JP3758466B2 - 排気ガス浄化用触媒の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車などの内燃機関から排出される排気ガスを浄化するための排気ガス浄化触媒の製造方法に関し、より詳しくは、ウォッシュコートによるNOX 吸蔵還元型触媒の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の排気ガス規制及び燃費規制の対応策として、従来の三元触媒にNOX を吸蔵する機能を付加させたNOX 吸蔵還元型触媒が有効であることが実証されている。
【0003】
このNOX 吸蔵還元型触媒は、リーンの酸化性雰囲気下でNOX を吸蔵し、それを一時的なストイキ〜リッチの還元性雰囲気下で放出し、その還元性雰囲気と触媒成分の作用によりNOX を還元浄化する。
NOX 吸蔵剤には、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、又はこれら金属の双方が使用される。触媒成分としては、白金、金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム等の貴金属が使用される。
ここで、NOX 吸蔵剤と触媒成分がミクロで混在すると、NOX 吸蔵剤が、触媒成分の酸化還元能力を低下させ、触媒成分のシンタリングを促進し、それにより、触媒の浄化性能を低下させることが見出されている。
【0004】
このため、本出願人は、改良されたNOX 吸蔵還元型触媒として、特開平10−258232号において、NOX 吸蔵剤を含むコア部と、このコア部の表面上に形成された触媒担持層からなるミクロ構造を有する触媒を提案している。
かかるNOX 吸蔵剤と触媒成分がミクロ的に分離した構造を有する排気ガス浄化用触媒は、NOX 吸蔵剤が触媒成分の近隣に存在するため、NOX 吸蔵剤から放出されたNOX が触媒成分によって効果的に還元される一方で、NOX 吸蔵剤の作用による上記のような触媒性能の低下が抑制できる。
【0005】
従来、このようなミクロ構造を有するNOX 吸蔵還元型触媒の製造は、例えば、特開平7−171399号に記載のように、炭酸塩のNOX 吸蔵剤が担持された担体の上に、触媒成分とバインダーを含む、水を媒体にした水系スラリーをウォッシュコートし、次いで乾燥・焼成することによって行われていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このウォッシュコートする際に、炭酸塩の状態ではNOX 吸蔵剤の一部が媒体の水の中に溶出するため、NOX 吸蔵剤が原子レベルで触媒成分に付着し、NOX 吸蔵剤が触媒の浄化性能を低下させることが判明した。
従って、本発明は、かかるウォッシュコート時のNOX 吸蔵剤の溶出を防ぎ、NOX 吸蔵剤と触媒成分が近隣に存在しながらも、双方がミクロ的に分離したNOX 吸蔵還元型触媒の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、アルカリ金属とアルカリ土類金属の少なくとも1種をNOX 吸蔵剤として含有する排気ガス浄化用触媒の製造方法であって、前記NOX 吸蔵剤を酒石酸に接触させて酒石酸塩とした後、前記酒石酸塩をモノリス基材に水を媒体としてウォッシュコートすることを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造方法が提供される。
【0008】
本発明では、水に可溶性のNOX 吸蔵剤を酒石酸に接触させて酒石酸塩とした後、この酒石酸塩をモノリス基材にウォッシュコートする。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水溶性の炭酸塩や酢酸塩は、酒石酸と接触すると、常温で容易に酒石酸塩に変化し、この酒石酸塩は、水に難溶性であるため、ウォッシュコート時にNOX 吸蔵剤の水媒体への溶出が生じない。したがって、NOX 吸蔵剤が溶出して触媒成分に付着することが防止できる。
【0009】
また、酒石酸塩を約180℃以上に加熱すればその有機基が飛散し、NOX 吸蔵能力を発揮することができる酸化物、水酸化物等の状態になる。排気ガス浄化用触媒の製造工程は、一般に500℃以上の焼成工程を含むため、酒石酸塩の有機基を飛散させる工程は、特に設ける必要はない。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明では、NOX 吸蔵剤としてアルカリ金属とアルカリ土類金属の少なくとも1種を使用する。かかるNOX 吸蔵剤には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが例示される。
これらのNOX 吸蔵剤は、酢酸塩、炭酸塩、硝酸塩等の形態では水溶性であり、これらの水溶液を用いれば、担体に含浸させる操作が容易であり、担体に均一に担持することができる。
【0011】
本発明では、これらの水溶性のNOX 吸蔵剤を酒石酸に接触させて水難溶性の酒石酸塩とした後、その酒石酸塩を、コージェライト製のハニカム形担体基材のようなモノリス基材にウォッシュコートする。この酒石酸にNOX 吸蔵剤を接触させるのは、例えば、担体に担持されたNOX 吸蔵剤の酢酸塩等を単に酒石酸水溶液に接触させることにより行うことができる。
【0012】
本発明の方法によって製造される排気ガス浄化用触媒には、白金、金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム等の触媒成分が含まれ、これらの触媒成分とNOX 吸蔵剤は、いくつかの態様でモノリス基材に担持されることができる。
【0013】
以下、これらの態様について、添付の図面を参照しながら説明する。
図1〜5は、本発明の方法を用いて実施可能な各種の態様を例示したものである。
図1は、NOX 吸蔵剤1が触媒成分2の外層に囲まれた態様を示す。
この態様は、内側にNOX 吸蔵剤の酒石酸塩が形成され、その外側に触媒成分層が存在する粒子からなる粉末を、水を媒体にした水系スラリーにし、必要によりバインダーを加え、モノリス基材にそれをウォッシュコートする。そして、乾燥・焼成することで、触媒成分とNOX 吸蔵剤がモノリス基材に固定されると同時に、NOX 吸蔵剤の酒石酸塩の有機基が飛散し、NOX 吸蔵還元型触媒が得られる。
【0014】
内側のNOX 吸蔵剤は、NOX 吸蔵剤のみで存在することができるが、好ましくは、担体に担持する。NOX 吸蔵剤と外側の触媒成分の直接接触がより効果的に防止できるためである。適切な担体としては、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ等の微粉末が挙げられ、例えば、NOX 吸蔵剤の酢酸塩、炭酸塩、硝酸塩等の水溶液を上記の微粉末に含浸させて担持する。
ここで、極めて均一かつ微細にNOX 吸蔵剤を担持させる方法の例として、NOX 吸蔵剤の酢酸塩、炭酸塩、硝酸塩等の水溶液をアルミナゾルと混合し、アルミナゾルを加水分解によってゲル化させ、次いで乾燥させる方法が挙げられる。
【0015】
触媒成分は、好ましくは、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ等の微粉末からなる担体に担持された状態で存在する。触媒成分とNOX 吸蔵剤の直接の接触を防ぐことができ、また、触媒成分の表面積が高くなって触媒性能がより向上するためである。
この外側の担体に担持された触媒成分層は、例えば、触媒成分の水溶液を上記の担体微粉末と混合してスラリーにし、このスラリーを上記のNOX 吸蔵剤の上に被覆し、乾燥させることで形成することができる。
ここで、極めて均一かつ微細に触媒成分を担体に担持させる方法の例として、NOX 吸蔵剤の場合と同様に、触媒成分の水溶液をアルミナゾルと混合し、これを上記のNOX 吸蔵剤の上に被覆し、アルミナを加水分解によってゲル化させ、次いで乾燥させる方法が挙げられる。
【0016】
水溶性の酢酸塩等の形態で担持されたNOX 吸蔵剤を、水難溶性の酒石酸塩にするには、酢酸塩等を単に酒石酸水溶液に接触させることで行うことができる。この工程は、NOX 吸蔵剤の上に触媒成分層を形成する前と後のいずれの段階でも行うことができ、いずれの場合も、常温で酒石酸水溶液に浸漬や含浸等することにより行うことができる。
【0017】
図2は、NOX 吸蔵剤1と触媒成分2が別個な粒子を形成した態様を示す。
この態様は、例えば、図1の態様について説明したのと同様な仕方で、NOX 吸蔵剤粒子と触媒成分粒子をそれぞれ作成し、これらの粒子を混合した粉末を、酒石酸水溶液に接触させ、NOX 吸蔵剤を酒石酸塩に変化させる。
次いで、その粉末を水系スラリーにし、モノリス基材3にウォッシュコートする。そして、乾燥・焼成する。
【0018】
図3は、NOX 吸蔵剤1と触媒成分2がモノリス基材3の上で2層構造を形成した態様を示す。
この態様は、例えば、図1の態様について説明したのと同様な仕方で、NOX 吸蔵剤粒子と触媒成分粒子をそれぞれ作成する。次いで、NOX 吸蔵剤粒子を酒石酸水溶液に接触させ、NOX 吸蔵剤を酒石酸塩に変化させて、モノリス基材上にウォッシュコートし、そして、水系スラリーにした触媒成分粒子を、NOX 吸蔵剤の上に重ねてウォッシュコートする。そして、乾燥・焼成する。
【0019】
図4は、触媒成分とNOX 吸蔵剤が1つの粒子4の中に共存する態様を示す。
この態様は、例えば、図1の態様について説明したのと同様な仕方で、NOX 吸蔵剤粒子と触媒成分粒子をそれぞれ作成する。次いで、それらを混合した後、適当な大きさの混合粒子4にし、その状態で酒石酸水溶液に接触させる。
次いで、水系スラリーにし、モノリス基材にウォッシュコートする。そして、乾燥・焼成する。
【0020】
図5は、図1〜4の態様によってモノリス基材3の上に担持されたNOX 吸蔵剤と触媒成分の上に、さらに別な触媒成分を水溶液を用いて付加するのに好ましい態様である。
図1〜4の状態のものを焼成せずに水溶液に曝すと、NOX 吸蔵剤と触媒成分の粒子が水溶液の中に分散されることがあり、このため、一旦焼成してNOX 吸蔵剤等をモノリスに固定することが有効であるが、焼成後に直ちに水溶液に曝すと、NOX 吸蔵剤は酒石酸塩から酸化物に変化しているため、水溶液中に溶出する。
【0021】
しかし、焼成後に再度NOX 吸蔵剤を酒石酸塩に変化させれば、水溶液に曝しても、NOX 吸蔵剤の溶出を防止することができる。
かかる付加的触媒成分としては、ロジウム、イリジウム等が挙げられ、NOX 吸蔵剤を再度酒石酸塩にした後に、これらの硝酸塩等の水溶液の状態で、NOX 吸蔵剤と触媒成分の上にさらに担持することができる。
【0022】
なお、上記の説明における各粒子の大きさは、本発明の目的を達成するためには特に限定する必要はないが、図1に示した態様では、最大径と最小径の平均として(以下「粒子径」と称する。)、内側粒子の大きさは、0.1〜20μmが一応の目安であり、触媒成分層3の厚さは0.01〜1μmが一応の目安である。
図2〜5に示した各粒子は、いずれも粒子径は0.1〜20μmが一応の目安であり、図5に示した付加的な触媒成分層の厚さは、0.01〜1μmが一応の目安である。
また、図1〜5はあくまで発明の理解を容易にするためのモデル図であり、特に、図示した粒子の形状、相対的サイズ、位置関係に限定されるものではない。
【0023】
また、本発明には、上記の態様の一部を変更するものとして、NOX 吸蔵剤に酒石酸水溶液を接触させることに代えて、既に酒石酸塩の状態であるNOX 吸蔵剤を用いること、例えば、図1の態様においては、NOX 吸蔵剤の酢酸塩等に代えてNOX 吸蔵剤の酒石酸塩そのものの周りに触媒成分層を形成すること、図2〜4の態様においては、NOX 吸蔵剤の酢酸塩等の粒子に代えて酒石酸塩粒子を用いることが含まれる。
【0024】
また、本発明には、NOX 吸蔵剤を酢酸塩、炭酸塩、硝酸塩等の水溶液の形態でモノリス基材表面にコーティングし、乾燥させることによりこれらの酢酸塩等でモノリス基材の表面を被覆し、次いで酒石酸水溶液を接触させることにより酢酸塩等を酒石酸塩に変化させ、そして、触媒成分をウォッシュコートすることも含まれる。
これらの方法によっても、ウォッシュコートの段階でNOX 吸蔵剤の溶出を防ぐといった本発明の目的を達成することができる。
【0025】
【実施例】
実施例1
アルミニウムイソプロポキシド(Al(OC3 H7 )3 )と酢酸カリウム(KCH3 CO2 )を溶解したイソプロピルアルコール溶液を攪拌しながらその溶液に水を滴下させ、アルミニウムイソプロポキシドを加水分解し、カリウムを含むアルミナゲルを生成させた。このアルミナゲルを120℃で2時間乾燥し、次いで空気中の800℃で5時間加熱することで、カリウムを10.5質量%で含有する平均粒子径が約2.7μmの、アルミナに担持されたNOX 吸蔵剤を得た。
【0026】
次いで、アルミニウムイソプロポキシドを溶解したイソプロピルアルコール溶液にこのNOX 吸蔵剤を分散させ、そのスラリーを攪拌しながらジニトロジアンミン白金硝酸水溶液を滴下させ、同時に加水分解に必要な水を添加することで、アルミニウムイソプロポキシドを加水分解し、白金を含むアルミナゲルをNOX 吸蔵剤の上に被覆した。
次いで、このスラリーを120℃で2時間乾燥し、空気中の480℃で5時間加熱することで、NOX 吸蔵剤の周りに触媒成分層が存在する触媒粉末を得た(以下、NOX 吸蔵剤、触媒成分、及び担体を含んでなる粉末を「触媒粉末」と称する。)。
【0027】
この触媒粉末の平均粒子径は約2.9μmであり、カリウムを8.7質量%、白金を2.0質量%で含んだ(残余はアルミナ)。
この触媒粉末130.0gを、予め43.46gの酒石酸を溶解した500ccのH2 Oの中に投入し、15分間攪拌した。この攪拌の後、遠心分離し、上澄みを捨てて得られた粉末を120℃で2時間乾燥し、酒石酸水素カリウム(KHC4 H4 O6 )を生成させた。ここで、触媒粉末に含まれるカリウム(K)と投入した酒石酸の比率は、K/酒石酸のモル比で1:1とした。
【0028】
実施例2
実施例1と同様にして得たカリウム、白金、及びアルミナ担体を含んでなる触媒粉末の130.0gを、予め86.92gの酒石酸を溶解した500ccのH2 Oの中に投入し、15分間攪拌した。この攪拌の後、遠心分離して上澄みを捨て、得られた粉末を120℃で2時間乾燥し、酒石酸水素カリウム(KHC4 H4 O6 )を生成させた。ここで、触媒粉末に含まれるカリウムと投入した酒石酸の比率は、K/酒石酸のモル比で1:2とした。
【0029】
実施例3
実施例1と同様にして得たカリウム、白金、及びアルミナ担体を含んでなる触媒粉末の130.0gを、予め130.39gの酒石酸を溶解した500ccのH2 Oの中に投入し、15分間攪拌した。この攪拌の後、遠心分離して上澄みを捨て、得られた粉末を120℃で2時間乾燥し、酒石酸水素カリウム(KHC4 H4 O6 )を生成させた。ここで、触媒粉末に含まれるカリウムと投入した酒石酸の比率は、K/酒石酸のモル比で1:3とした。
【0030】
実施例4
実施例1と同様にして得たカリウム、白金、及びアルミナ担体を含んでなる触媒粉末の130.0gを、予め178.85gの酒石酸を溶解した500ccのH2 Oの中に投入し、15分間攪拌した。この攪拌の後、遠心分離して上澄みを捨て、得られた粉末を120℃で2時間乾燥し、酒石酸水素カリウム(KHC4 H4 O6 )を生成させた。ここで、触媒粉末に含まれるカリウムと投入した酒石酸の比率は、K/酒石酸のモル比で1:4とした。
【0031】
実施例5
実施例1と同様にして得たカリウム、白金、及びアルミナ担体を含んでなる触媒粉末の130.0gを、予め217.31gの酒石酸を溶解した500ccのH2 Oの中に投入し、15分間攪拌した。この攪拌の後、遠心分離して上澄みを捨て、得られた粉末を120℃で2時間乾燥し、酒石酸水素カリウム(KHC4 H4 O6 )を生成させた。ここで、触媒粉末に含まれるカリウムと投入した酒石酸の比率は、K/酒石酸のモル比で1:5とした。
なお、実施例1〜5は、図1の態様に相当する。
【0032】
実施例6
アルミニウムイソプロポキシドを溶解したイソプロピルアルコール溶液を攪拌しながらジニトロジアンミン白金硝酸水溶液を滴下させ、同時に加水分解に必要な水を添加することで、アルミニウムイソプロポキシドを加水分解し、白金を含むアルミナゲルを生成させた。
次いで、このスラリーを120℃で2時間乾燥し、次いで空気中の480℃で5時間加熱することで、1.5gの白金をアルミナ上に担持した130gの粉末を得た。
【0033】
この粉末に、15.0gの炭酸カリウム(K2 CO3 )を混合し、予め97.68gの酒石酸を溶解した500ccのH2 Oの中に投入し、15分間攪拌した。この攪拌の後、遠心分離して上澄みを捨て、得られた粉末を120℃で2時間乾燥し、酒石酸水素カリウム(KHC4 H4 O6 )を生成させ、触媒成分とNOX 吸蔵剤を含む触媒粉末を得た。ここで、触媒粉末に含まれるカリウムと投入した酒石酸の比率は、K/酒石酸のモル比で1:3とした。
この実施例において得られた触媒粉末は、白金を取り込んだ平均粒子径が約2.5μmの多孔質アルミナ粒子と、平均粒子径が約3.0μmの酒石酸水素カリウム粒子の、別個な粒子からなることが観察された。
【0034】
実施例7
実施例6と同様にして得た1.5gの白金をアルミナ上に担持した130gの粉末に、56.6gの硝酸バリウム(Ba(NO2 )3 )を混合し、予め97.46gの酒石酸を溶解した500ccのH2 Oの中に投入し、15分間攪拌した。この攪拌の後、遠心分離して上澄みを捨て、得られた粉末を120℃で2時間乾燥し、酒石酸水素バリウム(BaC4 H4 O6 )を生成させた。ここで、得られた触媒粉末に含まれるカリウムと投入した酒石酸の比率は、Ba/酒石酸のモル比で1:3とした。
この実施例において得られた触媒粉末は、白金を取り込んだ平均粒子径が約2.5μmの多孔質アルミナ粒子と、平均粒子径が約1.9μmの酒石酸バリウム粒子の、別個な粒子からなることが観察された。
【0035】
実施例8
実施例6と同様にして得た1.5gの白金をアルミナ上に担持した130gの粉末に、28.3gの硝酸バリウム(Ba(NO2 )3 )と10.6gの酢酸カリウム(CH3 COOK)を混合し、予め93.22gの酒石酸を溶解した500ccのH2 Oの中に投入し、15分間攪拌した。この攪拌の後、遠心分離して上澄みを捨て、得られた粉末を120℃で2時間乾燥し、酒石酸水素バリウム(BaC4 H4 O6 )と酒石酸水素カリウム(BaC4 H4 O6 )を生成させた。ここで、触媒粉末に含まれるカリウムと投入した酒石酸の比率は、(Ba+K)/酒石酸のモル比で1:3とした。
この実施例において得られた触媒粉末は、白金を取り込んだ平均粒子径が約2.5μmの多孔質アルミナ粒子と、平均粒子径が約1.9μmの酒石酸バリウム粒子、及び平均粒子径が約3.2μmの酒石酸水素カリウム粒子の、別個な粒子からなることが観察された。
なお、実施例6〜8は、図2の態様に相当する。
【0036】
比較的1
実施例1の途中工程における平均径が約2.9μmで、カリウムを8.7質量%、白金を2.0質量%で含む(残余はアルミナ)触媒粒子を、酒石酸処理をせずにそのまま使用した。
【0037】
比較的2
実施例6の途中工程における、白金を担持したアルミナ上と炭酸カリウムを混合したものを、酒石酸処理をせずにそのまま使用した。
【0038】
比較的3
実施例7の途中工程における、白金を担持したアルミナと硝酸バリウムを混合したものを、酒石酸処理をせずにそのまま使用した。
【0039】
比較的4
実施例8の途中工程における、白金を担持したアルミナと硝酸バリウム及び酢酸カリウムを混合したものを、酒石酸処理をせずにそのまま使用した。
【0040】
−評価法−
実施例1〜8、及び比較例1〜3の触媒粉末を、バインダーを含むイオン交換水に分散させてウォッシュコート用スラリーを調製し、直径30mm×長さ50mmのモノリステストピースに各触媒をコーティングした。
これらを表1に示すモデルガス中でNOX 浄化率について評価した。詳しくは、500℃で10分間にわたってリッチガスを流して前処理を行い、リッチガスとリーンガスを2分間ずつ交互に流通させながら降温させ、350℃でのリーンガスについてNOX 浄化率を測定した。また、ウォッシュコート時に、スラリーの水に溶出したカリウムの量を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
表2に示した結果より、酒石酸塩の状態でウォッシュコートした実施例1〜8は、酢酸カリウム、炭酸カリウム、又は硝酸バリウムの状態でウォッシュコートした比較例1〜4よりも、明らかにNOX 浄化率が向上し、スラリーに溶出したNOX 吸蔵剤が明らかに少ないことが分かる。
また、酒石酸/吸蔵元素のモル比を3以上にすれば、NOX 溶出は、実質的に完全に抑えられることが分かる。
【0044】
【発明の効果】
ウォッシュコート時にNOX 吸蔵剤の溶出を防ぐことができ、NOX 吸蔵剤が原子レベルで触媒成分に付着することによる触媒性能の低下が解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法によって得られる排気ガス浄化用触媒のモデル図である。
【図2】本発明の方法によって得られる排気ガス浄化用触媒のモデル図である。
【図3】本発明の方法によって得られる排気ガス浄化用触媒のモデル図である。
【図4】本発明の方法によって得られる排気ガス浄化用触媒のモデル図である。
【図5】本発明の方法によって得られる排気ガス浄化用触媒のモデル図である。
【符号の説明】
1…NOX 吸蔵剤
2…触媒成分
3…モノリス基材
4…NOX 吸蔵剤と触媒成分の混合粒子
5…付加的触媒成分
Claims (9)
- アルカリ金属とアルカリ土類金属の少なくとも1種をNOX吸蔵剤として含有する排気ガス浄化用触媒の製造方法であって、前記NOX 吸蔵剤を酒石酸に接触させて酒石酸塩とした後、前記酒石酸塩をモノリス基材に水を媒体としてウォッシュコートすることを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造方法。
- 触媒成分の外層に囲まれたNOX 吸蔵剤を酒石酸に接触させて酒石酸塩とした後、前記触媒成分と前記酒石酸塩をモノリス基材に水を媒体としてウォッシュコートする請求項1に記載の排気ガス浄化用触媒の製造方法。
- 触媒成分粒子と混合されたNOX 吸蔵剤粒子を酒石酸に接触させて酒石酸塩とした後、前記触媒成分と前記酒石酸塩をモノリス基材に水を媒体としてウォッシュコートする請求項1に記載の排気ガス浄化用触媒の製造方法。
- 触媒成分と1つの粒子の中に共存するNOX 吸蔵剤を酒石酸に接触させて酒石酸塩とした後、前記触媒成分と前記酒石酸塩をモノリス基材に水を媒体としてウォッシュコートする請求項1に記載の排気ガス浄化用触媒の製造方法。
- 前記NOX 吸蔵剤を水を媒体としてウォッシュコートした後、触媒成分を水を媒体としてウォッシュコートする請求項1に記載の排気ガス浄化用触媒の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項の方法によって水を媒体としてウォッシュコートされたモノリス基材上のNOX 吸蔵剤と触媒成分を焼成した後、前記NOX 吸蔵剤に酒石酸を接触させ、さらに付加的触媒成分を水を媒体としてウォッシュコートすることを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項の方法において、前記NOX 吸蔵剤を酒石酸に接触させることに代えて、NOX 吸蔵剤の酒石酸塩を用いることを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造方法。
- アルカリ金属とアルカリ土類金属の少なくとも1種をNOX吸蔵剤として含有する排気ガス浄化用触媒の製造方法であって、モノリス基材に担持された前記NOX 吸蔵剤を酒石酸塩に変化させた後、触媒成分を水を媒体としてウォッシュコートによって担持することを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造方法。
- NO x 吸蔵剤に対する酒石酸のモル比が3以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の排気ガス浄化用触媒の製造方法。
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