JP3750808B2 - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタに関し、特にエアポンプで発生させた加圧エアをインクカートリッジの空気室に供給した状態でメンテンナス処理を実行するようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、多数のインクジェットノズルを複数列形成した印字ヘッドにより、インカートリッジから供給されるインクを微小量ずつ噴出させて、用紙上にカラーの印字を行うようにした種々のインクジェットプリンタが実用化されている。この場合、プリンタ側に、ヘッドキャップやクリーニング用のブレード等を有するメンテナンス機構、吸引ポンプ等が設けられている。そして、インクジェットノズル内の気泡除去やノズルの目詰まりが発生して、吸引パージを行う場合、ノズルにヘッドキャップを装着し、作動させた吸引ポンプからの負圧でもって複数のノズルを吸引するようにし、これら混入した気泡やノズルの目詰まりを解消するようにしている。
【0003】
ところで、加圧パージを行う場合、各インクカートリッジには、インク収容室と、このインク収容室のインクに空気圧を作用させる空気室が設けられているので、印字に際して、或いはインクジェットノズルのメンテナンスを行うに際して、エアポンプからの加圧エアをエア供給管を介して各空気室に導き、空気室により押圧されたインク収容室のインクが複数のノズルに供給されてパージ処理するようになっている。
【0004】
例えば、特許第2703647号公報に記載のインクジェットプリンタにおいては、キャリッジに、カラー印字用のヘッドと、これに接続された複数のインクタンク及びバッファタンク等が設けられ、プリンタ側には、加圧ポンプ、廃液タンク、ヘッドキャップやクリーニング用のブレード等を有するメンテナンス機構等が設けられている。そして、加圧ポンプで発生させた加圧エアをリリーフ弁を介してインクタンクに送給することで、バッファタンク及びヘッドのインク流路内のインクを加圧するようにしてある。
【0005】
また、特開平10−138506号公報に記載のインクジェット記録装置においては、キャリッジに記録ヘッド及びサブタンクユニットが設けられ、プリンタ側には、ヘッドに供給チューブを介して接続されたインクカートリッジ、このインクカートリッジに加圧エアを供給する空気ポンプと、圧力レギュレータと、切換えバルブ等が設けられている。そして、サブタンクのインク残量が少なくなった場合、切換えバルブが切換えられて空気ポンプとインクカートリッジのインク袋とが連通するため、空気ポンプの加圧エアが圧力レギュレータと切換えバルブを介してインク袋に供給され、インク袋のインクを記録ヘッドやサブタンクに送給するようにしてある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、吸引パージを行う場合、ノズルにヘッドキャップを密着状に装着してからノズルを吸引するため、吸引パージ終了後においてもヘッドキャップ内が負圧になっているにも関わらず、密着状のヘッドキャップを取り外すので、ヘッドキャップ内の負圧が急激に解消されて大気圧となるのに伴って、吸引されていたノズル内のインクがその反動でノズル内に入り込むようになる。このとき、ノズルの回りに付着していた他のインクやエアが混入するようになり、次回の印字時に混色や色抜けが発生するという問題がある。
【0007】
一方、特許第2703647号に記載のインクジェットプリンタや特開平10−138506号に記載のインクジェット記録装置においては、リリーフ弁や圧力レギュレータを、加圧ポンプ(空気ポンプ)とインクタンク(インクカートリッジ)の間に配置し、加圧ポンプ(空気ポンプ)からインクタンク(インクカートリッジ)に供給される加圧エアのエア圧調整をリリーフ弁や圧力レギュレータで行うようにしてあるため、これら大型のリリーフ弁や圧力レギュレータを設置するスペースを必要とし、インクジェットプリンタが大型化するだけでなく、生産コストが高くなるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、パージ処理後の印字時に混色や色抜けを確実に防止できるようにすること、インクカートリッジに供給する加圧エアの圧力調整を簡単に且つ低コストにて行えるようにすること、等である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1のインクジェットプリンタは、多数のインクジェットノズルを複数列形成した印字ヘッドと、この印字ヘッドに供給するインクを収容したインクカートリッジと、そのインクカートリッジを印字ヘッドに接続するインク供給チューブを備えたインクジェットプリンタにおいて、インクカートリッジは、少なくともその一部が変形可能な壁面で形成されているインク収容室と、このインク収容室のインクに壁面を介して空気圧を作用させる空気室とを備え、各インクジェットノズルの先端部のインクの状態をその先端から膨らんだ凸形状に変化せしめるための加圧エアを発生させるエアポンプと、このエアポンプで発生させた加圧エアをインクカートリッジの空気室に導くエア供給管と、印字ヘッドのヘッド面を空間をあけて覆うキャップ手段を含むメンテナンス手段とを備え、加圧エアをインクカートリッジの空気室に供給することにより前記凸形状のインクが前記インクジェットノズルの先端から膨らんだ状態であって、且つ前記キャップ手段の前記空間内圧力が負圧でない状態で、メンテナンス手段によりキャップ手段の開放を行うものである。
【0010】
インクカートリッジの少なくとも一部に変形可能な壁面で形成されたインク収容室のインクは、インク供給チューブを介して印字ヘッドに複数列に形成された多数のインクジェットノズルの各々に供給される。ところで、メンテナンスに際してエアポンプが作動し、このエアポンプで発生した加圧エアがエア供給管を介してインクカートリッジの空気室に導入されるので、インクカートリッジ内のインク収容室が空気圧を受ける。
【0011】
その結果、インク収容室のインクがインク供給チューブを介して印字ヘッドに供給されるので、各インクジェットノズルの先端部のインクの状態が凸形状に膨らむように変化し、この状態でパージが行われる。このパージが行われるに際しては、印字ヘッドのヘッド面がキャップ手段で所定の空間をあけて覆われているが、キャップ手段内の圧力が負圧でない状態でキャップ手段の開放が行われるので、インクジェットノズルの回りに付着していた他色インクやゴミ、更にはエアが混入することがなく、次回のカラー印字における混色や色抜けを確実に防止することができる。
【0012】
ここで、前記メンテナンス手段は印字ヘッドのヘッド面を拭う拭取手段を更に備え、エアポンプは、キャップ手段の開放の所定時間前から拭取手段によるヘッド面の拭き取り完了までの間、加圧エアをインクカートリッジの空気室に供給する場合(請求項1に従属の請求項2)には、キャップ手段を開放する場合にキャップ手段内の圧力が負圧でない状態となり、しかも拭取手段によりヘッド面を拭き取る場合にも加圧状態が継続しているため、インクジェットノズルの回りに付着していた他色のインクやゴミ、更にはエアが混入することがなく、次回のカラー印字における混色や色抜けを確実に防止することができる。
【0013】
ここで、前記インクカートリッジは、複数色のインクを夫々収容した複数のインクカートリッジからなり、各インクカートリッジは、エア供給管に対して水平面において並列に接続されている場合(請求項1又は2に従属の請求項3)には、複数のインクカートリッジを水平面に並列状に配置しているため、複数のインクカートリッジの設置スペースを小型化できる。
【0014】
ここで、エア供給管のエアポンプ側の端部付近に加圧エアを排気させるオリフィスを設けた場合(請求項1〜3の何れかに従属の請求項4)には、エア供給管のエアポンプ側の端部付近に設けたオリフィスにより、エアポンプからの加圧エアが排気されて圧力調整される。
【0015】
ここで、前記インクカートリッジは、エア供給管のエアポンプ側と反対側の端部付近に加圧エアを排気させるオリフィスを設けた場合(請求項1〜3の何れかに従属の請求項5)には、エア供給管のエアポンプ側と反対側の端部付近に設けたオリフィスにより、エアポンプからの加圧エアが排気されて圧力調整される。
【0016】
ここで、前記複数のインクカートリッジは、インク粘度の高いもの程、エアポンプからオリフィスへの加圧エアの流れにおける上流側に配置した場合(請求項4に従属の請求項6)には、加圧エアの流れにおける上流側、即ち、エアポンプからの加圧エアのエア圧が大きい側にインク粘度の高いインクカートリッジを配置するため、インク粘度の高いインク程大きなエア圧を受けるようになり、インク粘度の低いインクと同様のインク噴射が可能となるため、インクジェットノズルに作用する加圧エアの圧力差を容易に解消することができる。
【0017】
ここで、前記エア供給管の内径は、エアポンプからオリフィスに向かって細く構成されている場合(請求項4に従属の請求項7)には、だんだん細くなるエア供給管によりエア供給管内のエア圧を徐々に減圧させることができ、エアポンプ側と反対側の端部付近に設けたオリフィスを小型化することができる。また、減圧度合いが大きい場合には、オリフィスを省略することもできる。
【0018】
ここで、前記印字ヘッドはインクカートリッジよりも所定高さだけ高い位置に配設されることにより、印字ヘッドの各インクジェットノズルに負圧が作用し、各インクジェットノズルの先端部に凹形状のインクのメニスカスが形成される場合(請求項1〜6の何れかに従属の請求項8)には、これら印字ヘッドとインクカートリッジの高さ位置の違いから生じる水頭差により、印字ヘッドの各インクジェットノズルには負圧が作用し、各インクジェットノズルの先端部に凹形状のインクの適正なメニスカスが形成され、印字品質を向上させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基いて説明する。
本実施の形態は、プリンタ機能と、コピー機能と、スキャナ機能と、ファクシミリ機能に加えて、電話機能等を備えた多機能装置に本発明を適用した場合のものである。
図1に示すように、多機能装置1には、後端部に給紙装置2が設けられ、その給紙装置2の前側の上側にコピー機能とファクシミリ機能のための原稿読み取り装置3が設けられ、その原稿読み取り装置3の下側全体にプリンタ機能を実現するインクジェットプリンタ4が設けられている。インクジェットプリンタ4の前側には、印字した用紙の排紙用テーブル5が設けられている。
【0020】
原稿読み取り装置3は、図示しないが、後端部において水平軸により上下揺動可能に構成され、上部カバー3aを上側に開けると、原稿を載置する載置用ガラスが設けられ、その載置用ガラスの下側に原稿読み取り用のイメージスキャナ装置が設けられている。その原稿読み取り装置3を手で上側に開けて、インクジェットプリンタ4のインクカートリッジ40〜43を交換したり、印字機構部10のメンテナンスを行えるようになっている。即ち、図2に示すように、給紙装置2の前側に、インクジェットプリンタ4が設けられている。
【0021】
次に、インクジェットプリンタ4について、図2〜図5に基づいて説明する。 このインクジェットプリンタ4は、給紙装置2から供給された用紙(例えば、A4版の用紙)に印字ヘッド23Pによるインク噴射により印字する印字機構部10と、印字ヘッド23Pのメンテナンス処理を行うメンテナンス機構部11と、印字機構部10にインクカートリッジ40〜43からのインクを供給するインク供給部12と、これらインクカートリッジ40〜43に加圧エアを供給するエア供給部13等からなっている。先ず、印字機構部10について説明する。
【0022】
印字機構部10は、図2,図4に示すように、上部を略楕円状に解放した箱状の印字ユニットフレーム20内にコンパクトに収容されている。印字ユニットフレーム20内に左右方向向きに配設された後側のガイド軸21と前側のガイドレール22の左右両端部が右側壁20aと左側壁20bとに夫々固定され、キャリッジ23がこれらガイド軸21とガイドレール22とで支持され、前方向きに配設されたキャリッジ駆動モータ24により図示外のワイヤを介して、ガイド軸21及びガイドレール22に沿って左右方向に往復移動可能になっている。ところで、このキャリッジ23自体が印字ヘッド23Pを兼ねた構成になっている。
【0023】
即ち、その印字ヘッド23Pの下面には、図2,図4に示すように、多数のインクジェットノズル(以下、単にノズルという)23a〜23dが、4色のインク色に合わせて、前後方向に4列状に形成されている。但し、左側から、ブラック用の1列状のノズル列23aとシアン用の1列状のノズル列23bとが接近して形成され、マゼンタ用の1列状のノズル列23cとイエロー用の1列状のノズル列23dとが接近して形成されている。そして、各ノズル23a〜23dには圧電素子(図示略)が設けられているため、その圧電素子に通電されたノズル23a〜23dから微小量のインクが用紙に向けて噴出される。
【0024】
ガイド軸21の下側にメインの搬送ローラ(所謂、レジストローラ)25が配設され、右側壁20aと左側壁20bとに夫々回転可能に枢支され、左側壁20bに設けた用紙送りモータ26によりギヤ機構27を介して所定回転方向に回転され、給紙装置2から給紙された用紙を、印字ヘッド23Pの直ぐ下側を略水平状に移動させながら前方の給紙方向に搬送し、排紙テーブル5に排紙する。
次に、メンテナンス機構部11について説明するが、これは一般的なものと同様であるため、簡単に説明するものとする。
【0025】
図4に示すように、印字ユニットフレーム20内の右端部に設けられたメンテナンスケース30内に、薄板状のワイパーブレード31(これが拭取手段に相当する)が上下向きに配設されるとともに、その右側に1対のゴム製のヘッドキャップ32(これがキャップ手段に相当する)が上向きに配設されている。この場合、メンテナンスケース30の後側に取付けられたメンテナンスモータ33の正回転により図示外のブレード昇降機構を介してワイパーブレード31が上下動し、メンテナンスモータ33の逆回転により図示外のキャップ昇降機構を介してヘッドキャップ32が上下動するように構成されている。
【0026】
次に、インク供給部12について説明する。
インク供給部12の前側には、左側からブラックのインクカートリッジ40と、シアンのインクカートリッジ41と、マゼンタのインクカートリッジ42と、イエローのインクカートリッジ43とが順次水平面において並列状に配設されている。それ故、インクカートリッジ40〜43の設置スペースが小型化されている。図3に示すように、イエローインクカートリッジ43のカートリッジケース内にはその略全域に可撓性を有する膜材43a(これが変形可能な壁面に相当する)が張られ、この膜材43aにより下側のインク収容室43bと上側の空気室43cとに区分けされている。
【0027】
インク収容室43bにはイエローインクYIが収容され、空気室43cには大気が連通している。他の3つのインクカートリッジ40〜42についても同様に構成され、可撓性の膜材40a〜42aにより下側のインク収容室40b〜42bと、上側の空気室40c〜42cとに夫々区分けされ、ブラックインクカートリッジ40のインク収容室40bにはブラックインクBIが収容され、シアンインクカートリッジ41のインク収容室41bにはシアンインクCIが収容され、更にマゼンタインクカートリッジ42のインク収容室42bにはマゼンタインクMIが収容されている。
【0028】
これらインクカートリッジ40〜43の装着部の奥側には、図2,図3,図5に示すように、前方向きのインク針44が前方に突出させて夫々設けられている。各インク針44の基端部は、専用のインク供給チューブ45〜48を介して印字ヘッド23Pに接続されている。この場合、ブラックとシアンのインク供給チューブ45,46はその途中部から上下に重なるように束ねられ、マゼンタとイエローのインク供給チューブ47,48もその途中部から上下に重なるように束ねられている。
【0029】
ここで、図3に示すように、印字ヘッド23Pは、インクカートリッジ40〜43よりも水頭差Hだけ高い位置に配設されている。即ち、インク針44と印字ヘッド23Pの各ノズル23a〜23dとの高さの差が水頭差Hに相当する。そして、インクカートリッジ40〜43を夫々所定の装着位置に装着した場合、インク針44の先端部が膜材40a〜43a後端部を挿通してインク収容室40b〜43bに到達し、インク収容室40b〜43bのインクBI,CI,MI,YIが夫々専用のインク供給チューブ45〜48を経て印字ヘッド23Pに供給される。
【0030】
それ故、印字ヘッド23Pの各ノズル23a〜23dには、供給されたインクBI,CI,MI,YIが充填されるとともに、図7(a)に示すように、水頭差Hに応じて負圧が生じ、各ノズル23a〜23dの先端部に、内側に凹形状に湾曲する印字に適切なメニスカスが形成されている。但し、図7にはブラック用のノズル23aと隣接するシアン用のノズル23bを図示してある。
【0031】
次に、エア供給部13について説明する。
図2,図5に示すように、ブラックインクカートリッジ40の装置部の左側には、ポンプモータ50が下向きに設けられ、このポンプモータ50の下側に、底壁付きの円筒状ギヤ51が枢支軸52により回転可能に枢支されている。この円筒状ギヤ51には、円筒部の内側にギヤが形成されている。そして、このポンプモータ50の駆動軸に固着された駆動ギヤ53が円筒状ギヤ51のギヤに内側から噛合している。この円筒状ギヤ51の上端にはその外周よりも外側に広がるとともに、その一部にスリットがある板状の鍔部51aが一体的に形成されるとともに、円筒状ギヤ51の下側には円柱状の偏心カム51bが一体的に形成されている。
【0032】
円筒状ギヤ51の偏心カム51bにはコンロッド54の左端部が摺動自在に外嵌され、そのコンロッド54の右端部は、エアポンプ55の内部に設けられたダイヤフラム56に連結されている。このエアポンプ55には、図示しないが、排気弁と吸気弁とが設けられるとともに、可撓性を有するエア供給管57の左端部が連結されている。このエア供給管57にはT字状の4つの分岐部材58が略所定間隔おきに取付けられ、各分岐部材58の分岐端部には、図6に示すように、コイルバネ59で弾性付勢された圧着パッド60が夫々取付けられている。
【0033】
エア供給管57のエアポンプ55側の端部付近に、分岐部材58を介してオリフィス61が固着されている。ここで、エア供給管57の内径は約1mmである。そして、オリフィス61は、エア供給管57の内径よりも小さい内径 (例えば、約0.5mm)の通路を有するものであり、その通路を介して常に大気に連通している。それ故、インクカートリッジ40〜43を夫々所定の装着位置に装着した場合、エアポンプ55からの加圧エアは、エア供給管57と弾性付勢された圧着パッド60を介して、インクカートリッジ40〜43の各空気室40c〜43cに供給されるようになっている。
【0034】
即ち、エアポンプ55が作動していない場合には、各空気室40c〜43cには、エア供給管57及びオリフィス61を介して大気圧が作用するようになっている。ところで、メンテナンス処理に際して、ポンプモータ50が駆動された場合、駆動ギヤ53と円筒状ギヤ51及び偏心カム51bを介してダイヤフラム56が左右に往復運動するので、エアポンプ55が作動し、約100 mmAqに加圧された加圧エアが発生し、各空気室40c〜43cに作用する。この加圧エアは、水頭差H分の負圧を上回る圧力である。
【0035】
このとき、オリフィス61はエアポンプ55で発生した加圧エアを排気して圧力調整を行う。但し、この圧力調整された加圧エアが各空気室40c〜43cに均等な空気圧として作用する。ここで、円筒状ギヤ51の上端には外側に広がるとともに、その一部にスリットがある板状の鍔部51aが一体的に形成されている。この鍔部51aを検出するフォトインタラプタからなるエンコーダ62が設けられ、ポンプモータ50が4回転する毎にエアポンプ55が1往復動作し、エアポンプ55が1往復動作する毎にエンコーダ62から1つの検出パルス信号が出力される。
【0036】
次に、このように構成されたインクジェットプリンタ4の作用及び効果について説明する。4つのインクカートリッジ40〜43が図2に示す所定の位置に夫々装着された場合、前述したように、インク針44の先端部が膜材40a〜43aの後端部を挿通してインク収容室40b〜43bに到達し、インク収容室40b〜43bのインクBI,CI,MI,YIが専用のインク供給チューブ45〜48を経て印字ヘッド23Pに供給され、印字ヘッド23Pの各ノズル23a〜23dに充填される。
【0037】
この場合、図7(a)に示すように、水頭差Hに応じて発生する負圧により、各ノズル23a〜23dの先端部には、ノズル内側に凹形状に湾曲する印字に適切なメニスカスが夫々形成されている。但し、図7においては、ブラックノズル23aとシアンノズル23bだけを図示し、図7(b)と図7(c)には、ノズル23a,23bの近傍の印字ヘッド23Pの表面には、多色のインクやゴミ等が付着している。
【0038】
そして、印字開始に際してパージ処理を行う場合には、印字ヘッド23Pを図2に示すメンテンナス位置に移動させた後、図7(b)に示すように、メンテナンスモータ33を逆回転させてヘッドキャップ32を作用位置まで上昇させて印字ヘッド23Pに密着状に且つ所定の空間をあけてキャップする。次にこの状態でポンプモータ50を駆動する。
【0039】
その結果、前述したようにエアポンプ55が作動し、このエアポンプ55から約100 mmAqに加圧された加圧エアのエア圧pがエア供給管57を介して各インクカートリッジ43〜43の空気室40c〜43cに作用する。その後、所定時間(例えば、約5秒間)が経過したときには、その加圧エアのエア圧pにより何れのインク収容室40b〜43bも十分に押圧され、各ノズル23a〜23d内のインクBI,CI,MI,YIがノズル23a〜23dの先端から凸形状に形成される状態、つまり加圧パージ処理の完了状態となる。
【0040】
このとき、前述したように、エアポンプ55で発生した加圧エアはオリフィス61により排気されて圧力調整される。このようにして加圧パージ処理が完了するとともに、ヘッドキャップ32内の前記所定の空間内の圧力が負圧でない状態となっている。そして、図7(c)に示すように、所定時間が経過したときにメンテナンスモータ33を正回転させて、密着状のヘッドキャップ32を印字ヘッド23Pから外すとともに、ワイパーブレード31を作用位置まで上昇させる。
【0041】
このとき、ヘッドキャップ32内においては、前述したように、加圧エアのエア圧pがインクBI,CI,MI,YIを介して各ノズル23a〜23dの先端からインクが凸形状に膨らんだ状態、つまり加圧状態であって、負圧でないため、ノズル23a〜23dの回りに付着していた他色のインクBI,CI,MI,YIやゴミ、更にはエアが各ノズル23a〜23dに混入することがない。
【0042】
更に、この状態で、図7(d)に示すように、印字ヘッド23Pを左方へ移動させて、ワイパーブレード31により、印字ヘッド23Pの印字面の拭き取りが行われる。そして、最終的に、メンテナンスモータ33を駆動させてワイパーブレード31を元の待機位置に下降するのと同時にポンプモータ50の駆動が停止される。このワイパーブレード31による拭き取りに際しても、加圧エアのエア圧pが作用した状態なので、拭き取ったインクBI,CI,MI,YIやゴミ、更にはエアが何れのノズル23a〜23d内に入り込むこともない。
【0043】
また、エアポンプ55の作動停止により各ノズル23a〜23dに作用していたエア圧pが解消された場合、図7(e)に示すように、各ノズル23a〜23dには、前述した水頭差Hによる負圧により、ノズル先端部には凹形状に湾曲する印字に適切なメニスカスが夫々形成されている。そして、このようにメンテナンス処理が終了してから、印字データに基づく印字処理が実行され、給紙装置2から給紙された用紙にカラー画像が綺麗に印字される。ここで、メンテナンス機構部11がメンテナンス手段に相当する。
【0044】
このように、メンテナンス処理に際して、エアポンプ55で発生した加圧エアのエア圧pを各ノズル23a〜23dに作用した状態で、ヘッドキャップ32を用いた加圧パージ処理及びワイパーブレード31による拭き取り処理を行うので、加圧パージ処理後の印字時に混色や色抜けを確実に防止することができる。更に、エアポンプ55で発生した加圧エアをオリフィス61で排気してエア圧調整を行うので、インクカートリッジ40〜43に供給する加圧エアのエア圧調整を、簡単に且つ低コストにて行うことができる。
【0045】
次に、前記実施形態の変更形態について説明する。但し、変更以外の部品については同符号を付す。
1〕前記インクカートリッジ40〜43内にインク収容室と空気室とを区分けして設ける可撓性を有する膜材に代えて、空気室に作用したエア圧をインク収容室のインクに付与できるような変形可能な壁面として構成できるものであれば、どのような膜材又は壁材を用いてもよい。
【0046】
2〕図8に示すように、オリフィス61Aをエア供給管57のエアポンプ55と反対側の端部に設けるようにしてもよい。この場合にも、エアポンプ55からの加圧エアが排気されて圧力調整され、この圧力調整された加圧エアが各空気室40c〜43cに作用する。
【0047】
但し、この場合には、インクカートリッジ40〜43の各空気室40c〜43cに作用するエア圧は、エアポンプ55に近い程大きく、エアポンプ55から遠ざかるにつれて、若干ずつではあるが小さくなる。そのため、インク粘度として、ブラックインクBI>シアンインクCI>マゼンタインクMI>イエローインクYIに設定する。そして、加圧エアの流れにおける上流側、即ち、エアポンプ55からの加圧エアのエア圧pが大きい左側にインク粘度の高いブラックインクカートリッジ40を装着する。
【0048】
そして、その次にインク粘度の高いシアンインクカートリッジ41を装着し、その次にインク粘度の高いマゼンタインクカートリッジ42を装着し、右端には、一番インク粘度の低いイエローインクカートリッジ32を装着する。そのため、ブラックインクBIがブラック用ノズル23aに作用する圧力と、その他のインク粘度の低いシアンインクCI、マゼンタインクMI及びイエローインクYIがこれ専用のノズル23b〜23dに作用する圧力とが略同様となるため、加圧エアの圧力差を解消することができる。
【0049】
3〕エア供給管57の内径を、エアポンプ55からオリフィス61Aに向かってだんだん細くなるように構成してもよい。この場合、徐々に細くなるエア供給管57によりエア供給管57内の圧力を徐々に減圧させることができ、エアポンプ55側と反対側の端部付近に設けたオリフィス61Aを小型化することができる。また、減圧度合いが大きい場合には、オリフィス61Aを省略することもできる。
4〕エアポンプ55はダイヤフラムを用いたものに限るものではなく、各種の小型エアポンプであってもよい。
【0050】
5〕各インクカートリッジ40〜43のインク収容室40b〜42bに作用する負圧を、印字ヘッド23Pとインクカートリッジ40〜43の異なる高さから生じる水頭差Hで作用させるのではなく、インク収容室40b〜42bを何らかの部材で強制的に膨らませる等して、種々の負圧発生手段により実現させるようにしてもよい。
5〕本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を付加し、種々のインクジェットプリンタに本発明を適用することが可能である。
【0051】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、印字ヘッドとインクカートリッジとインク供給チューブとを備え、インクカートリッジは、少なくともその一部が閉経可能な壁面で形成されているインク収容室と、このインク収容室のインクに壁面を介して空気圧を作用させる空気室とを備え、各インクジェットノズルの先端部のインクの状態をその先端から膨らんだ凸形状に変化せしめるための加圧エアを発生させるエアポンプと、このエアポンプで発生させた加圧エアをインクカートリッジの空気室に導くエア供給管と、印字ヘッドのヘッド面を空間をあけて覆うキャップ手段を含むメンテナンス手段とを備え、加圧エアをインクカートリッジの空気室に供給することにより前記凸形状のインクが前記インクジェットノズルの先端から膨らんだ状態であって、且つ前記キャップ手段の前記空間内圧力が負圧でない状態で、メンテナンス手段によりキャップ手段の開放を行うので、インクカートリッジの少なくとも一部に変形可能な壁面で形成されたインク収容室のインクはインク供給チューブを介して印字ヘッドの各インクジェットノズルに供給される。
【0052】
そして、メンテナンスに際して、エアポンプで発生した加圧エアがエア供給管を介してインクカートリッジの空気室に導入されて、インクカートリッジ内のインク収容室が空気圧を受けるため、インク収容室のインクがインク供給チューブを介して印字ヘッドに供給され、各インクジェットノズルの先端部のインクの状態が凸形状に膨らむように変化し、この状態でパージを行うことができる。但し、このパージの後キャップ手段の空間内のエア圧は負圧でない状態でキャップ手段の開放が行われるので、各インクジェットノズルの回りに付着していた他色インクやゴミ、更にはエアが混入することがなく、次回のカラー印字における混色や色抜けを確実に防止することができる。
【0053】
請求項2の発明によれば、前記メンテナンス手段は印字ヘッドのヘッド面を拭う拭取手段を更に備え、エアポンプは、キャップ手段の開放の所定時間前から拭取手段によるヘッド面の拭き取り完了までの間、加圧エアをインクカートリッジの空気室に供給するので、キャップ手段を開放する場合にキャップ手段内の圧力が負圧でない状態となり、しかも拭取手段によりヘッド面を拭き取る場合にも加圧状態が継続しているため、インクジェットノズルの回りに付着していた他色のインクやゴミ、更にはエアが混入することがなく、次回のカラー印字における混色や色抜けを確実に防止することができる。その他、請求項1と同様の効果を奏する。
【0054】
請求項3の発明によれば、前記インクカートリッジは、複数色のインクを夫々収容した複数のインクカートリッジからなり、各インクカートリッジは、エア供給管に対して水平面において並列に接続されているので、複数のインクカートリッジを水平面に並列状に配置しているため、複数のインクカートリッジの設置スペースを小型化できる。その他、請求項1又は2と同様の効果を奏する。
【0055】
請求項4の発明によれば、エア供給管のエアポンプ側の端部付近に加圧エアを排気させるオリフィスを設けたので、エア供給管のエアポンプ側の端部付近に設けたオリフィスにより、エアポンプからの加圧エアが排気されて圧力調整される。その他、請求項1〜3の何れかと同様の効果を奏する。
【0056】
請求項5の発明によれば、エア供給管のエアポンプ側と反対側の端部付近から加圧エアを排気させるオリフィスを設けたので、エア供給管のエアポンプ側と反対側の端部付近に設けたオリフィスにより、エアポンプからの加圧エアが排気されて圧力調整される。その他、請求項1〜3の何れかと同様の効果を奏する。
【0057】
請求項6の発明によれば、前記複数のインクカートリッジは、インク粘度の高いもの程、エアポンプからオリフィスへの加圧エアの流れにおける上流側に配置したので、加圧エアの流れにおける上流側、即ち、エアポンプからの加圧エアのエア圧が大きい側にインク粘度の高いインクカートリッジを配置するため、インク粘度の高いインク程大きいエア圧を受けるようになり、インク粘度の低いインクと同様のインク噴射が可能となるため、インクジェットノズルに作用する加圧エアの圧力差を容易に解消することができる。その他、請求項4と同様の効果を奏する。
【0058】
請求項7の発明によれば、前記エア供給管の内径は、前記エアポンプからオリフィスに向かって細く構成されているので、だんだん細くなるエア供給管によりエア供給管内のエア圧を徐々に減圧させることができ、エアポンプ側と反対側の端部付近に設けたオリフィスを小型化することができる。また、減圧度合いが大きい場合には、オリフィスを省略することもできる。その他、請求項4と同様の効果を奏する。
【0059】
請求項8の発明によれば、前記印字ヘッドがインクカートリッジよりも所定高さだけ高い位置に配設されて印字ヘッドの各インクジェットノズルに負圧が付与されることにより、各インクジェットノズルの先端部に凹形状のインクのメニスカスが形成されるので、これら印字ヘッドとインクカートリッジの高さ位置の違いから生じる水頭差により、印字ヘッドの各インクジェットノズルには負圧が作用し、各インクジェットノズルの先端部に凹形状のインクの適正なメニスカスが形成され、印字品質を向上させることができる。その他、請求項1〜6の何れかと同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る多機能装置の斜視図である。
【図2】インクジェットプリンタの内部機構を示す平面図である。
【図3】印字機構部の側面図と図2のC−C線縦断側面図である。
【図4】印字機構部の平面図である。
【図5】図2のE−E線縦断正面図である。
【図6】インク供給部とエア供給部を説明する説明図である。
【図7】インクジェットノズルに加圧エアを供給してメンテナンス処理を行う説明図であり、(a)は印字可能状態を示す説明図であり、(b)は加圧状態でヘッドキャップを作動させた加圧パージの説明図であり、(c)は加圧状態にてブレードによる拭き取り開始状態の説明図であり、(d)はブレードによる拭き取り完了状態の説明図であり、(e)はメンテナンス完了状態の説明図である。
【図8】変更形態に係る図6相当図である。
【符号の説明】
1 多機能装置
4 インクジェットプリンタ
11 メンテナンス機構部
23a〜23d インクジェットノズル
23P 印字ヘッド
31 ワイパーブレード
32 ヘッドキャップ
40 ブラックインクカートリッジ
41 シアンインクカートリッジ
42 マゼンタインクカートリッジ
43 イエローインクカートリッジ
45〜48 インク供給チューブ
40b〜43b インク収容室
40c〜43c 空気室
55 エアポンプ
57 エア供給管
61,61A オリフィス
p 加圧エアのエア圧
Claims (8)
- 多数のインクジェットノズルを複数列形成した印字ヘッドと、この印字ヘッドに供給するインクを収容したインクカートリッジと、そのインクカートリッジを印字ヘッドに接続するインク供給チューブを備えたインクジェットプリンタにおいて、
前記インクカートリッジは、少なくともその一部が変形可能な壁面で形成されているインク収容室と、このインク収容室のインクに前記壁面を介して空気圧を作用させる空気室とを備え、
各インクジェットノズルの先端部のインクの状態をその先端から膨らんだ凸形状に変化せしめるための加圧エアを発生させるエアポンプと、
このエアポンプで発生させた加圧エアをインクカートリッジの空気室に導くエア供給管と、
前記印字ヘッドのヘッド面を空間をあけて覆うキャップ手段を含むメンテナンス手段と、を備え、
前記加圧エアをインクカートリッジの空気室に供給することにより前記凸形状のインクが前記インクジェットノズルの先端から膨らんだ状態であって、且つ前記キャップ手段の前記空間内圧力が負圧でない状態で、前記メンテナンス手段によりキャップ手段の開放を行うことを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 前記メンテナンス手段は前記印字ヘッドのヘッド面を拭う拭取手段を更に備え、前記エアポンプは、前記キャップ手段の開放の所定時間前から前記拭取手段によるヘッド面の拭き取り完了までの間、前記加圧エアをインクカートリッジの空気室に供給することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記インクカートリッジは、複数色のインクを夫々収容した複数のインクカートリッジからなり、各インクカートリッジは、前記エア供給管に対して水平面において並列に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記エア供給管のエアポンプ側の端部付近に加圧エアを排気させるオリフィスを設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のインクジェットプリンタ。
- 前記エア供給管のエアポンプ側と反対側の端部付近に加圧エアを排気させるオリフィスを設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のインクジェットプリンタ。
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 前記複数のインクカートリッジは、インク粘度の高いもの程、前記エアポンプから前記オリフィスへの加圧エアの流れにおける上流側に配置したことを特徴とする請求項4に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記エア供給管の内径は、前記エアポンプから前記オリフィスに向かって細く構成されていることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記印字ヘッドは前記インクカートリッジよりも所定高さだけ高い位置に配設されることにより、前記印字ヘッドの各インクジェットノズルに負圧が作用し、各インクジェットノズルの先端部に凹形状のインクのメニスカスが形成されることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のインクジェットプリンタ。
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