JP3758078B2 - トルク測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導モータ、ブラシレスDCモータ等のトルクを測定するトルク測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、3相3線結線された誘導モータのエアギャップトルクをトルクメータを使わずに、モータの巻線の電圧と電流の瞬時値から求めるトルク測定装置があった。
【0003】
図4はこの様なトルク測定装置の従来例を示した図である。この図は測定回路の構成図である。
測定対象となるモータは、a相、b相及びc相の巻線からなる3相モータである。
入力端子1にはa相とb相間の電圧が入力され、入力端子2にはc相とb相間の電圧が入力される。入力端子3にはa相の電流が入力され、入力端子4にはb相の電流が入力される。
【0004】
入力端子1に入力された電圧は、電圧入力回路5で正規化され、アナログデジタル変換器(ADCとする)6でデジタル値に変換され、演算器7に入力される。
同様に、入力端子2に入力された電圧は、電圧入力回路8で正規化され、ADC9でデジタル値に変換され、演算器7に入力される。
【0005】
入力端子3に入力された電流は、電流入力回路10で正規化され、ADC11でデジタル値に変換され、演算器7に入力される。
同様に、入力端子4に入力された電流は、電流入力回路12で正規化され、ADC13でデジタル値に変換され、演算器7に入力される。
【0006】
演算器7は、ADC6,9,11,13で変換した電圧値u1,u2,電流値ia,ibをもとにモータのエアギャップトルクを算出する。
メモリ14は、演算器7での演算器の途中結果や最終結果を保存する。
表示手段15は、演算器7で求めたエアギャップトルクの波形を表示する。
操作部16は、モータの極数P、モータの固定子側コイルの抵抗値R等のパラメータを入力する。
【0007】
図4の装置では、以下の演算によりエアギャップトルクを求める。
【数式1】
【数式2】
【数式3】
【数式4】
【数式5】
上式で、u1(k)はADCのk番目のサンプリングにおけるu1の値を示す。他の(k)がついた符号についても同様である。Ψa(k)及びΨb(k)はそれぞれa相及びb相の鎖交磁束である。τ(k)はエアギャップトルクである。
【0008】
ところで、式(3)と式(4)は積分式であるが、これを離散値で演算できるように台形公式を用いて表すと次のようになる。
【数式6】
【数式7】
ただし、ΔTはADC6,9,11,13のサンプリング周期である。
【0009】
図5は図4のトルク測定装置における各部の波形例を示した図である。
式(6)及び式(7)の台形公式を用いてトルクτ(k)を求めると、図5の一番下の波形のようになる。
【0010】
図5に示す電圧波形と電流波形の場合は、モータのエアギャップトルクは本来は一定であるべきはずであるが、求めたトルクの波形は一定でなく波打っている。
これは、演算器に用いる初期値が正しくないため、鎖交磁束ΨaとΨbの値がオフセットを持っていることが原因となっている。
磁束の波形のオフセットをとるために、磁束の波形にデジタルハイパスフィルタをかけると、応答時間が長くなったり、演算が複雑になるという問題点が発生する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、電圧波形または電流波形がゼロクロスした時点から次のゼロクロス時点までを1周期とし、この区間における鎖交磁束の平均値を求め、求めた平均値を鎖交磁束の瞬時値から引くことによって、トルクメータを用いなくても高精度にトルクを測定できるトルク測定装置を実現することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は次のとおりの構成になったトルク測定装置である。
【0013】
(1)a相、b相及びc相からなる3相モータのトルクを測定するトルク測定装置において、
a相とb相間の電圧及びc相とb相間の電圧を正規化する電圧入力回路と、
a相の電流とb相の電流を正規化する電流入力回路と、
前記電圧入力回路及び電流入力回路で正規化された電圧及び電流をアナログデジタル変換するアナログデジタル変換器と、
前記電圧入力回路及び電流入力回路に入力された電圧及び電流のいずれかについてゼロクロス時点を検出するゼロクロス検出器と、
前記アナログデジタル変換器で変換した電圧及び電流をもとに、a相の巻線とb相の巻線を鎖交する磁束を求める第1の演算手段と、
前記ゼロクロス検出器でゼロクロス時点を検出してから次のゼロクロス時点を検出するまでの期間におけるa相の巻線とb相の巻線を鎖交する磁束の平均値を求める第2の演算手段と、
第1の演算手段で求めた演算値から第2の演算手段で求めた平均値を減算し、減算値からモータのエアギャップトルクを算出する第3の演算手段と、
を有することを特徴とするトルク測定装置。
【0014】
(2)前記電圧入力回路と電流入力回路に入力された電圧と電流の波形及び前記第3の演算手段で算出したエアギャップトルクの波形を、瞬時電圧波形、瞬時電流波形、瞬時エアギャップトルク波形として画面上に同時に表示する表示手段を有することを特徴とする(1)記載のトルク測定装置。
【0015】
(3)前記表示手段は、電圧入力回路と電流入力回路に入力された電圧と電流から求めた瞬時電力波形を前記瞬時電圧波形、瞬時電流波形、瞬時エアギャップトルク波形と同時に画面表示することを特徴とする(1)記載のトルク測定装置。
【0016】
(4)観測期間内における瞬時エアギャップトルクの平均値を求める平均値算出手段を有することを特徴とする(1)記載のトルク測定装置。
【0017】
(5)前記モータは、誘導モータまたは三相ブラシレスDCモータであることを特徴とする(1)記載のトルク測定装置。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下図面を用いて本発明を詳しく説明する。
図1は本発明の一実施例を示す構成図である。図1で図4と同一のものは同一符号を付ける。
図1で、ゼロクロス検出器20,21,22,23は、電圧入力回路5,8、電流入力回路10,12の出力のゼロクロス時点を検出し、検出信号を演算器24に入力する。この検出信号は、入力が0以上ならば1を、0未満ならば0を示す2値信号である。
【0019】
演算器24で、第1の演算器手段241は、ADC6,9,11,13で変換した電圧u1,u2及び電流i1,i2をもとに、モータのa相の巻線とb相の巻線を鎖交する磁束を求める。
第2の演算手段242は、ゼロクロス検出器20〜23の出力(ゼロクロス検出信号)zcu1,zcu2,zcia,zcibのいずれかを用いて、ゼロクロス時点を検出してから次のゼロクロス時点を検出するまでの期間を1周期とし、この期間におけるa相の巻線とb相の巻線を鎖交する磁束の平均値を求める。
第3の演算手段243は、第1の演算手段241で求めた演算値から第2の演算手段242で求めた平均値を減算し、減算値からモータのエアギャップトルクを算出する。
【0020】
図1の装置では、以下の演算によりエアギャップトルクを求める。
第1の演算器手段241は次の演算器を行う。
【数式8】
【数式9】
【数式10】
【数式11】
上式によって求められたΨatmp,Ψbtmpは鎖交磁束の瞬時値である。
【0021】
第2の演算器手段242は次の演算器を行う。
【数式12】
【数式13】
上式で、mはゼロクロス検出信号zcu1,zcu2,zcia,zcibのいずれかの信号について、信号の立ち上がり時点(ゼロクロス時点)から次の立ち上がり時点までを1周期としてカウントした場合のm番目の周期である。また、N(m)はm番目の周期内におけるサンプリングデータの個数である。
Ψadc,Ψbdcはm番目の周期におけるΨatmp,Ψbtmpの平均値である。この平均値は鎖交磁束の瞬時値Ψatmp,Ψbtmpのm番目の周期におけるオフセットに相当する。
【0022】
第3の演算器手段243は次の演算器を行う。
【数式14】
【数式15】
【数式16】
ΨaとΨbはオフセットを除去した鎖交磁束の瞬時値である。オフセット除去後の鎖交磁束ΨaとΨbを用いて式(16)によりエアギャップトルクτ(k)を求める。
【0023】
図2は図1のトルク測定装置における各部の波形例を示した図である。この波形は表示手段15の画面に表示される。
図2に示す電圧、電流波形から、ゼロクロス検出信号にzciaを選択して、トルクτ(k)を求めると図2の一番下にある波形trqのようになる。
【0024】
図3は、インバータに接続されたモータについて図1の装置でトルク測定したときの各部の波形例を示した図である。この波形は表示手段15の画面に表示される。
このように、瞬時電圧波形、瞬時電流波形、瞬時エアギャップトルク波形を同時に表示することにより、各時刻で、どのようなトルクが発生しているのかが一目で分かる。
【0025】
なお、瞬時電力波形(瞬時電圧×瞬時電流)を求めて、これを同時に表示することにより、消費電力とトルクとの関係を見ることもできる。
また、平均値算出手段を設け、観測期間内の瞬時トルクを平均することにより、通常のトルクメータで測定する値を近似することができる。
また、(回転子損)=(エアギャップトルクパワー)−(シャフトパワー)の関係があるので、モータにトルクメータを取り付けシャフトパワーを測定し、それをトルク測定装置に入力すれば、回転子損も演算できる。
【0026】
また、三相3線結線に限らず、三相4線結線でも演算することができる。この場合、u1,u2の代わりにua,ubを直接測定することになる。
本発明のトルク測定装置では、インバータ制御のモータでも、ゼロクロス検出に電流を選択することにより、トルクを測定することができる。また、ゼロクロス検出器の前にローパスフィルタを通すことにより、ゼロクロス検出にPWM波形の電圧を選択することもできる。
また、誘導モータに限らず、三相ブラシレスDCモータでもトルクを測定することができる。三相ブラシレスDCモータの場合も実施例と同様な演算によりトルクを測定できる。
また、モータの回転数が変化している場合でも、トルクを測定することができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば次の効果が得られる。
【0028】
請求項1記載の発明では、電圧波形または電流波形がゼロクロスした時点から次のゼロクロス時点までを1周期とし、この区間における鎖交磁束の平均値を求め、求めた平均値を鎖交磁束の瞬時値から引くことによって、モータのエアギャップトルクを求めている。これによって、トルクメータを用いなくても高精度にモータのトルクを測定できる。
【0029】
請求項2記載の発明では、瞬時電圧波形、瞬時電流波形、瞬時エアギャップトルク波形を画面上に同時に表示しているため、各時刻で、どのような電圧、電流、トルクが発生しているかを一目で把握できる。
【0030】
請求項3記載の発明では、電圧と電流から求めた瞬時電力波形を瞬時電圧波形、瞬時電流波形、瞬時エアギャップトルク波形と同時に画面表示しているため、消費電力とトルクとの関係を画面上で容易に把握できる。
【0031】
請求項4記載の発明では、観測期間内における瞬時エアギャップトルクの平均値を求めているため、通常のトルクメータで測定する値の近似値が得られる。
【0032】
請求項5記載の発明では、トルク測定を各種のモータに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】図1のトルク測定装置における各部の波形例を示した図である。
【図3】インバータに接続されたモータの波形例を示した図である。
【図4】トルク測定装置の従来例を示した図である。
【図5】図4のトルク測定装置における各部の波形例を示した図である。
【符号の説明】
5,8 電圧入力回路
10,12 電流入力回路
6,9,11,13 アナログデジタル変換器
15 表示手段
20〜23 ゼロクロス検出器
24 演算器
241 第1の演算器手段
242 第2の演算器手段
243 第3の演算器手段
Claims (5)
- a相、b相及びc相からなる3相モータのトルクを測定するトルク測定装置において、
a相とb相間の電圧及びc相とb相間の電圧を正規化する電圧入力回路と、
a相の電流とb相の電流を正規化する電流入力回路と、
前記電圧入力回路及び電流入力回路で正規化された電圧及び電流をアナログデジタル変換するアナログデジタル変換器と、
前記電圧入力回路及び電流入力回路に入力された電圧及び電流のいずれかについてゼロクロス時点を検出するゼロクロス検出器と、
前記アナログデジタル変換器で変換した電圧及び電流をもとに、a相の巻線とb相の巻線を鎖交する磁束を求める第1の演算手段と、
前記ゼロクロス検出器でゼロクロス時点を検出してから次のゼロクロス時点を検出するまでの期間におけるa相の巻線とb相の巻線を鎖交する磁束の平均値を求める第2の演算手段と、
第1の演算手段で求めた演算値から第2の演算手段で求めた平均値を減算し、減算値からモータのエアギャップトルクを算出する第3の演算手段と、
を有することを特徴とするトルク測定装置。 - 前記電圧入力回路と電流入力回路に入力された電圧と電流の波形及び前記第3の演算手段で算出したエアギャップトルクの波形を、瞬時電圧波形、瞬時電流波形、瞬時エアギャップトルク波形として画面上に同時に表示する表示手段を有することを特徴とする請求項1記載のトルク測定装置。
- 前記表示手段は、電圧入力回路と電流入力回路に入力された電圧と電流から求めた瞬時電力波形を前記瞬時電圧波形、瞬時電流波形、瞬時エアギャップトルク波形と同時に画面表示することを特徴とする請求項1記載のトルク測定装置。
- 観測期間内における瞬時エアギャップトルクの平均値を求める平均値算出手段を有することを特徴とする請求項1記載のトルク測定装置。
- 前記モータは、誘導モータまたは三相ブラシレスDCモータであることを特徴とする請求項1記載のトルク測定装置。
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