JP3748413B2 - 無線通信方法及び無線通信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線通信システムにおける携帯端末などに用いられる無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、無線通信システムの爆発的な普及に伴い、規格の異なる複数の無線通信システムが混在している。無線通信装置は、一般に各々の無線通信システムに対応してそれぞれ用意される。最近の移動無線通信装置は、従来からの音声通話のみでなく、電子メール、データ通信、Web(world wide web)のブラウジングといった多様なアプリケーションサービスに対応できることも要求されている。従って、一台で複数の無線通信システムや多様なアプリケーションサービスに対応可能な、いわゆるマルチモード端末装置への要求が高まっている。
【0003】
マルチモード端末装置を実現するための一手法として、ソフトウェア無線機が提案されている。ソフトウェア無線機では、DSP(ディジタルシグナルプロセッサ)のようなプログラマブルデバイスを用いて、送受信に必要な信号処理の少なくとも一部をソフトウェア処理によって実現する。言い換えれば、ソフトウェア無線機では、信号処理デバイスを構成するリソースに信号処理機能をプログラムにより定義することで所望の機能が実現される。リソースの管理は、リソースコントローラによって行われる。
【0004】
従ってソフトウェア無線機は、ソフトウェアが入れ替えられることによって、様々な無線通信システムに対応し、また様々なアプリケーションサービスに対応することができる。例えば、無線通信システムをPDC(携帯電話)とPHSとの間で変更したり、無線通信システムをW−CDMA方式からcdma2000方式にハンドオフしたり、あるいは音声通話とデータ通信とを切り替えるといったことが容易に可能となり、携帯端末としての利便性は格段に向上する。
【0005】
このようなソフトウェア無線機において、新規入れ替えソフトウェアの入手方法として幾つかの形態が考えられるが、その一つとして、無線回線経由で必要なプログラムをダウンロードする方法が挙げられる。例えば、特開平9-331579号公報などによって、このような無線回線経由によるプログラムダウンロード可能な無線装置が既に提案されている。無線ダウンロード機能を有した無線通信装置は、有線ケーブル等で無線通信装置をPC等に接続してプログラムをダウンロードする方法や、メモリカードを無線通信装置に差してプログラムをダウンロードする方法に比べ、余計なインタフェースを備える必要がないため、無線通信装置の小型化や低コスト化が可能となる。さらに、時間や場所に依存せずダウンロードが可能であるため、非常にフレキシビリティに富んでいる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ソフトウェア無線機技術による多機能の携帯端末を提供するためには、すなわち多くの機能やサービスを収容するためには、携帯端末に多大なリソースが必要とされる。ソフトウェア無線機が持つべき機能は、サービスの多様化に伴い膨れ上がる傾向にあり、この要求はさら顕著となる。さらに、リソース量の増大に伴って、リソース管理に要する負荷が大きくなる。効率的に端末の一部機能変更もしくは機能追加を行うためには、リソース管理が的確かつ統一的に行われることが望ましい。
【0007】
ソフトウェア無線機技術による携帯端末において信号処理デバイスのリソースに信号処理機能を定義するためのリソース定義情報(プログラム)を含むデータは、携帯端末のリソースとして実装されるメモリもしくは記憶装置などに保存される。リソース定義情報を含むデータは、大抵の場合において携帯端末のユーザが購入した資産である。これらのデータは、携帯端末に実装されるメモリもしくは記憶装置などに保存される。
【0008】
ユーザが多数の機能を携帯端末に実装しているような場合には、リソースが常に逼迫している状況にあると考えられ、携帯端末の機能の変更を繰り返し行ううちに、リソースが効率的に利用できない状況に陥ることもある。これはパーソナルコンピュータにおけるハードディスクで起こる現象と同様ないし類似の現象であり、リソースに対するリソース定義の配分(リソース配分)が不適切となったり、リソース内のデータ配列が最適な状態から外れることによる。また、携帯端末のリソースを効率的に使用するためには、リソース配分の最適化を行う必要がある。
【0009】
リソースの効率的使用のための最適化を行うには、一旦リソースの定義やリソースにロードされているデータをクリアすることが望まれる。しかしながら、上述したようにリソース定義情報を含むデータは携帯端末のユーザが購入した資産であることが多く、たとえリソース不足が生じたとしても、既に有している資産を廃棄するのは無駄であり、ユーザに余分な経済的損失を強いることになる。もし仮にユーザがハードディスクやメモリカードなどの記憶装置を使用可能な状況にあれば、そこにデータを退避させることが可能であるが、携帯端末のユーザが屋外等にいて記憶装置を使用できない状況の場合には、このようなデータ退避は難しい。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、無線通信装置において記憶装置を用いることなく信号処理デバイスのリソース定義情報を含むデータを退避可能とすることを目的とする。
【0011】
本発明の他の目的は、無線通信装置のリソース管理に要する負荷を軽減するためにリソース管理を的確かつ統一的に行うことを可能とすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の一つの態様では、無線信号の送受信を行う無線送受信デバイス、及び信号処理機能の再定義が可能なリソースを含み、該リソースによって前記送受信に伴い必要な所定の信号処理機能の信号処理を行う信号処理デバイスを有する無線通信装置と基地局との間で通信を行う無線通信方法において、前記リソースに対する前記信号処理機能の定義情報を含むデータを前記基地局に転送することで退避させ、該退避した状態で前記無線通信装置が前記リソースに対する信号処理機能の再定義を含む所定の作業を行い、該所定の作業を行った後、前記基地局に退避させた前記定義情報を前記無線通信装置に転送して復元することを基本とする。
【0013】
より具体的には、無線通信方法は無線通信装置と基地局との間の通信に使用可能な第1の回線を介して第2の回線のための通信モジュールを前記基地局から取得するステップと、前記無線送受信デバイス及び該取得した通信モジュールにより形成される第2の回線を介して前記リソースに対する前記信号処理機能の定義情報を含むデータを前記基地局に転送して退避させるステップと、前記定義情報が前記基地局に転送され退避された状態で前記無線通信装置において前記リソースに対する信号処理機能の再定義を含む所定の作業が行われた後に、前記基地局に転送され退避された前記定義情報を前記第2の回線を前記無線通信装置に転送して復元させるステップとを具備する。
【0014】
本発明に係る無線通信装置は、無線信号の送受信を行う無線送受信デバイスと、信号処理機能の再定義が可能なリソースを含み、該リソースによって前記送受信に伴い必要な所定の信号処理機能の信号処理を行う信号処理デバイスと、前記無線送受信デバイス及び信号処理デバイスを制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、(a)前記リソースに対する前記信号処理機能の定義情報を含むデータを前記無線送受信デバイスを介して前記基地局に転送して退避させ、(b)該データを退避した状態で前記リソースに対する信号処理機能の再定義を含む所定の作業を行い、該所定の作業を行った後、(c)前記基地局に退避させた前記定義情報を前記無線送受信デバイスを介して取り込んで前記信号処理デバイス上に復元する。
【0015】
さらに具体的には、前記コントローラは、(a)前記無線通信装置と基地局との間の通信に使用可能な第1の回線及び前記無線送受信デバイスを介して第2の回線のための通信モジュールを前記基地局から取得し、(b)前記無線送受信デバイス及び、該取得した通信モジュールにより形成される前記第2の回線を介して前記定義情報を前記基地局に転送して退避させ、(c)前記基地局に転送され退避された前記定義情報を前記第2の回線及び前記無線送受信デバイスを介して取得して復元する。
【0016】
前記コントローラは、前記第2の回線のための通信モジュールを前記基地局から取得する際に、前記リソースに該通信モジュールを収容する分の空きがない場合には、前記無線送受信デバイス及び前記第1の回線を介して前記定義情報の一部を前記基地局に転送して退避させてもよい。また前記コントローラは、前記定義情報のうち前記基地局に存在していないデータのみを前記基地局に転送して退避させるようにしてもよい。さらに前記コントローラは、前記基地局からの要求に応じて上記(a)(b)及び(c)の処理を行うようにしてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1を参照すると、本実施形態に従う移動無線通信装置(以下、携帯端末という)30では、アンテナ1を介して図示しない基地局からのRF(高周波)信号を受信し、また該基地局へのRF信号の送信を行う。アンテナ1からの受信信号は無線送受信デバイス2によってディジタルの受信IF(中間周波数)信号に変換され、信号処理デバイス3に供給される。信号処理デバイス3によって生成されるディジタルの送信IF信号は、無線送受信デバイス2によって送信RF信号に変換され、アンテナ1に供給される。
【0018】
信号処理デバイス3は、LSI化されたプロセッサ、メモリ及びロジック回路などのハードウェアリソースを含み、送受信に必要なモデムユニット及びプロトコルの処理を主として行う。モデムユニット及びプロトコルの仕様は、例えばW−CDMA(Wide band code-division multiple access)システムに関しては、3rd Generation Partnership Project(3GGPTM)のTS 25シリーズで定義され、GSM(Global system for mobile communications)に関しては、3GGPTMのTS 05シリーズで定義される。
【0019】
モデムユニット(ベースバンドユニットとも呼ばれる)の処理は、無線送受信デバイス2に近い領域(ベースバンド領域)での信号処理である。より具体的には、モデムユニットの処理は、無線送受信デバイス2から出力される、サンプリングされたディジタル化されたIF(中間周波数)信号を復調して受信ベースバンド信号を生成する処理、送信データを変調して送信バースバンド信号を生成する処理である。プロトコルユニット(L2/L3プロトコルユニットとも呼ばれる)の処理は、携帯端末が利用される無線通信システムに従って決められたプロトコル処理である。
【0020】
信号処理デバイス3の持つリソースは、リソースコントローラ4によってコントロールされる。このコントロールにより、使用条件の変化に伴う携帯端末の機能や仕様の変更に即応でき、それによって異なる無線通信システム間での移動に伴うハンドオーバ制御を容易に実現可能にする。具体的には、リソースコントローラ4により信号処理デバイス3のリソースに対してソフトウェアの変更制御、ロジック回路構成方法の変更制御、もしくはその両方の制御が行われることにより、携帯端末の機能が所望に変更される。このようにリソースコントローラ4により信号処理デバイス3の持つリソースが適応的に制御されることで、量の限られた該リソースが有効に利用される。
【0021】
リソースコントローラ4は、さらに後述するように(a)携帯端末30と基地局との間の通信に使用可能な第1の回線及び無線送受信デバイス2を介して第2の回線のための通信モジュールを基地局から取得するための制御、(b)無線送受信デバイス2及び該取得した通信モジュールにより形成される第2の回線を介して、信号処理デバイス3のリソースに対する信号処理機能の定義情報を含むデータを基地局に転送して退避させるための制御、及び(c)基地局に転送され退避されたデータを第2の回線及び無線送受信デバイス2を介して取得して復元するための制御等の処理を行う。
【0022】
信号処理デバイス3のリソースのうち、ソフトウェア処理で能力的に足りる処理を行う領域は、汎用プロセッサとメモリにより実現され、処理スピードが要求される領域は、DSP(ディジタル信号プロセッサ)、もしくはPLD(プログラマブル・ロジックデバイス)あるいはFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ)のようなハードウェア回路(プログラマブルハードウェアデバイス)で実現される。DSPは、リソースコントローラ4からの制御のもとで、記憶装置5から読み出されたプログラムに従って所望の信号処理を行う。PLDは、リソースコントローラ4からの制御のもとで、記憶装置5から読み出されたプログラムに従って回路構成が記述されることにより、所望の処理を行う。信号処理デバイス3のリソースを汎用プロセッサ、DSP及びプログラマブルハードウエアデバイスのいずれかのみで構成することも可能である。
【0023】
記憶装置5には、信号処理デバイス3で利用されるソフトウェア(プログラム及びプログラムの構成要素であるモジュール)と、受信データや送信データのような処理データ及び電話帳、アドレス帳などのデータベースが保持されている。記憶装置5は、リソースコントローラ4、または携帯端末の内部全体を制御するシステムコントローラ6からの制御により、必要なプログラムやデータのリード/ライトを行う。記憶装置5から読み出されるプログラムは、信号処理デバイス3に記述される。記憶装置5としては、小型のハードディスクドライブ装置または、FRAMのような半導体メモリが使用される。また、記憶装置5は携帯端末に対して着脱が可能であり、例えばユーザは外出時などは必要に応じて取り外して携帯端末30を所持することができるものとする。
【0024】
システムコントローラ6に接続された入出力デバイスユニット7は、携帯端末のユーザとのインタフェースを司る各種の入出力デバイス、例えば、音声入力のためのマイクロフォン、音声出力のためのスピーカ、キーボード及びディスプレイを含んでいる。キーボードは、ダイヤルキー、ファンクションキー操作、テキスト入力及び編集操作などに用いられる。ディスプレイでは、着信情報、コンテンツ及びメニューなどが表示される。入出力デバイスユニット7は、さらに動画像圧縮伸長処理を行うMPEGインタフェース、及び外部装置との間でシリアル入出力を行うためのUSBインタフェースを有する。入出力デバイスユニット7のこれらの構成要素は、内部バスにより接続され、内部バスはシステムコントローラ6に接続される。
【0025】
図2には、図1中の無線送受信デバイス2の具体的な構成の一例を示す。受信系について説明すると、アンテナ1からのRF受信信号は、送受切り替えスイッチ(またはデュプレクサ)10により低雑音増幅器11に導かれる。LNA11で所要レベルまで増幅されたRF信号は、BPF(バンドパスフィルタ)12を経てミキサ13に入力され、ここで周波数シンセサイザ20からの受信用第1ローカル信号LO11とミキシングされることにより、ダウンコンバートされる。ミキサ13からの出力信号は、IF増幅器14及びバンドバスフィルタ15を経てミキサ16に入力され、ここでシンセサイザ20からの受信用第2ローカル信号LO12とミキシングされることにより、所要の中間周波数までダウンコンバートされる。ミキサ16からの出力信号は、ローパスフィルタ17を経てA/D変換器18に入力され、ディジタルIF信号19に変換される。IF信号19は、信号処理デバイス3に入力される。
【0026】
送信系において、信号処理デバイス3から出力されるディジタルIF信号は、D/A変換器22によりアナログ信号に変換された後、ローパスフィルタ23を経てミキサ24に入力され、ここでシンセサイザ20からの送信用第1ローカル信号LO21とミキシングされることによりアップコンバートされる。
【0027】
ミキサ24からの出力信号は、バンドバスフィルタ25及びIF増幅器26を経てミキサ27に入力され、ここでシンセサイザ20からの送信用第2ローカル信号LO22とミキシングされることにより、所要のRF周波数までアップコンバートされる。ミキサ27からのRF出力信号は、バンドパスフィルタ28を経て電力増幅器29で増幅された後、スイッチ10によりアンテナ1に導かれ、アンテナ1から電波として放射される。
【0028】
ここで、LNA11、IF増幅器14、A/D変換器18、周波数シンセサイザ20、D/A変換器22、IF増幅器26及び電力増幅器29は、入出力デバイスユニット7からの指令に基づきシステムコントローラ6から与えられる無線通信方式に応じた制御パラメータ、あるいはシステムコントローラ6からリソースコントローラ4及び信号処理デバイス3を経由して与えられる制御パラメータによって制御される機能可変要素である。具体的には、制御パラメータによってLNA11、IF増幅器14、IF増幅器26及び電力増幅器29の利得が制御され、周波数シンセサイザ20の発生する各種ローカル信号の周波数が制御され、あるいはA/D変換器18及びD/A変換器22に供給されるクロック信号の周波数が制御される。
【0029】
図3に示されるように、本実施形態における信号処理デバイス3はハードウェアリソースとして、信号処理機能の再定義が不可能な領域3Aと可能な領域3B及びスイッチユニット(SW)110を有する。再定義不可能領域3Aには、頻繁に用いられるロジック回路、例えばCRC付加(attach)ブロック101、CRCチェックブロック102、ビタビデコーダ103、ターボデコーダ104、相関器105、アキュムレータ106、デモジュレータ107及びデインタリーバ108が実装されている。再定義可能領域3Bは、FPGAの構成要素である複数のPLD109から構成される。スイッチユニット110は、領域3Aと領域3Bとの接続及び領域3B内の各ブロックの接続をリソースコントローラ4からの制御により切り替える。
【0030】
図4及び図5には、図3に示した信号処理デバイス3のスイッチユニット110の切り替えによって実現される、ある単一の無線通信システムに対応した結線状態を示している。信号処理デバイス3に入力された受信信号は相関器105とデモジュレータ07に入力され、相関器105からの出力信号はアキュムレータ106に入力される。アキュムレータ106からの出力信号はデモジュレータ107に入力される。デモジュレータ107からの出力信号は、デインタリーバ108、ビタビデコーダ103及びCRCチェックブロック102を介して、信号処理デバイス3の出力信号とされる。図5では、図4にさらに、PLD109に機能割り当てされたイコライザ111が追加されている。入力信号はイコライザ111を介してデモジュレータ107に入力される。
【0031】
図6には、信号処理デバイス3の、二つの無線通信システムA,Bに対応可能とした結線例を示す。デモジュレータ107は、システムA,Bの両方で共通に使用される。システムA,Bのいずれにおいても、デモジュレータ107からの出力信号はデインタリーバ108に入力され、デインタリーバ108からの出力信号はシステムAではビタビデコーダ103に、システムBではターボデコーダ104にそれぞれ入力される。ビタビデコーダ103及びターボデコーダ104からの出力信号は、CRCチェックブロック102を介して、信号処理デバイス3の出力信号とされる。
【0032】
信号処理デバイス3のリソースサイズ、特に領域3A及び3Bのサイズは端末毎に異なる。幾つかのアプリケーションサービス機能がインストールされた携帯端末では、信号処理デバイス3のリソースに既に多くの信号処理機能が定義されている。信号処理デバイス3の剰余リソース量は、携帯端末30の使用状況に応じて時々刻々と変化する。信号処理デバイス3のリソースの大きさは、携帯端末30の出荷時に規定される。携帯端末30に専用インターフェースを設ければ、追加カートリッジのような形態で信号処理デバイス3のリソース量を増加させることも可能である。
【0033】
信号処理デバイス3の空きは、リソース量つまり再定義が可能なブロックと再定義が不可能なブロックの和が異なっていたり、リソースの使用状況が携帯端末30毎に異なっているため、携帯端末30毎に異なっている。これは、新しいサービスの追加が可能なリソースの定義が変更可能な端末では、すでに多くの信号処理機能が信号処理デバイス3のリソースに割り当てられているためである。すなわち、剰余リソース量は携帯端末30の使用状況に応じて時々変化している。
【0034】
信号処理デバイス3のリソース定義情報(プログラム)を含む各種データは、大抵の場合において携帯端末30のユーザが購入した資産であり、これらは信号処理デバイス3に実装されるメモリもしくは記憶装置5などに保存される。ユーザが多数の機能を携帯端末30に実装している場合、信号処理デバイス3のリソースが常に逼迫している状況にあると考えられる。機能の変更を繰り返し行ううちに、リソースが効率的に利用できない状況に陥ることもある。これは、パーソナルコンピュータにおけるハードディスクで起こる現象と同様の現象である。
【0035】
信号処理デバイス3りリソースを効率的に使用するためには、リソース配分の最適化を行う必要がある。最適化のためには、一旦リソースの定義をクリアすることが望まれる。ここで、たとえリソース不足が生じたとしても、多くの場合に携帯端末30のユーザが購入した資産であるリソース定義情報を含むデータを廃棄するのは無駄であり、ユーザに余分な経済負担を強いることになる。もし仮にユーザが記憶装置5を使用可能な状況にあり、なおかつ記憶装置5の空き容量が十分であれば、ここにデータの退避が可能である。しかし、記憶装置5が端末に着脱可能であり、ユーザが屋外等にいて記憶装置5がない場合、あるいは記憶装置5の空き容量が足りない場合には、記憶装置5にデータを回避することは難しい。そこで、このような場合に本実施形態では以下のようにして携帯端末30のリソースが所有するデータを基地局に回避する。
【0036】
図7は、このように携帯端末30のリソースが所有するデータを基地局40に回避する状態を模式的に示す図である。携帯端末30は、一つ以上の無線回線を用いて通信を行うことができる機能を有するように無線送受信デバイス2及び信号処理デバイス3が構成されている。携帯端末30は、リソースが所有するデータを基地局40に退避するために、まず基地局40との通信が可能な第1の回線31を用いてデータ転送用の専用回線である第2の回線32の設定を基地局40に要求する。第1の回線31は携帯端末30と基地局40との間の通常の通信に用いる回線であり、セルカバレッジ33を形成する。携帯端末30は、セルカバレッジ33内に位置している。
【0037】
図7では、第2の回線32としてスポットビームによる無線回線を用いた場合の例を示した。第2の回線32は、データ退避のために用いる回線であるから、その信号伝送速度は効率的なデータ転送の実現のために第1の回線31の信号伝送速度に比べて可能な限り高速であることが望まれる。但し、第2の回線32は継続的に利用可能である必要はないし、かつ第1の回線31のように広いエリアで通信が可能である必要もない。周波数利用効率などの点を考慮すると、スポットビームによる専用回線は非常に効率的である。
【0038】
以下、図8に示すフローチャート及び主要な各段階での携帯端末30と基地局40との間の通信状態を示す図9を用いて、携帯端末30のリソ一スが所有するデータを基地局40に退避する際の具体的な処理手順について説明する。なお、図8に示す処理のうち携帯端末30側の処理は、基本的にリソースコントローラ4またはシステムコントローラ6あるいは両コントローラ4及び6の協働によって行われるものとする。
【0039】
本実施形態に従うソフトウェア無線機の技術による携帯端末30は、一つ以上の基地局と通信を行うことができる機能を有する。まず、携帯端末30はリソースが所有するデータを基地局40に退避するために、図9(a)に示すような現在基地局40との通信に使用可能な第1の回線31を用いて、データ転送用の専用回線である第2の回線32の設定を要求する(ステップS101)。この要求を受けた基地局40は、第2の回線32を設定する際に必要な周辺情報の転送を携帯端末30に要求する(ステップS102)。
【0040】
携帯端末30に要求する周辺情報の種類は、基地局40によって異なる。例えば、基地局40にスポットビーム提供のための装置が備えられている場合には、携帯端末30の所在に関する情報(位置情報)を基にビームの向きを設定することが可能であり、空間的再利用によって優れた周波数利用効率を実現することが可能である。基地局40にビーム幅の可変機能が備えられていれば、より高度のビームの割り当てが可能となり、空間的再利用によって優れた周波数利用効率を実現することができる。同様に携帯端末30の移動速度や移動方向に関する情報があれば、より高度なビームの割り当てが可能となる。携帯端末30の位置は、例えばGPSのような手段を用いることで把握できる。また、基地局40に複数のアンテナを配置し、電波の到来方向を推定することでも携帯端末30の位置を把握することが可能である。
【0041】
ステップS102で基地局40から第2の回線32を設定する際に必要な周辺情報の転送要求を受けた携帯端末30は、その周辺情報を基地局40に転送して通知する(ステップS103)。この際に、携帯端末30は端末機種の情報も通知することが望ましい。基地局40において第2の回線32のための通信モジュールを準備するためには、携帯端末30の機種に適合したモジュールを準備する必要があり、そのために携帯端末30の機種情報に関する情報が必要であるからである。
【0042】
次に、基地局40はステップS104の処理を行う。ステップS104では、基地局40はまず保有している第2の回線32の種類を示したリストを参照しながら、実際に携帯端末30に割り当てる第2の回線32を決定する。リストには中心周波数、帯域幅、アクセス方式、使用状況を示す識別子、その回線を提供するためのリソース定義情報を示す情報等が記載されている。基地局40は、こうして使用する第2の回線32を決定した後に、携帯端末30の機種に適合した第2の回線のための通信モジュール(以下、第2の回線モジュールという)を準備する。万一、第2の回線モジュールが基地局40に存在しないときは、図示しないネットワークを介してサーバーにアクセスし、所望のモジュールを取得する。所望の回線モジュールが取得できなかった場合には、再度、基地局40が有している第2の回線の種類を示したりストを参照して実際に使用する第2の回線32を決定し、携帯端末30の機種に適合した第2の回線モジュールを準備する。
【0043】
基地局40は、こうして第2の回線モジュールの準備ができると、携帯端末30に対して第2の回線32の設定要求の受付を通知する(ステップS105)。この通知には、第2の回線モジュールをロードするのに必要な携帯端末30のリソース量(所要リスソース)が記載されている。この通知を受けた携帯端末30は、信号処理デバイス3の空きリソースの量を計算する(ステップS106)。この計算の結果、携帯端末30は第2の回線モジュールをロードする分のリソースの空きがあれば、第2の回線モジュールを受信するための準備ができたことを基地局40に通知する(ステップS107)。空きが無い場合の手順の例ついては、後述の実施形態で説明する。
【0044】
ステップS107での通知を受けた基地局40は、第1の回線31を用いて第2の回線モジュールを携帯端末30に転送する。すなわち、図9(b)に示すように携帯端末30が第2の回線モジュールを第1の回線31を用いてダウンロードし(ステップS108)、次いで第2の回線モジュールの転送(ダウンロード完了)を基地局40に通知する(ステップS109)。
【0045】
携帯端末30は、第2の回線モジュールのロードが完了し、第2の回線32の初期設定が完了すると(ステップS110)、第2の回線32を用いて携帯端末30のリソースに蓄積されているデータを基地局40に退避データとして転送する(ステップS111)。これによって携帯端末30のリソースに余裕をつくることができる。退避データの転送が完了すると、基地局40はその転送完了を携帯端末30に通知する(ステップS112)。図9(c)は、携帯端末30から基地局40へ第2の回線32を用いてステップS102における周辺情報の転送や、ステップS111におけるリソース定義情報などの退避データの転送を行っている状態を示している。
【0046】
このように携帯端末30が基地局40に退避データを転送すると、図9(d)に示すように携帯端末30の信号処理デバイス3のリソースが一部解放され、リソースに余裕ができる。これによって、携帯端末30はリソース退避時の作業として、リソースが少ない場合にはできなかった処理、例えば、携帯端末30のリソースに割り当てられた機能を効率的に割り当て直す処理(リソースに対する信号処理機能の再定義)などのいわゆる最適化の作業を行うことが可能となる(ステップS113)。
【0047】
携帯端末30はリソース退避時の作業が終了すると、退避データの復元を基地局40に要求し(ステップS114)、再び第2の回線32を用いて基地局40に退避されたデータを携帯端末30に転送して復元する(ステップS115)。この後、携帯端末30は基地局40に対して退避データの転送完了及び第2の回線32の破棄を通知し(ステップS116)、携帯端末30は第2の回線モジュールを破棄し(ステップS117)、基地局40は第2の回線32を破棄する(ステップS118)。この後、携帯端末30では図9(e)に示すように信号処理デバイス3のリソースの解放された領域に第1の回線モジュールをロードし、第1の回線31を介して基地局40との間で通常の通信を行う。
【0048】
図8のフローチャートでは、携帯端末30のリソース退避時の作業が行われている時点(ステップS113)においても、第2の回線モジュールを保持している例を示しているが、第1の回線31が有効であれば、リソース退避時の作業を行う前に、第2の回線モジュールを破棄してしまっても構わない。図10及び図11は、この場合の処理の流れを示すフローチャートであり、リソース退避時の作業(ステップS123)を行う前に、携帯端末30が第2の回線32の破棄を基地局40に通知し(ステップS120)、携帯端末30は第2の回線モジュールを破棄し(ステップS121)、基地局40は第2の回線32を破棄する(ステップS122)。リソース退避時の作業(ステップS123)が終了すると、これまでの同様の処理が必要に応じて繰り返される(ステップS124〜S138)。図10〜図11の処理のうち携帯端末30側の処理は、基本的にリソースコントローラ4またはシステムコントローラ6あるいは両コントローラ4及び6の協働によって行われるものとする。
【0049】
この場合、基地局40から携帯端末30にデータを復元する際には、データを携帯端末30から基地局40にデータを退避させる場合の手順と同様の手順で第2の回線モジュールをロードすればよい。図10及び図11において、携帯端末30のリソース退避時の作業(ステップS123)の前後で用いられる第2の回線32は、同一でなくとも構わない。
【0050】
このように本実施形態では、携帯端末30が記憶装置5等を使用不可能な屋外に位置するような状況にあっても、携帯端末30が有している信号処理デバイス3のリソース定義情報などのデータを基地局40に退避することが可能となる。これによって、リソースが少ない場合にはできないような処理、例えばリソースに割り当てられた機能を効率的に割り当て直す処理等、を容易に行うことができるようになる。
【0051】
第2の回線32は、第1の回線31の信号伝送速度と比べて高速であるが、通信が可能であるエリアは狭くてよく、かつ長期間に渡って回線が確保される必要もない。データ転送用の専用回線を第2の回線32として新規に設けることは、短い時間で基地局40へのデータ転送が完了するという利点がある他、周波数利用効率の点でも有利である。第2の回線32はテンポラリの回線であり、長時間に渡ってその回線を使用可能なわけではない。
【0052】
携帯端末30がリソース定義情報などのデータを基地局40に転送してから、再び端末30に復元するまでの時間が長い場合には、第1の回線モジュールをリゾースの中に残しておくほうが安全である。基地局40と携帯端末30との通信がテンポラリの回線である第2の回線32のみによって確保される場合には、第2の回線32が使用不可になった場合に、携帯端末30と基地局40との通信が断たれてしまうためである。これを汚ぐために、テンポラリの回線である第2の回線32のみが使用可能な場合には、経過時間に従って携帯端末30の入出力デバイスユニット7に備えられている表示部にメッセージを表示し、端末30のユーザに無線回線維持に努めるように働きかけることが望ましい。メッセージの表示と共に音でユーザに警告を促すことも有用である。
【0053】
次に、図12〜図16を用いて本発明の他の実施形態を説明する。図12は、携帯端末30における信号処理デバイス3のリソース(端末リソース)の使用量を模式的に示したものである。端末リソースの空き(端末リソースの剰余)がリソースが所有しているデータを基地局40に転送するための専用回線である第2の回線の通信モジュール(第2の回線モジュール)をダウンロードするために必要とされる空きに満たない場合、図12中に示す「第2の回線モジュールが使用するリソースの量」に相当する分の空きを作り出す必要がある。つまり、未使用リソースが少ない場合、第2の回線モジュールをダウンロードすることができない。そのため、既に所有している第1の回線を使って端末リソースに第2の回線モジュールをロードする分だけの空きをつくり、その後に図8または図10〜図11で説明した手順と同様の手順を実行する。
【0054】
以下、本実施形態における携帯端末30が有するデータを基地局40に退避する手順について図13に示すフローチャートを用いて説明する。図13におけるステップS201〜S206の処理は、先に図8で説明したステップS101〜S106の処理と同様である。
【0055】
ステップS205により第2の回線モジュールの準備ができた基地局40が携帯端末30に対して第2の回線32の設定要求の受付を通知すると同時に、第2の回線モジュールをロードするのに必要なリソースの量(所要リスソース)を携帯端末30に通知すると、この通知を受けた携帯端末30は所要リソースに基づいて、第2の回線モジュールのロードのために必要な信号処理デバイス3のリソース量(図12中の「第2の回線モジュールが使用するリソースの量」)を算出し、さらに信号処理デバイス3の空きリソースの量(図12中の「端末リソースの剰余」)を計算する(ステップS206)。
【0056】
ここで、ステップS206により算出された空きリソースの量が図12及び図16(a)に示されるように第2の回線モジュールが使用するリソースの量に満たない場合、言い換えれば信号処理デバイス3のリソースに第2の回線モジュールをロードするに必要な空きがない場合には、携帯端末30は信号処理デバイス3のリソースが所有しているデータを基地局40に退避するために、端末30との通信可能である基地局40に対して、端末が通信可能である第1の回線31を通じて当該データの一部である第1のデータの退避を要求する(ステップS207)。この要求には、退避させようとする第1のデータのデータ量を示す情報が記載されている。
【0057】
基地局40は、現在携帯端末30と通信を行っている第1の回線31とは別の回線を持っており、携帯端末30の位置や受信環境、剰余周波数資源等を基にデータ退避のために用いる第2の回線を決定する。基地局40は、その後データ退避のために用いる第2の回線モジュールを準備し、携帯端末30に対してデータ退避の要求を受け付けた旨、つまり第1の退避データの受信準備が可能になった旨の通知を行う(ステップS208)。
【0058】
次に、携帯端末30は信号処理デバイス3のリソースに第2の回線モジュールをロードするに必要な空きを作るために、図16(b)に示すように第1の回線31を介してデータの一部を第1の退避データとして基地局40に転送し(ステップS209)、これを受けた基地局40は第1の退避データの転送完了を携帯端末30に通知する(ステップS210)。これにより図16(b)に示すように、第2の回線モジュールをロードするためのリソースが確保される。
【0059】
次に、携帯端末30は第2の回線モジュールをロードする分のリソースの空きが形成されれば、第2の回線モジュールを受信するための準備ができたことを基地局40に通知する(ステップS211)。この通知を受けた基地局40は、第1の回線31を用いて第2の回線モジュールを携帯端末30に転送し(ステップS212)、次いで携帯端末30は第2の回線モジュールの転送(ダウンロード完了)を基地局40に通知する(ステップS213)。
【0060】
携帯端末30は、第2の回線モジュールのロードが完了し、第2の回線32の初期設定が完了すると(ステップS214)、第2の回線32を用いて携帯端末30のリソースに蓄積されている残りのデータを基地局40に第2の退避データとして転送する(ステップS215)。第2の退避データの転送が完了すると、基地局40はその転送完了を携帯端末30に通知する(ステップS216)。
【0061】
このようにして携帯端末30が基地局40に退避データを転送すると、携帯端末30の信号処理デバイス3のリソースが一部解放され、リソースに余裕ができることによって、携帯端末30はリソース退避時の作業としてリソースが少ない場合にはできなかった処理、例えば、携帯端末30のリソースに割り当てられた機能を効率的に割り当て直す処理等、を行うことが可能となる(ステップS217)。
【0062】
携帯端末30はリソース退避時の作業が終了すると、退避データの復元を基地局40に要求し(ステップS218)、再び第2の回線32を用いて基地局40に退避されたデータを携帯端末30に転送して復元する(ステップS219)。この後、携帯端末30は基地局40に対して退避データの転送完了及び第2の回線32の破棄を通知し(ステップS220)、携帯端末30は第2の回線モジュールを破棄し(ステップS221)、基地局40は第2の回線32を破棄する(ステップS222)。
【0063】
さらに、携帯端末30は第1の回線31を用いて退避データの復元を基地局40に要求し(ステップS223)、再び第2の回線32を用いて基地局40に退避されたデータを携帯端末30に転送して復元する(ステップS224)。この後、携帯端末30は基地局40に対して退避データの転送完了を通知する(ステップS225)。図13の処理のうち携帯端末30側の処理は、基本的にリソースコントローラ4またはシステムコントローラ6あるいは両コントローラ4及び6の協働によって行われるものとする。
【0064】
図13のフローチャートでは、携帯端末30のリソース退避時の作業が行われている時点(ステップS217)においても、第2の回線モジュールを保持している例を示しているが、第1の回線31が有効であれば、リソース退避時の作業を行う前に、第2の回線モジュールを破棄してしまっても構わない。
【0065】
図14及び図15は、この場合のフローチャートであり、リソース退避時の作業(ステップS233)を行う前に、携帯端末30が第2の回線32の破棄を基地局40に通知し(ステップS230)、携帯端末30は第2の回線モジュールを破棄し(ステップS231)、基地局40は第2の回線32を破棄する(ステップS232)。リソース退避時の作業(ステップS233)が終了すると、これまでの同様の処理が必要に応じて繰り返される(ステップS234〜S251)。図14〜図15の処理のうち携帯端末30側の処理は、基本的にリソースコントローラ4またはシステムコントローラ6あるいは両コントローラ4及び6の協働によって行われるものとする。
【0066】
次に、図8のステップS113、図10〜図11のステップS123、図13のステップS217及び図14〜図15のステップS233における端末リソース退避時の作業の一例を説明する。この作業は、信号処理デバイス3のリソースにおけるハードディスクのデフラグに相当する動作である。
【0067】
前述したように、本実施形態のようなソフトウェア無線機の技術による携帯端末30においては、多くの機能を収容するためには信号処理デバイス3に多くのリソースを必要とする。ソフトウェア無線機か持つべき機能は、一般にサービスの多様化に伴い膨れ上がる傾向にある。このようなソフトウェア無線機技術による携帯端末30の機能は、リソース定義情報に基づき信号処理デバイス3のリソースを所望機能を実現するように構成することによって実現される。
【0068】
すなわち、端末30をある無線通信システム(Aシステムという)に対応させるには、Aシステム用のリソース定義情報に基づいて、信号処理デバイス3のリソースをAシステム用に割り当てる必要がある。携帯端末30のユーザは、所望の機能を端末30に実装しようと思ったときに、その機能を実現するためのリソース定義情報を購入し、そのリソース定義情報を自ら端末30にロードして、所望の機能を実現する。
【0069】
一方、既にAシステム用の機能が端末リソースに実装されている携帯端末30に対して、さらに新規に別の無線通信システム(Bシステムという)用の機能を実装するには、端末30の信号処理デバイス3の空きリソースにそのBシステム用の機能を実現するためのリソース定義情報を購入して実装することになる。こうして新たに付加された機能は、その機能自体が単純にリソースに割り当てられる。このため、既に実装されている機能との共有を図り、使用するリソースの量を削減することが可能である。ユーザが複数の機能を実装しているような携帯端末30では、リソースが常に逼迫している状況にある。従って、既に実装されている機能との共有を図り、リソース定義の効率化を図ることができれば、端末リソース使用量に余裕を持たせることが可能となる。
【0070】
こうしたリソース定義の効率化は、リソースの空きが十分でないと実現することが難しいが、本実施形態によれぱ基地局40に携帯端末30の既にロードされているリソース定義情報等のデータを退避することができるため、これらの処理を実現することが可能となる。
【0071】
なお、上述の各実施形態において、携帯端末30が基地局40へ転送するリソース定義情報等のデータと同一の情報が基地局40に存在する場合には、該当するデータが基地局40でバックアップされている旨を記録し、退避データの転送を行わないようにすることも可能である。このようにすることで、無駄なデータ転送を省くことができる。
【0072】
次に、図17を用いて本発明の他の実施形態を説明する。ユーザ情報の一括管理やデータ収集、高度の顧客サービスの提供を実現するには、携帯端末30は遠隔端末操作が可能であることが望ましい。図17は、ネットワーク41に接続しているリモートユーザ42が主導で、携帯端末30のデータ退避のために用いる第2の回線32をスポットビームによる無線回線で設定する場合の例を示している。携帯端末30と通信可能な基地局40は、ネットワーク41に接続されている。このため、リモートユーザ42がネットワーク41を介して携帯端末30をモニタすることができる。
【0073】
以下、図18〜図19に示すフローチャートを用いて本実施形態における処理手順を説明する。
まず、リモートユーザ42は、対象とする携帯端末30の接続先となる基地局40の所在をH.L.R(home location register)に問い合わせる(ステップS301)。この問い合わせに基づくH.L.Rからの接続先情報の応答(ステップS302)を取得すると、リモートユーザ42は接続先の基地局40に対して、携帯端末30内の信号処理デバイス3のリソース定義情報を含むデータの退避を要求する(ステップS303)。
【0074】
データ回避要求を受けた基地局40は、データ転送用の専用回線である第2の回線32の設定を携帯端末30に通知し、さらに第2の回線32を設定する際に必要な前述と同様の周辺情報の転送を携帯端末30に要求する(ステップS304)。
【0075】
ステップS304で基地局40から第2の回線32を設定する際に必要な周辺情報の転送要求を受けた携帯端末30は、その周辺情報を好ましくは端末機種の情報と共に基地局40に転送して通知する(ステップS305)。
【0076】
次に、基地局40は保有している第2の回線の種類を示した前述と同様のリストを参照して、実際に携帯端末30に割り当てる第2の回線を決定し、さらに使用する第2の回線32を決定した後に、携帯端末30の機種に適合した第2の回線32用の定義情報(モジュール)である第2の回線モジュールを準備する(ステップS306)。
【0077】
この後、基地局40は携帯端末30のデータ退避要求の受付をリモードユーザ42に通知し(ステップS307)、さらに第2の回線32の設定を通知する(ステップS308)。この通知には、第2の回線モジュールをロードするのに必要な携帯端末30のリソース量(所要リスソース)が記載されている。
【0078】
この通知を受けた携帯端末30は、信号処理デバイス3の空きリソースの量を計算する(ステップS309)。この計算の結果、携帯端末30は第2の回線モジュールをロードする分のリソースの空きがあれば、リソースが所有するデータを基地局40に退避するために、端末30との通信可能である基地局40に対して、端末が通信可能である第1の回線を通じて第1のデータ退避を要求する(ステップS310)。
【0079】
基地局40は、現在携帯端末30と通信を行っている第1の回線とは別の回線を持っており、この中から携帯端末30の位置や受信環境、剰余周波数資源等を基にデータ退避のために用いる第2の回線32を決定する。基地局40は、その後データ退避のために用いる第2の回線モジュールを準備し、携帯端末30に対してデータ退避の要求を受け付けた旨、つまり第1の退避データの受信準備が可能になった旨の通知を行う(ステップS311)。
【0080】
次に、携帯端末30は第1の回線で第1の退避データを基地局40に転送し(ステップS312)、これを受けた基地局40は第1の退避データの転送完了を携帯端末30に通知する(ステップS313)。
【0081】
次に、携帯端末30は第2の回線モジュールをロードする分のリソースの空きがまだあれば、第2の回線モジュールを受信するための準備ができたことを基地局40に通知する(ステップS314)。この通知を受けた基地局40は、第1の回線を用いて第2の回線モジュールを携帯端末30に転送し(ステップS315)、次いで携帯端末30は第2の回線モジュールの転送(ダウンロード完了)を基地局40に通知する(ステップS316)。
【0082】
携帯端末30は、第2の回線モジュールのロードが完了し、第2の回線32の初期設定が完了すると(ステップS317)、第2の回線32を用いて携帯端末30のリソースに蓄積されているデータを基地局40に退避データとして転送する(ステップS318)。これによって携帯端末30のリソースに余裕をつくることができる。退避データの転送が完了すると、基地局40はその転送完了を携帯端末30に通知し(ステップS319)、さらにリモートユーザ42に対しても退避データの転送完了を通知する(ステップS320)。
【0083】
このようにして携帯端末30が基地局40に退避データを転送すると、携帯端末30の信号処理デバイス3のリソースが一部解放され、リソースに余裕ができることによって、携帯端末30はリソース退避時の作業としてリソースが少ない場合にはできなかった処理、例えば、携帯端末30のリソースに割り当てられた機能を効率的に割り当て直す処理等、を行うことが可能となる。実際には、ステップS319及びS320の後、携帯端末30が第2の回線32の破棄を基地局40に通知し(ステップS321)、携帯端末30が第2の回線モジュールを破棄し(ステップS322)、基地局40が第2の回線32を破棄する(ステップS323)、この後に携帯端末30は上述したリソース退避時の作業を行う(ステップS324)。
【0084】
リモートユーザ42は、携帯端末30でのリソース退避時の作業が終了すると、退避データの復元を基地局40に要求する(ステップS325)。この後、図18におけるステップS304〜S320と同様の処理が行われる(ステップS326〜S344)。図18〜図19の処理のうち携帯端末30側の処理は、基本的にリソースコントローラ4またはシステムコントローラ6あるいは両コントローラ4及び6の協働によって行われるものとする。
【0085】
以上の手順によって、ネットワーク41主導でデータ転送用専用回線である第2の回線32を設定することが可能となる。なお、上述ではデータ転送用専用回線である第2の回線32の設定を行う手順をリモートユーザ42が行うように説明したが、リモートユーザ42がログインしているコンピュータ上のソフトウェアが同様の手順を実行しても構わないし、これらの手順を代理で行うサーバが実行しても構わない。
【0086】
次に、本実施形態の利点について述べる。本実施形態が対象としているようなソフトウェア無線技術による携帯端末30は、その多様性のために様々な応用が期待できる。例えば、顧客対応を行う営業担当者が、顧客情報の管理機能を携帯端末30に実装にすることも可能である。このような場合においては、営業担当者が図17中のリモートユーザ42となり、所属する営業所から遠隔操作によって定期的に営業払当者が有するデータを営業所に転送することにより、データの共有化等による業務の効率化が実現できる。
【0087】
このように遠隔操作によって、営業担当者が有するデータを営業所に転送する作業は、例えばGUIを備えたデータ処理機能をロードし、一定の手順に従って携帯端末30のユーザが保持しているデータに信号処理を加え、信号処理後のデータをデータベースに転送する作業である。ソフトウェア無線技術による本実施形態の携帯端末30では、多様な機能を実装することができるために、端末リソースの使用状況はユーザ毎に異なっており、かつ常にリソースが逼迫していると予想される。つまり、データ処理機能をロードする余裕が無い程、定常作業以外の機能によってリソースの剰余が不足することが起こり得る。これは、データ処理機能が携帯端末30の機能として常には必要ない機能であるためである。
【0088】
このような状況において、本実施形態によると遠隔操作によって基地局40に携帯端末30のデータを退避することができるため、十分なリソースの空きを確保することが可能となり、それによって所望の処理を容易に実現することが可能となる。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば携帯端末として用いられる無線通信装置の現状のリソースの利用状況に応じた効率的なリソース管理を実現でき、特に無線通信装置が任意の地点に存在していても端末のリソース定義情報を含むデータを退避することができ、瞬時的なリソースの不足を解消することができる。さらに、端末主導のみでなくネットワーク等を介して基地局主導でもデータの退避を行うことができるようにすることで、リソース管理をリモートで行うことができ、携帯端末の一元的な管理を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線通信装置の構成を示すブロック図
【図2】図1中の無線送受信デバイスの構成例を示すブロック図
【図3】図1中の信号処理デバイスの構成例示すブロック図
【図4】図1中の信号処理デバイスのある一つの無線通信システムに対応した結線状態を示す図
【図5】図1中の信号処理デバイスの他の一つの無線通信システムに対応した結線状態を示す図
【図6】図1中の信号処理デバイスの二つの無線通信システムに対応した結線状態を示す図
【図7】本発明の一実施形態に係る無線通信装置である携帯端末のリソースが所有するデータを基地局に退避させるときの状態を模式的に示す図
【図8】同携帯端末のリソースが所有するデータを基地局に退避させる手順の第1の例を示すフローチャート
【図9】図8の手順で同携帯端末のリソースが所有するデータを基地局に退避させる際の各段階での携帯端末と基地局との間の通信状態及びリソースの状態を模式的に示す図
【図10】同携帯端末のリソースが所有するデータを基地局に退避させる手順の第2の例を示すフローチャート
【図11】同携帯端末のリソースが所有するデータを基地局に退避させる手順の第2の例を示すフローチャート
【図12】同携帯端末における信号処理デバイスのリソース(端末リソース)の使用量を模式的に示す図
【図13】同携帯端末のリソースが所有するデータを基地局に退避させる手順の第3の例を示すフローチャート
【図14】同携帯端末のリソースが所有するデータを基地局に退避させる手順の第4の例を示すフローチャート
【図15】同携帯端末のリソースが所有するデータを基地局に退避させる手順の第4の例を示すフローチャート
【図16】図13乃至図15の手順で同携帯端末のリソースが所有するデータを基地局に退避させる際の各段階での携帯端末と基地局との間の通信状態及びリソースの状態を模式的に示す図
【図17】本発明の他の実施形態に係る無線通信装置である携帯端末のリソースが所有するデータを基地局に退避させるときの状態を模式的に示す図
【図18】同携帯端末のリソースが所有するデータを基地局に退避させる手順の例を示すフローチャート
【図19】同携帯端末のリソースが所有するデータを基地局に退避させる手順の例を示すフローチャート
【符号の説明】
1…アンテナ
2…無線送受信デバイス
3…信号処理デバイス
4…リソースコントローラ
6…システムコントローラ
7…入出力デバイスユニット
30…携帯端末
31…第1の回線
32…第3の回線
33…セルカバレッジ
40…基地局
41…ネットワーク
42…リモートユーザ
Claims (7)
- 無線信号の送受信を行う無線送受信デバイス、及び信号処理機能の再定義が可能なリソースを含み、該リソースによって前記送受信に伴い必要な所定の信号処理機能の信号処理を行う信号処理デバイスを有する無線通信装置と基地局との間で通信を行う無線通信方法において、
前記リソースに対する前記信号処理機能の定義情報を前記基地局に転送することで退避させ、
該退避した状態で前記無線通信装置が前記リソースにおける信号処理機能の定義を一旦クリアしてから前記リソースに対して信号処理機能の再定義を行い、
その後、前記基地局に退避させた前記定義情報を前記無線通信装置に転送して復元する無線通信方法。 - 無線信号の送受信を行う無線送受信デバイス、及び信号処理機能の再定義が可能なリソースを含み、該リソースによって前記送受信に伴い必要な所定の信号処理機能の信号処理を行う信号処理デバイスを有する無線通信装置と基地局との間で通信を行う無線通信方法において、
前記無線通信装置と基地局との間の通信に使用可能な第1の回線を介して第2の回線のための通信モジュールを前記基地局から取得するステップと、
前記無線送受信デバイス及び該取得した通信モジュールにより形成される第2の回線を介して前記リソースに対する前記信号処理機能の定義情報を前記基地局に転送して退避させるステップと、
前記定義情報が前記基地局に転送され退避された状態で、前記無線通信装置において前記リソースにおける信号処理機能の定義が一旦クリアされてから前記リソースに対して信号処理機能の再定義が行われた後に、前記基地局に転送され退避された前記定義情報を前記第2の回線を前記無線通信装置に転送して復元させるステップと
を具備する無線通信方法。 - 無線信号の送受信を行う無線送受信デバイスと、
信号処理機能の再定義が可能なリソースを含み、該リソースによって前記送受信に伴い必要な所定の信号処理機能の信号処理を行う信号処理デバイスと、
前記無線送受信デバイス及び信号処理デバイスを制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、(a)前記リソースに対する前記信号処理機能の定義情報を前記無線送受信デバイスを介して前記基地局に転送して退避させ、(b)該定義情報を退避した状態で前記リソースにおける信号処理機能の定義を一旦クリアしてから前記リソースに対して信号処理機能の再定義を行った後、(c)前記基地局に退避させた前記定義情報を前記無線送受信デバイスを介して取り込んで前記信号処理デバイス上に復元する無線通信装置。 - 前記コントローラは、(a)前記無線通信装置と基地局との間の通信に使用可能な第1の回線及び前記無線送受信デバイスを介して第2の回線のための通信モジュールを前記基地局から取得し、(b)前記無線送受信デバイス及び、該取得した通信モジュールにより形成される前記第2の回線を介して前記定義情報を前記基地局に転送して退避させ、(c)前記基地局に転送され退避された前記定義情報を前記第2の回線及び前記無線送受信デバイスを介して取得して復元する請求項3記載の無線通信装置。
- 前記コントローラは、前記第2の回線のための通信モジュールを前記基地局から取得する際に、前記リソースに該通信モジュールを収容する分の空きがない場合には、前記無線送受信デバイス及び前記第1の回線を介して前記定義情報の一部を前記基地局に転送して退避させる請求項4記載の無線通信装置。
- 前記コントローラは、前記定義情報のうち前記基地局に存在していない定義情報のみを前記基地局に転送して退避させる請求項4記載の無線通信装置。
- 前記コントローラは、前記基地局からの要求に応じて前記(a)(b)及び(c)の処理を行う請求項3または4記載の無線通信装置。
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