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JP3763585B2 - シクロペンテノン誘導体 - Google Patents
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JP3763585B2 - シクロペンテノン誘導体 - Google Patents

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Description

発明の属する技術分野
本発明は、医薬の分野において有用な、制がん作用等の生理活性を有するシクロペンテノンの誘導体に関し、更に当該化合物の製造方法に関する。
従来の技術
従来、臨床上の療法に用いられている薬物はアルキル化剤、代謝阻害剤、植物アルカロイド等の制がん剤、抗生物質、免疫促進剤、免疫調節剤など多岐にわたっているが、これらの薬物療法はいまだ完成したとはいいがたい。
これらのうち、天然物由来であるプロスタグランジンの中で、5員環にα,β−不飽和カルボニルを有するプロスタグランジンA及びJ類がDNA合成を抑制することにより、安全性の高い制がん剤としての可能性が報告され、それらの各種誘導体が合成されている(特開昭62−96438号公報参照)。
発明が解決しようとする課題
本発明の目的は、制がん作用、アポトーシス誘発作用、抗菌作用等の生理作用を有するシクロペンテノンの誘導体を開発し、該化合物の製造方法及び当該化合物を含有する医薬を提供することにある。
課題を解決するための手段
本発明者らはかかる目的を達成するために鋭意検討した結果、一般式〔II〕で表されるシクロペンテン誘導体が式〔III〕で表される4,5−ジヒドロキシ−2−シクロペンテノン−1−オン(以下、単にシクロペンテノンと称す)とカルボン酸及び/又はその反応性誘導体との反応により生成し、このシクロペンテノン誘導体が強いがん細胞増殖抑制活性等の生理活性を有することを見出し本発明を完成した。
本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は下記一般式〔I〕で表されるシクロペンテノン誘導体若しくは光学活性体又はそれらの塩に関する。
Figure 0003763585
(式中、R1、R2は同一又は異なる直鎖又は分枝アルキル基、直鎖又は分枝アルケニル基、芳香族基、又は芳香脂肪族基である。但し、R1=R2=−CH3の場合を除く)
本発明の第2の発明は下記式〔III〕で表される4,5−ジヒドロキシ−2−シクロペンテン−1−オン及び/又はその光学活性体と下記一般式〔II〕で表されるシクロペンテノン誘導体のR3、R4に相当するカルボン酸及び/又はその反応性誘導体を同時又は順次反応させることを特徴とする一般式〔II〕で表されるシクロペンテノン誘導体の製造方法に関する。
Figure 0003763585
(式中、R3、R4は同一又は異なる直鎖又は分枝アルキル基、直鎖又は分枝アルケニル基、芳香族基、又は芳香脂肪族基である)
Figure 0003763585
本発明の第3の発明は本発明の第1の発明のシクロペンテノン誘導体若しくはその光学活性体又はそれらの塩から選択される化合物を有効成分として含有することを特徴とする医薬に関する。
本発明の第4の発明は本発明の第2の発明の方法で得られるシクロペンテノン誘導体若しくその光学活性体又はそれらの塩から選択される化合物を有効成分として含有することを特徴とする医薬に関する。
本発明の第3、4の発明の好ましい態様では、前記医薬は制がん剤、アポトーシス誘発剤、抗菌剤である。
【図面の簡単な説明】
図1はジアセチルシクロペンテノンのマススペクトルを示す図である。
図2はジアセチルシクロペンテノンの1H−NMRスペクトルを示す図である。
図3はジベンゾイルシクロペンテノンのマススペクトルを示す図である。
図4はジベンゾイルシクロペンテノンの1H−NMRスペクトルを示す図である。
図5はジヘキサノイルシクロペンテノンの1H−NMRスペクトルを示す図である。
図6はジミリストイルシクロペンテノンの1H−NMRスペクトルを示す図である。
図7はジオクタノイルシクロペンテノンの1H−NMRスペクトルを示す図である。
図8はジ−3−オクテノイルシクロペンテノンの1H−NMRスペクトルを示す図である。
図9はジブチリルシクロペンテノンの1H−NMRスペクトルを示す図である。
図10はジデカノイルシクロペンテノンの1H−NMRスペクトルを示す図である。
図11はジバレリルシクロペンテノンの1H−NMRスペクトルを示す図である。
図12はジプロピオニルシクロペンテノンの1H−NMRスペクトルを示す図である。
図13はジ−2−ヘキセノイルシクロペンテノンの1H−NMRスペクトルを示す図である。
図14は(−)体シクロペンテノンのp−ジメチルアミノベンゾイル誘導体のCD及び(−)体シクロペンテノンの立体構造を示す図である。
図15は(+)体シクロペンテノンのp−ジメチルアミノベンゾイル誘導体のCD及び(+)体シクロペンテノンの立体構造を示す図である。
発明の実施の形態
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明において使用する式〔III〕で表されるシクロペンテノンは、4位と5位のヒドロキシル基の立体配置がシスの異性体とトランスの異性体の双方を包含する。本発明においてはシス体シクロペンテノンを用いてもよいし、トランス体シクロペンテノンを用いてもよいし、シス体シクロペンテノンとトランス体シクロペンテノンの混合物を用いてもよい。また、これらの光学活性体を用いてもよい。
シス体シクロペンテノンは化学合成法によって得られる〔ヘルベチカ キミカ アクタ(Helvetica Chimica Acta)、第55巻、第2838〜2844頁(1972)〕。トランス体シクロペンテノンは化学合成法によっても得られるし〔カーボハイドレート リサーチ(Carbohydrate Res.)、第247巻、第217〜222頁(1993)〕、またウロン酸、例えばグルクロン酸、ウロン酸誘導体、例えばグルクロノラクトン等を加熱処理することによっても得られる(PCT/JP97/03052号明細書参照)。本発明ではシクロペンテノンを含有するこれらの加熱処理物、その部分精製物及び精製物も使用できる。
例えば、ウロン酸としてD−グルクロン酸を使用し、その1%溶液を121℃で4時間加熱処理することにより、加熱処理物中にシクロペンテノンが生成される。この加熱処理物中のシクロペンテノンを溶媒で抽出し、抽出物を濃縮する。次にこの濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離し、溶出するシクロペンテノン画分を濃縮し、濃縮物からシクロペンテノンをクロロホルムで抽出し、抽出濃縮物の順相カラムクロマトグラフィーを行うことにより、加熱処理物中のシクロペンテノンが単離される。
シクロペンテノンの物性を下記に示す。なおシクロペンテノンの質量分析はDX302質量分析計(日本電子社製)を用いて行った。また、重クロロホルム溶媒を用いたNMRスペクトルの測定はJNM−A500(日本電子社製)を用いた。比旋光度はDIP−370型旋光計(日本分光社製)、UV吸収スペクトルはUV−2500分光光度計(島津製作所社製)、赤外吸収スペクトル(IR)はFTIR−8000赤外分光光度計(島津製作所社製)をそれぞれ用い測定した。
MS m/z 115〔M+H〕+
1H−NMR(CDCl3
δ4.20(1H,d,J=2.4Hz,5−H)、4.83(1H,m,4−H)、6.30(1H,dd,J=1.2,6.1Hz,2−H)、7.48(1H,dd,J=2.1,6.1Hz,3−H)
但し、1H−NMRの化学シフト値はCHCl3の化学シフト値を7.26ppmとして表した。
旋光度:〔α〕D 20 0°( 1.3、 水)
UV:λmax 215nm(水)
IR(KBr法):3400、1715、1630、1115、1060、1025cm-1に吸収を有する。
単離されたシクロペンテノンを光学分割することにより、(−)−4,5−ジヒドロキシ−2−シクロペンテン−1−オン及び(+)−4,5−ジヒドロキシ−2−シクロペンテン−1−オンを得ることができる。当然、合成方法により得られたシクロペンテノンも光学分割することができる。
例えば、シクロペンテノンをエタノールに溶かす。このエタノール溶液にヘキサン/エタノール(94/6)を更に加え、シクロペンテノン溶液を調製する。この試料溶液を、例えばキラールパックAS(ダイセル化学工業)カラムを用いカラム温度:40℃、移動相:ヘキサン/エタノール(94/6)でHPLCを行うことにより、シクロペンテノンを光学分割することができる。
分割された(−)−トランス−4,5−ジヒドロキシ−2−シクロペンテン−1−オン〔以下、(−)体シクロペンテノンと称する]の旋光度は〔α〕D 20−105°(0.30、エタノール)であり、(+)−トランス−4,5−ジヒドロキシ−2−シクロペンテン−1−オン〔以下、(+)体シクロペンテノンと称する〕の旋光度は〔α〕D 20 +104°(0.53、エタノール)である。なお旋光度は前記のDIP−370型旋光計(日本分光社製)を用いて測定した。
次に(−)体シクロペンテノン及び(+)体シクロペンテノンのそれぞれの質量分析、核磁気共鳴法(NMR)による構造解析、UV吸収スペクトルの測定、赤外吸収スペクトルの測定を上記記載の方法に準じ行う。その結果、両光学活性体は光学分割前のシクロペンテノンと同一の結果を示す。
光学分割された(−)体シクロペンテノン及び(+)体シクロペンテノンをそれぞれp−ジメチルアミノベンゾイル誘導体とし、J−720型円二色性分散計(日本分光社製)を用い、円二色性スペクトル(CD)を測定し、その結果をジベンゾエートキラリティルールに適用し[ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティ(J. Am. Chem. Soc.)、第91巻、第3989〜3991頁(1969)]、その立体配置を決定した。
(−)体シクロペンテノンのp−ジメチルアミノベンゾイル誘導体のCD及び(−)体シクロペンテノンの立体構造を図14に示す。図中縦軸はモル円二色性、横軸は波長(nm)を示す。なお、上記立体構造を、式〔IV〕として下記に示す:
Figure 0003763585
(+)体シクロペンテノンのp−ジメチルアミノベンゾイル誘導体のCD及び(+)体シクロペンテノンの立体構造を図15に示す。図中縦軸はモル円二色性、横軸は波長(nm)を示す。なお、上記立体構造を、式〔V〕として下記に示す:
Figure 0003763585
図14、15及び式〔IV〕、式〔V〕に示すように(−)体シクロペンテノンは(−)−(4R,5S)−トランス−4,5−ジヒドロキシ−2−シクロペンテン−1−オン、(+)体シクロペンテノンは(+)−(4S,5R)−トランス−4,5−ジヒドロキシ−2−シクロペンテン−1−オンである。
以上、本発明に使用するシクロペンテノン又はその光学活性体はいかなる方法で製造しても良く、明細書で開示の方法で製造しても良く、化学合成方法で合成しても良く、シクロペンテノンのトランス体、シス体、それらの混合物及びそれらの光学活性体も本発明に使用される。
シクロペンテノン及び/又はその光学活性体と、直鎖若しくは分枝アルキル基、直鎖若しくは分枝アルケニル基、芳香族基又は芳香脂肪族基を有するカルボン酸及び/又はその反応性誘導体とを、同時又は順次反応させることにより、反応液中に本発明の一般式〔II〕で表されるシクロペンテノン誘導体又はその光学活性体が生成する。
アルキル基を有するカルボン酸としては直鎖又は分枝のアルキル基を有するカルボン酸が使用でき、アルキル鎖の鎖長はシクロペンテノン誘導体の生物活性、溶解性等より適宜選択することができる。
直鎖アルキル基を有するカルボン酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、n−オクタン酸、ペラルゴン酸、n−デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸等が使用できる。
分枝アルキル基を有するカルボン酸としては、例えばイソ酪酸、イソ吉草酸、2−メチル酪酸、ピバル酸、4−メチル吉草酸、1,2−ジメチル吉草酸等が使用できる。
アルケニル基を有するカルボン酸としては直鎖又は分枝のアルケニル基を有するカルボン酸を使用でき、アルケニル基の鎖長、不飽和度、不飽和結合の位置はシクロペンテノン誘導体の生物活性、溶解性等より適宜選択することができる。
直鎖アルケニル基を有するカルボン酸としては、例えばアクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、アリル酢酸、2−ヘキセン酸、3−ヘキセン酸、3−オクテン酸、オブツシル酸、10−ウンデセン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、エライジン酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、エレオステアリン酸、イコサトリエン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ブラシジン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、キシメン酸、21−トリアコンテン酸等が使用できる。
分枝アルケニル基を有するカルボン酸としては、例えばメタクリル酸、チグリン酸、アンゲリカ酸、α−エチルクロトン酸等が使用できる。
芳香族基を有するカルボン酸としては、例えば安息香酸、トルイル酸、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、ニトロ安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸、アセチルサリチルサリチル酸、アミノサリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸、メトキシ安息香酸、アセトアミド安息香酸、バニリン酸、オルセリン酸、ナフトエ酸、シンコメロン酸、キサツレン酸、キニン酸、キヌレン酸等が使用できるが、生成するシクロペンテノン誘導体の生物活性、溶解性等より使用するアリール基を有するカルボン酸を選択すればよい。
芳香脂肪族基を有するカルボン酸としては、例えばフェニル酢酸、フェニルプロピオン酸、フェニル乳酸、フェニルピルビン酸、ケイ皮酸、アトロパ酸、ナフチル酢酸等が使用できるが、生成するシクロペンテノン誘導体の生物活性、溶解性等より、使用するアラルキル基を有するカルボン酸を選択すればよい。
本発明に使用するカルボン酸の反応性誘導体としては、酸ハライド、酸無水物、酸エステル、塩等が例示され、目的に応じ、使用するカルボン酸の反応性誘導体を作製すれば良い。
カルボン酸又はその反応性誘導体とシクロペンテノンとの反応はシクロペンテノン誘導体のR3、R4が同一になるように行っても良く、R3、R4が異なるように行っても良い。すなわちR3、R4が異なるカルボン酸を同時にシクロペンテノンと反応させても良く、順次R3、R4が異なるカルボン酸を反応させても良い。このときシクロペンテノンの水酸基の片方を保護することにより、効率よく、R3、R4が異なるシクロペンテノン誘導体を作製することができる。
シクロペンテノン又はその光学活性体とカルボン酸とが反応し、生成したシクロペンテノン誘導体又はその光学活性体は強いがん細胞増殖抑制活性を有し、この活性を指標にシクロペンテノン誘導体又はその光学活性体を反応液中から精製、単離することができる。精製、単離手段としては、化学的方法、物理的方法等の公知の精製手段を用いれば良く、ゲルろ過法、分子量分画膜による分画法、溶媒抽出法、分留法、イオン交換樹脂等を用いた各種クロマトグラフィー法等の従来公知の精製方法を組合せ、反応生成物中のシクロペンテノン誘導体又はその光学活性体を精製、単離することができる。
例えばシクロペンテノン又はその光学活性体、4−ジメチルアミノピリジン、カルボン酸をジクロロメタンに溶解し、氷冷下N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドを加え反応させることにより本発明のシクロペンテノン誘導体が生成する。生成物をシリカゲル薄層クロマトグラフィーにより精製することにより、目的のシクロペンテノン誘導体を単離することができる。
またシクロペンテノン又はその光学活性体と無水酢酸とを無水ピリジン中で反応させ、反応物中からジアセチルシクロペンテノンを精製、単離することができる。
本発明により得られるシクロペンテノン誘導体の光学活性体の分離はラセミ混合物の機械的分割、優先晶出法、ジアステレオマー塩あるいは包接化合物としての結晶化による分割、酵素・微生物による動力学的分割、クロマトグラフィーによる分割等により行うことができる。
クロマトグラフィーによる分割としては、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等を用いることができ、それぞれに適したキラル固定相を使用すればよい。
液体クロマトグラフィーによる光学分割としてはキラルな固定相を用いる方法、キラルな溶離液を用いる方法、ジアステレオマーとしての分離等を用いることができる。
キラル固定相としてはアミド系固定相、尿素系固定相、配位子交換型固定相、多糖・多糖誘導体固定相、タンパク質固定相、ポリメタクリル酸エステル固定相、ポリメタクリルアミド固定相等が使用できる。
溶離液としてはヘキサン系、アルコール系、水(緩衝液)系等が使用でき、上記固定相との組合せにおいて適宜使用することができる。
本発明で得られたシクロペンテノン誘導体又はその光学活性体の塩としては、医薬として許容される塩があり、公知の方法にて変換することができる。
本発明で得られたシクロペンテノン誘導体若しくはその光学活性体又はそれらの塩は、例えばヒト前骨髄性白血病細胞HL−60、ヒト急性リンパ芽球性白血病細胞MOLT−3、肺がん細胞A−549、SV40形質転換肺細胞WI−38VA13、肝がん細胞Hep G2、結腸がん細胞HCT 116、ヒト結腸がん細胞SW480、ヒト結腸がん細胞WiDr、胃がん細胞AGS、ミエローマ細胞等のがん細胞に細胞増殖抑制作用を有し、本発明のシクロペンテノン誘導体若しくはその光学活性体又はそれらの塩から選択される化合物を有効成分として含有する医薬、例えば本発明のシクロペンテノン誘導体若しくはその光学活性体又はそれらの塩から選択される化合物を有効成分とし、これを公知の医薬用担体と組合せ製剤化すれば制がん剤を製造することができる。本発明で得られたシクロペンテノン誘導体若しくはその光学活性体又はそれらの塩のがん細胞増殖抑制作用機作は本発明をなんら制限するものではないが、例えばがん細胞に対するアポトーシス誘発作用も本発明に包含される。
制がん剤の製造は一般的には、シクロペンテノン誘導体若しくはその光学活性体又はそれらの塩から選択される化合物を薬学的に許容できる液状又は固体状の担体と配合し、かつ必要に応じて溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を加えて、錠剤、顆粒剤、散剤、粉末剤、カプセル剤等の固形剤、通常液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤とすることができる。またこれを使用前に適当な担体の添加によって液状となし得る乾燥品とすることができる。
医薬用担体は、上記投与形態及び剤型に応じて選択することができ、経口剤の場合は、例えばデンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩等が利用される。また経口剤の調製に当っては、更に結合剤、崩壊剤、界面活性剤、潤沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を配合することもできる。
一方、非経口剤の場合は、常法に従い本発明の有効成分であるシクロペンテノン誘導体若しくはその光学活性体又はそれらの塩から選択される化合物を希釈剤としての注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、注射用植物油、ゴマ油、ラッカセイ油、ダイズ油、トウモロコシ油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等に溶解ないし懸濁させ、必要に応じ、殺菌剤、安定剤、等張化剤、無痛化剤等を加えることにより調製される。
本発明の制がん剤は、製剤形態に応じた適当な投与経路で投与される。投与方法も特に限定はなく、内用、外用及び注射によることができる。注射剤は、例えば静脈内、筋肉内、皮下、皮内等に投与し得、外用剤には座剤等も包含される。
制がん剤としての投与量は、その製剤形態、投与方法、使用目的及びこれに適用される患者の年齢、体重、症状によって適宜設定され、一定ではないが一般には製剤中に含有されるシクロペンテノン誘導体若しくはその光学活性体又はそれらの塩から選択される化合物の量が成人1日当り0.1μg〜200mg/kgである。もちろん投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、あるいは範囲を超えて必要な場合もある。本発明の薬剤はそのまま経口投与するほか、任意の飲食品に添加して日常的に摂取させることもできる。
本発明で得られるシクロペンテノン誘導体若しくはその光学活性体又はそれらの塩はアポトーシス誘発活性を有し、これらの化合物から選択される少なくとも一つの化合物を有効成分とするアポトーシス誘発剤を製造することができる。アポトーシス誘発剤は上記制がん剤に準じ、製剤化することができ、制がん剤に準じた方法で投与することができる。
アポトーシス誘発剤としての投与量は、その製剤形態、投与方法、使用目的及びこれに適用される患者の年齢、体重、症状によって適宜設定され、一定ではないが一般には製剤中に含有されるシクロペンテノン誘導体若しくはその光学活性体又はそれらの塩の量が成人1日当り0.1μg〜100mg/kgである。もちろん投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、あるいは範囲を超えて必要な場合もある。本発明の薬剤はそのまま経口投与するほか、任意の飲食品に添加して日常的に摂取させることもできる。
なおアポトーシスは、病理的細胞死である壊死と異なり、細胞自身の遺伝子に最初から組込まれている死であると考えられている。すなわち何らかの外部的又は内部的要因が引き金となってアポトーシスをプログラムする遺伝子が活性化され、この遺伝子を基にプログラム死遺伝子タンパク質が生合成され、生成したプログラム死タンパク質により細胞自体が分解され、死に至ると考えられている。
本発明のアポトーシス誘発剤は、このようなアポトーシスを所望の組織、細胞で発現させることができ、不要若しくは病原細胞を自然の形で生体から排除することにおいても極めて有用なものである。
本発明のアポトーシス誘発剤はアポトーシス誘発方法に使用することができる。すなわちシクロペンテノン誘導体若しくはその光学活性体又はそれらの塩を有効成分として使用することによりアポトーシスを誘発させることができ、該方法はアポトーシス誘発機構の解明、アポトーシス誘発剤、アポトーシス誘発阻害剤のスクリーニング等に有用である。
本発明で得られるシクロペンテノン誘導体若しくはその光学活性体又はそれらの塩は抗菌活性を有し、これらの化合物から選択される少なくとも一つの化合物を有効成分とする抗菌剤を製造することができる。抗菌剤は、上記制がん剤に準じ、製剤化することができ、製剤形態に応じた適当な投与経路で投与される。投与方法も特に限定はなく、内用、外用及び注射によることができる。注射剤は、例えば静脈内、筋肉内、皮下、皮内等に投与し得、外用剤には座剤等も包含される。
抗菌剤としての投与量は、その製剤形態、投与方法、使用目的及びこれに適用される患者の年齢、体重、症状によって適宜設定され、一定ではないが一般には製剤中に含有されるシクロペンテノン誘導体若しくはその光学活性体又はそれらの塩の量が成人1日当り10μg〜20mg/kgである。もちろん投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、あるいは範囲を超えて必要な場合もある。本発明の薬剤はそのまま経口投与するほか、任意の飲食品に添加して日常的に摂取させることもできる。
また本発明の抗菌剤を食品又は飲料の保存性を向上させる防腐剤として使用することができる。また、シクロペンテノン誘導体若しくはその光学活性体又はそれらの塩を食品又は飲料に添加し、食品又は飲料を防腐する方法に使用することができる。
本発明の抗菌剤はグラム陽性細菌、グラム陰性細菌の両方に効果を有する。更に本発明の抗菌剤は虫歯菌や歯周病菌にも抗菌活性を示し、本発明の抗菌剤を含有する口内用剤を提供することができる。口内用剤の形状は液状、ペースト状等の公知の形状とすることができる。口内用剤としては歯磨剤が例示される。また本発明の抗菌剤を使用することにより抗菌性化粧料を提供することができる。更に本発明の抗菌剤を使用することにより浴用剤を提供することができる。
本発明により得られるシクロペンテノン誘導体若しくはその光学活性体又はそれらの塩はシクロペンテノン及び任意のカルボン酸若しくはその反応性誘導体より、効率よく製造することができる。
本発明で得られたシクロペンテノン誘導体若しくはその光学活性体又はそれらの塩を有効成分として含有する食品又は飲料の製造法は、特に限定はないが、調理、加工及び一般に用いられている食品又は飲料の製造法による製造を挙げることができ、製造された食品又は飲料に有効量の生理作用を有するシクロペンテノン誘導体若しくはその光学活性体又はそれらの塩から選択される化合物が含有されていれば良い。
本発明で得られるシクロペンテノン誘導体若しくはその光学活性体又はそれらの塩はその生理活性の有効量の投与を行っても毒性は認められない。例えば経口投与の場合、ジプロピオニルシクロペンテノン、ジヘキサノルシクロペンテノン、ジ−2−ヘキセノイルシクロペンテノン若しくはその光学活性体又はそれらの塩のいずれかを300mg/kgでマウスに単回路口投与しても死亡例は認められない。
以上、本発明で得られたシクロペンテノン誘導体若しくはその光学活性体又はそれらの塩は、簡便に製造でき、その種々の生理的機能により、医薬、食品等の広い分野において極めて有用な化合物である。
実施例
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例における%は重量%を意味する。
実施例1
(1)10gのD−グルクロン酸(シグマ社製 G 5269)を1リットルの水に溶解し、121℃で4時間加熱した後約10mlになるまで減圧下濃縮した。これに酢酸ブチル:酢酸:水=3:2:2混合液の上層40mlを加えて混合後、遠心によって得た上清を減圧下約10mlまで濃縮した。
上記抽出液をカラムクロマトグラフィー用シリカゲルBW−300SP(2×28cm、富士シリシア化学社製)にアプライし、酢酸ブチル:酢酸:水=3:2:2の上層を溶離液としてコンプレッサーで0.2kg/cm2に加圧し、毎分5mlの流速で分離を行った。1画分当り10mlになるようにフラクショネーションを行い、各画分の一部をとって薄層クロマトグラフィーで分析したところ61番から80番までの画分に高純度のシクロペンテノンが含まれていた。これらの画分を集めて減圧下濃縮した後40mlのクロロホルムで抽出し、抽出液を減圧下濃縮することによって100mgのシクロペンテノンを得た。
この画分をパルパックタイプSカラムを用いた順相HPLCで分離し、215nmの紫外部吸収で検出したところ、純度は98%であった。
上記シクロペンテノン113.9mgをエタノール2.85mlに溶かした。このエタノール溶液にヘキサン/エタノール(94/6)3.85mlを更に加え、17mg/mlのシクロペンテノン溶液を調製した。この液を0.5μmのフィルターでろ過し、光学分割HPLC試料溶液とした。
この試料溶液を以下の条件で光学分割HPLCを行い、前ピークの(−)体シクロペンテノン及び後ピークの(+)体シクロペンテノンのフラクションをそれぞれ集め、減圧乾固し、(−)体シクロペンテノン43.2mg、(+)体シクロペンテノン43.0mgをそれぞれ得た。
光学分割HPLC条件
カラム:キラールパックAS(ダイセル化学工業)2.0cm×25.0cm
カラム温度:40℃
移動相:ヘキサン/エタノール(94/6)
流速:14.0ml/min
検出:UV 210nm
試料注入量:150μl(2.55mg)
得られた(−)体シクロペンテノン及び(+)体シクロペンテノンは両者共に約1%のエナンチオマーを含有していたため再度上記の条件で光学分割した。その結果、前ピークの(−)体シクロペンテノン30.0mgから19.7mgのエナンチオマーを含有しない(−)体シクロペンテノンを、後ピークの(+)体シクロペンテノン37.4mgから27.7mgのエナンチオマーを含有しない(+)体シクロペンテノンをそれぞれ得た。なお(−)体シクロペンテノン及び(+)体シクロペンテノンの光学分割HPLCの溶出時間はそれぞれ33分、40分であった。
(2)実施例1−(1)記載の方法で得たシクロペンテノン29.6mgに無水ピリジン(ナカライテスク社製 295−26)1ml、無水酢酸(ナカライテスク社製 002−26)0.1mlを加えて室温で3時間かくはんした。反応液をクロロホルムで抽出してジアセチルシクロペンテノン36mgを得た。
得られたジアセチルシクロペンテノンの質量分析をDX302質量分析計(日本電子社製)を用いて行った。また、CDCl3に溶解し、NMRによってその構造を解析した。核磁気共鳴装置はJNM−A500(日本電子社製)を用いた。その結果を以下に示す。但し、1H−NMRの化学シフト値はクロロホルムの化学シフト値を7.24ppmとして表した。
MS m/z 199(M+H)+
1H−NMR
δ2.12(3H,S,−OCOCH3),2.16(3H,S,−OCOCH3),5.16(1H,d,J=3.0Hz,H−5),5.89(1H,m,H−4),6.40(1H,d−d,J=1.5,6.5Hz,H−2),7.43(1H,d−d,J=2.5,6.5Hz,H−3)
図1にジアセチルシクロペンテノンのマススペクトルを、図2にその1H−NMRスペクトルを示す。図1において横軸はm/z値、縦軸は相対強度(%)を示す。また、図2において横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
(3)実施例1−(1)の方法で得た(−)体シクロペンテノン15.9mgを用いて上記実施例1−(2)と同様の反応を行い、ジアセチル(−)体シクロペンテノン15.1mgを得た。上記実施例1−(2)と同様に質量分析と核磁気共鳴による構造解析を行い、上記実施例1−(2)と同様の結果が得られた。
(4)実施例1−(1)の方法で得た(+)体シクロペンテノン16.7mgを用いて上記実施例1−(2)と同様の反応を行い、ジアセチル(+)体シクロペンテノン18.8mgを得た。上記実施例1−(2)と同様に質量分析と核磁気共鳴による構造解析を行い、上記上記1−(2)と同様の結果が得られた。
(5)シクロペンテノン13.8mgに安息香酸(ナカライテスク社製 041−20)44.3mg、ジメチルアミノピリジン(DMAP:東京化成工業社製 D1450)7.5mg、N,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC:ペプチド研究所社製 1001)51.0mgを加えてクロロホルム5mlを添加し、氷冷中4時間かくはんした。反応液をろ過して得られたろ液をシリカゲルカラム(75ml)にアプライし、クロロホルムで溶出してジベンゾイルシクロペンテノンを含む画分を得た。この画分の溶媒を減圧下除去し、残渣をエタノールに溶解した後、クロロホルムとメタノールの99:1混合液を展開溶媒としたシリカゲル薄層クロマトグラフィーにより分離した。Rf=0.45〜0.55の部分のシリカゲルを薄層から掻き取り、クロロホルムで抽出することによりジベンゾイルシクロペンテノン3.2mgを得た。
得られたジベンゾイルシクロペンテノンの質量分析と核磁気共鳴による構造解析を上記実施例1−(2)と同様に行った。その結果を以下に示す。
MS m/z 323(M+H)+
1H−NMR
δ5.56(1H,d,J=3.0Hz,H−5),6.30(1H,m,H−4),6.54(1H,d−d,J=1.5,6.5Hz,H−2),7.44(4H,m,芳香環のH),7.58(2H,m,芳香環のH),7.64(1H,d−d,J=2.0,6.5Hz,H−3),8.06(4H,m,芳香環のH)
図3にジベンゾイルシクロペンテノンのマススペクトルを、図4にその1H−NMRスペクトルを示す。図3において横軸はm/z値、縦軸は相対強度(%)を示す。また、図4において横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
(6)(−)体シクロペンテノン22.1mg、安息香酸71.9mg、DMAP 12.1mg、DCC 80.3mgを用いて上記実施例1−(5)と同様の反応を行い、ジベンゾイル(−)体シクロペンテノン19.2mgを得た。上記実施例1−(5)と同様に質量分析と核磁気共鳴による構造解析を行い、上記実施例1−(5)と同様の結果が得られた。
(7)(+)体シクロペンテノン20.4mg、安息香酸65.6mg、DMAP 11.1mg、DCC 74.3mgを用いて上記実施例1−(5)と同様の反応を行い、ジベンゾイル(+)体シクロペンテノン21.4mgを得た。上記実施例1−(5)と同様に質量分析と核磁気共鳴による構造解析を行い、上記実施例1−(5)と同様の結果が得られた。
(8)シクロペンテノン 30mg、DMAP 10mg、ヘキサン酸(ナカライテスク社製 070−26) 153mgを5.9mlのジクロロメタンに溶解し、氷冷下DCC 108mgを加えた。1時間反応後、クロロホルムを展開溶媒としたシリカゲル薄層クロマトグラフィーによって反応液を分離精製した。Rf=0.3〜0.4の部分のシリカゲルを薄層から掻き取ってクロロホルムで抽出することにより11mgのジヘキサノイルシクロペンテノンを得た。
得られたジヘキサノイルシクロペンテノンをCDCl3に溶解して核磁気共鳴法(NMR)によって確認した。核磁気共鳴装置はJNM−EX270 FT NMR システム(日本電子社製)を用いた。また、1H−NMRの化学シフト値はテトラメチルシランの化学シフト値を0ppmとして表した。
その結果を以下に示す。
1H−NMR
δ7.44(1H,dd,J2-3=6.27Hz,J3-4=1.98Hz,H−3),6.42(1H,dd,J2-3=6.27Hz,J3-4=1.32Hz,H−2),5.91(1H,m,H−4),5.16(1H,d,J4-5=2.97Hz,H−5),2.42(2H,t,J=7.26Hz),2.38(2H,t,J=7.76Hz),1.65(4H,m),1.26(8H,m),0.88(6H,t)
図5にジヘキサノイルシクロペンテノンの1H−NMRスペクトルを示す。図5において横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
(9)シクロペンテノン 30mg、DMAP 10mg、ミリスチン酸(東京化成工業社製 M0476) 301mgを5.9mlのジクロロメタンに溶解し、氷冷下DCC 108mgを加えた。1時間反応後、クロロホルムを展開溶媒としたシリカゲル薄層クロマトグラフィーによって反応液を分離した。Rf=0.45〜0.55の部分のシリカゲルを薄層から掻き取ってクロロホルムで抽出することにより53mgのジミリストイルシクロペンテノンを得た。
得られたジミリストイルシクロペンテノンの核磁気共鳴による構造解析を実施例1−(8)と同様に行った。その結果を以下に示す。
1H−NMR
δ7.45(1H,dd,J2-3=5.94Hz,J3-4=2.31Hz,H−3),6.42(1H,dd,J2-3=5.31Hz,J3-4=1.32Hz,H−2),5.92(1H,m,H−4),5.16(1H,d,J4-5=2.64Hz,H−5),2.42(2H,t,J=7.26Hz),2.38(2H,t,J=7.91Hz),1.63(4H,m),1.26(32H,m),0.88(6H,t)
図6にジミリストイルシクロペンテノンの1H−NMRスペクトルを示す。図6おいて横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
(10)シクロペンテノン 30mg、DMAP 10mg、オクタン酸(ナカライテスク社製 071−11) 190mgを5.9mlのジクロロメタンに溶解し、氷冷下DCC 108mgを加えた。1時間反応後、クロロホルムを展開溶媒としたシリカゲル薄層クロマトグラフィーによって反応液を分離した。Rf=0.25〜0.35の部分のシリカゲルを薄層から掻き取ってクロロホルムで抽出することにより27mgのジオクタノイルシクロペンテノンを得た。
得られたジオクタノイルシクロペンテノンの核磁気共鳴による構造解析を実施例1−(8)と同様に行った。その結果を以下に示す。
1H−NMR
δ7.44(1H,dd,J2-3=6.1Hz,J3-4=2.16Hz,H−3),6.41(1H,dd,J2-3=6.1Hz,J3-4=1.48Hz,H−2),5.92(1H,m,H−4),5.16(1H,d,J4-5=2.97Hz,H−5),2.42(2H,t,J=7.59Hz),2.38(2H,t,J=7.91Hz),1.65(4H,m),1.29(16H,m),0.88(6H,t)
図7にジオクタノイルシクロペンテノンの1H−NMRスペクトルを示す。図7において横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
(11)シクロペンテノン 30mg、DMAP 10mg、3−オクテン酸(東京化成工業社製 00070) 190mgを5.9mlのジクロロメタンに溶解し、氷冷下DCC 108mgを加えた。1時間反応後、クロロホルムを展開溶媒としたシリカゲル薄層クロマトグラフィーによって反応液を分離した。Rf=0.25〜0.35の部分のシリカゲルを薄層から掻き取ってクロロホルムで抽出することにより25mgのジ−3−オクテノイルシクロペンテノンを得た。
得られたジ−3−オクテノイルシクロペンテノンの核磁気共鳴による構造解析を実施例1−(8)と同様に行った。その結果を以下に示す。
1H−NMR
δ7.44(1H,dd,J2-3=6.17Hz,J3-4=2.32Hz,H−3),6.42(1H,dd,J2-3=6.27Hz,J3-4=1.49Hz,H−2),5.91(1H,m,H−4),5.55(4H,m),5.16(1H,d,J4-5=2.97Hz,H−5),3.12(4H,dd,J=12.85Hz,J=6.59Hz),2.04(4H,m),1.33(8H,m),0.89(6H,t)
図8にジ−3−オクテノイルシクロペンテノンの1H−NMRスペクトルを示す。図8において横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
(12)シクロペンテノン 30mg、DMAP 10mg、n−酪酸(東京化成工業社製 B0754) 115mgを5.9mlのジクロロメタンに溶解し、氷冷下DCC 108mgを加えた。1時間反応後、クロロホルムを展開溶媒としたシリカゲル薄層クロマトグラフィーによって反応液を分離した。Rf=0.20〜0.30の部分のシリカゲルを薄層から掻き取ってクロロホルムで抽出することにより16mgのジブチリルシクロペンテノンを得た。
得られたジブチリルシクロペンテノンの核磁気共鳴による構造解析を実施例1−(8)と同様に行った。その結果を以下に示す。
1H−NMR
δ7.45(1H,dd,J2-3=6.27Hz,J3-4=2.13Hz,H−3),6.42(1H,dd,J2-3=6.27Hz,J3-4=1.65Hz,H−2),5.91(1H,m,H−4),5.16(1H,d,J4-5=2.64Hz,H−5)
図9にジブチリルシクロペンテノンの1H−NMRスペクトルを示す。図9において横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
(13)シクロペンテノン 30mg、DMAP 10mg、n−デカン酸(東京化成工業社製 D0017) 226mgを5.9mlのジクロロメタンに溶解し、氷冷下DCC 108mgを加えた。1時間反応後、クロロホルムを展開溶媒としたシリカゲル薄層クロマトグラフィーによって反応液を分離した。Rf=0.35〜0.45の部分のシリカゲルを薄層から掻き取ってクロロホルムで抽出することにより35mgのジデカノイルシクロペンテノンを得た。
得られたジデカノイルシクロペンテノンの核磁気共鳴による構造解析を実施例1−(8)と同様に行った。その結果を以下に示す。
1H−NMR
δ7.44(1H,dd,J2-3=6.27Hz,J3-4=1.97Hz,H−3),6.42(1H,dd,J2-3=6.27Hz,J3-4=1.3Hz,H−2),5.91(1H,m,H−4),5.15(1H,d,J4-5=2.97Hz,H−5),2.42(2H,t,J=7.24Hz),2.38(2H,t,J=7.91Hz),1.65(4H,m),1.26(24H,m),0.88(6H,t)
図10にジデカノイルシクロペンテノンの1H−NMRスペクトルを示す。図10において横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
(14)シクロペンテノン 30mg、DMAP 16mg、トリエチルアミン(東京化成工業社製 T0424) 66mg及び無水n−吉草酸(東京化成工業社製 V0006) 122mgを5.9mlのジクロロメタンに溶解し、氷冷下1時間反応させた。この反応液をクロロホルム:メタノール=200:1を展開溶媒としたシリカゲル薄層クロマトグラフィーによって展開し、Rf=0.7〜0.8の部分のシリカゲルを薄層から掻き取り、クロロホルムで抽出することによって39mgのジバレリルシクロペンテノンを得た。
得られたジバレリルシクロペンテノンの核磁気共鳴による構造解析を実施例1−(8)と同様に行った。その結果を以下に示す。
1H−NMR
δ7.45(1H,dd,J2−3=6.11Hz,J3−4=1.66Hz,H−3)、6.42(1H,dd,J2−3=6.11Hz,J3−4=1.66Hz,H−2)、5.91(1H,m,H−4)、5.16(1H,d,J4−5=2.97Hz,H−5)、2.43(2H,dd,J=7.59,7.59Hz)、2.39(2H,dd,J=7.59,7.59Hz)、1.65(4H,m)、1.38(4H,m)、0.93(6H,dd,J=7.26,7.26Hz)
図11にジバレリルシクロペンテノンの1H−NMRスペクトルを示す。図11において横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
(15)シクロペンテノン 30mg、DMAP 16mg、トリエチルアミン 66mg及び無水プロピオン酸(東京化成工業社製 P0513) 86mgを5.9mlのジクロロメタンに溶解し、氷冷下1時間反応させた。この反応液をクロロホルム:メタノール=200:1を展開溶媒としたシリカゲル薄層クロマトグラフィーによって展開し、Rf=0.5〜0.6の部分のシリカゲルを薄層から掻き取り、クロロホルムで抽出することによって31mgのジプロピオニルシクロペンテノンを得た。
得られたジプロピオニルシクロペンテノンの核磁気共鳴による構造解析を実施例1−(8)と同様に行った。その結果を以下に示す。
1H−NMR
δ7.45(1H,dd,J2−3=6.27Hz,J3−4=2.15Hz,H−3)、6.42(1H,dd,J2−3=6.27Hz,J3−4=1.49Hz,H−2)、5.91(1H,m,H−4)、5.16(1H,d,J4−5=2.97Hz,H−5)、2.46(2H,dd,J=15.01,7.59Hz)、2.42(2H,dd,J=15.01,7.59Hz)、1.18(6H,dd,J=7.59,7.59Hz)
図12にジプロピオニルシクロペンテノンの1H−NMRスペクトルを示す。図12において横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
(16)シクロペンテノン 2g、DMAP 733mg、trans−2−ヘキセン酸(東京化成工業社製、H0383) 4.1ml及びDCC 5.57gを200mlのジクロロメタンに溶解し、室温で2時間反応させた。この反応液をヘキサン:酢酸エチル=8:1を溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、シリカゲル薄層クロマトグラフィー上で単一のスポットを示す画分を得た。この画分を減圧下濃縮し、油状のジ−2−ヘキセノイルシクロペンテノン約900mgを得た。
得られたジ−2−ヘキセノイルシクロペンテノンの核磁気共鳴による構造解析を実施例1−(8)と同様に行った。その結果を以下に示す。
1H−NMR
δ0.92(6H,m,11−H+11’−H)、1.48(4H,m,10−H+10’−H)、2.18(4H,m,9−H,9’−H)、5.22(1H,d,J=3.0Hz,5−H)、5.85(2H,m,7−H+7’−H)、5.98(1H,m,4−H)、6.41(1H,dd,J=1.0,6.0Hz,2−H)、7.04(2H,m,8−H+8’−H)、7.47(1H,dd,J=2.0,6.0Hz,3−H)
なお、シクロペンテノンの5位に結合している2−ヘキセノイル基の炭素をカルボニル基から順に6位〜11位、シクロペンテノンの4位に結合している2−ヘキセノイル基の炭素をカルボニル基から順に6’位〜11’位とした。
図13にジ−2−ヘキセノイルシクロペンテノンの1H−NMRスペクトルを示す。図13において横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
実施例2
(1)ジアセチルシクロペンテノン、ジアセチル(−)体シクロペンテノン、ジアセチル(+)体シクロペンテノン、ジベンゾイルシクロペンテノン、ジベンゾイル(−)体シクロペンテノン、ジベンゾイル(+)体シクロペンテノン、ジヘキサノイルシクロペンテノン、ジミリストイルシクロペンテノン、ジオクタノイル−シクロペンテノン、ジ−3−オクテノイルシクロペンテノン、ジブチリルシクロペンテノン、ジデカノイルシクロペンテノン、ジバレリルシクロペンテノン、ジプロピオニルシクロペンテノン及びジ−2−ヘキセノイルシクロペンテノンの各々1mMエタノール溶液を70%エタノール水溶液で希釈した。
各希釈液5μlを96穴マイクロタイタープレートのウェルに入れ、風乾した後、5000個のHL−60細胞(ATCC CCL−240)を含む10%ウシ胎児血清含有RPMI1640培地100μlを各ウェルに添加し、5%炭酸ガス存在下37℃で48時間培養した。細胞の形態を光学顕微鏡で観察し、5mg/mlの3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)リン酸緩衝食塩水溶液10μlを加えて更に4時間培養を続けた後、顕微鏡で細胞の生育状態を観察した。また、0.04N HCl含有2−プロパノール100μlを加えてよくかくはんし、590nmにおける吸光度を測定してこれを細胞増殖度とした。生細胞が見られなかったウェルの培地中に含まれる最小のシクロペンテノン誘導体濃度を細胞増殖抑制濃度とした。
その結果を表1に示す。
Figure 0003763585
各細胞増殖抑制濃度において細胞にアポトーシス小体が形成された。またこれらの化合物の光学活性体も同様ながん細胞増殖抑制作用、アポトーシス誘発作用を示した。
実施例3
Staphylococcus aureus 3A(NCTC 8319、被検菌▲1▼)、Bacillus subtilis IFO3021)(被検菌▲2▼)、及びPseudomonas aeruginosa IFO3081(被検菌▲3▼)を感受性ブイヨン培地(ニッスイ社製)で1晩培養した(種培養)。600nmにおける吸光度を測定し、あらかじめ各菌株ごとに作成した、生菌数と600nmにおける吸光度の関係を示す検量線から生菌数を計算した。新鮮な感受性ブイヨン培地で1×106個/mlとなるように培養液を希釈し、96穴マイクロタイタープレートの各ウェルに180μlずつ分注した。実施例1−(8)で得たジヘキサノイルシクロペンテノンの各々2000μg/ml、1000μg/ml、500μg/ml、250μg/ml、125μg/ml、62.5μg/ml水溶液又は水を各ウェルに20μlずつ加え、37℃で1晩静置培養した(本培養)。なお種培養液の一部を滅菌水で希釈し、感受性ブイヨン寒天平板培地に塗布して37℃で1晩培養後、コロニーを計数して正確な生菌数を測定した。
本培養後の各ウェルの培養液を滅菌水で希釈して感受性ブイヨン寒天平板培地に塗布し、37℃で1晩培養後、コロニーを計数して生菌数を測定した。
水を添加したウェルと比較して生菌数が少なくなる最小の濃度を増殖抑制濃度、本培養開始時よりも生菌数が少なくなる最小の濃度を殺菌濃度とした。この結果を表2に示す。
表2中の数値はジヘキサノイルシクロペンテノンが被検菌▲1▼から▲3▼に対して増殖抑制作用と殺菌作用を示す培養液中の濃度であり、単位はμg/mlである。
Figure 0003763585
以上より、ジヘキサノイルシクロペンテノンは強い抗菌活性を持つことが明らかになった。また実施例1で調製した他の化合物、それらの光学活性体もジヘキサノイルシクロペンテノンと同様の抗菌活性を示した。
実施例4
注射剤
(1)生理食塩液(前記と同じ)にジアセチルシクロペンテノン、又はジヘキサノイルシクロペンテノンを1%濃度で加え注射剤を作製した。
(2)生理食塩水(前記と同じ)にジベンゾイルシクロペンテノン、又はジブチリルシクロペンテノン及びグリシルリチン酸をそれぞれ0.5%及び0.1%濃度で加え、注射剤を作製した。
実施例5
錠剤
(1)ジベンゾイルシクロペンテノンの100mgと微結晶性セルロースの適量とを含有する錠剤を調製し、糖衣を施し、錠剤を作製した。
(2)ジアセチル(−)体シクロペンテノンの0.1mg、グリシルリチン酸ジカリウム10mg及び微結晶セルロースの適量を含有する錠剤を調製し、糖衣を施し、錠剤を作製した。
発明の効果
本発明により制がん作用、がん細胞増殖抑制作用、アポトーシス誘発作用、抗菌作用等の生理活性を有するシクロペンテノンの誘導体若しくはその光学活性体又はそれらの塩及びそれらの製造方法が提供される。本発明により得られた化合物を有効成分とする医薬は特に生体の恒常性の維持に有用な医薬品である。

Claims (5)

  1. 下記一般式〔I〕で表されるシクロペンテノン誘導体若しくは光学活性体又はそれらの塩。
    Figure 0003763585
    (式中、R1、R2は同一又は異なる直鎖又は分枝アルキル基、直鎖又は分枝アルケニル基、芳香族基、又は芳香脂肪族基である。但し、R1=R2=−CH3の場合を除く)
  2. 下記一般式[II]で表されるシクロペンテノン誘導体若しくはその光学活性体又はそれらの塩から選択される少なくとも一つの化合物を有効成分として含有することを特徴とする医薬。
    Figure 0003763585
    (式中、R3、R4は同一又は異なる直鎖又は分枝アルキル基、直鎖又は分枝アルケニル基、芳香族基、又は芳香脂肪族基である)
  3. 医薬が制がん剤である請求の範囲2記載の医薬。
  4. 医薬がアポトーシス誘発剤である請求の範囲2記載の医薬。
  5. 医薬が抗菌剤である請求の範囲2記載の医薬。
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