JP3752007B2 - 配線パターン層の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は配線パターン層およびその製造方法に係り、特に、多層プリント配線板、静電アクチュエータ、非接触ICカードの内部に収納されるコイル等に用いられる配線パターン層およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体技術の飛躍的な発展により、半導体パッケージの小型化、多ピン化、ファインピッチ化、電子部品の極小化などが急速に進み、いわゆる高密度実装の時代に突入した。それに伴って、例えば、プリント配線板も片面配線から両面配線へ、さらに多層化、薄型化が進められている。
【0003】
現在、プリント配線板の銅パターンの形成には、主としてサブトラクティブ法と、アディティブ法が用いられている。
【0004】
サブトラクティブ法は、銅張り積層板に穴を開けた後に、穴の内部と表面に銅メッキを行い、フォトエッチングによりパターンを形成する方法である。このサブトラクティブ法は技術的に完成度が高く、またコストも安いが、銅箔の厚さ等による制約から微細パターンの形成は困難である。
【0005】
一方、アディティブ法は無電解メッキ用の触媒を含有した積層板上の回路パターン形成部以外の部分にレジストを形成し、積層板の露出している部分に無電解銅メッキ等により回路パターンを形成する方法である。このアディティブ法は、微細パターンの形成が可能であるが、コスト、信頼性の面で難がある。
【0006】
多層基板の場合には、上記の方法等で作製した片面あるいは両面のプリント配線板を、ガラス布にエポキシ樹脂等を含浸させた半硬化状態のプリプレグと一緒に加圧積層する方法が用いられている。この場合、プリプレグは各層の接着剤の役割をなし、層間の接続はスルーホールを作成し、内部に無電解メッキ等を施して行っている。
【0007】
また、高密度実装の進展により、多層基板においては薄型、軽量化と、その一方で単位面積当りの高い配線能力が要求され、一層当たりの基板の薄型化、層間の接続や部品の搭載方法等に工夫がなされている。
【0008】
しかしながら、上記のサブトラクティブ法により作製された両面プリント配線板を用いた多層基板の作製は、両面プリント配線板の穴形成のためのドリル加工の精度と、微細化限界の面から高密度化に限界があり、製造コストの低減も困難であった。
【0009】
一方、近年では上述のような要求を満たすものとして、基材上に導体パターン層と絶縁層とを順次積層して作製される多層配線板が開発されている。この多層配線板は、銅メッキ層のフォトエッチングと感光性樹脂のパターニングを交互に行って作製されるため、高精細な配線と任意の位置での層間接続が可能となっている。
【0010】
しかしながら、この方式では銅メッキとフォトエッチングを交互に複数回行うため、工程が煩雑となり、また、基板上に1層づつ積み上げる直列プロセスのため、中間工程でトラブルが発生すると、製品の再生が困難となり、製造コストの低減に支障を来していた。
【0011】
このような問題に対応するために、導電層および絶縁層形成のための転写版を個々に作成し、印刷法に準じた方式によって、導電層および絶縁層を順次積層することによって配線パターン層を形成する方法が提案されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の個々の転写版を用いる方法は、いわゆる版の使用が必須であり、配線パターン層の品質を保証するためには、版の劣化等を常に検査しておく必要がある。また、この方式では転写後の配線パターン層を見ないとパターン異常が判らないのが通常であり、この場合もやはり、中間工程でトラブルが発生すると、製品の再生が困難となり、製造コストの低減が図れない。また、個々の層を順次積層することになるので工程が煩雑となってしまうという不都合もある。
【0013】
このような実状のもとに本発明は創案されたものであって、その目的は、配線パターン層形成のための特別な版が不要であり、配線パターン層を転写前に検査でき、製品歩留の向上が図られる配線パターン層およびその製造方法を提供することにある。また、接着剤層、絶縁層、導電層の一体的な転写ができ、工程の簡略化が図られる配線パターン層およびその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明の配線パターン層の製造方法は、導電性基板の上に導電層を形成する工程と、この導電層上に絶縁層をパターン形成する工程と、該絶縁層のパターンに沿って前記導電層をエッチングする工程と、少なくとも絶縁層の表面に接着剤層を形成する工程と、これらの工程によって導電性基板の上にパターン形成された導電層、絶縁層および接着剤層を一体的に配線すべき基板上に転写する工程とを有し、前記導電性基板の上に導電層を形成する工程は、少なくとも2種類の組成の異なる第1および第2の導電性層を順次積層する積層操作を含み、前記絶縁層側に位置する第2の導電性層がNi層またはCr層であるように構成される。
【0015】
また、本発明の好ましい態様として、前記第1の導電性層がCu層からなるように構成される。
【0016】
また、本発明のより好ましい態様として、前記導電層を形成する工程は、電解メッキによって行われるように構成される。
【0017】
また、本発明のより好ましい態様として、前記絶縁層をパターン形成する工程は、感光性樹脂組成物を塗布し、所定のパターンのマスクを介して露光後、現像することによって行われるように構成される。
【0018】
また、本発明のより好ましい態様として、前記絶縁層をパターン形成する工程は、感光性樹脂組成物を塗布し、所定のパターンのマスクを介して露光、現像後、さらに熱硬化することによって行われるように構成される。
【0019】
また、本発明のより好ましい態様として、前記絶縁層をパターン形成する工程は、絶縁樹脂を塗布・乾燥し、その上に感光性樹脂組成物を塗布し、当該感光性樹脂組成物を所定のパターンのマスクを介して露光・現像後、さらに、その現像された感光性樹脂組成物をマスクとして絶縁樹脂をエッチングすることによって行われるように構成される。
【0020】
また、本発明のより好ましい態様として、前記絶縁層をパターン形成する工程は、絶縁樹脂を塗布・乾燥し、その上に感光性樹脂組成物を塗布し、当該感光性樹脂組成物を所定のパターンのマスクを介して露光・現像後、さらに、その現像された感光性樹脂組成物をマスクとして絶縁樹脂をエッチングし、しかる後、熱硬化することによって行われるように構成される。
【0021】
本発明の配線パターン層は、特に、配線パターン層形成のための特別な版を作ることなく作製できる。また、配線パターン層を転写前に検査でき、製品歩留の向上が図られる。また、接着剤層、絶縁層、導電層の一体的な転写ができ、工程の簡略化が図られる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、基板2上に本発明の配線パターン層4が形成されている状態を示す概略断面図である。図1において、配線パターン層4は、接着剤層10、絶縁層20、導電層31,33を順次備えて形成される。そして、これらの積層体からなる配線パターン層4は、後述するように一体的に転写されて形成されていることを特徴とするものである。なお、導電層31,33の内、主たる配線用の導電層は最上部の導電層31であり、もちろん導電層は1層のみであってもよい。
【0024】
本発明の配線パターン層4が形成される基板2そのものには特に制限はないが、例えば、基板2を多層層プリント配線板を構成する基板とする場合には、ガラスエポキシ基板、ポリイミド基板、アルミナセラミック基板、ガラスエポキシとポリイミドの複合基板等、の基板を使用することができる。この基板2の厚さは、通常5〜1000μm程度の範囲とされる。
【0025】
配線パターン層4の厚みは、配線パターン層4同士の積層や乗り越えを欠陥なく行うために、1000μm以下、好ましくは5〜100μmの範囲とするのがよい。
【0026】
導電層31は通常、配線用の層として用いられ、導電性がある材料すべてのもの、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、白金(Pt)等が使用可能ではあるが、特に好適にはCuを用いるのがよい。配線用としてCuを用いる場合、その膜厚は1〜20μm、好ましくは3〜10μm必要である。また、配線パターン層4全体を単に絶縁層として用いる場合もあり、この場合には、導電層31は単なる剥離層としての機能のみが必要とされるために膜厚はそれ程必要なく、数千Å程度で足りる。
【0027】
なお、導電層31の下層に位置するもうひとつの導電層33は、主として後述するような製造プロセスにおいて絶縁層20のパターン現像をしやすくするために形成される。導電層33の膜厚は通常、0.01〜1μm程度とされる。用いられる導電層33の材質としては上述したような電解メッキできる金属すべてが挙げられるが好適にはNi,Cr等を用いるのが良い。また、これらの積層体でもよい。従って、導電層はCu/Ni,Cu/Crの2層積層体に限らずCu/Ni/Cr等の3層以上の積層体であってもよい。
【0028】
絶縁層20に用いられる材料としては、ポリイミド、エポキシ樹脂、ブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ポリオレフィン等が挙げられる。これらの中でも特に、高い耐電圧性が要求される場合(例えば、配線パターン層4を静電アクチュエータの帯状電極に適用する場合)には、ポリイミドを用いるのがよい。また、生産性を考慮すれば、感光性を備えるものがよい。また、絶縁層20は、非感光性の絶縁樹脂からなる層および感光性樹脂組成物からなる層を含むもの(2層構成)であってもよい。この2層構成の場合には、非感光性の絶縁樹脂からなる層を上記のポリイミド、エポキシ樹脂、ブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ポリオレフィン等とすればよい。また、この2層構成の場合において、感光性樹脂組成物からなる層は、成膜後に必要に応じて除去してもよい。
【0029】
このような絶縁層20の膜厚は、1〜100μm、好ましくは、5〜20μm程度とされる。
【0030】
接着剤層10は、接着性を有し、転写できる程度の接着力を備えるものであれば特に制限はない。具体的な材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。膜厚については、転写できる程度の接着力が発揮できる膜厚であればよく特に制限はない。
【0031】
次いで、配線パターン層の製造方法を図2に基づいて説明する。
【0032】
まず、導電性基板3を準備し、この基板3の上に、例えばCuからなる導電層31および、例えばNiからなる導電層33を形成する(図2(a))。導電層31、33の形成は電解メッキ、蒸着、スパッタ等によって行われる。本実施例では、導電層を2層の積層体として例示しているが特にその積層数に限定はなく1層あるいは3層以上とすることも可能である。
【0033】
次いで、導電層33の上に絶縁層20をパターン形成する。すなわち、導電層33の上に例えば感光性ポリイミド20’を塗布した後に、パターン形成用のマスク25および紫外線照射装置を用いてパターン露光し(図2(b))、しかる後、現像液にて未露光部を除去・現像して絶縁層20をパターン化する(図2(c))。この時、前述したように例えばNiからなる導電層33を設けておくことにより、十分な現像が可能になるとともに十分な解像力が得られる。
【0034】
さらにこのパターン形成時点で、絶縁層20としての感光性ポリイミドを処理温度200〜350℃程度(処理時間30分〜1時間程度)で熱硬化処理(ポストベーク)することが好ましい。こうすることによりポリイミドの硬化はさらに促進され耐電圧性は格段と向上する。従って、高い耐電圧性のある絶縁層が要求される場合、絶縁材料としてのポリイミドを用いて熱硬化(ポストベーク)処理を行うことは好適な選定のひとつである。また、このような高温の熱処理を行っても、Cuからなる配線用の導電層31の熱酸化が防止でき導電抵抗が大きくなるのを防ぐことができる。導電層31の表面は露出されていないからである。この点にも従来技術では得られない本願発明の大きな特徴が見られる。ちなみに従来の技術では、パターン配線後に絶縁層(ポリイミド)の熱硬化を行わなければならず、配線用Cuは酸化して導電抵抗が大きくなるという不都合が生じる。
【0035】
なお、絶縁層20は必ずしも感光性を備える必要性はない。つまり、製造工程は余分にかかるかも知れないが、塗布した絶縁層20の上に、さらに感光性レジスト層をのせて、レジストをパターン化した後にエッチングによって絶縁層20を同様にパターン化する手法を用いればよいのである。つまり、上述したようなポリイミド、エポキシ樹脂、ブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ポリオレフィン等の絶縁樹脂を塗布・乾燥し、その上に感光性樹脂組成物を塗布し、当該感光性樹脂組成物を所定パターンのマスクを介して露光・現像後、さらに、その現像された感光性樹脂組成物をマスクとして絶縁樹脂をエッチングすることによって絶縁層20を形成すればよいのである。なお、マスクとして用いられた感光性樹脂組成物は最終的に必要に応じて除去してもよい。その後、あるいは、後述の絶縁層31,33のパターン形成後に、上記の熱硬化処理(ポストベーク)が好適な態様として行われる。
【0036】
このような絶縁層20のパターン形成の後に、この絶縁層20をマスクパターンとして用い、導電層31,33をエッチング液でエッチングして所定のパターンの配線パターン層を形成する(図2(d))。エッチング液としては、例えばCu/Niをエッチング対象とした場合、塩化第2鉄溶液、5HNO3 ・5CH3 COOH・2H2 SO4 を水で希釈したもの等が用いられる。本発明においてはこの時点で、配線パターン層の配線チェックを行うことができるという優れた効果を奏する。すなわち、配線パターン層を転写する前に配線パターン層の配線チェックを行うことができるので、転写後のパターン形成されたものが製品不良のとなる確率は極めて低く、製品歩留は格段と向上する。ちなみに、従来から提案されていた技術では、転写すべき基板に配線パターン層を転写して初めて配線のチェックが可能となるので、ひとつの配線不良によって、基板全体が不良となっていた。
【0037】
このようなエッチング処理の後に、絶縁層20の表面に接着剤層10が塗布等の手段によって形成され、配線パターン層4が完成される(図2(e))。接着剤層10は絶縁層20の表面に形成されればそれで十分であるが、接着剤の塗布工程の簡易性を考慮して、図2(d)に示される基板の片面(積層が構成されている側)全面に渡って塗布するようにしてもかまわない。
【0038】
このようにして形成された配線パターン層4は、導電性基板3ごと基板2上に圧着され、しかる後、導電性基板3のみを取り除くことによって、配線パターン層4が基板2上に転写される(図1)。圧着に際しては、ローラ圧着、プレート圧着、真空圧着等のいずれの手段を用いてもよい。また、接着剤層10が加熱により粘着性または接着性を発現する場合には、熱圧着を行うこともできる。
【0039】
なお、最後に除去された導電性基板3は、洗浄して再度使用できる。
【0040】
次に、上述してきたような本発明の配線パターン層4のさらなる具体的応用例について説明する。ただし、本発明の配線パターン層4の使用はこれらの具体的応用例に限定されるものではない。
【0041】
まず、最初に本発明の配線パターン層4を多層プリント配線板の形成に応用した一例が図3に示される。
【0042】
図3に示される多層プリント配線板9は、例えば図2(e)に示されるような配線パターン層4を備える導電性基板3を3種類(配線パターンはそれぞれ異なる)用意して、これらを順次、図3の基板2上に転写したものである(図3)。すなわち、まず最初に図2(e)に示されるような配線パターン層4を基板2上に転写し、次いで、このものと直交方向に配置された配線パターン層5を転写にて形成し、さらにこの配線パターン層5上に、直交方向に配置された配線パターン層6を転写にて形成したものである。これらの配線パターン層4,5,6は、それぞれ、絶縁層20を備えているので、互いの絶縁性は担保されている。また、これらの配線パターン層4,5,6は、それぞれ導電層30(31,33)を備えているので、各パターン層の交差部ないし近接部にて導電層同士の接続が可能である。
【0043】
次いで、本発明の配線パターン層4が、いわゆる静電アクチュエータの固定子(移動子でもよい)に形成される電極部に応用された一例を図4に基づいて説明する。図4は3つの電極部45,46,47が絶縁性基板41の上に形成された斜視図である。第一の電極部45は、取り出し電極部45aと帯状電極部45bとを備え、第二の電極部46は、取り出し電極部46aと帯状電極部46bとを備え、第三の電極部47は、取り出し電極部47aと帯状電極部47bとを備えており、これらは図面からも分かるよう櫛形形状をなしている。そして、第一の電極部45と第二の電極部46の位置関係は、互いに交差することなく絶縁性基板41の上に配置されている(図5をみれば容易に理解できる)ので、互いの絶縁性には問題はない。しかしながら、第三の電極部47は、図4に示されるように第二の電極部46の上に一部、重なっているためにこれらの間には極めて高い絶縁性(耐電圧性)が必要となる。1kV前後の高電圧が各電極にかかるからである。従って、第三の電極部47を本発明の配線パターン層を用いて作成すれば、第二と第三の電極部の間に絶縁体を別途新たな工程にて設ける必要はなく、しかも、極めて簡単に絶縁性(耐電圧性)が担保された電極部が形成できる。この場合には、本発明の配線パターン層の絶縁層20の材料としてはポリイミド(特に、熱硬化したもの)が最適である。この適用例では、2つのパターン間において重なり部を生じる場合を例示したが、これに限定されることなく3つ以上のパターン間において重なり部を生じる場合にも適宜応用できることは言うまでもない。
【0044】
次いで、本発明の配線パターン層4が、いわゆる非接触ICカードの内部に収納される多層コイルに応用された一例を図6〜13に基づいて説明する。
【0045】
図6は本発明の配線パターン層が適用される非接触ICカード、特に、基板2の上に4層に積層されたコイル状の配線パターン層4a,4b,4c,4dを含むコイル部分8の断面を模式的に示した図である。また、図7は図6の平面図である。コイル部分8は、各コイル状の配線パターン層4a,4b,4c,4dに加えてさらに、図示されていない繋ぎ用の配線パターン部を備えている。この繋ぎ用の配線パターン部は、基板2の上かつコイル状の配線パターン層4aの下に形成されている。そして、繋ぎ用の配線パターン部は、後に詳述するように少なくとも配線のための端子および/または配線のための連結線を有し、前記各コイル状の配線パターン層4a,4b,4c,4dを同一巻き方向に連続接続する役目を果たしている。同一巻き方向に連続接続する具体的方法については後述する。このようなコイル部分8は、通常、外部の端末機と電磁結合されて機能するようになっている。
【0046】
図6および図7における各コイル状の配線パターン層4a,4b,4c,4dは、それぞれ、本発明の理解を容易にするとともに図面の線部の煩雑さを避けるために、単にリング形状に描かれているが、実際は、一方端をコイル外方に、他方端をコイル内方に備えるコイル状形態(螺旋形状)をなしている。
【0047】
前記4層のコイル状の配線パターン層4a,4b,4c,4dは、それぞれ、図1に示されるような接着剤層10と絶縁層20と導電層30(31,33)の積層された組み合わせからなっている。そして、各接着剤層10の粘着ないしは接着性によってコイル状の配線パターン層4a,4b,4c,4dの積層化が図られる。積層化は後述するような順次転写積層した重ね刷り方法によって形成される。また、前記積層される2層以上のコイル状の配線パターン部の重なり部分における絶縁は、上層に位置するコイル状の配線パターン部を構成する絶縁層20により、それぞれ、保たれる。なお、最下層のコイル状の配線パターン部4aは、前記繋ぎ用の配線パターン部(図示していない)を介して基板2の上に設けられるが、繋ぎ用の配線パターン部との絶縁は、絶縁層20により実現される。
【0048】
なお、前記4層のコイル状の配線パターン層4a,4b,4c,4dは、全て同一巻き方向(例えば、左巻きであればすべて左巻き)のコイル状の配線体である。
【0049】
なお、コイル状の配線パターン層4a,4b,4c,4dを転写によって基板2上に積層する際に用いる転写用の転写パターン層の作製は前述した図2に示される方法に従えば良い。
【0050】
このような転写用の転写パターン層を用いて、基板2の上に繋ぎ用の配線パターン部をも含めたコイル部分8を形成する方法について説明する。
【0051】
まず、図8の平面図に示されるように、基板2の上に所定のパターンの繋ぎ用の配線パターン部150を形成する。図中の配線パターン部150において、『〇』は、配線のための端子A〜Iを示しており、端子B−C間、端子D−E間、端子F−G間および端子H−I間は、それぞれ、配線のための連結線151,152,153および154によって接続されている。このような端子A〜Iや、連結線151,152,153および154は、それぞれ、導電性を有するとともに、微細なパターンとして形成できるものであればよく(幅5μm以上、厚さ5〜30μm程度)、特にこれらの形成方法についての制限はない。例えば、各種のフォトリソグラフィー法や、前述した転写法に準じて形成することもできる。転写法を用いた場合には、繋ぎ用の配線パターン部150をも含めたコイル部分8が全て転写法にて効率よく形成できるというメリットがある。
【0052】
このような繋ぎ用の配線パターン部150の上には、図9に示されるような本発明の第1層目のコイル状の配線パターン層4aが転写法にて形成される。
【0053】
図9におけるコイル状の配線パターン層4aは、本発明の理解を容易にするとともに図面の線部の煩雑さを避けるために、単にリング形状に描かれているが、実際は、一方端をコイル外方に、他方端をコイル内方に備えるコイル状形態(螺旋形状)をなしている。そしてコイル外方に位置するコイルの一方端は、図示のごとく外方向に少し引き出された形状をなし、その先端には端子A’が形成されている。この端子A’は、第1層目のコイル状の配線パターン層4aが基板2に転写された時点で、前述した繋ぎ用の配線パターン部150の端子A(図8)と重なるかあるいは極めて隣接された位置にくるように位置設定される。この一方で、コイル内方に位置するコイルの他方端は、図示のごとく内方向に少し引き出された形状をなし、その先端には端子B’が形成されている。この端子B’は、第1層目のコイル状の配線パターン層4aが基板2側に転写された時点で、前述した繋ぎ用の配線パターン部150の端子B(図8)と重なるかあるいは極めて隣接された位置にくるように位置設定される。そして、後述するような種々の好適な方法によって端子AとA’、BとB’とがそれぞれ接続される。また、これらの端子の存在は必須とは言えず、単に連結線の端部同士を後述する種々の方法により接続してもよい。
【0054】
次いで、第1層目のコイル状の配線パターン層4aが転写形成されたその上に、第2層目のコイル状の配線パターン層4bが転写され、形成される(図10)。図10におけるコイル状の配線パターン層4bもまた前述したように、単にリング形状に描かれているが、実際は、一方端をコイル外方に、他方端をコイル内方に備えるコイル状形態(螺旋形状)をなしている。そしてコイル外方に位置するコイルの一方端は、図示のごとく外方向に少し引き出された形状をなし、その先端には端子C’が形成されている。この端子C’は、第2層目のコイル状の配線パターン層4bが基板2側に転写された時点で、前述した繋ぎ用の配線パターン部150の端子C(図8)と重なるかあるいは極めて隣接された位置にくるように位置設定される。この一方で、コイル内方に位置するコイルの他方端は、図示のごとく内方向に少し引き出された形状をなし、その先端には端子D’が形成されている。この端子D’は、第2層目のコイル状の配線パターン層4bが基板2側に転写された時点で、前述した繋ぎ用の配線パターン部150の端子D(図8)と重なるかあるいは極めて隣接された位置にくるように位置設定される。そして、後述する種々の方法によって端子CとC’、DとD’とがそれぞれ接続される。
【0055】
次いで、第2層目のコイル状の配線パターン層4bが転写形成されたその上に、第3層目のコイル状の配線パターン層4cが転写され、形成される(図11)。
【0056】
図11におけるコイル状の配線パターン層4cもまた前述したように、単にリング形状に描かれているが、実際は、一方端をコイル外方に、他方端をコイル内方に備えるコイル状形態(螺旋形状)をなしている。そしてコイル外方に位置するコイルの一方端は、図示のごとく外方向に少し引き出された形状をなし、その先端には端子E’が形成されている。この端子E’は、第3層目のコイル状の配線パターン層4cが基板2側に転写された時点で、前述した繋ぎ用の配線パターン部150の端子E(図8)と重なるかあるいは極めて隣接された位置にくるように位置設定される。この一方で、コイル内方に位置するコイルの他方端は、図示のごとく内方向に少し引き出された形状をなし、その先端には端子F’が形成されている。この端子F’は、第3層目のコイル状の配線パターン層4cが基板2側に転写された時点で、前述した繋ぎ用の配線パターン部150の端子F(図8)と重なるかあるいは極めて隣接された位置にくるように位置設定される。そして、後述する種々の方法によって端子EとE’、FとF’とがそれぞれ接続される。
【0057】
次いで、第3層目のコイル状の配線パターン層4cの上に、第4層目のコイル状の配線パターン層4dが転写、形成される(図12)。
【0058】
図12におけるコイル状の配線パターン層4dもまた前述したように、単にリング形状に描かれているが、実際は、一方端をコイル外方に、他方端をコイル内方に備えるコイル状形態(螺旋形状)をなしている。そしてコイル外方に位置するコイルの一方端は、図示のごとく外方向に少し引き出された形状をなし、その先端には端子G’が形成されている。この端子G’は、第4層目のコイル状の配線パターン層4dが基板2側に転写された時点で、前述した繋ぎ用の配線パターン部150の端子G(図8)と重なるかあるいは極めて隣接された位置にくるように位置設定される。この一方で、コイル内方に位置するコイルの他方端は、図示のごとく内方向に少し引き出された形状をなし、その先端には端子H’が形成されている。この端子H’は、第4層目のコイル状の配線パターン層4dが基板2側に転写された時点で、前述した繋ぎ用の配線パターン部150の端子H(図8)と重なるかあるいは極めて隣接された位置にくるように位置設定される。そして、後述する種々の方法によって端子GとG’、HとH’とがそれぞれ接続される。
【0059】
このようにして、コイル状の配線パターン層4a,4b,4c,4dは4層に積層されるとともに、最初に基板2に形成された繋ぎ用の配線パターン部150の所定位置に接続されて、同一巻き方向かつ一本の連続接続されたコイル部分8が完成する。このように完成されたコイル部分8の平面図が図13に示されており、この図に基づいてコイル部分8中の信号の流れについて説明する。
【0060】
まず、外部から入力された信号はA点を通過した後、第1層目のコイル状の配線パターン層4aの外側から内側に向けてコイル巻き方向に従って(この実施例では左回りが例示されている)流れ、第1層目のコイル状の配線パターン層4aの内方の出口B点に至る。
【0061】
B点に到達した信号は、点線で示される連結線151によってコイルの外方のC点まで送られる。このC点を通過した信号は、第2層目のコイル状の配線パターン層4bの外側から内側に向けてコイル巻き方向に従って(この実施例では左回りが例示されている)流れ、第2層目のコイル状の配線パターン層4bの内方の出口D点に至る。
【0062】
D点に到達した信号は、点線で示される連結線152によってコイルの外方のE点まで送られる。このE点を通過した信号は、第3層目のコイル状の配線パターン層4cの外側から内側に向けてコイル巻き方向に従って(この実施例では左回りが例示されている)流れ、第3層目のコイル状の配線パターン層4cの内方の出口F点に至る。
【0063】
F点に到達した信号は、点線で示される連結線153によってコイルの外方のG点まで送られる。このG点を通過した信号は、第4層目のコイル状の配線パターン層4dの外側から内側に向けてコイル巻き方向に従って(この実施例では左回りが例示されている)流れ、第4層目のコイル状の配線パターン層4dの内方の出口H点に至る。
【0064】
H点に到達した信号は、点線で示される連結線154によってコイルの外方のI点まで送られる。このI点がコイル部分の外部への信号の出口となる。
【0065】
このような信号の流れをもっと分かりやすく簡潔に記載すると、A点→(第1層目のコイル状の配線パターン層4a)→B点→C点→(第2層目のコイル状の配線パターン層4b)→D点→E点→(第3層目のコイル状の配線パターン層4c)→F点→G点→(第4層目のコイル状の配線パターン層4d)→H点→I点となる。
【0066】
なお、上記実施例ではコイル状の配線体を4層に重ねた例を挙げて説明したが、これに限定されることなく種々の数の積層構成を採択することができる。また、巻き方向も左巻きに限定されるものではなく、同一の巻き方向が確保されれば左巻きでも右巻きでもよい。また、同一の巻き方向が確保されれば信号の流れを、コイルの内側から外側にしてもよいことは勿論のことである。
【0067】
次に、同一巻き方向に連続的に一本に接続されたコイル部分8を形成するために、基板2の上に形成された繋ぎ用の配線パターン部150(図8)の所定箇所と、積層された各コイル状の配線パターン層4a,4b,4c,4dの内側および外側の両端部を接続する手段について説明する。
【0068】
具体的な接続部分としては、例えば、前記図8〜図13に示される実施例中のA点とA’点、B点とB’点、C点とC’点、D点とD’点、E点とE’点、F点とF’点、G点とG’点、H点とH’点、I点とI’点である。これらの一対の各点は、重ねられたりあるいは隣接された状態(近接部)で配置された後に接続される。
【0069】
具体的接続法としては、(1) 印刷法、(2) ディスペンス法、(3) 超微粒子吹付け法、(4) レーザー描画法、(5) 選択無電解メッキ法、(6) 選択蒸着法、(7) 溶接接合法、(8) ワイヤーボンディング法、(9) ワイヤーボンディング装置を用いた1ショット法、 (10) レーザーメッキ法、(11)導電体と半田メッキとの積層体の一括転写法、 (12) 金属塊挿入法、(13) 無電解メッキ法等が挙げられる。
【0070】
上記(1) の印刷法による接続は、印刷により接続すべき箇所を構成する導電層相互間に跨がるように導電ペーストまたはハンダを固着して接合部を形成することにより行うものである。用いる印刷方式は特に限定されるものではないが、一般に厚膜の印刷に適し、電子工業分野で多用されているスクリーン印刷が好ましい。スクリーン印刷を行う場合には、予め配線間の接続部に相当する部分に開孔部をもつスクリーン印刷版を作成し、多層配線板上に位置を合わせて配置し、銀ペースト等の導電性ペーストインキを印刷すればよい。
【0071】
また、上記(2) のディスペンス法による接続は、上記の印刷法に類似しているが、導電性のインキを微細なノズルから噴出させ、配線間に接合部を直接描画形成することにより行うものである。具体的には、一般に接着剤等を必要箇所に少量付着させるために用いられている針状の噴出口を有するディスペンサーが使用できる。また、使用する導電性インキの粘度によっては、コンピュータ等の出力装置に使用されているインクジェット方式も使用可能である。
【0072】
上記(3) の超微粒子吹付け法は、超微粒子を高速の気流に乗せて搬送し、多層コイル配線板に近接して設けられた微細なノズルから接続すべき箇所に向かって吹き付けることによって、超微粒子と配線箇所との衝突エネルギーにより相互に燒結して膜を形成する方法であり、ガスデポジション法と呼ばれている方法が利用できる。この方法に用いる装置は、基本的には高真空と低真空の2つの真空槽と、各真空槽を接続する接続パイプからなる。そして、超微粒子は、アルゴンガス等を導入した低真空槽内において真空蒸発法により形成され、また、基板は高真空槽内に設置されている。上記の接続パイプは、低真空槽内の超微粒子の発生する近傍と、高真空槽内の多層コイル配線板の近傍部であって、この配線板に直交する方向とに開口部を有している。各真空槽は、それぞれ真空排気系によって一定の圧力に保たれているため、各真空槽間の圧力差により接続パイプ内には低真空槽から高真空槽へ向かう高速の気流(ガス流)が発生し、低真空槽内で発生した超微粒子はこの気流に乗せられて高真空槽側へ搬送され、配線箇所に衝突して互いに燒結し膜状になる。金、銀、銅、ニッケル等の金属を母材にこの方法を用いることにより、配線間の接続を必要とする箇所に選択的に導電体(接合部)を形成することができる。
【0073】
上記(4) のレーザー描画法は、導電性の微粒子を分散した溶液を多層コイル配線板に塗布し、この塗膜の所望の接続すべき箇所をレーザーによって加熱することにより、樹脂バインダーを分解あるいは蒸発させて除去し、この加熱箇所に導電性微粒子を析出、凝集させて選択的に導電体を形成するものである。溶液としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等に金、銀等の導電性微粒子を分散したものを用い、アルゴンレーザー等を絞って照射することにより、数十μm程度の細線を描画することができる。
【0074】
上記(5) の選択無電解メッキ法は、一般にフォトフォーミング法として知られている選択的な無電解メッキ技術を用いることができる。この技術は、還元可能で、かつ無電解メッキに対して触媒となる酸化状態の金属を含む感光剤層を多層コイル配線板上に形成し、この感光剤層を選択的に露光させることにより、無電解メッキに対して触媒となる金属粒子を接続すべき箇所に析出させ、その後、無電解メッキ液に浸漬することにより露光部にのみ選択的なメッキを施すものである。
【0075】
また、上記(6) の選択蒸着法は、薄膜形成技術の一つである選択的膜堆積技術を用いるものである。すなわち、真空槽内に金属、炭素等の導電性元素を含む有機金属ガス、あるいは、導電性元素を含む有機物の蒸気を導入し、真空槽内に設置した多層コイル配線板表面に上記のガスあるいは蒸気を吸着させ、次に、レーザーあるいはイオンビームを、集光あるいは収束して基板に照射し、その部分に吸着しているガスあるいは蒸気を熱または衝突エネルギーによって分解して、金属、炭素等の導電性物質を多層コイル配線板上に堆積させるものである。このような選択蒸着法は、LSIの配線修正技術として実用化されている。具体的には、集光したアルゴンレーザーによってクロム、コバルト、白金、タングステン等を含む有機金属ガスを分解して、これらの金属を所望の修正箇所に堆積する技術、あるいは、ガリウムのイオンビームによってピレン等の有機材料の蒸気を分解して炭素膜を堆積する技術を用いることができる。
【0076】
さらに、上記(7) の溶接接合法は、接続部をレーザーで選択的に加熱し、絶縁樹脂層を溶融・蒸発させ、さらに、導電性層自体も高温に加熱することによって、各配線部における導電性層を相互に融着して接合部を形成し接続するものである。
【0077】
上記(8) のワイヤーボンディング法は、例えば、導通されていない近接部を、ワイヤーボンディング装置を用いて、ワイヤーボンディングを行い接続する方法である。
【0078】
上記(9) のワイヤーボンディング装置を用いた1ショット法は、例えば、導通されていない近接部を、ワイヤーボンディング装置を用いて、1ショット(1回)のボンディングを行い、ブリッジなしの状態で接続する方法である。
【0079】
上記 (10) のレーザーメッキ法は、例えば、パラジウムメッキ液中に、接続操作前の多層コイル配線板を浸漬させた状態で、所定のスポット径、照射面でのパワー等を調整したレーザー(例えば、アルゴンレーザー)を、導通すべき近接部ないしは重なり部に所定時間照射し、照射部分に例えばPd膜を所定厚さに析出させて接続する方法である。なお、好ましくは、パラジウムメッキ液を循環させながらレーザーを照射させるのがよい。また、メッキ液は水洗により除去される。
【0080】
上記(11)の導電体と半田メッキとの積層体の一括転写法は、以下の通り。まず最初に、導電体層と半田メッキ層の積層体を以下の要領で作製する。すなわち、導電性の基板上に、レジスト法を用いて現像し所望のパターン(導電性パターン)を形成した転写基板の上に、例えば、電解メッキを施し導電体層を形成し、この導電体層上に所定の半田メッキ浴組成物を用いて半田メッキを行い、半田メッキ層を形成する。なお、半田メッキ層は、半田メッキの他、半田ペーストのスクリーン印刷、ディッピングでも同様に形成可能である。このようにして積層した積層体を、接続すべき配線部の導通されていない近接部(重なり部においても同様に対処可能である)に一括熱転写し、接続すべき箇所の接続を行う。この際、熱転写温度は半田メッキ層が溶融変形可能な温度である200〜300℃程度の温度範囲で行われる。
【0081】
上記 (12) の金属塊挿入法は、接続すべき配線部の導通されていない近接部の配線間隙に、例えば、直径30〜100μm程度の金属ボールを配置し、しかる後、その上から感圧接着剤を塗布したシートを圧着し、接続すべき箇所を接続する方法である。なお、金属ボールの使用は、より好ましい使用態様であるが、球形でないいわゆる金属片(塊)のようなものでも使用可能である。また、このような金属ボール(塊)は、前記印刷法、ディスペンス法においても接続部の信頼性をより向上させるために使用することもできる。すなわち、金属ボールを設置した後に、前記の印刷ないしはディスペンスを行うのである。
【0082】
上記の(13)無電解メッキ法は、接続前のコイル部分を形成した基板上に無電解メッキ触媒を全面に塗布して触媒層を形成し、次いで、この上にフォトレジストを塗布形成したのち、所定のフォトマスクを用いてレジスト層を密着露光、現像し、コイル部分の接続すべき部分に相当する部分を露出させ、この露出部分を活性化させた後、無電解銅メッキ行い接続部を形成させる手法である。
【0083】
【実施例】
次に、具体的実験例を示して本発明の配線パターン層についてさらに詳細に説明する。
【0084】
実験例1
(1)転写用の配線パターン層4の形成(図2(e)対応))および基板上への配線パターン層4の転写による形成(図1対応)
導電性基板(転写板)として、表面を研磨した厚さ0.15μmのステンレス板を準備し、このステンレス板上に厚さ約5μmのCuを電解メッキにより形成した。すなわち、上記のステンレス板と白金電極を対向させて下記の組成のピロ燐酸銅メッキ浴(pH=8,液温=55℃)中に浸漬し、直流電源の陽極に白金電極を陰極に上記の転写基板を接続し、電流密度3A/dm2 で5分間の通電を行い、厚さ約5μmのCuメッキ膜を形成し導電層31とした。
【0085】
(ピロ燐酸銅メッキ浴の組成)
ピロ燐酸銅 … 94g/l
ピロ燐酸銅カリウム … 340g/l
アンモニア水 … 3cc/l
次いで、このCuメッキ膜の上に厚さ約2000ÅのNiを下記の要領で電解メッキにより形成した。すなわち、下記の組成のメッキ浴(pH=4.2〜4.5,液温=50℃)中に浸漬し、直流電源の陽極に白金電極を陰極に上記の板を接続し、電流密度0.05A/dm2 で3分間の通電を行い、厚さ約2000ÅのNiメッキ膜を形成し導電層33とした。
【0086】
(メッキ浴組成)
スルファミル酸ニッケル … 350g/l
ほう酸 … 40g/l
次いでこの上に、絶縁層としての感光性ポリイミドコーティング液(東レ(株)製,フォトニース:UR−5100FX 100cps)をスピンコート法により膜厚約20μmに塗膜形成した。スピンコート条件は、500rpm−10sec,2000rpm−30secの2段階とした。そしてこの塗膜を70℃のクリーンオーブンで60分、プリベークした。
【0087】
次いで、所定のパターンを備えるマスクを塗膜に密着し、露光装置P−202−G(大日本スクリーン製造(株)製)を用いて密着露光を行った。露光時間は600counts(約30秒)とした。
【0088】
このような密着露光後、フォトニース現像液を(東レ(株)製:DV−605)用いて約20分間現像した後、イソピルアルコールで約1分間リンスを行った。
【0089】
次いで、現像後の感光性ポリイミド(絶縁層)をポストベーク(硬化処理)して感光性ポリイミドを更に硬化させた。硬化処理は、クリーンオーブンを用いて、180℃−60分、300℃−60分の2段階の処理とした。硬化後のポリイミドの膜厚は約10μmであった。
【0090】
次いで、10%の塩化第2鉄溶液を用いて、導電層であるCuメッキ層とNiメッキ層をエッチング処理した。エッチング時間は約5〜10分程度とした。
【0091】
このエッチング処理によって形成された凹凸面全体に粘着剤(接着剤)を塗布した。すなわち、粘着剤(日本カーバイド工業(株)製:ニッセツPE−118)とトルエンを重量比1:1の割合で混合するとともに、さらに硬化剤(日本カーバイド工業(株)製:CK−100)を粘着剤に対して重量比100:1の割合で室温中で約1時間混合したものを粘着剤として用い、このものをスピンナーで塗布して約3μmの膜厚の接着剤層(粘着剤層)を得た。スピンナー条件としては、500rpm−5sec,3000rpm−30secの2段階塗布とした。
【0092】
しかる後、このように作製した積層体の基板への転写を以下の要領で行った。すなわち、25μm厚さのポリイミドフィルムに、室温下、圧力10kgf/cm2 の圧着条件で配線パターン層の転写を行い、配線パターン層を形成した。
【0093】
実験例2
導電性基板(転写板)として、表面を研磨した厚さ0.15μmのステンレス板を準備し、このステンレス板上に厚さ約5μmのCuを電解メッキにより形成した。すなわち、上記のステンレス板と白金電極を対向させて下記の組成のピロ燐酸銅メッキ浴(pH=8,液温=55℃)中に浸漬し、直流電源の陽極に白金電極を陰極に上記の転写基板を接続し、電流密度3A/dm2 で5分間の通電を行い、厚さ約5μmのCuメッキ膜を形成し導電層31とした。
【0094】
(ピロ燐酸銅メッキ浴の組成)
ピロ燐酸銅 … 94g/l
ピロ燐酸銅カリウム … 340g/l
アンモニア水 … 3cc/l
次いで、このCuメッキ膜の上に厚さ約2000ÅのNiを下記の要領で電解メッキにより形成した。すなわち、下記の組成のメッキ浴(pH=4.2〜4.5,液温=50℃)中に浸漬し、直流電源の陽極に白金電極を陰極に上記の板を接続し、電流密度0.05A/dm2 で3分間の通電を行い、厚さ約2000ÅのNiメッキ膜を形成し導電層33とした。
【0095】
(メッキ浴組成)
スルファミル酸ニッケル … 350g/l
ほう酸 … 40g/l
次いでこの上に、絶縁層としてのポリイミドコーティング液(東レ(株)製,セミコファイン:SP−341 100cps)をスピンコート法により膜厚約20μmに塗膜形成した。スピンコート条件は、500rpm−10sec,1500rpm−30secの2段階とした。そしてこの塗膜を110℃、5分間ホットプレート上で乾燥をおこなった。その後、ポジ型レジスト(東京応化工業(株)製,OFPR85 20cps)をスピンコート法により厚さ約1μmとなるように塗布形成した。スピンコート条件は500rpm−5sec,1500rpm−40secの2段階とした。その塗膜を85℃で30分間、温風循環オーブンで乾燥した。
【0096】
次いで、所定のパターンを備えるマスクを塗膜に密着し、露光装置P−202−G(大日本スクリーン製造(株)製)を用いて密着露光した。露光時間は30カウント(約15秒)とした。
【0097】
このような密着露光後、弱アルカリ現像液NMD−3((東京応化工業(株)製)を用いて約1分間現像した後、純水で洗浄を行ない、レジストの所定パターニングを行なった。このようにして現像された所定パターンをマスクとしてポリイミドの層を、上記と同様に、弱アルカリ現像液NMD−3((東京応化工業(株)製)を用いて約2分間エッチングした。その後、アセトンでポジレジストを剥離し、ポリイミドを350℃で熱硬化させた。次いで、10%塩化第2鉄溶液を用いて、導電層である銅メッキ層(Niメッキ層)をエッチング処理した。処理時間は、約5分間程度とした。
【0098】
このエッチング処理によって形成された凹凸面全体に粘着剤(接着剤)を塗布した。すなわち、粘着剤(日本カーバイド工業(株)製:ニッセツPE−118)とトルエンを重量比1:1の割合で混合するとともに、さらに硬化剤(日本カーバイド工業(株)製:CK−100)を粘着剤に対して重量比100:1の割合で室温中で約1時間混合したものを粘着剤として用い、このものをスピンナーで塗布して約3μmの膜厚の接着剤層(粘着剤層)を得た。スピンナー条件としては、500rpm−5sec,3000rpm−30secの2段階塗布とした。
【0099】
しかる後、このように作製した積層体の基板への転写を以下の要領で行った。すなわち、25μm厚さのポリイミドフィルムに、室温下、圧力10kgf/cm2 の圧着条件で配線パターン層の転写を行い、配線パターン層を形成した。
【0100】
実験例3
上記実験例2において、ポリイミドの熱硬化処理を銅メッキ層(Niメッキ層)のエッチング処理後に行った。すなわち、アセトンでポジレジストを剥離し、ポリイミドを350℃で熱硬化させる操作を、導電層である銅メッキ層(Niメッキ層)をエッチング処理した後に行った。それ以外は、上記実験例2と同様にして、実験例3の配線パターン層を形成した。
【0101】
このようにして本発明の配線パターン層の具体的作製の実験(実験例1〜3)を行った結果、本発明では配線パターン層形成のための特別な版が不要であり、配線パターン層を転写前に検査でき、製品歩留の向上が図られることが確認できた。また、接着剤層、絶縁層、導電層の一体的な転写ができ、工程の簡略化が図られるということも確認できた。
【0102】
さらに、本発明の配線パターン層を用いて図3に示されるような多層プリント配線板、図4に示されるような静電アクチュエータの電極、および図6に示されるような非接触ICカード用の多層コイルを、それぞれに作製したところ、いずれも良好な機能を果たすことが実験的に確認された。
【0103】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、基板上に形成される配線パターン層であって、該配線パターン層は、接着剤層、絶縁層、導電層を順次一体的に備えるとともに、一体的に転写されて形成されてなるように構成され、またその製造方法は、導電性基板の上に導電層を形成する工程と、この導電層上に絶縁層をパターン形成する工程と、該絶縁層のパターンに沿って前記導電層をエッチングする工程と、少なくとも絶縁層の表面に接着剤層を形成する工程と、これらの工程によって導電性基板の上にパターン形成された導電層、絶縁層および接着剤層を一体的に配線すべき基板上に転写する工程とを含んで構成されるので、特に、配線パターン層形成のための特別な版を作ることなく作製でき、また、配線パターン層を転写前に検査できるので、製品歩留の向上が図られるという効果を奏する。また、接着剤層、絶縁層、導電層の一体的な転写ができ、工程の簡略化が図られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】基板上に本発明の配線パターン層が形成されている状態を示す概略断面図である。
【図2】本発明の配線パターン層の製造方法を経時的に示した概略断面図である。
【図3】本発明の配線パターン層を多層プリント配線板に応用した場合の概略断面図である。
【図4】本発明の配線パターン層を静電アクチュエータの電極に応用した場合の概略斜視図である。
【図5】図4に至る前の静電アクチュエータの電極形成の概略斜視図である。
【図6】本発明の配線パターン層の具体的応用例を示したものであり、非接触ICカード、特に、基板の上に4層に積層されたコイル状の配線パターン層を含むコイル部分の断面を模式的に示した図である。
【図7】図6の平面図である。
【図8】基板上に繋ぎ用の配線パターン部が配置された平面図である。
【図9】第1層目のコイル状の配線パターン層の平面図である。
【図10】第2層目のコイル状の配線パターン層の平面図である。
【図11】第3層目のコイル状の配線パターン層の平面図である。
【図12】第4層目のコイル状の配線パターン層の平面図である。
【図13】転写法により積層され完成されたコイル部分の平面図である。
【符号の説明】
2…基板
3…導電性基板
4,5,6…配線パターン層
10…接着剤層
20…絶縁層
30(31,33)…導電層
Claims (7)
- 導電性基板の上に導電層を形成する工程と、この導電層上に絶縁層をパターン形成する工程と、該絶縁層のパターンに沿って前記導電層をエッチングする工程と、少なくとも絶縁層の表面に接着剤層を形成する工程と、これらの工程によって導電性基板の上にパターン形成された導電層、絶縁層および接着剤層を一体的に配線すべき基板上に転写する工程とを含む、配線パターン層の製造方法であって、
前記導電性基板の上に導電層を形成する工程は、少なくとも2種類の組成の異なる第1および第2の導電性層を順次積層する積層操作を含み、前記絶縁層側に位置する第2の導電性層がNi層またはCr層であることを特徴とする配線パターン層の製造方法。 - 前記第1の導電性層がCu層である請求項1に記載の配線パターン層の製造方法。
- 前記導電層を形成する工程は、電解メッキによって行われてなる請求項1または請求項2に記載の配線パターン層の製造方法。
- 前記絶縁層をパターン形成する工程は、感光性樹脂組成物を塗布し、所定のパターンのマスクを介して露光後、現像することによって行われてなる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の配線パターン層の製造方法。
- 前記絶縁層をパターン形成する工程は、感光性樹脂組成物を塗布し、所定のパターンのマスクを介して露光、現像後、さらに熱硬化することによって行われてなる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の配線パターン層の製造方法。
- 前記絶縁層をパターン形成する工程は、絶縁樹脂を塗布・乾燥し、その上に感光性樹脂組成物を塗布し、当該感光性樹脂組成物を所定のパターンのマスクを介して露光・現像後、さらに、その現像された感光性樹脂組成物をマスクとして絶縁樹脂をエッチングすることによって行われてなる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の配線パターン層の製造方法。
- 前記絶縁層をパターン形成する工程は、絶縁樹脂を塗布・乾燥し、その上に感光性樹脂組成物を塗布し、当該感光性樹脂組成物を所定のパターンのマスクを介して露光・現像後、さらに、その現像された感光性樹脂組成物をマスクとして絶縁樹脂をエッチングし、しかる後、熱硬化することによって行われてなる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の配線パターン層の製造方法。
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