JP3752926B2 - 建築構造物用の能動型動的吸振器 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、住宅等の建築構造物に対する副振動系を構成して、主振動系たる建築構造物に対して制振効果を発揮し得る建築構造物用の動的吸振器に係り、特に、マス部材に水平方向の加振力を及ぼす加振手段を設けることによって、能動的な制振効果を発揮するようにした建築構造物用の能動型動的吸振器に関するものである。
【0002】
【背景技術】
一般住宅や事務所等の建築構造物では、交通振動等の外力が加振力として作用することによって水平方向の振動が発生する場合がある。特に、近年では、一般住宅等でも、木造や軽量鉄骨構造等によって二階建てや三回建てが多くなってきており、それらの住宅等では、構造上、二階や三階の振動が大きくなり易いために、交通振動による微振動が、例えば就寝時や就業時における不快振動や不快騒音等の原因として問題となってきている。
【0003】
ところで、建築構造物用の制振装置としては、従来、高層ビルやタワー等の高層建築物の揺れを軽減するためのものが幾つか提案されており、例えば、特開平8−338467号公報には、建築構造物に対してゴムマウントを介して本体マス部材を弾性支持せしめることによって構成されたパッシブ型(受動型)の動的吸振器が開示されている。ところが、このようなパッシブ型の動的吸振器では、防振すべき特定の振動に対して未だ十分な制振効果を得ることが難しい場合があった。そこで、パッシブ型の動的吸振器を構成する本体マス部材に対して、水平方向の加振力を及ぼす加振手段を設け、該加振手段によって本体マス部材に及ぼされる加振力を、防振すべき振動に応じて制御することによって能動的な制振効果を得るようにした能動型動的吸振器が提案されている。例えば、特開平2−300478号公報や特開平9−41714号公報等に記載のものがそれである。
【0004】
しかしながら、上記公報等に記載された従来構造の能動型動的吸振器においては、何れも、本体マス部材に対して、リニアベアリング等の摺動機構を介して相対移動可能に支持せしめた付加マス部材を、電動モータで駆動せしめられるボールねじ機構等によって相対変位せしめる構造とされていることから、摺動機構やボールねじ機構に対して摩耗による作動不良や損傷が発生し易いという問題があった。特に、高層建築物における地震時の制振など、作動頻度が少ない場合はそれ程大きな問題とならないが、交通振動の制振など、略常時作動させると、摺動機構やボールねじ機構の疲労や摩耗が非常に大きな問題となり易い。
【0005】
また、電動モータで駆動されるボールねじ機構等によって付加マス部材を変位させる従来構造の能動型動的吸振器においては、付加マス部材を高い周波数で加振することが極めて難しく、そのために、高層建築物の制振など、数Hz以下の低周波振動の制振には有効であるものの、一般住宅などの小型建築物では、一般に防振すべき振動周波数がそれより高いために、有効な制振効果を得ることが難しいという問題もあった。
【0006】
しかも、従来構造の能動型動的吸振器においては、リニアベアリング等の摺動機構や電動モータ、ボールねじ機構などと、複雑な部品が多く必要とされるために、その構造が複雑で、製造や設置が難しいことに加えて、吸振器のサイズが大形化し易く、例えば小型建築物等では設置スペースの確保が難しいという問題もあったのである。
【0007】
なお、このような問題に鑑み、特開平9−256675号公報には、ボイスコイルタイプのリニアモータを、本体マス部材と建築構造物の構造材の間に介装せしめて、該リニアモータの電磁力に基づく加振力を本体マス部材に直接に及ぼすようにした構造も提案されている。しかしながら、ボイスコイルタイプのリニアモータで本体マス部材を直接に加振変位させようとすると、非常に大きな駆動電力が必要となり、大がかりな給電系が必要とされると共に、消費エネルギ(電力)が大きく、また発熱等が問題となるおそれがある等といった不具合があった。
【0008】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、構造が簡単且つコンパクトであり、電力等の消費エネルギも小さく抑えられて、一般住宅等の小型建築物にも好適に採用され得る、新規な構造の建築構造物用の能動型動的吸振器を提供することにある。
【0009】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様は、可能な限り任意の組み合わせで採用することが出来る。また、本発明の態様および技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0010】
先ず、本発明の第一の態様は、建築構造物に対して弾性支持部材を介して本体マス部材を弾性支持せしめることにより動的吸振器を構成すると共に、該本体マス部材に水平方向の加振力を及ぼす加振手段を設けた建築構造物用の能動型動的吸振器において、第一の取付部材と第二の取付部材を相互に離間配置せしめて、それら両取付部材を本体ゴム弾性体によって弾性連結する一方、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された流体室を形成すると共に、該流体室の壁部の別の一部を加振部材で構成し、該加振部材を加振駆動する駆動手段を設けて、該加振部材を加振変位させることにより、該流体室に圧力変化を生ぜしめて該第一の取付部材と該第二の取付部材の間に相対的な加振力を及ぼすようにして、該流体室において、該加振部材の加振変位に伴って流体流動が生ぜしめられる流体流路を形成すると共に、該流体流路を流動せしめられる流体の共振周波数を、前記建築構造物において防振すべき振動周波数と略同じにチューニングした流体封入式マウントを用い、該流体封入式マウントにおける該第一の取付部材と該第二の取付部材の何れか一方を前記本体マス部材に取り付ける一方、それら第一の取付部材と第二の取付部材の他方を該建築構造物の構造材に取り付けることにより、かかる流体封入式マウントによって前記加振手段を構成したことを、特徴とする。
【0011】
このような本態様に従う構造とされた能動型動的吸振器においては、本体マス部材が弾性支持部材を介して建築構造物に弾性支持されることにより、本体マス部材と弾性支持部材によって建築構造物に対する副振動系として作用する一つの振動系(受動振動系)が構成されていると共に、この受動振動系の本体マス部材に対して、流体封入式マウントによる加振力が及ぼされるようになっており、流体封入式マウントを加振制御することによって、受動振動系が加振制御されるようになっている。
【0012】
それ故、建築構造物において防振すべき振動に応じて流体封入式マウントを加振制御せしめて、受動振動系に加振力を及ぼすことにより、かかる受動振動系の振動によって、建築構造物における振動を相殺等せしめて抑制することが出来るのである。
【0013】
そこにおいて、本態様に従う構造とされた能動型動的吸振器においては、受動振動系に加振力を及ぼす加振手段として、内部に非圧縮性流体が封入された特定の流体封入式マウントを採用したことにより、該流体封入式マウントにおける封入流体の流動作用や流体圧作用を利用して、受動振動系を構成する本体マス部材に対して有効な加振力を小さな消費エネルギで効率的に及ぼすことが可能となる。しかも、かかる能動型動的吸振器においては、リニアベアリングやボールねじ等の複雑な機構が必要とされることがなく、部材同士の直接当接によって荷重や力の伝達を行なう必要もないことから、コンパクトで簡単な構造をもって、優れた耐久性と安定した作動性が発揮され得るのである。
【0014】
なお、本態様に係る能動型動的吸振器において、流体封入式マウントの加振部材を加振駆動する駆動手段としては、可動部材を目的とする周期で加振変位されるものであれば良いが、特に、発生加振力や加振周波数等の制御の容易性から、電気信号によって作動制御可能なものが望ましく、具体的には、例えば、コイルと永久磁石を用いた電磁力式のアクチュエータや、コイルと磁性材乃至は永久磁石を用いた磁力式のアクチュエータの他、磁歪素子や電歪素子を用いたアクチュエータ等が好適に採用される。また、流体封入式マウントにおける加振部材は、例えば、流体室の流体密性を確保しつつ、第二の取付部材等によって変位可能に支持されて、流体室の壁部の一部を構成する構造をもって有利に形成され得、具体的には、例えば、流体室の壁部の一部を構成する可動ゴム板や、外周縁部が第二の取付部材等に流体密に弾性連結された硬質の可動板等によって形成されて、それら可動ゴム板や可動板に対して加振手段の加振駆動力が及ぼされるようにされる。
【0015】
また、受動振動系を構成する本体マス部材としては、耐久性や強度と比重等を考慮して、例えば、鉄系や鉛系などの金属材が有利に採用される。また、本体マス部材を弾性支持せしめる弾性支持部材としては、金属ばねやゴム弾性体等が好適に採用され得、例えば、特開平8−338467号公報や特開平10−82449号公報等に記載されているように、補強板とゴム弾性層を積層することによって大きな耐荷重性と小さな水平剛性を付与したゴムマウントなどが採用可能である。更にまた、第一の取付部材と第二の取付部材の相対変位方向を制限するガイド機構も、採用可能であり、それによって、流体封入式マウントによって生ぜしめられる加振力、ひいては能動型動的吸振器における制振特性の更なる安定化が図られ得る。
【0016】
また、本態様においては、流体流路を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、加振手段によって加振部材に及ぼされる加振力を大幅に増幅させて、第一の取付部材と第二の取付部材の間に大きな加振力を生ぜしめることが出来るのであり、以て、受動振動系を構成する本体マス部材をより一層効率的に加振することが可能となるのである。
【0017】
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に従う構造とされた能動型動的吸振器において、前記流体封入式マウントの前記流体室を、前記本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて圧力変化に基づいて前記第一の取付部材と前記第二の取付部材の間に加振力を直接に及ぼす主液室と、壁部の一部が可撓性膜で構成されて容積変化が容易に許容される平衡室を含んで構成し、それら主液室と平衡室を相互に連通する第一の流体流路を形成すると共に、該主液室に対して前記加振部材の加振変位に基づく圧力変化が及ぼされるようにしたことを、特徴とする。このような本態様においては、第一の流体流路を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、加振部材の変位に伴って主液室に生ぜしめられる圧力変化が増大されるのであり、それ故、加振手段によって加振部材に及ぼされる加振力をより効率的に増幅させて、第一の取付部材と第二の取付部材の間に大きな加振力を生ぜしめることが出来るのである。なお、より有効な加振力の増幅効果を得るためには、第一の流体流路を流動せしめられる流体の共振周波数を、建築構造物において防振すべき振動周波数と略同じに設定することが望ましい。
【0018】
また、本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に従う構造とされた能動型動的吸振器において、前記流体封入式マウントの前記流体室を、前記本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて圧力変化に基づいて前記第一の取付部材と前記第二の取付部材の間に加振力を直接に及ぼす主液室と、壁部の一部が前記加振部材で構成されて該加振部材の加振変位に基づいて圧力変化が直接に生ぜしめられる副液室を含んで構成し、それら主液室と副液室を相互に連通する第二の流体流路を形成したことを、特徴とする。このような本態様においては、第二の流体流路を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、加振部材の加振によって副液室に生ぜしめられる圧力変化が増幅されて主液室に及ぼされるのであり、それ故、加振手段によって加振部材に及ぼされる加振力を効率的に増幅させて、第一の取付部材と第二の取付部材の間に大きな加振力を生ぜしめることが出来るのである。なお、より有効な加振力の増幅効果を得るためには、第二の流体流路を流動せしめられる流体の共振周波数を、建築構造物において防振すべき振動周波数と略同じに設定することが望ましい。
【0019】
また、本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れかの態様に従う構造とされた能動型動的吸振器において、前記流体封入式マウントを複数用い、前記本体マス部材に対して、互いに直交する二つの水平方向で加振力が及ぼされるように、それら複数の能動型制振器を装着せしめたことを、特徴とする。このような本態様に従えば、一つの本体マス部材からなる能動型動的吸振器により、建築構造物において特に問題となり易い、互いに直交する二つの水平方向の振動に対して、何れも、能動的な制振効果を有効に発揮せしめることが出来るのである。なお、本体マス部材に対して互いに直交する二つの水平方向で相対変位力を及ぼす各流体封入式マウントにおける加振手段を、同時に作動させると共に、両マウントにおける発生力を相対的に調節すれば、それら複数の流体封入式マウントにおける発生力の合力として、本体マス部材に対して各種の水平方向の加振力を及ぼすことも可能であり、それによって、建築構造物で問題となる振動方向が変化した場合や、三つ以上の水平方向振動に対して制振効果が要求される場合等においても、有効な制振力を得ることが可能となる。
【0020】
また、本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れかの態様に従う構造とされた能動型動的吸振器において、前記建築構造物における防振すべき振動に対応した参照信号に基づいて、前記流体封入式マウントにおける前記駆動手段の作動を制御する制御信号を生成する能動型制御装置を有することを、特徴とする。即ち、このような能動型制御装置を採用することによって、能動型動的吸振器において本体マス部材で構成された受動振動系を、建築構造物の振動状態に応じて高精度に加振制御せしめて、能動的な制振効果を安定して得ることが出来るのであり、建築構造物の振動状態が変化した場合でも、それに高精度に且つ速やかに対応して、有効な制振効果を得ることが可能となる。なお、かかる能動型制御装置による制御手法としては、例えば、建築構造物における振動が零に近づくように流体封入式マウントの駆動手段をフィードバック制御する他、予め得られたマップデータ等に基づいて、かかる駆動手段をフィードフォワード的に制御することも可能である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0022】
先ず、図1及び図2には、本発明の第一の実施形態としての一般住宅用の能動型動的吸振器10の全体概略構成が示されている。かかる動的吸振器10は、それ自体が建築構造物に対する受動型制振器となる受動振動系12と、該受動振動系12に水平方向の加振力を及ぼす加振手段としての流体封入式マウント14を含んで構成されており、流体封入式マウント14により、建築構造物において防振すべき振動に対応した加振力を受動振動系12に及ぼすことにより、全体として、建築構造物における振動を相殺的乃至は干渉的に抑制するようになっている。
【0023】
より詳細には、受動振動系12は、建築構造物としての一般住宅の構造材16に対して、本体マス部材としての本体マス18が、弾性支持部材としての複数のゴムマウント20で弾性支持されることによって構成されている。本体マス18は、鉄系金属等の高比重材で形成されており、本実施形態では矩形ブロック形状を有している。また、ゴムマウント20は、互いに離間して対向配置された両側取付金具22,24が、それらの対向面間に配設されたゴムブロック26によって弾性的に連結された構造とされている。そして、合計四個のゴムマウント20が、構造材16と本体マス18の鉛直方向対向面間に配されて、本体マス18の四隅部分に配設されている。また、各ゴムブロック26は、取付金具22,24の対向方向に延びる弾性中心軸が略鉛直方向に延びる状態で、一方の取付金具22が本体マス18に固着されると共に、他方の取付金具24が構造材16に固着されており、以て、四個のゴムマウント20により、本体マス18が構造材16に対して弾性的に支持されている。
【0024】
なお、各ゴムマウント20においては、例えば、ゴムブロック26の中心軸方向に離間して複数枚の補強板を埋設固着することも可能であり、それによって、本体マス18の水平方向の支持ばね剛性の著しい増大を回避しつつ、鉛直方向での本体マス18の支持強度を有利に確保することが出来る。
【0025】
また、本実施形態では、ゴムブロック26の質量や、各ゴムマウント20のばね特性を調節することによって、かかる受動振動系12における水平方向の共振周波数が、建築構造物において防振すべき振動の周波数、例えば2〜10Hz程度の交通振動等に対応するようにチューニングされている。更にまた、かかる受動振動系12は、鉛直方向に延びる弾性主軸が本体マス18の略重心を通り、且つ水平方向で互いに直交する方向に延びる二つの弾性主軸が、鉛直方向に延びる弾性主軸上で互いに直交するように設定することが望ましく、それによって、安定した振動形態が実現される。
【0026】
更にまた、受動振動系12の配設位置は、防振すべき建築構造物の振動モード等を考慮し、有効な制振効果が発揮される位置の構造材16に装着することが望ましい。具体的には、例えば、2〜3階建ての一般住宅等の場合には、最上階の天井裏のスペースや、押入れ等のスペースを利用して有利に設置され得る。また、受動振動系12が支持される構造材16は、その強度を考慮して、適当な梁や補強材のなかから選定される。
【0027】
一方、流体封入式マウント14は、図3に示されていように、第一の取付部材としての第一の取付金具28と、第二の取付部材としての第二の取付金具30が、中心軸方向で離間して対向配置されていると共に、それらの間に配設された弾性連結部材としての本体ゴム弾性体32によって弾性的に連結された構造とされている。
【0028】
より詳細には、第一の取付金具28は、略有底円筒形状を有するカップ状金具34の開口部に、略円板形状の蓋金具36が重ね合わされてボルト固定されることにより、中空構造をもって形成されている。なお、蓋金具36には、中央部分から軸方向外方に突出する取付ボルト38が固設されており、この取付ボルト38によって、第一の取付金具28が、前記受動振動系12を構成する本体マス18に固着されるようになっている。
【0029】
また、第一の取付金具28の中空内部には、可撓性膜としての変形容易な薄肉の略袋状乃至はカップ状を有するゴム製のダイヤフラム40が収容配置されており、外周縁部をカップ状金具34と蓋金具36の間で挟持されている。これにより、第一の取付金具28の中空内部が、ダイヤフラム40を挟んで、カップ状金具34の底部側と開口部側とに流体密に仕切られている。そして、ダイヤフラム40を挟んで、カップ状金具34の底部側には、非圧縮性流体が封入されてダイヤフラム40の変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室42が形成されている一方、カップ状金具34の開口部側には、蓋金具36に穿孔された連通孔44を通じて外部空間に連通されてダイヤフラム40の変形を許容する空気室46が形成されている。なお、封入流体としては、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油、或いはそれらの混合物等が何れも採用可能であるが、後述の如き流体の共振作用をより有効に生ぜしめるためには、0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。
【0030】
さらに、第一の取付金具28を構成するカップ状金具34の底壁部には、円板形状の流路形成金具48が内面に重ね合わされてボルト固定されている。そして、これらカップ状金具34の底壁部と流路形成金具48の重ね合わせ面間において、周方向に一周弱の長さで延びる第一の流体流路としての流体連通路50が形成されており、この流体連通路50の一方の端部が流路形成金具48を貫通して平衡室42に連通されていると共に、他方の端部がカップ状金具34の底壁部を貫通して外側に開口せしめられている。
【0031】
また一方、第二の取付金具30は、それぞれ略円環形状を有する連結金具52,支持金具54およびスペーサ金具と、略円形ブロック形状のヨーク部材58が、互いに軸方向に重ね合わされて相互にボルト連結されることにより一体的に形成されている。なお、ヨーク部材58の軸方向外面(図3中、下端面)には、軸直角方向外方に広がって延び出す取付固定板60がボルト固定されており、この取付固定板60に設けられた図示しないボルト孔において、第二の取付金具30が、建築構造物の構造材16に突設された後述する固定受板62に対してボルト固定されて取り付けられるようになっている(図1,2参照)。
【0032】
そして、かかる第二の取付金具30が、第一の取付金具28に対して、軸方向一方の側(図3中の下方)に離間して同一中心軸上で対向配置されており、それら両金具30,28の間に介装された本体ゴム弾性体32によって弾性的に連結されている。この本体ゴム弾性体32は、軸方向一方の側に向かって小径化する厚肉の略テーパ筒形状を有しており、その小径側端部開口部が第一の取付金具28を構成するカップ状金具34の筒部外周面に加硫接着されている一方、その大径側端部開口部が第二の取付金具30を構成する連結金具52の軸方向一方(図3中の上方)の開口端面に加硫接着されている。要するに、本実施形態では、本体ゴム弾性体32が、カップ状金具34と連結金具52を有する一体加硫成形品として形成されている。そして、第二の取付金具30を構成する連結金具52の軸方端面が、本体ゴム弾性体32を介して第一の取付金具28に連結されることにより、第二の取付金具30の軸方向一方の開口部が、それら本体ゴム弾性体32と第一の取付金具28によって流体密に閉塞されている。
【0033】
また、第二の取付金具30を構成する支持金具54は、連結金具52よりも小さな内径寸法を有しており、その中央孔64内には、該中央孔64の内径寸法よりも小さな外径寸法の略円板形状を有する加振部材としての加振板66が、軸直角方向に広がって略同軸的に配されている。この加振板66は、金属や合成樹脂等の硬質材で形成されており、支持金具54に対して、円環板形状の支持ゴム弾性体68により、弾性的に連結支持されている。これにより、該支持ゴム弾性体68の弾性変形に基づいて、加振板66の支持金具54に対する軸方向変位が許容されるようになっている。
【0034】
そして、支持金具54の中央孔64が、加振板66と支持ゴム弾性体68で流体密に閉塞されることにより、第一の取付金具28と加振板66の軸方向対向面間において、外部空間から流体密に仕切られて内部に非圧縮性流体が封入された主液室70が形成されている。また、この主液室70には、前記平衡室42と同様、所定の非圧縮性流体が封入されている。また、本実施形態において、流体室は主液室70と平衡室42を含んで構成しているものとする。即ち、かかる主液室70は、壁部の一部が本体ゴム弾性体32で構成されると共に、壁部の別の一部が加振板66で構成されているのであり、以て、加振板66の加振変位によって、主液室70に内圧変化が生ぜしめられるようになっていると共に、この主液室70に内圧変化が生ぜしめられると、本体ゴム弾性体32の弾性変形を伴って、第一の取付金具28と第二の取付金具30の間に、中心軸上での接近/離隔方向に相対的な加振変位力が及ぼされるようになっている。
【0035】
また、主液室70には、第一の取付金具28に形成された流体連通路50が開口連通されており、以て、この流体連通路50によって、主液室70と平衡室42の間での流体流動が許容されるようになっている。そして、かかる流体連通路50が、建築構造物において防振すべき振動、例えば交通振動等に対してチューニングされており、かかる周波数域で加振板66が加振されて主液室70に圧力変化が生ぜしめられると、流体連通路50を通じて流動する流体の共振作用に基づいて、主液室70に対して大きな圧力変動が生ぜしめられることとなり、以て、第一の取付金具28と第二の取付金具30の間に大きな相対的変位力乃至は加振力が及ぼされるようになっている。
【0036】
さらに、加振板66の下面中央には、非磁性材で形成されて逆カップ形状乃至はスカート形状を有するボビン72が、その上底部で重ね合わされていると共に、該ボビン72の底部内面中央には、軸方向下方に突出するガイドロッド74が立設されており、これらボビン72とガイドロッド74が、固定ボルト76によって加振板66に対して同軸的に固着されている。また、ボビン72の筒壁部には、全体として円筒形状を有するコイル84が巻回されて固着されている。
【0037】
また一方、第二の取付金具30を構成するヨーク部材58は、強磁性材で形成されて全体として大形の略円形ブロック形状を有しており、中心部分には、軸方向一方の面(図3中、上面)に開口して中心軸上を所定長さで延びるガイド穴78が形成されている。また、ヨーク部材58の径方向中間部分には、周方向に連続して延びる円環形状の周溝80が、軸方向上方(加振板66側)に向かって開口して形成されている。更に、この周溝80には、永久磁石82が収容配置されており、周溝80の外周壁面に密接して固着されている。この永久磁石82は、周方向に連続した円筒形状の他、周方向に分割された複数の円弧形状であっても良いが、その内周面側と外周面側とに両磁極が設定されている。これにより、ヨーク部材58によって、永久磁石82の一方の磁極から他方の磁極に至る略閉磁路形態の磁路が形成されているのであり、また、かかる磁路上には、周溝80により、永久磁石82の内周面と周溝80の内周壁面との径方向対向面間において、所定間隙の空隙である磁気ギャップが、周方向に連続して延びる円筒形状をもって形成されている。
【0038】
そして、ヨーク部材58は、その周溝80が第一の取付金具28側に向かって開口するようにして、非磁性材等からなる環状のスペーサ金具56を挟んで、支持金具54に重ね合わされて、ボルト固定されている。
【0039】
また、ヨーク部材58の周溝80には、加振板66によって固定的に支持されたコイル84が挿入されており、該コイル84が、ヨーク部材58に形成された磁気ギャップの両側対向面(永久磁石82の内周側磁極面とヨーク部材58の周溝80の内周面)間において、それら両側対向面に対して僅かな隙間を隔てて位置せしめられている。これにより、コイル84が、磁気ギャップ内において、軸方向(図3中の上下方向)に変位可能に配設されている。そして、コイル84に通電することによって、磁気ギャップにおける磁界との相互作用で、コイル84に対して軸方向の電磁力(ローレンツ力)が及ぼされ、かかる電磁力が、ボビン72を介して、加振板66に対して軸方向の変位力として及ぼされるようになっている。即ち、コイル84に交番電流を通電することによって、加振板66に加振変位せしめられるようになっているのである。
【0040】
なお、ヨーク部材58に形成されたガイド穴78には、円筒形状の摺動ブッシュ86が内挿固定されており、この摺動ブッシュ86に対して、加振板66に突設されたガイドロッド74が摺動可能に挿通されている。そして、ガイドロッド74がガイド穴78で軸方向に案内されることにより、コイル84や加振板66の変位方向の安定化が図られて、コイル84の永久磁石82やヨーク部材58への干渉も軽減乃至は防止されるようになっている。
【0041】
また、加振板66を第二の取付金具30(支持金具54)に弾性支持せしめる支持ゴム弾性体68は、加振板66を加振することによって主液室70に生ぜしめられる圧力変化が、該支持ゴム弾性体68の変形によって逃げることなく、有効に生ぜしめられる程度の剛性と、該加振板66を所定位置に保持し、且つ変位後に初期位置に復元せしめ得るに有効な弾性を発揮し得るように、肉厚寸法や材質等が設定されている。
【0042】
さらに、本実施形態では、主液室70における加振板66の有効ピストン面積よりも、主液室70における第一の取付金具28の有効ピストン面積の方が大きく設定されており、それによって、加振板66を軸方向に変位せしめた際に、主液室70に封入された非圧縮性流体の圧力作用に基づいて、加振板66に入力される駆動力が増幅されて、第一の取付金具28に及ぼされるようになっている。即ち、コイル84への通電によって生ぜしめられる電磁力に基づく加振板66の駆動力が、主液室70の増幅作用に基づいて、第一の取付金具28と第二の取付金具30の間に加振力として効率的に及ぼされるようになっているのである。なお、有効ピストン面積とは、流体連通路50を閉塞した状態下で、加振板66や第一の取付金具28を軸方向に単位量だけ変位させた際に主液室70に生ぜしめられる容積変化量として認識され得る。また、第二の取付金具30側の有効ピストン面積は、加振板66や支持ゴム弾性体68,支持金具54等を含んで、第一の取付金具28よりも更に大きく設定されている。
【0043】
すなわち、上述の如き構造とされた流体封入式マウント14においては、コイル84に交番電流やON/OFF的なパルス電流等を通電して加振板66を加振することにより、主液室70に圧力変動が生ぜしめられる。それにより、主液室70と平衡室42の間に相対的な圧力変動が生ぜしめられることとなり、それら両室70,42間において、流体連通路50を通じての流体流動が生ぜしめられる。その際、主液室70には、かかる流体の共振作用に基づいて、加振板66の加振変位だけに基づいて生ぜしめられる圧力変動よりも大きな圧力変動が生ぜしめられることとなり、その結果、コイル84への通電に伴う電磁力にて加振板66に及ぼされる加振力が、増幅的に、第一の取付金具28と第二の取付金具30の間に相対変位力(加振力)として及ぼされることとなる。
【0044】
それ故、かかる流体封入式マウント14においては、前述の如き、主液室70における加振板66と第一の取付金具28の有効ピストン面積の差に基づく加振力の増幅作用と、上述の如き、流体連通路50を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく加振力の増幅作用とが、相俟って発揮されることにより、加振板66を加振作動せしめることによって、第一の取付金具28と第二の取付金具30の間に、中心軸方向で接近/離間する加振力を、極めて効率的に生ぜしめることが出来るのである。特に、流体連通路50を流動せしめられる流体の共振作用に基づく加振力の増幅作用は、流体連通路50のチューニング周波数域で有効に発揮されるのであり、例えば、かかる流体連通路50を2〜10Hz程度にチューニングすることによって、建築構造物において問題となる交通振動の周波数域で加振力を特に効率的に得ることが可能となる。
【0045】
そして、このような構造とされた流体封入式マウント14は、図1〜2に示されているように、マウント中心軸(第一の取付金具28と第二の取付金具30の相対変位方向)が略水平方向となる状態で、第一の取付金具28が、受動振動系12の本体マス18の外周面に重ね合わされてボルト固定される一方、第二の取付金具30が、本体マス18の周囲に位置して建築構造物の構造材16に立設された固定受板62に重ね合わされてボルト固定されることによって装着されている。なお、固定受板62は、鉄鋼等の十分な剛性を有する材質で、略L字形の平面形状をもって形成されて、構造材16に対して固設されており、本体マス18の各一つの長辺部外周面と短辺部外周面に対してそれぞれ水平方向に離間して対向位置せしめられている。
【0046】
特に、本実施形態では、流体封入式マウント14が、合計三個用いられており、本体マス18の長辺方向に延びる外周面上に二つと、短辺方向に延びる外周面上に一つ、それぞれ装着されている。これにより、各流体封入式マウント14において第一の取付金具28と第二の取付金具30の間に生ぜしめられる加振力が、受動振動系12における本体マス18に対して、互いに略直交する二つの水平方向の加振力として及ぼされるようになっている。なお、特に本実施形態では、何れの水平方向の加振力も、本体マス18における水平面内でのねじり方向の変位が可及的に防止されるように、受動振動系12において鉛直方向に延びる弾性主軸に直交する方向に及ぼされるようになっている。
【0047】
上述の如き構造とされた動的吸振器10にあっては、各流体封入式マウント14のコイル84への通電を制御する制御装置88によって、各流体封入式マウント14のコイル84に通電して第一の取付金具28と第二の取付金具30の間に加振力を生ぜしめると、その加振力が、受動振動系12を構成する本体マス18に及ぼされて、受動振動系12が、対応した周波数で加振変位せしめられることとなる。それ故、建築構造物において防振すべき振動が生ぜしめられた際には、受動振動系12を、流体封入式マウント14により、建築構造物における防振すべき振動に対応した周波数と位相で加振することによって、相殺的乃至は干渉的な能動的防振効果を発揮し得るのである。
【0048】
なお、流体封入式マウント14を加振制御する制御装置88は、防振すべき建築構造物の振動状態を検出した振動センサ90の検出信号に基づいて、その振動に対して有効な制振効果を発揮し得るように、検出信号に対応した駆動電流を各流体封入式マウント14のコイル84に出力するものであって、例えば、予め設定されたデータに基づいて、検出信号の大きさに対応した大きさの駆動電流を、検出信号に対して所定の位相差で給電することによりフィードフォワード的に制御するものや、或いは、検出信号に含まれる建築構造物の振動値を可及的に零にするように駆動電流の大きさ等をフィードバック制御するもの等が好適に採用され得る。
【0049】
また、本実施形態では、複数個の流体封入式マウント14が、受動振動系12に対して互いに直交する水平方向で加振力を及ぼす状態で装着されていることから、各方向に加振力を及ぼす流体封入式マウント14を選択的に加振することにより、何れかの流体封入式マウント14の加振方向と同一方向の加振力を受動振動系12に及ぼすことが出来ることに加えて、各方向に加振力を及ぼす流体封入式マウント14を同時に加振することにより、各流体封入式マウント14の加振力の合力方向の加振力を受動振動系12に及ぼすことが可能であり、それによって、建築構造物における任意の水平方向の振動に対して有効な制振効果を得ることが出来るのである。
【0050】
そして、上述の如き動的吸振器10においては、受動振動系12に加振力を及ぼす加振手段として特定構造の流体封入式マウント14を採用したことにより、摺動機構やボールねじ機構等のように部材同士の直接当接や摺接によって荷重や力を伝達する構造部分を設けることなく能動型の動的吸振器が有利に実現され得たのであり、それによって、部材の摩耗や損傷等に起因する作動不良が有利に回避されて、優れた耐久性と安定した作動性が発揮されると共に、動的吸振器10の全体構造の簡略化やコンパクト化も有利に図られ得るのである。
【0051】
しかも、かかる動的吸振器10では、加振手段としての流体封入式マウント14において、第一の取付金具28と第二の取付金具30の相対変位が、本体ゴム弾性体32の弾性変形に基づいて許容されるようになっていると共に、それら両取付金具28,30間に対する加振力が、機械的な伝動機構等を介することなく、電磁力によって直接に及ぼされるようになっていることから、流体封入式マウント14から受動振動系12に及ぼされる加振力を、高い周波数域まで安定して制御することが出来るのであり、それ故、例えば小型の建築構造物における交通振動等に対しても有効な能動的制振効果を安定して得ることが出来るのである。
【0052】
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。
【0053】
例えば、複数の流体封入式マウントを装着する場合には、それら各流体封入式マウントに対して異なる周波数チューニングを施すことも可能であり、建築構造物において防振すべき振動周波数が変化する場合に、それに対応した周波数チューニングが施された能動振動系を選択的に利用することも有効である。
【0054】
また、流体封入式マウントにおける加振部材の構造は、特に限定されるものでなく、例えば、前記実施形態における加振板66と支持ゴム弾性体68の全体を、ゴム弾性板や板ばね等によって構成することも可能である。
【0055】
また、前記実施形態における流体封入式マウント14における平衡室42や流体連通路50は、必ずしも設ける必要がなく、要求される特定等によっては、それら平衡室42や流体連通路50を備えない構造の流体封入式マウントも採用可能である。なお、そのような流体封入式マウントにおいても、主液室70における加振板66と第一の取付金具28の有効ピストン面積の差に基づく加振力の増幅作用に基づいて、受動振動系12に対して有効な加振力が及ぼされ得ることとなる。
【0056】
さらに、前記実施形態における流体封入式マウント14において、例えば、第一の取付金具28と加振板66の対向面間を軸直角方向に広がる硬質の仕切部材を主液室70内に配設し、第二の取付金具30によって支持せしめることにより、主液室70を流体密に二分して、該仕切部材を挟んだ一方の側に、壁部の一部が本体ゴム弾性体32で構成された主液室を形成すると共に、仕切部材を挟んだ他方の側に、壁部の一部が加振板66で構成された副液室を形成し、更に、それら主液室と副液室を相互に連通する第二の流体流路としての第二の流体連通路を形成することも、有効である。このような構造を採用すれば、加振板66の加振によって副液室に対して直接に圧力変動が生ぜしめられることとなり、この圧力変動が、第二の流体連通路を通じての流体流動によって主液室に伝達されて、第一の取付金具28と第二の取付金具30の間に加振力が及ぼされることとなる。そこにおいて、第二の流体連通路を流動せしめられる流体の共振作用を利用することにより、副液室から主液室への圧力伝達を増幅することが出来るのであり、以て、加振力を一層効率的に生ぜしめることが可能となるのである。なお、その場合には、流体の共振作用に基づく加振力の増幅効果を一層有利に得るために、第二の流体連通路を、防振すべき振動周波数に対応してチューニングすることが望ましい。
【0057】
また、前記実施形態においては、受動振動系12を構成する本体マス18の各一つの短辺側外周面と長辺側外周面に流体封入式マウント14が装着されていたが、本体マス18の互いに対向位置する両側の短辺部外周面と両側の長辺部外周面の何れにも、流体封入式マウント14を、互いに対向する状態で装着しても良い。それによって、各個別の流体封入式マウント14を小型化することが可能となる。
【0058】
加えて、本発明は、一階建てや二階建て以上の一般住宅の他、集合住宅や事務所、倉庫、ビル、タワー等、各種の小形乃至大形の建築構造物用の能動型動的吸振器として、何れも適用可能であることは、言うまでもない。
【0059】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【0060】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた能動型動的吸振器においては、受動振動系を構成する本体マス部材に対して加振力を及ぼす加振手段として特定構造の流体封入式マウントを採用したことにより、リニアベアリングやボールねじ等の複雑な機構を必要とすることなく、かかる能動振動系を構成し得たのであり、それによって、構造の簡略化とコンパクト化が高度に達成されると共に、耐久性と作動安定性の飛躍的な向上が図られ得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての動的吸振器を示す正面図である。
【図2】図1に示された動的吸振器の平面図である。
【図3】図1に示された動的吸振器を構成する流体封入式マウントを拡大して示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 動的吸振器
12 受動振動系
14 流体封入式マウント
16 構造材
18 本体マス
20 ゴムマウント
28 第一の取付金具
30 第二の取付金具
32 本体ゴム弾性体
42 平衡室
50 流体連通路
58 ヨーク部材
62 固定受板
66 加振板
68 支持ゴム弾性体
70 主液室
82 永久磁石
84 コイル
88 制御装置
Claims (5)
- 建築構造物に対して弾性支持部材を介して本体マス部材を弾性支持せしめることにより動的吸振器を構成すると共に、該本体マス部材に水平方向の加振力を及ぼす加振手段を設けた建築構造物用の能動型動的吸振器において、
第一の取付部材と第二の取付部材を相互に離間配置せしめて、それら両取付部材を本体ゴム弾性体によって弾性連結する一方、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された流体室を形成すると共に、該流体室の壁部の別の一部を加振部材で構成し、該加振部材を加振駆動する駆動手段を設けて、該加振部材を加振変位させることにより、該流体室に圧力変化を生ぜしめて該第一の取付部材と該第二の取付部材の間に相対的な加振力を及ぼすようにして、該流体室において、該加振部材の加振変位に伴って流体流動が生ぜしめられる流体流路を形成すると共に、該流体流路を流動せしめられる流体の共振周波数を、前記建築構造物において防振すべき振動周波数と略同じにチューニングした流体封入式マウントを用い、該流体封入式マウントにおける該第一の取付部材と該第二の取付部材の何れか一方を前記本体マス部材に取り付ける一方、それら第一の取付部材と第二の取付部材の他方を該建築構造物の構造材に取り付けることにより、かかる流体封入式マウントによって前記加振手段を構成したことを特徴とする建築構造物用の能動型動的吸振器。 - 前記流体封入式マウントの前記流体室を、前記本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて圧力変化に基づいて前記第一の取付部材と前記第二の取付部材の間に加振力を直接に及ぼす主液室と、壁部の一部が可撓性膜で構成されて容積変化が容易に許容される平衡室を含んで構成し、それら主液室と平衡室を相互に連通する第一の流体流路を形成すると共に、該主液室に対して前記加振部材の加振変位に基づく圧力変化が及ぼされるようにした請求項1に記載の能動型動的吸振器。
- 前記流体封入式マウントの前記流体室を、前記本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて圧力変化に基づいて前記第一の取付部材と前記第二の取付部材の間に加振力を直接に及ぼす主液室と、壁部の一部が前記加振部材で構成されて該加振部材の加振変位に基づいて圧力変化が直接に生ぜしめられる副液室を含んで構成し、それら主液室と副液室を相互に連通する第二の流体流路を形成した請求項1又は2に記載の能動型動的吸振器。
- 前記流体封入式マウントを複数用い、前記本体マス部材に対して、互いに直交する二つの水平方向で加振力が及ぼされるように、それら複数の能動型制振器を装着せしめた請求項1乃至3の何れかに記載の能動型動的吸振器。
- 前記建築構造物における防振すべき振動に対応した参照信号に基づいて、前記流体封入式マウントにおける前記駆動手段の作動を制御する制御信号を生成する能動型制御装置を有する請求項1乃至4の何れかに記載の能動型動的吸振器。
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