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JP3756715B2 - ベータアルミナ固体電解質の製造方法 - Google Patents
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ベータアルミナ固体電解質の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気抵抗が低く、強度が大きいなどの特性に優れたベータアルミナ固体電解質の製造方法に係り、更に詳しくは、高密度で、圧環強度と内水圧強度が高く、かつNaイオン伝導性に優れたベータアルミナ固体電解質の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ベータアルミナ固体電解質は、主としてナトリウム−硫黄電池(以下「NaS電池という。」)の隔膜として用いられている。ベータアルミナ固体電解質はナトリウムイオン伝導性が極めて高いとの特性を有しているが、一方、ベータアルミナ結晶は六角板状の結晶であり、ナトリウムイオンが伝導する方向は、C軸に垂直な方向であり、異方性があるとの特質を有している。
【0003】
NaS電池の固体電解質管としての製造方法は、αアルミナ、Na化合物、及び安定化剤としてのMgO又はLi2O等の各原料を適切な比率で混合した後、仮焼してベータアルミナ化を行い粉砕する。次に、得られた粉砕原料を造粒した後、袋管形状に成形し、焼成することによりベータアルミナ固体電解質管を得ることが行われている。
【0004】
このような従来の製造方法では、原料を予め仮焼してベータアルミナ化を行い、しかる後、袋管形状に肉厚方向に加圧して成形するため、加圧方向に垂直に六角板状のベータアルミナ結晶が配向し、その結果、NaS電池におけるベータアルミナ固体電解質管の電気抵抗は高くなり、電池の出力低下及び充電時の電力損失が大きくなるとの問題を生じてきた。
【0005】
NaS電池の内部抵抗の主要部分は固体電解質管が占めており、ベータアルミナ固体電解質管の抵抗を下げる研究が多くなされてきた。NaS電池の固体電解質管としては、電気抵抗のみでなく、構造体としての高い強度、緻密性、結晶の微細化、などの特性も合わせて要求される。この要求を解決する製造方法として、特開平11−12028号公報が開示する製造方法が提案されている。この製造方法は、原料粉末中に種結晶を添加、分散、成形、焼結するベーターアルミナ固体電解質の種結晶中のLi2O/Na2O重量比を原料粉末中のLi2O/Na2O重量比より大きくすることを特徴とする製造方法である。
【0006】
この公報においては、330℃における抵抗率が1.5ないし2.5Ωcm、圧環強度が250ないし350MPaと記載されているが、この公報に記載されているベータアルミナ固体電解質の特性は、その公報の表1に記載されている通りであり、抵抗率は2.4Ωcm以上、圧環強度は270MPa以下である。さらに低い抵抗率とさらに高い圧環強度を併せ有するベータアルミナ固体電解質については全く記載されていない。したがって、本公報が開示するベータアルミナ固体電解質は抵抗率2.4〜3.5Ωcm、圧環強度230〜250MPaの領域の特性を有するベータアルミナ固体電解質であると解釈される。
【0007】
又、本公報が提案する方法は、原料をベータアルミナ化する仮焼工程を経由するため、工程が煩雑となり、またコスト高となることは否めない。更に、Li2O/Na2O重量比を調合する工程も加わり、工程の煩雑化、コスト高といった問題が増大する。
【0008】
本発明者は、先に特開平7−272749号公報で、原料をベータアルミナ化する仮焼工程を経由せず、直接ベータアルミナ固体電解質を製造する方法を提案した。
この製造方法は、アルミナ源、マグネシウム源、及びナトリウム源の各原料を用いて、ベータアルミナ固体電解質を製造する方法において、マグネシウム源としてマグネシウム−アルミニウムスピネルを用い、各原料を混合、造粒した後成形し、次いで焼成することにより、原料の仮焼を行うことなくベータアルミナ固体電解質を得る製造方法である。この方法によって得られるベータアルミナ固体電解質の特性は、抵抗率4.0Ωcm以下、内水圧破壊強度は150MPa以上、密度は3.20g/cm3以上である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
単位電池容量当たりの単電池の製作コストを低減する目的で大型単電池を使用したNaS電池の使用が増加してきた。単電池の大型化に伴い、使用されるベータアルミナ固体電解質管も大寸法化するが、ベータアルミナ固体電解質管の通電部における電流密度が増加し、NaS電池の電圧損失によるエネルギー効率の低下を招く。また、構造体としての強度も要求されるため、薄肉化も限界がある。従って、これまでに開発されているベータアルミナ固体電解質の特性レベルより更に優れた低抵抗と高強度特性を有するベータアルミナ固体電解質及びその製造方法が求められている。
【0010】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、(1)イオン伝導性に優れていること(抵抗率が低いこと)、(2)機械的強度が高いこと(圧環強度などが高いこと)、(3)緻密であること、(4)結晶が微細で均質であること(粗大結晶がないこと)、(5)袋形状の固体電解質管全体にわたって欠陥がないこと(内水圧破壊強度が高いこと)、(6)製造工程が簡略で、製造コストが安いことなどを満たすベータアルミナ固体電解質の製造方法を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、アルミナ原料とNa化合物、及び安定化剤としてMgO若しくはその化合物、又はLi 2 O若しくはその化合物を所定の割合で調合し、混合・粉砕した後、造粒後成形し、次いで焼成することにより、原料の仮焼を行わないでベータアルミナ固体電解質を得る製造方法であって、該アルミナ源としての該アルミナ原料が、該アルミナ原料の製造過程においてNa 2 O含有量が0.1重量%以下である被焼成物を本焼成して製造したアルミナであることを特徴とするベータアルミナ固体電解質の製造方法が提供される。
【0013】
本発明の製造方法では、アルミナ原料が、バイヤー法によって製造されたαアルミナであることが好ましい。また、本発明の製造方法においては、アルミナ原料が、αアルミナであって、本焼成後の比表面積が1〜7m2/gの範囲であることが好ましい。さらに、安定化剤がマグネシウム−アルミニウムスピネル又はLi2O・nAl23であることが好ましい。
【0014】
なお、本発明において、ベータアルミナとは、β―Al23(Na2O・11Al23)、β”−Al23(Na2O・5Al23)、β”'−Al23などの総称であり、特にβ”−Al23の含有量の多い、いわゆるβ”化率が95%以上のものを指すものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、第1に、ベータアルミナ固体電解質を製造するに際して、アルミナ源としてのアルミナ原料がその製造過程においてNa2O含有量が0.1重量%以下である被焼成物を本焼成して製造したアルミナを用いることにより、固体電解質として極めて特性の良いベータアルミナを得たものである。
【0016】
本発明者は、先に特開平7−272749号公報で開示した製造方法によって製造した固体電解質について測定調査した結果、小さいながらもまだベータアルミナが配向していることが判明した。更に改良すべく、種々の角度から検討を重ねた結果、出発原料のαアルミナ配向に起因してベータアルミナの配向が生じていることを見出した。本発明者は、この点に着眼し、アルミナ原料の製造過程においてNa2O含有量が0.1重量%以下である被焼成物を焼成して製造したアルミナは配向性が低く、このアルミナを原料として用いて、特開平7−272749号公報で開示する製造方法で製造することにより、極めて特性の良いベータアルミナ固体電解質管を得ることができた。
【0017】
次に、アルミナ原料の製造方法について説明する。アルミナ原料として比較的安く、最も広く使用されているのはバイヤー法によって製造されたαアルミナである。その製造フローを図1に示す。ボーキサイトを原料とし、苛性ソーダと蒸気によって溶解し、アルミン酸ナトリウムの過飽和溶液を形成する。酸化鉄、酸化チタン、シリカなどのボーキサイト中の不純物は未溶解残さ(赤泥)として溶液から分離・除去される。
【0018】
赤泥分離後、低ソーダ水酸化アルミニウムを製造する工程と、耐火物原料等に広く使用される一般アルミナ製品あるいは低ソーダアルミナ製品を製造する工程、更には一般の水酸化アルミニウム製品を製造する工程に大別される。
本発明で使用するアルミナは、例えば低ソーダ水酸化アルミニウムを製造する工程によって得られたNa2O含有量が0.1%重量以下の低ソーダ水酸化アルミニウムを本焼成して得たαアルミナである。
【0019】
又、他の例として、低ソーダアルミナの製造工程で得られる特定のアルミナを本発明のアルミナ原料として用いることが出来る。即ち、赤泥分離後、水酸化アルミニウムを晶析させ、水洗によってNa2O含有量が0.2重量%以上の水酸化アルミニウムを製造し、次いで仮焼して遷移状アルミナ(中間アルミナ)を形成させ、酸洗浄してNa2O含有量が0.1重量%以下の中間アルミナとし、これを1200〜1500℃の温度で本焼成してαアルミナを製造する。この様にして製造されたαアルミナは本発明のアルミナ原料として用いることが出来る。
【0020】
しかしながら、低ソーダアルミナであっても、前記Na2O含有量が0.2重量%以上の水酸化アルミニウムを被焼成物として脱ソーダ剤を添加して1200〜1500℃で本焼成して得たαアルミナはNa2O含有量が0.1重量%以下のαアルミナであるが、本発明のアルミナ原料としては使えない。この様なアルミナを使用しても本発明の効果は得られない。
【0021】
又、他の例として、前記Na2O含有量が0.2重量%以上の水酸化アルミニウムを被焼成物として本焼成し、得られたαアルミナを酸洗浄して製造したNa2O含有量が0.1重量%以下のαアルミナもやはり、本発明のアルミナ原料としては使えない。この様なアルミナを使用しても本発明の効果は得られない。又、広く一般に使用されている一般アルミナ製品も同様に使用できない。
【0022】
本発明におけるアルミナ源としてのアルミナは、アルミナ原料の製造過程において、Na2O含有量が0.1重量%以下の水酸化アルミニウム、中間アルミナ、あるいは本焼成より低い温度で焼成して得たアルミナ等の被焼成物を本焼成して製造したαアルミナである。
尚、ここでいう本焼成の意味はアルミナ原料の製造過程で一番高い温度で熱処理する工程を意味する。アルミナ原料を製造する際、本焼成後に更に本焼成より低い温度で熱処理する場合もあり、最終の熱処理工程における焼成を意味するものではない。又、本発明で使用するアルミナにおいて、本焼成後のαアルミナ中のNa2O含有量を云々しているのではない。本焼成直前の被焼成物中のNa2O含有量を規定しているものである。
【0023】
被焼成物のNa2O含有量を0.1重量%以下とする方法は特に限定されるものではない。バイヤー法アルミナの中で、低ソーダアルミナと称されるアルミナの製造法で行われている手法で良い。一般に、水酸化アルミニウムの晶析を制御して、低ソーダ化をする手法、水酸化アルミニウムを軽度に焼成し、表面にあらわれたNa2O分を水洗する方法、あるいは、塩素やホウ素化合物のようにNa2Oと反応して低沸点化合物を生成する脱ソーダ剤を添加して焼成する方法などが挙げられる。
【0024】
本発明で使用するアルミナとして重要な点は、これらの方法によりNa2O含有量を0.1重量%以下にした被焼成物を、被焼成物が得られるまでの仮焼又は焼成工程における温度より高い最高温度で焼成(即ち本焼成)することで得られたαアルミナをアルミナ原料としている点である。
【0025】
又、αアルミナ粒子の本焼成後の比表面積は、1〜7m2/gが好ましく、さらには、2〜4m2/gが好ましい。αアルミナ粒子の本焼成後の比表面積としたのは、一般に本焼成後のαアルミナ粒子は2次粒子を形成しているため、本焼成以後に粉砕処理を行うが、この際に比表面積の増加を生じることによる。ここでいう本焼成後の比表面積とは、粉砕処理を行う前の本焼成後の2次粒子の比表面積を意味する。また、アルミナ原料と、Na化合物、及び安定化剤としてのマグネシウム−アルミニウムスピネルをベータアルミナに必要な所定比率に混合・粉砕した混合物の平均粒子径は0.8μm以下が好ましく、更には、0.6μm以下が好ましい。
【0026】
アルミナ原料と、Na化合物、及び安定化剤としてのマグネシウム−アルミニウムスピネルをベータアルミナに必要な所定比率に混合し、混合・粉砕した後、スプレードライヤにより造粒し、袋管形状に加圧成形し、次いで焼成することにより、原料の仮焼を行うことなくベータアルミナ固体電解質管を得る製造方法であって、アルミナ原料としてNa2O含有量を0.1重量%以下である被焼成物を焼成して得られたαアルミナを用いることにより、得られたベータアルミナ固体電解質は、350℃における抵抗率が2.5Ωcm以下、圧環強度が300MPa以上、内水圧強度が200MPa以上と極めて優れた特性を有する。
【0027】
一般に、成形体での結晶配向性は粒子形状に影響される。本発明に使用するαアルミナはその結晶配向性が低く改善されたものであり、袋管形状に加圧成形する際に発生する粒子の配向が抑制され、その結果、焼成によって得られたベータアルミナ固体電解質管の肉厚方向における結晶配向性がほとんど無い状態まで改善されたものと推定される。このことにより、前記の通りの極めて優れた特性が得られたものと思われる。
【0029】
本発明で使用するアルミナ原料として、バイヤー法以外の製造方法、例えばアンモニウム明ばんの熱分解法、有機アルミニウム塩の加水分解物の焼成法、高純度アルミニウムの水中火花放電法、アンモニウム・アルミニウム炭酸塩の熱分解法、エチレン・クロル・ヒドリン法および無水塩化アルミニウムの気相酸化法等の方法によって製造されたアルミナもコストを度外視すれば使用できる。
【0030】
本発明の製造方法において、用いるマグネシア−アルミナスピネルとしては、マグネシア−アルミナのモル比(MgO/Al23)が1以上とMgOリッチのものが好ましく、1.0〜1.5の範囲が更に好ましい。
ナトリウム源たるNa化合物としては、炭酸ナトリウムなどの従来公知のものも使用できるが、炭酸水素ナトリウムまたは蓚酸ナトリウムを用いることが好ましい。
炭酸水素ナトリウム、蓚酸ナトリウムはそれぞれ単独で用いても良いが、炭酸ナトリウムとの混合物として用いることが出来る。
【0031】
造粒工程は、通常平均粒径が50〜100μmとなるよう造粒物を作成する。成形は1.5ton/cm2以上、好ましくは2.0ton/cm2以上の圧力で行ない、1.9g/cm3以上の密度を有する成形体を作成する。また、焼成は、最高温度を1580〜1650℃の範囲に設定する。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
【0033】
(実施例1〜実施例8、比較例1〜比較例3)
実施例1においては、バイヤー法にて精製した水酸化アルミニウムの析出条件を制御して、Na2O含有量が0.07重量%の水酸化アルミニウムを得た。これを本焼成して得た比表面積が3m2/gのαアルミナを原料として、αアルミナ;71重量%、ナトリウム化合物;15重量%、マグネシウム−アルミニウムスピネル;14重量%となるように調合し、湿式ボールミルにてスラリーの平均粒子径が0.5μmになるまで粉砕混合した。このスラリーをスプレードライヤーにて平均径60μmの造粒粉体を作製し、静水圧プレスにより2ton/cm2の圧力にて袋管形状の成形体を作成した。この成形体をMgO製サヤ内に収容した状態で、最高温度1600℃、60分焼成し、外径45mm、長さ350mm,肉厚1.5mmのベータアルミナ固体電解質管を作製した。得られたベータアルミナ固体電解質管の特性を表1に示す。
【0034】
実施例2は、表1に記載の通り、Na2O含有量が実施例1と異なる水酸化アルミニウムを使用した以外は実施例1と同一の条件で製造したものである。実施例3〜実施例8についても同様に、表1に記載の通り、実施例1とはNa2O含有量が異なる水酸化アルミニウムを用い、本焼成後の比表面積が異なるαアルミナを使用した以外は実施例1と同一の条件で製造したものである。尚、比較のため、比較例1〜比較例3として、表1に記載の通り、Na2O含有量が0.2重量%以上の水酸化アルミニウムを用いた以外は実施例1と同一の条件で製造したものである。
【0035】
表1から、本焼成後のαアルミナの比表面積が2〜4m2/gであるαアルミナを原料として用いることが、特に優れた特性のベータアルミナ固体電解質管が得られる点で好ましい。
【0036】
(実施例9〜実施例16、比較例4〜比較例6)
実施例9〜実施例16は、バイヤー法にて精製したNa2O含有量が0.2重量%以上の水酸化アルミニウムを、αアルミナが生成しない程度の各種の温度で焼成(又は仮焼)し、表1に記載の比表面積を有する中間アルミナを形成させ、得られた中間アルミナを水洗もしくは酸洗浄の処理によって、表1に記載の通り0.05又は0.03重量%のNa2O含有量を有した中間アルミナとし、これらを各種の温度で本焼成して得た表1に記載の通りの比表面積を有するαアルミナを原料としたこと以外は実施例1と同一の方法で製造したものである。比較例4〜比較例6についても同様である。
【0037】
(実施例17〜実施例24、比較例7〜比較例9)
実施例17〜実施例24は、バイヤー法にて精製した水酸化アルミニウム(Na2O含有量が0.2重量%以上)を、αアルミナが生成する温度で焼成した。表1に記載通りの各種の比表面積のαアルミナを得た。これらを水洗もしくは酸洗浄の処理によって、表1に記載の通りのNa2O含有量(0.05又は0.03重量%)に調整した後、本焼成した。これら表1に記載の通りの比表面積を有するαアルミナを原料とした以外は実施例1と同一の方法で製造したものである。比較例7〜比較例8についても同様である。
【0038】
尚、電気抵抗、内水圧強度および圧環強度は次のように測定した。
【0039】
(電気抵抗の測定方法)
電気抵抗は図2に示すNa/Na通電試験装置を作製して350℃における値として求めた。図2において、Na/Na通電試験装置は、測定すべきチューブ状のベータアルミナ焼結体(ベータアルミナ管)1とαアルミナからなる絶縁支持体2,3と、ステンレス製の電極4と、電極取り出し口5,6とから構成され、容器7及びベータアルミナ管1中に350℃の溶融ナトリウム8を供給して、電極取り出し口5,6間に一定の電流を通電することにより、測定すべきベータアルミナ管1の電気抵抗率を比抵抗として求めた。
【0040】
(内水圧強度の測定方法)
チューブ状のベータアルミナ焼結体(ベータアルミナ管)の内壁にゴムチューブを介して水圧を加え、ベータアルミナ管が破壊した水圧値とベータアルミナ管の寸法から内水圧強度を測定した。
【0041】
(圧環強度の測定方法)
チューブ状のベータアルミナ管をリング状に切り出したテストピースを、外周側から径方向に荷重を加え破壊した値とテストピースの寸法から圧環強度を測定した。
【0042】
【表1】
Figure 0003756715
【0043】
(比較例10)
比較例10は、バイヤー法にて精製した水酸化アルミニウム(Na2O含有量が0.2重量%以上)を本焼成して比表面積が3m2/gのαアルミナを得た。これを、酸洗浄の処理によってNa2O含有量が0.05重量%に調整した後、本焼成よりも低い温度で熱処理した。これにより得られたαアルミナを原料とした以外は実施例1と同一の方法で製造したものである。得られたベータアルミナ固体電解質管の特性を表2に示す。比較例10は、Na2O含有量の低いαアルミナを熱処理したαアルミナを原料としても、そのαアルミナの本焼成過程での被焼成物のNa2O含有量が高ければ効果が出ないことを示している。尚、各種特性値の測定方法は表1と同一である。
【0044】
【表2】
Figure 0003756715
【0045】
以上の結果から明らかなように、本発明の範囲内において製造されたベータアルミナ焼結体は、電気抵抗、内水圧強度などの特性が良好であり、また、上記において、説明したより好ましい条件で製造されたベータアルミナ焼結体は、さらに電気抵抗、内水圧強度などの特性が良好であることがわかる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、アルミナ原料として、アルミナ原料が製造される過程においてNa2O含有量が0.1重量%以下である被焼成物を本焼成して製造したアルミナを用いているから、本発明で得られたベータアルミナ固体電解質は、ベータアルミナ結晶の配向が極めて小さく、電気抵抗、内水圧強度などの特性面からナトリウム−硫黄電池用の隔壁として極めて優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 バイヤー法アルミナ原料の製造方法を示すフローチャートである。
【図2】 電気抵抗を求めるためのNa/Na通電試験装置の例を示す構成図である。
【符号の説明】
1…ベータアルミナ管、2,3…絶縁支持体、4…電極、5,6…電極取り出し口、7…容器、8…溶融ナトリウム。

Claims (4)

  1. アルミナ原料とNa化合物、及び安定化剤としてMgO若しくはその化合物、又はLi2O若しくはその化合物を所定の割合で調合し、混合・粉砕した後、造粒後成形し、次いで焼成することにより、原料の仮焼を行わないでベータアルミナ固体電解質を得る製造方法であって、該アルミナ源としての該アルミナ原料が、該アルミナ原料の製造過程においてNa2O含有量が0.1重量%以下である被焼成物を本焼成して製造したアルミナであることを特徴とするベータアルミナ固体電解質の製造方法。
  2. 該アルミナ原料が、バイヤー法によって製造されたαアルミナであることを特徴とする請求項に記載のベータアルミナ固体電解質の製造方法。
  3. 該アルミナ原料が、αアルミナであって、本焼成後の比表面積が1〜7m2/gの範囲であることを特徴とする請求項に記載のベータアルミナ固体電解質の製造方法。
  4. 安定化剤がマグネシウム−アルミニウムスピネル又はLi2O・nAl23であることを特徴とする請求項に記載のベータアルミナ固体電解質の製造方法。
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