JP3764366B2 - タイヤの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱による予備加熱を利用することにより、加硫時間を短縮しうるタイヤの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤの加硫方法としては、一般に、図6に示すように、成形金型aと、その内面a1にタイヤ生カバーTを押付けるブラダーbとを具える加硫装置を用い、前記成形金型aに内蔵するヒータcおよびブラダーb内に充填される熱媒体(例えばスチーム等)から熱伝導するタイヤ表面からの熱によって加熱している。
【0003】
しかしながら、ゴムは熱伝導率が低いため、熱がその中心部まで伝達するのに時間がかかり、特に厚肉の部位では、加硫時間が長くなるという問題がある。又中心部を最適加硫に仕上げようとすると、タイヤ表面部が過加硫になりがちであり好ましくない。
【0004】
そのため本発明者は、特開平2000−61963号公報において、厚肉の部位であるトレッド部およびビード部を誘導加熱によって予備加熱し、本加硫における加硫時間を短縮することを提案している。
【0005】
このものは、図7に略示する如く、導電線がビード底部とトレッド部とを通って螺旋に周回してなる加熱コイルeを用い、その電磁誘導作用によって、トレッド部Ttおよびビード部Tbに埋設されるタイヤ補強部材(例えばブレーカコードおよびビードコア)を誘導加熱している。
【0006】
このとき、トレッド部Ttとビード部Tbとでは、ゴム厚さや埋設するタイヤ補強部材のスチール量に差異があり、又この差異もタイヤの種類(サイズを含む)毎に相違する。従って、タイヤをより均一に加硫するためには、前記予備加熱において、トレッド部Ttとビード部Tbとの温度上昇を個別に制御することが必要となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そのために、前記公報のものでは、温度上昇が遅い側、例えばトレッド側のタイヤ表面に、シート状の温度調整用導電材を貼着し、誘導加熱の発熱量を増加させることによって、トレッド部Ttとビード部Tbとの上昇温度を制御している。
【0008】
しかし、このような温度調整用の導電材では、温度制御の自由度が小さく、かつタイヤの種類に応じた温度制御を高精度で行うことが困難である。しかも、その貼着作業を不便とする他、予備加熱中の温度測定を妨げる要因にもなる。
【0009】
そこで本発明は、ビード部加熱用のビード加熱コイルと、トレッド部加熱用のトレッド加熱コイルとを用い、夫々の発熱量を高周波電源装置によって個別に調整することを基本として、トレッド部およびビード部の夫々の温度上昇速度や設定温度を、広い自由度を有して精度良く制御することができ、タイヤの種類に応じて均一かつ迅速に予備加熱しうるとともに、本加硫における時短とタイヤ表面での過加硫の防止を達成しうるタイヤの製造方法の提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、タイヤ生カバーのトレッド部とビード部とを本加硫に先行して予備加熱するタイヤの製造方法であって、
ビード部加熱用のビード加熱コイル、トレッド部加熱用のトレッド加熱コイル、及び前記ビード加熱コイルとトレッド加熱コイルとによる発熱を個別に調整しうる高周波電源装置とを具える誘導加熱装置により、トレッド部とビード部とを予備加熱したのちに金型加硫することを特徴としている。
【0011】
又請求項2の発明では、前記ビード加熱コイルは、導電線をタイヤと略同心に周回した環状部を具え、かつ前記トレッド加熱コイルは、導電線を略渦巻き状に半径方向に径を異ならせて巻回されかつタイヤ周方向に並べて接続した複数の渦巻きコイル部を具えることを特徴としている。
【0012】
又請求項3の発明では、前記ビード加熱コイルは、タイヤ生カバーの両側のビード部を加熱しかつ前記予備加熱装置の上下に配される上、下のビード加熱コイル部を含み、上のビード加熱コイル部は、その内径をタイヤ生カバーのトレッド部の直径よりも大とするとともに、下のビード加熱コイル部は、トレッド部の直径よりも小としたことを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。
図1は、本発明のタイヤの製造方法に用いる誘導加熱装置1を概念的に示す線図である。
【0014】
図1において、誘導加熱装置1は、タイヤ生カバーTのトレッド部Ttとビード部Tbとを、本加硫に先行して予備加熱する加熱装置であって、ビード部加熱用のビード加熱コイル2、トレッド部加熱用のトレッド加熱コイル3、及び前記ビード加熱コイル2とトレッド加熱コイル3とによる各発熱を個別に調整しうる高周波電源装置4とを具えている。
【0015】
なお、前記タイヤ生カバーTは、図5に示すように、トレッド部Ttと、その両端からタイヤ半径方向内方にのびる一対のサイドウォール部Tsと、その内方端に位置しかつビードコア30で補強されるビード部Tbとを具え、又ビードコア30、30間には、カーカス31が架け渡されるとともに、このカーカス31の外側かつトレッド部Ttの内方にはブレーカ32が配される。
【0016】
ここで、前記ビードコア30としては、スチール製のビードワイヤを複数層に巻回したリング状体のものが使用される。又前記ブレーカ32は、スチール製のブレーカコードをタイヤ周方向に対して例えば70°以下の角度で配列した複数枚(自動二輪車用タイヤでは通常1,2枚、乗用車用タイヤでは通常2枚、重荷重用タイヤでは通常3,4枚)のプライから形成される。
【0017】
従って、前記タイヤ生カバーTは、厚さが大であり多くの加熱時間が必要なトレッド部Tt及びビード部Tbに、夫々電磁誘導作用によって発熱しうるスチール製のタイヤ補強部材33を、ブレーカコード及びビードワイヤとして埋設している。
【0018】
このタイヤ生カバーTは、図1に略示する如く、誘導加熱装置1に付設の支持手段6により、横置き状態でかつタイヤ軸芯廻りで回転可能に水平保持される。なお支持手段6は、本例では、下のビード部Tbを受けるトレー状の受け台7と、この受け台7をタイヤ軸芯廻りで回転自在に枢支する支持台8とを具えるとともに、前記受け台7は、例えばプーリ、ベルトなどを用いた周知構成の伝達手段9を介して電動機Mで駆動される。
【0019】
次に、前記誘導加熱装置1のビード加熱コイル2は、図2に示すように、タイヤ生カバーTの上のビード部Tbを加熱する上のビード加熱コイル部2U、及び下のビード部Tbを加熱する下のビード加熱コイル部2Lを含み、各ビード加熱コイル部2U、2Lは、夫々導電線10をタイヤと略同心に周回した環状部11を具えて形成される。本例では、前記環状部11として、導電線10が2周巻きされたものを例示しているが、この周回数は特に規制されるものではなく、要求に応じて適宜設定できる。
【0020】
又本例では、タイヤ生カバーTのセットを容易とするため、前記上のビード加熱コイル部2Uにおける環状部11Uの内径を、タイヤ生カバーTのトレッド部Ttの直径よりも大とするとともに、下のビード加熱コイル部2Lにおける環状部11Lの内径を、前記トレッド部Ttの直径よりも小に設定している。これによって、タイヤ生カバーTを上方から吊り下げ、上の環状部11Uを通って受け台7にセットすることができる。
【0021】
又前記トレッド加熱コイル3は、複数の渦巻きコイル部12を、タイヤ周方向に並べて接続してなり、又各渦巻きコイル部12は、導電線13を略渦巻き状に半径方向に径を異ならせて巻回することによって形成している。
【0022】
なお渦巻きコイル部12としては、図3に平面に展開して示すように、矩形な渦巻き状に形成することが、各渦巻きコイル部12を周方向に均一に配置する上で好ましいが、円形な渦巻き状とすることもできる。又渦巻きコイル部12は、渦巻きの半径方向内端と、隣り合う渦巻きコイル部12の渦巻きの半径方向外端とが継ぎ部14を介して電気的に接続される。この渦巻きコイル部12の巻回数も特に規制されるものではなく、要求に応じて適宜設定できる。
【0023】
ここで、前記ビード加熱コイル2は、図4に示す如く、環状部11U、11L間を、その環状の内側を通ってタイヤ軸芯方向にのびる磁界GAを発生せしめ、ビードコア30を誘電加熱する。又トレッド加熱コイル3は、トレッド面と略直角にトレッド部Ttを貫通してのびる磁界GBを発生せしめ、ブレーカ32を誘電加熱する。
【0024】
なお前記支持手段6の受け台7及び支持台8は、前記磁界GA、GBによって発熱しないように、非金属材で形成することが必要であり、又前記電動機Mは、前記環状部11U、11L及び渦巻きコイル部12の少なくともタイヤ半径方向外方に設置し、前記磁界GA、GBからの影響をできるだけ排除することが望ましい。
【0025】
次に、高周波電源装置4は、前記ビード加熱コイル2に接続される第1の電源部4Aと、トレッド加熱コイル3に接続される第2の電源部4Aとから形成されてなり、第1の電源部4Aは、上下のビード加熱コイル部2U、2Lを直列に接続する。又第1、第2の電源部4A、4Bは、その高周波電流の出力及び周波数を個別に調整でき、これによって、ビード加熱コイル2及びトレッド加熱コイル3による発熱を個別に調整しうる。なお、誘導加熱に用いられる高周波電流の周波数は、通常、50Hz〜1MHzの範囲であるが、周波数が高いと所謂表皮効果が大きく温度ムラとなる傾向が強く、従って、好ましくは1KHz〜500KHzの範囲、さらに好ましくは、10〜40KHzの低周波数域で使用するのが望ましい。
【0026】
又本例では、図1に示す如く、誘導加熱装置1に、トレッド部Tt及びビード部Tbの各表面温度を夫々非接触で測定する例えば赤外線温度センサー等の温度センサー15A、15Bと、この温度センサー15A、15Bの測定データによって、前記高周波電源装置4の出力制御(オン/オフを含む)を行う制御手段16とを設けた場合を例示している。
【0027】
次に、前記誘導加熱装置1を用いたタイヤの製造方法を説明する。この製造方法は、本加硫に先行してトレッド部Ttとビード部Tbとを誘導加熱によって予備加熱する予備加熱工程を含み、この予備加熱工程では、まずタイヤ生カバーTを上方から吊り下げて受け台7上にセットする。
【0028】
しかる後、電動機Mによってタイヤ生カバーTをタイヤ軸芯廻りで回転させるとともに、高周波電源装置4を作動し、前記ビード加熱コイル2及びトレッド加熱コイル3によって生じる磁界GA、GBにより、タイヤ補強部材33を誘導加熱(自己発熱)せしめ、厚肉のトレッド部Tt及びビード部Tbをその内部から有効に加熱する。
【0029】
このとき、タイヤ生カバーTの前記回転によって、タイヤ周方向の温度ムラが抑制され、温度分布をより均一化することができる。
【0030】
又トレッド部Tt及びビード部Tbを所望の設定温度まで、できるだけ同じ時間内で昇温させる、即ちできるだけ効率良く昇温させるために、前記ビード加熱コイルおよびトレッド加熱コイルによる発熱を個別に調整する。なお通常は、トレッド部Tt及びビード部Tbの設定温度は同じであるが、以後の本加硫を考慮し、タイヤの種類(サイズを含む)に応じて、トレッド部Ttの設定温度を、ビード部Tbの設定温度よりも、例えば10度程度高く設定することもできる。
【0031】
なお本例では、温度センサー15A、15Bによってトレッド部Tt及びビード部Tbの各表面温度を常時測定し、夫々の温度上昇速度に応じて第1、第2の電源部4A、4Bの出力を制御している。又夫々設定温度に到達した場合には、出力を保温用の低出力に切り替え、本加硫用の加硫装置の準備が整うまで設定温度の維持が図られる。
【0032】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0033】
【実施例】
図5に示すタイヤサイズ195/65R15の乗用車用のタイヤ生カバーを試作し、図1〜4に示す誘導加熱装置を用い、以下の条件で予備加熱を行った。
・高周波電源装置の周波数:20〜30KHz
・設定温度(トレッド部/上下のビード部):80゜C/80゜C
【0034】
加熱時間約300秒で、トレッド部及び上下のビード部を、夫々80゜Cの設定温度に、略同時にかつ周方向に均一に加熱することができた。
【0035】
これを、従来の加硫装置型による本加熱によって加硫したところ、標準加硫時間が従来10分であったものが、75秒の短縮を達成することができた。
【0036】
【発明の効果】
叙上の如く本発明は、ビード部加熱用のビード加熱コイルと、トレッド部加熱用のトレッド加熱コイルとを用い、夫々の発熱量を高周波電源装置によって個別に調整しているため、トレッド部およびビード部の夫々の温度上昇速度や設定温度を、広い自由度を有して精度良く制御することができ、タイヤの種類に応じて均一かつ迅速に予備加熱しうる。又本加硫における時短とタイヤ表面での過加硫の防止を達成しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤの製造方法に使用する誘導加熱装置の一実施例を概念的に示す断面図である。
【図2】そのビード加熱コイル及びトレッド加熱コイルを示す斜視図である。
【図3】トレッド加熱コイルの渦巻きコイル部を展開して示す線図である。
【図4】ビード加熱コイル及びトレッド加熱コイルによる磁界を示す略図である。
【図5】本発明に好適に用いられるタイヤ生カバーの一例を示す断面図である。
【図6】従来の加硫装置を説明する断面図である。
【図7】従来の予備加熱用の誘導加熱装置を示す略図である。
【符号の説明】
1 誘導加熱装置
2 ビード加熱コイル
2U、2L ビード加熱コイル部
3 トレッド加熱コイル
4 高周波電源装置
10、13 導電線
11 環状部
12 渦巻きコイル部
T タイヤ生カバー
Tt トレッド部
Tb ビード部
Claims (3)
- タイヤ生カバーのトレッド部とビード部とを本加硫に先行して予備加熱するタイヤの製造方法であって、 ビード部加熱用のビード加熱コイル、トレッド部加熱用のトレッド加熱コイル、及び前記ビード加熱コイルとトレッド加熱コイルとによる発熱を個別に調整しうる高周波電源装置とを具える誘導加熱装置により、トレッド部とビード部とを予備加熱したのちに金型加硫することを特徴とするタイヤの製造方法。
- 前記ビード加熱コイルは、導電線をタイヤと略同心に周回した環状部を具え、かつ前記トレッド加熱コイルは、導電線を略渦巻き状に半径方向に径を異ならせて巻回されかつタイヤ周方向に並べて接続した複数の渦巻きコイル部を具えることを特徴とする請求項1記載のタイヤの製造方法。
- 前記ビード加熱コイルは、タイヤ生カバーの両側のビード部を加熱しかつ前記予備加熱装置の上下に配される上、下のビード加熱コイル部を含み、上のビード加熱コイル部は、その内径をタイヤ生カバーのトレッド部の直径よりも大とするとともに、下のビード加熱コイル部は、トレッド部の直径よりも小としたことを特徴とする請求項1又は2記載のタイヤの製造方法。
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