面に、例えば、紫外線照射により硬化する透明な硬化性樹脂を塗布し、乾燥(又は乾燥と紫外線照射)してホログラム形成層を形成してから、エンボスホログラム金型を該ホログラム形成層に押し当てて、該ホログラム形成層の表面にレリーフ型ホログラムを形成しながら若しくは形成した後、紫外線を照射してホログラム形成層を完全に硬化させる。
【0060】
すなわち、コイル巻き状態から巻解かれて繰り出しロールにより繰り出される熱可塑性樹脂製の長尺フィルムに対して、例えば、グラビアロール(表面に極小さな凹部が形成されているロール)により、透明な紫外線硬化性樹脂を連続的に塗布してから加熱乾燥(又は加熱乾燥と紫外線照射)することによって、先ず、該長尺フィルムの片面にホログラム形成層を形成してから、次いで、走行している長尺フィルムに対して、金属ジャケットロールの外周面に形成されたレリーフ型ホログラムを、常温のまま又は加熱しながらホログラム形成層の表面に押し付けることで、ホログラム形成層の表面にレリーフ型ホログラムを繰り返して形成し、その後若しくは形成中に紫外線を照射してホログラム形成層を完全に硬化させることとなる。(なお、電子線硬化性樹脂の場合には電子線を照射し、熱硬化性樹脂の場合には加熱して、ホログラム形成層を完全に硬化させる。)
【0061】
そのようなエンボスホログラム加工によりフィルム表面に形成されるレリーフ型ホログラムの凹凸のピッチについては、0.1μmから2μmの範囲であって、優れたホログラムを得るためには、この凹凸のピッチを0.3μmから1μmの範囲とすることが望ましい。また、そのようなエンボスホログラム加工を、長尺フィルムの表面全面に施すか、あるいは、該フィルムの表面に部分的に繰り返して施すかについては、任意に選択することができる。
【0062】
上記のように製造された熱可塑性樹脂フィルム4を主体層とする片面ホログラム付きの長尺フィルムに対して、図3および図4に示すように、該長尺フィルムをコイル巻き状態から解いて繰り出しロールで繰り出して連続的に走行させながら、先ず、その表面(ホログラムが形成された面)に、トップコート塗布ローラーにより、1.0重量%の滑性剤を含有する透明な熱硬化性樹脂を、(本実施形態では規則的な格子模様のパターンで)連続的に繰り返して部分的に塗布し、加熱乾燥することにより硬化させて、長尺フィルムの表面(ホログラム形成層7の表面)に設けられたホログラム形成面3aを、滑性剤を含有する透明な熱硬化性樹脂のトップコート層8で部分的に被覆する。
【0063】
次いで、そのような長尺フィルムの裏面に対して、印刷ローラーにより、グラビア,フレキソ等の印刷手段を使って、3〜8色の印刷インキによる裏刷り印刷を順次繰り返して多色印刷による印刷層5を施した後、更に、該印刷層5をその上から全面的に覆うように、接着剤塗布ローラーにより、接着剤を塗布して接着層6を連続的に形成してから、該印刷層5と接着層6とを加熱乾燥した後、巻き取りロールによって印刷・ホログラム成形済の長尺フィルムとしてコイル巻きする。
【0064】
上記のように製造された印刷済みでホログラム形成済みの長尺フィルムについては、印刷層5の印刷が、印刷部分の長手方向の両側に狭い幅の非印刷部分を有する一条以上の印刷を施したもの、すなわち、缶詰内容物等を表示したラベルに相当する印刷の繰り返し模様(一つの缶胴の高さと同じ長さ毎に同じ模様の印刷が繰り返される)の連続印刷が、長尺フィルムの幅方向で、印刷部分が非印刷部分を隔てて複数条(複数個の缶体分の印刷)となるように施されているものである。
【0065】
長尺フィルムに対する上記のような繰り返し模様の連続印刷については、必ずしも複数条となるようにしなければならないことはないが、複数条となるように印刷した方が、一条ずつ印刷する場合と比べて、印刷効率が高く、また、印刷済みのフィルムを金属板に貼着する場合の生産効率が高いことによって、製缶コストを低く抑えることができる。
【0066】
なお、印刷部分が非印刷部分を隔てて複数条となるように施されている場合には、帯状の極薄錫メッキ鋼板に貼着する直前に、非印刷部分が切断除去されてから、複数条の印刷部分が狭い間隔を隔てて帯状の極薄錫メッキ鋼板に貼着されることとなる。
【0067】
長尺フィルムに対する接着剤の塗装方法については特に限定するものではないが、グラビア印刷を施す場合には、一連の作業で印刷塗装ができることからグラビア方式が望ましい。
【0068】
上記のようにして得られた印刷済みでホログラム形成済みの長尺フィルムを用いて、溶接缶胴のような側面継目部を有する3ピース缶のフィルム貼着缶体を製造するには、従来から行われている印刷済み樹脂製フィルムの貼着方法(特開平4−91949号公報、特開平5−147181号公報参照)と同様の方法が適用される。
【0069】
すなわち、コイル巻きされた複数個分の缶胴円周長さよりも少し長い幅を有する長尺(帯状)の極薄錫メッキ鋼板(ブリキ又はニッケルメツキ鋼板でも良い)と、コイル巻きされた印刷済みでホログラム形成済みの長尺フィルムとを、それぞれ解きながら走行させ、走行途中で長尺の極薄錫メッキ鋼板を加熱し、両者を貼着するために両者を重ね合わせて加圧する一対の加圧ロールの直前の位置で、該長尺フィルムの非印刷部分を切断除去してから、該メッキ鋼板と該フィルムとを、接着層が該メッキ鋼板と接触するように重ね合わせ、一対の加圧ロールにより両者を加圧することにより、高速且つ連続的に、3ピース缶胴材料用のフィルム貼着済み帯状極薄錫メッキ鋼板を得ることができる。
【0070】
その際の貼り合わせる条件として、速度は0〜300m/分、温度は140℃〜200℃、加圧ロールによる圧力は線圧として250〜750N/cmにまで上げられるが、好ましい条件として、速度については、生産性を上げることから、200m/分以上とするのが効果的であり、また、貼り合わせ温度については、接着剤の熱融着温度や溶融粘度にもよるが、エンボスホログラム面を保護するという観点から、150〜170℃とするのが好ましく、また、圧力については、接着性に対してはより高い方が有効であるが、寸法の安定性を考慮すると、特に予め印刷を施してあるフィルムを貼り合わせる場合には制御が難しくなることから、500N/cm前後が好適である。
【0071】
印刷済みでホログラム形成済みの樹脂製フィルムが上記のように貼着された帯状の3ピース缶胴用メッキ鋼板については、該フィルムの貼着面とは反対側の面に対して、予め、メッキ鋼板の長手方向に延びる複数条の塗装が、インナーコート(内面塗膜)として施されているか、あるいは、該フィルムとメッキ鋼板との貼着工程と同時又はその前後に、インナーコートとなる熱可塑性合成樹脂のフィルムが、複数条貼着されることとなる。
【0072】
そのように製造されたフィルム貼着済みの3ピース缶胴用帯状極薄錫メッキ鋼板は、先ず、一缶分の缶胴の大きさのブランクに切断され、次に、それぞれ缶胴成形機に掛けられて円筒状に成形された後、溶接機により重合部をシーム溶接されて缶胴となり、その後、ネックイン加工機およびフランジング装置により缶胴両端部にネックイン加工とフランジ加工を施された後、缶胴は缶蓋巻締装置に送られてその一端部に底蓋を巻締められることで、ホログラム付きの印刷缶胴を持つ3ピース缶体となる。
【0073】
印刷済みでホログラム形成済みの長尺フィルムについては、上記のような3ピース缶についてだけでなく、アルミニウム合金板や表面処理鋼板等の金属円板を材料として、絞りしごき加工により側面継目部のない円筒状の缶胴と缶底とを一体的に成形した2ピース缶に対しても、また、インパクト加工や絞り再絞り加工(再絞り加工時にストレッチ加工をするものを含む)により側面継目部のない円筒状の缶胴と缶底とを一体的に成形した2ピース缶に対しても使用可能なものである。
【0074】
印刷済みでホログラム形成済みの長尺フィルムを用いて、側面継目部のない2ピース缶のフィルム貼着缶体を製造するには、特開平9−295639号公報,特開平4−57747号公報等により開示されている方法と同様の方法が適用される。
【0075】
すなわち、コイル巻きされた印刷済みでホログラム形成済みの長尺フィルムを解きながら走行させ、その横幅(印刷された文字や装飾模様の縦横から見て横となる方向の長さ)が缶体の缶胴周長よりもやや長くなるように、連続的に一缶分毎のフィルムシートとして切断することによって、缶体に貼着される大きさの多数のフィルムシートを連続的にフィルム貼着装置に対して提供する。
【0076】
なお、側面継目部のない2ピース缶に貼着するフィルムシートは、缶胴の周囲に巻き付けた際に両端部が突き合わせ状態になっていても良いが、缶胴に巻き付けた際に両端部が重なり合うようになっている方が缶胴の保護(フィルムシートに多少の切断誤差があっても、貼着された際に缶胴の全周が完全にフィルムシートで覆われているようにする。)という観点からは好ましい。
【0077】
また、缶胴に巻き付けた際にその両端部が重なり合うようにする場合には、フィルムシートは、印刷層は長手方向および幅方向ともに連続印刷(非印刷部分がない。接着層も同様。)でも良いが、缶胴で重ね合わされる両端部になる部分(特に重ね合わされる際に下側となる側)にトップコート層を施していない方が接着力の観点から望ましい。
【0078】
缶体に貼着される大きさのフィルムシートが提供されたフィルム貼着装置では、成形加工後に加熱されながら連続的に送られてくる側面継目部のない有底円筒状の2ピース缶体に対して、連続的に供給されたそれぞれのフィルムシートを、加熱されたそれぞれの缶体の円筒状の缶胴に、接着層により貼付して仮接着し、更に、接着層が固化する前にロールで押圧することにより本接着して、有底円筒状のフィルム貼着缶体としてから、内面塗装やネックイン加工及びフランジ加工等のその後の加工工程に送り出すこととなる。
【0079】
上記のようにして製造される本実施形態のホログラム付き缶体によれば、缶体1の缶胴の金属板2に貼着される樹脂製フィルム3の表面にレリーフ型ホログラム3aを形成していることで、金属製の缶体の個々に対して直接その金属表面にレリーフ型ホログラムを形成したものや、印刷済みの缶体の缶胴にホログラム形成層を有する転写シートを熱転写したようなものと比べて、缶体1に対するレリーフ型ホログラムの付与を、容易に且つ能率的に行なうことができて、製缶コストを低減させることができる。
【0080】
そして、そのような樹脂製フィルム3の表面にレリーフ型ホログラム3aを形成した缶体1において、極微細な凹凸によるレリーフ型ホログラムの形成面3aが、(本実施形態では格子模様のパターンで)部分的に、滑性剤を含有する透明な硬化性樹脂のトップコート層8によって被覆されていることにより、以下のような作用効果を奏することとなる。
【0081】
すなわち、缶体1の表面の保護や缶体の成形という観点から見ると、滑性剤を含有する透明な硬化性樹脂のトップコート層8が(50%以上の被覆率で)部分的に設けられていることにより、そのようなトップコート層8が全くないものと比べて、缶体表面の滑り性を良好なものとすることができて、缶体搬送時におけるガイド等との滑り性、および、口絞り(ネックイン加工)などにおける缶体成形時のツール(加工具)との滑り性を改善することができるので、製缶工程や缶詰製造工程において缶体の外表面に傷や汚れや凹みが発生するのを防止することができる。
【0082】
なお、上記のような作用効果を奏するためには、トップコート層8により缶体1の缶胴表面の少なくとも50%以上覆うことが必要であって、トップコート層8を設けていない部分によるホログラムの装飾効果を考慮した上で、トップコート層8の被覆率を高くするに従って、上記のような効果がより高くなるものであり、例えば、図6(A)〜(C)に示すような各形状でのホログラム効果を、缶胴表面の一部分のみに得ようとする場合には、トップコート層8の被覆率を100%にかなり近くすることができる。
【0083】
また、缶体1のホログラムによる装飾効果という観点から見ると、トップコート層8を設けない部分では、透明な熱可塑性樹脂フィルム4の裏面側に形成された印刷層5による色彩や模様の上にホログラムを重ねた状態で、虹色に光るホログラム効果が得られるのに対して、トップコート層8を設けた部分では、ホログラム形成面3aが埋められることでホログラム効果が完全に消失されて、印刷層5による色彩や模様が明瞭なものとなる。
【0084】
それにより、同じレリーフ型ホログラムの形成面3aに対して、その上に塗布ローラーで塗布するトップコート層8の塗布模様を変えるだけで、簡単に且つ経済的にホログラムの模様を様々に変えることができ、しかも、トップコート層8を設けていないホログラム効果のある部分では、比較的厚い透明な熱可塑性樹脂4を介して、印刷層5による色彩や模様の上側に、見る角度によって虹色に光るホログラムが重ねて付与されるため、単に印刷模様のない部分にホログラムの模様を形成したり、印刷模様の上に金属蒸着の反射層によるホログラムを形成したような場合と比べて、缶体の同じ部分を見ても、見る人の位置により、ホログラムによる虹色が見えたり、印刷模様が見えたりすることで、見る人に対して強い印象を与えることができると共に、全体的により厚く深みのある装飾効果を得ることができる。
【0085】
以上、本発明のホログラム付き缶体の一実施形態について説明したが、本発明は、上記のような実施形態にのみ限定されるものではなく、例えば、上記の本実施形態では、熱可塑性樹脂フィルム4の上層にホログラム形成層7を全面的に設けて、該ホログラム形成層7の表面全体にレリーフ型ホログラム3aを形成しているが、ホログラム形成層7を部分的に設けたり、ホログラム形成層7の表面に部分的にレリーフ型ホログラム3aを形成することで実施することも可能であり、さらには、図5に示すように、ホログラム形成層7を設けることなく、熱可塑性樹脂フィルム4の表面(印刷層5とは反対側の面)に直接レリーフ型ホログラム3aを形成することによって実施することも可能である。
【0086】
なお、そのように熱可塑性樹脂フィルム4の表面に直接レリーフ型ホログラム3aを形成する場合には、熱可塑性樹脂フィルム4の材料となる樹脂の融点は160〜255℃程度であることが必要であって、融点が160℃以下のものでは、極微細な間隔の凹凸によるレリーフ型ホログラム3aを熱可塑性樹脂フィルム4の表面に形成した後、熱接着による金属板2への貼着工程において、熱可塑性樹脂フィルム4の表面に形成されたホログラムの凹凸形状が樹脂の軟化又は溶融により消失する恐れがある。
【0087】
また、ホログラム形成面3aを被覆するトップコート層8についても、本実施形態では、図6(A)に示すように、格子模様のパターンとして設けているが、例えば、図6(B)(C)に示すような他の様々な模様のパターンやその他の適宜のパターン模様として実施することも可能である。
【0089】
何れにしても、本発明のホログラム付き缶体では、トップコート層8を被覆せずホログラムとして残す部分を、細線の太さが0.2〜0.5mmで、細線間の間隔が1.0〜2.0mmとなるような細線の繰り返し又は細線の組み合わせとしたり、或いは、一つの図形(又は点)の最大寸法部分(図6にaで示されている寸法)が1.0〜3.0mmで、各図形(又は点)同士のピッチ(図6にbで示されている寸法)が1.5〜4.0mmとなるような図形(又は点)の繰り返しパターンとしていることで、ホログラムを小さく分散させるように設けている。
【0090】
そのようにホログラムとして残す部分を小さく分散させることによって、内容物の説明や注意書のために使用されるような小さな印刷文字が見る角度によりホログラムの虹色に邪魔されて殆ど読めなくなるというような事態を回避することができ、しかも、細かなホログラム模様による独特の装飾効果を得ることができる。
【0091】
したがって、小さな文字を印刷する部分に対して、予めホログラムを形成しないとか、トップコート層を施してホログラム効果を消失させておくというような手段を施す必要がない。また、それにより印刷時にフィルムの反対側の特定位置(ホログラム効果のない部分)と小さな文字を印刷する部分との位置合わせをするという面倒な作業が必要ないので、印刷作業も容易となって、生産性も良いものとなる。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したような本発明のホログラム付き缶体によれば、缶胴に貼着される樹脂製フィルムの表面にレリーフ型ホログラムを形成していることで、製造工程を大幅に増やしたり作業能率を大幅に低下させることなく、缶胴の表面にホログラムを良好に形成することができる。
また、そのようなフィルム貼着缶体によるホログラム付き缶体において、缶体の滑り性能を確保することができて、製缶工程や缶詰製造工程での缶体表面の汚れや傷の発生を防止したりすることができる。
また、缶体に形成されたホログラム模様の部分が、見る人の位置により虹色が見えたり印刷模様が見えたりすることで、見る人に対して強い印象を与えることができ、より深みのある装飾効果を得ることができると共に、そのようなホログラム模様について、トップコート層の塗布模様を変えるだけで、簡単に且つ経済的にホログラム模様の多様化を図ることができる。
さらに、トップコート層の塗布によりホログラム模様を小さく分散させることで、ホログラム形成面の下層に設けた印刷文字がホログラムの虹色に邪魔されて読み難くなるというようなことを回避することができ、しかも、細かなホログラム模様による独特の装飾効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホログラム付き缶体の一実施形態について、(A)樹脂製フィルムが貼着された缶体の缶胴部分の一部を示す横断面図,および(B)該缶胴横断面の部分拡大図。
【図2】図1(B)に示した缶胴横断面の部分を斜め上方から見た模式説明図。
【図3】本発明のホログラム付き缶体において缶体貼着用フィルムとして使用される印刷済みでホログラム形成済みの樹脂製フィルムの製造工程の一例を示す概略説明図。
【図4】図3に示した缶体貼着用の樹脂製フィルムの製造工程の各工程におけるフィルムの状態を示す断面説明図。
【図5】本発明のホログラム付き缶体の他の実施形態における缶胴の横断面を示す部分拡大断面図。
【図6】本発明のホログラム付き缶体においてトップコート層を部分的に被覆するときのパターンについての3つの例(A)(B)(C)のそれぞれを示す説明図。
【符号の説明】
1 フィルム貼着缶体(ホログラム付き缶体)
2 金属板(缶胴の)
3 樹脂製フィルム
3a レリーフ型ホログラム(ホログラム形成面)
4 熱可塑性樹脂フィルム
5 印刷層
6 接着層
8 トップコート層
7 ホログラム形成層
Claims (4)
- 主体層となる透明な熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に印刷層を施した印刷済みの樹脂製フィルムが、印刷層を覆うように施された接着層を介して、缶胴金属板の外周面に貼着されているようなフィルム貼着缶体において、樹脂製フィルムの缶胴金属板側とは反対側の表面に、極微細な凹凸によるレリーフ型ホログラムを形成すると共に、滑性剤を含有する透明な硬化性樹脂のトップコート層により該ホログラムの形成面を部分的に被覆することで、トップコート層で被覆されずホログラムとして残される部分が、細線の繰り返し又は細線の組み合わせによる模様となり、且つ、該細線の太さが0.2〜0.5mm、該細線間の間隔が1.0〜2.0mmとなるように形成されていることを特徴とするホログラム付き缶体。
- 主体層となる透明な熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に印刷層を施した印刷済みの樹脂製フィルムが、印刷層を覆うように施された接着層を介して、缶胴金属板の外周面に貼着されているようなフィルム貼着缶体において、樹脂製フィルムの缶胴金属板側とは反対側の表面に、極微細な凹凸によるレリーフ型ホログラムを形成すると共に、滑性剤を含有する透明な硬化性樹脂のトップコート層により該ホログラムの形成面を部分的に被覆することで、トップコート層で被覆されずホログラムとして残される部分が、規則正しい繰り返しパターンによる模様となり、且つ、一つの図形又は点の最大寸法部分が1.0〜3.0mm、各図形又は点同士のピッチが1.5〜4.0mmとなるように形成されていることを特徴とするホログラム付き缶体。
- 主体層となる透明な熱可塑性樹脂フィルムの印刷層とは反対側に、透明な硬化性樹脂のホログラム形成層が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のホログラム付き缶体。
- レリーフ型ホログラムの形成面を部分的に被覆するトップコート層が、該ホログラム形成面を被覆率50%以上〜100%未満で被覆していることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のホログラム付き缶体。
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