JP3752264B2 - 混合ワクチン - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、不活化狂犬病ウイルス抗原及び不活化A型肝炎ウイルス抗原を必須成分として含有し、さらに選択的に無毒化破傷風トキソイドまたは不活化日本脳炎ウイルス抗原のいずれかを含有することもある混合ワクチンに関するものである。本発明により得られる混合ワクチンにより、狂犬病ウイルス及びA型肝炎ウイルス、さらには破傷風菌又は日本脳炎ウイルスに対する免疫を効率的に賦与することが可能となる。
【0002】
【従来技術】
ヒトの狂犬病は、狂犬病に罹患している動物、特にイヌ、ネコなどの咬傷により感染するウイルス性疾患であり、ウイルスは咬傷部の皮下組織および筋肉内で増殖し、末梢神経から侵入して中枢神経系に到達して脳炎を起こすものであるが、発症した場合、死亡率はほとんど100%という致死率の高い疾患である。狂犬病ワクチンは、古くは動物脳で、現在では初代ニワトリ胚細胞、初代ハムスター腎細胞あるいはヒト2倍体細胞などを用いた組織培養によって狂犬病ウイルスを培養し、β−プロピオラクトン(BPL)や紫外線によって不活化後、精製・濃縮して調製されている。これらのワクチンは狂犬病ウイルスで暴露された後の治療の目的で6〜8回接種されるが、暴露前の2〜3回のワクチン接種によってもほぼ確実に発症を防ぐことができる。
狂犬病ワクチンは暴露後の治療に用いられる場合が多く、接種回数が多いために、アルミゲル沈降型ワクチンでは副反応の心配が生じ通常はアジュバントは用いられてはいない。しかしながら、予防の目的としてワクチンを用いる場合には、沈降精製百日咳ジフテリア破傷風混合ワクチンのような通常のワクチンと同様な2〜3回の接種となり、アジュバントによる副反応の心配はほとんどなく、アルミゲルなどのアジュバントにより免疫効果をより一層高めることが可能となる。
インド、タイ、中国などの狂犬病の蔓延している地域の住民にとってはもちろん、日本のように狂犬病の根絶した国々においても、狂犬病の流行している国への海外渡航者にとっては、予防のためのワクチン接種の必要性が非常に高いと考えられる。
【0003】
A型肝炎は、A型肝炎ウイルスに汚染された飲食物などの摂取により経口的に感染し、急性的に肝炎を発症する疾患である。A型肝炎ワクチンは、アフリカミドリザル腎細胞やヒトの二倍体細胞を用いた組織培養によってA型肝炎ウイルスを大量培養することで製造される。アフリカミドリザル腎細胞を用いる場合、培養したウイルスを有機溶剤処理、遠心、酵素処理、ゲル濾過などによって精製したウイルスをホルマリンなどによって不活化して調製されている。これらのワクチンは、2〜3回の接種により感染防御に充分な程度の免疫を与えることができる。さらに、アルミゲルなどのアジュバントを添加により免疫効果をより一層高めることが可能となる。
A型肝炎は世界中に広く分布しており、その浸淫度はその国の環境衛生に依存している。発展途上国では、しばしば流行が見られ予防のためのワクチンの接種が望まれており、また日本のように流行が少ない国では中高年以下の年齢層でのA型肝炎ウイルスに対する抗体保有率が低く、発展途上国など海外の浸淫地域への旅行者や赴任者にとっては、予防のためのワクチン接種が強く望まれている。
【0004】
破傷風菌は、常在菌として土壌中に広く分布し、刺傷などの外傷部位から体内に入ると、嫌気的条件下で増殖した菌の産生する毒素が神経細胞と結合し、病的症状を発揮する。ひとたび発病したら、高度医療の整った地域でも10〜20%の致命率と言われている。破傷風の予防に用いるトキソイド(ワクチン)としては、沈降破傷風トキソイドがある。本ワクチンは破傷風菌を液体培地などで培養し、除菌後硫安塩析及びイオン交換クロマトグラフィー等の精製を行いホルマリン処理により無毒化したトキソイドをアルミニウムゲルに吸着させ調製している。破傷風は感染を早期に確実に診断することは難しく、一度発症したら治癒は困難で、トキソイド接種が唯一の予防策である。ワクチンは、基礎免疫として2回、その後10年おきに追加接種すれば十分な防御レベルを維持できるので、世界中どこでも、いつでも常在な破傷風菌の感染から逃れるため、全ての人々がトキソイドの接種を受けることが必要十分条件であると言える。
【0005】
日本脳炎は、日本ではコガタアカイエカが媒介する日本脳炎ウイルスによって起こる発熱、髄膜刺激症状並びに脳炎症状を主症状とする重篤な疾病である。近年、日本での患者発生数は激減したものの西日本での発生が未だに報告される。また、日本以外の極東、東南アジア一帯にも日本脳炎は広く発生しており、ウイルス非常在性地域からこれらの常在性地域への旅行者への感染予防が必要となってきている。日本脳炎ワクチンは、日本脳炎ウイルスをマウス脳内に接種し、死亡直前に採脳して硫酸プロタミン法並びに高速遠心法等でウイルスを精製し、ホルマリンで不活化することによって得られる。予防としては、基礎免疫に1〜2週間隔で2回、追加免疫を1年後に行うことになっている。日本脳炎ワクチンの接種は、今後も海外渡航者や致命率が高いと言われる高齢者の予防のために、非常に重要である。
【0006】
【発明の解決しようとする課題】
現在、狂犬病、A型肝炎、破傷風又は日本脳炎に対するワクチンの接種はそれぞれ個別に実施されている。従って、全てのワクチン接種を望んでもその繁雑さのために、特に発展途上国においては、各ワクチン接種は充分には達成できない場合が多い。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、種々鋭意研究を重ねた結果、狂犬病ワクチン及びA型肝炎ワクチンを組み合わせた混合ワクチンを調製した。さらに選択的に破傷風ワクチン又は日本脳炎ワクチンのいずれかを組み合わせて3種混合ワクチンを調製した。好ましくは、不活化狂犬病ウイルス抗原、不活化A型肝炎ウイルス抗原、無毒化破傷風トキソイド及び不活化日本脳炎ウイルス抗原の最終濃度が各々5〜30μg/ml、0.05〜1.0μg/ml、2〜10Lf/ml及び10〜40μg/mlになるように混合し、これを100〜400μg/mlのアルミニウムゲルに吸着させた沈降型の混合ワクチンも調製した。さらに、これらの混合ワクチンを、発展途上国の集中する熱帯地域での使用にも耐えうるワクチンとするために、ラクトースなどの安定剤を添加して凍結乾燥を行い、凍結乾燥型の3種混合ワクチンを開発するに至った。
【0008】
【発明の効果】
本発明による混合ワクチンは、免疫原性、安定性ともに、それぞれの単味ワクチンに比べて同等以上であり、特にアルミゲルを用いた沈降型混合ワクチンでは、単味ワクチンで通常用いられている抗原量でも単味ワクチンの2倍以上の中和抗体を産生することが明らかとなった。その結果、数種のワクチンを1回の接種で行う簡便さに加えて製造コストの低減も可能となり、経済面での大きな利点が見い出された。また、当該混合ワクチンは、凍結乾燥を行なっても、力価の低下は認められず、むしろ同等以上の力価を有することが明らかとなった。従って、本発明により発展途上国の集中する熱帯地域での使用にも耐えうる混合ワクチンの提供が可能となった。
以下、本発明の実施例を記す。
【0009】
【実施例】
実施例1 不活化狂犬病ワクチン原液の調製
伝染性の疾患に感染していない7〜10日卵のニワトリ胎児を集め、頭部を取り去って残りを鋏で細切した後、 0.2%トリプシンで消化し5%コウシ血清(FBS)加YLE50mlに1×108の細胞を浮遊して、ローラーボトルで 37 ℃に培養した。翌日、PBSで1回洗浄し、さらにPBSを加えて1時間孵卵器に置いてよく洗った後、狂犬病ウイルス株の一つであるHEP Flury株をニワトリ胎児初代細胞に馴化して得られたCEF Clone Sウイルス(国立予防衛生研究所より分与)を 100倍に希釈して加え、1時間吸着後、重曹を0.4%に加えた199培地を50ml加え35℃で6日間培養した。6日目の培養液を集め、1万倍になるようにβ−プロピオラクトン(BPL)を加え1時間37℃で不活化し、再び1万倍になるようにBPLを加え1時間加温した。pHが低下した場合重曹を加えてpH7.8以上に補正した。
次に、限外濾過器で濃縮した後、高速遠心機で19,000rpm(55,000xg)、3時間遠心してウイルスを沈殿させ、この沈渣を0.01MPBSに浮遊し不活化狂犬病ワクチン原液とした。
【0010】
実施例2 不活化A型肝炎ワクチン原液の調製
ミドリザル腎由来のGL37細胞を10%FBS加MEM培地で1〜4週間培養し、細胞シートを0.05%トリプシンで消化した後遠心(1,000rpm、3分間)してその沈渣を8%FBS加MEMにて浮遊させた。A型肝炎ウイルス(HAV)をこの細胞浮遊液に接種(M.O.I=0.1)し、37℃で1時間吸着させた後、ローラーボトルで1週間培養した。なお、製造用細胞株及びウイルス株は国立予防衛生研究所より分与されたマスターセル及び種ウイルスから継代し、使用した。さらに、1週間に1回2%FBS加MEM培地で置き換え2週間培養した。培養終了後培地を除去し、1%NP40(半井化学社製)を含む可溶化液で細胞を可溶化後、遠心(3,000rpm, 30分間)により細胞を分離し、ウイルス浮遊液を得た。このウイルス浮遊液に最終濃度が7%となるようにポリエチレングリコール(PEG)6000を添加し、4℃で2〜3時間攪拌後一夜静置した。次に、遠心(5,000rpm, 30分間)により沈殿物を回収し、可溶化液を加えてホモジナイザーで沈殿物をほぐし、遠心(8,000rpm,30分間)により不溶性の沈殿物を除去して遠心上清を回収した。上清に等量のクロロホルムを添加し、5〜15分間攪拌してクロロホルム層を完全に分離除去した。ウイルスを含む水層に、RNaseA(シグマ社製)を最終濃度が20μg/mlとなるように添加し、37℃で1〜2時間処理した。続いて、DNaseI(宝酒造社製)を最終濃度が20〜40μg/mlになるように添加して、37℃で2〜3時間処理した。さらに、ProteinaseK(メルク社製)を最終濃度が50μg/mlになるように添加して、37℃で1〜2時間処理した。HAV含有酵素処理液1容に対し、1容の2.5Mリン酸バッファー(pH 7.5)と0.8容のエトキシエタノール・ブトキシエタノール(2:1 V/V)混液を加え攪拌し、遠心(2,000rpm,10分間)後、中間層(ウイルス濃縮層)を採取して0.1% Tween-80(和光純薬社製)加リン酸バッファー(pH7.2〜7.6)に懸濁した。この操作を再度繰り返した。この液をセファクリルS-400HR(ファルマシア社製)ゲルクロマトカラムに通液してゲル濾過を行い、ウイルス画分をプールし、無菌濾過したものを最終精製ウイルス液とした。この精製ウイルス液を抗原濃度が20μg/mlになるよう0.002%Tween-80加PBSで希釈し、等量の0.05%ホルマリン溶液を加え、37℃で12日間不活化したものを不活化A型肝炎ワクチン原液とした。
【0011】
実施例3 無毒化破傷風トキソイド原液の調製
国立予防衛生研究所より分与された破傷風菌毒素産生株Harvard A-47株を牛肉透析外液培地に植付け34〜37℃、5〜8日間静置培養又はタンク培養し、毒素液を得た。この毒素液を除菌ろ過した後、硫安塩析法及びイオン交換クロマトグラフィー等の方法で防御抗原である破傷風毒素を精製した。この精製毒素液にホルマリンを0.4 W/V%添加、37℃中にて抗原性を損失しない様に無毒化し、安定剤としてゼラチンを0.02 W/V%、保存剤としてチメロサールを0.01 W/V%加えたものを無毒化破傷風トキソイド原液とした。
【0012】
実施例4 不活化日本脳炎ワクチン原液の調製
日本脳炎ウイルス中山予研株又は北京株を3〜5日齢の乳のみマウス脳に2〜3代継代し、その脳乳剤の遠心上清を製造用ウイルスとした。生後3〜5週の健康なマウスの脳内にこの製造用ウイルスを接種し、脳炎症状を示した死亡直前の脳を採集した。この脳に0.010MPBS(pH8.0)を加えて磨砕し、遠心機(4,000rpm、60分間)により遠心した。この遠心上清に硫酸プロタミンを1ml当たり1.35mg添加して混和、氷水中に2時間静置した。その後、遠心機により遠心し(4,000rpm、20分間)、その上清をとり、炭末を0.8 W/V%になるように加え、氷水内で20分間かき混ぜた。この炭末処理液は、メンブランフィルターでろ過し、ろ過液をウイルス浮遊液とした。
ウイルス浮遊液にホルマリンを0.08 W/V%になるように加え、かき混ぜ、4〜5℃の冷室に約3ヶ月間保存し、ウイルスの不活化を行い、不活化が終了したものを不活化ウイルス浮遊液とした。不活化ウイルス浮遊液を限外ろ過濃縮により約1/5量にした濃縮液は、超高速遠心機により遠心(30,000rpm、60分間)、沈渣を0.010 MPBS(pH7.1)に浮遊した。この浮遊液に安定剤としてゼラチンを0.02 W/V%、ポリソルベート80を0.01 V/V%、保存剤としてホルマリンを0.005 W/V%、チメロサールを0.01 W/V%になるように加え不活化日本脳炎ワクチン原液とした。
【0013】
実施例5 各種ワクチンの調製
実施例1の狂犬病ワクチン原液を抗原価が2(5IU/ml)相当となるように0.01MPBS pH7.4で希釈し、等量のラクトース15.0%(W/V)グルタミン酸ナトリウム0.2%(W/V)、ゼラチン0.04%(W/V)加0.01MPBS(pH7.4)と混合して最終バルクを調製し、2mlバイアルに1mlずつ分注後、凍結乾燥したものを凍結乾燥狂犬病ワクチンとする。
実施例2のA型肝炎ワクチン原液を蛋白濃度が2μg/mlとなるように0.01MPBS(pH7.4)で希釈し、同様に凍結乾燥したものを凍結乾燥A型肝炎ワクチンとした。
実施例3の破傷風トキソイド原液を抗原濃度が8Lf/mlとなるように0.01MPBS(pH7.4)で希釈し、等量の400μg/ml水酸化アルミニウムゲル溶液(pH7.4)と混合したものを沈降破傷風トキソイドとした。
実施例4の日本脳炎ワクチン原液を蛋白濃度が30μg/mlとなるように0.01MPBS(pH7.4)で希釈し、日本脳炎の単味ワクチンとした。
【0014】
実施例6 凍結乾燥狂犬病・A型肝炎混合ワクチンの調製
実施例1の狂犬病ワクチン原液を抗原価が4(10 IU/ml)相当となるように、また実施例2のA型肝炎ワクチン原液を蛋白濃度が4μg/mlとなるようにそれぞれ0.01MPBS(pH7.4)で希釈し、これらの希釈液を等量混合後、さらに等量のラクトース 15.0W/V%、グルタミン酸ナトリウム 0.2W/V%、ゼラチン0.04W/V%加0.01MPBS(pH7.4)と混合して最終バルクを調製し、2mlバイアルに1mlずつ分注後、凍結乾燥したものを凍結乾燥狂犬病・A型肝炎混合ワクチンとした。
【0015】
実施例7 沈降狂犬病・A型肝炎混合ワクチンの調製
実施例1の狂犬病ワクチン原液を抗原価が4(10 IU/ml)相当となるように、また実施例2のA型肝炎ワクチン原液を蛋白濃度が4μg/mlとなるようにそれぞれ0.01MPBS(pH7.4)で希釈し、これらの希釈液を等量混合後、さらに等量の400μg/ml水酸化アルミニウムゲル溶液(pH7.4)と混合したものを沈降狂犬病・A型肝炎混合ワクチンとした。
【0016】
実施例8 沈降狂犬病・A型肝炎・破傷風混合ワクチンの調製
実施例1の狂犬病ワクチン原液を抗原価が6(15 IU/ml)相当となるように、また実施例2のA型肝炎ワクチン原液を蛋白濃度が6μg/mlとなるように、更に実施例3の破傷風トキソイド原液を抗原濃度が24Lf/mlとなるようにそれぞれ0.01MPBS(pH7.4)で希釈し、これらの希釈液を等量混合後、さらに等量の400μg/ml水酸化アルミニウムゲル溶液(pH7.4)と混合したものを沈降狂犬病・A型肝炎・破傷風混合ワクチンとした。
【0017】
実施例9 凍結乾燥沈降狂犬病・A型肝炎・破傷風混合ワクチンの調製
実施例1の狂犬病ワクチン原液を抗原価が12(30IU/ml)相当となるように、また実施例2のA型肝炎ワクチン原液を蛋白濃度が12μg/mlとなるように、更に実施例3の破傷風トキソイド原液を抗原濃度が48Lf/mlとなるようにそれぞれ0.01MPBS(pH7.4)で希釈し、これらの希釈液を等量混合する。この混合液と等量の800μg/ml水酸化アルミニウムゲル溶液(pH7.4)とを混合したものに、さらに等量のラクトース15.0W/V%、グルタミン酸ナトリウム0.2W/V%、ゼラチン0.04W/V%加0.01MPBS(pH7.4)とを混合して最終バルクを調製し、2mlバイアルに1mlずつ分注後、凍結乾燥したものを凍結乾燥沈降狂犬病・A型肝炎・破傷風混合ワクチンとした。
【0018】
実施例10 凍結乾燥狂犬病・A型肝炎・日本脳炎混合ワクチンの調製
実施例1の狂犬病ワクチン原液を抗原価が6(15 IU/ml)相当となるように、また実施例2のA型肝炎ワクチン原液を蛋白濃度が6μg/mlとなるように、更に実施例4の日本脳炎ワクチン原液を蛋白濃度が180μg/mlとなるようにそれぞれ0.01MPBS(pH7.4)で希釈し、これらの希釈液を等量混合する。この混合液と等量のラクトース15.0W/V%、グルタミン酸ナトリウム0.2W/V%、ゼラチン0.04W/V%加 0.01MPBS(pH7.4)とを混合して最終バルクを調製し、2mlバイアルに1mlずつ分注後、凍結乾燥したものを凍結乾燥狂犬病・A型肝炎・日本脳炎混合ワクチンとした。
【0019】
実施例11 凍結乾燥沈降狂犬病・A型肝炎・日本脳炎混合ワクチンの調製
実施例1の狂犬病ワクチン原液を抗原価が12(30 IU/ml)相当となるように、また実施例2のA型肝炎ワクチン原液を蛋白濃度が12μg/mlとなるように、更に実施例4の日本脳炎ワクチン原液を蛋白濃度が360μg/mlとなるようにそれぞれ0.01MPBS(pH7.4)で希釈し、これらの希釈液を等量混合する。この混合液と等量の800μg/ml水酸化アルミニウムゲル溶液(pH7.4)とを混合したものに、さらに等量のラクトース15.0W/V%、グルタミン酸ナトリウム0.2W/V%、ゼラチン0.04W/V%加0.01MPBS(pH7.4)とを混合して最終バルクを調製し、2mlバイアルに1mlずつ分注後、凍結乾燥したものを凍結乾燥沈降狂犬病・A型肝炎・日本脳炎混合ワクチンとした。
【0020】
実施例12 不活化狂犬病ワクチンの力価試験
実施例5〜11で調製した▲1▼凍結乾燥狂犬病ワクチン、▲2▼凍結乾燥狂犬病・A型肝炎混合ワクチン、▲3▼沈降狂犬病・A型肝炎混合ワクチン、▲4▼沈降狂犬病・A型肝炎・破傷風混合ワクチン、▲5▼凍結乾燥沈降狂犬病・A型肝炎・破傷風混合ワクチン、▲6▼凍結乾燥狂犬病・A型肝炎・日本脳炎混合ワクチン及び▲7▼凍結乾燥沈降狂犬病・A型肝炎・日本脳炎混合ワクチンについて、生物学的製剤基準の乾燥組織培養不活化狂犬病ワクチンの力価試験法に従い力価試験を実施した。
【0021】
力価試験は下記の通り行った。
検体及び参照不活化狂犬病ワクチン(以下「参照品」という。)をそれぞれ0.013 MPBS(pH7.0)を用いて5倍段階希釈し、それぞれの4段階を作った。体重約12gのマウス10匹以上を1群とした。各希釈に1群ずつを用い、1匹当たり0.5mlずつを2回、1週間隔で腹腔内に注射した。第1回免疫注射の2週間後に各群の動物に、1匹当たり攻撃用ウイルスCVS株浮遊液0.03mlを脳内に注射して14日間観察した。別に、10匹以上のマウスを1群とし、適当に段階希釈した攻撃用ウイルス浮遊液の各希釈に1群ずつを用い、1匹当たり0.03mlを脳内に注射して14日間観察した。これらの観察の最終日に麻ひを示す動物は死亡に算入した。攻撃用ウイルス浮遊液0.03ml中のLD50数は 10〜100でなければならない。試験の成績を統計学的に処理して比較するとき、検体の力価は参照品と同等以上でなければならない。
試験の成績は統計学的に処理して参照品との相対力価で示した。その成績を表1に示した。
【0022】
【表1】
【0023】
表1に示したように、狂犬病ワクチンをA型肝炎ワクチン、さらにA型肝炎ワクチンと破傷風トキソイドあるいはA型肝炎ワクチンと日本脳炎ワクチンと混合することにより、単味の狂犬病ワクチンと比較して、同等以上の成績が得られた。また、アルミゲルを添加した沈降型ワクチンは液状ワクチンに比べて免疫効果が高く、同一の抗原濃度で2倍以上の免疫効果を発揮することが確認された。さらに、凍結乾燥することによっても力価の低下は認められず、むしろ同等以上の成績が得られた。
【0024】
実施例13 不活化A型肝炎ワクチンの力価試験
実施例5〜11で調製した▲1▼凍結乾燥A型肝炎ワクチン、▲2▼凍結乾燥狂犬病・A型肝炎混合ワクチン、▲3▼沈降狂犬病・A型肝炎混合ワクチン、▲4▼沈降狂犬病・A型肝炎・破傷風混合ワクチン、▲5▼凍結乾燥沈降狂犬病・A型肝炎・破傷風混合ワクチン、▲6▼凍結乾燥狂犬病・A型肝炎・日本脳炎混合ワクチン及び▲7▼凍結乾燥沈降狂犬病・A型肝炎・日本脳炎混合ワクチンについて、生物学的製剤基準の乾燥組織培養不活化A型肝炎ワクチンの力価試験法に従い、力価試験を実施した。
【0025】
力価試験の方法を以下に示す。
検体及び参照不活化A型肝炎ワクチン(以下「参照品」という。)をそれぞれ生理食塩液を用いて希釈し、対数等間隔の段階希釈を作った。生後約5週のラット5匹以上を1群とし、各希釈に1群ずつを用いた。1匹当たり1mlを1回腹腔内に注射した。免疫注射の5週後に全ての動物から採血し、血清を分けた。各血清の抗A型肝炎ウイルス抗体価を酵素抗体法、その他適当な方法で測定した。試験の成績を統計学的に処理して比較するとき、検体の力価は参照品と同等か、それ以上でなければならない。
力価試験成績は統計学的に処理して参照品との相対力価で表した。その成績を表2に示した。
【0026】
【表2】
【0027】
表2に示したように、A型肝炎ワクチンを狂犬病ワクチン、さらに狂犬病ワクチンと破傷風トキソイドあるいは狂犬病ワクチンと日本脳炎ワクチンと混合することにより、単味のA型肝炎ワクチンと比較して同等以上の成績が得られた。また、アルミゲルを添加した沈降型ワクチンは液状ワクチンに比べて免疫効果が高く、同一の抗原濃度で2倍以上の免疫効果を発揮することが確認された。さらに、凍結乾燥することによっても力価の低下は認められず、むしろ同等以上の成績が得られた。
【0028】
実施例14 破傷風トキソイドの力価試験
実施例5、8および9で調製した▲1▼沈降破傷風トキソイド、▲2▼沈降狂犬病・A型肝炎・破傷風混合ワクチン及び▲3▼凍結乾燥沈降狂犬病・A型肝炎・破傷風混合ワクチンについて、生物学的製剤基準の沈降破傷風トキソイドの力価試験法に従い力価試験を実施した。
【0029】
力価試験の方法を以下に示す。
検体及び標準沈降破傷風トキソイド(以下「標準品」という。)をそれぞれ0.02 W/V%ゼラチン加 0.017MPBS(pH7.0)を用いて希釈し、対数的等間隔の段階希釈を作る。体重300〜400gのモルモット10匹以上を1群とした。検体及び標準品の各希釈に1群ずつを用い、1匹当たり2mlを1回皮下に注射した。免疫注射の4週間後に、それぞれのモルモットを約50LD50の毒素で攻撃して、7日間観察した。また、非免疫対照群の体重約400gのモルモット3匹以上を1群とし、その3群以上を用いて攻撃に用いた毒素のLD50数を測定するとき、その値は25〜100でなければならない。試験の成績を統計学的に処理して比較するとき、検体の力価は40国際単位以上でなければならない。
力価試験の成績は統計学的に処理して国際単位で表した。その成績を表3に示した。
【0030】
【表3】
【0031】
表3に示したように、破傷風トキソイドを狂犬病ワクチン及びA型肝炎ワクチンと混合することにより、単味の破傷風トキソイドと比較して、高い抗体力価を示した。また、凍結乾燥することによっても力価の低下は認められず、むしろ同等以上の成績が得られた。
【0032】
実施例15 日本脳炎ワクチンの力価試験
実施例5、10及び11で調製した日本脳炎ワクチン、凍結乾燥狂犬病・A型肝炎・日本脳炎混合ワクチン及び凍結乾燥沈降狂犬病・A型肝炎・日本脳炎混合ワクチンについて、生物学的製剤基準の日本脳炎ワクチンの力価試験法に従い力価試験を実施した。
【0033】
力価試験の方法を以下に示す。
検体及び参照日本脳炎ワクチン(以下「参照品」という)をそれぞれ0.010MPBS(pH7.0〜7.2)を用いて希釈し、対数的等間隔の希釈を作った。生後約4週のマウス10匹以上を1群とし、各希釈に1群ずつを用いた。1匹当たり0.5mlを7日間隔で2回腹腔内に注射する。第2回注射の7日後に、全ての動物から採血し、血清を採り56℃30分加熱した。各群の血清を子ウシ血清加 Hanks液で適当に希釈し、希釈血清と攻撃用ウイルス浮遊液の等量を混合し、36±1℃に1.5時間置き、各混合液をそれぞれ4枚以上の内径約70mmのペトリ皿に培養したニワトリ胚細胞培養上に0.4mlずつ接種した。別に攻撃用ウイルス浮遊液と子ウシ血清加 Hanks液の等量を混合し、36±1℃に1.5時間置いたものを10枚以上の細胞培養に0.4mlずつ接種し対照とした。全てのペトリ皿を36±1℃の炭酸ガス調節ふ卵器に収め1.5時間置いた後、第一次重層寒天培地を重層して、再び炭酸ガス調節ふ卵器で2日培養した。第二次重層寒天培地を重層して、更に炭酸ガス調節ふ卵器に、1日ないし2日置いた後、全てのペトリ皿のプラック数を数えた。試験群のプラック数と対照群のプラック数を比較して、減少率を求め、各血清の中和抗体価を算出した。対照ペトリ皿の平均プラック数は50〜150でなければならない。試験の成績を統計学的に処理して比較するとき、検体の力価は参照品と同等以上でなければならない。
力価試験の成績は統計学的に処理して参照品との相対力価で表した。その成績を表4に示した。
【0034】
【表4】
【0035】
表4に示したように、日本脳炎ワクチンを狂犬病ワクチン及びA型肝炎ワクチンと混合することにより、単味の日本脳炎ワクチンと比較して同等以上の成績が得られた。また、凍結乾燥することによっても力価の低下は認められず、むしろ同等以上の成績が得られた。さらに、アルミゲルを添加した沈降型ワクチンは液状ワクチンに比べて免疫効果が高く、同一の抗原濃度でも2倍以上の免疫効果を発揮することが確認された。
【0036】
実施例16 各種ワクチンの性状分析
実施例5〜11で調製した全てのワクチンを、25℃で3ヶ月間保存し性状観察、水素イオン濃度測定、力価試験および異常毒性否定試験を実施した。性状観察は肉眼で行い、水素イオン濃度測定および異常毒性否定試験は生物学的製剤基準に従って実施した。また力価試験は実施例12〜15の方法と同様に実施した。その成績を表5に示した。
【0037】
【表5】
【0038】
表5に示したように、本発明により得られた混合ワクチンは、保存前と3ヶ月後において、性状、水素イオン濃度、力価及び異常毒性はほとんど変化は認められず、いずれのワクチンも安定性及び安全性に優れていることが確認された。また、実施例12〜15の成績とも考えあわせると、これらの混合ワクチンは実用性及び効果面においても優れていることが明らかにされた。
Claims (2)
- 不活化狂犬病ウイルス抗原及び不活化A型肝炎ウイルス抗原を必須成分として含有し、選択的に無毒化破傷風トキソイドまたは不活化日本脳炎ウイルス抗原のいずれかを含有することもある混合ワクチン。
- 当該不活化狂犬病ウイルス抗原、不活化A型肝炎ウイルス抗原、無毒化破傷風トキソイド及び不活化日本脳炎ウイルス抗原の最終濃度が各々5〜30μg/ml、0.05〜1.0μg/ml、2〜10Lf/ml及び10〜40μg/mlになるように混合し、これを100〜400μg/mlのアルミニウムゲルに吸着させることを特徴とする前記請求項1記載の混合ワクチン。
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