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JP3760869B2 - 半導体発光素子の製造方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体発光素子及びその製造方法、並びにZnO膜の形成方法に関する。特に、III−V族化合物のGaN、InGaN、GaAlN、InGaAlN等を用いた半導体発光素子とその製造方法に関する。また、Si基板やガラス基板等の基板上に成膜されるZnO膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
青色光ないし紫外線を発生する発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)等の半導体発光素子の材料としては、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1)で表わされるIII−V族化合物半導体が知られている。この化合物半導体は、直接遷移型であることから発光効率が高く、また、In濃度によって発光波長を制御できることから、発光素子用材料として注目されている。
【0003】
このInxGayAlzNは大型の単結晶を作製することが困難であるため、その結晶膜の製作にあたっては、異なる材料の基板上に成長させる、いわゆるヘテロエピタキシャル成長法が用いられており、一般にはC面サファイア基板の上で成長させられる。しかし、C面サファイア基板は高価であり、そのうえ大きな格子不整合があり(例えば、GaNとの格子不整合は16.1%にもなる)、成長した結晶中には転移密度108/cm2〜1011/cm2という多数の結晶欠陥が生じてしまい、結晶性に優れた良質の結晶膜を得ることができないという問題があった。
【0004】
そこで、C面サファイア基板上にInxGayAlzNを成長させる際の格子不整合を小さくし、欠陥の少ない結晶を得るため、C面サファイア基板の上に多結晶又は非晶質のAlNバッファ層や低温成長GaNバッファ層を設ける方法が提案されている。この方法によれば、C面サファイア基板とバッファ層の間の格子不整合が小さくなると共にバッファ層とInxGayAlzNの格子不整合も小さくなるので、欠陥の少ない結晶膜を得ることができる。しかし、この方法では、高価なC面サファイア基板に加え、構造が複雑になることから一層コスト高になるという問題があった。
【0005】
また、基板としてSiC基板も検討されており、SiC基板では格子不整合が小さい(例えば、GaNとの格子不整合は3.5%である)。しかし、SiC基板は、C面サファイア基板と比較してもかなり高価につく(C面サファイア基板の価格の10倍程度)という欠点があった。
【0006】
そこで、安価なSi基板やガラス基板を用いて半導体発光素子を製作することが従来より望まれている。そのためには、Si基板やガラス基板の上にZnOバッファ層を成長させ、ZnOバッファ層の上にGaN層を設け、発光のためのInxGayAlzN系半導体層をGaN層の上に(あるいは、GaN層を含むInxGayAlzN系半導体層を)構成することが考えられる。これは、次の表1に示すように、ZnO単結晶のa軸方向の格子定数(以下、a定数という)とc軸方向の格子定数(以下、c定数という)がいずれもGaNのa定数とc定数に近いため、格子欠陥の少ないGaN層ができると考えられるからである。なお、ZnO結晶は六方晶系の結晶であって、c軸方向がSi基板又はガラス基板の表面と垂直な方向を向き、a軸方向がSi基板又はガラス基板と平行な方向を向いて成長する。
【0007】
【表1】
Figure 0003760869
Si基板の上にZnOバッファ層を設けたものでは、C面サファイア基板に比較すると、基板コストは10分の1程度に抑えることができ、コストを安価にすることができる。また、C面サファイア基板は絶縁材料であるのに対し、Si基板は導電性を持たせることができるので、p側電極とn側電極を発光素子の上面と下面に設けることができ、素子構造を簡単にすることができるという利点もある。
【0008】
しかし、GaNとC面サファイア基板やSiC基板との組み合わせにおける格子不整合に比べて小さいものの、上記の表1からも分かるように、Si基板の上に形成されたZnOバッファ層でも、GaN層との間にはa定数で2%の格子不整合が存在し、格子不整合による欠陥が問題となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の技術的問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、InxGayAlzN系の半導体発光素子において、ZnOバッファ層とGaN層とのa軸方向の格子定数の差をより小さくすることにより、格子欠陥の少ないGaN層を提供することにある。また、ZnO膜のa軸方向の格子定数を制御するための方法を提供することにある。
【0010】
【発明の開示】
Si基板やガラス基板等の基板上に成膜されるZnO膜のa軸方向の格子定数は、基板の格子定数の影響もあり、直接に制御することは困難であると考えられていたが、本発明のZnO膜の形成方法では、ZnO膜のc軸方向の格子定数によりZnO膜のa軸方向の格子定数を制御することができる。ここで、ZnO膜のc軸方向の格子定数は、ZnO膜を成膜するための成膜時の管理パラメータによって制御することができる。
【0011】
この方法は、InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1)で表わされる化合物半導体を用いた半導体発光素子の製造方法に適用することができる。すなわち、Si基板またはガラス基板上にc軸方向の格子定数が5.21Å〜5.28Åであるとともにa軸方向の格子定数が3.24Å〜3.17ÅであるZnOバッファ層を多結晶で形成し、ZnOバッファ層上に形成される化合物半導体のa軸方向の格子定数が、ZnO単結晶のa軸方向の格子定数よりも小さい場合には、ZnOバッファ層のc軸方向の格子定数をZnO単結晶のc軸方向の格子定数よりも大きくなるように調整することができる。逆に、ZnOバッファ層上に形成される化合物半導体のa軸方向の格子定数が、ZnO単結晶のa軸方向の格子定数よりも大きい場合には、ZnOバッファ層のc軸方向の格子定数をZnO単結晶のc軸方向の格子定数よりも小さくなるように調整することができる。こうしてZnOバッファ層のa軸方向の格子定数と化合物半導体のa軸方向の格子定数の値を近づけることができるので、ZnOバッファ層の上に結晶性の良好な化合物半導体を結晶成長させることができる。
【0012】
より具体的な用途としては、InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1)で表わされる化合物半導体を用いた半導体発光素子において、Si基板またはガラス基板上にc軸方向の格子定数が5.21Å〜5.28Åであるとともにa軸方向の格子定数が3.24Å〜3.17ÅであるZnOバッファ層を多結晶で形成し、ZnOバッファ層の上にGaN層を形成することを挙げることができる。
【0013】
ZnOバッファ層のc軸方向の格子定数を5.21Å〜5.28Åにすれば、そのa軸方向の格子定数を3.24Å〜3.17Åにすることができ、ZnOバッファ層のa軸方向の格子定数をZnO単結晶のa軸方向の格子定数よりも小さくすることができる。よって、ZnOバッファ層のa軸方向の格子定数とGaN層の格子定数との差を従来よりも小さくでき、ZnOバッファ層とGaN層との格子不整合を小さくすることができる。
【0014】
特に、ZnOバッファ層のc軸方向の格子定数を5.21Å〜5.28Åとすれば、そのa軸方向の格子定数を3.24Å〜3.17Åにすることができ、GaN層の格子定数に更に近づけることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態によるダブルへテロ接合構造の半導体発光素子1であって、InGaN層6を発光層とする発光ダイオードや面発光型レーザーダイオード等を表わしている。この半導体発光素子1は、導電性Si基板2の上に比抵抗の小さなZnOバッファ層3を成長させ、ZnOバッファ層3の上に順次n型GaN層4、n型AlGaN層5、InGaN層(発光層)6、p型AlGaN層7、p型GaN層8を成長させたものであり、n型GaN層4、n型AlGaN層5、InGaN層(発光層)6、p型AlGaN層7及びp型GaN層8によってダブルへテロ接合構造が構成されている。さらに、Si基板2の下面全面にはn側電極9が設けられ、p型GaN層8の上面には部分的にp側電極10が形成されている。しかして、p側電極10とn側電極9の間に電圧を印加すると、p側電極10からInGaN層6に電流が注入されて発光し、InGaN層6から出た光はp型GaN層8の上面のp側電極10が設けられていない領域から外部へ出射される。
【0016】
このような半導体発光素子1においては、従来例でも説明したように、Si基板2の上に形成されているZnOバッファ層3とn型GaN層4との格子不整合をできるだけ小さくすることが重要となる。そのため、本発明の実施形態においては、以下に説明するようにしてZnOバッファ層3を形成している。
【0017】
ZnOバッファ層3は、蒸着法、CVD、イオンプレーティングなどのうち、特にスパッタ法によりSi基板2上に成長される。ZnOバッファ層3を成膜するためのスパッタ装置11にあっては、図2に示すように、チャンバ12内に陰極13と陽極14が設けられており、陰極13上にはターゲット15としてZn又はZnOが置かれ、Si基板2は陽極14上に置かれている。また、チャンバ12にはArガスを導入するためのパイプ16とO2ガスを導入するためのパイプ17と排気ダクト18が設けられており、ArガスとO2ガスの流量は流量調整弁19,20によって調整できる。また、スパッタ装置11は基板加熱温度Tcを一定に保つための温度制御装置(図示せず)を備えている。
【0018】
しかして、ArガスとO2ガスをチャンバ12内に一定流量で導入する一方、排気ダクトからチャンバ12内のガスを排出してチャンバ12内を一定の気圧に保つ。そして、Si基板2を一定温度に保ちながら、陽極14と陰極13間に高周波電圧を印加すると、両電極13,14間でプラズマが発生し、プラズマのイオン21がターゲットに衝突してZn又はZnO22を弾き出す。ターゲットから弾き出されたZnO、あるいはターゲットから弾き出されたZnがO2ガスと反応することによって生成されたZnOは、Si基板2の表面に堆積して多結晶成長し、ZnOバッファ層3となる。
【0019】
図3は上記のようにしてSi基板2の表面にZnOバッファ層3を形成した場合の、Arガス流量S(Ar)とO2ガス流量S(O2)の比S(O2)/[S(Ar)+S(O2)]に対するZnOバッファ層3のc定数の変化を表わしている。なお、図3中の流量Stはトータル流量S(Ar)+S(O2)を示している。また、図4はSi基板2の上に形成されたZnOバッファ層3のc定数とa定数の関係を表わしている。
【0020】
単結晶ZnOのa定数は3.24982Å、c定数は5.20661Å(単結晶ZnOの格子定数は図4で三角で示している;表1参照)、GaN層4のa定数は3.1860Å(GaNの格子定数は図4で四角で示している;表1参照)であるから、ZnOバッファ層3のa定数を、単結晶ZnOよりもGaN層4のa定数に近づけるためには、図4によれば、ZnOバッファ層3のc定数を5.2070Å以上にすればよいことが分かる。特に、ZnOバッファ層3のa定数を、GaN層4のa定数近傍の値である3.17Å〜3.24Åとするためには、ZnOバッファ層3のc定数は5.21Å〜5.28Åにすればよい。なかでも、ZnOバッファ層3のc定数を約5.26Å程度にすれば、ZnOバッファ層3のa定数をGaN層4のa定数とほぼ等しくすることができる。
【0021】
ついで、図3のデータからは、ZnOバッファ層3のc定数を上記のような所望値にするためには、ガス流量St=S(Ar)+S(O2)、ガス流量比S(O2)/[S(Ar)+S(O2)]及び基板加熱温度Tcをコントロールすればよいことが分かる。例えば、図3のデータを得るのに用いたスパッタ装置11では、例えばガス流量St=S(Ar)+S(O2)=30sccm、基板加熱温度Tc=400℃とすれば、ガス流量比S(O2)/[S(Ar)+S(O2)]を約50%とすることによってZnOバッファ層3のc定数を約5.262Åとすることができ、それに対応してそのa定数を、GaN層4のa定数である3.1860Åの近傍とすることができる。
【0022】
ZnOバッファ層3のc定数と成膜装置の各管理パラメータ値との関係は、装置の種類によって変化するが、ZnOバッファ層3のc定数とa定数との関係は不偏的であるので、ZnOバッファ層3のc定数が所望値となるように成膜装置のパラメータ値を適切に設定すれば、ZnOバッファ層3のa定数をGaN層4のa定数に近づけることができる。
【0023】
(第2の実施形態)本発明は図1に示したようなInGaN層6によるダブルへテロ接合構造の半導体発光素子以外にも適用することができる。例えば、図5に示す半導体発光素子31のように、Si基板32の上にZnOバッファ層33、n型GaN層34及びp型GaN層35を積層し、Si基板32の下面にn側電極36を形成するとともにp側GaN層35の上にp側電極37を設けたものでもよい。また、図示しないが、ガラス基板の上にZnOバッファ層、低温成長GaNバッファ層、n型GaN層及びp型GaN層を積んだ構造の発光素子でもよい。
【0024】
(第3の実施形態)さらには、図6に示すように、Si基板42の上にZnOバッファ層43を形成し、n型GaNクラッド層44、p型GaN活性層45、p型GaNクラッド層46を積層し、p側GaNクラッド層46の上面の中央部を除く領域にSiO2膜47を形成し、SiO2膜47の上からp型GaNクラッド層46の上にp側電極48を設け、Si基板42の下面にn側電極49を設けた、レーザーダイオードや端面出射型の発光ダイオードなどの半導体発光素子41でもよい。
【0025】
(第4の実施形態)以上の実施形態は、ZnO膜上にGaNを形成したものであるが、本発明はZnO膜の上にInGaN、InAlGaN、AlGaN等を直接成膜する場合にも適用することができる。例えば、図7に示すInXGa1-XNの組成とそのa定数との関係から、In0.2Ga0.8Nのa定数は約3.26Åであるから、ZnO膜のa定数をIn0.2Ga0.8Nのa定数に近づけるには、図4のグラフによれば、ZnO膜のc定数を5.155Å〜5.205Åにすればよいことが分かる。
(第5の実施形態)また、図8に示すAlXGa1-XNの組成とそのa定数との関係から、Al0.2Ga0.8Nのa定数は約3.176Åであるから、ZnO膜のa定数をAl0.2Ga0.8Nのa定数に近づけるには、図4のグラフによれば、ZnO膜のc定数を5.27Å〜5.28Åにすればよいことが分かる。
(第6の実施形態)同様に、図9に示すInXAlYGaZN(ただし、X+Y+Z=1)の組成とそのa定数との関係から、In0.2Al0.2Ga0.6Nのa定数は約3.245Åであるから、ZnO膜のa定数をIn0.2Al0.2Ga0.6Nのa定数に近づけるには、図4のグラフによれば、ZnO膜のc定数を5.19Å〜5.22Åにすればよいことが分かる。なお、ここではX=0.2、Y=0.2、Z=0.6の場合を例にとって説明したが、他の値の場合でも、図4及び図9のグラフから、最適なZnOのc軸長が導かれるので、その値となるように制御すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による半導体発光素子の構造を示す断面図である。
【図2】スパッタ装置によりSi基板上にZnOバッファ層を成膜するようすを示す概略図である。
【図3】Si基板の表面に形成されたZnOバッファ層のc定数とガス流量比S(O2)/[S(Ar)+S(O2)]の関係を表わした図である。
【図4】Si基板の上に形成されたZnOバッファ層のc定数とa定数の関係を表わす図である。
【図5】本発明の別な実施形態による半導体発光素子の構造を示す斜視図である。
【図6】本発明のさらに別な実施形態による半導体発光素子の構造を示す斜視図である。
【図7】InXGa1-XNの組成とそのa定数との関係を示す図である。
【図8】AlXGa1-XNの組成とそのa定数との関係を示す図である。
【図9】InXAlYGaZNの組成とそのa定数との関係を示す図である。
【符号の説明】
2 Si基板
3 ZnOバッファ層
4 GaN層
11 スパッタ装置

Claims (2)

  1. InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1)で表わされる化合物半導体を用いた半導体発光素子の製造方法であって、
    Si基板またはガラス基板上にZnOバッファ層を多結晶で形成するときに、ZnOバッファ層上に形成される化合物半導体のa軸方向の格子定数が、ZnO単結晶のa軸方向の格子定数よりも小さい場合には、ZnOバッファ層のc軸方向の格子定数をZnO単結晶のc軸方向の格子定数よりも大きくなるように、ガス流量St=S(Ar)+S(O2)、ガス流量比S(O2)/[S(Ar)+S(O2)]及び基板加熱温度Tcをコントロールして調整し、
    ZnOバッファ層上に形成される化合物半導体のa軸方向の格子定数が、ZnO単結晶のa軸方向の格子定数よりも大きい場合には、ZnOバッファ層のc軸方向の格子定数をZnO単結晶のc軸方向の格子定数よりも小さくなるように、ガス流量St=S(Ar)+S(O2)、ガス流量比S(O2)/[S(Ar)+S(O2)]及び基板加熱温度Tcをコントロールして調整することにより、
    ZnOバッファ層のa軸方向の格子定数とZnOバッファ層の上に形成される化合物半導体のa軸方向の格子定数の値を近づけることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
  2. 前記ZnOバッファ層のa軸方向の格子定数を、前記ZnOバッファ層の上に形成される化合物半導体のa軸方向の格子定数に近づけたときの前記ZnOバッファ層のa軸方向の格子定数の範囲が、3.24Å〜3.17Åであることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
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