JP3764346B2 - 光記録媒体及び光記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体及び光記録装置に係り、特には、片面多層型の光記録媒体及びそのような光記録媒体に情報を記録することが可能な光記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録膜に光ビームを照射することにより情報の記録や再生を行う光記録媒体は、記録再生装置から取り外し可能である、大容量である、高速アクセスが可能である、及び超寿命であるなどの優れた特徴を有している。そのため、光記録媒体は、音声、画像、及び計算機データなどの様々なデータを保存するのに利用されており、今後、さらに普及することが予想される。
【0003】
光記録媒体の中でも、相変化記録媒体は、オーバーライトが容易である、繰り返し記録に対する耐性が高い、記録再生装置の光学系を簡単な構成とすることができるため低価格の装置を製造する上で有利である、及び、再生専用型光ディスクとの間の互換性の実現が容易であるなどの特徴を有している。このような特徴により、相変化記録媒体は、CD−RW、DVD−RAM、及びDVD−RWなどとして実用化されている。また、光記録媒体の中で、光磁気記録媒体は、磁界変調オーバーライト記録によって線密度を高め易い、磁性層を多層積層することにより磁気超解像やMAMMOS再生やDWDD再生などのように光磁気に特有の高密度化技術を採用可能であるなどの特徴を有している。
【0004】
相変化記録媒体への情報の記録は、記録膜に高パワーの光を照射してその光照射部を非晶質とすることによって行われ、記録した情報の消去は、中パワーの光を照射して非晶質部を結晶化することによって行われる。また、記録した情報の再生は、非晶質部の結晶化が生じない程度の低パワーの光を照射することによって行われる。
【0005】
相変化記録媒体をより高密度化するための技術としては、動作光源である半導体レーザを短波長化すること、焦点レンズの開口数をより高めること、変復調方式を改良すること、記録材料を高性能化すること、及び相変化記録媒体に片面多層構造を採用することなどが考えられている。
【0006】
片面多層相変化記録媒体は、ISOM2000テクニカルダイジェストpp.16〜17などに開示される技術である。片面多層相変化記録媒体の1つである片面二層相変化記録媒体は、例えば、基板上に、光入射側から第1及び第2の薄膜記録部を中間分離膜を介して順次重ね合わせた構造を有している。なお、第1及び第2の薄膜記録部のそれぞれは、通常、光入射側(或いは、前面側)から、前面透明干渉膜、記録膜、裏面透明干渉膜、及び反射膜を積層した構造を有している。また、中間分離膜は、記録時や再生時に、第1の薄膜記録部の記録膜と第2の薄膜記録部の記録膜との双方に光ビームの焦点が同時に合うのを防止するためのものである。
【0007】
この片面二層相変化記録媒体によれば、2つの記録膜への情報の記録やそれら記録膜に記録された情報の再生は、同一方向から光を照射し、その焦点位置を調節することによって行うので、1つの記録膜しか有していない相変化記録媒体に比べてほぼ2倍のオンライン容量を実現することができる。なお、1つの記録膜しか有していない相変化記録媒体を背中合わせに2枚貼り合わせることでも、容量を2倍にすることができる。しかしながら、この場合、一方の記録膜への記録・再生動作に続いて他方の記録膜への記録・再生動作を行う際に、媒体を裏返さなければならない。すなわち、この場合、オフライン容量は2倍になるものの、オンライン容量が増加したこととはならない。
【0008】
ところで、片面二層相変化記録媒体では、前面側に配置される第1の薄膜記録部の透過率が十分に高いこと,例えば、第1の薄膜記録部の透過率を50%以上とすること,が必要である。これは、裏面側に配置される第2の薄膜記録部に対して記録・再生動作を行う場合、第2の薄膜記録部への光ビーム照射及び第2の薄膜記録部からの反射信号のいずれも第1の薄膜記録部を介して行われるためである。第1の薄膜記録部の透過率を決定しているのは主として記録膜及び反射膜であり、したがって、第1の薄膜記録部の透過率を高めるためには、光吸収性及び光透過性のバランスに優れた記録膜を実現し且つ反射膜を十分に透明化する必要がある。
【0009】
従来技術では、記録膜及び反射膜を透明化するために、膜厚を薄くするという手法を採用していた。例えば、第1の薄膜記録部の透過率を50%以上とするために、反射膜の膜厚を10nm程度とするか或いは反射膜を削除し且つ記録膜の膜厚を7nm以下に設定するという提案がなされている。
【0010】
しかしながら、相変化記録膜の結晶化は核生成と結晶成長とに基づいているため、記録膜の膜厚が核の平均間隔よりも薄くなると、結晶化の際に記録膜中で十分な核生成が生じなくなり、結晶化し難くなる。すなわち、従来技術では、第1の薄膜記録部の透過率を高めた場合、消去特性が著しく低下するという問題があった。このような問題に対しては、例えば、記録膜にSnを添加して核の密度を高めることにより或る程度は対処可能であるが、このような手法では、記録膜をさらに薄膜化することは困難である。そのため、片面多層相変化記録媒体としては、片面二層相変化記録媒体が限界であった。
【0011】
以上説明した片面多層構造を光磁気記録媒体で採用するという提案は未だ為されていないものの、原理的には可能である。しかしながら、片面多層構造を光磁気記録媒体で採用するには、以下に説明する問題が残されている。
【0012】
光磁気記録媒体では、例えば、希土類−遷移金属合金などからなる垂直磁化膜を記録膜として用い、上向きの磁化と下向きの磁化とを二値情報に対応させている。上向き磁化と下向き磁化との境界領域には磁壁が形成されるが、膜厚を薄くした場合、磁壁に蓄積されるエネルギーが低下する。その結果、反磁界エネルギーが相対的に増加し、それを軽減するために磁化分裂が生じて磁壁の総面積を増加させる方向に力が働く。そのため、記録膜の光透過率を高めるためにその膜厚を薄くした場合、記録磁化の内部に反転磁区が形成され、ノイズレベルが上昇するという問題を生ずる。
【0013】
さらに、相変化記録媒体及び光磁気記録媒体に共通することであるが、記録膜の膜厚を著しく薄くしようと試みた場合、記録材料は島状に堆積され、連続膜を形成することができない。そのため、オーバーライト繰り返し耐性などが著しく低下するという問題を生ずる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、光入射側の記録膜が十分な膜厚及び光透過率を有する片面多層型の光記録媒体及びそのような光記録媒体に情報を記録することが可能な光記録装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、片面三層以上とすることも可能な片面多層型の光記録媒体及びそのような光記録媒体に情報を記録することが可能な光記録装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、記録膜を相変化記録膜とした場合に十分に高い消去率を実現可能な片面多層型の光記録媒体及びそのような光記録媒体に情報を記録することが可能な光記録装置を提供することを目的とする。
加えて、本発明は、記録膜を光磁気記録膜とした場合にノイズレベルを十分に低く抑えることが可能な片面多層型の光記録媒体及びそのような光記録媒体に情報を記録することが可能な光記録装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、基板と、光を利用して光学定数を可逆的に変化させることが可能な記録領域と前記光に対して透明な透明領域とを含む第1の記録膜を備えた第1の薄膜記録部と、前記光を利用して光学定数を可逆的に変化させることが可能な記録領域から実質的になる第2の記録膜を備えた第2の薄膜記録部とを具備し、前記透明領域は前記第1の記録膜の一方の主面から他方の主面にまで延びた形状を有し、前記第1の薄膜記録部と前記第2の薄膜記録部とは前記光の入射側からこの順に前記基板の一方の主面上に設けられたことを特徴とする片面多層型の光記録媒体を提供する。
【0016】
また、本発明は、情報の記録に焦点レンズで集束させた光を利用する片面多層型の光記録媒体であって、基板と、前記光を利用して光学定数を可逆的に変化させることが可能な記録領域と前記光に対して透明な透明領域とを含む第1の記録膜を備えた第1の薄膜記録部と、前記光を利用して光学定数を可逆的に変化させることが可能な記録領域から実質的になる第2の記録膜を備えた第2の薄膜記録部とを具備し、前記透明領域は前記第1の記録膜の一方の主面から他方の主面にまで延びた形状を有し、前記第1の薄膜記録部と前記第2の薄膜記録部とは前記光の入射側からこの順に前記基板の一方の主面上に設けられ、前記透明領域の平均サイズdと前記光の波長λと前記焦点レンズの開口数NAとは、不等式:
d≦λ/(4NA)
に示す関係を満足することを特徴とする光記録媒体を提供する。
【0017】
さらに、基板と、光を利用して光学定数を可逆的に変化させることが可能な記録領域と前記光に対して透明な透明領域とを含む第1の記録膜を備えた第1の薄膜記録部と、前記光を利用して光学定数を可逆的に変化させることが可能な記録領域から実質的になる第2の記録膜を備えた第2の薄膜記録部とを具備し、前記透明領域は前記第1の記録膜の一方の主面から他方の主面にまで延びた形状を有し、前記第1の薄膜記録部と前記第2の薄膜記録部とは前記光の入射側からこの順に前記基板の一方の主面上に設けられた片面多層型の光記録媒体を搭載した光記録装置であって、前記第1の薄膜記録部側から前記第2の薄膜記録部側に向けて焦点レンズで集束させた光ビームを照射し且つその焦点位置を変化させることにより前記第1及び第2の記録膜のいずれか一方に対して選択的に情報を記録することが可能な記録機構と、前記光記録媒体と前記光ビームの光軸とを相対移動させる駆動機構とを具備し、前記透明領域の平均サイズdと前記光の波長λと前記焦点レンズの開口数NAとは、不等式:
d≦λ/(4NA)
に示す関係を満足することを特徴とする光記録装置を提供する。
【0018】
本発明において、記録領域は、例えば、相変化記録材料や光磁気記録材料などで構成することができる。すなわち、本発明において、光記録媒体は、相変化記録媒体であってもよく、光磁気記録媒体であってもよい。本発明の光記録媒体が相変化記録媒体である場合、記録膜が非晶質状態にあるときに、記録領域の平均サイズが結晶核の平均間隔よりも大きいことが好ましい。
【0019】
また、本発明において、第1の薄膜記録部と第2の薄膜記録部との間に中間分離膜を設けてもよい。この場合、記録時や再生時に、第1の薄膜記録部の記録膜と第2の薄膜記録部の記録膜との双方に光ビームの焦点が同時に合うのを良好に防止することができる。
【0020】
本発明において、第1の薄膜記録部は、記録膜に加え、その前面側に配置される前面透明干渉膜、記録膜の裏面側に配置される裏面透明干渉膜、及び記録膜の裏面側に(裏面透明干渉膜がある場合は、その裏面側に)配置される半透明反射膜などをさらに有していてもよい。同様に、第2の薄膜干渉部は、記録膜に加え、その前面側に配置される前面透明干渉膜、記録膜の裏面側に配置される裏面透明干渉膜、及び記録膜の裏面側に(裏面透明干渉膜がある場合は、その裏面側に)配置される反射膜などをさらに有していてもよい。
【0021】
本発明において、光記録媒体は、第1の薄膜記録部と第2の薄膜記録部との間に1つ以上の薄膜記録部をさらに有していてもよい。この場合、第1の薄膜記録部と第2の薄膜記録部との間に介在させる薄膜記録部のそれぞれは、第1の薄膜記録部の記録膜と同様の構造を有する記録膜を有していることが好ましい。
【0022】
本発明において、光記録媒体は光記録装置に対して着脱不可能であってもよく或いは着脱可能であってもよい。なお、光記録媒体には様々な規格が存在しており、それゆえ、光記録媒体は光記録装置に対して着脱可能である場合、光記録装置には様々な規格の光記録媒体が装填される可能性がある。そのため、通常、光記録媒体にはそれがいずれの規格に対応するものかを特定するための識別情報が記録されており、光記録装置は、この識別情報から装填された媒体がいずれの規格に基づくものであるのかを識別している。なお、ここで言う「識別情報」は、反射膜や半透明反射膜に設けられたピットのような記録マークの形態で記録されたものに限られず、光記録媒体の反射率、光記録媒体のサイズ、及び光記録媒体の形状的特徴なども包含する。また、光記録媒体が、それを収容し且つ光記録媒体とともに光記録装置に装填されるカセットなどをさらに有している場合は、識別情報は、このカセットなどに記録されていてもよい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、図面を参照しながらより詳細に説明する。なお、各図において、同様または類似する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る光記録媒体を概略的に示す断面図である。図1に示す光記録媒体1は、基板2の一方の主面上に、第1の薄膜記録部3a、中間分離膜4、及び第2の薄膜記録部3bを順次積層した構造を有している。より具体的には、この光記録媒体1は、第1の薄膜記録部3a及び第2の薄膜記録部3bに対する記録・再生動作を基板2側から光ビームを照射することによって行うことが可能な片面二層相変化記録媒体である。
【0025】
第1の薄膜記録部3aは、基板2側から、前面透明干渉膜31a、記録膜32a、裏面透明干渉膜33a、及び半透明反射膜34aを順次積層した構造を有している。また、第2の薄膜記録部3bは、基板2側から、前面透明干渉膜31b、記録膜32b、裏面透明干渉膜33b、及び反射膜34bを順次積層した構造を有している。
【0026】
図2(a)は、図1に示す光記録媒体1の記録膜32aを概略的に示す平面図である。また、図2(b)は、図2(a)に示す記録膜32aのA−A線に沿った断面図である。
【0027】
図2(a),(b)に示すように、本実施形態に係る光記録媒体1の記録膜32aは、ネットワーク状の記録領域32a1とこの記録領域32a1中に分散された透明領域32a2とを有している。記録領域32a1は一般的な記録材料で構成されており、透明領域32a2は透明材料或いは空孔で構成されている。そのため、本実施形態に係る光記録媒体1によると、例えば、記録領域32a1と透明領域32a2との体積比を適宜変更することなどにより、記録膜32aが比較的厚い場合であっても、記録膜32aの透過率を十分に高い値,例えば50%以上,とすることができる。
【0028】
したがって、Snのように核生成密度を高めるための添加元素を加えることなく高い消去率を実現することができる。また、透明領域32a2は核生成サイトとしても機能するため、記録膜32aを7nm以下或いは5nm以下に薄膜化した場合においても、Snのような添加元素を加えることなく高い消去率を実現することができる。さらに、記録膜32aを薄膜化することができるため、例えば、70%以上の透過率を得ることができ、それゆえ、片面三層以上の多層化が可能となる。
【0029】
透明領域32a2は、図2(b)に示すように、記録膜32aの一方の主面から他方の主面にまで及ぶように設ける。すなわち、記録領域32a1と透明領域32a2とを並置した構造とする。
【0030】
次に、上記の光記録媒体1の各構成要素について説明する。
基板2は、例えば、一方の主面に必要に応じてアドレスピットやトラッキンググルーブが設けられた透明基板である。この透明基板2としては、ポリカーボネート基板が代表的であるが、ポリメチルメタクリレート基板、ポリオレフィン基板、2Pグルーブ付きガラス基板、及びRIEグルーブ付きガラス基板なども使用することができる。
【0031】
透明干渉膜31a,31b,33a,33bは、必須の構成要素ではないが、一般には、記録膜32a,32bの保護や光学応答を最適化することなどを目的として設けられる。透明干渉膜31a,31b,33a,33bの材料としては、ZnS・SiO2が代表的であるが、それ以外にもSiO、ZnS、TaO、AlN、AlO、及びSiNなどのような透明金属化合物等を使用することが可能である。
【0032】
記録膜32aは上述のように記録領域32a1と透明領域32a2とを含んでおり、記録膜32bは記録領域32a1を含んでいる。本実施形態において、記録領域32a1は光照射により非晶質と結晶質との間の相変化を生じる相変化記録材料を主成分としている。
【0033】
記録膜32a,32bの記録領域32a1に使用可能な相変化記録材料としては、例えば、GeSbTe、InSbTe、SbTe、AgInSbTe、及びGeSnSbTeなどのカルコゲン系材料のように相変化光記録媒体で一般に使用されているのと同様の材料を挙げることができる。
【0034】
記録膜32aの透明領域32a2に使用可能な透明材料としては、SiO、SiN、AlO、AlN、BN、CaF、TiO、ZnO、ZnS、ZrO、InO、SnO、及びTaOのような透明金属化合物や、メタン、エタン、及びアルコール蒸気等のCH系材料やCF4及びCHF3等のCF系材料をプラズマ重合することにより得られるポリエチレンやポリフルオロエチレンのような透明有機物などを挙げることができる。また、透明領域32a2は、Ar、Ne、及びHeなどの希ガス、窒素、及び酸素などで満たされた空孔であってもよい。
【0035】
なお、記録膜32aは、例えば、記録領域32a1の原料を含有するターゲットと透明領域32a2の原料を含有するターゲットとを用いて同時にスパッタリングすることができる。また、記録領域32a1の原料及び透明領域32a2の原料の双方を含有するコンポジットターゲットを用いてスパッタリングすることにより形成することもできる。さらに、記録領域32a1の原料を含有するターゲットを用い且つプラズマ重合物質の原料ガスと希ガスとの混合ガス中でスパッタリングすることにより形成することもできる。加えて、希ガス、窒素、及び酸素などのいずれかをスパッタリングガスとして使用し且つスパッタリング条件を調整して空孔を形成することにより形成することもできる。
【0036】
透明領域32a2の膜厚方向の透過率Trtは、透明領域32a2の膜厚方向の平均サイズをdt、透明領域32a2を構成する透明材料の消衰係数をk、及び、吸収係数をαとした場合、等式:Trt=exp(−αdt)で表すことができる。一方、吸収係数αと消衰係数kとは、使用する光の波長をλとした場合、等式:k=α×λ/4πで表すことができる。
【0037】
本実施形態において、透過率Trtは概ね80%以上であれば十分であり、90%以上であることが好ましい。また、サイズdtの上限値は記録膜32aの膜厚に等しい。さらに、後述するように、記録膜32aの膜厚の上限値は10nm程度である。したがって、サイズdtを10nmとし且つ波長λを405nmとすると、透過率Trt=80%を実現する消衰係数kの上限値は0.72となり、透過率Trt=90%を実現する消衰係数kの上限値は0.34となる。
【0038】
消衰係数kは、上述した透明材料の組成が化学量論比から金属リッチ側にずれた場合に増加する。したがって、上記の計算結果から、透明領域32a2を構成する透明材料の組成は化学量論比から金属リッチ側にかなりずれていてもよいことが分かる。
【0039】
透明領域32a2の平均サイズは、動作波長をλ、焦点レンズの開口数をNAとした場合、λ/(4NA)以下であることが好ましい。この場合、記録膜32a中に透明領域32a2が存在していることに基づくノイズの上昇を生ずることがない。なお、透明領域32a2の膜厚方向のサイズは、記録膜32aの膜厚と等しくてもよく、それよりも小さくてもよいことを上述したが、記録膜32aの膜厚は、通常、λ/(4NA)以下である。透明領域32a2は、略球形状、円柱状、及び円盤状などのように様々な形状を有することができる。但し、いずれの形状であっても、最も大きな径がλ/(4NA)以下であることが好ましい。
【0040】
上記光記録媒体1において、半透明反射膜34a及び反射膜34bは、必ずしも設ける必要はないが、一般には、それぞれ、記録膜32a,32bの光入射面に対して裏面側に設けられる。半透明反射膜34a及び反射膜34bの材料としては、例えば、Al合金、Ag合金、Au、Cu、及びTiNなどのように情報の記録、再生、及び消去に利用する光,特にはレーザ光,に対して高い反射率を有する材料が代表的である。半透明反射膜34a及び反射膜34bの透過率は、それらの膜厚を調節することにより所望値とすることができる。
【0041】
中間分離膜4は、必須の構成要素ではないが、通常、記録時や再生時に、記録膜32aと記録膜32bとの双方に光ビームの焦点が同時に合うのを防止するために設けられる。一般に、中間分離膜4の材料としては、紫外線硬化樹脂のような透明樹脂が使用される。また、光ビームの波長λが405nmであり且つ焦点レンズの開口数NAが0.65である場合、その膜厚は、例えば25〜35μm程度に設定される。
【0042】
以上、図1に示す光記録媒体1を相変化記録媒体とした場合について説明したが、光記録媒体1を光磁気記録媒体とすることも可能である。すなわち、記録膜32aの記録領域32a1を構成する記録材料として光磁気記録材料を用いればよい。そのような光磁気記録材料としては、例えば、Nd、Gd、Tb、及びDyなどの希土類元素とFe及びCoなどの遷移金属元素との合金である希土類−遷移金属合金のように光磁気記録媒体で一般に使用されているのと同様の材料を挙げることができる。
【0043】
このような構造によると、相変化記録媒体に関して説明したのと同様に記録膜32aの膜厚を比較的厚くした場合においても高い透過率を得ることができる。そのため、磁壁エネルギーを十分に高い値とすることができ、反磁界とのバランスをとることができ、記録磁区中に反転磁区が形成されるのを防止することができる。すなわち、ノイズレベルを上昇させることなく、記録膜32aの光透過率を高めることができる。
【0044】
以上、記録・再生のための光ビーム照射を基板2側から行う場合について説明したが、その光ビーム照射は膜面側から行うこともできる。すなわち、薄膜記録部3a,3bの積層順を逆にし且つ薄膜記録部3a,3bのそれぞれにおいて各構成要素の積層順を逆にしてもよい。また、光記録媒体1を2枚貼り合わせて、オフライン容量を2倍とすることもできる。さらに、上記実施形態では、光記録媒体1を片面二層構造とした場合について説明したが、片面三層以上とすることもできる。
【0045】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
まず、各実施例で行う検討事項等について説明する。
実施例1では記録膜32aの形成方法について検討し、実施例2では記録膜32aを有する片面単層構造の光記録媒体を作製してその透過率及び消去特性について調べる。さらに、実施例3では片面二層構造の光記録媒体1を作製し、実施例4では片面三層構造の光記録媒体を作製し、実施例5では、それら光記録媒体を搭載した光記録装置について説明する。
【0046】
[実施例1]
本実施例では、以下に説明するように、記録領域32a1と透明領域32a2とを含む記録膜32aを、二元同時スパッタリング法、軽希ガススパッタリング法、及びプラズマ重合スパッタリング法を用いて形成する。
【0047】
(1)二元同時スパッタリング法
二元同時スパッタリング法による記録膜32aの成膜は、記録領域32a1の原料,すなわち記録材料,を含有するターゲットと透明領域32a2の原料,すなわち透明材料,を含有するターゲットとを用いて同時にスパッタリングすることによるものである。二元同時スパッタリング法による成膜過程では、記録材料に対する透明材料の濡れ性が低い場合、透明材料と記録材料とは均一に混合されず、透明材料は記録材料中で略球状に凝集する。これは、透明材料が原子または分子として記録材料中に分布するよりも、微粒子状に凝集して記録材料から相分離した構造をとる方がエネルギー的に安定であるためであると考えられる。このように、1つには記録材料及び透明材料を適宜選択することにより、記録領域32a1中に透明領域32a2が分散してなる記録膜32aを得ることができる。これは、記録材料として、相変化記録材料を用いた場合であっても、光磁気記録材料を用いた場合であっても同様である。
【0048】
ここでは、以下に説明するように、記録材料に対する濡れ性が低い透明材料を使用して様々な条件下で二元同時スパッタリング法により多数種の記録膜32aを成膜し、それぞれの記録膜32aについて透明領域32a2のサイズを調べた。
【0049】
すなわち、記録膜32a中の透明材料濃度は、それぞれのターゲットにつき単体でのスパッタリングレートと放電入力との関係を予め調べ、二元同時スパッタリング時のそれぞれのターゲットへの放電入力比を調節することにより制御した。なお、ガス圧、成膜速度(放電入力)、及び基板バイアスなども適宜変更した。
【0050】
透明領域32a2のサイズは、記録膜32中の透明材料濃度、成膜時のガス圧、成膜速度、及び、基板にバイアスを印加した場合はバイアス入力などにより制御可能であった。すなわち、透明材料濃度を高くすること、ガス圧を高めること、成膜速度を遅くすること、及び基板にバイアスを印加した場合にはバイアス入力を高めることのいずれかを実行することにより大きくなった。
【0051】
これは、成膜中に透明材料が凝集する過程を考慮すれば理解することができる。すなわち、透明材料濃度が高い場合、透明材料の原子または分子間の距離が短くなるため凝集が容易に生じる。また、成膜時にガス圧を高めた場合、透明材料原子または分子が記録膜32aに衝突する際の運動エネルギーが低下して、透明材料原子または分子が膜の面内方向へ移動し易くなるため凝集が促進される。成膜速度が遅い場合は、透明材料原子または分子が移動可能な時間が長くなるため凝集が促進される。基板にバイアスを印加しつつスパッタリングする場合は、バイアス入力を高めることにより、透明材料原子または分子の表面マイグレーションが助長されるため凝集が促進される。透明領域32a2の平均サイズは、このようなメカニズムを利用して制御可能である。
【0052】
なお、透明領域32a2の平均サイズとは、得られた記録膜32aのそれぞれを透過電子顕微鏡(TEM)で観察することにより調べた。すなわち、透明領域32a2の平均サイズは、TEM像を画像処理して透明領域32a2のサイズ分布を導出し、この分布曲線から求めた。図3に、そのような方法により得られた分布曲線の一例を示す。
【0053】
図3は、透明領域32a2のサイズ分布を示すグラフである。図中、横軸は透明領域32a2のサイズを示し、縦軸は頻度を示している。なお、図3に示すデータは、記録材料として相変化記録材料であるGeSbTeを選択し、透明材料としてSiO2を選択して、上述した条件を変化させてスパッタリング法により成膜した多数種の記録膜32aの1つに関するものである。より具体的には、図3に示すデータは、透明材料の含有率を20%(設定値)とし、ガス圧力を5mTorr、成膜速度を0.5nm/秒、基板バイアス入力密度を0.1W/cm2としてArバイアススパッタリングにより成膜した場合に得られた記録膜32aに関するものである。
【0054】
図3に一例を示すように、透明領域32a2のサイズは、スパッタリング条件などにも依存するが、概ね平均サイズに対して±10nmの範囲内に透明領域32a2の90%以上が含まれるという比較的ばらつきの少ない分布を示した。また、透明領域32a2の形状は図2(a),(b)に示すように円柱状であり、その膜厚方向の長さは記録膜32aの膜厚とほぼ一致していた。なお、透明領域32a2の平均間隔は約100nmであった。
【0055】
次に、高分解能エネルギー分散性X線回折(高分解能EDX)により、記録膜32aを線分析した。その結果、記録材料中への透明材料の混入及び透明材料中への記録材料の混入のいずれも生じておらず、記録領域32a1と透明領域32a2とに相分離していることが確認された。このように、記録材料中への透明子材料の混入が生じていないことは記録材料のその光学定数を変化させる機能が透明材料の存在により全く影響を受けないことを意味し、透明材料中への記録材料の混入が生じていないことは透明領域32a2が十分な透過率向上効果を有していることを示唆している。なお、この材料系に関しては、成膜条件を調節することにより、透明領域32a2の平均サイズを5〜300nmの範囲内で制御することができた。
【0056】
記録領域32a1と透明領域32a2とを有する記録膜32aは、記録材料としてInSbTeやAgInSbTeなどの相変化記録材料や希土類−遷移金属合金のような光磁気記録材料を使用し、透明材料としてSiN、AlO、AlN、BN、CaF、TiO、ZnO、ZnS、ZrO、InO、SnO、及びTaOなどの金属化合物を使用した場合においても形成することができた。
【0057】
(2)軽希ガススパッタリング法
スパッタリング法を用いて成膜すると、得られる薄膜中には不可避的にスパッタリングガスが混入することはよく知られている。特に、原子半径の小さな軽希ガスは薄膜中に取り込まれ易い。ここでは、以下に説明するように薄膜中に積極的にスパッタリングガスを混入させることにより、透明領域32a2として空孔を有する記録膜32aを得た。
【0058】
すなわち、スパッタリングガスとしてHe、Ne、Ar、Kr、及びXeのそれぞれを使用し、記録材料をスパッタリングすることにより複数種の記録膜32aを成膜した。また、それら記録膜32aの成膜に際しては、ガス圧力、放電入力、及び基板バイアスなどの成膜条件を変化させた。なお、記録材料としては、二元同時スパッタリング法で使用したのと同様の相変化記録材料及び光磁気記録材料を使用した。このようにして得られた記録膜32aに対しては、ラザフォード後方散乱分光(RBS)による記録膜32a中のガス量測定、TEM観察、及び高分解能EDXによる線分析を行った。
【0059】
その結果、スパッタリングガスとしてKrやXeを用いた場合には、基板に高いバイアスを印加した場合を除いて、記録膜32a中のガス取り込み量はRBSの検出限界(1原子%)未満であった。また、この場合、TEM観察によっても、空孔(或いは透明領域32a2)の存在は認められなかった。
【0060】
スパッタリングガスに使用する希ガスの原子半径が小さいほど膜中のガス量は増加した。Ne及びAr,特にはNe,を使用した場合、空孔の形成が容易であった。しかしながら、Heを使用した場合、拡散によりHeが膜中から抜け出してしまうため空孔の形成は困難であった。
【0061】
膜中へのガス取り込み量は、ガス圧力に対してはピークを呈し、放電入力の増加や基板バイアスの増加に対しては漸増した。空孔として形成された透明領域32a2のサイズは、ガス取り込み量を高めること、放電入力を低めること、及び基板バイアスを高めることのいずれかを実施することにより増加した。得られた透明領域32a2のサイズは先に述べた二元同時スパッタリング法を使用した場合に比べると小さかった。
【0062】
なお、ここではスパッタリングガスとして単一元素からなるガスを使用したが、混合ガスを使用することも可能である。すなわち、NeやArを主成分としていれば、KrやXeを混合して使用してもよく、或いは、窒素や酸素などの反応性ガスを混合して使用することもできる。
【0063】
(3)プラズマ重合スパッタリング法
スパッタリングガス中にプラズマ重合を生じる原料ガスを混合してスパッタリングを行った場合、主としてプラズマ重合物質からなる微粒子を含有する薄膜が得られる。例えば、メタン、エタン、及びアルコール蒸気のようなCH系のプラズマ重合原料ガスや、CF4及びCHF3のようなCF系のプラズマ重合原料ガスや、それらと水素との混合ガスを必要に応じて希ガスなどとともにスパッタリングガスに混合した場合、プラズマ中で原料ガスは分解・重合反応を起こすため、ポリエチレンやポリフルオロエチレンなどのような重合生成物からなる微粒子を取り込んだ薄膜が得られる。そのような微粒子は透明領域32a2を構成し得る。なお、透明領域32a2のサイズは、原料ガスの混合比やスパッタリング条件などにより制御可能である。
【0064】
ここでは、上記の方法により記録膜32aを成膜し、その構造を調べた。なお、記録材料としては、二元同時スパッタリング法で使用したのと同様の相変化記録材料及び光磁気記録材料を使用した。その結果、得られた記録膜32aでは、記録材料と重合生成物からなる透明材料とは相分離しており、透明領域32a2の平均サイズは、(1)の場合と(2)の場合との中間の値を示した。
【0065】
[実施例2]
図4は、本発明の実施例2に係る片面単層型の光記録媒体を概略的に示す断面図である。なお、図4に示す光記録媒体1は、薄膜記録部3b及び中間分離膜4を除いたこと以外は図1に示す片面二層型の光記録媒体1と同様の構造を有している。
【0066】
本実施例では、図1に示す片面二層型の光記録媒体1を作製するのに先立ち、その一部を構成する図4に示す片面単層型の光記録媒体1を作製し、その光透過率を調べた。また、記録膜32aとして相変化記録膜を用いた片面単層型の光記録媒体1については消去特性を調べ、記録膜32aとして光磁気記録膜を用いた片面単層型の光記録媒体1についてはノイズレベルを調べた。
【0067】
まず、記録膜32aとして相変化記録膜を用いた片面単層型の媒体1及びその媒体1に対して行った試験の結果を説明する。
図4に示す相変化記録媒体1を作製するに当たり、まず、基板2として一方の主面にグルーブが設けられたポリカーボネート基板を準備した。次に、基板2のグルーブが設けられた面に、透明干渉膜31aとしてZnS・SiO2膜をスパッタリング法により成膜した。次いで、透明干渉膜31a上に、GeSbTeターゲット及びSiO2ターゲットを用いた二元同時スパッタリング法により記録膜32aを成膜した。その後、スパッタリング法により、記録膜32a上に、透明干渉膜33aであるZnS・SiO2膜及び半透明反射膜34aである膜厚8nmのAgPdCu膜を順次成膜した。以上のようにして薄膜記録部3aを得た。薄膜記録部3aの完成後、半透明反射膜34a上には図示しない透明基板を貼り合わせ、その後、記録膜32aの初期結晶化を行った。
【0068】
以上の方法で、記録膜32aの膜厚と記録膜32a中の透明材料の含有量とを変化させて、複数種の相変化記録媒体1を作製した。また、比較例として、記録膜32aが記録材料のみで構成された相変化記録媒体1も作製した。
【0069】
次いで、以上のようにして作製したそれぞれの相変化記録媒体1について、それぞれ、透過率を調べ、その後、記録/再生試験を行って消去特性を調べた。すなわち、まず、媒体1の透過率を波長405nmの光を用いて測定した。その結果を、図5に示す。
【0070】
図5は、図4に示す片面単層型の相変化記録媒体1について得られた記録膜32aの膜厚と媒体1の透過率Trとの関係を示すグラフである。図中、横軸は記録膜32aの膜厚tを示し、縦軸は相変化記録媒体1の透過率Trを示している。また、曲線51は記録膜32a中の透明材料の含有量を20体積%とし且つ透明領域32a2の平均サイズを45nmとした場合に得られたデータを示し、曲線52は記録膜32a中の透明材料の含有量を30体積%とし且つ透明領域32a2の平均サイズを60nmとした場合に得られたデータを示し、曲線53は記録膜32a中に透明材料を含有させなかった場合に得られた比較例に係るデータを示している。
【0071】
図5に示すように、記録膜32a中に透明材料を含有させない場合、透過率Trを50%以上とするためには、記録膜32aの膜厚tを6nm以下にしなければならない。それに対し、記録膜32a中の透明材料の含有量を20体積%とした場合には膜厚tが8nm程度であっても透過率Trを50%以上とすることができ、記録膜32a中の透明材料の含有量を30体積%とした場合には膜厚tが9.5nm程度であっても透過率Trを50%以上とすることができた。すなわち、記録膜32a中に透明材料を含有させることにより、透過率Trを50%以上とすることが可能な膜厚tの上限値をより高い値とすることができた。
【0072】
また、スパッタリング条件を変更して、透明領域32a2の平均サイズを5〜300nmの間で変化させて上記の試験を行ったところ、図5に示したのと同様の傾向が得られた。なお、透過率Trを50%以上とすることが可能な膜厚tの上限値の透明材料の含有量に対する増加率が、透明材料の含有量を20%体積%とした場合に比べて、透明材料の含有量を30%体積%とした場合においてより高いのは、記録領域32a1と透明領域32a2との間の光学的相互作用によるものと考えられる。
【0073】
次に、上記の片面単層型の相変化記録媒体1について、それぞれ、線速度を8m/秒とし、マーク長が0.25μmの単一周波数のマーク列を形成して、再生CNRが45dB以上となる条件を調べた。なお、この試験に際しては、波長λが405nmであり且つ焦点レンズの開口数NAが0.65である評価機を使用した。その結果の一部を図6に示す。
【0074】
図6は、図4に示す片面単層型の相変化記録媒体1について得られた透明領域32a2の平均サイズdと0.25μmの信号マーク列のCNRとの関係を示すグラフである。図中、横軸は、透明領域32a2の平均サイズdを示し、縦軸はCNRを示している。なお、図6に示すデータは、記録膜32aの膜厚を8nmとし、記録膜32a中の透明材料の含有量を20〜30体積%とした場合に得られたものである。
【0075】
波長λが405nmであり且つ開口数NAが0.65である場合、光学系の分解能λ/(4NA)は約160nmである。図6に示すように、サイズdが160nm以上の場合、ノイズレベルの増加に伴ってCNRが急激に劣化している。以上から、透明領域32a2の平均サイズdは、λ/(4NA)以下とすることが好ましいことが分かる。
【0076】
次いで、上記の片面単層型の相変化記録媒体1について、それぞれ、使用する光の波長λが405nmであり且つ焦点レンズの開口数NAが0.65である評価機を用いて有効消去率を調べた。なお、有効消去率の測定に際しては、線速度を8m/秒とし、図6に示す再生CNRが45dB以上となる条件のもとで、マーク列を形成したトラックへの、オーバーライト記録によるマーク長0.92μmのマーク列の形成と、オーバーライト記録によるマーク長0.25μmのマーク列の形成とを交互に計10回行った。さらに、オーバーライト記録によりマーク長0.25μmのマーク列を形成し、記録されたマーク列(マーク長0.25μm)に対応するキャリアレベルと、消去したマーク列(マーク長0.92μm)に対応するキャリアの消え残りレベルとの差である有効消去率を調べた。
【0077】
図7は、図4に示す片面単層型の相変化記録媒体1について得られた記録膜32aの膜厚tと有効消去率との関係を示すグラフである。図中、横軸は記録膜32aの膜厚tを示し、縦軸は有効消去率を示している。また、曲線55は記録膜32a中の透明材料の含有量を20体積%とし且つ透明領域32a2の平均サイズdを45nmとした相変化記録媒体1について得られたデータを示し、曲線56は記録膜32aを記録材料のみで構成した比較例に係る相変化記録媒体1について得られたデータを示している。
【0078】
図7に示すように、記録膜32a中に透明材料を含有した媒体1では、記録膜32a中に透明材料を含有していない媒体1に比べ、全ての膜厚範囲にわたって良好な有効消去率が得られている。これは、透明領域32a2が核生成サイトとして機能したためであると考えられる。なお、このような傾向は、記録膜32a中に透明材料の含有量を変化させた場合や、透明領域32a2の平均サイズdを5nm〜λ/(4NA)の間で変化させた場合においても同様であった。
【0079】
図5及び図7に示す結果を併せて考慮すると、記録膜32aに透明材料を含有させた場合、透過率Trが70%以上となるように記録膜32aの膜厚tを薄くしたとしても、24dB程度以上の高い有効消去率を得ることができることが分かる。このように十分に高い有効消去率と70%以上の透過率Trとを同時に得られることは、片面二層構造にとどまらず、片面三層構造をも実現可能であることを示唆するものである。
【0080】
次に、記録膜32aとして光磁気記録膜を用いた片面単層型の媒体1及びその媒体1に対して行った試験の結果を説明する。
片面単層型の光磁気記録媒体1は、先に説明した片面単層型の相変化記録媒体1とほぼ同様の方法で作製した。すなわち、上記相変化記録媒体1に関して説明したのと同様の方法により、基板2の一方の主面に、透明干渉膜31aとしてSi3N4膜をスパッタリング法により成膜した。次いで、透明干渉膜31a上に、TbFeCoターゲット及びSiO2ターゲットを用いた二元同時スパッタリング法により記録膜32aを成膜した。その後、スパッタリング法により、記録膜32a上に、透明干渉膜33aであるSi3N4膜及び半透明反射膜34aである膜厚8nmのAgPdCu膜を順次成膜した。以上のようにして薄膜記録部3aを得た。薄膜記録部3aの完成後、半透明反射膜34a上には図示しない透明基板を貼り合わせた。
【0081】
以上の方法で、記録膜32aの膜厚t、記録膜32a中の透明材料の含有量、及び透明領域32a2の平均サイズdが互いに異なる複数種の光磁気記録媒体1を作製した。また、比較例として、記録膜32aが記録材料のみで構成された光磁気記録媒体1も作製した。
【0082】
次いで、以上のようにして作製した片面単層型の光磁気記録媒体1について、それぞれ、透過率を調べ、その後、記録/再生試験を行ってノイズレベルを調べた。すなわち、まず、媒体1の透過率を波長405nmの光を用いて測定した。その結果を、図8に示す。
【0083】
図8は、図4に示す片面単層型の光磁気記録媒体1について得られた記録膜32aの膜厚と媒体1の透過率Trとの関係を示すグラフである。図中、横軸は記録膜32aの膜厚tを示し、縦軸は光磁気記録媒体1の透過率Trを示している。また、曲線61は記録膜32a中の透明材料の含有量を25体積%とし且つ透明領域32a2の平均サイズを50nmとした場合に得られたデータを示し、曲線62は記録膜32a中の透明材料の含有量を40体積%とし且つ透明領域32a2の平均サイズを70nmとした場合に得られたデータを示し、曲線63は記録膜32a中に透明材料を含有させなかった場合に得られた比較例に係るデータを示している。
【0084】
図8に示すように、記録膜32a中に透明材料を含有させない場合、透過率Trを50%以上とするためには、記録膜32aの膜厚tを4.5nm以下にしなければならない。それに対し、記録膜32a中の透明材料の含有量を25体積%とした場合には膜厚tが6nm程度であっても透過率Trを50%以上とすることができ、記録膜32a中の透明材料の含有量を40体積%とした場合には膜厚tが8nm程度であっても透過率Trを50%以上とすることができた。すなわち、記録膜32a中に透明材料を含有させることにより、透過率Trを50%以上とすることが可能な膜厚tの上限値をより高い値とすることができた。なお、図5に示すデータと図8に示すデータとを比較すると、記録層32aを光磁気記録層とした場合、記録層32aを相変化記録層とした場合に比べ、透過率Trが低い傾向にある。これは、光磁気記録材料は相変化記録材料に比べて消衰係数kがより高いことに起因している。
【0085】
次に、上記の片面単層型の光磁気記録媒体1について、それぞれ、記録膜32aの膜厚tとノイズとの関係について調べた。すなわち、まず、ノイズ評価時の線速度を8m/秒、記録磁界を250Oeとして、記録パワーとして再生信号の二次高調波が最小となるパワーを選択した。その結果、この記録パワーは、記録膜32a中に透明材料を含有していない光磁気記録媒体1では7mWであった。それに対し、記録膜32a中の透明材料の含有量を25体積%とし且つ透明領域32a2の平均サイズを50nmとした光磁気記録媒体1では記録パワーは8mWであり、記録膜32a中の透明材料の含有量を40体積%とし且つ透明領域32a2の平均サイズを70nmとした光磁気記録媒体1では記録パワーは9.5mWであった。次に、それぞれの光磁気記録媒体1について、記録膜32aに長さが0.92μmの記録マークを形成し、記録前後のノイズスペクトルを調べた。その結果を図9に示す。
【0086】
図9は、図4に示す片面単層型の光磁気記録媒体1について得られた記録膜32aの膜厚tとノイズ上昇率との関係を示すグラフである。図中、横軸は、記録膜32aの膜厚tを示し、縦軸は記録前に対する記録後のノイズ上昇率を示している。また、曲線65は記録膜32a中の透明材料の含有量を25体積%とし且つ透明領域32a2の平均サイズを50nmとした光磁気記録媒体1について得られたデータを示し、曲線66は記録膜32a中の透明材料の含有量を40体積%とし且つ透明領域32a2の平均サイズを70nmとした光磁気記録媒体1について得られたデータを示し、曲線67は記録膜32a中に透明材料を含有していない光磁気記録媒体1について得られたデータを示している。なお、記録後のノイズは主に低域で上昇する傾向を示したので、図9ではマーク長が0.85μmに相当する周波数でのノイズレベルの上昇率をプロットしている。
【0087】
図9に示すように、記録膜32a中に透明材料を含有していない媒体1では、記録膜32aの膜厚tを10nm以下とするとノイズが上昇した。それに対し、記録膜32a中に透明材料を含有している媒体1では、ノイズの上昇を生ずる膜厚tが原点側にシフトしていることが分かる。
【0088】
曲線67でデータを示した媒体1のうちノイズ上昇が顕著な膜厚tが4nmのものについて、スキャニング偏光顕微鏡(画像処理後の最大倍率:×10000)を用いて磁区の観察を行った。その結果、記録マークとスペースとの間にランダムな再反転磁区が生じていることが分かった。これは、膜厚tが過度に薄いと、反磁界エネルギーが相対的に磁壁エネルギーを上回り、過度な反磁界エネルギー上昇分を緩和させるため、マーク以外の反転磁区を形成することによると考えられる。
【0089】
なお、単純に考えれば、膜厚tが等しければ、曲線65,66でデータを示した媒体1であっても曲線67でデータを示した媒体1と同程度のノイズ上昇を生ずるものと思われる。しかしながら、実際には、図9に示すように、記録膜32a中に透明材料を含有した媒体1では、記録膜32a中に透明材料を含有していない媒体1に比べてノイズ上昇が低い。これは、記録膜32aが透明材料を含有していることで、反磁界エネルギーが低減化されたこと、及び、透明材料が磁壁のピンニングサイトとして機能するために記録層32a中に磁壁ができ難くなっていることによるものと考えられる。これは、記録膜32a中に透明材料を含有した媒体1では記録膜32a中に透明材料を含有していない媒体1に比べて二次高調波が極小となる記録パワーが高いという事実と一致している。
【0090】
図8及び図9に示す結果を併せて考慮すると、記録膜32aに25体積%の含有量で透明材料を含有させた場合、透過率Trが70%以上となるように記録膜32aの膜厚tを薄くしたとしても、ノイズ上昇は4dB程度に抑制されている。また、記録膜32aに40体積%の含有量で透明材料を含有させた場合、透過率Trが70%以上となるように記録膜32aの膜厚tを薄くしたとしても、ノイズ上昇は2dB程度に抑制されている。このようにノイズ上昇を十分に低く押えつつ透過率Trを70%以上とすることができることは、片面二層構造にとどまらず、片面三層構造をも実現可能であることを示唆するものである。
【0091】
[実施例3]
本実施例では、以下に示す方法で図1に示す光記録媒体1として片面二層構造の相変化記録媒体を作製し、再生CNR及び有効消去率を調べた。
【0092】
すなわち、まず、実施例2で説明したのと同様の方法により図4に示す片面単層構造の相変化記録媒体1を作製した。次に、半透明反射膜34a上に光硬化性或いは熱硬化性樹脂をスピンコートし、その上にトラッキンググルーブに対応する凹凸パターンが形成されたスタンパを押し当て、その状態で上記樹脂を硬化させた。これにより、トラッキンググルーブが設けられた中間分離膜4を得た。次いで、この中間分離膜4上に、実施例2において薄膜記録部3aに関して説明したのと同様に、透明干渉膜31b、記録膜32b、透明干渉膜33b、及び反射膜34bを順次成膜して薄膜記録部3bを形成した。なお、記録膜32bはGeSbTeのみで構成し、反射膜34bとしては膜厚100nmのAgPdCu膜を形成した。以上のようにして、図1に示す片面二層構造の相変化記録媒体1を得た。
【0093】
なお、この相変化記録媒体1は、他の方法で作製することも可能である。例えば、実施例2で説明したのと同様の方法により図4に示す片面単層構造の相変化記録媒体を作製する。また、これとは別に、図1に示す薄膜記録部3bをその透明干渉膜31bが露出するように図示しない基板上に形成する。次いで、それらを、半透明反射膜34aと透明干渉膜31bとが中間分離膜4を介して隣接するように貼り合わせる。このような方法でも、図1に示す相変化記録媒体1を得ることができる。
【0094】
以上のようにして得られた相変化記録媒体1について、実施例2で説明したのと同様の方法により、記録再生試験を行った。その結果、薄膜記録部3a,3bの双方について、45dB以上のCNRと25dB以上の有効消去率を得ることができた。
【0095】
[実施例4]
図10は、本発明の実施例4に係る光記録媒体を概略的に示す断面図である。図10に示す光記録媒体1は、片面三層構造の媒体であって、中間分離膜4と薄膜記録部3bとの間に薄膜記録部3c及び中間分離膜5がさらに設けられていること以外は図1に示す光記録媒体1と同様の構造を有している。なお、薄膜記録部3cは、基板2側から、透明干渉膜31c、記録膜32c、及び透明干渉膜33cを順次積層した構造を有している。また、記録膜32cは、記録膜32aと同様に記録材料で構成された記録領域32c1と透明材料で構成された透明領域32c2とを含んでいる。
【0096】
以下に説明するように、本実施例では、まず、図10に示す片面三層構造の媒体1を相変化記録媒体として作製した。すなわち、実施例2で説明したのと同様の方法により図4に示す片面単層構造の相変化記録媒体1を作製した。次に、半透明反射膜34a上に光硬化性或いは熱硬化性樹脂をスピンコートし、その上にトラッキンググルーブに対応する凹凸パターンが形成されたスタンパを押し当て、その状態で上記樹脂を硬化させた。これにより、トラッキンググルーブが設けられた中間分離膜4を得た。次いで、この中間分離膜4上に、実施例2において薄膜記録部3aに関して説明したのと同様に、透明干渉膜31c、記録膜32c、及び透明干渉膜33cを順次成膜して薄膜記録部3cを形成した。なお、記録膜32cは記録膜32aと同様の構造とした。また、薄膜記録部3a,3cの透過率はいずれも70%に設定した。以上のようにして、基板2上に薄膜記録部3a,3cを順次積層してなる片面二層構造を得た。
【0097】
その片面二層型構造を得る一方で、別途準備した基板(図示せず)の一方の主面上に、薄膜記録部3bをその透明干渉膜31bが露出するように形成した。なお、この基板の薄膜記録部3bを形成する面には、予めトラッキンググルーブを形成しておく。このようにして、片面単層構造を得た。
【0098】
次いで、上記の方法で得られた片面二層構造と片面単層構造とを、透明干渉膜33cと透明干渉膜31bとが中間分離膜5を介して隣接するように貼り合わせた。以上のようにして、図10に示す片面三層型の相変化記録媒体1を得た。
【0099】
以上のようにして得られた相変化記録媒体1について、使用する光の波長λが405nmであり且つ焦点レンズの開口数NAが0.65である評価機で試験した。その結果、薄膜記録部3a〜3cのいずれについても、フォーカシング及びトラッキングが可能であった。
【0100】
次に、先に説明したのと同様の方法で、図10に示す片面三層構造の媒体1を光磁気記録媒体として作製した。なお、ここでは、透明干渉膜31a〜31c,33a〜33cの材料としてSi3N4を使用し、記録膜32a〜32cの記録領域を構成する記録材料としてTbFeCoを使用した。また、記録膜32a,32cの透明領域を構成する透明材料としてはSiO2を使用した。さらに、記録膜32a,32cのそれぞれにおける透明材料の含有量は40体積%に設定し、透明領域の平均サイズは70nmとした。記録膜32a,32cのそれぞれの膜厚tは、薄膜記録部3a,3cの透過率をそれぞれ70%となり且つ記録後の低域ノイズ上昇を2dB未満となるように適宜設定した。また、記録膜32bの膜厚は15nmとし、反射膜34bとしては膜厚100nmのAgPdCu膜を使用した。
【0101】
以上のようにして得られた光磁気記録媒体1について、使用する光の波長λが405nmであり且つ焦点レンズの開口数NAが0.65である評価機で試験した。その結果、薄膜記録部3a〜3cのいずれについても、フォーカシング及びトラッキングが可能であった。
【0102】
[実施例5]
本実施例では、上記の実施例3及び実施例4で作製した光記録媒体1に記録された情報の再生やその光記録媒体1への情報の記録に利用可能な記録再生装置について説明する。
【0103】
図11は、本発明の実施例5に係る記録再生装置を概略的に示す図である。図11に示す記録再生装置101は相変化記録媒体1を着脱可能に或いは着脱不可能に搭載する光ディスク装置であって、相変化記録媒体(光ディスク)1、スピンドルモータ102、焦点レンズ103、ハーフミラー104、レーザ光源105、光検出器106、プリアンプ107、可変利得アンプ108、A/D変換回路109、線形等価回路110、データ検出回路111、デコーダ112、ドライブコントローラ113、駆動制御系114、インターフェース115、変調回路116、及びレーザドライバ117を有している。なお、記録再生装置101が光ディスク1を着脱可能に搭載する場合、光ディスク1は図4に示すように片面単層構造を有するものであってもよい。
【0104】
図11に示す光ディスク装置101において、光ディスク1は、透明基板2が図中上向きとなるようにスピンドルモータ102の回転軸に着脱可能に或いは着脱不可能に支持されている。光ディスク1は、スピンドルモータ102の回転数を制御することにより、所定の回転数で回転され得る。
【0105】
光ディスク1の上方には、ピックアップ系の一部を構成する焦点レンズ103が配置されている。これらピックアップ系及びスピンドルモータ102は、駆動制御系114を介してドライブコントローラ113によって駆動される。このように構成される駆動機構によって、光ディスク1の回転数の制御並びにフォーカシング及びトラッキング制御が可能とされている。
【0106】
この光ディスク装置101では、光ディスク1の記録膜32a,32cに含まれる透明領域の平均サイズdと、レーザ光源105から出力されるレーザビームの波長λと、焦点レンズ103の開口数NAとは、以下の不等式:
d≦λ/(4NA)
を満足している。
【0107】
このように構成される光ディスク装置101での情報の記録は、上述のように光ディスク1の回転数の制御並びにフォーカシング及びトラッキング制御を行いつつ以下の方法により行われる。すなわち、情報の記録に際しては、そのような制御のもと、まず、インターフェース115を介して取り込んだユーザデータ信号をドライブコントローラ113を介して変調回路116へと転送する。ユーザデータ信号は変調回路116で所定のパルス列へと変換される。レーザドライバ117は、そのパルス列を印加電圧パルス列に変換し、レーザ光源105から記録光パルスを発振させる。
【0108】
記録光は、ハーフミラー104を透過して焦点レンズ103へと導かれ、光ディスク1上に集光照射される。これにより、光ディスク1の記録膜32a〜32cのいずれかの光照射部に対して選択的に記録マークが形成される。図11に示す光ディスク装置101での情報の記録は、以上のようにして行われる。なお、最短マークピッチを狭めて記録するためには、変調回路116の出力信号や駆動制御系114の出力信号などを変化させればよい。また、記録膜32a〜32cから記録を行うべきものを選択するには、フォーカスジャンプを掛ければよい。
【0109】
また、この光ディスク装置21での情報の再生は、上述のように光ディスク1の回転数の制御並びにフォーカシング及びトラッキング制御を行いつつ以下の方法により行われる。すなわち、情報の記録に際しては、そのような制御のもと、まず、レーザ光源105から再生パワーレベルのレーザビームを再生光として出射する。なお、レーザービームのパワーレベルは、レーザ光源105からの出力を周期が一定なパルス光とし、その周期を適宜設定することにより制御可能である。レーザ光源105から出射した再生光は、ハーフミラー104を透過して焦点レンズ103へと導かれ、光ディスク1上に集光照射される。光ディスク1の記録トラックからの反射光は、ハーフミラー104で反射されて光検出器106へと導かれ、そこで電気信号へと変換される。
【0110】
光検出器106からの電気信号は、プリアンプ117及び可変利得アンプ108で増幅され、その後、A/D変換回路109でデジタル信号系列へと変換される。次いで、このデジタル信号は、線形等化回路110でフィルタリングされてノイズに起因するジッタ成分を除去される。データ検出回路111は、例えば、パーシャルレスポンスで等化した再生信号波形からデータを検出するマキシマムライクリフッド法によって推定する信号処理回路であり、具体的にはビタビデコーダである。デコーダ112は、データ検出回路111によって検出された符号ビット列を元の記録データへと復元する。このようにして復元された記録データは、ドライブコントローラ107及びインターフェース106を介して装置外部へと出力される。図11に示す光ディスク装置101での情報の再生は、以上のようにして行われる。
【0111】
上記の実施例3及び実施例4で作製した光磁気記録媒体1に記録された情報の再生やその光磁気記録媒体1への情報の記録には、例えば、図11に示す光ディスク装置の構成を変更したものを利用することができる。すなわち、図11に示す光ディスク装置に、媒体1に対して磁界を印加するための磁石を付与すればよい。より具体的には、光変調記録の場合には記録時と消去時とで磁界の向きを切り替えるタイプの磁石を、磁界変調オーバーライト記録の場合には空芯コイル等に代表される交流電磁石を、光変調オーバーライト記録の場合には一定のDC磁石をそれぞれ付与すればよい。なお、媒体1が無磁界で光変調オーバーライト可能なように設計されている場合は光ディスク装置101に磁石を設ける必要はない。
【0112】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、片面多層型の光記録媒体の光入射側の記録膜として記録領域と透明領域とを含むものを使用しているので、膜厚が比較的厚い場合であっても、その透過率を十分に高い値とすることができる。そのため、本発明によると、片面二層は勿論のこと、片面三層以上の多層化も可能となる。また、本発明では、光入射側の記録膜は十分な膜厚及び光透過率を有し得るので、記録膜を相変化記録膜とした場合には十分に高い消去率を実現することができ、記録膜を光磁気記録膜とした場合にはノイズレベルを十分に低く抑えることができる。
【0113】
すなわち、本発明によると、光入射側の記録膜が十分な膜厚及び光透過率を有する片面多層型の光記録媒体及びそのような光記録媒体に情報を記録することが可能な光記録装置が提供される。また、本発明によると、片面三層以上とすることも可能な片面多層型の光記録媒体及びそのような光記録媒体に情報を記録することが可能な光記録装置が提供される。さらに、本発明によると、記録膜を相変化記録膜とした場合に十分に高い消去率を実現可能な片面多層型の光記録媒体及びそのような光記録媒体に情報を記録することが可能な光記録装置が提供される。加えて、本発明によると、記録膜を光磁気記録膜とした場合にノイズレベルを十分に低く抑えることが可能な片面多層型の光記録媒体及びそのような光記録媒体に情報を記録することが可能な光記録装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光記録媒体を概略的に示す断面図。
【図2】(a)は図1に示す光記録媒体の記録膜を概略的に示す平面図、(b)は(a)に示す記録膜のA−A線に沿った断面図。
【図3】透明領域のサイズ分布を示すグラフ。
【図4】本発明の実施例2に係る片面単層型の光記録媒体を概略的に示す断面図。
【図5】図4に示す相変化記録媒体について得られた記録膜の膜厚と媒体の透過率Trとの関係を示すグラフ。
【図6】図4に示す相変化記録媒体について得られた透明領域の平均サイズdと0.25μmの信号マーク列のCNRとの関係を示すグラフ。
【図7】図4に示す相変化記録媒体について得られた記録膜の膜厚tと有効消去率との関係を示すグラフ。
【図8】図4に示す光磁気記録媒体について得られた記録膜の膜厚と媒体の透過率Trとの関係を示すグラフ。
【図9】図4に示す光磁気記録媒体について得られた記録膜の膜厚tとノイズ上昇率との関係を示すグラフ。
【図10】本発明の実施例4に係る光記録媒体を概略的に示す断面図。
【図11】本発明の実施例5に係る記録再生装置を概略的に示す図。
【符号の説明】
1…光記録媒体; 2…基板; 3a〜3c…薄膜記録部;
4,5…中間分離膜; 31a〜31c,33a〜33c…透明干渉膜;
32a〜32c…記録膜; 34a…半透明反射膜; 34b…反射膜;
32a1,32c1…記録領域; 32a2,32c2…透明領域;
51〜53,55,56,61〜63,65〜67…曲線;
101…記録再生装置; 102…スピンドルモータ;
103…焦点レンズ; 104…ハーフミラー; 105…レーザ光源;
106…光検出器; 107…プリアンプ; 108…可変利得アンプ;
109…A/D変換回路; 110…線形等価回路;
111…データ検出回路; 112…デコーダ;
113…ドライブコントローラ; 114…駆動制御系;
115…インターフェース; 116…変調回路;
117…レーザドライバ
Claims (5)
- 基板と、光を利用して光学定数を可逆的に変化させることが可能な記録領域と前記光に対して透明な透明領域とを含む第1の記録膜を備えた第1の薄膜記録部と、前記光を利用して光学定数を可逆的に変化させることが可能な記録領域から実質的になる第2の記録膜を備えた第2の薄膜記録部とを具備し、前記透明領域は前記第1の記録膜の一方の主面から他方の主面にまで延びた形状を有し、前記第1の薄膜記録部と前記第2の薄膜記録部とは前記光の入射側からこの順に前記基板の一方の主面上に設けられたことを特徴とする片面多層型の光記録媒体(基板上に設けられた構成層中に、光の入射側から順次、第1記録層と第2記録層を備え、前記第1記録層が、Sb元素とTe元素とを含む組成分とカルコゲナイドガラス組成分との複合組成によりなる1層構成の記録層である相変化型光情報記録媒体を除く)。
- 情報の記録に焦点レンズで集束させた光を利用する片面多層型の光記録媒体であって、
基板と、前記光を利用して光学定数を可逆的に変化させることが可能な記録領域と前記光に対して透明な透明領域とを含む第1の記録膜を備えた第1の薄膜記録部と、前記光を利用して光学定数を可逆的に変化させることが可能な記録領域から実質的になる第2の記録膜を備えた第2の薄膜記録部とを具備し、前記透明領域は前記第1の記録膜の一方の主面から他方の主面にまで延びた形状を有し、前記第1の薄膜記録部と前記第2の薄膜記録部とは前記光の入射側からこの順に前記基板の一方の主面上に設けられ、
前記透明領域の平均サイズdと前記光の波長λと前記焦点レンズの開口数NAとは、不等式:
d≦λ/(4NA)
に示す関係を満足することを特徴とする光記録媒体(基板上に設けられた構成層中に、光の入射側から順次、第1記録層と第2記録層を備え、前記第1記録層が、Sb元素とTe元素とを含む組成分とカルコゲナイドガラス組成分との複合組成によりなる1層構成の記録層である相変化型光情報記録媒体を除く)。 - 前記記録領域は相変化記録材料からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光記録媒体。
- 前記記録領域は光磁気記録材料からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光記録媒体。
- 基板と、光を利用して光学定数を可逆的に変化させることが可能な記録領域と前記光に対して透明な透明領域とを含む第1の記録膜を備えた第1の薄膜記録部と、前記光を利用して光学定数を可逆的に変化させることが可能な記録領域から実質的になる第2の記録膜を備えた第2の薄膜記録部とを具備し、前記透明領域は前記第1の記録膜の一方の主面から他方の主面にまで延びた形状を有し、前記第1の薄膜記録部と前記第2の薄膜記録部とは前記光の入射側からこの順に前記基板の一方の主面上に設けられた片面多層型の光記録媒体(基板上に設けられた構成層中に、光の入射側から順次、第1記録層と第2記録層を備え、前記第1記録層が、Sb元素とTe元素とを含む組成分とカルコゲナイドガラス組成分との複合組成によりなる1層構成の記録層である相変化型光情報記録媒体を除く)を搭載した光記録装置であって、
前記第1の薄膜記録部側から前記第2の薄膜記録部側に向けて焦点レンズで集束させた光ビームを照射し且つその焦点位置を変化させることにより前記第1及び第2の記録膜のいずれか一方に対して選択的に情報を記録することが可能な記録機構と、前記光記録媒体と前記光ビームの光軸とを相対移動させる駆動機構とを具備し、
前記透明領域の平均サイズdと前記光の波長λと前記焦点レンズの開口数NAとは、不等式:
d≦λ/(4NA)
に示す関係を満足することを特徴とする光記録装置。
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