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JP3762397B2 - 取水設備 - Google Patents
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本発明は、ダムや貯水池などに設けられる取水設備に関し、特に、ダムや貯水池などの水位変動に応じて表層からの取水が可能であり、かつ、新設のダムや貯水池だけでなく、既設のダムや貯水池にも容易に追加できる取水設備に関するものである。
一般に、ダムや貯水池における夏期の水温成層は、太陽熱で温められた水温の高い表水層(約2〜5m深さ程度)と、水温が急激に変わる水温躍層(約3〜10m深さ程度)と、水温の低い深水層とに区分される。そのため灌漑用水の取水時には、農作物の生育に適当な水温を確保するため、水温の高い表水層から取水して放流する必要がある。しかしながら、ダムや貯水池の水位は常に変動しているから、水位が変動しても安定して表水層から取水するためには、呑み口を変動する水位に追従させる必要がある。
こういった水位の変動に対応させることが可能な取水設備として従来では、例えばダムの堰堤に深さの異なる取水口を多段で形成して取水する多孔式、多管式、板状のローラゲートを複数段すだれ式に組み合わせ、ゲートを上下させて水位に合わせて選択取水する直線多段式、円形シリンダー、半円形シリンダーをフロートや巻き上げ機で上下させ、水位に合わせて選択取水する多段式シリンダーゲートなどが用いられている。
このうち、円形シリンダーで多段式に構成した取水設備は水圧に対して強く、高いダムや取水量が多い取水設備に向き、半円形シリンダーや板状ローラゲートを用いた直線多段式は、円形シリンダー式ほど水圧に対して強くないため、円形シリンダー式ほど水圧や取水量に対する要求が厳しくない場合に用いられ、また、多孔式、多管式は、さらに取水量の少ない設備に用いられている。
しかしながら、古いダムに設けられた取水設備の場合、湖底近くのみに呑み口が設けられ、表水層からの取水ができないものがある。ところが前記した取水設備は、ダムや貯水池が新設されるときに同時に敷設する場合はそれほど問題ないが、湖底近くのみに呑み口が設けられた古いダムに増設する場合、土木の大幅な変更を伴ったり、放流の一時停止、仮締切り等による工事箇所のドライ化などが必要となる場合があり、施工が困難であったり、工事費が非常に高価になるという問題がある。
そのため特許文献1には、水位変動に自動的に追随して有効に取水できるようにすると共に、土木構造物との取り合いを最小限に減らして施工を簡素化できるようにするため、水位に応じて昇降する半円形状のフロートを設け、このフロートに取り付けられた昇降機で同じく半円形状の水中フロートを昇降させ、さらにこの水中フロートに錘を付けたゴム製の遮水カーテンを設けて取水口の周囲、および下側を遮水することで、水が遮水カーテンの上側とフロートとの間の隙間からのみ遮水カーテン内に流入するようにし、既設ダムにも容易に増設可能な取水設備が開示されている。
特開2002−275865号公報
しかしながら、この特許文献1に開示された取水設備は、水中フロートにゴムで作った遮水カーテンに錘を付けてぶら下げ、錘によってゴム膜をピンと張るようにしているが、単にゴム膜をぶら下げているだけなので止水性が悪く、隙間から水が入ってしまうという問題があることと、浮いている設備なので不安定な面がある。また、遮水カーテンをピンと張るためには重量のある錘が必要であり、しかも、重量のある錘を付けて引っ張ることによって、今度はカーテンを構成するゴムの耐久性に問題が生じる。
そのため本発明においては、フロート又は開閉装置を用いることで水位変動に応じて表水層からの取水を可能とし、かつ、新設のダムや貯水池だけでなく、既設のダムや貯水池にも容易に増設できる取水設備を、安価に、しかも施工に際して放流の一時停止、仮締切り等による工事箇所のドライ化などを最小化し、工事費をも安価にすることが可能な取水設備を提供することが課題である。
上記課題を解決するため本発明の取水設備は、
堤体に設けられた取水口上部に設けられ、水位に応じて昇降するフロート又は水位に応じた高さに上下可能に構成した開閉装置と、該フロート又は開閉装置に吊り下げた遮水体とにより呑み口を構成した取水設備において、
前記遮水体を内壁に設けた構造体で支持して伸縮可能な筒状体とし、該筒状体中心に前記堤体で支持された中芯を設け、該中芯に前記構造体を沿わせて前記遮水体を伸縮可能に構成し
前記遮水体を構成する遮水膜に、ゴム若しくは合成樹脂、あるいは布をもちいるとともに前記遮水体の夫々の最下端に遮水膜がピンと張られるように錘を配置したことを特徴とする。
また本発明の前記遮水体は、前記フロート又は開閉装置に設けた吊り下げ具で所定間隔に配されていることを特徴とする取水設備が得られる。
さらに本発明によれば、前記中芯はガイドレールを有し、前記遮水体内壁に設けた構造体が前記ガイドレールに沿って走行できるようにすることで前記遮水体を伸縮させることを特徴とする取水設備が得られる。
そして本発明によれば前記遮水体は、前記筒状体の径が下の筒状体ほど小さくなる入れ子状に構成されていることを特徴とする取水設備が得られる。
また前記遮水体は、円形、又は多角形状であることが好ましい。
本発明になる取水設備は、遮水体を内壁に設けた構造体で支持して伸縮可能な筒状体としたから圧力に強く、この遮水体をフロート又は水位に応じた高さに上下可能に構成した開閉装置で吊り下げると共に中心に堤体で支持された中芯を設けて構造体を沿わせ、遮水体を伸縮可能に構成したから、非常に安価に構成でき、かつ、フロートが水位に応じて上下したとき、遮水体が伸縮して確実に周囲から水が入るのを防ぎ、従来技術と同等の止水性を実現する。また中芯は、現場に持っていって単に堤体に固定するだけでよく、水中施工が可能で、従来のように、施工に当たって放流の一時停止、仮締切り等による工事箇所のドライ化、などを最小限にとどめることが出来、工事費が非常に安くなる。
また、前記遮水体は、前記フロート又は開閉装置に設けた吊り下げ具で所定間隔に配することで、自重で堤体に設けられた取水口上部を遮水することが可能となり、戸当たりなどの精度を有する加工を必要としないから、安価な取水設備を提供することができる。
そして中芯にガイドレールを設け、前記遮水体内壁に設けた構造体が前記ガイドレールに沿うことで前記遮水体を伸縮させるようにしたことで、フロートを用いているにもかかわらず安定した取水設備とすることができる。
そして遮水体を構成する筒状体の径は、下の筒状体ほど小さくなるようにして入れ子状に構成したことにより、水位が下がって筒状体が下降したとき、小さな径の筒状体から取水口上部に順に重なってゆき、遮水が確実におこなわれるようになる。
また前記遮水体は、円形、又は多角形状に構成することにより、強度的に優れた物とすることができる。さらに遮水体に金属製遮水膜を使うことで耐久性の高い取水設備とすることができ、ゴム若しくは合成樹脂、あるいは布製の遮水膜を使うことで、安価な取水設備とすることができる。また、遮水膜としてゴム若しくは合成樹脂、あるいは布を用いたときは、遮水体下部に、錘を配することにより、遮水膜をピンと張って確実に遮水することのできる取水設備を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明になる取水設備の一実施例の測面図、図2は図1におけるA−Aと記した部分における断面図、図3は本発明になる取水設備を最も縮めたときの側面図、図4は本発明になる取水設備を構成する遮水体を伸縮させる構造を説明するための図である。
図中1は堰堤、2は堰堤1に設けられた既設のコンクリート製呑み口、3は既設の放流管、10は本発明になる取水設備、11は円形、又は多角形状の筒状体とした本発明の取水設備を構成する遮水体、12はフロート、13は堰堤1に設けられた操作架台14に上側を、下側を呑み口2に支持され、取水設備10全体を支えると共に遮水体11をフロートの上下に伴って昇降させる円柱、角柱などで構成した中芯、15はワイヤ16によってフロート12を吊り下げ、必要に応じてフロート12や遮水体11を上下させる開閉装置、17は遮水体11の内壁に設けられて遮水体11の上部を支持する構造体、18は遮水体11の遮水膜をゴム若しくは合成樹脂、あるいは布などで構成したとき、この遮水膜をピンと張るための錘、破線で示した19はチェーンなどで構成した遮水体11の吊り下げ具で、この吊り下げ具はチェーンだけに限らず、ワイヤなどを用いても良く、遮水体11は、この吊り下げ具19によって所定間隔でフロート12に吊り下げられる。20は最下端の遮水体11の構造体17がこれより下に下がらないようにするストッパー、30は遮水体11における構造体17を構成する支持枠で、図では6角形で示したが、その他の多角形、円形などとしてもよい。31は中芯13に設けられたガイドレール32を走行するローラ33が設けられ、支持枠30に固定された中枠、34は遮水体11における構造体17を構成する支持枠30の周囲に張った遮水膜で、この遮水膜30は、金属、ゴム若しくは合成樹脂、あるいは布などを用いることができる。
本発明の取水設備10は、図1に示したように、上側を堰堤1に設けられた操作架台14に、下側を呑み口2に支持され、円柱、角柱などで構成されて取水設備10全体を支える中芯13と、操作架台14に設置された開閉装置15から降ろされたワイヤ16によって上下可能に構成されたフロート12に、チェーンなどの吊り下げ具19によって吊り下げられて伸縮可能に構成された複数の遮水体11とで構成される。
このうち遮水体11は、図1におけるA−A部の断面である図2に示したように、遮水体11の内壁に設けられた構造体17を構成する支持枠30に中枠31が配され、中枠31の中芯13側には、中芯13に設けられたガイドレール32を走行させるローラ33が設けられている。また支持枠30には、その外周には金属、ゴム若しくは合成樹脂、あるいは布などを用いた遮水膜34が張り巡らされている。
そしてこの遮水体11は、図4に伸縮させる構造の原理を示したように、例えば前記遮水膜34としてゴム若しくは合成樹脂、あるいは布などが用いられた場合、遮水体11の最下端に、これら遮水膜34がピンと張られるように錘18が配される。そして図4における最上段の遮水体11の下の遮水体11は、前記遮水体11の内側にこの遮水体11が入り込む径とされて入れ子状態になるようにされている。そして遮水体11のそれぞれは、その内壁に設けられた構造体17が直上の遮水体11の下端で隠れる程度となるような間隔で、フロート12に設けられたチェーンなどの釣り具19で吊り下げられ、遮水体11の最下端内側に遮水体11が、その遮水体11の最下端内側に遮水体11が、という具合に入れ子状態に、図1に示した11から11までの遮水体が構成されている。なお、遮水体11の数は6に限られないことは明かである。
そして最下端の遮水体11の構造体17は、中芯13に設けられたストッパー20によって、それ以上、下に下がらないよう止められており、そのためこの遮水体11は、常時図1に示した高さで直立している。
一方中芯13は、前記したように取水設備10全体を支えるよう円柱、角柱などで構成され、上側を堰堤1に設けられた操作架台14に、下側を呑み口2に支持され、図2に示したように、遮水体11の内壁に設けられた構造体17の中枠31に配されたローラ33が走行するガイドレール32が設けられ、さらに前記したように遮水体11の構造体17が一定の高さ以下に下がらないよう、ストッパー20が設けられている。
このように構成した本発明になる取水設備10は、前記したように中芯13の上側を堰堤1に設けられた操作架台14で、下側を呑み口2で支持するようにして立設し、その中芯13に設けられたガイドレール32に、構造体17に設けたローラ33が入るようにして複数の遮水体11のそれぞれを填め込む。そして、さらにそれぞれの遮水体11が図4で説明したように、最下端に下側の遮水体の構造体17が隠れる程度の間隔となるようチェーンなどの吊り下げ具19で結合し、フロート12で吊り下げ、そして最後にフロートを中芯13に入れ、さらにそのフロート12を、操作架台14に設置された開閉装置15から降ろされたワイヤ16によって上下可能に吊り下げる。
この状態で、例えば取水設備10の上部に設けられた操作架台14に設置された開閉装置15を操作し、ワイヤ16によってフロート12が水面に浮かぶように降ろすと、このフロート12と遮水体11の間が呑み口となって表水層の水が遮水体11内部に流れ込み、最下段の遮水体11の下部にある呑み口2から放流管3を通して送り出されて行く。
そしてこの状態でダムなどの水位が下がった場合、それに追従してフロート12も下がって最下段の遮水体11の1段上の遮水体11がこの遮水体11を覆うように下がり、そのため、ダムの水位が変動しても、フロート12と最上段の遮水体11によって構成される呑み口は常に表水層からの取水が可能となる。
また、さらにダムの水位が下がると、同様にして遮水体11の1段上の遮水体11がこの遮水体11を覆うように下がり、という具合に順々に遮水体11が下の遮水体11に覆い被さるように下がって、最後に図3に示したように全ての遮水体11が下降して互いに重なった状態で止まる。そして開閉装置15のワイヤ16は、全ての遮水体11が下降して互いに重なった状態で止まったとき、フロート12がそれ以上下がらないようにしてある。
なお、以上の説明では、取水設備を、開閉装置15から降ろされたワイヤ16によって上下可能に吊り下げられたフロート12を用いて構成したが、フロート12を用いず、単に開閉装置15から降ろされたワイヤ16の先端にチェーンなどの吊り下げ具19によって吊り下げられ、水位に応じて上下可能に構成した複数の遮水体11で構成してもよい。この場合は、フロート12を使わない分だけ安価に構成することができる。
このように本発明によれば、遮水体11を内壁に設けた構造体17で支持して伸縮可能な筒状体としたから圧力に強く、この遮水体11をフロート12又は開閉装置で吊り下げると共に中心に堤体1で支持された中芯13を設けて構造体17を沿わせ、遮水体11を伸縮可能に構成したから、非常に安価に構成でき、かつ、フロート12が水位に応じて上下したとき、遮水体11が伸縮して確実に周囲から水が入るのを防ぎ、従来技術と同等の止水性を実現する。また中芯13は、現場に持っていって単に堤体1に固定するだけでよく、水中施工が可能で、従来のように、施工に当たって放流の一時停止、仮締切り等による工事箇所のドライ化、などを最小限にすることが出来、工事費が非常に安くなる。
また遮水体11は、フロート12又は開閉装置に設けた吊り下げ具19で所定間隔に配することで、自重で堤体1に設けられた取水口2上部を遮水することが可能となり、戸当たりなどの精度を要する加工を必要としないから、安価な取水設備を提供することができる。
そして中芯13にガイドレール32を設け、前記遮水体11内壁に設けた構造体17がこのガイドレール32に沿って遮水体11を伸縮させるようにしたことで、フロート12を用いているにもかかわらず安定した取水設備とすることができる。
そして遮水体11を構成する筒状体の径は、下の筒状体ほど小さくなるようにして入れ子状に構成したことにより、水位が下がって筒状体が下降したとき、小さな径の筒状体から取水口上部に順に重なってゆき、遮水が確実におこなわれるようになる。
前記遮水体11は、円形、又は多角形状に構成することにより、強度的に優れた物とすることができる。さらに遮水体11に遮水膜34として金属を使うことで耐久性の高い取水設備とすることができ、ゴム若しくは合成樹脂、あるいは布を使うことで、安価な取水設備とすることができる。また、遮水膜34としてゴム若しくは合成樹脂、あるいは布を用いたときは、遮水体11下部に、錘18を配することにより、遮水膜34をピンと張って確実に遮水することのできる取水設備を提供することができる。
本発明によれば、フロート又は開閉装置を用いることで水位変動に応じて表水層からの取水を可能とし、かつ、新設のダムや貯水池だけでなく、既設のダムや貯水池にも容易に増設できる取水設備を、安価に、しかも施工に際して放流の一時停止、仮締切り等による工事箇所のドライ化などを最小化し、工事費をも安価にすることが可能な取水設備を提供することができる。
本発明になる取水設備の一実施例の測面図である。 図1におけるA−Aと記した部分における断面図である。 本発明になる取水設備を最も縮めたときの側面図である。 本発明になる取水設備を構成する遮水体を伸縮させる構造を説明するための図である。
符号の説明
1 堰堤
2 既設呑み口
3 既設放流管
10 取水設備
11 遮水体
12 フロート
13 中芯
14 操作架台
15 開閉装置
16 ワイヤ
17 遮水体内壁構造体
18 錘
19 吊り下げ具
20 ストッパー

Claims (4)

  1. 堤体に設けられた取水口上部に設けられ、水位に応じて昇降するフロート又は水位に応じた高さに上下可能に構成した開閉装置と、該フロート又は開閉装置に吊り下げた遮水体とにより呑み口を構成した取水設備において、
    前記遮水体を内壁に設けた構造体で支持して伸縮可能な筒状体とし、該筒状体中心に前記堤体で支持された中芯を設け、該中芯に前記構造体を沿わせて前記遮水体を伸縮可能に構成し
    前記遮水体を構成する遮水膜に、ゴム若しくは合成樹脂、あるいは布をもちいるとともに前記遮水体の夫々の最下端に遮水膜がピンと張られるように錘を配置したことを特徴とする取水設備。
  2. 前記遮水体は、前記フロート又は開閉装置に設けた吊り下げ具で所定間隔に配されていることを特徴とする請求項1に記載した取水設備。
  3. 前記中芯はガイドレールを有し、前記遮水体内壁に設けた構造体が前記ガイドレールに沿って走行できるようにすることで前記遮水体を伸縮させることを特徴とする請求項1に記載した取水設備。
  4. 前記遮水体は、前記筒状体の径が下の筒状体ほど小さくなる入れ子状に構成されていることを特徴とする請求項1に記載した取水設備。
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