JP3750692B2 - 車両用電子制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、パワートレイン系を初めとする車両用電子制御装置であって、オプョン機能、制御バリエーションの多い制御システムにおいて、そのバリエーショに対応するための制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用電子制御装置は、搭載される車両、エンジン、仕向地毎に設定されたアクチュエータ特性、オプション等が異なるため、それらの違いに対応して個別に制御プログラムを作成する方法が取られ、僅かに異なるだけの多数の品番の電子制御装置を管理する必要があった。このような問題を解決するために、いくつかの方法が提案されている。例えば特開平4ー92734号公報にあるように、プログラムROMに複数種類の仕様のプログラムを記述しておき、仕様に合わせて必要なプログラムを外部から選択する方法がある。しかしこの方法では既存のプログラムを統一することはできるが、新しい仕様には対応できない。また多数の仕様を総て記憶しておくためには、大容量の不揮発メモリが必要となり、相当なコストの上昇を招くという問題点がある。
【0003】
また、特開平4ー36048号公報には、制御プログラムを含む共通仕様データを記憶させておく第1メモリと、車両毎に異なる個別データを記憶させておく第2のメモリとを備え、第2のメモリをワンタイムプログラム対応のROMで構成すると共に、製品出荷時に車両毎の個別データを第2のメモリに書き込む事によってバリエーションを吸収しようとする方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術において開示された、ワンタイムプログラム対応のROMに関連する問題点としては、例えばヒューズ溶断型や接合破壊型のものでは、通常のマイクロコンピュータチップの製造プロセスとは異なる製造プロセスで作られるため、チップコストが上昇することが挙げられ、紫外線消去形式などのフローティングゲート型のものは、自動車のような温度サイクルの厳しい環境下では、データの消失の可能性があることなどが挙げられ、バリエーションの吸収以外の点で現状の電子制御装置と同等の信頼性を得ることは困難である。
【0005】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、経時変化等によるデータ消失の対策を行うことによって制御装置全体としての信頼性を高めることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために成された請求項1記載の発明は、電気的にデータの書き込み不能に構成され、制御プログラムを含む共通仕様データを記憶した第1のメモリと、電源オフ時にもデータを保持し、かつデータを書き換え可能に構成され、車両毎に異なる個別データを記憶した第2のメモリと、この第2のメモリとシリアルにデータを通信する通信手段を介して接続され、上記第2のメモリに記憶させた上記個別データと同じ個別データを記憶した外部制御装置と、この外部制御装置に記憶された上記個別データを上記第2のメモリへ繰り返し書き込むデータ書き込み制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の車両用電子制御装置において、更に、予め定められた個別データに基づいてバックアップ制御を行うバックアップ制御手段を備え、上記外部制御装置と上記第2のメモリとの間の上記通信が不能のとき、上記バックアップ制御手段の上記個別データに基づきバックアップ制御することを特徴とする。
【0008】
さらに、請求項3に記載の発明は、電気的にデータの書き込み不能に構成され、制御プログラムを含む共通仕様データを記憶した第1のメモリと、電源オフ時にもデータを保持し、かつデータを書き換え可能に構成され、車両毎に異なる個別データを記憶した第2のメモリと、この第2のメモリとシリアルにデータを通信する通信手段を介して接続され、上記第2のメモリに記憶させた上記個別データと同じ個別データを記憶した外部制御装置と、上記第2のメモリ内の上記個別データが失われたときに、予め定められたデータに基づいてバックアップ制御を行うバックアップ制御手段と、上記車両の停止時若しくは始動時に、上記通信手段を介して、上記外部制御装置に記憶された上記個別データを第2のメモリへ入力して、上記第2のメモリ内の個別データを復元するデータ復元制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0009】
【作用および発明の効果】
上記構成を有する請求項1記載の発明によれば、第1のメモリが制御プログラムを含む共通仕様データを記憶しており、第2のメモリが車両毎に異なる個別データを記憶している。そして、データ書き込み制御手段は、通信手段を介して、第2のメモリに記憶された個別データと同じデータを外部制御装置から繰り返し入力し書き込むよう制御する。
【0010】
この結果、ワンタイムプログラム対応のROMの問題点であるデータ消失を未然に防止することができ、制御装置全体としての信頼性を高めることが可能となる。
また、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明において、更にバックアップ制御手段を備えることにより、外部制御手段と第2のメモリとの間の通信が不能のとき、予め定められた個別データに基づき電子制御装置のバックアップ制御を行う。
【0011】
その結果、外部制御装置と第2のメモリとの間の通信が不能な場合においても、データ消失に伴う制御特性の悪化を防止することができ、制御装置全体としての信頼性を高めることが可能となる。
また、請求項3記載の発明によれば、第2のメモリ内の個別データが消失した場合に、バックアップ制御手段により制御を行い、かつ車両が停止時若しくは始動時に、通信手段を介して、車両毎の個別データを記憶している外部制御装置からデータを入力して、第2のメモリ内に個別データを書き込むよう制御する。
【0012】
この結果、データ消失時にバックアップ制御を行うことにより、データ消失に伴う制御特性の悪化を防ぐことができる。さらに車両の停止時若しくは始動時にデータの書き込みを行うことにより、車両が走行中にデータ書き込みを行う場合に生じる制御特性の変化による車両挙動の急変を避けることができ、制御装置全体としての信頼性を高めることが可能となる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明を具体化した一実施例を図面に従って説明する。
〔第1実施例〕
図1に本発明における第1実施例の車両用電子制御装置の構成を示す。
本電子制御装置1は、制御演算を行うCPU11、基本部分のプログラムを内蔵する不揮発メモリであるROM12、演算結果などを一時的に格納するRAM13、制御パラメータやオプション情報といったバリエーションの要因となる車両毎に異なる個別データを記憶する、外部から書き込み可能な不揮発メモリであるPROM14、センサやアクチュエータなどの装置3と接続される入出力(I/O)装置15、これらの各装置間を接続する内部バス16、およびCPU11の指示によりPROM14へデータの書き込みを実行する書き込み装置17から構成される。なお、上記ROM12が本発明の第1のメモリに該当し、PROM14が本発明の第2のメモリに該当する。
【0014】
また本電子制御装置1は、シリアル通信手段4により、外部制御装置5と接続されている。ここで電子制御装置1は、センサ信号を物理データに変換したり、アクチュエータを目標の状態にフィードバック制御したりするなどの、比較的単純な制御処理機能を有するものであるのに対し、外部制御装置5は、複数の電子制御装置1の情報に基づく状態判定、制御目標値演算といった高度な処理を実行するもので、いわばマスタコンピュータの役目を果たす上位制御装置に該当するものである。
【0015】
図2に本車両用電子制御装置を、自動車のエンジン制御を中心としたパワートレイン制御系に適用した場合の構成例を示す。このシステム構成では、自動車のエンジンルームに制御アクチュエータが搭載されているパワートレイン系制御システムを高速LAN(Local Area Network)20で結んだものであり、従来は一体的に構成されていたパワートレイン制御装置を制御機能毎に分割した分散型制御システムとして構成されている。
【0016】
(図示しない)エンジン上またはエンジンルーム内に、噴射制御装置22、点火制御装置23、I/O制御装置24、ミッション制御装置25、スロットル制御装置26及び、車室内に搭載するパワートレイン制御装置21が高速LAN20で接続されている。すなわち、各制御装置22〜26がそれぞれ図1の電子制御装置1に相当し、パワートレイン制御装置21が外部制御装置5に相当する。またシリアル通信手段4として、ここではLAN20を用いている。
【0017】
各制御装置22〜26には、制御対象となるアクチュエータや個別に入力されるセンサ類が接続されている。また高速のパルス信号で、エンジン制御の同期信号であるクランク角信号は専用線27によりパワートレイン制御装置21、噴射制御装置22、点火制御装置23、I/O制御装置24に分配されている。
次に図1の構成において、電子制御装置1の作動について図3のフローチャートを基に説明する。
【0018】
電子制御装置1のROM12には、基本的な制御プログラムが搭載されており、電源が投入されると、このプログラムを実行し、通信による車両個別情報の入力、PROMへのデータの書き込み、本来の制御処理などを実行する。
プログラムが起動すると、まずステップ100の初期設定を実行する。ここでは、RAM13の初期化やI/O装置15の初期設定が行われ、さらに外部制御装置5との通信のための設定を行い、通信が可能な状態になった事を示すフラグを外部制御装置5に向けて送信する。
【0019】
次にステップ110に進んで、外部制御装置5との通信が正常に行えるか否かの判定をする。この判定処理は、例えば自分が起動してから1sec以内に、外部制御装置5から通信可能フラグを受信したか否かで行う。通信が正常であると判定されたときにはステップ120に進んで、オプション情報などの個別制御情報を通信によりPROM14に入力する。
【0020】
その後ステップ130に進んで、この電子制御装置1が行うべき本来の制御処理を実行する。またステップ110において、通信が正常に行えないと判定されたときには、電子制御装置1は通信に頼らない自律制御モードであるステップ140に移行する。この自律制御モードでは、電子制御装置1の駆動出力をOFF側に出力し続け、不確実な制御を禁止すると共にユーザに異常を知らせるものである。なお、自律制御モードが本発明のバックアップ制御手段に該当し、電子制御装置1が図2の噴射制御装置22、点火制御装置23のように、いかなる時も動作が必要な装置の場合には、予め(ROM12)に記憶されている固定値のバックアップデータに基づき噴射、点火を実行する。
【0021】
以上のようなステップ110〜140までの全体処理は、0.1〜10sec程度の間隔の比較的ゆっくりした周期で繰り返し実行される。一方ステップ130、140の処理は、数msec〜100msecの周期あるいは、エンジン回転信号周期などの比較的速い周期で実行される。
以上のように構成された電子制御装置によれば、車両毎に異なる個別データを記憶しているPROM14内に、パワートレイン制御装置からデータを繰り返し書き込むことにより、データの消失を未然に防止することができる。さらに、いかなる時も動作が必要な制御装置の場合には、予め記憶されている固定値のバックアップデータに基づき噴射、点火のバックアップ制御を行うため、エンジンの最低限の作動を確保することが可能となり、信頼性の確保をすることが可能となる。
〔第2実施例〕
次に、本発明における第2実施例の車両用電子制御装置について以下説明する。
【0022】
本第2実施例の構成は、上述した第1実施例と同様であり説明は省略する。
次に図1の構成において、電子制御装置1の作動について図4のフローチャートを基に説明する。上述したように、電子制御装置1のROM12には、基本的な制御プログラムが搭載されており、電源が投入されると、このプログラムを実行し、通信よる車両個別情報の入力、PROM14へのデータの書き込み、本来の制御処理などを実行する。
【0023】
プログラムが起動すると、まずステップ200の初期設定を実行する。ここでは、RAM13の初期化やI/O装置15の初期設定が行われ、さらに外部制御装置5との通信のための設定を行い、通信が可能な状態になった事を示すフラグを外部制御手段5に向けて送信する。
次にステップ210に進んで、外部制御装置5との通信が正常に行えるか否かの判定をする。この判定処理は、例えば自分が起動してから1sec以内に、外部制御装置5から通信可能フラグを受信したか否かで行う。通信が正常であると判定されたときにはステップ220に進んで、PROM14が初期状態であるか否かの判定をする。初期状態と判定されたときには、更にステップ230に進んでオプション情報などの個別制御情報を通信によりPROM14に入力する。
【0024】
一方、ステップ240でPROM14が初期状態ではないと判断されたときには、ステップ230の処理は実行しない。次にステップ240に進んで、PROMデータが正常であるか否かの判定を行う。もし、PROMデータに異常があってその復元が不可能なときには、ステップ250に進み、車両が停止状態若しくは始動状態であるか否かの判定を行う。
【0025】
その後、車両が停止状態若しくは始動状態であると判断された場合には、ステップ260に進んで正しいデータの送信を外部制御装置5に要求し、受信したデータをPROM14に再書き込みを実行し、その後ステップ270にて本来の制御処理を実行する。ステップ250にて車両が停止状態若しくは始動状態でないと判定された場合、ステップ280へ進み自律動作モードにて制御を実行する。
【0026】
以上のようなステップ210〜260までの全体処理は、0.1〜10sec程度の間隔の比較的ゆっくりした周期で繰り返し実行される。一方ステップ270、280の処理は、数msec〜100msecの周期あるいは、エンジン回転信号周期などの比較的速い周期で実行される。
ここで車両の停止状態の判定は、通信により車速信号を受信し、それに基づいて行っても良いし、他の装置より車両が停止状態であることを示すコードを受信するようにしても良い。また、車両の始動状態の判定は、車両のスタータ信号がONであることや、電子制御装置の始動時からの経過時間をみるようにしても良い。
【0027】
次に、車両に関わる個別情報を入手する手順(ステップ230)について、図5のフローチャートに基づいて説明する。先ずステップ310において、自分が何の制御装置であるのかを外部制御手段5に知らせるためにノード識別コードを送信する。このノード識別コードは、例えば電子制御装置1毎に固有に設定される製造品番等を用いる。
【0028】
次に、一般には個別情報が複数のデータの集まりとなっているため、その全てのデータを送信する事を要求するフラグを外部制御手段5に送信する(ステップ320)。その後、所定の時間(例えば10msec)経過の後、ステップ330においてデータを受信できたか否かを受信フラグなどでチェックする。
ステップ330で否定判断、すなわちデータの受信が行われていないと判断されたときには、一時的に通信路に障害が発生したものとみなして、ステップ310に戻って再度送信要求を繰り返す。一方、ステップ330で肯定判断、すなわちデータの受信ができた場合には、ステップ340に進んで、受信したデータが正常なものか否かの判定をチェックコードなどによって行う。
【0029】
このステップ340での判定は、通信路の障害ではなく、外部制御装置5が生成したデータ列そのものに異常があるか否かの判定である。そして、ステップ340で否定判断された場合、ステップ440に進んでデータが異常である事を示すフラグを外部制御装置5に送信すると共に、ステップ310に戻って再度送信を要求する。一方、ステップ340で肯定判断、すなわち受信データが正常であると判定された場合には、ステップ350に進んで、PROM14への書き込みデータの生成を行う。すなわち受信データをその内容毎にPROMアドレス順への並び換え、消失異常判定用データの作成など行う。
【0030】
さらに続くステップ360でPROM14の異常を検出するための書き込み回数カウンタCを「0」にセットし、ステップ370で書き込み操作を実行する。これは電子制御装置1内のI/O装置15を通して、書き込み装置17を駆動して行われる。書き込み終了後、書き込んだデータと書き込むデータとの比較を行い、正しいデータが書き込まれたか否かを判定する(ステップ380)。
【0031】
ステップ380で肯定判断、すなわち書き込まれたデータが正しければ本ルーチン(つまりステップ230の処理)を終了する。しかし、正しくないと判定されたときには、ステップ390に進んで、まず書き込み回数カウンタCをインクリメントし、そのカウンタ値Cが所定の値n(例えば5)以上であるか否かを判定する。
【0032】
ステップ400で否定判断、すなわちカウント値Cが所定値nに達していなければ、ステップ410に進んでPROM14の内容を電気的に消去し、ステップ370に戻る。一方、ステップ400で肯定判断、すなわち所定値n回以上の書き込みを繰り返しても正常なデータが書き込まれない場合には、PROM14そのものに異常があるものと判断し、ステップ420に進んで、PROM異常フラグを外部制御装置5に送信し、電子制御装置1自身は、自律動作モード(図4のステップ280)に移行するためのフラグをセットして(ステップ430)、本ルーチンを終了する。
【0033】
なお、PROMデータに異常が生じたときに図4のステップ240において実行する再書き込み処理は、図5のステップ320において特定のデータのみを送信要求する点が異なるのみで、それ以外の処理は共通にできる。
さらに、ステップ240のPROMデータの正常判定について説明する。ここには、多数決判定やミラーチェックの方法が用いられる。前者の多数決判定は、同一のデータをPROM14内の3箇所に記憶しておき、それらを相互に比較して2つ以上の一致が得られたデータを正しいものとみなす方法である。この方法では、一箇所のデータ異常が発生したときは残りの2箇所のデータに書き換える事により、復元が可能である。このとき、一般的にはPROM14への書き込みには時間が掛かるので、制御を中断しないためには、PROMデータを一時的にRAM13に転送してそのデータで制御を継続しながら、並行してPROM14への書き込みを実行すれば良い。しかしこの方法であっても、同時に2箇所以上でデータに異常が発生すれば、復元することはできない。
【0034】
一方、後者のミラーチェックは、あるデータとそのビットの0,1を反転したミラーデータとを記憶しておき、その二つのデータの排他的論理和をとったときに、全てのビットで論理1が得られるか否かで判定する方法で、PROM14の使用量が少なくなる代わりにデータの自己復元はできない。
以上のような構成、処理手続きにより、電子制御装置1はバリエーション要因毎に個別に設計する必要がなく、共通使用する事が可能となり、又バリエーションの吸収も高い信頼性を持って実現できる。
【0035】
なお本構成では、外部制御装置5としてマスタコンピュータのような上位制御装置を想定し、その中に車両個別の制御パラメータ、オプション情報等を集中して管理記憶させておく構成とした。しかしバリエーションパラメータの消失が車両にとって致命的でなく、自律動作機能などによってサービス工場までの移動が可能な場合には、データの書き込みのための処理は、専用書き込みツールとの交信によって行っても良い。そのとき、システムが図2のようにLAN20によって接続されている場合には、図2中に二点鎖線で示すように、専用書き込みツール30をLAN20に接続して行っても良いし、通信コネクタ部分を一時的にLAN20から切り離し、専用書き込みツール30と個別に接続しても良い。
【0036】
また、外部制御装置5と1対1接続のシステムあるいは、電子制御装置1が通信機能を持つだけで単独で操作するものである場合には、専用書き込みツール30と個別に接続して、データの書き込みができる。
本実施例では、電子制御装置1のPROM14は最初何も記憶されていないものを使用する事としたが、電子制御装置1の製造段階で予めPROM14にデータを記憶させておいてもよい。その場合には、図4においてステップ220、230の処理及びその機能を省略する事ができる。また本実施例では、PROM14として電気的に消去が可能なフローティングゲートタイプの物を想定したが、ヒューズ溶断型や接合破壊型のPROM14のようなワンタイムプログラムのPROM14を用いてバリエーション吸収機能のみを使用しても良い。
【0037】
このように、本実施例の車両用電子制御装置1によれば、PROM14に車両毎に異なる個別データを外部の上位制御装置5等より繰り返し書き込む。その結果、電子制御装置1全体としての信頼性を高めることが可能となる。
また、本実施例の車両用電子制御装置2によれば、PROM14に記憶された車両毎に異なる個別データが消失した場合に、自律動作モードに移行し、車両が停止状態若しくは始動状態になったとき、外部制御装置5等より正しいデータを書き込む。そのPROMデータの急変による制御状態の急変に伴う車両挙動の急変を避けることができ、電子制御装置1全体としての信頼性を高めることが可能となる。
【0038】
なお、上記実施例では図2に示すように、従来は一体的に構成されていたパワートレイン制御装置を制御機能毎に分割した分散型制御システムを例に取って説明した。この分散型にした背景や理由等について以下に補足説明をしておく。
従来より、特にパワートレイン制御系では、排出ガス規制や燃費規制等の対策のため、多くのセンサや制御アクチュエータが取り入れられ、非常に大規模な制御システムとなっている。そして、そのための電子制御装置の開発には多大な開発費用が必要となっている。さらに、電子制御装置は、搭載される車両、エンジン、仕向地毎に、ソフトウェアを中心として細かく仕様が設定されるため、多くのバリエーションを生み出し、それらに対応して個別開発が行われることによって開発費用の増大を助長することとなる。また車両搭載の面でも、システムの大規模化で接続するワイヤーハーネスが非常に大きなものとなり、重量・線径の増大から組み付け作業が著しく悪化する等の問題が生じている。
【0039】
このような問題点を解決しようとするものが、本分散制御であり、周辺制御装置(図2の噴射制御装置22、点火制御装置23、I/O制御装置24、ミッション制御装置25、スロットル制御装置26)は、接続されている制御対象のアクチュエータや個別に入力されるセンサ類に対する基本的な制御動作を実行する機能を持つ。ここで基本的な制御動作とは、例えば同期タイミング信号に合わせて所定の時間パワートランジスタをONさせるとか、目標指令値までモータを回転させるとか、指示されたチャネルのトランジスタをONさせる等の比較的単純な動作を言う。
【0040】
この基本動作では、制御ロジックのような制御演算方法等は各装置毎に同一のものとなり、必要に応じてアクチュエータの特性を反映した制御定数のような制御パラメータのみが可変となる。このような変更は図1に示したPROM14等を用いて対応できるので、同一のハードウェアを他の仕様にも転用でき、上述した開発費用の低減につながる。また、パワートレイン制御装置21も、従来行っていたこのような駆動処理から解放されるので、比較的簡単に制御プログラムを構成できるようになり、ハードウェアの規模も縮小できるため、開発費用の低減ができる。
【0041】
そして、上記実施例のように、パワートレイン制御装置21と周辺制御装置22〜26とをLAN20で接続することにより、従来車室内にあるパワートレイン制御装置21とエンジンルーム内にある制御アクチュエータとを、車室を区切る隔壁を貫通させてワイヤーハーネスで接続していたものが、通信線と電源線等の一部のワイヤーハーネスのみに置き換えられる。また周辺制御装置22〜26とその制御アクチュエータは近接して、あるいは一体的に構成されるため、その間の接続ワイヤーハーネス量も十分に削減できる。従って、車両組み付け上で問題となっていたワイヤーハーネスを大幅に削減することができるのである。
【0042】
次に、バリエーションの対応について、図6、7に基づき説明する。
ここで図6、7はI/O処理装置におけるI/O処理部分を示すものである。但し、外部制御装置との通信部分は除いてある。
バリエーション対応について、図2のI/O処理装置24を例にとって示すと、図2に示すような構成においては、車両のグレードや仕向地といった様々なバリエーションに対し、必要な制御装置のみを交換あるいは仕様変更すればよいために制御装置の開発工数が短縮されるという利点がある。この中でもバリエーション要因の大半は、たとえばISCがVSVかステップモータであるとか、O2 センサの個数の違いというように、I/O処理装置24に集中する。
【0043】
そこで、I/O処理装置24は図6、7に示すように、各種センサ・アクチュエータを処理するための汎用入力回路,汎用出力回路,A/D変換回路にて構成する。汎用入力回路は、スイッチなどのオン・オフ信号を受信するための回路である。また汎用出力回路はソレノイドバルブやリレーなどのオン・オフ型の駆動を行うための回路である。さらにA/D回路はサーミスタやO2 センサなどのアナログ信号をA/D変換するための回路である。
【0044】
I/O処理装置24をこのように構成することで、汎用入力回路・汎用出力回路・A/D変換回路のうちの必要な部分を用いることにより、I/O処理装置24のハードウェアを仕様変更することなしに、前述した車両の各種バリエーションに対応できる。よって制御装置の開発工数をさらに低減することが可能となる。
【0045】
但しこの場合、同一のハードウェアを用いたI/O処理装置24においても、使用する汎用回路の数や種類の違いに対応して、I/O処理装置24のソフトウェアはバリエーションにより異ならざるを得ない。そこでソフトウェアの中でバリエーションによって異なる部分を、PROM14に書き込むようにする。これにより同一のハードウェアを用いたI/O処理装置24によりバリエーション対応が可能となる。この場合、PROM14の内容は、I/O処理ソフトウェアそのものでも良いし、あるいはその処理装置にてどのような制御を行うかを示すコードであっても良い。その場合は制御を行うソフトウェアはROM12に内蔵される。
【0046】
以上のようにI/O処理装置を構成することにより、ROMの内容を含め同一の装置により車両の各種バリエーションに対応可能となる。なお図6では車両に接続されるI/Oが比較的多い上級車を想定したハードウェア構成を示したが、接続するI/Oの比較的少ない大衆車については図7に示す構成のI/O処理装置を用いることにより、未使用の汎用回路を少なくして低コスト化ができる。さらに未使用の汎用回路については回路パターンはそのままで素子の実装を行わないようにすることにより、素子のぶんだけコストを低減可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である車両用電子制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本車両用制御装置を、自動車のエンジン制御を中心としたパワートレイン制御系に適用した場合の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施例の電子制御装置の作動を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施例の電子制御装置の作動を示すフローチャートである。
【図5】図4のステップ230における個別情報入力処理を示すフローチャートである。
【図6】図2のI/O処理装置における、I/Oが比較的多い上級車についてのハードウェア構成を示す構成図である。
【図7】図2のI/O処理装置における、I/Oが比較的少ない大衆車についてのハードウェア構成を示す構成図である。
【符号の説明】
1 車両用電子制御装置、
4 シリアル通信手段、
5 外部制御装置
11 CPU
12 ROM(第1のメモリ)
13 RAM
14 PROM(第2のメモリ)
17 書き込み装置
20 LAN、
21 パワートレイン制御装置
22 噴射制御装置
23 点火制御装置
24 I/O制御装置、
25 ミッション制御装置
26 スロットル制御装置
Claims (4)
- 車両に搭載され、第1及び第2の制御装置を含む、複数の車両用制御装置と、
前記第2の制御装置内に配置され、電気的にデータの書き込み不能に構成され、制御プログラムを含む共通仕様データを記憶した第1のメモリと、
前記第2の制御装置内に配置され、電源オフ時にもデータを保持し、かつデータを書き換え可能に構成され、車両毎に異なる個別データを記憶した第2のメモリと、
前記第1の制御装置と前記第2の制御装置とを接続し、データの送受信を担い、シリアルにデータを通信する通信手段とを備える車両用電子制御装置であって、
前記第1の制御装置は、前記第2のメモリと前記通信手段を介して接続され前記第2のメモリに記憶させた上記個別データと同じ個別データを記憶した記憶部を有し、
前記第1及び第2の制御装置に電源投入される毎に、前記記憶部に記憶された上記個別データを上記第2のメモリへ書き込む書込み制御手段と、
を具備したことを特徴とする車両用電子制御装置。 - 請求項1記載の車両用電子制御装置において、
更に、予め定められた個別データに基づいてバックアップ制御を行うバックアップ制御手段を備え、
上記記憶部と上記第2のメモリとの間の上記通信が不能のとき、上記バックアップ制御手段の上記個別データに基づきバックアップ制御することを特徴とする車両用電子制御装置。 - 車両に搭載され、電気的にデータの書き込み不能に構成され、制御プログラムを含む共通仕様データを記憶した第1のメモリと、
車両に搭載され、電源オフ時にもデータを保持し、かつデータを書き換え可能に構成され、車両毎に異なる個別データを記憶した第2のメモリと、
車両に搭載され、この第2のメモリとシリアルにデータを通信する通信手段を介して接続され、上記第2のメモリに記憶させた上記個別データと同じ個別データを記憶した制御装置と、
電源投入時、前記制御装置内に記憶された個別データを前記第2のメモリに書き込む書込み制御手段と、
前記書込み制御手段によって前記第2のメモリに書き込まれた個別データをチェックするチェック手段と、
前記チェック手段によって前記第2のメモリに書き込まれた個別データが正常ではないと判定された場合であって、上記車両の停止時若しくは始動時に、上記通信手段を介して、上記外部制御装置に記憶された上記個別データを第2のメモリへ入力して、上記第2のメモリ内の個別データを復元するデータ復元制御手段と、
前記チェック手段によって前記第2のメモリに書き込まれた個別データが正常ではないと判定された場合であって、上記車両の停止時若しくは始動時ではない時に、予め定められたデータに基づいてバックアップ制御を行うバックアップ制御手段と、
を具備したことを特徴とする車両用電子制御装置。 - 車両に搭載され、電気的にデータの書き込み不能に構成され、制御プログラムを含む共通仕様データを記憶した第1のメモリと、
車両に搭載され、電源オフ時にもデータを保持し、かつデータを書き換え可能に構成され、当該車両の個別データを記憶した第2のメモリと、
車両に搭載され、この第2のメモリとシリアルにデータを通信する通信手段を介して接続され、上記第2のメモリに記憶させた上記個別データと同じ個別データを記憶した制御装置と、
電源投入時、前記制御装置内に記憶された個別データを前記第2のメモリに書き込む書込み制御手段と、
前記書込み制御手段によって前記第2のメモリへの書込み動作が実行されると、前記第2のメモリに書き込まれた個別データが正常か否かをチェックするチェック手段と、
前記チェック手段によって前記第2のメモリに書き込まれた個別データが正常ではないと判定された場合に、インクリメントされるカウンタとを備え、
前記書込み制御手段は、前記チェック手段によって前記第2のメモリに書き込まれた個別データが正常ではないと判定された場合であって、前記カウンタのカウント値が所定値以下のとき、前記書込み制御手段によって前記第2のメモリへの個別データの書込みを再度行うものであって、
また、前記カウント値が前記所定値を超えると、予め定められたデータに基づいてバックアップ制御を行うバックアップ制御手段と、
を具備したことを特徴とする車両用電子制御装置。
Priority Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP26986894A JP3750692B2 (ja) | 1994-11-02 | 1994-11-02 | 車両用電子制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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| JP26986894A JP3750692B2 (ja) | 1994-11-02 | 1994-11-02 | 車両用電子制御装置 |
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| JPH08128355A JPH08128355A (ja) | 1996-05-21 |
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