JP3751685B2 - 斜張橋用ダンパー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は斜張橋用ダンパーに関し、詳しくは、斜張橋に架設されたケーブルに対する風や走行車両などによる入力振動を減衰させ、ケーブルが破断するのを防止する斜張橋用ダンパーに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、斜張橋は剛性の低い柔構造物であり、斜張橋に架設された複数本のケーブルの耐風安定性がその設計上重要な要素となっている。この風によるケーブルの振動への対処方法としては、ケーブル自体の断面形状を安定化する空力的対策があるが、これ以外にも、近年ではオイルダンパーや粘性剪断型ダンパーがケーブルの有効な制振装置として多用されている。
【0003】
しかしながら、これらオイルダンパーや粘性剪断型ダンパーは、オイルや粘性体の温度依存性が大きいので、橋面付近に取り付けられる関係上、その橋面温度の影響を受けやすく、使用条件の温度範囲内で性能が不安定となる。また、オイルダンパーや粘性剪断型ダンパーは外付け構造となっているため、ダンパー自体が大掛りになる上に外観的にも斜張橋としての美感を損なう。
【0004】
そこで、オイルダンパーや粘性剪断型ダンパーに代わるものとして、温度依存性が少なく、外観の良い斜張橋ケーブルの制振装置が提案されている〔特開平7−119115号公報〕。この制振装置に使用されているダンパーは、図11に示すように高減衰ゴムの成形体1に上下金具2,3を加硫接着などにより一体的に取り付けた構造を有する。
【0005】
この成形体1を構成する高減衰ゴムは温度依存性が少ないので、橋面温度の影響を受けにくく、使用条件の温度範囲内での性能の安定化が図れ、また、成形体1を組み込んだ制振装置は、外観的な簡素化を実現したものとなっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述した高減衰ゴムの成形体1からなる斜張橋用ダンパーでは、成形体1の上下金具2,3と接合する端部、即ち、エッジ部4の外周面が上下金具2,3の接合面とほぼ垂直をなすような構造を有しているため、以下のような問題があった。
【0007】
高減衰ゴムの成形体1は、斜張橋ケーブルに振動が入力されるごとに変形するため、繰り返される変形により成形体1のエッジ部4の高減衰ゴムに疲労が集中してその部分が破壊したり剥がれたりする。また、この高減衰ゴムの疲労集中による破壊でもって成形体1の変形時に特定部分に応力が集中して破壊や剥がれがより一層進行して広がる。更に、成形体1の破壊部分から酸素が侵入して高減衰ゴムの劣化を促進し、ダンパーとしての減衰性能を低下させる。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、ケーブルへの入力振動により高減衰ゴムの成形体が変形を繰り返しても、成形体の上下金具との接合端部が破壊したり剥がれたりすることを可及的に抑制し得る斜張橋用ダンパーを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための技術的手段として、本発明は、斜張橋に架設されたケーブルに対する入力振動を減衰させてケーブルが破断するのを防止する斜張橋用ダンパーにおいて、上下金具と一体化された高減衰ゴムの成形体の前記上下金具との接合端部を、前記上下金具に向けて横断面積が漸増し、接合端部の外周面と上下金具の接合面とのなす角度を45°以下としたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を以下に説明する。尚、本発明の斜張橋用ダンパーは、例えば、特開平7−119115号公報に開示された斜張橋ケーブルの制振装置に適用される。
【0011】
本発明の斜張橋用ダンパーは、高減衰ゴムの成形体11の上下金具12,13との接合端部を、その上下金具12,13に向けて横断面積が漸増するように成形したものである。具体的には、成形体11の上下金具12,13との接合端部であるエッジ部14を、図1に示すようなR形状としたり、図2に示すような直線テーパ形状としたり、図3に示すような膨出形状とする。
【0012】
尚、図1及び図2に示すような形状とすることにより、成形体11の剪断変形時、エッジ部14への応力集中を可及的に抑制することができる。また、図3に示す形状についても、エッジ部14の外周面と上下金具12,13の接合面とのなす角度θを45°以下とすれば、成形体11の剪断変形時、エッジ部14への応力集中を可及的に抑制することができる。
【0013】
ここで、図4に示す従来のダンパーでは、その上金具2が図示矢印方向へ動いた時に成形体1のエッジ部4に圧縮応力が作用する。この場合、エッジ部4では、図示矢印方向と直交する圧縮方向に高減衰ゴムが肉厚であるため、非常に大きな圧縮応力が集中することによりエッジ部4での剥離又は破壊が起きやすい。一方、図5に示す本発明のダンパーでは、エッジ部14で圧縮方向の高減衰ゴムが薄くなるため、高減衰ゴムの逃げる余裕が大きく、エッジ部14に過大な圧縮応力が集中することはないのでエッジ部14での剥離又は破壊が起きにくい。
【0014】
また、図6に示す従来のダンパーにおいて、前述の場合とは反対にその上金具2が図示矢印方向へ動いた時に成形体1のエッジ部4に引張り応力が作用する。この場合、エッジ部4に作用する応力は水平方向ばかりでなく、そのエッジ部4での圧縮方向の高減衰ゴムが肉厚であるため、斜め下方への引張り応力も非常に大きくなり、全体として非常に大きな応力となるのでエッジ部4での剥離又は破壊が起きやすい。一方、図7に示す本発明のダンパーでは、水平方向の引張り応力は同じであるが、エッジ部14での圧縮方向の高減衰ゴムが薄くなるため、斜め下方への引張り応力が非常に小さくなり、全体として小さな応力となるのでエッジ部14での剥離又は破壊が起きにくい。
【0015】
尚、本発明のダンパーにおいて、成形体11を構成する高減衰ゴムとしては、天然ゴム、SBR、NBR、BR、シリコンゴム、EPDM、ブチルゴム等のゴム、又はこれらゴムに充填剤、オイル、カップリング剤を配合したゴム配合物などがある。また、前述した成形体11の断面形状は円形、角形、菱形、扇形などその形状は問わず、中実の円柱形状や中空の円筒形状であってもよい。更に、成形体11の高減衰ゴムの外周を耐候性に優れたゴムで被覆するようにすれば、屋外使用にも好適である。
【0016】
また、前述した実施形態では、本発明のダンパーを、例えば特開平7−119115号公報に開示された斜張橋ケーブルの制振装置に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、斜張橋ケーブルに取り付けられるダンパーとして他の構造にも適用可能であるのは勿論である。
【0017】
【実施例】
本出願人は、図1乃至図3に示す本発明のダンパー〔実施例1〜3〕と図11に示す従来のダンパー〔比較例〕とを製作し、これらについて破壊試験を行なった。
【0018】
成形体11(1)の高減衰ゴムとしては天然ゴムを使用し、被覆ゴムとしてはブチルゴムを使用した。また、いずれのゴムにも、硫黄、亜鉛華、老化防止剤、加硫促進剤、軟化剤、補強剤及び充填剤を配合した。成形体11(1)は円柱状に押し出し成形したものであり、被覆ゴムはシート状に押し出し成形したものであり、これら成形体11(1)、被覆ゴム及び上下金具12,13(2,3)を金型にセッティングし、150℃で40分間加硫することにより製作された。尚、上下金具12,13(2,3)の成形体11(1)との接合面には、加硫接着剤を予め塗布しておく。
【0019】
このダンパーは、成形体11(1)の高さが20mm、直径が50mm、被覆ゴムの厚みが2mmであり、実施例1〔R形状〕では、成形体11のエッジ部14について曲率半径Rを5mm〔図8参照〕とし、実施例2〔直線テーパ形状〕では、成形体11のエッジ部14について曲率半径Rを10mm、かつ、直線部分と上下金具12,13の接合面となす角度θを30°とし〔図9参照〕、実施例3〔膨出形状〕では、成形体11のエッジ部14について曲率半径R1 を5mm、R2 を10mm、かつ、上下金具12,13となす角度θを45°とする〔図10参照〕。
【0020】
本出願人が行なった試験では、ダンパーに圧縮歪みを付与せずに剪断歪みのみを付与してどの程度の回数で成形体11(1)のエッジ部14(4)に剥離又は破壊が生じるかを調べ、その結果を下表に示す。尚、下表において、歪みは成形体11(1)のゴム高さに対する歪みであり、100%は20mmの変位、50%は10mmの変位を付与した時のものでる。また、5000回ごとに剥離又は破壊の有無を目視確認した。
【0021】
【表1】
【0022】
上表から明らかなように実施例1〜3〔本発明品〕では、比較例〔従来品〕と比べて剥離又は破壊が発生しにくくなった。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、成形体の上下金具との接合端部を、前記上下金具に向けて横断面積が漸増するように成形したことにより、ケーブルへの入力振動により高減衰ゴムの成形体が変形を繰り返しても、接合端部への応力集中を可及的に抑制し、成形体の上下金具との接合端部が疲労集中して破壊したり剥がれたりすることを可及的に抑制することができ、酸素の侵入などによる高減衰ゴムの劣化を阻止できてダンパーとしての減衰性能を維持できその長寿命化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す正面図
【図2】本発明の他の実施形態を示す正面図
【図3】本発明の他の実施形態を示す正面図
【図4】従来のダンパーにおいて、成形体のエッジ部に圧縮応力が作用する方向に上金具を動かした状態を示す要部拡大正面図
【図5】本発明のダンパーにおいて、成形体のエッジ部に圧縮応力が作用する方向に上金具を動かした状態を示す要部拡大正面図
【図6】従来のダンパーにおいて、成形体のエッジ部引張り応力が作用する方向に上金具を動かした状態を示す要部拡大正面図
【図7】本発明のダンパーにおいて、成形体のエッジ部に引張り応力が作用する方向に上金具を動かした状態を示す要部拡大正面図
【図8】本出願人が行なった破壊試験に使用した実施例1の成形体のエッジ部を示す図1の要部拡大正面図
【図9】本出願人が行なった破壊試験に使用した実施例2の成形体のエッジ部を示す図2の要部拡大正面図
【図10】本出願人が行なった破壊試験に使用した実施例3の成形体のエッジ部を示す図3の要部拡大正面図
【図11】従来の斜張橋用ダンパーを示す正面図
【符号の説明】
11 成形体
12 上金具
13 下金具
14 成形体の上下金具との接合端部〔エッジ部〕
Claims (1)
- 斜張橋に架設されたケーブルに対する入力振動を減衰させてケーブルが破断するのを防止する斜張橋用ダンパーにおいて、上下金具と一体化された高減衰ゴムの成形体の前記上下金具との接合端部を、前記上下金具に向けて横断面積が漸増し、接合端部の外周面と上下金具の接合面とのなす角度を45°以下としたことを特徴とする斜張橋用ダンパー。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP17256596A JP3751685B2 (ja) | 1996-07-02 | 1996-07-02 | 斜張橋用ダンパー |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP17256596A JP3751685B2 (ja) | 1996-07-02 | 1996-07-02 | 斜張橋用ダンパー |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1018222A JPH1018222A (ja) | 1998-01-20 |
| JP3751685B2 true JP3751685B2 (ja) | 2006-03-01 |
Family
ID=15944204
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP17256596A Expired - Lifetime JP3751685B2 (ja) | 1996-07-02 | 1996-07-02 | 斜張橋用ダンパー |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3751685B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US6183401B1 (en) * | 1998-09-08 | 2001-02-06 | Mark A. Krull | Method and apparatus for adjusting resistance to exercise |
| CN107387656B (zh) * | 2017-08-28 | 2023-08-22 | 河北建筑工程学院 | 桥梁拉索阻尼器 |
-
1996
- 1996-07-02 JP JP17256596A patent/JP3751685B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH1018222A (ja) | 1998-01-20 |
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