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JP3751630B2 - 化粧料及びその製造方法 - Google Patents
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この発明は、カラマツの抽出物からなる化粧料及びその製造方法に関する。
植物由来の保湿成分としては、例えば豆類、米ぬかから得られる油脂類、セラミド等を含む抽出物や納豆などから得られるポリグルタミン酸がある。
また、アラビノガラクタンを保水性成分とする化粧料(LaraCare:商品名)が、Larex社(米国)により製造販売されている。この化粧料は、アメリカカラマツ(North American Larch trees)から抽出されたアラビノガラクタンを活性成分としている(http://www.larex.com/htm/laracare.html参照。)。
さらに、アクリルターポリマーに加えて、多糖成分として、リグニンとアラビノガラクタンとを含み得る化粧料組成物が知られている(特許文献1参照。)。
特開2000−7539号公報
植物を原料として化粧料を製造する場合には、製造コストの低減が、極めて重要な課題となっている。上述した、従来の製造方法では、植物から抽出された物質、例えば、カテキン、タキシホリンなどのフラボノイド類を原料から単離し、これを塩基物質で重合させる手法をとっている。このような製造方法によれば、フラボノイド類の抽出、単離、精製及びフラボノイド類の重合工程、さらにはその間の秤量、乾燥工程など非常に多くの製造工程を経る必要がある。このため、製造プロセスは極めて複雑となってしまう。従って、製造コストが高騰してしまい、化学合成品などと比較して性能的には同等であったとしても価格面で競合することが困難となっていた。
また、最終製品としての化粧品に複数の機能性を持たせたい場合は、上述の特許文献1のように、目的の機能を有する複数種類の機能性物質を化粧料に含有させる必要がある。
そして、従来、複数の活性成分を多量に含む化粧料を得ることは困難であった。従って、所定の濃度で複数の活性成分を化粧料に含有させるにはコストが高くなってしまう。結果として、化粧品自体の価格も高くなってしまう。
従って、この発明の目的は、優れた保湿性と抗酸化性とを併せ持ち、色調に優れた化粧料を提供することにある。また、この発明の目的は、有用な複数の機能を有する化粧料を、安価に提供することにある。さらに、この発明の目的は、極めて簡易なプロセスにより、目的とする複数の活性成分を同時にかつ多量に抽出でき、製造コストの顕著な低減を可能とする化粧料の製造方法を提供することにある。
上述した課題を解決するに当たり、本願発明者らは、資源量の豊富なカラマツ属(Larix)に着目して、鋭意研究を行った。そしてその結果、カラマツから特定の条件で抽出及び処理された抽出物が、化粧料として、極めて優れた特性を有することを見い出し、この発明を完成するに至った。
すなわち、この発明の化粧料は、水溶性リグニン、アラビノガラクタン、及び重合したタキシホリンを含有している。この発明の化粧料は、この発明の目的を損なわない範囲で、他のさらなる成分を含有していてもよい。
また、この発明の化粧料は、カラマツの粉砕物を、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液の濃度が0.025mol/l以上0.25mol/l以下である塩基性水溶液により処理し、粉砕物をろ別して得られた抽出溶液を、0℃から50℃の環境下で、24〜168時間静置して抽出されたタキシホリンの自己重合を促進し、静置しておいた抽出溶液を乾燥することにより得ることができる、水溶性リグニン、アラビノガラクタン、及び重合したタキシホリンを含有する固形状の化粧料である。
この発明の化粧料は、カラマツの粉砕物を原料としている。カラマツの粉砕物としては、木部の粉砕物、又は木部の粉砕物及び樹皮の粉砕物の混合物とするのがよい。
上述したこの発明の化粧料は、水溶性リグニンを30重量%〜60重量%、アラビノガラクタンを30重量%〜60重量%、及びタキシホリン重合体を10重量%〜20重量%の範囲で含有するのが好適である。
この発明の化粧料は、0.1重量%濃度の水溶液において、波長500nmでの吸光度が0.500以上(補正後:後述する。)で定義される色調を有するのがよい。このとき、同条件における波長475nmでの吸光度は、好ましくは、0.500以上(補正後:後述する。)であるのがよい。
また、上述したこの発明の化粧料を化粧品に含有させるに際しては、その含有量を0.01重量%〜1.0重量%とするのがよい。
また、この発明の化粧料の製造方法は、主として、下記のような工程を含んでいる。
すなわち、カラマツの粉砕物を、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液の濃度が0.025mol/l以上0.25mol/l以下である塩基性水溶液により処理し、粉砕物をろ別して抽出溶液を得る。次いで、この抽出溶液を、0℃から50℃の環境下で、24〜168時間静置して抽出されたタキシホリンの自己重合を促進する。静置しておいた抽出溶液を、乾燥することにより、水溶性リグニン、アラビノガラクタン、及び重合したタキシホリンを含有する固形状の化粧料を得る。
また、この発明の化粧料の製造方法は、カラマツの粉砕物を、塩基性水溶液により処理して、抽出溶液を得る工程と、抽出溶液を、45℃から85℃の環境下で、抽出溶液の活性成分の濃度が最低でも5倍に濃縮されるまでの時間、静置する工程と、静置しておいた抽出溶液を、乾燥することにより、固形状の化粧料を得る工程とを含む。
なお、ここでいう45℃から85℃の環境下とは、例えば、恒温槽、恒温室といった加温手段で加温される環境をいう。
この静置する工程は、抽出溶液を、好ましくは、55℃から70℃の環境下で、抽出溶液の活性成分の濃度が最低でも5倍に濃縮されるまでの時間、静置する工程とするのがよい。
静置する工程は、さらに好ましくは、55℃の減圧環境下で5時間、或いは70℃の減圧環境下で3時間、静置する工程とするのがよい。
このように、加温しつつ静置すれば、抽出溶液は濃縮され、活性成分であるタキシホリンの重合が促進される。
上述した化粧料の製造方法において、カラマツの粉砕物は、木部の粉砕物、又は木部の粉砕物及び樹皮の粉砕物の混合物とするのがよい。
上述した構成とすれば、優れた保湿性と抗酸化性とを併せ持ち、色調に優れた化粧料を提供することができる。
また、上述したような製造工程及び条件とすれば、簡易な工程で、大量の活性成分を含有する化粧料を製造することができる。
また、天然に豊富に存在し、かつ有効利用が図られていない樹木であるカラマツを原料として使用すれば、資源の有効利用を図ることができる。
以下、この発明の実施の形態につき説明する。以下の説明において、特定の材料、条件及び数値条件等を用いることがあるが、これらは好適例の1つに過ぎず、従って、この発明は、何らこれら好適例に限定されるものではない。
この発明の化粧料において、抗菌活性及び抗酸化活性を担う活性成分は水溶性リグニンである。
リグニンとは、木材の主要成分の1つで、セルロースと強固に結合している。すなわち、リグニンは、木材骨格の主要部分を成す物質である。リグニンを木材骨格から除去(抽出)するためには、例えば、パルプを製造する工程で用いられているように、非常に強い塩基性の水溶液に浸漬させる必要がある。
しかしながら、分子量が500〜50000程度と、比較的小さいリグニンは、例えば、0.25mol/l以下の低濃度の塩基性溶液、例えば水酸化ナトリウム水溶液等で容易に抽出することができる。このように抽出されるリグニン又はその配糖体及びこれらの混合物を水溶性リグニンまたは低分子リグニンと称する。
また、この発明の化粧料において、保湿性を担う活性成分は、重合したフラボノイド類、具体的には、例えば、重合したタキシホリン、及びアラビノガラクタンである。
タキシホリンは、植物ポリフェノールの1種であり、分子量304.3のフラバノノール化合物である。タキシホリンは、カラマツの、特に木部部分に豊富に含まれている。このタキシホリンは、水酸化ナトリウム水溶液等でアルカリ処理することにより、酸化的に自己重合する。すなわち、この明細書でいう「重合したタキシホリン」とは、タキシホリン分子が酸化的に自己重合した重合体をいう。
アラビノガラクタンとは、ガラクト−スを主構成成分とするアラビノ−スを含む多糖をいう。
この発明の化粧料の原料に適用可能な樹種としては、この発明の目的を損なわない範囲で広葉樹、針葉樹を問わずあらゆる樹木が適用可能である。好ましくは、上述した活性成分を多く含み、かつ資源量も豊富なカラマツを選択するのがよい。
抽出処理に際しては、カラマツの木質(心材)部分の粉砕物を用いることができる。木質部分或いは樹皮部分の粉砕物の混合物を用いてもよい。また、原料として、製材等の木材加工によって生じるおがくず等を利用することもできる。
粉砕された原料、すなわち粉砕物の大きさは抽出効率、取り扱いの容易さなどの面から考慮すると1cmφ(粒径)以下の大きさが好ましい。続いて、容器に粉砕物を入れる。後述するが、抽出に使用される塩基性水溶液は、比較的低濃度である。従って、容器の材質は特に問わない。容器の容量は、所望の実施規模に応じた任意好適な容量のものを適宜選択すればよい。
粉砕物は、アンモニア水、又は水酸化ナトリウム水溶液により常温(0℃〜50℃)の大気雰囲気下、好ましくは10℃〜30℃の雰囲気下で浸漬する。このとき、塩基性物質の水溶液としては、水酸化カリウム(KOH)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)等の水溶液を適用してもよい。
また、抽出効率や塩基性水溶液の量などを考慮したコスト、取り扱い等の面から考えると、この発明の化粧料の製造方法における抽出工程においては、0.025〜0.25mol/l、好ましくは0.05〜0.2mol/lの濃度での塩基性物質の水溶液、特に好ましくは水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液を抽出用の塩基性物質の水溶液として用いるのが好適である。
この抽出工程における浸漬に必要な塩基性物質の水溶液の液量は、粉砕物の重量に対して100〜1500重量%の間で適当な量とすればよい。このとき、粉砕物の全てが塩基性の溶液に浸るようにすればよい。
この浸漬、すなわち抽出工程は、上述の温度で、大気雰囲気下で行うのがよい。浸漬時間は、30分間から24時間の範囲で行うのがよい。浸漬時間は、抽出効率を考慮すると、好ましくは、1時間とするのがよい。
この抽出工程に際しては、例えば、スクリュープレス機などのような装置を利用して、粉砕物の体積を圧縮して行ってもよい。このようにすれば、抽出に必要な塩基性物質の水溶液の量を極力低減できる。すなわち、塩基性物質の水溶液の使用量を減らすことができる。このようにすれば、後の工程における乾燥工程のコストを低減することできる。
抽出工程後に、好ましくは、例えば濾紙(5C)又は中空子膜(孔径0.45μm)を用いて抽出液をろ別する。
得られた抽出液は、保湿性及び色調を改善する目的で、好ましくは、抽出後すぐには乾燥せずに液体のまま静置する。静置時間は、静置する温度にもよるが、好ましくは、常温(0℃〜50℃)の環境下で1昼夜〜数日間程度、好ましくは1〜7日間(24時間〜168時間)である。ここでいう「環境」とは、大気雰囲気、恒温槽内等の、抽出液を取り巻く外部の環境をいう。
また、温度は高いほど、静置しておく時間は短時間でよい。例えば、50℃程度の温度環境下では数時間静置することで、十分な抗菌活性、保湿性、及び色調の改善が期待される。また、85℃程度の温度環境下で静置する場合には、1時間程度でよい。このような条件によっても、十分な抗菌活性、保湿性、及び色調の改善が期待される。
具体的には、この抽出液の活性成分は、例えば、45℃〜85℃程度となる加温処理を行いつつ所定の時間静置して濃縮すればよい。
加温処理する場合の抽出溶液の静置時間は、抗菌活性、保湿性、及び色調を所望のレベルまで改善できる程度の時間とすればよい。加温処理を伴う静置時間の目安としては、例えば、抽出溶液の活性成分が所望の濃度に濃縮される程度とすればよい。
具体的には、抽出溶液の活性成分の濃度が、好ましくは、例えば、最低でも5倍、すなわち5倍以上に濃縮されるまでの時間を目安とすればよい。
このように、静置時間を抽出溶液の活性成分の濃度が5倍以上に濃縮される程度の時間となるようにすれば、活性成分であるタキシホリンの自己重合をより促進することができる。よって、得られる化粧料の保湿性をより向上させることができる。また、このようにすれば、静置時間及び後述する乾燥工程に要する時間をより短くすることができる。よって、化粧料の製造効率を向上させ、結果として、製造コストをより低減することができる。
加温処理を伴う静置工程は、具体的には、抽出溶液を、例えば、恒温槽、恒温室といった加温手段を使用して環境を所定の温度に保った状態で行うことができる。
この静置する工程は、抽出溶液を、好ましくは、55℃から70℃の環境下で、抽出溶液の活性成分の濃度が最低でも5倍に濃縮されるまでの時間、静置する工程とするのがよい。
また、加温処理を伴う静置する工程は、さらに好ましくは、55℃の減圧環境下で5時間、或いは70℃の減圧環境下で3時間、静置する工程とするのがよい。
ここでいう減圧環境下とは、例えば、ロータリエバポレータを用いて、抽出溶液が突沸しない程度に減圧された環境をいう。この減圧の程度は、好ましくは、例えば、100mmHg(13330Pa)程度とすればよい。
このような減圧環境下で加熱処理を伴う静置工程を行うことにより、静置時間及び後述する乾燥工程の乾燥時間をより短縮することができる。従って、この発明の化粧料の製造効率をより向上させ、製造コストをより低減することができる。
加えて、この静置工程において、抽出溶液に対して、気体酸素の供給を伴う攪拌工程、紫外線照射工程を行うことにより、既に説明した静置工程を短縮するか、又は静置工程を代替することができる。
得られた抽出液は、所望により、静置工程前または静置工程後に除菌してもよい。具体的な除菌方法としては、一般的な方法を適用すればよく、例えば静置工程前であれば孔径0.45μm以下のフィルタによる濾過、または孔径0.45μm以下の中空子膜による限外濾過などの方法を使用することができる。
静置工程終了後に、除菌処理をする場合には、例えば、85℃で30分間、加熱殺菌してもよい。
次いで、得られた抽出液に対して、凍結乾燥、スプレードライなどの方法を用いて乾燥する。この乾燥工程において、スプレードライを行なうときは、抽出液が150℃程度の温度域に曝されることになるため、上述した除菌処理を行なう必要はない。この乾燥工程により、粉末状の化粧料を得ることができる。
この発明の化粧料は、茶褐色から赤紫色といった色調の粉末状である。粉末状の化粧料は、水(H2O)に対して極めて易溶性であるため、種々の態様で、種々の化粧品に適用することができる。例えば、粉末状の化粧料を、粉末状のまま、所望の性状の化粧品を構成する他の成分と合わせて混合するか、好ましくは、水、水-有機溶媒混合溶液、有機溶媒等に溶解させた溶解液を、化粧品の他の成分と合わせて混合することにより使用する。
具体的には、この発明の粉末状の化粧料又は粉末状の化粧料の溶解液は、化粧水、乳液、クリーム、パック、パウダー、スプレー、軟膏、分散液、洗顔料等の化粧品に適用して好適である。
また、この発明の化粧料は、詳細は後述するが、種々の化粧品に適用して好適な赤色及び橙色の色調を有することを特徴としている。例えば、この発明の化粧料を、ファンデーションに適用した場合には、上述した保湿性、抗菌性及び抗酸化性に加えて、肌色に、赤色から橙色の反射干渉光による補正を加えるという効果を得ることができる。すなわち、この発明の化粧料は、これを化粧品に含有させると、肌色を、明るく透明感のある色調に補正して、より健康的にみせるという機能を、当該化粧品に付与することができる。
以下に、この発明の化粧料にかかる具体的な実施例、比較実験例につき説明する。
(実施例1)
実施例1−1
カラマツ(Larix leprolepis Gordon)木部の粉砕物(おがくず)100g(粒径1cm以下)を、純水900mlを用いて、常温、1時間の条件で処理した。処理済みの粉砕物を5Cのろ紙を用いてろ別後、得られた抽出液を凍結乾燥し、4.2gの薄茶色の粉体を得た。
HPLC(高速液体クロマトグラフィ)による分析の結果、粉体の95重量%以上がアラビノガラクタンだった。この粉体を以下、粗アラビノガラクタンと称する。
実施例1−2
カラマツ粉砕物100gを、0.1mol/l(リットル)の濃度のNaOH水溶液で、常温で1時間処理した。処理済みの粉砕物を5Cのろ紙を用いてろ別後、得られた抽出液を凍結乾燥し、7.3gの薄茶色の粉体を得た。この粉体は、HPLCによる分析の結果、およそ水溶性リグニンが30重量%〜60重量%、アラビノガラクタンが30重量%〜60重量%、及び重合したタキシホリンが10重量%〜20重量%含まれていた。この粉体を以下、カラマツ塩基抽出物と称する。
このように、この発明の化粧料は、多量の活性成分を含有している。従って、この発明の化粧料の製造方法によれば、簡易な工程で、目的とする複数の活性成分を同時にかつ多量に抽出できる。従って、化粧料の効率的な製造が可能であり、製造コストの顕著な低減を可能とする。
(実施例2)
実施例1で得られたカラマツ塩基抽出物を用いて、0.1重量%水溶液を調製した。この水溶液を、常温で、0時間(静置していない。)、5時間、1日(24時間)、2日(48時間)、5日(120時間)、6日(144時間)、7日(168時間)、14日(336時間)間静置した。吸光度計を用いて、波長600、500及び475nmの吸光度を測定した。結果を表1に示す。波長500nmは赤色に、波長475nmは橙色に対応している。右欄には、ベースライン補正として、濁度に対応する波長600nmにおける吸光度を差し引いて補正した、波長500nm及び波長475nmにおける吸光度を示してある。
Figure 0003751630
表1から明らかなように、カラマツ塩基抽出物の色調は、時間を追って変化している。具体的には、黄色がかった赤茶色から、好ましい赤紫色に変化していく。この好ましい赤紫色は、吸光度で定義すると、波長500nmでの吸光度が0.500以上(補正後)を有していることがわかった。また、このとき、波長475nmでの吸光度は、0.500以上(補正後)であることがわかった。
静置日数0日(静置していない。)から静置日数1日(24時間)では、波長500nm及び475nmでの吸光度は、顕著に増加していることがわかる。すなわち、色調の顕著な改善がみられる。静置日数7日(168時間)までは、吸光度の数値には、ほとんど変化がない。すなわち、良好な色調を保っているといえる。しかしながら、静置日数14日目には、吸光度の数値は低下していることがわかる。すなわち、静置日数14日目には、色調の若干の劣化がみられる。
(実施例3)
実施例1で得られたカラマツ塩基抽出物を用いて、それぞれ濃度1重量%の水溶液を調製した。これら水溶液を、恒温槽を用いた55℃又は70℃の環境下で、ロータリーエバポレータを用いて100mmHg(13330Pa)に維持しつつ、水溶液のカラマツ塩基抽出物濃度が10重量%になるまで、すなわち水溶液の濃度が10倍に濃縮されるまでの時間静置した。
それぞれの水溶液の濃度が10倍に濃縮されるまでに要した時間は、55℃の環境下では約5時間であり、70℃の環境下では約3時間であった。以下、この例の工程を濃縮処理と称する。
(比較実験例1:保湿性の比較(1))
実施例1−1で得られた粗アラビノガラクタン、及び実施例2で使用された、所定時間静置して得られたカラマツ塩基抽出物の保湿性を測定した。
粗アラビノガラクタン、静置時間0時間(静置していない。)、1、7、14日間のカラマツ塩基抽出物を、それぞれ0.25g秤取って、それぞれ50mlの純水に溶解した。従って、濃度0.5重量%の水溶液とした。恒温室内でのサンプル設置位置による測定誤差を補正するため、粗アラビノガラクタン、静置時間0時間(静置していない。)、1、7、14日間のカラマツ塩基抽出物それぞれにつき、各5サンプル及び対照としての純水3サンプルの計28サンプルを、40℃の恒温室に入れ、30時間後の重量減少率を測定した。
結果を図1に示す。図1は、保湿性試験結果を示すグラフである。なお、結果は、対照としての純水3サンプルの平均(グラフA)、粗アラビノガラクタン(グラフB)、静置時間0時間(静置していない。)(グラフC)、1日(グラフD)、7日(グラフE)、14日(グラフF)間静置したカラマツ塩基抽出物につき、各5サンプルから得られた結果の平均値により示してある。
図1から明らかなように、粗アラビノガラクタンは、純水の蒸発率と比較して、約7%の水分蒸発抑制能、すなわち保湿性を示していることがわかる(グラフB)。同様に、静置時間0時間(静置していない。)のカラマツ塩基抽出物(グラフC)の保湿性は、5%弱である。すなわち、粗アラビノガラクタンの保湿性に比較して若干劣っている。
しかしながら、静置時間1日間以上のカラマツ塩基抽出物(グラフD〜F)では、保湿性が顕著に向上していることがわかった。特に、静置時間7日間のカラマツ塩基抽出物は、粗アラビノガラクタンの保湿性に匹敵する保湿性を示すことがわかった。このことから、静置処理により、水分蒸発抑制能、すなわち保湿性が増強されることがわかる。
また、静置処理により、ポリフェノールであるタキシホリンが自己重合することがわかった。この重合したタキシホリンが、さらなる保湿性の向上に寄与している。
(比較実験例2:抗酸化活性の比較(1))
実施例1−2で得られたカラマツ塩基抽出物、カラマツから抽出された水溶性リグニン(カラマツ抽出物)、エゾマツ・トドマツ混合粉砕物の塩基抽出物(エゾマツ・トドマツ塩基抽出物)の抗酸化活性をそれぞれ測定した。
まず、試料の調製につき説明する。エゾマツ・トドマツ塩基抽出物は、実施例1−2におけるカラマツ塩基抽出物の抽出方法と同様の条件で調製した。
カラマツ抽出物は、カラマツ粉砕物から事前に水溶性物質及び脂溶性物質を除去した後に、実施例1−2におけるカラマツ塩基抽出物の抽出方法と同様の条件で調製した。
抗酸化活性試験方法につき説明する。まず、試験管に、濃度が400μmol/lのDPPH(1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル) エタノール溶液を300μl(マイクロリットル)、濃度0.2Mの酢酸ナトリウム・酢酸緩衝液(pH 6.0) 300μl、20%エタノール/水 300μlを加えて混合した。この混合液に、カテキン1μg、カラマツ塩基抽出物(水溶液50μg、エゾマツ・トドマツ塩基抽出物(主要な成分はリグニンである。)、カラマツ抽出物(主要な成分は水溶性リグニンである。)それぞれを、80%エタノール/水 300μlに溶解させた試料溶液を、個別に加えて混合した。得られた試料混合溶液を、それぞれ常温で20分間静置した。次いで、静置処理の終了した試料混合溶液を試料として、波長520nmにおける吸光度を測定した。予め、対照物質としてsigma社製の(+)-カテキンを使用し、カテキン添加量と反応後の吸光度の関係より検量線を作成しておいた。
上述した試験法により、抗酸化活性として、DPPHラジカルの消去活性を評価した。結果を図2に示す。図2は、抗酸化活性測定結果を示すグラフである。グラフAは、カテキンの抗酸化活性を示している。グラフBは、カラマツ塩基抽出物(静置時間0時間)の抗酸化活性を示している。グラフCは、カラマツ塩基抽出物(静置時間7日間)の抗酸化活性を示している。グラフDは、エゾマツ・トドマツ塩基抽出物の抗酸化活性を示している。グラフEは、カラマツ抽出物の抗酸化活性を示している。
図2に示すように、カラマツ塩基抽出物の抗酸化活性は、エゾマツ・トドマツ塩基抽出物、カラマツ抽出物の抗酸化活性を、大きく上回っていることがわかった。
また、カラマツ塩基抽出物についていえば、静置処理を行わなかったカラマツ塩基抽出物50μgの抗酸化活性は、(+)−カテキン1μgの抗酸化活性に対して、約1.7倍の抗酸化活性を示すことがわかった。さらに、静置時間7日間のカラマツ塩基抽出物50μgの抗酸化活性は、(+)−カテキン1μgの抗酸化活性に対して、約2.5倍の抗酸化活性を示すことがわかった。すなわち、静置時間7日間のカラマツ塩基抽出物1mgの抗酸化活性は、48.5μgの(+)−カテキンの抗酸化活性に匹敵することがわかった。
このように、この発明の化粧料は、特に原料をカラマツ由来とした場合に、優れた抗酸化活性を有していることがわかった。また、抗酸化活性は、静置処理により、顕著に増強されることがわかった。
(比較実験例3:保湿性の比較(2))
粗アラビノガラクタン及び実施例3の濃縮処理を行って得られたカラマツ塩基抽出物の保湿性を測定した。
濃縮処理された粗アラビノガラクタン及びカラマツ塩基抽出物を、上述した比較実験例1と同様の条件及び工程で処理したサンプルを、40℃の恒温室に入れ、30時間後の重量減少率を測定した。
結果を図3に示す。図3は、保湿性試験結果を示すグラフである。なお、結果は、対照としての純水3サンプルの平均(グラフA)、55℃濃縮処理(グラフB)、70℃濃縮処理(グラフC)したカラマツ塩基抽出物につき、各5サンプルから得られた結果の平均値を示してある。グラフDは、粗アラビノガラクタンの保湿性試験結果である。
図3から明らかなように、粗アラビノガラクタンは、純水の蒸発率と比較して、約8.9%の水分蒸発抑制能、すなわち保湿性を示していることがわかる(グラフD)。同様に、55℃環境下で濃縮処理されたカラマツ塩基抽出物(グラフB)の保湿性は、純水の蒸発率と比較して約12%向上しており、70℃環境下で濃縮処理されたカラマツ塩基抽出物(グラフC)の保湿性は、純水の蒸発率と比較して約13.3%向上していることがわかる。
以上より、実施例3で説明した濃縮処理によっても、タキシホリンの自己重合が促進され、水分蒸発抑制能、すなわち保湿性が増強されることがわかる。また、この濃縮処理を行うことで、静置時間を顕著に短縮することができる。
(比較実験例4:抗酸化活性の比較(2))
実施例3の濃縮処理により得られたカラマツ塩基抽出物(55℃濃縮処理及び70℃濃縮処理して得られたカラマツ塩基抽出物)の抗酸化活性をそれぞれ測定した。
この抗酸化活性試験は、比較実験例2と同様の条件及び工程により行った。具体的には、試験管に、濃度が400μmol/lのDPPH(1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル) エタノール溶液を300μl(マイクロリットル)、濃度0.2Mの酢酸ナトリウム・酢酸緩衝液(pH 6.0) 300μl、20%エタノール/水 300μlを加えて混合した。この混合液に、カラマツ塩基抽出物(静置時間0時間)、カラマツ塩基抽出物(静置時間7日間)、55℃濃縮処理及び70℃濃縮処理して得られたカラマツ塩基抽出物それぞれを、80%エタノール/水 300μlに溶解させた試料溶液を、個別に加えて混合した。得られた試料混合溶液を、それぞれ常温で20分間静置した。次いで、静置処理の終了した試料混合溶液を試料として、波長520nmにおける吸光度を測定した。予め、対照物質としてsigma社製の(+)-カテキンを使用し、カテキン添加量と反応後の吸光度の関係より検量線を作成しておいた。
上述した試験法により、抗酸化活性として、DPPHラジカルの消去活性を評価した。結果を図4に示す。図4は、抗酸化活性測定結果を示すグラフである。グラフAは、カラマツ塩基抽出物(静置時間0時間)の抗酸化活性を示している。グラフBは、カラマツ塩基抽出物(静置時間7日間)の抗酸化活性を示している。グラフCは、55℃濃縮処理して得られたカラマツ塩基抽出物を示している。グラフDは、70℃濃縮処理して得られたカラマツ塩基抽出物の抗酸化活性を示している。
図4に示すように、55℃濃縮処理して得られたカラマツ塩基抽出物の抗酸化活性は、静置処理を行わなかったカラマツ塩基抽出物の抗酸化活性と比較して、顕著な増強がみられた。すなわち、抗酸化活性が約13%向上していることがわかった。また、70℃濃縮処理して得られたカラマツ塩基抽出物については、抗酸化活性が約8%向上していることがわかった。
上述したように、種々の化粧品に適用して好適な、この発明の化粧料は、優れた保湿性と抗酸化性を有している。また、この発明の化粧料は、色調にも優れている。
保湿性能試験結果を示すグラフ(1)である。 抗酸化活性測定結果を示すグラフ(1)である。 保湿性能試験結果を示すグラフ(2)である。 抗酸化活性測定結果を示すグラフ(2)である。

Claims (16)

  1. カラマツの粉砕物を、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液の濃度が0.025mol/l以上0.25mol/l以下である塩基性水溶液により処理し、前記粉砕物をろ別して抽出溶液を得る工程と、
    前記抽出溶液を、0℃から50℃の環境下で、24〜168時間静して抽出されたタキシホリンの自己重合を促進する工程と、
    静置しておいた前記抽出溶液を、乾燥することにより、水溶性リグニン、アラビノガラクタン、及び重合したタキシホリンを含有する固形状の化粧料を得る工程と
    を含むことを特徴とする化粧料の製造方法。
  2. カラマツの粉砕物を、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液の濃度が0.025mol/l以上0.25mol/l以下である塩基性水溶液により処理し、前記粉砕物をろ別して抽出溶液を得る工程と、
    前記抽出溶液を、45℃から85℃の環境下で、前記抽出溶液の活性成分の濃度が最低でも5倍に濃縮されるまでの時間、静置して抽出されたタキシホリンの自己重合を促進する工程と、
    静置しておいた前記抽出溶液を、乾燥することにより、水溶性リグニン、アラビノガラクタン、及び重合したタキシホリンを含有する固形状の化粧料を得る工程と
    を含むことを特徴とする化粧料の製造方法。
  3. 前記タキシホリンの自己重合を促進する工程は、前記抽出溶液を、55℃から70℃の環境下で、前記抽出溶液の活性成分の濃度が最低でも5倍に濃縮されるまでの時間、静置する工程であることを特徴とする請求項に記載の化粧料の製造方法。
  4. 前記タキシホリンの自己重合を促進する工程は、減圧環境下で行われる工程であることを特徴とする請求項に記載の化粧料の製造方法。
  5. 前記タキシホリンの自己重合を促進する工程は、55℃の減圧環境下で、5時間、静置する工程であることを特徴とする請求項に記載の化粧料の製造方法。
  6. 前記タキシホリンの自己重合を促進する工程は、70℃の減圧環境下で、3時間、静置する工程であることを特徴とする請求項に記載の化粧料の製造方法。
  7. 前記カラマツの粉砕物は、木部の粉砕物、又は木部の粉砕物及び樹皮の粉砕物の混合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の化粧料の製造方法。
  8. カラマツの粉砕物を、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液の濃度が0.025mol/l以上0.25mol/l以下である塩基性水溶液で処理し、前記粉砕物をろ別した抽出溶液を0℃から50℃の環境下で、24〜168時間静置して抽出されたタキシホリンの自己重合を促進し、静置しておいた前記抽出溶液を乾燥することにより得ることができる、水溶性リグニン、アラビノガラクタン、及び重合したタキシホリンを含有する固形状の化粧料。
  9. カラマツの粉砕物を、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液の濃度が0.025mol/l以上0.25mol/l以下である塩基性水溶液で処理し、前記粉砕物をろ別した抽出溶液を、45℃から85℃の環境下で、前記抽出溶液の活性成分の濃度が最低でも5倍に濃縮されるまでの時間、静置して抽出されたタキシホリンの自己重合を促進し、静置しておいた前記抽出溶液を乾燥することにより得ることができる、水溶性リグニン、アラビノガラクタン、及び重合したタキシホリンを含有する固形状の化粧料。
  10. カラマツの粉砕物を、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液の濃度が0.025mol/l以上0.25mol/l以下である塩基性水溶液で処理し、前記粉砕物をろ別した抽出溶液を、55℃から70℃の環境下で、前記抽出溶液の活性成分の濃度が最低でも5倍に濃縮されるまでの時間、静置して抽出されたタキシホリンの自己重合を促進し、乾燥することにより得ることができる、水溶性リグニン、アラビノガラクタン、及び重合したタキシホリンを含有する固形状の化粧料。
  11. カラマツの粉砕物を、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液の濃度が0.025mol/l以上0.25mol/l以下である塩基性水溶液で処理し、前記粉砕物をろ別した抽出溶液を、55℃の減圧環境下で、5時間、静置して抽出されたタキシホリンの自己重合を促進し、乾燥することにより得ることができる、水溶性リグニン、アラビノガラクタン、及び重合したタキシホリンを含有する固形状の化粧料。
  12. カラマツの粉砕物を、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液の濃度が0.025mol/l以上0.25mol/l以下である塩基性水溶液で処理し、前記粉砕物をろ別した抽出溶液を、70℃の減圧環境下で、3時間、静置して抽出されたタキシホリンの自己重合を促進し、乾燥することにより得ることができる水溶性リグニン、アラビノガラクタン、及び重合したタキシホリンを含有する固形状の化粧料。
  13. 前記カラマツの粉砕物は、木部の粉砕物、又は木部の粉砕物及び樹皮の粉砕物の混合物であることを特徴とする請求項8〜12のいずれか一項に記載の化粧料。
  14. 水溶性リグニンを30重量%〜60重量%、アラビノガラクタンを30重量%〜60重量%、及び重合したタキシホリンを10重量%〜20重量%の範囲で含有することを特徴とする請求項8〜13のいずれか一項に記載の化粧料。
  15. 0.1重量%濃度の水溶液において、波長500nmでの吸光度が0.500以上であることを特徴とする請求項8〜14のいずれか一項に記載の化粧料。
  16. 請求項8〜15のいずれか一項に記載の化粧料を、0.01重量%〜1.0重量%含有することを特徴とする化粧品。
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