JP3759883B2 - 看板支柱部材選定支援プログラムおよびプログラム記録媒体、ならびに看板支柱部材選定支援方法および装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピュータ装置を利用した、独立柱を有する看板の支柱部材の選定支援およびその構造計算書の作成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
屋外において、所定の高さ以上の、独立柱を有する看板を設置するためには、所定の構造計算を行ってその計算書を添付した確認申請書を所定の行政機関へ提出することが要求されることが多い。
【0003】
この構造計算は、使用する看板や支柱部材の各種仕様が確定して初めて行える。看板自体はその性質上、看板を設置する顧客の要請からその形状やサイズは比較的容易に決定されるが、それに対して使用する支柱部材については、構造上の安全性の見地から、その分野の専門家が構造計算を行って、必要な基準条件に合致した仕様の支柱部材を選定する必要があるため、直ちには決まらない。なお、本明細書において部材の「仕様」とは、後述するように、形状、サイズ、単位重量、等の構造計算に関わるパラメータであり、材質や色などは含まれない。
【0004】
従来このような看板に使用する支柱部材の選定は専門家に依頼され、専門家が自身の経験を基に、与えられた看板の仕様に対して必要な構造上の条件を満たす支柱部材を選定し、この支柱部材がその条件を満たしていることを構造計算により確認するという手順がとられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記支柱部材の選定では、安全性の条件は満たした上で、経済性の観点、あるいは施工上の事情等から、複数の選択肢のなかから顧客や施工者の希望する部材仕様を選択したい場合がある。その場合、部材仕様を変更する度に構造計算をやり直さなければならず、素人には困難であるとともに、専門家にとっても面倒であるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような背景においてなされたものであり、その目的は、独立柱看板の、構造計算上の条件を満たした支柱部材の選定を、専門家のみならず、専門でない者、例えば、顧客、販売者、施工業者等が正確、迅速、かつ容易に行うことを支援する看板支柱部材選定支援プログラムおよびプログラム記録媒体、ならびに看板支柱部材選定支援方法および装置を提供することにある。
【0007】
また、本発明による他の目的は、独立柱看板の構造計算書の作成を、正確、迅速、かつ容易に行うことを可能とする看板支柱部材選定支援プログラムおよびプログラム記録媒体、ならびに看板支柱部材選定支援方法および装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による、独立柱看板の支柱部材を選定するための支援を行うためにコンピュータに実行させる看板支柱部材選定支援プログラムは、少なくとも看板のサイズ、地盤面からの高さ、および支柱の長さのデータの入力を受ける入力受付ステップと、前記看板に作用する外力を計算する外力計算ステップと、計算された外力を用いて、支柱部材の許容曲げ応力度および許容圧縮応力度に関する構造計算上の第1の条件に対して、この第1の条件に合致する必要最小の断面係数Zを推定する推定ステップと、前記看板のサイズおよび支柱部材の長さのデータに基づいて、支柱部材の細長比に関する構造計算上の第2の条件に合致する必要最小の断面二次半径iを求める算出ステップと、異なる仕様の支柱部材毎にその仕様データを格納した仕様データテーブルを参照して、前記必要最小のZ値以上の断面係数Zおよび前記必要最小のi値以上の断面二次半径iを同時に有する支柱部材を抽出するとともに、これら抽出された支柱部材のうち所定の基準にしたがって複数の候補を選定する選定ステップと、これらの選定された各候補について前記仕様データテーブルおよび各支柱部材に共通の共通データテーブルを参照して、当該支柱部材および看板に対する総外力を再計算した後、前記選定された各支柱部材が前記第1の条件に合致することを確認する確認ステップと、少なくとも、前記データの入力のための画面および前記選定された複数の候補の表示のための画面をディスプレイ上に表示する候補出力ステップと、少なくとも前記複数の候補のなかから所望の候補をユーザに選択させるユーザ選択ステップと、この選択された支柱および前記看板について、構造計算書を出力する出力ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。前記所定の基準とは例えばZ値の昇順である。ただし、ディスプレイ上に表示する場合の順序はこの順に限らない。
【0009】
前記第1の条件は、より具体的には、(σb/fb)+(σc/fc)≦1.0であり、
ここに、σb:圧縮側曲げ応力度(t/cm2)
fb:許容曲げ応力度(t/cm2)
σc:平均圧縮応力度(t/cm2)
fc:許容圧縮応力度(t/cm2)
であり、前記推定ステップでは、(σc/fc)を0とみなして、
(σb/fb)≦1.0
を前記第1の条件と仮定し、
σb=M/Z
M:看板の地盤面におけるモーメント(t・m)
の規定から、Mの計算値および既知のfb値に基づいて必要最小断面係数Zを求め、この求められた断面係数Zに予め定めた係数(1より大)を乗じて得られた値を前記仕様データテーブルの参照に用い、前記確認ステップでは、細長比に基づいて上記許容圧縮応力度fcを求めるとともに、前記選定された各支柱部材の具体的仕様情報に基づいてσcを算出し、かつ、前記看板と当該支柱部材に対する総外力の再計算により正式のσbを算出し、上記(σb/fb)+(σc/fc)≦1.0 が成り立つことを確認する。
【0010】
本発明により、入力されたデータに基づいて、前記第1の条件に合致する必要最小の断面係数Zを推定することにより、支柱部材の候補を自動的に選定することが可能になる。さらに、この候補を選択したときに、その確定した仕様データに基づいて、正規の構造計算を行い、当該候補の選定が構造計算上の基準条件を満足していることを確認することができる。したがって、支柱部材の選定をコンピュータ化することが可能となるとともに、候補の変更や支柱の断面形状、本数の変更等を行っても、即座に必要な構造計算を再度実行して、その部材の有効性を確認することができる。また、構造計算書を表示・印刷出力することができる。
【0011】
上記方法を実行する装置としての、本発明による看板支柱部材選定支援装置は、独立柱看板の支柱部材を選定するための支援装置であって、異なる仕様の支柱部材毎にその仕様データを格納した仕様データテーブルと、各支柱部材に共通のデータを格納した共通データテーブルと、少なくとも看板のサイズ、地盤面からの高さ、および支柱の長さのデータの入力を受ける入力手段と、前記看板に作用する外力を計算し、計算された外力を用いて、支柱部材の許容曲げ応力度および許容圧縮応力度に関する構造計算上の第1の条件に対して、この第1の条件に合致する必要最小の断面係数Zを推定する推定手段と、前記看板のサイズおよび支柱部材の長さのデータに基づいて、支柱部材の細長比に関する構造計算上の第2の条件に合致する必要最小の断面二次半径iを求める算出手段と、前記仕様データテーブルを参照して、前記必要最小のZ値以上の断面係数Zおよび前記必要最小のi値以上の断面二次半径iを同時に有する支柱部材を抽出するとともに、この抽出された支柱部材のうち所定の基準にしたがって複数の候補を選定する選定手段と、これら選定された支柱部材について、前記仕様データテーブルおよび共通データテーブルを参照して、当該支柱部材および看板に対する総外力を再計算した後、前記第1の条件の成立を確認する確認手段と、少なくとも、前記データの入力のための画面ならびに前記選定された複数の候補を表示するとともに、この表示された複数の候補からユーザにより選択された候補の図面を表示するための画面をディスプレイ上に表示する出力手段と、少なくとも前記複数の候補のなかからユーザが選択した候補について、構造計算書を出力する出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、看板支柱部材選定支援方法を実行するためのコンピュータプログラムを記録した記録媒体としても把握することができる。記録媒体には、コンピュータプログラムとともに上記仕様データテーブルを構成するデータも格納される。このような記録媒体は、FD、CD−ROM、MD、MO等の可搬性の記録媒体のほか、ハードディスク装置のような固定の記憶装置も含む。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1に、本発明の看板支柱部材選定支援装置(または構造計算書作成装置)の構成を示す。この装置は、ポインティングデバイスとしてのマウス3、入力装置としてのキーボード2、処理部4、記憶装置6、ディスプレイ8、プリンタ9、可搬性記録媒体記録装置10を備える。処理部4は、キーボード2およびマウス3の入力操作を処理する入力処理部41、後述する各種計算を行う計算処理部43、および出力処理部45を備える。処理部4は、いわゆるCPUに相当する部分であり、図示しないROMやRAM等の半導体記憶装置を含む。出力処理部45は、前述したディスプレイ8、プリンタ9および可搬性記憶媒体記録装置10へのそれぞれの表示、印刷、ファイル読み書き、等の各種の入出力を制御する部位である。可搬性記録媒体は、例えば、FD、CD−ROM、MD、MO等の記録媒体である。ハードディスク装置のような記録装置6には、各種支柱部材に共通のデータ(後述するλ値とfc値)を格納したテーブル(共通データテーブル)60、後述する各種支柱部材毎の仕様データを格納したテーブル(仕様データテーブル)61とともに、本発明の支柱部材選定支援処理(または構造計算書作成処理)を行うアプリケーションプログラム62がインストールされる。仕様データテーブル61は、支柱の種別、例えば、角柱(正方形・矩形)、円柱(丸パイプ)、H型鋼等、毎に設けられる。
【0015】
図1に示した構成は、実質的にはパーソナルコンピュータ(PC)に、本発明の処理を実現するためのアプリケーションソフトウェアをインストールしたものである。この代わりに専用の装置として構成することもできる。
【0016】
図2に仕様データテーブル61の構成例を示す。これは、正方形の角柱としての支柱部材についての仕様データの例である。仕様データの必須の項目(列)として、断面係数Z、辺長X×Y、厚さt、単位重量、断面積A、断面二次半径iがある。「候補」「該当Z値」「該当i値」の各項目は、後述する候補決定処理の中で利用する欄であり、必ずしも仕様データテーブルとして必要な項目ではない。各支柱部材のデータ(行)は、断面係数Zの値を基準としてソートしてあり、この例では、Z値の昇順に並べてある。
【0017】
図3は、本実施の形態における独立柱看板の一構成例を示す斜視図である。看板51(メイン看板)は、独立した支柱54により支持される。支柱54は、さらに図示しない柱脚および基礎により支持される。支柱54には、1個以上のサブ看板53,54を追加することもできる。図には、以下で説明する構造計算で利用する、各看板51,53,55への風荷重Qw、Qw1、Qw2、支柱への風荷重wpおよび地盤面から各看板の図芯までの高さH、H1、H2を示している。さらに、各看板51,53,55により柱54の下端支持部にかかる曲げモーメントM、およびサブ看板53,55の支持部にかかる柱54のモーメントMも示している。なお、図示しないが地盤面からメイン看板51の天端までの高さはhで表す。
【0018】
以下、ディスプレイ8に表示される画面例を参照しながら、図4のフローチャートの処理ステップにしたがって、本実施の形態における支柱部材選定支援処理を具体的に説明する。
【0019】
まず、ディスプレイ8上に図5に示すような画面を表示する(ステップS1)。図5の画面左端の縦長の領域は、上から順に、看板種別選択エリア31、記憶ドライブ階層メニュー32、および選択看板表示エリア33からなる。画面の最上部にはタイトルバー35およびメニューバー36が横長に伸びている。「File」メニューは、本発明の処理により設計した看板の各種仕様データおよび構造計算書等をファイルとして保存したり、読み出したり、外部へ出力したりするためのプルダウンメニューである。「Window」は、後述する入力画面、構造計算書の表示画面、その両方を選択するための画面選択メニューである。「Name」は、この看板設計の利用者または依頼主の名称、住所、看板の種別等の情報を入力するための画面を表示するためのメニューである。この入力された情報の少なくとも一部は、後述する構造計算書(図11)のタイトル等として利用される。メニューバー上の左右の三角マークは、次ページまたは前ページへの移行のための指示ボタンである。移行不可の場合には、低濃度(図では破線)で表示される。
【0020】
なお、本明細書において、「看板」という用語は、狭義には看板51,53,55のような部分を示すが、広義には支柱や柱脚、基礎をも含むものとする。
【0021】
独立柱看板の構造上の種別には、1柱(1本、2本つなぎ)式(中央支持)、2柱式、片袖(1本、2本つなぎ)型、野建て等がある。看板種別選択エリア31ではこれらの看板種別をそれぞれの構造を示すアイコンで表示し、これらのうちから所望の看板種別をユーザのクリック操作により選べるようになっている。以下では、1柱式(中央支持)を選択した場合について説明する。他の種別を選択した場合にも基本的な考え方は同じである。この選択された種別は、選択看板表示エリア33に独立して表示され、現在どの種別が選択されているかをユーザに示している。なお、看板種別エリア31内の「地耐力」は支柱部材自体には直接関係しない。
【0022】
記憶ドライブ階層メニュー32は、通常のパーソナルコンピュータ等における各種記憶ドライブの構成およびその中のファイルを階層的に示した領域である。
【0023】
この画面において、ユーザがメニューバー上の「Window」から「入力画面」を選択することにより、図6の画面が表示される。この画面は、実際の表示画面の一部のみを取り出して示したものである。この画面では、地盤面からメイン看板の天端までの高さ(全高)の入力欄54、計算指示ボタン55、メイン看板の仕様の入力欄56、支柱の仕様の入力欄57、サブ看板の仕様の入力欄58、および入力された看板および支柱の図面表示エリア59が設けられている。計算ボタン55は、各部の仕様が決定した後、構造計算の実行を指示するためのボタンであり、計算実行に必要なすべてのデータが整うまでは、グレーで薄く表示され、選択不可状態となっている。なお、画面を示す図中の引き出し線および参照符号ならびにクリック(click)の表示は説明のためのものであり、実際の画面上に表示されるものではない(図面サイズの関係上、図外部の余白が利用できないため)。これらの入力は、図4のフローチャートでは、ステップS2の看板種別・サイズおよび柱種別を選択受付、および表示の処理に該当する。
【0024】
具体的には、図7に拡大図を示すように、メイン看板については、メイン看板の仕様の入力欄56において、その形状(楕円または矩形)を画面上のボタンで選択する。また、看板を表す矩形および楕円が表示されており、選択された方が太く表示される。太さを変える代わりに表示色を変えてもよい。この矩形および楕円の上部および側部に、それぞれこの看板の幅および高さを入力するための空欄が設けられており、ユーザがここに所望の数値を入力する。これによって、看板の面積が定まる。なお、図7の画面において、支柱の選択肢としてH型鋼は含めていない。これは、通常、H型鋼は野立て看板についてのみ使用されるものであり、図示のような1本柱の看板には利用されないからである。
【0025】
支柱については、支柱の仕様の入力欄57において、支柱の本数(1本または2本つなぎ)および断面形状を選択するとともに、各部の長さを空欄に数値入力する。具体的には、ユーザは、メイン看板の下端から支柱天端までの距離および、2本つなぎの場合の下柱の長さを数値入力する。
【0026】
サブ看板については、サブ看板の仕様の入力欄58において、サブ看板の有無を「有り」「無し」ボタンで選択するとともに、有りの場合に、支柱を基準とした左右の指定、サブ看板(複数ある場合の最上部)の地盤面から天端までの高さ、各サブ看板のサイズ(高さおよび幅)を、空欄に数値入力する。
【0027】
なお、図示しないが、2柱式看板を選択した場合には、柱間の距離を入力する入力欄が表示される。この場合、支柱に関する構造計算において外力が柱1本当たり1/2となるのみである。
【0028】
このような決定された仕様を有する看板および支柱が、図6に示すようなディスプレイの画面右半分の図面表示エリア59に表示される。左半分には、図7で示した画面部分(数値等入力済み)が同時に表示されている。この画面では、図示の都合上、タイトルバーを図示省略してある。入力欄53は、サブ看板有りの場合に、支柱からサブ看板までの間隔を数値入力するためのものである。図6の図面では、既に決定した看板のサイズや高さの具体的な情報が表示されている。なお、図中の変数Qw,Qwp1,Qwp2は、それぞれメイン看板および第1、第2の支柱にかかる風荷重の大きさを示している。なお、この段階では、具体的な支柱の仕様が定まっていないので、その見付面積は不明であり、したがって、風荷重および自重も不明である。
【0029】
このような入力が完了すると、図8に示すように、図面表示エリア59において、指定されたサイズのサブ看板がメイン看板の下の支柱に隣接して仮の位置に配置される。複数のサブ看板がある場合には、支柱の両側に分散して配置される。このときの各サブ看板の支柱からの距離、第1サブ看板に対する第2サブ看板の位置、第2サブ看板に対する第3サブ看板の位置を入力する入力欄が当該位置に表示される。サブ看板同士の間隔は、左右別々に、上のサブ看板の下端から下のサブ看板の上端までの間隔とする。図の例のように、サブ看板が支柱に両側に配置される場合には、二つのサブ看板の垂直方向における位置は重なりうる。
【0030】
このようにメイン看板の形状・サイズ、支柱の長さ、およびサブ看板のサイズおよび位置が決まると、支柱の具体的な部材を決定する前に、仮の構造計算を実行することができる。本来、支柱の具体的な部材が決まらない限り、正確な構造計算は行えないのであるが、本発明では、以下に説明するような考え方から、支柱の断面係数(Z)に乗ずる係数(本明細書では余裕係数と呼ぶ)を導入することにより、この問題を解決する。
【0031】
ここで、本発明における支柱部材選定支援をコンピュータ処理で行う際の基本的方法を説明する。
【0032】
支柱部材に対して、圧縮と曲げの両方が作用するが、次式の条件を満たすことが要求される。
【0033】
(σb/fb)+(σc/fc)≦1.0 (1)
ここに、σb:圧縮側曲げ応力度(t/cm2)
fb:許容曲げ応力度(t/cm2)
σc:平均圧縮応力度(t/cm2)
fc:許容圧縮応力度(t/cm2)
である。この式(1)は、圧縮側曲げ応力度が許容曲げ応力度を超えることなく、かつ、平均圧縮応力度が許容圧縮応力度を超えることがない、ということを意味する。
【0034】
上記式(1)の4つの変数のうち、支柱として使用する鋼材が定まれば、許容曲げ応力度fbは一意に定まる。例えば、通常使用される支柱部材が、厚さt=40mm以下のSS400,STK400,SM400等である場合、その許容応力度を決定するときの基準値Fは、JISにより、F=2.4(t/cm2)と定められている。さらに、長期許容曲げ応力度は、建築学会の「鋼構造設計基準」において、
fb=F/1.5
と定められている。したがって、
fb=2.4/1.5=1.6(t/cm2) (長期の場合)
と定まる。なお、支柱部材が鉄骨である場合、外力、風荷重は短期荷重であり、次式のように、長期荷重の1.5倍と規定されている。
fb=1.6×1.5=2.4(t/cm2) (短期の場合)(2)
しかし、他の3つの変数については、部材の各種サイズや重量等がすべて決定されなければ、定まらない。
【0035】
ところで、独立柱看板に関しては、その支柱の見付面積は、看板面積に比して、相当小さく、又、(σc/fc) は、後述するように0に近い数値(例えば、0.01程度)であるという特有の事情がある。そこで、(σc/fc)を0とみなすと、上記(1)式は、次のようになる。
(σb/fb)≦1.0 (3)
【0036】
但し、後述するように、断面係数Zに所定の余裕係数(1より大の実数)を乗ずる。これによって、(σc/fc)を0とみなしても、(σb/fb)+(σc/fc)の値が1より小さくなることが保証される。
【0037】
上記式(3)から、次式が得られる。
σb≦fb
【0038】
この式と上記(2)式とから、
σb≦2.4(t/cm2) (4)
となる。一方、
σb=M/Z (5)
と表せる。ここに、
M:看板の地盤面におけるモーメント(t・m)
Z:求める柱の断面係数(cm3)
よって、
σb=M/Z ≦ 2.4(t/cm2) (6)
この式を書き換えれば、次のようになる。
Z≧M/2.4 (7)
【0039】
この式(7)の条件を満たす断面係数Zを有する支柱部材は、ほぼ上記式(1)の条件を満足すると想定される。そこで、必要最小のZ値を求める(ステップS4)。
【0040】
式(7)のZ値を計算するためには、モーメントMが分からなければならない。このモーメントMは、看板のサイズ(面積)および地盤面から看板図芯までの高さが分かれば、次のように、看板に対する風荷重が求まり、この結果から算出できる(ステップS3)。
【0041】
風荷重(風圧力)Qwは、
Qw=Cf×q×S (t)
で表される。ここに、Cfは風力係数、qは速度圧(t/m2)、Sは面積である。速度圧は看板の天端高さhに応じて変わり、風加重Qwは次のように定まる。
Qw=1.2×0.06×√H ×S (h≦16mの場合) (8)
Qw=1.2×0.12×4√H ×S (h>16mの場合) (9)
ここに、1.2は、風方向に垂直な板状物についての風力係数であり、0.06×√Hおよび0.12×4√H は速度圧、Hは看板の図芯高さ、Sは看板の面積である。
【0042】
また、地盤面におけるモーメントMは、次式で表される。
M =Qw×H (10)
【0043】
この式からモーメントMの具体的な値が求まる。よって、式(7)から上記Z値が求まる。
但し、サブ看板がある場合には、さらにそれらへのモーメントも考慮する必要がある。そこで、次のような具体的な例を考える。天端高さ16m以下、メイン看板面積S、メイン看板図芯から地盤面までの距離H、サブ看板は支柱の右側に2個、左に1個の場合について述べる。
【0044】
まず、短期荷重(風圧力)について、検討する。
右側のサブ看板で地盤面から高い順にS1、S2、左側をS3とする。また、それぞれの看板面積をs1、s2、s3、地盤面から図芯までの高さをH1、H2、H3とすると、各風圧力は、次のようになる。
Qw=1.2×0.06×√H×S
Qw1=1.2×0.06×√H1×s1
Qw2=1.2×0.06×√H2×s2
Qw3=1.2×0.06×√H3×s3
よって地盤面における各看板のモーメントは、次のように表せる。
M=Qw×H
M1=Qw1×H1
M2=Qw2×H2
M3=Qw3×H3
よって、トータルのモーメントは、次のようになる。
ΣM=M+M1+M2+M3
【0045】
次に風荷重によるサブ看板における支柱に対するねじれモーメントを求める。
柱面から図芯面までの距離をそれぞれa,b,cとすると、各モーメントは次のとおりとなる。
Mp1=Qw1×a
Mp2=Qw2×b
Mp3=Qw3×c
よって求めるサブ看板の支柱に対するねじれモーメントMpは次式になる。
ΣMp=Mp1+Mp2−Mp3
求めるモーメントの合計は次のとおりである。
Mx=ΣM+ΣMp
【0046】
次に、看板重量による支柱に対するモーメントについて、検討する。
サブ看板S1、S2、S3のそれぞれの重量をsg1、sg2、sg3とすると看板片持ちによる支柱におけるモーメントは次のようになる。
Mg1=sg1×a
Mg2=sg2×b
Mg3=sg3×c
ΣMg=Mg1+Mg2−Mg3
【0047】
以上により地盤面におけるモーメントの合計Mxは、次式で表される。
Mx=√{(ΣM)2+(ΣMg)2}+ΣMp
【0048】
なお、支柱にかかるねじれモーメントMp及びモーメントMgは実際は支柱芯からサブ看板図芯までの距離であるが、この時点で支柱部材は決定していないので、支柱面からサブ看板図芯までの距離となる。支柱図芯から支柱面までの距離は支柱面からサブ看板図芯までの距離に比して十分に小さいので、特に問題はない。
当然ながら、支柱部材が決定した時点で、正式な計算式A=(柱図芯から柱面までの距離+a,b,c)として再計算し、正式な構造計算となる。
【0049】
本実施の形態では、断面係数Zに基づいて支柱部材を仮決定する際、外力として看板にかかる風加重しか考慮しない。実際には、外力およびそれによる曲げモーメントの総和は看板だけでなく支柱に対する風加重も考慮する必要がある。しかし、支柱部材が仮決定されるまでは支柱部材の仕様が定まらず支柱に対する風加重は求められないので、上記断面係数Zより大きいZを用いることとする。そのために、断面係数Zに所定の余裕係数(1より大の実数)を乗ずる。式(7)を満たす最小のZ値に対して、安全のためにさらに余裕係数を掛ける(ステップS5)。
Z’=余裕係数×Z (11)
この余裕係数は、本実施の形態では、初期的には1.2とする。これにより、上記式(1)の左辺の値は、0.8〜0.9程度に収まる。このZ’値より大きいZ値をもつ部材を仕様データテーブルから検索する(ステップS6)。図2に示した仕様データテーブル61では、該当する部材について、「該当Z値」の欄に当該Z値を転記し、該当しない部材については「該当Z値」の欄を空欄としてある。
【0050】
以上より、断面係数の観点から所定の条件(第1の条件)を満たす支柱部材の候補群が抽出されたが、看板の支柱はいわゆる長柱であり、圧縮により座屈が生じる。そこで、求める支柱部材は、さらに細長比λに関する所定の条件(第2の条件)を満たす必要がある。細長比λは、次式で表される。
【0051】
λ=Lk/i (12)
ここに、Lkは、座屈長さ(cm)であり、一端自由、他端固定の場合はLk=2Lとなる。iは座屈軸についての断面二次半径(cm)である。Lは材長である。支柱における材長とは、支柱それ自身の長さではなく、看板高さhsも含めた長さになる。したがって、2本つなぎの場合、支柱2(下柱)の座屈長さLkは、
L=(支柱2長さ+支柱1長さ+看板高さhs)となる。
圧縮材においては、柱材の細長比は200以下と規定されている。したがって、
λ=Lk/i ≦200 (13)
この式を変形すると、次式が得られる。
i≧Lk/200 (14)
【0052】
よって、支柱の長さおよび看板の高さが分かれば、式(14)から、断面二次半径iの値が求められる(ステップS7)。支柱の具体的な部材は決まっていないが、支柱の長さおよび看板の高さは、上記ステップS2におけるユーザの入力により定まっている。したがって、必要最小の断面二次半径iの値が求まる。
【0053】
この求まったi値より大きいi値を持つ支柱部材を、仕様データテーブル61より検索する(ステップS8)。図2に示した例では、式(14)の条件に該当するi値を持つ部材のi値を「該当i値」の欄に転記し、他の部材についての当該欄は空欄としておく。
【0054】
次に、ステップS6,S7の両条件を満足する支柱部材を抽出するとともに、この例では、「該当Z値」欄と「該当i値」欄の両方に数値が設定されている部材を、Z値の小さい方から3つ求め、これらを支柱部材の候補として選定する(ステップS9)。図2のテーブル例では、「候補」の欄に、Z値の昇順に数値1,2,3をセットしている。
【0055】
ステップS10では、選択された支柱部材について仕様データテーブル61を参照し、この柱のモーメント計算に関する支柱見付面積を算出する。
【0056】
すなわち、求めた支柱について、仕様データテーブル61からその支柱の大きさを検索する。その長さはすでに決定しているので、柱見付面積Psが求められる。
Ps =w・L (15)
ここに、w:柱幅あるいは柱径、L:地盤面からメイン看板下端までの高さ
【0057】
次に、ステップS11で、看板、支柱の自重、モーメント等の外力を算出する。これまで看板のみで外力を算出していたものが、支柱が仮決定したので、この仮決定した支柱に作用する風加重、重量をそれぞれ算出(支柱と看板の和)し、この支柱の断面係数が上記Z’の範囲内であること、さらに許容応力度の範囲内であることを確認する。
支柱に対する風圧力Qwは
Qw=1.2(0.7)×0.06×√Hp ×Ps (h≦16m) (16)
Qw=1.2(0.7)×0.12×4√Hp ×Ps (h>16m) (17)
ここに、0.7, 1.2:風力係数、0.7:丸パイプ、1.2:角パイプである。また、Hp:地盤面からの支柱図芯高さすなわちL/2である。
支柱の地盤面でのモーメントは、次式により求める。
Mx = Qw×Hp (18)
【0058】
また、仕様データテーブル61より、仮決定した支柱の重量を計算する。
メイン看板単位重量は、本実施の形態では60 kg/m2とする。
サブ看板は骨組みも小さく、表面材もアクリルやシートなどなので、20 kg/m2で十分である。
よって自重は、次のように求められる。
メイン看板重量 Sp=60×S (19)
サブ看板重量 Sp1=20×S (20)
支柱重量 P =支柱単位重量×支柱長さL
このようにして、支柱および看板に対する総外力、すなわち、全ての長期(自重)、短期(風荷重)の外力が決定される。
【0059】
そこで、ステップS12では、支柱を含めた看板全体の(σb/fb)+(σc/fc)を計算し、この値が1以下であることを確認する。
【0060】
すなわち、σbについては、上記で求めた看板の曲げモーメントに、支柱の曲げモーメントを加えれば、全ての風圧力による地盤面における曲げモーメントが決定される。よって、先に求めた式(5)の断面係数Zをそのまま使用して、最終のσb=M/Zが求まる。
【0061】
また、長期応力度に関しては、
平均圧縮応力度σc=N/A(t/cm2) (21)
ここに、Nは圧縮力(t)であり上記ステップS11で求められた自重である。Aは支柱断面積(cm2)であり、決定した支柱部材について仕様データテーブルから得られる。
【0062】
細長比λは、上記式(12)で既に定まっている。このλ値に基づいて、日本建築学会で規定されたλ値とfc値とを対応づけた上記共通データテーブル60(図1)を参照することにより、対応する許容圧縮応力度fcの値を求めることができる。
【0063】
したがって、支柱を含めた看板全体の(σb/fb)+(σc/fc)が算出でき、この値が1以下であることを確認することができる。
【0064】
ステップS13では、数値1,2,3の付された3つの候補について、支柱部材のサイズの小さい順に支柱部材を表示する。すなわち、サイズ最小の候補を第1候補、次に小さい候補を第2候補、さらに次に小さい候補を第3候補として表示する。なお、ここでいう支柱部材のサイズは、丸パイプの場合にはその直径、方形パイプの場合にはその一辺の長さ、矩形およびH型鋼の場合は予め定めた一方の辺の長さである。この表示順は、図2の「候補」欄の数値の順とは必ずしも一致しない。
【0065】
図9に支柱候補の表示例を示す。この例では、主表示領域の左半分を支柱部材の候補の表示エリアとし、右半分を図面表示エリア59としている。支柱候補表示エリアには、支柱1と支柱2と先端柱の各表示エリア71,72,73を別々に用意している。支柱が1本の場合には、支柱2の表示エリア72は空白状態のままとなる。また、支柱1の表示エリアには、支柱の形状を選択できる入力欄74および柱本数を入力する入力欄75が設けられている。後述するように、一旦、支柱部材の候補が表示された後で、これらの入力欄74,75を利用して、支柱形状や本数を変更することができる。
【0066】
この例では、各柱の表示エリアには、図10に拡大して示すように、第1から第3の候補の表示欄と、これらの以外の他候補の表示欄が設けられている。前述のように、第1から第3の候補としては、図2のテーブルの「候補」の欄の1,2,3の部材がサイズの小さい順に選択されている。この例では、各候補の表示欄には、部材(メンバー)のサイズ、Z値、i値およびZ有効率(%)が表示される。Z有効率は次式で表される。
【0067】
Z有効率=(Z値/当該部材のZ値)×100(%) (22)
このZ有効率は100%に近いほど支柱の強度が必要最小限に近く、100%より小さいほど支柱の強度に余裕があることになる。逆にこのZ有効率が小さいほど、一般的に部材のコストが高くなる。したがって、Z有効率の値は、部材選定上の判断基準の一つとなりうる。
【0068】
ステップS14では、このような候補の中から、所望の支柱部材をユーザに選択させる。この選択結果は、図面表示エリア59の表示内容に反映される。
【0069】
ユーザは、この後、支柱部材の候補を変更することも可能である(ステップS15)。例えば、(σb/fb)+(σc/fc)の値がなるべく1.0に近い大きな数値(=もっと小さな柱)にしたい場合、もっと小さな数値にしたい場合、あるいは、第1〜第3候補の支柱部材が入手困難である等の場合等、他の候補の選択用のエリアをクリックして、選択する候補を変更すれば(ステップS16)、つぎのようになる。すなわち、よりZ値の大きい支柱部材を選びたい場合、ユーザの▽マークの指示により、次にZ値の大きい候補を選定することができる。そこで、処理は、ステップS15に戻る。この候補の変更は、図面表示エリア59の表示内容に反映される(ステップS15)。
【0070】
よりZ値の小さい候補を選びたい場合には、余裕係数を1.2より低減する必要がある(ステップS21)。その場合、ユーザの△マークの指示により余裕係数を当初の1.2から単位量(例えば0.05)ずつ減じていく。余裕係数の下限は1.0とする。余裕係数を低減した後、ステップS5に戻って上記処理を再度実行する。仮に、確認処理により、上記第1の条件を満たす部材が存在しなくなった場合には、有効な候補は表示されない。
【0071】
また、ユーザは柱種別(断面形状)を変更することも可能である(ステップS17)。この場合もステップS6に戻り、上記処理を繰り返す。ただし、i値は変わらないので、ステップS7の再実行は省略することができる。この変更の結果は、図面表示エリア59の表示内容に反映される(ステップS15)。
【0072】
さらに、ユーザは柱数(1本か2本つなぎか)を変更することも可能である(ステップS18)。この場合も、ステップS6に戻り、新たな柱数の各柱について上記処理を繰り返す。但し、この際にはステップS7の再実行は省略できない。この変更の結果は、図面表示エリア59の表示内容に反映される(ステップS15)
【0073】
ユーザが計算書の出力を指示したとき(ステップS19)、計算書を表示または印刷して出力する(ステップS20)。この際、単位系の変更を行う。すなわち、KgをNに変換するために、1Kg=9.8Nの変換を行う。例えば、M=2.5t・m=24.50×103N・mとする。
【0074】
計算書は、図11に示すように、主画面右半分に看板の図、左画面半分に計算結果を表示したり、図12に示すように主画面全体に計算結果を表示したりすることができる。画面に収容しきれない部分は改ページまたはスクロール等の操作により見ることができるようになっている。
【0075】
また、計算書および図面は、電子ファイルとして可搬性記録媒体に記録したりすることも可能である。
【0076】
なお、以上の説明で言及しなかったメイン看板自体の支柱である先端柱(看板内柱)の選定について簡単に説明する。上記ステップS2において、メイン看板の風荷重(Qw)が決定した時点で、先端柱についてのモーメントMが定まる。
ここに、hsはメイン看板高さである。
【0077】
これ以外は上記に同じである。即ち、Z≧M/2.4なる先端柱の断面係数Zが決定する。これに余裕係数1.2を乗じた数値以上で最小の数を仕様データテーブルより検索し、これが仮決定した柱のメンバーになる。さらにこの柱の断面二次半径iを仕様データテーブルより検索し、2hs/i≧200を確認し(看板高さを考えれば当然満足するが計算はする)、仕様データテーブルより断面積Aを検索する。先端柱が受け持つ圧縮力Nは、看板重量(先端柱も含めた重量)であり、これは上記で求められている(60kg/m2)。
【0078】
そこで、仮柱のσb =M/Z 、σc=N/A が求められる。また、(σb/fb)+(σc/fc)≦1となることを確認して、仮柱が決定柱となる。
【0079】
なお、柱脚および基礎についても、その設計および構造計算が実行されるが、本発明に直接関係しないので、ここでは記述を省略する。
【0080】
ところで、外力短期荷重として、風荷重の他、次式で表される地震荷重がある。
QE=看板自重×0.3×1.0
ここに0.3は標準せん断力係数、1.0は最大地域係数である。また、モーメントMは、
M=QE×Hとなる。
前述のようにHは地盤面から看板図芯までの距離である。
【0081】
このような地震荷重は、風荷重に比して常に十分小さい。建築基準法により、異なる短期荷重がかかる場合、大きい方を採用するという規定があるので、本実施の形態では地震荷重については内包していない。確認申請においても、上記理由により地震荷重については通常検討しない。
【0082】
また、上記説明では看板の主平面に垂直の方向(これをY方向とする)への風荷重の方が、これと直角の平面(側面)に垂直の方向(これをX方向とする)への風荷重より大きいので、看板についてはY方向のみの計算でよい。一方、支柱についてはその断面形状により異なる。断面が円柱、正方形角柱の場合にはX方向、Y方向ともに断面係数Zは同じなので問題ない。長方形角柱およびH型鋼の場合には、常にY方向に断面係数Zが大きい向きに支柱を設置する。したがって、このような支柱部材についての風荷重はX方向の方がY方向より大きくなる。この場合、支柱の断面係数ZはX方向の断面係数を参照する必要がある。また、この場合の看板面積はメイン看板およびサブ看板の全面積であるが、概略計算として、メイン看板天端から最も低いサブ看板の下端までの距離とメイン看板側面幅とを掛けて得られる面積としてもよい。
【0083】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、図示した具体的な画面やフローチャート、数値は、説明のための例示であり、本発明はこれらの細部に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された技術的範囲内で、種々の変形、変更が可能である。例えば、本発明の処理はコンピュータにおける専用のアプリケーションソフトとして説明したが、既存の表計算ソフトで実行するマクロプログラムおよびデータ等として実現することも可能である。
【0084】
また、複数の看板種別に対応できるようにしたが、上記のうちの一部にのみ対応できるものであってもよい。
【0085】
さらに、使用した単位系も上記のものと異なってもよい。例えば、KgからNへの変換を最後に行うようにしたが、当初からNを用いてもよい。
【0086】
外力の計算方法などの細部は上記と異なってもよい。例えば、平成12年6月1日より施行の改正された建築基準法および建築基準法施行令では、従来の全国一律であった速度圧を地域(設置住所)と市街化の状況毎に規定しているため、上記風圧力Qwの計算方法などが異なることになるが、本発明の基本的な概念は変わらない。
すなわち、上記式(8)(9)で説明した風荷重(風圧力)Qwは、
看板および支柱(角柱)については、
Qw=1.2×0.6EV0 2×S (t)
支柱(丸柱)については、
Qw=0.7×0.6EV0 2×S (t)
となる。ここに、
1.2:風方向に垂直な板状物についての風力係数
0.7:風方向に垂直な円筒状物についての風力係数
0.6:建築基準法施行令第87条2項による係数
E:当該看板の高さ及び風速に影響を与える周辺状況で、建設大臣が定める方法により算出した数値
V0:その地方における建築基準法施行令に定められた風速
S:看板面積または支柱見付面積
0.6EV0 2:速度圧q
である。
具体的には、上記変数Eは、看板設置位置の地表粗度区分に応じた数値および地盤面から看板図心までの高さH(5m以下、5m超10m以下、10m超20m以下に区分)によって予め定まる。また、風速V0は、その地の属する地方区分に応じて建設大臣により予め定められている。上記地表粗度区分とそれに応じた数値、および、地方区分とそれに応じた風速は、予め定められており(通産省告示 平12建告第1454号)、それぞれ、データテーブルとして用意することができる。したがって、上記改正法に基づく風荷重Qwは、前述した看板の各種情報の他に、看板設置位置の地表粗度区分および地方区分をユーザに入力またはメニュー選択させることにより、算出することができる。そのためには、この入力エリアまたはメニューエリアを図6のユーザインタフェース画面に追加すればよい。
【0087】
【発明の効果】
本発明の方法および装置によれば、専門家のみならず、専門でない者であっても、独立柱看板の、構造計算上の条件を満たした支柱部材の選定を、正確、迅速、かつ容易に行うことが可能となる。また、独立柱看板の構造計算書の作成までを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の看板支柱部材選定支援装置(または構造計算書作成装置)の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態において用いる仕様データテーブルの構成例を示す図である。
【図3】実施の形態における独立柱看板の一構成例を示す斜視図である。
【図4】実施の形態における支柱部材選定支援処理を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態におけるディスプレイ上の画面例を示す図である。
【図6】図5の画面において、ユーザがメニューバー上の「Window」メニューから「入力画面」を選択することにより表示される画面を示す図である。
【図7】図6の一部を拡大して示す図である。
【図8】図6の画面においてサブ看板の情報を入力したときの画面例を示す図である。
【図9】実施の形態における支柱候補を表示した画面例を示す図である。
【図10】図9の一部を拡大して示す図である。
【図11】実施の形態において主画面右半分に看板の図、左画面半分に計算結果を表示した画面を示す図である。
【図12】実施の形態において主画面全体に計算結果を表示した画面を示す図である。
【符号の説明】
2…キーボード、3…マウス、4…処理部、6…記憶部、8…ディスプレイ、9…プリンタ、10…可搬性記録媒体記録装置、51…メイン看板、53,55…サブ看板、54…支柱、61…仕様データテーブル、62…アプリケーションプログラム。
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピュータ装置を利用した、独立柱を有する看板の支柱部材の選定支援およびその構造計算書の作成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
屋外において、所定の高さ以上の、独立柱を有する看板を設置するためには、所定の構造計算を行ってその計算書を添付した確認申請書を所定の行政機関へ提出することが要求されることが多い。
【0003】
この構造計算は、使用する看板や支柱部材の各種仕様が確定して初めて行える。看板自体はその性質上、看板を設置する顧客の要請からその形状やサイズは比較的容易に決定されるが、それに対して使用する支柱部材については、構造上の安全性の見地から、その分野の専門家が構造計算を行って、必要な基準条件に合致した仕様の支柱部材を選定する必要があるため、直ちには決まらない。なお、本明細書において部材の「仕様」とは、後述するように、形状、サイズ、単位重量、等の構造計算に関わるパラメータであり、材質や色などは含まれない。
【0004】
従来このような看板に使用する支柱部材の選定は専門家に依頼され、専門家が自身の経験を基に、与えられた看板の仕様に対して必要な構造上の条件を満たす支柱部材を選定し、この支柱部材がその条件を満たしていることを構造計算により確認するという手順がとられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記支柱部材の選定では、安全性の条件は満たした上で、経済性の観点、あるいは施工上の事情等から、複数の選択肢のなかから顧客や施工者の希望する部材仕様を選択したい場合がある。その場合、部材仕様を変更する度に構造計算をやり直さなければならず、素人には困難であるとともに、専門家にとっても面倒であるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような背景においてなされたものであり、その目的は、独立柱看板の、構造計算上の条件を満たした支柱部材の選定を、専門家のみならず、専門でない者、例えば、顧客、販売者、施工業者等が正確、迅速、かつ容易に行うことを支援する看板支柱部材選定支援プログラムおよびプログラム記録媒体、ならびに看板支柱部材選定支援方法および装置を提供することにある。
【0007】
また、本発明による他の目的は、独立柱看板の構造計算書の作成を、正確、迅速、かつ容易に行うことを可能とする看板支柱部材選定支援プログラムおよびプログラム記録媒体、ならびに看板支柱部材選定支援方法および装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による、独立柱看板の支柱部材を選定するための支援を行うためにコンピュータに実行させる看板支柱部材選定支援プログラムは、少なくとも看板のサイズ、地盤面からの高さ、および支柱の長さのデータの入力を受ける入力受付ステップと、前記看板に作用する外力を計算する外力計算ステップと、計算された外力を用いて、支柱部材の許容曲げ応力度および許容圧縮応力度に関する構造計算上の第1の条件に対して、この第1の条件に合致する必要最小の断面係数Zを推定する推定ステップと、前記看板のサイズおよび支柱部材の長さのデータに基づいて、支柱部材の細長比に関する構造計算上の第2の条件に合致する必要最小の断面二次半径iを求める算出ステップと、異なる仕様の支柱部材毎にその仕様データを格納した仕様データテーブルを参照して、前記必要最小のZ値以上の断面係数Zおよび前記必要最小のi値以上の断面二次半径iを同時に有する支柱部材を抽出するとともに、これら抽出された支柱部材のうち所定の基準にしたがって複数の候補を選定する選定ステップと、これらの選定された各候補について前記仕様データテーブルおよび各支柱部材に共通の共通データテーブルを参照して、当該支柱部材および看板に対する総外力を再計算した後、前記選定された各支柱部材が前記第1の条件に合致することを確認する確認ステップと、少なくとも、前記データの入力のための画面および前記選定された複数の候補の表示のための画面をディスプレイ上に表示する候補出力ステップと、少なくとも前記複数の候補のなかから所望の候補をユーザに選択させるユーザ選択ステップと、この選択された支柱および前記看板について、構造計算書を出力する出力ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。前記所定の基準とは例えばZ値の昇順である。ただし、ディスプレイ上に表示する場合の順序はこの順に限らない。
【0009】
前記第1の条件は、より具体的には、(σb/fb)+(σc/fc)≦1.0であり、
ここに、σb:圧縮側曲げ応力度(t/cm2)
fb:許容曲げ応力度(t/cm2)
σc:平均圧縮応力度(t/cm2)
fc:許容圧縮応力度(t/cm2)
であり、前記推定ステップでは、(σc/fc)を0とみなして、
(σb/fb)≦1.0
を前記第1の条件と仮定し、
σb=M/Z
M:看板の地盤面におけるモーメント(t・m)
の規定から、Mの計算値および既知のfb値に基づいて必要最小断面係数Zを求め、この求められた断面係数Zに予め定めた係数(1より大)を乗じて得られた値を前記仕様データテーブルの参照に用い、前記確認ステップでは、細長比に基づいて上記許容圧縮応力度fcを求めるとともに、前記選定された各支柱部材の具体的仕様情報に基づいてσcを算出し、かつ、前記看板と当該支柱部材に対する総外力の再計算により正式のσbを算出し、上記(σb/fb)+(σc/fc)≦1.0 が成り立つことを確認する。
【0010】
本発明により、入力されたデータに基づいて、前記第1の条件に合致する必要最小の断面係数Zを推定することにより、支柱部材の候補を自動的に選定することが可能になる。さらに、この候補を選択したときに、その確定した仕様データに基づいて、正規の構造計算を行い、当該候補の選定が構造計算上の基準条件を満足していることを確認することができる。したがって、支柱部材の選定をコンピュータ化することが可能となるとともに、候補の変更や支柱の断面形状、本数の変更等を行っても、即座に必要な構造計算を再度実行して、その部材の有効性を確認することができる。また、構造計算書を表示・印刷出力することができる。
【0011】
上記方法を実行する装置としての、本発明による看板支柱部材選定支援装置は、独立柱看板の支柱部材を選定するための支援装置であって、異なる仕様の支柱部材毎にその仕様データを格納した仕様データテーブルと、各支柱部材に共通のデータを格納した共通データテーブルと、少なくとも看板のサイズ、地盤面からの高さ、および支柱の長さのデータの入力を受ける入力手段と、前記看板に作用する外力を計算し、計算された外力を用いて、支柱部材の許容曲げ応力度および許容圧縮応力度に関する構造計算上の第1の条件に対して、この第1の条件に合致する必要最小の断面係数Zを推定する推定手段と、前記看板のサイズおよび支柱部材の長さのデータに基づいて、支柱部材の細長比に関する構造計算上の第2の条件に合致する必要最小の断面二次半径iを求める算出手段と、前記仕様データテーブルを参照して、前記必要最小のZ値以上の断面係数Zおよび前記必要最小のi値以上の断面二次半径iを同時に有する支柱部材を抽出するとともに、この抽出された支柱部材のうち所定の基準にしたがって複数の候補を選定する選定手段と、これら選定された支柱部材について、前記仕様データテーブルおよび共通データテーブルを参照して、当該支柱部材および看板に対する総外力を再計算した後、前記第1の条件の成立を確認する確認手段と、少なくとも、前記データの入力のための画面ならびに前記選定された複数の候補を表示するとともに、この表示された複数の候補からユーザにより選択された候補の図面を表示するための画面をディスプレイ上に表示する出力手段と、少なくとも前記複数の候補のなかからユーザが選択した候補について、構造計算書を出力する出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、看板支柱部材選定支援方法を実行するためのコンピュータプログラムを記録した記録媒体としても把握することができる。記録媒体には、コンピュータプログラムとともに上記仕様データテーブルを構成するデータも格納される。このような記録媒体は、FD、CD−ROM、MD、MO等の可搬性の記録媒体のほか、ハードディスク装置のような固定の記憶装置も含む。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1に、本発明の看板支柱部材選定支援装置(または構造計算書作成装置)の構成を示す。この装置は、ポインティングデバイスとしてのマウス3、入力装置としてのキーボード2、処理部4、記憶装置6、ディスプレイ8、プリンタ9、可搬性記録媒体記録装置10を備える。処理部4は、キーボード2およびマウス3の入力操作を処理する入力処理部41、後述する各種計算を行う計算処理部43、および出力処理部45を備える。処理部4は、いわゆるCPUに相当する部分であり、図示しないROMやRAM等の半導体記憶装置を含む。出力処理部45は、前述したディスプレイ8、プリンタ9および可搬性記憶媒体記録装置10へのそれぞれの表示、印刷、ファイル読み書き、等の各種の入出力を制御する部位である。可搬性記録媒体は、例えば、FD、CD−ROM、MD、MO等の記録媒体である。ハードディスク装置のような記録装置6には、各種支柱部材に共通のデータ(後述するλ値とfc値)を格納したテーブル(共通データテーブル)60、後述する各種支柱部材毎の仕様データを格納したテーブル(仕様データテーブル)61とともに、本発明の支柱部材選定支援処理(または構造計算書作成処理)を行うアプリケーションプログラム62がインストールされる。仕様データテーブル61は、支柱の種別、例えば、角柱(正方形・矩形)、円柱(丸パイプ)、H型鋼等、毎に設けられる。
【0015】
図1に示した構成は、実質的にはパーソナルコンピュータ(PC)に、本発明の処理を実現するためのアプリケーションソフトウェアをインストールしたものである。この代わりに専用の装置として構成することもできる。
【0016】
図2に仕様データテーブル61の構成例を示す。これは、正方形の角柱としての支柱部材についての仕様データの例である。仕様データの必須の項目(列)として、断面係数Z、辺長X×Y、厚さt、単位重量、断面積A、断面二次半径iがある。「候補」「該当Z値」「該当i値」の各項目は、後述する候補決定処理の中で利用する欄であり、必ずしも仕様データテーブルとして必要な項目ではない。各支柱部材のデータ(行)は、断面係数Zの値を基準としてソートしてあり、この例では、Z値の昇順に並べてある。
【0017】
図3は、本実施の形態における独立柱看板の一構成例を示す斜視図である。看板51(メイン看板)は、独立した支柱54により支持される。支柱54は、さらに図示しない柱脚および基礎により支持される。支柱54には、1個以上のサブ看板53,54を追加することもできる。図には、以下で説明する構造計算で利用する、各看板51,53,55への風荷重Qw、Qw1、Qw2、支柱への風荷重wpおよび地盤面から各看板の図芯までの高さH、H1、H2を示している。さらに、各看板51,53,55により柱54の下端支持部にかかる曲げモーメントM、およびサブ看板53,55の支持部にかかる柱54のモーメントMも示している。なお、図示しないが地盤面からメイン看板51の天端までの高さはhで表す。
【0018】
以下、ディスプレイ8に表示される画面例を参照しながら、図4のフローチャートの処理ステップにしたがって、本実施の形態における支柱部材選定支援処理を具体的に説明する。
【0019】
まず、ディスプレイ8上に図5に示すような画面を表示する(ステップS1)。図5の画面左端の縦長の領域は、上から順に、看板種別選択エリア31、記憶ドライブ階層メニュー32、および選択看板表示エリア33からなる。画面の最上部にはタイトルバー35およびメニューバー36が横長に伸びている。「File」メニューは、本発明の処理により設計した看板の各種仕様データおよび構造計算書等をファイルとして保存したり、読み出したり、外部へ出力したりするためのプルダウンメニューである。「Window」は、後述する入力画面、構造計算書の表示画面、その両方を選択するための画面選択メニューである。「Name」は、この看板設計の利用者または依頼主の名称、住所、看板の種別等の情報を入力するための画面を表示するためのメニューである。この入力された情報の少なくとも一部は、後述する構造計算書(図11)のタイトル等として利用される。メニューバー上の左右の三角マークは、次ページまたは前ページへの移行のための指示ボタンである。移行不可の場合には、低濃度(図では破線)で表示される。
【0020】
なお、本明細書において、「看板」という用語は、狭義には看板51,53,55のような部分を示すが、広義には支柱や柱脚、基礎をも含むものとする。
【0021】
独立柱看板の構造上の種別には、1柱(1本、2本つなぎ)式(中央支持)、2柱式、片袖(1本、2本つなぎ)型、野建て等がある。看板種別選択エリア31ではこれらの看板種別をそれぞれの構造を示すアイコンで表示し、これらのうちから所望の看板種別をユーザのクリック操作により選べるようになっている。以下では、1柱式(中央支持)を選択した場合について説明する。他の種別を選択した場合にも基本的な考え方は同じである。この選択された種別は、選択看板表示エリア33に独立して表示され、現在どの種別が選択されているかをユーザに示している。なお、看板種別エリア31内の「地耐力」は支柱部材自体には直接関係しない。
【0022】
記憶ドライブ階層メニュー32は、通常のパーソナルコンピュータ等における各種記憶ドライブの構成およびその中のファイルを階層的に示した領域である。
【0023】
この画面において、ユーザがメニューバー上の「Window」から「入力画面」を選択することにより、図6の画面が表示される。この画面は、実際の表示画面の一部のみを取り出して示したものである。この画面では、地盤面からメイン看板の天端までの高さ(全高)の入力欄54、計算指示ボタン55、メイン看板の仕様の入力欄56、支柱の仕様の入力欄57、サブ看板の仕様の入力欄58、および入力された看板および支柱の図面表示エリア59が設けられている。計算ボタン55は、各部の仕様が決定した後、構造計算の実行を指示するためのボタンであり、計算実行に必要なすべてのデータが整うまでは、グレーで薄く表示され、選択不可状態となっている。なお、画面を示す図中の引き出し線および参照符号ならびにクリック(click)の表示は説明のためのものであり、実際の画面上に表示されるものではない(図面サイズの関係上、図外部の余白が利用できないため)。これらの入力は、図4のフローチャートでは、ステップS2の看板種別・サイズおよび柱種別を選択受付、および表示の処理に該当する。
【0024】
具体的には、図7に拡大図を示すように、メイン看板については、メイン看板の仕様の入力欄56において、その形状(楕円または矩形)を画面上のボタンで選択する。また、看板を表す矩形および楕円が表示されており、選択された方が太く表示される。太さを変える代わりに表示色を変えてもよい。この矩形および楕円の上部および側部に、それぞれこの看板の幅および高さを入力するための空欄が設けられており、ユーザがここに所望の数値を入力する。これによって、看板の面積が定まる。なお、図7の画面において、支柱の選択肢としてH型鋼は含めていない。これは、通常、H型鋼は野立て看板についてのみ使用されるものであり、図示のような1本柱の看板には利用されないからである。
【0025】
支柱については、支柱の仕様の入力欄57において、支柱の本数(1本または2本つなぎ)および断面形状を選択するとともに、各部の長さを空欄に数値入力する。具体的には、ユーザは、メイン看板の下端から支柱天端までの距離および、2本つなぎの場合の下柱の長さを数値入力する。
【0026】
サブ看板については、サブ看板の仕様の入力欄58において、サブ看板の有無を「有り」「無し」ボタンで選択するとともに、有りの場合に、支柱を基準とした左右の指定、サブ看板(複数ある場合の最上部)の地盤面から天端までの高さ、各サブ看板のサイズ(高さおよび幅)を、空欄に数値入力する。
【0027】
なお、図示しないが、2柱式看板を選択した場合には、柱間の距離を入力する入力欄が表示される。この場合、支柱に関する構造計算において外力が柱1本当たり1/2となるのみである。
【0028】
このような決定された仕様を有する看板および支柱が、図6に示すようなディスプレイの画面右半分の図面表示エリア59に表示される。左半分には、図7で示した画面部分(数値等入力済み)が同時に表示されている。この画面では、図示の都合上、タイトルバーを図示省略してある。入力欄53は、サブ看板有りの場合に、支柱からサブ看板までの間隔を数値入力するためのものである。図6の図面では、既に決定した看板のサイズや高さの具体的な情報が表示されている。なお、図中の変数Qw,Qwp1,Qwp2は、それぞれメイン看板および第1、第2の支柱にかかる風荷重の大きさを示している。なお、この段階では、具体的な支柱の仕様が定まっていないので、その見付面積は不明であり、したがって、風荷重および自重も不明である。
【0029】
このような入力が完了すると、図8に示すように、図面表示エリア59において、指定されたサイズのサブ看板がメイン看板の下の支柱に隣接して仮の位置に配置される。複数のサブ看板がある場合には、支柱の両側に分散して配置される。このときの各サブ看板の支柱からの距離、第1サブ看板に対する第2サブ看板の位置、第2サブ看板に対する第3サブ看板の位置を入力する入力欄が当該位置に表示される。サブ看板同士の間隔は、左右別々に、上のサブ看板の下端から下のサブ看板の上端までの間隔とする。図の例のように、サブ看板が支柱に両側に配置される場合には、二つのサブ看板の垂直方向における位置は重なりうる。
【0030】
このようにメイン看板の形状・サイズ、支柱の長さ、およびサブ看板のサイズおよび位置が決まると、支柱の具体的な部材を決定する前に、仮の構造計算を実行することができる。本来、支柱の具体的な部材が決まらない限り、正確な構造計算は行えないのであるが、本発明では、以下に説明するような考え方から、支柱の断面係数(Z)に乗ずる係数(本明細書では余裕係数と呼ぶ)を導入することにより、この問題を解決する。
【0031】
ここで、本発明における支柱部材選定支援をコンピュータ処理で行う際の基本的方法を説明する。
【0032】
支柱部材に対して、圧縮と曲げの両方が作用するが、次式の条件を満たすことが要求される。
【0033】
(σb/fb)+(σc/fc)≦1.0 (1)
ここに、σb:圧縮側曲げ応力度(t/cm2)
fb:許容曲げ応力度(t/cm2)
σc:平均圧縮応力度(t/cm2)
fc:許容圧縮応力度(t/cm2)
である。この式(1)は、圧縮側曲げ応力度が許容曲げ応力度を超えることなく、かつ、平均圧縮応力度が許容圧縮応力度を超えることがない、ということを意味する。
【0034】
上記式(1)の4つの変数のうち、支柱として使用する鋼材が定まれば、許容曲げ応力度fbは一意に定まる。例えば、通常使用される支柱部材が、厚さt=40mm以下のSS400,STK400,SM400等である場合、その許容応力度を決定するときの基準値Fは、JISにより、F=2.4(t/cm2)と定められている。さらに、長期許容曲げ応力度は、建築学会の「鋼構造設計基準」において、
fb=F/1.5
と定められている。したがって、
fb=2.4/1.5=1.6(t/cm2) (長期の場合)
と定まる。なお、支柱部材が鉄骨である場合、外力、風荷重は短期荷重であり、次式のように、長期荷重の1.5倍と規定されている。
fb=1.6×1.5=2.4(t/cm2) (短期の場合)(2)
しかし、他の3つの変数については、部材の各種サイズや重量等がすべて決定されなければ、定まらない。
【0035】
ところで、独立柱看板に関しては、その支柱の見付面積は、看板面積に比して、相当小さく、又、(σc/fc) は、後述するように0に近い数値(例えば、0.01程度)であるという特有の事情がある。そこで、(σc/fc)を0とみなすと、上記(1)式は、次のようになる。
(σb/fb)≦1.0 (3)
【0036】
但し、後述するように、断面係数Zに所定の余裕係数(1より大の実数)を乗ずる。これによって、(σc/fc)を0とみなしても、(σb/fb)+(σc/fc)の値が1より小さくなることが保証される。
【0037】
上記式(3)から、次式が得られる。
σb≦fb
【0038】
この式と上記(2)式とから、
σb≦2.4(t/cm2) (4)
となる。一方、
σb=M/Z (5)
と表せる。ここに、
M:看板の地盤面におけるモーメント(t・m)
Z:求める柱の断面係数(cm3)
よって、
σb=M/Z ≦ 2.4(t/cm2) (6)
この式を書き換えれば、次のようになる。
Z≧M/2.4 (7)
【0039】
この式(7)の条件を満たす断面係数Zを有する支柱部材は、ほぼ上記式(1)の条件を満足すると想定される。そこで、必要最小のZ値を求める(ステップS4)。
【0040】
式(7)のZ値を計算するためには、モーメントMが分からなければならない。このモーメントMは、看板のサイズ(面積)および地盤面から看板図芯までの高さが分かれば、次のように、看板に対する風荷重が求まり、この結果から算出できる(ステップS3)。
【0041】
風荷重(風圧力)Qwは、
Qw=Cf×q×S (t)
で表される。ここに、Cfは風力係数、qは速度圧(t/m2)、Sは面積である。速度圧は看板の天端高さhに応じて変わり、風加重Qwは次のように定まる。
Qw=1.2×0.06×√H ×S (h≦16mの場合) (8)
Qw=1.2×0.12×4√H ×S (h>16mの場合) (9)
ここに、1.2は、風方向に垂直な板状物についての風力係数であり、0.06×√Hおよび0.12×4√H は速度圧、Hは看板の図芯高さ、Sは看板の面積である。
【0042】
また、地盤面におけるモーメントMは、次式で表される。
M =Qw×H (10)
【0043】
この式からモーメントMの具体的な値が求まる。よって、式(7)から上記Z値が求まる。
但し、サブ看板がある場合には、さらにそれらへのモーメントも考慮する必要がある。そこで、次のような具体的な例を考える。天端高さ16m以下、メイン看板面積S、メイン看板図芯から地盤面までの距離H、サブ看板は支柱の右側に2個、左に1個の場合について述べる。
【0044】
まず、短期荷重(風圧力)について、検討する。
右側のサブ看板で地盤面から高い順にS1、S2、左側をS3とする。また、それぞれの看板面積をs1、s2、s3、地盤面から図芯までの高さをH1、H2、H3とすると、各風圧力は、次のようになる。
Qw=1.2×0.06×√H×S
Qw1=1.2×0.06×√H1×s1
Qw2=1.2×0.06×√H2×s2
Qw3=1.2×0.06×√H3×s3
よって地盤面における各看板のモーメントは、次のように表せる。
M=Qw×H
M1=Qw1×H1
M2=Qw2×H2
M3=Qw3×H3
よって、トータルのモーメントは、次のようになる。
ΣM=M+M1+M2+M3
【0045】
次に風荷重によるサブ看板における支柱に対するねじれモーメントを求める。
柱面から図芯面までの距離をそれぞれa,b,cとすると、各モーメントは次のとおりとなる。
Mp1=Qw1×a
Mp2=Qw2×b
Mp3=Qw3×c
よって求めるサブ看板の支柱に対するねじれモーメントMpは次式になる。
ΣMp=Mp1+Mp2−Mp3
求めるモーメントの合計は次のとおりである。
Mx=ΣM+ΣMp
【0046】
次に、看板重量による支柱に対するモーメントについて、検討する。
サブ看板S1、S2、S3のそれぞれの重量をsg1、sg2、sg3とすると看板片持ちによる支柱におけるモーメントは次のようになる。
Mg1=sg1×a
Mg2=sg2×b
Mg3=sg3×c
ΣMg=Mg1+Mg2−Mg3
【0047】
以上により地盤面におけるモーメントの合計Mxは、次式で表される。
Mx=√{(ΣM)2+(ΣMg)2}+ΣMp
【0048】
なお、支柱にかかるねじれモーメントMp及びモーメントMgは実際は支柱芯からサブ看板図芯までの距離であるが、この時点で支柱部材は決定していないので、支柱面からサブ看板図芯までの距離となる。支柱図芯から支柱面までの距離は支柱面からサブ看板図芯までの距離に比して十分に小さいので、特に問題はない。
当然ながら、支柱部材が決定した時点で、正式な計算式A=(柱図芯から柱面までの距離+a,b,c)として再計算し、正式な構造計算となる。
【0049】
本実施の形態では、断面係数Zに基づいて支柱部材を仮決定する際、外力として看板にかかる風加重しか考慮しない。実際には、外力およびそれによる曲げモーメントの総和は看板だけでなく支柱に対する風加重も考慮する必要がある。しかし、支柱部材が仮決定されるまでは支柱部材の仕様が定まらず支柱に対する風加重は求められないので、上記断面係数Zより大きいZを用いることとする。そのために、断面係数Zに所定の余裕係数(1より大の実数)を乗ずる。式(7)を満たす最小のZ値に対して、安全のためにさらに余裕係数を掛ける(ステップS5)。
Z’=余裕係数×Z (11)
この余裕係数は、本実施の形態では、初期的には1.2とする。これにより、上記式(1)の左辺の値は、0.8〜0.9程度に収まる。このZ’値より大きいZ値をもつ部材を仕様データテーブルから検索する(ステップS6)。図2に示した仕様データテーブル61では、該当する部材について、「該当Z値」の欄に当該Z値を転記し、該当しない部材については「該当Z値」の欄を空欄としてある。
【0050】
以上より、断面係数の観点から所定の条件(第1の条件)を満たす支柱部材の候補群が抽出されたが、看板の支柱はいわゆる長柱であり、圧縮により座屈が生じる。そこで、求める支柱部材は、さらに細長比λに関する所定の条件(第2の条件)を満たす必要がある。細長比λは、次式で表される。
【0051】
λ=Lk/i (12)
ここに、Lkは、座屈長さ(cm)であり、一端自由、他端固定の場合はLk=2Lとなる。iは座屈軸についての断面二次半径(cm)である。Lは材長である。支柱における材長とは、支柱それ自身の長さではなく、看板高さhsも含めた長さになる。したがって、2本つなぎの場合、支柱2(下柱)の座屈長さLkは、
L=(支柱2長さ+支柱1長さ+看板高さhs)となる。
圧縮材においては、柱材の細長比は200以下と規定されている。したがって、
λ=Lk/i ≦200 (13)
この式を変形すると、次式が得られる。
i≧Lk/200 (14)
【0052】
よって、支柱の長さおよび看板の高さが分かれば、式(14)から、断面二次半径iの値が求められる(ステップS7)。支柱の具体的な部材は決まっていないが、支柱の長さおよび看板の高さは、上記ステップS2におけるユーザの入力により定まっている。したがって、必要最小の断面二次半径iの値が求まる。
【0053】
この求まったi値より大きいi値を持つ支柱部材を、仕様データテーブル61より検索する(ステップS8)。図2に示した例では、式(14)の条件に該当するi値を持つ部材のi値を「該当i値」の欄に転記し、他の部材についての当該欄は空欄としておく。
【0054】
次に、ステップS6,S7の両条件を満足する支柱部材を抽出するとともに、この例では、「該当Z値」欄と「該当i値」欄の両方に数値が設定されている部材を、Z値の小さい方から3つ求め、これらを支柱部材の候補として選定する(ステップS9)。図2のテーブル例では、「候補」の欄に、Z値の昇順に数値1,2,3をセットしている。
【0055】
ステップS10では、選択された支柱部材について仕様データテーブル61を参照し、この柱のモーメント計算に関する支柱見付面積を算出する。
【0056】
すなわち、求めた支柱について、仕様データテーブル61からその支柱の大きさを検索する。その長さはすでに決定しているので、柱見付面積Psが求められる。
Ps =w・L (15)
ここに、w:柱幅あるいは柱径、L:地盤面からメイン看板下端までの高さ
【0057】
次に、ステップS11で、看板、支柱の自重、モーメント等の外力を算出する。これまで看板のみで外力を算出していたものが、支柱が仮決定したので、この仮決定した支柱に作用する風加重、重量をそれぞれ算出(支柱と看板の和)し、この支柱の断面係数が上記Z’の範囲内であること、さらに許容応力度の範囲内であることを確認する。
支柱に対する風圧力Qwは
Qw=1.2(0.7)×0.06×√Hp ×Ps (h≦16m) (16)
Qw=1.2(0.7)×0.12×4√Hp ×Ps (h>16m) (17)
ここに、0.7, 1.2:風力係数、0.7:丸パイプ、1.2:角パイプである。また、Hp:地盤面からの支柱図芯高さすなわちL/2である。
支柱の地盤面でのモーメントは、次式により求める。
Mx = Qw×Hp (18)
【0058】
また、仕様データテーブル61より、仮決定した支柱の重量を計算する。
メイン看板単位重量は、本実施の形態では60 kg/m2とする。
サブ看板は骨組みも小さく、表面材もアクリルやシートなどなので、20 kg/m2で十分である。
よって自重は、次のように求められる。
メイン看板重量 Sp=60×S (19)
サブ看板重量 Sp1=20×S (20)
支柱重量 P =支柱単位重量×支柱長さL
このようにして、支柱および看板に対する総外力、すなわち、全ての長期(自重)、短期(風荷重)の外力が決定される。
【0059】
そこで、ステップS12では、支柱を含めた看板全体の(σb/fb)+(σc/fc)を計算し、この値が1以下であることを確認する。
【0060】
すなわち、σbについては、上記で求めた看板の曲げモーメントに、支柱の曲げモーメントを加えれば、全ての風圧力による地盤面における曲げモーメントが決定される。よって、先に求めた式(5)の断面係数Zをそのまま使用して、最終のσb=M/Zが求まる。
【0061】
また、長期応力度に関しては、
平均圧縮応力度σc=N/A(t/cm2) (21)
ここに、Nは圧縮力(t)であり上記ステップS11で求められた自重である。Aは支柱断面積(cm2)であり、決定した支柱部材について仕様データテーブルから得られる。
【0062】
細長比λは、上記式(12)で既に定まっている。このλ値に基づいて、日本建築学会で規定されたλ値とfc値とを対応づけた上記共通データテーブル60(図1)を参照することにより、対応する許容圧縮応力度fcの値を求めることができる。
【0063】
したがって、支柱を含めた看板全体の(σb/fb)+(σc/fc)が算出でき、この値が1以下であることを確認することができる。
【0064】
ステップS13では、数値1,2,3の付された3つの候補について、支柱部材のサイズの小さい順に支柱部材を表示する。すなわち、サイズ最小の候補を第1候補、次に小さい候補を第2候補、さらに次に小さい候補を第3候補として表示する。なお、ここでいう支柱部材のサイズは、丸パイプの場合にはその直径、方形パイプの場合にはその一辺の長さ、矩形およびH型鋼の場合は予め定めた一方の辺の長さである。この表示順は、図2の「候補」欄の数値の順とは必ずしも一致しない。
【0065】
図9に支柱候補の表示例を示す。この例では、主表示領域の左半分を支柱部材の候補の表示エリアとし、右半分を図面表示エリア59としている。支柱候補表示エリアには、支柱1と支柱2と先端柱の各表示エリア71,72,73を別々に用意している。支柱が1本の場合には、支柱2の表示エリア72は空白状態のままとなる。また、支柱1の表示エリアには、支柱の形状を選択できる入力欄74および柱本数を入力する入力欄75が設けられている。後述するように、一旦、支柱部材の候補が表示された後で、これらの入力欄74,75を利用して、支柱形状や本数を変更することができる。
【0066】
この例では、各柱の表示エリアには、図10に拡大して示すように、第1から第3の候補の表示欄と、これらの以外の他候補の表示欄が設けられている。前述のように、第1から第3の候補としては、図2のテーブルの「候補」の欄の1,2,3の部材がサイズの小さい順に選択されている。この例では、各候補の表示欄には、部材(メンバー)のサイズ、Z値、i値およびZ有効率(%)が表示される。Z有効率は次式で表される。
【0067】
Z有効率=(Z値/当該部材のZ値)×100(%) (22)
このZ有効率は100%に近いほど支柱の強度が必要最小限に近く、100%より小さいほど支柱の強度に余裕があることになる。逆にこのZ有効率が小さいほど、一般的に部材のコストが高くなる。したがって、Z有効率の値は、部材選定上の判断基準の一つとなりうる。
【0068】
ステップS14では、このような候補の中から、所望の支柱部材をユーザに選択させる。この選択結果は、図面表示エリア59の表示内容に反映される。
【0069】
ユーザは、この後、支柱部材の候補を変更することも可能である(ステップS15)。例えば、(σb/fb)+(σc/fc)の値がなるべく1.0に近い大きな数値(=もっと小さな柱)にしたい場合、もっと小さな数値にしたい場合、あるいは、第1〜第3候補の支柱部材が入手困難である等の場合等、他の候補の選択用のエリアをクリックして、選択する候補を変更すれば(ステップS16)、つぎのようになる。すなわち、よりZ値の大きい支柱部材を選びたい場合、ユーザの▽マークの指示により、次にZ値の大きい候補を選定することができる。そこで、処理は、ステップS15に戻る。この候補の変更は、図面表示エリア59の表示内容に反映される(ステップS15)。
【0070】
よりZ値の小さい候補を選びたい場合には、余裕係数を1.2より低減する必要がある(ステップS21)。その場合、ユーザの△マークの指示により余裕係数を当初の1.2から単位量(例えば0.05)ずつ減じていく。余裕係数の下限は1.0とする。余裕係数を低減した後、ステップS5に戻って上記処理を再度実行する。仮に、確認処理により、上記第1の条件を満たす部材が存在しなくなった場合には、有効な候補は表示されない。
【0071】
また、ユーザは柱種別(断面形状)を変更することも可能である(ステップS17)。この場合もステップS6に戻り、上記処理を繰り返す。ただし、i値は変わらないので、ステップS7の再実行は省略することができる。この変更の結果は、図面表示エリア59の表示内容に反映される(ステップS15)。
【0072】
さらに、ユーザは柱数(1本か2本つなぎか)を変更することも可能である(ステップS18)。この場合も、ステップS6に戻り、新たな柱数の各柱について上記処理を繰り返す。但し、この際にはステップS7の再実行は省略できない。この変更の結果は、図面表示エリア59の表示内容に反映される(ステップS15)
【0073】
ユーザが計算書の出力を指示したとき(ステップS19)、計算書を表示または印刷して出力する(ステップS20)。この際、単位系の変更を行う。すなわち、KgをNに変換するために、1Kg=9.8Nの変換を行う。例えば、M=2.5t・m=24.50×103N・mとする。
【0074】
計算書は、図11に示すように、主画面右半分に看板の図、左画面半分に計算結果を表示したり、図12に示すように主画面全体に計算結果を表示したりすることができる。画面に収容しきれない部分は改ページまたはスクロール等の操作により見ることができるようになっている。
【0075】
また、計算書および図面は、電子ファイルとして可搬性記録媒体に記録したりすることも可能である。
【0076】
なお、以上の説明で言及しなかったメイン看板自体の支柱である先端柱(看板内柱)の選定について簡単に説明する。上記ステップS2において、メイン看板の風荷重(Qw)が決定した時点で、先端柱についてのモーメントMが定まる。
ここに、hsはメイン看板高さである。
【0077】
これ以外は上記に同じである。即ち、Z≧M/2.4なる先端柱の断面係数Zが決定する。これに余裕係数1.2を乗じた数値以上で最小の数を仕様データテーブルより検索し、これが仮決定した柱のメンバーになる。さらにこの柱の断面二次半径iを仕様データテーブルより検索し、2hs/i≧200を確認し(看板高さを考えれば当然満足するが計算はする)、仕様データテーブルより断面積Aを検索する。先端柱が受け持つ圧縮力Nは、看板重量(先端柱も含めた重量)であり、これは上記で求められている(60kg/m2)。
【0078】
そこで、仮柱のσb =M/Z 、σc=N/A が求められる。また、(σb/fb)+(σc/fc)≦1となることを確認して、仮柱が決定柱となる。
【0079】
なお、柱脚および基礎についても、その設計および構造計算が実行されるが、本発明に直接関係しないので、ここでは記述を省略する。
【0080】
ところで、外力短期荷重として、風荷重の他、次式で表される地震荷重がある。
QE=看板自重×0.3×1.0
ここに0.3は標準せん断力係数、1.0は最大地域係数である。また、モーメントMは、
M=QE×Hとなる。
前述のようにHは地盤面から看板図芯までの距離である。
【0081】
このような地震荷重は、風荷重に比して常に十分小さい。建築基準法により、異なる短期荷重がかかる場合、大きい方を採用するという規定があるので、本実施の形態では地震荷重については内包していない。確認申請においても、上記理由により地震荷重については通常検討しない。
【0082】
また、上記説明では看板の主平面に垂直の方向(これをY方向とする)への風荷重の方が、これと直角の平面(側面)に垂直の方向(これをX方向とする)への風荷重より大きいので、看板についてはY方向のみの計算でよい。一方、支柱についてはその断面形状により異なる。断面が円柱、正方形角柱の場合にはX方向、Y方向ともに断面係数Zは同じなので問題ない。長方形角柱およびH型鋼の場合には、常にY方向に断面係数Zが大きい向きに支柱を設置する。したがって、このような支柱部材についての風荷重はX方向の方がY方向より大きくなる。この場合、支柱の断面係数ZはX方向の断面係数を参照する必要がある。また、この場合の看板面積はメイン看板およびサブ看板の全面積であるが、概略計算として、メイン看板天端から最も低いサブ看板の下端までの距離とメイン看板側面幅とを掛けて得られる面積としてもよい。
【0083】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、図示した具体的な画面やフローチャート、数値は、説明のための例示であり、本発明はこれらの細部に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された技術的範囲内で、種々の変形、変更が可能である。例えば、本発明の処理はコンピュータにおける専用のアプリケーションソフトとして説明したが、既存の表計算ソフトで実行するマクロプログラムおよびデータ等として実現することも可能である。
【0084】
また、複数の看板種別に対応できるようにしたが、上記のうちの一部にのみ対応できるものであってもよい。
【0085】
さらに、使用した単位系も上記のものと異なってもよい。例えば、KgからNへの変換を最後に行うようにしたが、当初からNを用いてもよい。
【0086】
外力の計算方法などの細部は上記と異なってもよい。例えば、平成12年6月1日より施行の改正された建築基準法および建築基準法施行令では、従来の全国一律であった速度圧を地域(設置住所)と市街化の状況毎に規定しているため、上記風圧力Qwの計算方法などが異なることになるが、本発明の基本的な概念は変わらない。
すなわち、上記式(8)(9)で説明した風荷重(風圧力)Qwは、
看板および支柱(角柱)については、
Qw=1.2×0.6EV0 2×S (t)
支柱(丸柱)については、
Qw=0.7×0.6EV0 2×S (t)
となる。ここに、
1.2:風方向に垂直な板状物についての風力係数
0.7:風方向に垂直な円筒状物についての風力係数
0.6:建築基準法施行令第87条2項による係数
E:当該看板の高さ及び風速に影響を与える周辺状況で、建設大臣が定める方法により算出した数値
V0:その地方における建築基準法施行令に定められた風速
S:看板面積または支柱見付面積
0.6EV0 2:速度圧q
である。
具体的には、上記変数Eは、看板設置位置の地表粗度区分に応じた数値および地盤面から看板図心までの高さH(5m以下、5m超10m以下、10m超20m以下に区分)によって予め定まる。また、風速V0は、その地の属する地方区分に応じて建設大臣により予め定められている。上記地表粗度区分とそれに応じた数値、および、地方区分とそれに応じた風速は、予め定められており(通産省告示 平12建告第1454号)、それぞれ、データテーブルとして用意することができる。したがって、上記改正法に基づく風荷重Qwは、前述した看板の各種情報の他に、看板設置位置の地表粗度区分および地方区分をユーザに入力またはメニュー選択させることにより、算出することができる。そのためには、この入力エリアまたはメニューエリアを図6のユーザインタフェース画面に追加すればよい。
【0087】
【発明の効果】
本発明の方法および装置によれば、専門家のみならず、専門でない者であっても、独立柱看板の、構造計算上の条件を満たした支柱部材の選定を、正確、迅速、かつ容易に行うことが可能となる。また、独立柱看板の構造計算書の作成までを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の看板支柱部材選定支援装置(または構造計算書作成装置)の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態において用いる仕様データテーブルの構成例を示す図である。
【図3】実施の形態における独立柱看板の一構成例を示す斜視図である。
【図4】実施の形態における支柱部材選定支援処理を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態におけるディスプレイ上の画面例を示す図である。
【図6】図5の画面において、ユーザがメニューバー上の「Window」メニューから「入力画面」を選択することにより表示される画面を示す図である。
【図7】図6の一部を拡大して示す図である。
【図8】図6の画面においてサブ看板の情報を入力したときの画面例を示す図である。
【図9】実施の形態における支柱候補を表示した画面例を示す図である。
【図10】図9の一部を拡大して示す図である。
【図11】実施の形態において主画面右半分に看板の図、左画面半分に計算結果を表示した画面を示す図である。
【図12】実施の形態において主画面全体に計算結果を表示した画面を示す図である。
【符号の説明】
2…キーボード、3…マウス、4…処理部、6…記憶部、8…ディスプレイ、9…プリンタ、10…可搬性記録媒体記録装置、51…メイン看板、53,55…サブ看板、54…支柱、61…仕様データテーブル、62…アプリケーションプログラム。
Claims (13)
- 独立柱看板の支柱部材を選定するための支援を行うためにコンピュータに実行させる看板支柱部材選定支援プログラムであって、
少なくとも看板のサイズ、地盤面からの高さ、および支柱の長さのデータの入力を受ける入力受付ステップと、
前記看板に作用する外力を計算する外力計算ステップと、
計算された外力を用いて、支柱部材の許容曲げ応力度および許容圧縮応力度に関する構造計算上の第1の条件に対して、この第1の条件に合致する必要最小の断面係数Zを推定する推定ステップと、
前記看板のサイズおよび支柱部材の長さのデータに基づいて、支柱部材の細長比に関する構造計算上の第2の条件に合致する必要最小の断面二次半径iを求める算出ステップと、
異なる仕様の支柱部材毎にその仕様データを格納した仕様データテーブルを参照して、前記必要最小のZ値以上の断面係数Zおよび前記必要最小のi値以上の断面二次半径iを同時に有する支柱部材を抽出するとともに、これら抽出された支柱部材のうち所定の基準にしたがって複数の候補を選定する選定ステップと、
これらの選定された各候補について前記仕様データテーブルおよび各支柱部材に共通の共通データテーブルを参照して、当該支柱部材および看板に対する総外力を再計算した後、前記選定された各支柱部材が前記第1の条件に合致することを確認する確認ステップと、
少なくとも、前記データの入力のための画面および前記選定された複数の候補の表示のための画面をディスプレイ上に表示する候補出力ステップと、
少なくとも前記複数の候補のなかから所望の候補をユーザに選択させるユーザ選択ステップと、
この選択された支柱および前記看板について、構造計算書を出力する出力ステップと、
をコンピュータに実行させるための看板支柱部材選定支援プログラム。 - 前記第1の条件は、(σb/fb)+(σc/fc)≦1.0 であり、
ここに、σb:圧縮側曲げ応力度(t/cm2)
fb:許容曲げ応力度(t/cm2)
σc:平均圧縮応力度(t/cm2)
fc:許容圧縮応力度(t/cm2)
であり、前記推定ステップでは、(σc/fc)を0とみなして、
(σb/fb)≦1.0
を前記第1の条件と仮定し、
σb=M/Z
M:看板の地盤面におけるモーメント(t・m)
の規定から、Mの計算値および既知のfb値に基づいて必要最小断面係数Zを求め、
この求められた断面係数Zに予め定めた係数(1より大)を乗じて得られた値を前記仕様データテーブルの参照に用い、
前記確認ステップでは、細長比に基づいて上記許容圧縮応力度fcを求めるとともに、前記選定された各支柱部材の具体的仕様情報に基づいてσcを算出し、かつ、前記看板と当該支柱部材に対する総外力の再計算により正式のσbを算出し、上記(σb/fb)+(σc/fc)≦1.0 が成り立つことを確認する
ことを特徴とする請求項1記載の看板支柱部材選定支援プログラム。 - 前記入力受付ステップにおいて、ユーザが看板の種別を選択する看板種別選択エリアと、少なくとも1つの看板の形状を選択するとともにサイズを入力する入力エリアと、少なくとも支柱の長さを入力する入力エリアとをディスプレイ上に表示して、当該入力エリアへのユーザの入力を受け付けることを特徴とする請求項1記載の看板支柱部材選定支援プログラム。
- 前記候補出力ステップにおいて、前記選定された複数の候補の仕様データを同時に所定の表示エリア内に表示して、ユーザの選択に供することを特徴とする請求項1または2記載の看板支柱部材選定支援プログラム。
- ユーザにより選択された看板および支柱部材の図面を、前記所定の表示エリアを含む同じ画面上、または別の画面上に表示する図面出力ステップをさらに有することを特徴とする請求項4記載の看板支柱部材選定支援プログラム。
- ユーザがある候補を選択した後に、別の候補を選択することを許容し、別の候補が選択された場合には、前記図面出力ステップの出力内容を変更することを特徴とする請求項5記載の看板支柱部材選定支援プログラム。
- 前記入力受付ステップにおいて、さらに、ユーザが支柱断面の形状の選択の入力を行う入力欄をディスプレイ上に表示し、当該入力欄へのユーザの入力を受け付けることを特徴とする請求項1記載の看板支柱部材選定支援プログラム。
- ユーザがある支柱断面形状を選択して前記複数の候補が表示された後に、別の形状を選択することを許容し、別の候補が選択された場合には、前記選定ステップ、確認ステップおよび候補出力ステップを再度実行することを特徴とする請求項7記載の看板支柱部材選定支援プログラム。
- 前記所定の基準はZ値の昇順であり、ユーザが、前記複数の候補のいずれよりも、よりZ値の小さい新たな候補を要求したとき、前記予め定めた係数を1より大の範囲内で所定量だけ減じて、前記算出ステップ、選定ステップ、確認ステップおよび候補出力ステップを再度実行することを特徴とする請求項2記載の看板支柱部材選定支援プログラム。
- 前記入力受付ステップにおいて、1個以上のサブ看板の有無、サイズ、および当該サブ看板の垂直方向の位置情報および支柱からの距離情報を入力する入力欄を表示することを特徴とする請求項3記載の看板支柱部材選定支援プログラム。
- 独立柱看板の支柱部材を選定するための支援方法であって、
少なくとも看板のサイズ、地盤面からの高さ、および支柱の長さのデータの入力を受ける入力受付ステップと、
前記看板に作用する外力を計算する外力計算ステップと、
計算された外力を用いて、支柱部材の許容曲げ応力度および許容圧縮応力度に関する構造計算上の第1の条件に対して、この第1の条件に合致する必要最小の断面係数Zを推定する推定ステップと、
前記看板のサイズおよび支柱部材の長さのデータに基づいて、支柱部材の細長比に関する構造計算上の第2の条件に合致する必要最小の断面二次半径iを求める算出ステップと、
異なる仕様の支柱部材毎にその仕様データを格納した仕様データテーブルを参照して、前記必要最小のZ値以上の断面係数Zおよび前記必要最小のi値以上の断面二次半径iを同時に有する支柱部材を抽出するとともに、これら抽出された支柱部材のうち所定の基準にしたがって複数の候補を選定する選定ステップと、
これらの選定された各候補について前記仕様データテーブルおよび各支柱部材に共通の共通データテーブルを参照して、当該支柱部材および看板に対する総外力を再計算した後、前記選定された各支柱部材が前記第1の条件に合致することを確認する確認ステップと、
少なくとも、前記データの入力のための画面および前記選定された複数の候補の表示のための画面をディスプレイ上に表示する候補出力ステップと、
少なくとも前記複数の候補のなかから所望の候補をユーザに選択させるユーザ選択ステップと、
この選択された支柱および前記看板について、構造計算書を出力する出力ステップと、
を備えたことを特徴とする看板支柱部材選定支援方法。 - 独立柱看板の支柱部材を選定するための支援装置であって、
異なる仕様の支柱部材毎にその仕様データを格納した仕様データテーブルと、
各支柱部材に共通のデータを格納した共通データテーブルと、
少なくとも看板のサイズ、地盤面からの高さ、および支柱の長さのデータの入力を受ける入力手段と、
前記看板に作用する外力を計算し、計算された外力を用いて、支柱部材の許容曲げ応力度および許容圧縮応力度に関する構造計算上の第1の条件に対して、この第1の条件に合致する必要最小の断面係数Zを推定する推定手段と、
前記看板のサイズおよび支柱部材の長さのデータに基づいて、支柱部材の細長比に関する構造計算上の第2の条件に合致する必要最小の断面二次半径iを求める算出手段と、
前記仕様データテーブルを参照して、前記必要最小のZ値以上の断面係数Zおよび前記必要最小のi値以上の断面二次半径iを同時に有する支柱部材を抽出するとともに、この抽出された支柱部材のうち所定の基準にしたがって複数の候補を選定する選定手段と、
これら選定された支柱部材について、前記仕様データテーブルおよび共通データテーブルを参照して、当該支柱部材および看板に対する総外力を再計算した後、前記第1の条件の成立を確認する確認手段と、
少なくとも、前記データの入力のための画面ならびに前記選定された複数の候補を表示するとともに、この表示された複数の候補からユーザにより選択された候補の図面を表示するための画面をディスプレイ上に表示する出力手段と、
少なくとも前記複数の候補のなかからユーザが選択した候補について、構造計算書を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする看板支柱部材選定支援装置。 - 独立柱看板の支柱部材を選定するための支援方法をコンピュータに実行させるための看板支柱部材選定支援プログラムを記録した記録媒体であって、
少なくとも看板のサイズ、地盤面からの高さ、および支柱の長さのデータの入力を受ける入力受付ステップと、
前記看板に作用する外力を計算する外力計算ステップと、
計算された外力を用いて、支柱部材の許容曲げ応力度および許容圧縮応力度に関する構造計算上の第1の条件に対して、この第1の条件に合致する必要最小の断面係数Zを推定する推定ステップと、
前記看板のサイズおよび支柱部材の長さのデータに基づいて、支柱部材の細長比に関する構造計算上の第2の条件に合致する必要最小の断面二次半径iを求める算出ステップと、
異なる仕様の支柱部材毎にその仕様データを格納した仕様データテーブルを参照して、前記必要最小のZ値以上の断面係数Zおよび前記必要最小のi値以上の断面二次半径iを同時に有する支柱部材を抽出し、これら抽出された支柱部材のうち所定の基準にしたがって複数の候補を選定する選定ステップと、
少なくとも、前記データの入力のための画面および前記選定された複数の候補の表示のための画面を表示する候補出力ステップと、
これらの選定された各候補について前記仕様データテーブルおよび各支柱部材に共通の共通データテーブルを参照して、当該支柱部材および看板に対する総外力を再計算した後、前記選定された各支柱部材が前記第1の条件に合致することを確認する確認ステップと、
少なくとも、前記データの入力のための画面および前記選定された複数の候補の表示のための画面をディスプレイ上に表示する候補出力ステップと、
少なくとも前記複数の候補のなかから所望の候補をユーザに選択させるユーザ選択ステップと、
この選択された支柱および前記看板について、構造計算書を出力する計算書出力ステップと、
をコンピュータに実行させるための看板支柱部材選定支援プログラムを記録したプログラム記録媒体。
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