JP3755786B2 - ゾーン分割ヒータの温度制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ウェハ等の被温度制御体を熱伝達面が複数のゾーンに分割されたゾーン分割ヒータによって加熱するゾーン分割ヒータの温度制御装置に関し、特に被温度制御体の温度分布を均一にするべくゾーン分割ヒータの各ゾーン間の温度分布をなくすとともに各ゾーンの経時温度特性を均一にするための改良に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
半導体製造工程には、ウェハに塗布したレジスト膜に残存する溶剤を取り除くための加熱工程(プリベーキング)や、エッチング前にレジストと基板との密着を容易にするための加熱工程(ポストベーキング)や、加熱したウェハを室温レベルに冷却するクーリング工程などが含まれており、これらの工程の際にウェハをより効率よくかつ高精度に温度制御することがスループットを上げる上で重要である。すなわち、プリベーク工程の次工程は露光であり、またポストベーク工程の次工程はエッチングであるので、これらの工程にすぐに移行できるようにするためには、ウァハの温度分布にかなり厳しい条件が要求される。
【0003】
上記ベーキング工程で用いられるウェハの温度制御の1つの従来技術としてヒータによる直接加熱方式があり、この方式では、加熱面全面にパターン形成された抵抗線を樹脂などによって封入した電気加熱式などのプレート状のヒータ(薄膜ヒータ)の上にウェハを載置し、ヒータによってウェハを直接的または間接的に加熱するようにしている。
【0004】
このようなプレート状のヒータとしては、一括通電される加熱体(抵抗線が)がプレート全面に配置されこれを1つの温度制御系で制御する通常のヒータプレートと、加熱面が複数の異なる隣接した加熱ゾーンに分割され、各加熱ゾーン毎に独立に通電される加熱体を有するゾーン分割ヒータとがあるが、ゾーン分割ヒータのほうが各ゾーン毎に独立に温度制御を行えることから加熱面の温度分布をなくす上で有利である。
【0005】
しかし、このような高精度の温度制御が可能なゾーン分割ヒータを用いるとはいっても、前述したように、ベーキング工程の際にはかなり厳しい温度条件が要求されるので、これを安価で汎用的に富むPID制御だけで実現させるのは、非常に困難である。例えば、上記ベーキング工程などの際には、各加熱ゾーン間の温度差は、過渡状態で±1゜C以内、定常状態で±0.2゜C以内が要求され、しかも30秒程度の短時間でプレート温度を整定することも要求される。
【0006】
すなわち、PID制御によって上記ゾーン分割ヒータを制御する場合、各加熱ゾーン毎にPID調整器を設け、これら複数のPID調整器の各ゲインをそれぞれ試行錯誤によって調整しなくてはならない。例えば、加熱ゾーンが3ゾーン存在する場合は、計9個のゲイン調整が必要になる。
【0007】
しかし、上述のような厳しい条件を満足させるためには、目標入力波形に対して制御対象には遅れがあるため、上記試行錯誤によるPIDゲインの調整が非常に困難になる。また、前述のベーキング工程には、各種条件の違いによって複数の目標値が設定されることが多く、このような各種の目標値に対して、調整したPIDゲインが全て上記の条件を満足させることができるとは限らない。
【0008】
また、プラントの不確かさ、動特性の変動にもかかわらず所望の性能を確保することができるシステムを構築するための制御としてロバスト制御がある。
【0009】
しかし、このロバスト制御によって上記ゾーン分割ヒータを制御するようにした場合、動特性モデルの次数が高くなり、これを簡単に低次元化したモデルに近似することはできない。また、ロバスト制御では、精度が悪いモデルでは、外乱推定誤差が大きくなって定常偏差が生じるという問題もある。
【0010】
この発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、ゾーン分割ヒータの各加熱ゾーンの温度が定常状態および過渡状態の双方共に同じになるようにして、ヒータ全面に亘って温度分布が生じないようにしたゾーン分割ヒータの温度制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
この発明では、平板状の被温度制御体と、平板状の加熱面が複数の異なる隣接した加熱ゾーンに分割され、各加熱ゾーン毎に独立に制御される加熱体を有し、その上面に前記被温度制御体が載置されるゾーン分割ヒータと、これらゾーン分割ヒータを各加熱ゾーン毎に各別に制御する複数の制御系と、 を有し、前記ゾーン分割ヒータによって前記被温度制御体を加熱制御するゾーン分割ヒータの温度制御装置において、
各加熱ゾーン間の動特性の定常偏差がなくなるようにゲインが予め調整され、目標温度にしたがって当該加熱ゾーンをフィードバック加熱制御する第1の制御手段と、
前記第1の制御手段のゲイン調整後の各加熱ゾーンの動特性を各加熱ゾーン間で共通化かつ近似低次元化した動特性モデルを有し、目標温度に対応する当該加熱ゾーンの出力と目標温度に対応する前記動特性モデルの出力との偏差をとり、この偏差を目標温度にフィードバックする第2の制御手段とを前記各加熱ゾーンの制御系に各別に備えるようにしたことを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、まず第1の制御手段による例えばPI制御によって各加熱ゾーンの動特性の定常偏差をなくしておく。したがってこの状態では、各加熱ゾーン間で過渡状態における温度差は依然残っている。つぎに、この定常偏差をなくした状態における各加熱ゾーンの動特性を例えば、簡単な振動性二次要素にて近似する(ステップ応答波形による)とともに、各加熱ゾーン間で共通化した動特性モデルを作成する。すなわち、動特性モデルは、各加熱ゾーン間で同一なモデルとする。また、第2の制御手段は、外乱オブザーバとして機能し、目標温度に対応する当該加熱ゾーンの出力と目標温度に対応する前記動特性モデルの出力との偏差をとり、この偏差を目標温度にフィードバックする。
【0013】
したがって、このような第1の制御手段および動特性モデルが同一である第2の制御手段を各加熱ゾーンの制御系に各別に備えるようにすれば、過渡状態における各加熱ゾーン間の温度差、構造上の動特性の違い、モデル誤差、製作誤差などは全て第2の制御手段から推定外乱として出力されることになり、この推定外乱が目標温度にフィードバックされることになるので、各加熱ゾーンの動特性は前記共通化されたモデルの動特性に追従することになり、結果的に各加熱ゾーンの定常状態および過渡状態における温度特性の差をなくすことができるようになる。
【0014】
このようにこの発明によれば、ゾーン分割ヒータの各加熱ゾーンの定常状態および過渡状態における温度特性の差をなくすようにしたので、各時点においてヒータ全面に亘って温度分布が生じなくなり、ウェハなどの被温度制御体の全面を均一に加熱制御することが可能になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施形態を添付図面に従って詳細に説明する。
【0016】
図2は、ウェハ10が載置されるゾーン分割ヒータ20の概略構成を示すものである。ゾーン分割ヒータ20は円形平板状をしており、その加熱面が同心円で区画された3つの加熱ゾーンA,B,Cに分割されている。ゾーン分割ヒータ20の加熱面上には、複数のギャップ調整ピン21が形成されており、これらのピン21によってヒータ20とウェハ10の間には極く僅か(0.1mm程度)の隙間を形成するようにしている。
【0017】
ゾーン分割ヒータ20は、各ゾーンA〜C毎に各別に通電制御される抵抗線パターンを有し、これらの抵抗線パターンを樹脂などによって封入形成するようにしている。
【0018】
図1は、図2のゾーン分割ヒータを温度制御する制御系の概略構成を示すブロック線図であり、加熱ゾーンA〜C毎に各別の制御系30A、30B、30Cを有している。
【0019】
加熱ゾーンAの制御系30Aは、PI調整器31Aを含む第1のフィードバック制御系と、外乱オブザーバ32Aを含む第2のフィードバック制御系を有しており、第2のフィードバック制御系の加算点34Aでは温度指令値Uと外乱オブザーバ32から出力される推定外乱d^の偏差をとり、第1のフィードバック制御系の加算点33AではU−d^と当該プラント(加熱ゾーンA)の出力Yの偏差をとっている。なお、dは外乱である。
【0020】
外乱オブザーバ32Aは、ロバスト制御における状態観測器に対応し、当該プラントの動特性と一致する数学モデルを有している。この外乱オブザーバ32Aに構築される動特性モデルに関しては、後で詳述する。外乱オブザーバ32Aでは、温度指令値Uに対応する当該プラント(加熱ゾーンA)の出力Yと温度指令値U(正確にはU−d^)に対応する前記動特性モデルの出力の偏差、即ち推定外乱d^を求め、この推定外乱d^を温度指令値Uにフィードバックするようにしている。したがって、この制御系によれば、推定外乱d^がなくなるように、当該プラント(ゾーンA)の動特性は外乱オブザーバ32Aの構築された動特性モデルの動特性に追従していくことになる。
【0021】
加熱ゾーンBの制御系30Bは、前記同様、PI調整器31Bを含む第1のフィードバック制御系と、外乱オブザーバ32Bを含む第2のフィードバック制御系を有しており、また加熱ゾーンCの制御系30Cも、PI調整器31Cを含む第1のフィードバック制御系と、外乱オブザーバ32Cを含む第2のフィードバック制御系を有している。
【0022】
図3は、各制御系30A〜30Cに共通入力される温度指令値Uの一例を示すものである。なお、この温度指令値Uの波形は任意であり、単なる階段状のステップ波形にしてもよい。
【0023】
ここで、図1に示した本システムの制御系においては、外乱オブザーバの32A〜32C内のモデルを構築するために次のような手法を実行する。
【0024】
すなわち、まず、各制御系30A〜30CのPI調整器31A〜31CのPIゲインを調整して、図4に示すように、各加熱ゾーンの動特性間に、定常状態において偏差が発生しないようにしておく。勿論、このPI調整器31A〜31Cによる調整では、過渡状態における温度差もなくすことは困難であり、図4にも示すように、各加熱ゾーン間で過渡状態における温度差は存在していることになる。
【0025】
つぎに、このように定常偏差をなくした状態における各加熱ゾーンの動特性(破線Jで囲まれた部分の動特性)を、例えば、簡単な振動性二次要素にて近似低次元化(ステップ応答波形による)した下式に示すような動特性モデルを作成する。
【0026】
ただし、これら近似した各加熱ゾーンの動特性モデルは、各加熱ゾーンで共通とする。すなわち、近似低次元化した各加熱ゾーンの動特性モデルは同一とし、この同一の動特性モデルを各加熱ゾーンの制御系の外乱オブザーバ32A〜32Cに記憶するようにする。
【0027】
前述したように、各制御系の外乱オブザーバ32A〜32Cでは、温度指令値Uに対応する当該加熱ゾーンの出力Yと、温度指令値Uに対応する自オブザーバ内の動特性モデルの出力の偏差、即ち推定外乱d^を求め、この推定外乱d^を温度指令値Uにフィードバックするようにしたので、各制御系では、推定外乱d^がなくなるように、当該加熱ゾーンの動特性が自オブザーバ内の動特性モデルの動特性に追従していくことになる。
【0028】
ここで、前述したように、各外乱オブザーバ内の動特性モデルは共通化されているので、各加熱ゾーンの制御系ではそれぞれの動特性が共通化されたモデルの動特性に追従することになり、結果的に各加熱ゾーンの定常状態および過渡状態における温度特性の差をなくすことができるようになる。
【0029】
すなわち、各加熱ゾーンの動特性は異なるので、これらの各加熱ゾーンの動特性モデルは本来別々に最適のものを採用するべきであるが、本システムでは、各加熱ゾーンの動特性を一致させることを主眼において、これら各加熱ゾーンの動特性モデルを共通化してロバスト制御を行うようにしているのである。すなわち、本システムでは、各加熱ゾーン間で、過渡状態における温度差、構造上の動特性の違い、モデル誤差、製作誤差などが存在したとしても、これらは全て外乱とみなされて温度指令値Uにフィードバックされることになる。
【0030】
図5は、ゾーン分割ヒータ20を20゜Cから105゜Cに加熱する場合のシミュレーション結果を示すもので、この図5では過渡状態において各ゾーン間に温度差は生じていないように見えるが、実際には図6および図7に示すような温度差が生じている。
【0031】
図6は、PI制御のみを行ってロバスト制御を行わない場合の、各ゾーン間の最大温度差を経時的にプロットしたもので、図7はPI制御及びロバスト制御を行った場合の最大温度差を経時的にプロットしたものである。なお、図6の縦軸の単位は0.5゜Cであり、図7の縦軸の単位は0.002゜Cである。
【0032】
これらの図からも判るように、ロバスト制御を追加した図7のほうが、過渡状態における各加熱ゾーン間の温度差が明らかに小さくなっている。
【0033】
このようにこの実施例によれば、PI制御およびモデルを共通化したロバスト制御によってゾーン分割ヒータ20の各加熱ゾーンA〜Cの定常状態および過渡状態における温度特性の差をなくすようにしたので、各時点においてヒータ全面に亘って温度分布が生じなくなり、ウェハ10の全面を均一に効率よく加熱制御することが可能になる。
【0034】
なお、上記実施例において、ゾーン分割ヒータ20は、同心円状にゾーンが分割されるようにしたが、その分割ゾーンの配置態様、形状、分割数などは任意である。
【0035】
また、上記実施例においては、ゾーン分割ヒータ2のみによってウェハ10を加熱する構成を前提としたが、ウェハ10が載置されるゾーン分割ヒータ20の下に流体が通過する温度制御室を形成し、この温度制御室に高温流体および低温流体を供給し、該供給した高温または低温流体を温度制御室内に設けた複数の流体噴出孔を介して温度制御室の上部内壁面に対して噴出するようなシステムに本発明を適用するようにしてもよい。この場合、ゾーン分割ヒータ20は、ヒータ20の下方から供給された流体による熱をウェハに伝達する中間熱媒体としても機能することになる。
【0036】
また、上記実施例では、外乱オブザーバ32A〜32C内に構築されるモデルとして二次遅れ要素を採用するようにしたが、PI制御を含めたシステムモデルを近似低次元化できるモデルであれば任意の数学モデルを採用するようにしてもよい。
【0037】
また、上記実施例では、PI調整器を採用するようにしたが、PID調整器の比例要素、微分要素、積分要素の任意の要素を組み合せたり、あるいは単独要素で調整器を構成するようにしてもよい。
【0038】
ゾーン分割プレート20としては、平板状の加熱面が複数の異なる隣接した加熱ゾーンに分割され、各加熱ゾーン毎に独立に制御される加熱体を有するものであれば、その加熱方式は電熱方式に限らず任意である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示すブロック線図。
【図2】ゾーン分割ヒータの概略構成を示す図。
【図3】温度指令値の一例を示す波形図。
【図4】定常偏差がなく過渡偏差が存在する温度特性波形を示す図。
【図5】各加熱ゾーンの経時的温度変化の実験結果を示す図。
【図6】ロバスト制御がない場合の各加熱ゾーン間の最大温度差の経時的状態の実験結果を示す図。
【図7】ロバスト制御がある場合の各加熱ゾーン間の最大温度差の経時的状態の実験結果を示す図。
【符号の説明】
10…ウェハ
20…ゾーン分割ヒータ
30…制御系
31…PI調整器
32…外乱オブザーバ
Claims (1)
- 平板状の被温度制御体と、
平板状の加熱面が複数の異なる隣接した加熱ゾーンに分割され、各加熱ゾーン毎に独立に制御される加熱体を有し、その上面に前記被温度制御体が載置されるゾーン分割ヒータと、
これらゾーン分割ヒータを各加熱ゾーン毎に各別に制御する複数の制御系と、
を有し、前記ゾーン分割ヒータによって前記被温度制御体を加熱制御するゾーン分割ヒータの温度制御装置において、
各加熱ゾーン間の動特性の定常偏差がなくなるようにゲインが予め調整され、目標温度にしたがって当該加熱ゾーンをフィードバック加熱制御する第1の制御手段と、
前記第1の制御手段のゲイン調整後の各加熱ゾーンの動特性を各加熱ゾーン間で共通化しかつ近似低次元化した動特性モデルを有し、目標温度に対応する当該加熱ゾーンの出力と目標温度に対応する前記動特性モデルの出力との偏差をとり、この偏差を目標温度にフィードバックする第2の制御手段と、
を前記各加熱ゾーンの制御系に各別に備えるようにしたことを特徴とするゾーン分割ヒータの温度制御装置。
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Applications Claiming Priority (1)
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| JP02213198A JP3755786B2 (ja) | 1998-02-03 | 1998-02-03 | ゾーン分割ヒータの温度制御装置 |
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- 1998-02-03 JP JP02213198A patent/JP3755786B2/ja not_active Expired - Fee Related
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