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JP3752030B2 - 空調空気床吹き出し装置 - Google Patents
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JP3752030B2 - 空調空気床吹き出し装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、床下空間を空調空気の供給用チャンバとして利用する空調システムにおいて、加圧方式で供給された空調空気を室内に供給すべく床面に設ける吹出口の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、OA機器の普及に伴って室内の配線量が増加し、また配置される事務機器の変更、増設に対する床及び配線の変更、拡張性が重要となってきている。係る観点から、最近の事務所建設では、電力、通信の各種配線を床下に敷設するフリーアクセス・フロアを採用するケースが半分以上を占めている。
【0003】
床吹き出し空調システムは、そのようにフロア配線のため床下空間を空調空気の供給用のチャンバとして利用するものであり、注目を浴びている。
ところで、床下空間を空調空気の供給用チャンバとして利用する場合、歩行感や、室内の高さに起因する圧迫感、建設費等を鑑みると、チャンバとなる床下空間の高さはなるべく低い方が好ましい。そこで、フリーアクセス・フロアを採用する場合は、床下空間の高さが100mm以下の低床式のものが大半である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、今までは、100mm以下の低床式のフリーアクセス・フロアにおける床下空間を空調吹き出しのエア・チャンバとして利用する床吹き出し空調システムは、技術的な問題から採用されていなかった。それは以下の理由による。
【0005】
床下チャンバの高さが低くなると、床下チャンバ内で生じる動圧/静圧の変換や渦の発生による圧力損失に起因した圧力分布が発生し、そのままでは空調空気を各吹出口から均一に吹き出させることが不可能である。
【0006】
そのため従来の加圧式の床吹き出し空調システムでは、各吹出口に各風量調節のためのダンパを設け、各吹出口毎にダンパの開度を個別に調節することによって、各吹出口の風量を調節する必要があった。
【0007】
しかしながら、多数設けられている吹出口の各ダンパを個々に調節して各吹出口の風量の均一化を図ることは事実上困難であった。
また、個々の吹出口にファンを設置する方法もあるが、これには、低い床下空間にファンを設置することの困難性や、システムが複雑化することに起因する問題があり、簡略な加圧方式の床吹き出し空調システムの開発が望まれていた。
【0008】
また、居住地域間に直接空調空気を供給する床吹き出し空調システムでは、ドラフト感を改善するために吹き出し方向の調節機能が必要である。更に、温熱環境を良好に保つためには、冷風吹き出し時・温風吹き出し時の各々の場合に気流方向を調整する機能が必要である。
【0009】
しかしながら、従来の床吹き出しシステムでは、フリーアクセス・フロアの主流である100mm以下の低床に適用可能で、且つ実践的で効果的な吹き出し方向の切替機能を持ったものがなかった。
【0010】
本発明は、このような従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、低床の床吹き出し空調システムにも利用可能で、簡単な構造ながら吹き出し方向を効果的に切り換えることができる空調空気の床吹き出し装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
本発明は、床下空間を空調空気の供給用チャンバとし、床面に設けた吹出口から前記床下空間の空調空気を室内に供給する空調空気床吹き出し装置において、前記供給用チャンバ内に前記吹出口に連なる吹き出し通路を設け、この吹き出し通路内に空調空気を旋回させる旋回流形成板を設け、この旋回流形成板を吹き出し通路の軸方向に沿って位置変更可能とし、吹き出し通路における旋回流形成板の位置により吹き出し通路の周壁と旋回流形成板との隙間寸法が変化することを特徴とする空調空気床吹き出し装置である。
【0012】
吹き出し通路の一端の開口から流入した空調空気の一部は旋回流形成板の内部に流入して旋回した気流となり、残りの空調空気は旋回流形成板の外周縁外側の吹き出し通路に流入して直進する気流となる。
【0013】
また、旋回流形成板の位置を変化させることにより、吹き出し口から垂直に直進する気流の空調空気の風量を調整し、この垂直に直進する空調空気と干渉して旋回する気流の空調空気の広がりを任意に制限することができる。
【0014】
即ち、前記隙間寸法を小さくしまたはゼロにした場合には、前記隙間を通過する気流の風量は少ないか無いため、吹き出し通路の円周方向に旋回する気流の速度成分は殆ど影響を受けない。その結果、旋回する気流の空調空気は吹出口を出た後にコアンダ効果により床面に付着するように床面に沿って放射状に流れる。
【0015】
一方、前記隙間寸法を大きくした場合には、前記隙間を通過する気流の風量は多いため、そのまま上昇気流となって床面に対してほぼ垂直に流れる。また、旋回流形成板によって旋回流となった空調空気は、床面に対してほぼ垂直に流れる前記気流と干渉して吹き出し通路の垂直方向の速度成分が大きくなる。その結果、吹出口を出た後も残った円周方向の速度成分で旋回しながら床面に対してほぼ垂直に流れる。
【0016】
したがって、旋回流形成板の上下方向位置を変えることによって、吹出口から室内に吹き出される空調空気の流れ方向を所望の方向に設定することができる。尚、前記周壁の形状としては、テーパ状、直線または円弧状を例示することができる。
【0017】
また、本発明は、床下空間を空調空気の供給用チャンバとし、床面に設けた吹出口から前記床下空間の空調空気を室内に供給する空調空気床吹き出し装置において、(イ)上下開口の筒状の周壁を備え、この周壁の内部が吹き出し通路になっていて、上部を吹出口に連結固定し下部を前記供給用チャンバ内に挿入させたケーシングと、(ロ)前記ケーシングの内部にケーシングの軸方向へ移動可能に設置され、ケーシング内を流れる空調空気に旋回流を生じせしめる旋回流形成板と、(ハ)前記旋回流形成板を前記ケーシングの軸方向に沿って移動せしめる移動機構と、を備え、前記ケーシングの周壁が、前記旋回流形成板の軸方向移動により旋回流形成板との隙間寸法を変化させる形状に形成されていることを特徴とする空調空気床吹き出し装置である。このように構成した場合も、前記と同様の作用をなす。
【0018】
前記ケーシングの周壁は吹出口に接近するにしたがって漸次拡径するテーパ状に形成することができる。
吹き出し通路の周壁をテーパー状に形成した場合には、旋回流形成板の吹き出し通路内における上下方向位置を変えると、周壁と旋回流形成板の外周縁との隙間寸法が変化する。即ち、旋回流形成板を吹き出し通路の下部に近い側に位置させた時には前記隙間寸法は小さくなり、吹き出し通路の上方に位置させた時には前記隙間寸法は大きくなる。
【0019】
前記隙間寸法を小さくした場合には、前記隙間を通過する気流が小さいため、吹き出し通路の円周方向に旋回する気流の速度成分が大きくなる。その結果、この空調空気は吹出口を出た後にコアンダ効果によって床面に付着するように床面に沿って放射状に流れる。
【0020】
一方、前記隙間寸法を大きくした場合には、吹き出し通路の周壁に沿う気流はそのまま上昇気流となって床面に対してほぼ垂直に流れる。そして、旋回流形成板によって旋回流となった空調空気は、前記隙間を通過した後に前記吹き出し通路の周壁に沿って上昇する気流と干渉して吹き出し通路の垂直方向の速度成分が増加する。その結果、吹出口を出た後も残った円周方向の速度成分で旋回しながら床面に対してほぼ垂直に流れる。
【0021】
したがって、旋回流形成板の上下方向位置を変えることによって、吹出口から室内に吹き出される空調空気の流れ方向を所望の方向に設定することができる。
【0022】
また、前記ケーシングの周壁は、吹出口側に大径の開口を備えた大径部を有し、この大径部の下部には吹き出し通路の内側に突出する段部を環状に設け、この段部の内側には前記開口より小径の開口を設けて構成し、前記旋回流形成板はその外周縁と吹き出し通路の大径部内壁面との間に隙間を有して該大径部内に収容し、前記段部に対して接近離反可能に設けることができる。
【0023】
吹き出し通路の小径の開口から流入した空調空気の一部は旋回流形成板の内部に流入して旋回した空調空気を発生し、残りの空調空気は旋回流形成板の外周縁の外側の隙間に流入して直進する空調空気を発生させる。
【0024】
また、旋回流形成板の位置を変化させることにより、段部と旋回流形成板との離間寸法を変化させて吹き出し口から垂直に直進する空調空気の風量を調整することができるとともに、旋回する空調空気の広がりを制限することができる。
【0025】
即ち、旋回流形成板の上下方向位置を変えることによって、吹出口から室内に吹き出される空調空気の流れ方向を所望の方向に設定することができる。
【0026】
また、前記旋回流形成板は、略径方向に複数形成された透孔の周壁に羽根を設けて構成することが可能である。
羽根は水平面に対して傾斜させるのがよく、前記ケーシングの内面が滑らかで、水平面に対する羽根の傾斜角度を30度以下に設定した場合には、旋回流形成板を吹き出し通路の下部に近い側に位置させて周壁と旋回流形成板の外周縁との隙間を最小にしたときに、カバーの下面から羽根の上縁までの距離を15mm以下にするのが好ましい。当該距離をこれより大きい寸法にすると、吹き出し気流の旋回成分がケーシングの内面の摩擦損失によって減衰し、コアンダ効果を得られにくくなり、吹き出し気流の床面付着が生じにくくなる。ただし、旋回流形成板の構成はこれに限られるわけではない。
【0027】
また、前記吹出口を、透孔を有するカバーによって覆うのが好ましい。
その場合には、上から見た時にカバーの透孔を同心円状の円弧形に形成するのが特に好ましい。このようにすると、旋回流形成板で生じた吹き出し気流の旋回成分が透孔によって減殺されることがないので、コアンダ効果による吹き出し気流の床面付着が有効に達成される。
【0028】
これに対して、透孔をカバーの中央から放射状に形成すると、旋回流形成板で生じた吹き出し気流の旋回成分が透孔を通過する際に減殺され、その結果、コアンダ効果による吹き出し気流の床面付着が生じにくくなる。
【0029】
カバーを設ける場合には、透孔の開口率(即ち、カバー総面積に対する透孔の総面積の比率)を40%以上にするのが好ましい。また、吹出口から空調空気を吹き出している時にはカバーの中央近傍において室内空気を床吹き出し装置内に誘引する作用が働くので、カバーの中心側では、特に、カバーの中心から半径60%の範囲の部分の開口率を大きくするのが好ましい。当該部分の開口率を小さくすると、水平方向に吹き出す気流と誘引気流が干渉して、コアンダ効果による吹き出し気流の床面付着が生じにくくなる。
【0030】
また、カバーの透孔を形成している内面を鉛直面とした場合には、透孔の幅寸法sとカバーの厚さ(即ち、透孔の高さ)寸法hとの比を s/h≧2.5 となるように設定するのがよい。この範囲を外れると、コアンダ効果が得られにくくなる。
【0031】
また、前記移動機構を、前記ケーシングの内部に設けられてケーシングに固定された上下方向に延びるガイドピンと、このガイドピンを遊挿せしめる前記旋回流形成板に設けられたガイド孔と、前記ケーシングに回動自在に支持され外周面に雄ネジが形成されたネジロッドと、前記旋回流形成板の中央に設けられ前記ネジロッドの雄ネジに螺合するネジ孔と、から構成することができる。このようにすると、移動機構の構造が簡単になる。
【0032】
このように構成された移動機構の場合には、ガイドピンとガイド孔との係合が旋回流形成板をケーシングに対して軸方向に移動可能で且つ回動不能にするので、ネジロッドをケーシングに対して回転すると、ネジロッドの雄ネジと旋回流形成板のネジ孔との螺子作用により、旋回流形成板をケーシングの内部で上下移動せしめることができる。
【0033】
また、前記吹出口を、吹き出し孔を有するカバーで覆い、前記移動機構のネジロッドの下端を前記ケーシングの下部に回動自在に取り付け、ネジロッドの上端を前記カバーの中央に設けた孔に遊挿して露出させ、室内側からネジロッドを回動操作可能に構成することも可能である。このようにすると、旋回流形成板の上下位置調節の操作を、カバーを取り外すこともなく、室内側から簡単に行うことができる。
【0034】
また、吹出口を前記カバーで覆った場合における移動機構の別の構成としては、例えば、ケーシングの底部に固定したガイドピンを旋回流形成板のガイド孔に遊挿し、カバーをケーシングに回動自在に取り付け、このカバーの下面中央に固定したネジロッドを下方に延ばし、旋回流形成板の中央に設けたネジ孔にネジロッドを螺合してもよい。この場合には、ガイドピンとガイド孔との係合により旋回流形成板とケーシングは軸方向に相対移動可能で且つ相対回動不能になり、したがって、ケーシングに対してカバーを回転すると、カバーとともにネジロッドが回転するので、旋回流形成板を上下動させることができる。
【0035】
また、前記ケーシングの下部開口にフィルタを設けるのが好ましい。このようにすると、フィルタを通過した清浄な空調空気を室内に吹き出すことができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る空調空気床吹き出し装置の実施の形態を図1から図11の図面に基づいて説明する。
【0037】
〔第1の実施の形態〕
初めに、第1の実施の形態について図1から図8に基づいて説明する。
図1は空調空気床吹き出し装置(以下、床吹き出し装置という)の縦断面図である。この図において、床1とフロア構造物Fとの間が空調空気の供給用チャンバ(以下、チャンバという)Cになっていて、このチャンバC内に空調空気が加圧供給される。
【0038】
床1には所定の間隔おきに吹出口2が開口しており、この吹出口2には、略円錐筒状のケーシング10が固定されている。ケーシング10は上下を開口させており、上端には外方へ張り出す環状のフランジ部11が設けられ、下端には空気流通開口14を有する底板部12が設けられていて、フランジ部11の内周縁と底板部12の外周縁が周壁13によって連結されている。
【0039】
このケーシング10は、フランジ部11を吹出口2周りの床面1aに適宜手段により固定し、底板部12及び周壁13を吹出口2からチャンバC内に突出させて、床1に固定されている。
【0040】
周壁13は底板部12からフランジ部11に接近するにしたがって連続的に漸次拡径するテーパー状に形成されており、この周壁13の内部が吹き出し通路19になっている。
【0041】
図4はケーシング10の平面図であり、この図に示すように、底板部12の中央には、4本の橋絡部12aを介して底板部12の外周部12bに連結されたリング部12cが設けられており、橋絡部12aと外周部12bとリング部12cとの間が空気流通開口14になっている。
【0042】
そして、底板部12の下面には空気流通開口14を覆うようにフィルタ20が取り付けられている。
また、互いに180度離間して配された2つの橋絡部12aの上面には、それぞれガイドピン15が起立姿勢に固定されている。
【0043】
ケーシング10にはネジロッド30が回転自在に取り付けられている。ネジロッド30は外周面に雄ネジ31aが形成された軸部31を有し、この軸部31の下部に設けたストッパプレート32をケーシング10のリング部12aに載置し、ストッパープレート32よりも下方の軸部31を、リング部12aに設けた軸受孔16に回動自在に遊挿し、リング部12aを貫通した軸部31の下端に割りピン(図示せず)を装着することによって、ケーシング10に対し軸方向へ移動不能で且つ周方向へ回転自在に取り付けられている。
【0044】
軸部31の上端には軸部31よりも大径の円盤状のヘッド部33が設けられており、ヘッド部33の上面には硬貨やマイナスドライバー等が差し込めるように凹部33aが形成されている(図6参照)。
【0045】
ケーシング10の内部には、旋回流形成板40が上下動可能に取り付けられている。図5は旋回流形成板40の平面図であり、旋回流形成板40は円形板状をなし、その外径はケーシング10の底板部12の外径よりも若干大きく設定されている。旋回流形成板40には、その中央に貫通孔が設けられており、上面には前記貫通孔と同心上にナット41が固定されている。ナット41には、前記ネジロッド30の雄ネジ31aが螺合可能なネジ孔42が設けられている。
【0046】
旋回流形成板40には、空調空気を流通させる複数の略扇形の透孔43が放射状に形成されている。この第1の実施の形態においては、この透孔43を形成する内側円弧部と外側円弧部と径方向の2つの直線部のうち1つに切り込みを形成し、残りの直線部を折曲線としてこれを上方へ所望の角度(90度未満)に折り曲げて、透孔43が形成されている。そして、折り曲げられた略扇形の折片は、空調空気に旋回流を生じせしめる羽根44を構成している。
【0047】
また、旋回流形成板40には、互いに180度離間する部位に前記ケーシング10のガイドピン15を遊挿せしめる2つのガイド孔45が形成されている。
この旋回流形成板40は、各ガイド孔45にそれぞれガイドピン15を遊挿させ、ナット41のネジ孔42にネジロッド30の雄ネジ31aを螺合させて、ケーシング10内に取り付けられている。
【0048】
ガイドピン15は旋回流形成板40をケーシング10に対して回動不能にし、且つ、上下動可能に案内する。したがって、ネジロッド30を回転すると、雄ネジ31aとネジ孔42のネジ作用により旋回流形成板40がネジロッド30の軸方向に移動し、これにより、ケーシング10内における旋回流形成板40の上下方向位置を変えることができる。この第1の実施の形態では、ガイドピン15とガイド孔45、及び、雄ネジ31aとネジ孔42によって移動機構が構成されている。
【0049】
ケーシング10の上部にはカバー50が固定されている。図6はカバー50の平面図であり、カバー50はケーシング10のフランジ部11とほぼ同外径の円盤状をなし、その外周部が適宜手段によりフランジ部11に固定されている。
【0050】
カバー50には、空調空気を流通させる円弧形状の透孔51が多数形成されている。また、カバー50の中央には支持孔52が開口しており、この支持孔52に前記ネジロッド30のヘッド部33が回動自在に遊挿されている。ヘッド部33はカバー50の上面とほぼ面一に配されて露出しており、室内側からネジロッド30を回転することができるようになっている。
【0051】
このように構成された床吹き出し装置においては、図示しない空調機から床下のチャンバC内に加圧供給された空調空気は、フィルタ20を通過して空気流通開口14からケーシング10内に流入し、更にカバー50の透孔51を通って室内に吹き出される。空調空気はフィルタ20を通過する際にダスト等が除去され、清浄な空気が室内に供給される。
【0052】
ところで、この床吹き出し装置においては、旋回流形成板40の上下方向位置を変えることにより空調空気の吹き出し方向を微妙に変更することができる。これについて図2及び図3を参照して以下に詳述する。
【0053】
旋回流形成板40の上下方向位置を変更するには、室内側からネジロッド30のヘッド部33の凹部33aに硬貨やマイナスドライバー等の先端を差し込み、ネジロッド30を適宜方向に回転することにより行う。
【0054】
ケーシング10の周壁13がテーパー状に形成されているために、旋回流形成板40のケーシング10内における上下方向位置を変えると、周壁13と旋回流形成板40の外周縁との隙間寸法が変化する。即ち、旋回流形成板40をケーシング10の底板部12に近い側に位置させた時には前記隙間寸法は小さくなり、カバー50に近い側に位置させた時には前記隙間寸法は大きくなる。
【0055】
図2は旋回流形成板40をケーシング10内において下方に位置せしめ、周壁13と旋回流形成板40の外周縁との隙間寸法を小さくした場合を示している。この場合には、旋回流形成板40の透孔43を通過した空調空気A2は羽根44によって旋回流となり、コアンダ効果により床面1aに沿って放射状に流れる。また、前記隙間を通過し周壁13に沿って上昇する空調空気A1は、コアンダ効果の助けによって、床1から上方に噴出せずにカバー50の透孔51を通過した後に床面1aに付着する如く床面1aに沿って放射状に流れる。この吹き出し方向は、通常、暖房時に好んで用いられる。
【0056】
図3は旋回流形成板40をケーシング10内において上方に位置せしめ、周壁13と旋回流形成板40の外周縁との隙間寸法を大きくした場合を示している。この場合には、前記隙間を通過し周壁13に沿って上昇する空調空気A3は、床1から上方に噴出する速度成分の大きさが空調空気A2の水平方向の速度成分の大きさよりも遥かに大きいためコアンダ効果の影響を受けない。その結果、この空調空気A3は、カバー50の透孔51を通過した後もそのまま上昇気流となって、床面1aに対してほぼ垂直に流れる。また、旋回流形成板40の透孔43を通過した空調空気A4は羽根44によって旋回流となるが、この旋回流の空調空気A4は、床面1aに対してほぼ垂直に上昇する前記空調空気A3と干渉してカバー50の透孔51を通過した後も旋回しながら床面1aに対してほぼ垂直に流れる。この吹き出し方向は、通常、冷房時に好んで用いられる。
【0057】
周壁13と旋回流形成板40の外周縁との隙間を通過し周壁13に沿って上昇する空調空気に対するコアンダ効果の大きさは、結果として前記隙間の大きさによって変わる。したがって、ケーシング10の底板部12からの旋回流形成板40の高さ寸法をどのように設定するかによって、カバー50の透孔51から室内に吹き出される空調空気の流れ方向を所望に設定することができる。
【0058】
床吹き出し装置の出口抵抗係数をζ0、フィルタ20の圧力損失をPf0、空気の比重量をγ、重力加速度をg、基準吹き出し風速をV0、吹出口2の有効開口率をRk、供給用チャンバCの高さをD、供給用チャンバCの長さをL、吹出口2のピッチをp、ケーシング10の上端内径をdとしたときに(図7及び図8参照)、次式で表す吹出口2の抵抗係数Kが、K≧1となるように前記各パラメータを設定することにより、各吹出口2間の吹き出し風量の不均一度をほぼ10パーセント以下に抑えることが可能である。
【0059】
K={ζ0+Pf0/(γ/2g)/V0 2}・{(4/π・Rk)・(D/L)・(p/d)22
【0060】
〔第2の実施の形態〕
次に本発明における空調空気床吹き出し装置の第2の実施の形態を図9から図13に基づいて説明する。
【0061】
第2の実施の形態における空調空気床吹き出し装置が第1の実施の形態と相違する点は、主にケーシング63の形状にある。
【0062】
ケーシング63は、図9に示すように、上下が開口して筒状をなす周壁65と、この周壁65の下部に配された底板部67、を有している。この底板部67には第1の実施の形態と同様に空気流通開口(図示せず)が設けられている。
【0063】
周壁65は上部に大径部65aと下部に小径部65bを有し、前記大径部65aと前記小径部65bとの境には段部68が環状に設けられ、大径部65aと小径部65bを連結している。大径部65aの上端には外側に張り出したフランジ部69が環状に設けられており、小径部65bの下端には外側に張り出したフランジ部71が環状に設けられている。フランジ部69の上面の略中央部には、図10に示すように、上方に突出する凸部75が周方向に所定のピッチで複数個設けられている。
【0064】
このフランジ部69にカバー50が着脱可能に取り付けられている。カバー50の外周部下面は前記凸部75に係合する凹部79が周方向に所定のピッチで複数個設けられている。このカバー50の凹部79にフランジ部69の凸部75を係合することにより、カバー50がフランジ部69から外れることを防止するとともに、カバー50の回転を防止している。
【0065】
一方、ケーシング63の底板部67は板状の円形をなし、この底板部67の外縁には下方に突出した筒部73が環状に設けられている。この筒部73の外周壁と小径部65bの内周壁とを連結して、底板部67が周壁65に固定されている。
【0066】
この底板部67に第1の実施の形態と同様のガイドピン15とネジロッド30が取り付けられている。ネジロッド30のヘッド部33の高さ寸法は第1の実施の形態のそれよりも大きく設定されており、カバー50との接触部分を長くすることによりカバー50がヘッド部33から外れるのを防止している。ネジロッド30のヘッド部33の下部にはカバー50の中央部を保持するためのカバー受け77が設けられている。このカバー受け77は平面視円盤状をなし、カバー受け77の上面にカバー50の下面を当接させて、カバー50の中央部を保持する。
【0067】
旋回流形成板40のナット41はネジロッド30の雄ネジ31aに螺合しており、旋回流形成板40は前記ガイドピン15によりケーシング63に対して回動不能且つ上下動可能に案内される。
【0068】
従って、ネジロッド30を回転することにより、旋回流形成板40の外周部下面と段部68との間の離間寸法Hを変化させることができる。旋回流形成板40を下方に移動させ、旋回流形成板40の外周部下面が前記段部68に当接すると前記隙間寸法Hはゼロになる。また、大径部65は一定内径の直管状をなし、旋回流形成板40がいずれの位置にあっても旋回流形成板40の外周縁下面と大径部65との間に一定寸法の隙間70が形成されるようになっている。
【0069】
その他の構成については、第1の実施の形態と同様であるので、図中同一態様部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0070】
ところで、この第2の実施の形態においても第1の実施の形態と同様に旋回流形成板40の上下方向位置を変えることにより空調空気の吹き出し量を微妙に変更することができる。これについて図11及び図12を参照して以下詳述する。
【0071】
図11は旋回流形成板40をケーシング63の段部68に接触させた場合を示している。この場合には、旋回流形成板40と周壁65の段部65cとの間の隙間寸法Hがゼロとなるので、空調空気は旋回流形成板40の外周縁と大径部65aの内周壁との間の隙間70を通ることはない。
【0072】
従って、空調空気はその全てが旋回流形成板40の透孔43を通過して羽根44に衝突しその向きを換えて旋回流となる。そして、この旋回流となった空調空気A2が室内に噴出し、コアンダ効果により床面1aに沿って放射状に広がる。
【0073】
また、前記状態から旋回流形成板40を上方に移動させて、この旋回流形成板40と周壁65の段部65cとの間の隙間寸法Hを小さく設定すると、前記隙間70を通る空調空気の風量が少さくなる。
【0074】
この場合には、チャンバC内の空調空気はその殆どが旋回流形成板40の透孔43を通過して羽根44に衝突しその向きを換えて旋回流となる。そして、この旋回流となった空調空気A2が室内に噴出し、コアンダ効果により床面1aに沿って放射状に広がる。また、前記隙間70を通る空調空気は、その流量が少なく、前記旋回する空調空気A2と干渉すると、水平方向の速度成分が大きくなる。その結果、隙間70を通る空調空気は水平方向に向きを変え、さらに、コアンダ効果の助けにより床面1aに沿って放射状に広がる。これらの吹き出し方向は、通常、暖房時に好んで用いられる。
【0075】
一方、図12に示すように、旋回流形成板40をさらに上方に移動させた場合には、旋回流形成板40の外周部下面と段部68との間の離間寸法Hが大きくなる。この場合には、旋回流形成板40の外周縁と大径部65aの内周壁との間の隙間70を通過する空調空気A3の風量の割合が増加し、この隙間70を通った空調空気A3が上方に噴出する。これと同時に旋回流形成板40の透孔43を通過した空調空気は羽根44に衝突してその向きを換えて旋回流となり、旋回流となった空調空気A4が室内に噴出する。
【0076】
その後、この旋回流となって噴出する空調空気A4は、前記垂直方向に噴出する空調空気A3と干渉して旋回の径方向の拡がりを抑制されながら室内の上方に噴出する。この吹き出し方向は、通常、冷房時に好んで用いられる。
【0077】
ケーシング63の形状をテーパ状に形成せず、直管状に形成することにより、ケーシング63内部に配された旋回流形成板40を僅かに移動させるだけで、ケーシング63と旋回流形成板40との間に形成される大きな隙間70を確保することができる。従って、旋回流形成板40を僅かの移動で大きな隙間70を確保できるので、空調空気床吹き出し装置の高さ寸法を低くすることができる。
【0078】
尚、ケーシング63におけるフランジ部69とカバー50の形状を図13に示すようにしてもよい。即ち、フランジ部69の外周縁を円弧状に形成し、フランジ部69の上部内周に凹部81を形成して、この凹部81内にカバー50を嵌合する。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、吹き出し通路内に空調空気を旋回させる旋回流形成板を設け、この旋回流形成板を吹き出し通路の軸方向に沿って位置変更可能とし、吹き出し通路における旋回流形成板の位置により吹き出し通路の周壁と旋回流形成板との隙間寸法を変化させることにより、空調空気の吹き出し方向を所望に変えることができ、これにより、床吹き出しの空調空気のドラフト感を改善したり、温熱環境を改善したりすることが容易に可能となるという優れた効果が奏される。
【0080】
また、テーパ状の周壁を備えたケーシングと、ケーシング内に軸方向移動可能に設置した旋回流形成板と、旋回流形成板をケーシングの軸方向へ移動せしめる移動機構とを備えた場合には、空調空気床吹き出し装置を簡単な構成にすることができるという効果がある。
【0081】
また、ケーシングの周壁は大径の開口を備えた大径部と、この大径部の下部であってその内側に突出する段部と、この段部の内側に小径の開口を有し、前記旋回流形成板はその外周縁と大径部内壁面との間に隙間を有して該大径部内に収容され前記段部に対して接近離反可能に設けた場合には、空調空気床吹き出し装置の高さ寸法を小さくすることができるという効果がある。
【0082】
旋回流形成板を、略径方向に複数形成された透孔の周縁に羽根を設けて構成した場合には、旋回流形成板の構造が簡単になるという効果がある。
吹出口を、透孔を有するカバーによって覆った場合に、透孔を平面視同心円状の円弧形に形成すると、旋回流形成板で生じた吹き出し気流の旋回成分が透孔によって減殺されることがないので、空調空気の吹き出し方向を効果的に変えることができるという効果がある。
【0083】
移動機構を、ケーシングに固定された上下方向に延びるガイドピンと、旋回流形成板に設けられたガイド孔と、ケーシングに回動自在に支持されたネジロッドと、旋回流形成板の中央に設けられたネジ孔と、から構成すると、移動機構の構造が簡単になるという効果がある。
【0084】
前記吹出口を、吹き出し孔を有するカバーで覆い、移動機構のネジロッドの下端をケーシングの下部に回動自在に取り付け、ネジロッドの上端をカバーの中央に設けた孔に遊挿して露出させ、室内側からネジロッドを回動操作可能に構成した場合には、旋回流形成板の上下位置調節の操作を、カバーを取り外すことなく室内側から簡単に行うことができるという効果がある。
【0085】
ケーシングの下部開口にフィルタを設けた場合には、手間のかかる風量調整ダンパによる不均一度の改善作業をしなくても自動的に不均一度は改善され、かつ、フィルタを通過した清浄な空調空気を室内に吹き出すことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の空調空気床吹き出し装置の第1の実施の形態における縦断面図である。
【図2】 本発明の空調空気床吹き出し装置の第1の実施の形態において、旋回流形成板を吹き出し通路の下方に位置させた場合の空調空気床吹き出し状態を示す図である。
【図3】 本発明の空調空気床吹き出し装置の第1の実施の形態において、旋回流形成板を吹き出し通路の上方に位置させた場合の空調空気床吹き出し状態を示す図である。
【図4】 本発明の空調空気床吹き出し装置の第1の実施の形態におけるケーシングの平面図である。
【図5】 本発明の空調空気床吹き出し装置の第1の実施の形態における旋回流形成板の平面図である。
【図6】 本発明の空調空気床吹き出し装置の第1の実施の形態におけるカバーの平面図である。
【図7】 本発明の空調空気床吹き出し装置の床下チャンバの模式図である。
【図8】 本発明の空調空気床吹き出し装置の床下チャンバの縦断面図である。
【図9】 本発明の空調空気床吹き出し装置の第2の実施の形態における縦断面図である。
【図10】 本発明の空調空気床吹き出し装置の第2の実施の形態におけるケーシングとカバーとの係合部の拡大断面図である。
【図11】 本発明の空調空気床吹き出し装置の第2の実施の形態において、旋回流形成板を段部に当接させた場合の空調空気床吹き出し状態を示す図である。
【図12】 本発明の空調空気床吹き出し装置の第2の実施の形態において、旋回流形成板を大径部内部の上部に位置させた場合の空調空気床吹き出し状態を示す図である。
【図13】 本発明の空調空気床吹き出し装置の第2の実施の形態におけるケーシングとカバーとの係合部の変形例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 床
1a 床面
2 吹出口
10,63 ケーシング
13,65 周壁
15 ガイドピン(移動機構)
19 吹き出し通路
20 フィルタ
30 ネジロッド
31a 雄ネジ(移動機構)
40 旋回流形成板
42 ネジ孔(移動機構)
43 透孔
44 羽根
45 ガイド孔(移動機構)
50 カバー
51 透孔
65a 大径部
65b 小径部(小径の開口)
68 段部
C 供給用チャンバ
H 離間寸法

Claims (10)

  1. 床下空間を空調空気の供給用チャンバとし、床面に設けた吹出口から前記床下空間の空調空気を室内に供給する空調空気床吹き出し装置において、
    前記供給用チャンバ内に前記吹出口に連なる吹き出し通路を設け、この吹き出し通路内に空調空気を旋回させる旋回流形成板を設け、この旋回流形成板を吹き出し通路の軸方向に沿って位置変更可能とし、吹き出し通路における旋回流形成板の位置により吹き出し通路の周壁と旋回流形成板との隙間寸法が変化することを特徴とする空調空気床吹き出し装置。
  2. 床下空間を空調空気の供給用チャンバとし、床面に設けた吹出口から前記床下空間の空調空気を室内に供給する空調空気床吹き出し装置において、
    (イ)上下開口の筒状の周壁を備え、この周壁の内部が吹き出し通路になっていて、上部を吹出口に連結固定し下部を前記供給用チャンバ内に挿入させたケーシングと、
    (ロ)前記ケーシングの内部にケーシングの軸方向へ移動可能に設置され、ケーシング内を流れる空調空気に旋回流を生じせしめる旋回流形成板と、
    (ハ)前記旋回流形成板を前記ケーシングの軸方向に沿って移動せしめる移動機構と、
    を備え、前記ケーシングの周壁が、前記旋回流形成板の軸方向移動により旋回流形成板との隙間寸法を変化させる形状に形成されていることを特徴とする空調空気床吹き出し装置。
  3. 前記ケーシングの周壁は吹出口に接近するにしたがって漸次拡径するテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の空調空気床吹き出し装置。
  4. 前記ケーシングの周壁は、吹出口側に大径の開口を備えた大径部を有し、この大径部の下部には吹き出し通路の内側に突出する段部が環状に設けられ、この段部の内側には前記開口より小径の開口が設けられており、前記旋回流形成板はその外周縁と吹き出し通路の大径部内壁面との間に隙間を有して該大径部内に収容され前記段部に対して接近離反可能に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の空調空気床吹き出し装置。
  5. 前記旋回流形成板は、略径方向に複数形成された透孔の周縁に羽根を設けてなることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の空調空気床吹き出し装置。
  6. 前記吹出口が、透孔を有するカバーによって覆われていること特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の空調空気床吹き出し装置。
  7. 前記カバーの透孔が平面視で同心円状の円弧形に形成されていること特徴とする請求項6に記載の空調空気床吹き出し装置。
  8. 前記移動機構は、前記ケーシングの内部に設けられてケーシングに固定された上下方向に延びるガイドピンと、このガイドピンを遊挿せしめる前記旋回流形成板に設けられたガイド孔と、前記ケーシングに回転自在に支持され外周面に雄ネジが形成されたネジロッドと、前記旋回流形成板の中央に設けられ前記ネジロッドの雄ネジに螺合するネジ孔と、から構成されていることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の空調空気床吹き出し装置。
  9. 前記吹出口が吹き出し孔を有するカバーによって覆われており、前記移動機構のネジロッドの下端が前記ケーシングに回動自在に支持され、ネジロッドの上端が前記カバーの中央に設けられた孔に遊挿されて露出しており、室内側からネジロッドを回動操作可能に構成されていることを特徴とする請求項8に記載の空調空気床吹き出し装置。
  10. 前記ケーシングの下部開口にフィルタが設けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の空調空気床吹き出し装置。
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