JP3752353B2 - サイズ処理された炭素繊維ストランド、及びその炭素繊維ストランドを強化繊維としたプリプレグ、及びその成形物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
発明は、開繊性及び耐擦過性に共に優れた炭素繊維ストランド、並びに該炭素繊維ストランドから構成されたプリプレグ、及びその成形物に関する。更に詳しくはプリプレグ製造工程での擦過による毛羽の発生が少なく、取扱い性に優れ、しかも樹脂含浸の際における開繊性に優れた炭素繊維ストランド、及びこの炭素繊維ストランドを強化繊維として用いたプリプレグ、及びその成形物に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭素繊維はその優れた特性を生かし、各種の樹脂組成物をマトリックスとした複合材料としてレジャー、スポーツ分野において広く利用されており、最近では航空機分野への利用も本格化してきている。
【0003】
この炭素繊維は、一般的にストランド(数千本乃至数万本のフィラメントからなる繊維束)のまま一方向に引き揃えられた状態で樹脂を含浸し、一方向配向プリプレグ(いわゆるUDプリプレグ)としてから、あるいは織物状態で樹脂組成物を含浸し、織物プリプレグとしてから次工程にて成形され、複合材料として使用されることが多い。
【0004】
これらの加工工程において、炭素繊維ストランドはガイド等で擦れることにより毛羽が生じやすく、取扱い性が悪くなるため、通常、炭素繊維ストランドの表面をサイジング剤でコートすることにより、ストランドの集束性を高め、耐擦過性や取扱い性を向上させる処理がなされている。
【0005】
このサイジング剤に関し、複合材料に用いるマトリックス樹脂の多くがエポキシ樹脂であるため、ビスフェノールAグリシジルエーテル型エポキシ樹脂に代表されるエポキシ樹脂をベースとしたサイジング剤の提案がなされている。
【0006】
例えば特開平7−197381号には、炭素繊維ストランドに常温において液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂(A成分)、常温において固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂(B成分)、不飽和ポリエステル樹脂(C成分)、ステアリン酸(D成分)を必須成分とした炭素繊維ストランド用サイジング剤が提案されている。
【0007】
該公報に記載のサイジング剤により処理された炭素繊維ストランドは、良好な耐擦過性を有し、該炭素繊維ストランドから製造されたプリプレグは良好な表面平滑性を有し、プリプレグ相互の密着性に優れる事が示されている。
【0008】
しかしながら、プリプレグを用いてより一層耐久性の優れた成形品とするためには、より欠陥が少なく均整で、機械的特性に優れた成形品を与えるプリプレグ或いはその材料である炭素繊維ストランドが要望されている。
【0009】
更に、液状エポキシ樹脂の中間体は、労働省安全基準局より発ガン性物質に指定(新規変異原性物質 No.212-2)されているために、取扱う際の人体への影響を考慮し、非エポキシ樹脂系サイジング剤が要望されている。また、サイジング剤の形態は水溶液又は水分散液であることが環境安全面から望まれる。
【0010】
非エポキシ樹脂系サイジング剤として、例えば、特開平4−82969号、特開平5−132875号、特開平6−116868号には、ポリウレタン樹脂を使用したサイジング剤が開示されている。
【0011】
ところが、本発明者の実験によると、前記したサイジング剤でサイズ処理された炭素繊維ストランドは、毛羽や糸切れを抑制する効果はあるものの、繊維の集束性が良すぎるために開繊性が落ち、炭素繊維ストランドに対しマトリックス樹脂が十分に含浸しなくなる問題が起こる。
【0012】
また、開繊性に優れたサイジング剤として、特開昭60−246872号にはポリエーテル樹脂を使用したサイジング剤が開示されている。
【0013】
ところが、本発明者の実験によると、特開昭60−246872号記載のサイジング剤でサイズ処理された炭素繊維ストランドは、開繊性は良好であるが、繊維の集束性が悪いため耐擦過性が落ち、炭素繊維ストランドに毛羽が発生する問題が起こる。
【0014】
また、同じポリエーテル樹脂を使用したサイジング剤として特開平4−57974号が開示されているが、前記したサイジング剤はN−メチルピロリドンに溶かした溶液でしか使用できないという問題点がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、前記従来技術の欠点を除去し、プリプレグ製造時の炭素繊維ストランドの開繊性と耐擦過性が共に優れ、炭素繊維ストランドへの樹脂含浸性を良好なものとする炭素繊維ストランド、並びにこの炭素繊維ストランドを強化繊維として用いたプリプレグ及びその成形物を提供することを目的とする。更に、サイジング剤を取扱う際の人体への影響を軽減することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
前記した問題点を解決するために、本発明の炭素繊維ストランドは芳香族イソシアネートとポリエーテル、またはポリエステルの反応物であるポリウレタン樹脂と、下記(3)の化学式で示されるビスフェノールAのエチレンオキサイド(10)付加物であるポリエーテル樹脂を必須成分とし、該ポリウレタン樹脂が40〜90重量%、該ポリエーテル樹脂が10〜60重量%配合されたサイジング剤でサイズ処理されることを特徴とする。
【0017】
【化2】
【0018】
また、本発明の炭素繊維ストランドは、上記サイジング剤に高級脂肪酸エステルが5〜20重量%含まれていることを特徴とする。
【0019】
【作用】
上記構成とすることにより、本発明は従来のサイジング剤における問題点を解決し、プリプレグ製造時に炭素繊維ストランドの開繊性が優れるため、プリプレグの表面平滑性及び含浸性が良好なプリプレグが得られる。その結果、成形性に優れ、最終的に得られる成形物の機械的特性も優れる。更に、炭素繊維ストランドが耐擦過性に優れるため、ローラーやガイドとの接触による毛羽の発生や糸切れがなく、取扱い性に優れた炭素繊維ストランドを得ることができる。
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の炭素繊維ストランドが適用される炭素繊維ストランドには、アクリロニトリル系、レーヨン系、ピッチ系等の周知の炭素繊維フィラメント数千〜数万本が集束された繊維束が好適に使用され、炭素繊維には黒鉛繊維も含まれる。
【0021】
本発明において、サイジング剤として使用されるポリウレタン樹脂は、芳香族イソシアネートとポリエーテル、またはポリエステルの反応物である。
【0022】
芳香族イソシアネートとしては、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、モノまたはジクロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ピトリレンジイソシアネート等のジイソシアネート、およびトリフェニルメタントリイソシアネート等のトリイソシアネートが含まれる。
【0023】
ポリエーテルとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレンリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの1種または2種以上を付加重合させた末端にヒドロキシル基を有するポリエーテル、テトラヒドロフランの開環重化合物であるポリオキシテトラメチレングリコール、ビスフェノールのような多価フェノール類のアルキレンオキサイド付加重合物、コハク酸、アジピン酸、フマール酸、マレイン酸、グルタール酸、アゼライン酸、フタール酸、テレフタル酸、ダイマー酸、ピロメリット酸等の多塩基性カルボン酸類のアルキレンオキサイド付加重合物等を挙げることができる。
【0024】
ポリエステルとしては、上述の多価アルコールと上述の多塩基性カルボン酸類との縮合物、ヒマシ油やヒマシ油脂肪酸等のヒドロキシカルボン酸と上述の多価アルコールの縮合物等を挙げることができる。
【0025】
本発明で用いられるポリウレタン樹脂は、前記した芳香族イソシアネートとポリエーテル、またはポリエステルの反応物であればよいが、芳香族イソシアネートとしては、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ポリエーテルとしてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエステルとしては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンセバケートが好適に使用できる。
【0026】
具体例として、芳香族イソシアネートとポリエーテルの反応物としては、HYDRAN HW−312B、VONDIC 1040NS、VONDIC 1050B−NS、VONDIC 1310NSC、VONDIC 1320NSC、VONDIC 1510(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)、芳香族イソシアネートとポリエステルの反応物としては、HYDRANHW−301、HYDRAN HW−310、HYDRAN HW−311、HYDRANHW−333、HYDRAN HW−340、HYDRANHW−350、VONDIV 1230NS、VONDIC 1250(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)が挙げられる。
【0027】
本発明において、サイジング剤として使用されるポリエーテル樹脂は、下記(3)の化学式で表される。
【0028】
【化3】
【0029】
具体例としては、ビスフェノールAのエチレンオキサイド(10)付加物が挙げられる。
【0030】
本発明において、サイジング剤として使用されるポリウレタン樹脂とポリエーテル樹脂の配合量は、両者の合計を100重量%とした場合、ポリウレタン樹脂は40〜90重量%、ポリエーテル樹脂は10〜60重量%の範囲とする。この配合量にすることにより、ストランドの集束性と開繊性を兼備する優れたストランドが得られる。
【0031】
ポリウレタン樹脂の配合量が40重量%に満たない場合、耐擦過性が低下し、毛羽が発生する。ポリウレタン樹脂の配合量が90重量%を超える場合、開繊性が悪化し、炭素繊維ストランドに対するマトリックス樹脂の含浸性が低下する。
【0032】
本発明において使用されるサイジング剤は、ポリウレタン樹脂とポリエーテル樹脂を必須成分として混合した樹脂組成物であるが、第三成分として、高級脂肪酸エステルを含ませることができる。
【0033】
具体例としては、メチルステアレート、エチルステアレート、プロピルステアレート、ブチルステアレート、オクチルステアレート、ステアルルステアレート等のステアリン酸エステル、イソプロピルパルミテート等のオレイン酸エステル等が挙げられる。
【0034】
本発明において、第三成分である高級脂肪酸の配合量は、サイジング剤全体を100重量%とした場合、5〜20重量%の範囲とする。
【0035】
高級脂肪酸の配合量が20重量%を超えると、成形物とした際の機械的特性が低下する。
【0036】
本発明において使用されるサイジング剤を炭素繊維ストランドに付着させる際の形態は、水溶液、水分散液、あるいは有機溶剤に溶かした溶液等が用いられるが、安全環境を考慮すると、水溶液、水分散液が好ましい。
【0037】
本発明の炭素繊維ストランドは、炭素繊維ストランドに対するサイジング剤の付着量が0.1〜3.0重量%であり、好ましくは0.3〜1.8重量%である。
【0038】
サイジング剤の付着量が0.1重量%未満の場合、良好な耐擦過性が得られない。サイジング剤の付着量が3.0重量%を超える場合、炭素繊維ストランドが堅固になり、開繊性が低下するため、炭素繊維ストランドに対するマトリックス樹脂の含浸性が低下する。
【0039】
本発明において、炭素繊維ストランドにサイジング剤を付着させる方法としては、一般的に行われている浸漬法、ローラー転写法、スプレー法等が適用される。
【0040】
また、炭素繊維ストランドに対するサイジング剤の付着量の調整は、サイジング剤溶液の濃度調整、絞りローラー、ストランド張力等によって行われる。
【0041】
サイジング剤付与後の炭素繊維ストランドは乾燥処理される。乾燥手段としては特に限定されず、熱風乾燥、遠赤外線乾燥、熱ローラーによる乾燥など通常使用される乾燥手段でよい。
【0042】
本発明の炭素繊維ストランドを用いて、マトリックス樹脂を含浸させてプリプレグを製造するには、通常のホットメルト法や溶剤法が適用できる。ホットメルト法によるプリプレグの製造は、マトリックス樹脂を離型紙の上に塗布した樹脂フィルムに、炭素繊維ストランドを引き揃えて並べ、ローラーで押圧含浸させる方法や、スリットから樹脂を供給しストランドに含浸させる方法などが挙げられるが、特に制限されない。プリプレグに於けるマトリック樹脂の含有率は、通常20〜50重量%である。
【0043】
本発明の炭素繊維ストランドを強化繊維としたプリプレグに使用されるマトリックス樹脂としては、通常、炭素繊維を強化繊維とする複合材料に使用される樹脂、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂等が挙げられるが、特に、エポキシ樹脂が相溶性・接着性の面から好ましい。
【0044】
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラグリシジルアミン、トリグリシジルアミン等の多官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂の硬化剤、硬化促進剤としては、一般に使用されているジシアミンジアミド、ジアミノジメチル尿素、ジアミノジフェニルスルフォン等アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が使用される。
【0045】
本発明の炭素繊維ストランドは、集束性、開繊性及び耐擦過性が同時に優れている。この炭素繊維ストランドを強化繊維とし、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂としたプリプレグは、表面平滑性及び含浸性が良い。そのため、プリプレグ同士の密着性に優れ、積層しやすいという利点を有し、更に、積層して得られた成形物は機械的特性(特に層間剪断強度)に優れている特徴がある。
【0046】
本発明のサイズ処理された炭素繊維ストランドは、開繊性と樹脂含浸性に優れているので、様々な成形用途に有用であり、例えば、UDPP、織物、フィラメントワインディング、プルトルージョン用途に有効である。特にUDPP用途では、短時間で樹脂が含浸するため、生産スピードアップ特性改善に効果がある。
【0047】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例中の炭素繊維ストランドの擦過毛羽量、開繊性、UDプリプレグ表面平滑性、含浸性、成形物の層間剪断強度は次の方法に準拠した。
【0048】
(1)炭素繊維ストランドの擦過毛羽量
直径2mmのクロムめっきのステンレス棒を15mm間隔で5本配置し、かつ、その配置はサイズ処理された炭素繊維ストランドが前記ステンレス棒に120°の接触角で接触しながら通過し得るようにジグザグに配置した。このステンレス棒間にサイズ処理された炭素繊維ストランドをジグザグにかけ、ボビンからの炭素繊維ストランド解舒テンションを200g/12Kに設定して擦過させた。擦過後の炭素繊維ストランドをウレタンスポンジ(寸法32mm×64mm×10mm、重さ約0.25g)2枚の間に挟み、125gの重りをウレタンスポンジ全面に荷重がかかるようにのせ、炭素繊維ストランドを15m/分の速度で2分間通過させたときのスポンジに付着した毛羽の重量を擦過毛羽量とした。
【0049】
(2)炭素繊維ストランドの開繊性
図1に示すように、直径15mmのクロムめっきのステンレス棒1、幅測定器2、及びサイズ処理された炭素繊維ストランドを巻取ったパッケージ4を配置する。次にサイズ処理された炭素繊維ストランド3を図に示すような糸道で5m/分の速度で通過させる。なお、ストランドテンションは、幅測定器2を通過した際に200gとなるように設定する。このようにしてステンレス棒間を通過した炭素繊維ストランドの拡がり幅を幅測定器2で測定する。測定時間は30秒とし、その間の平均値を測定した。
【0050】
(3)UDプリプレグ表面平滑性
チバガイギー社製EPN1138(商品名:フェノールノボラック型エポキシ樹脂)70重量部、油化シェルエポキシ社製エピコート834(商品名:ビスフェノールA型エポキシ樹脂)12重量部、同社製エピコート1002(商品名:ビスフェノールA型エポキシ樹脂)18重量部の割合で混合した樹脂組成物に、更に硬化剤、促進剤を加え、プリプレグ用樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物をフィルムコーターにより、離型紙の上に塗布し、樹脂フィルムとした。この樹脂フィルム上にサイズ処理された炭素繊維ストランドを等間隔に引き揃え並べた後、加熱して樹脂を該炭素繊維ストランドに含浸させ、炭素繊維目付150g/m2、樹脂含浸率37重量%のUDプリプレグを作製した。このUDプリプレグを目視及び触感にて評価した。
【0051】
(4)UDプリプレグの含浸性
炭素繊維ストランドに対するマトリックス樹脂の含浸性(プリプレグの含浸性)を評価するために、前記(3)にて作製したUDプリプレグを20cm×20cmの大きさにカットし、このプリプレグは離型紙が片面に張り付いたままの状態とし、プリプレグの含浸性の評価試験の試験片とした。
図2は、プリプレグの含浸性を評価するための簡易測定装置である。曲率半径が16cmの半円筒5の内壁面に、半円筒5の円周方向に繊維が配向するようにカットしたプリプレグ試験片6を配置し、プリプレグ試験片6の離型紙側を半円筒5に貼り付けた。5分経過後に、貼り付けたプリプレグの任意(端部から5cmは除く)の5cm×5cmの正方形の計測区域7に発生したボイド8の数を目視でカウントした。これを異なる計3ヶ所で測定し、その平均値をプリプレグの含浸性として評価した。
【0052】
(5)成形物の層間剪断強度(略語:ILSS)
前記(3)にて作製したUDプリプレグを成形後の厚みが3mmとなるように積層し、金型に入れ、180℃で2時間、7kg/cm2の圧力で成形し一方向の炭素繊維強化成形板(CFRP板)を作製した。このCFRP板のILSSをASTM−D−2344に準拠し、室温にて測定を行った。
【0053】
(比較例1〜7)
ポリウレタン樹脂としてHYDRAN HW−301(ポリエステル系ウレタン、大日本インキ化学工業株式会社製)、ポリエーテル樹脂として下記構造式(2)で示されるポリオキシエチレン(15)ラウリルグリシジルエーテル(POE(15)LGE:松本油脂製薬株式会社製)を用い、下記の表1に示す配合量から成る樹脂組成物を水に溶かし、濃度が30g/lのサイジング剤溶液を作製した。
【0054】
【化4】
【0055】
このサイジング溶液の浴中に、未サイジングの炭素繊維ストランド(ベスファイト、登録商標:東邦レーヨン株式会社製、12,000フィラメント、引張り強度400kgf/mm2、引張り弾性率24,500kgf/mm2)を浸漬した後、ローラーにて余分な水分を除去し、140℃で3分間乾燥し、連続的に炭素繊維ストランドのサイズ処理を行った。このようにして得られた炭素繊維ストランドの擦過毛羽量、開繊性、UDプリプレグ表面平滑性、含浸性、及び成形物のILSSを上記の方法により測定した結果を下記の表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
(実施例1、2)
ポリウレタン樹脂としてHYDRAN HW312B(ポリエーテル系ウレタン、大日本インキ化学工業株式会社製)、ポリエーテル樹脂として下記構造式(3)で示されるビスフェノールAのエチレンオキサイド(10)付加物(POE(10)bisA:松本油脂製薬株式会社製)を混合して水に溶かし、更に第三成分としてイソプロピルパルミテート(花王株式会社製、エキセパールIPP)、オクチルステアレート(新日本理化株式会社製、エヌジェルブOS)乳化物を添加し、表1に示す配合量から成る樹脂組成物の水エマルジョンサイジング剤を作製した。
【0058】
【化5】
【0059】
ここで、第三成分のエマルジョン化は、第三成分を70重量部、ポリオキシエチレン(3)アルキルエーテルを10重量部、ポリオキシエチレン(8)アルキルエーテルを20重量部の割合で混合してエマルジョンとした。得られた水エマルジョンサイジング剤を濃度が30g/lとなるように水で希釈してサイジング剤を作製した。
【0060】
この水エマルジョンサイジング剤の浴中に、未サイジングの炭素繊維ストランド(ベスファイト、登録商標:東邦レーヨン株式会社製、12,000フィラメント、引張り強度400kgf/mm2、引張り弾性率24,500kgf/mm2)を浸漬した後、ローラーにて余分な水分を除去し、140℃で3分間乾燥し、連続的に炭素繊維ストランドのサイズ処理を行った。このようにして得られた炭素繊維ストランドの擦過毛羽量、開繊性、UDプリプレグ表面平滑性、含浸性、及び成形物のILSSを上記の方法により測定した結果を下記の表1に示す。
【0061】
【発明の効果】
本発明のサイズ処理された炭素繊維ストランドを用いてプリプレグを製造する際に、そのサイズ処理された炭素繊維ストランドは良好な耐擦過性及び開繊性を有し、かつ製造されたプリプレグは良好な表面平滑性及び含浸性を有し、かつ、そのプリプレグを用いて成形された成形品は機械的特性が優れたものとなる。また、本発明のサイジング剤は、エポキシ樹脂成分を含んでおらず、またサイズ剤の形態も水溶液又は水分散液での使用が可能であり、人体への影響も軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 炭素繊維ストランドの開繊性を評価するための簡易測定装置である。
【図2】 プリプレグの含浸性を評価するための簡易測定装置である。
【符号の説明】
1 ステンレス棒
2 幅測定器
3 炭素繊維ストランド
4 炭素繊維ストランドパッケージ
5 半円筒
6 プリプレグ試験片
7 計測区域
8 ボイド
Claims (7)
- 炭素繊維ストランドに対するサイジング剤の付着量が0.1〜3.0重量%であることを特徴とする請求項1記載のサイズ処理された炭素繊維ストランド。
- サイジング剤に高級脂肪酸エステルを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれか1項に記載のサイズ処理された炭素繊維ストランド。
- 前記高級脂肪酸エステルがオクチルステアレート、あるいはイソプロピルパルミテートであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のサイズ処理された炭素繊維ストランド。
- サイジング剤に高級脂肪酸エステルが5〜20重量%含まれていることを特徴とする請求項3又は請求項4記載のサイズ処理された炭素繊維ストランド。
- 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のサイズ処理された炭素繊維ストランドを強化繊維とし、且つ熱硬化性樹脂をマトリックスとすることを特徴とするプリプレグ。
- 請求項6記載のプリプレグを成形してなる成形物。
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