JP3769435B2 - 路面摩擦状態推定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、路面摩擦状態推定装置に係り、より詳しくは、車輪と路面との間の摩擦係数の滑り速度に対する勾配である路面μ勾配などの車輪の滑り易さを表す物理量に基づいて、車輪の路面に対する摩擦状態を推定する路面摩擦状態推定装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、車輪速度信号を検出し、検出した車輪速度信号に基づいて路面μ勾配を推定する装置が提案されている。この装置では、路面μ勾配を推定するために車輪速度信号を検出しているため、突起の乗り越し時や、圧雪などの荒れた路面では、路面μ勾配の推定値が小さくなる。よって、路面μ勾配の推定精度が悪い。
【0003】
例えば、図10に示すように、アスファルト路を走行中に突起を乗り越した場合には、前述したように、車輪速度信号が小さくなり、この時に推定された路面μ勾配の推定値が小さくなり、低μ路における路面μ勾配の推定値とほぼ同様な値となり、突起乗り越し時に低μ路を走行していると判定する場合がある。
【0004】
本発明は、上記事実に鑑み成されたもので、車輪の路面に対する摩擦状態を精度良く推定することの可能な路面摩擦状態推定装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため請求項1記載の発明は、車輪速度信号を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された車輪速度信号の内、少なくとも1つの共振点又は少なくとも1つの反共振点を含む周波数が低周波数領域より大きい所定範囲の車輪速度信号を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された車輪速度信号に基づいて、車輪の振動の大きさを表す物理量を演算する演算手段と、前記検出手段により検出された車輪速度信号に基づいて、車輪のすべり易さを表す物理量として、路面μ勾配、制動トルク勾配または駆動トルク勾配のいずれか1つを推定する推定手段と、前記演算手段により演算された車輪の振動の大きさを表す物理量と前記推定手段により推定された車輪のすべり易さを表す物理量とに基づいて、車輪の路面に対する摩擦状態を推定する路面摩擦状態推定手段と、を備えている。
【0006】
即ち、本発明の検出手段は、車輪速度信号を検出し、抽出手段は、検出手段により検出された車輪速度信号の内、少なくとも1つの共振点又は少なくとも1つの反共振点を含む周波数が低周波数領域より大きい所定範囲の車輪速度信号を抽出する。
【0007】
算出手段は、抽出手段により抽出された車輪速度信号に基づいて、車輪の振動の大きさを表す物理量を演算する。なお、車輪の振動の大きさを表す物理量は、抽出手段により抽出された車輪速度信号の振動レベル又は振幅としてもよい。
【0008】
推定手段は、検出手段により検出された車輪速度信号に基づいて、車輪のすべり易さを表す物理量を推定する。ここで、車輪の滑り易さを表す物理量は、スリップ速度に対する車輪と路面との間の摩擦係数μの勾配である路面μ勾配や、スリップ速度に対する制動トルクの勾配である制動トルク勾配、及び駆動トルクの勾配である駆動トルク勾配のいずれか1つである。
【0009】
ところで、車輪の振動の大きさを表す物理量と車輪の滑り易さを表す物理量との関係は路面状態毎に定まる。
【0010】
そこで、推定手段は、演算手段により演算された車輪の振動の大きさを表す物理量と推定手段により推定された車輪のすべり易さを表す物理量とに基づいて、車輪の路面に対する摩擦状態を推定する。
【0011】
このように、車輪の振動の大きさを表す物理量と車輪のすべり易さを表す物理量とに基づいて、車輪の路面に対する摩擦状態を推定するので、車輪の路面に対する摩擦状態を精度よく判定することができる。
【0012】
ここで、車輪の振動の大きさを表す物理量は、車輪のすべり易さを表す物理量の逆数に比例して大きくなる。即ち、逆転現象が発生する。このため、低周波数領域の車輪速度信号を抽出して求めた車輪の振動の大きさを表す物理量及び車輪のすべり易さを表す物理量に基づいて、車輪の路面に対する摩擦状態を推定しても、車輪の路面に対する摩擦状態を精度よく判定することができない。
【0013】
そこで、本発明では、上記摩擦状態を推定するために、低周波数領域より大きい所定範囲の車輪速度信号を抽出して、車輪の路面に対する摩擦状態を精度よく判定している。
【0014】
請求項3記載の発明は、車輪速度信号を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された車輪速度信号に基づいて、車輪のすべり易さを表す物理量として、路面μ勾配、制動トルク勾配または駆動トルク勾配のいずれか1つを推定する推定手段と、前記推定手段により推定された車輪のすべり易さを表す物理量の時間的変化率を演算する演算手段と、前記推定手段により推定された車輪のすべり易さを表す物理量と前記演算手段により演算された車輪のすべり易さを表す物理量の時間的変化率とに基づいて、車輪の路面に対する摩擦状態を推定する路面摩擦状態推定手段と、を備えている。
【0015】
上記車輪の滑り易さを表す物理量と車輪のすべり易さを表す物理量の変化率との関係は路面状態毎に定まる。
【0016】
そこで、路面摩擦状態推定手段は、推定手段により推定された車輪のすべり易さを表す物理量と前記演算手段により演算された車輪のすべり易さを表す物理量の変化率とに基づいて、車輪の路面に対する摩擦状態を推定する。
【0017】
このように、車輪のすべり易さを表す物理量と車輪のすべり易さを表す物理量の変化率とに基づいて、車輪の路面に対する摩擦状態を推定するので、車輪の路面に対する摩擦状態を精度よく判定することができる。
【0018】
ここで、本発明においても、上記摩擦状態を推定するために、低周波数領域より大きい所定範囲の車輪速度信号を抽出しているため、車輪の路面に対する摩擦状態を精度よく判定するこたができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0020】
図1には、第1の実施の形態に係る路面摩擦推定装置の構成が示されている。同図に示すように、本路面摩擦推定装置は、各車輪の車輪速度信号ω1を検出する車輪速検出手段1と、検出された各車輪の車輪速度信号ω1から路面外乱ΔTdを受けた車輪共振系の応答出力としての各車輪の車輪速振動Δω1を検出する前処理フィルタ2と、検出された車輪速振動Δω1を満足するような各車輪の伝達関数を最小自乗法を用いて同定する伝達関数同定手段3と、同定された伝達関数に基づいてタイヤと路面との間の摩擦係数μの勾配を各車輪毎に演算するμ勾配演算手段4と、を備えている。
【0021】
図1において、車輪速検出手段1は、車輪速度に応じたセンサ出力信号を出力するいわゆる車輪速センサと、該センサ出力信号から各車輪の実際の回転速度信号を演算する演算手段と、から構成することができる。
【0022】
また、前処理フィルタ2は、本車輪共振系の共振周波数と予想される周波数を中心として一定の帯域の周波数成分のみを通過させるバンドパスフィルタや、該共振周波数成分を含む高帯域の周波数成分のみを通過させるハイパスフィルタなどで構成することができる。なお、本実施の形態では、このバンドパスフィルタ或いはハイパスフィルタの周波数特性を規定するパラメータを一定値に固定したものである。
【0023】
なお、この前処理フィルタ2の出力は、直流成分を除去したものとする。すなわち、車輪速度信号ω1の回りの車輪速振動Δω1のみが抽出される。
【0024】
いまここで、前処理フィルタ2の伝達関数F(s)を、
【0025】
【数1】
【0026】
とする。ただし、ciはフィルタ伝達関数の係数、sはラプラス演算子である。
【0027】
次に、伝達関数同定手段3が依拠する演算式を導出しておく。なお、本実施の形態では、前処理フィルタ2の演算を、伝達関数同定手段3の演算に含めて実施する。
【0028】
まず、第1の実施の形態で同定すべき伝達関数は、路面外乱ΔTdを加振入力として、このとき前処理フィルタ2により検出された車輪速振動Δω1を応答出力とする2次のモデルとする。すなわち、
【0029】
【数2】
【0030】
の振動モデルを仮定する。ここに、vは車輪速信号を観測するときに含まれる観測雑音である。(2)式を変形すると、次式を得る。
【0031】
【数3】
【0032】
まず、(3)式に(1)式の前処理フィルタを掛けて得られた式を離散化する。このとき、Δω1、ΔTd、vは、サンプリング周期Ts 毎にサンプリングされた離散化データΔω1 (k)、ΔTd (k)、v(k)(kはサンプリング番号:k=1,2,3,.... )として表される。また、ラプラス演算子sは、所定の離散化手法を用いて離散化することができる。本実施の形態では、1例として、次の双一次変換により離散化するものとする。なお、dは1サンプル遅延演算子である。
【0033】
【数4】
【0034】
また、前処理フィルタの次数mは、2以上が望ましいので、本実施の形態では、演算時間も考慮してm=2とし、これによって次式を得る。
【0035】
【数5】
【0036】
また、最小自乗法に基づいて、車輪速振動Δω1の各データから伝達関数を同定するために、(4)式を、同定すべきパラメータに関して一次関数の形式となるように、次式のように変形する。なお、”T”を行列の転置とする。
【0037】
【数6】
【0038】
である。上式において、θが同定すべき伝達関数のパラメータとなる。
【0039】
また、本実施の形態の路面摩擦状態推定装置は、車輪速検出手段によって検出された車輪速信号のうち、少なくとも1つの共振点または少なくとも1つの反共振点を含む周波数が低周波数領域より大きい所定範囲の車輪速度信号を抽出するバンドパスフィルタ5を備えている。バンドパスフィルタ5には、バンドパスフィルタ5より抽出された車輪速信号に基づいて、車輪の振動の大きさを表す物理量、本実施の形態では、振動レベルを演算する振動レベル演算手段6Aが接続されている。そして、本実施の形態の路面摩擦状態推定装置は、μ勾配演算手段4により演算された路面μ勾配と、振動レベル演算手段6Aにより演算された振動レベルとに基づいて車輪の路面に対する摩擦状態を推定する路面摩擦状態推定手段7を備えている。
【0040】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0041】
伝達関数同定手段3では、検出された車輪速振動Δω1の離散化データを(22)式に順次当てはめた各データに対し、最小自乗法を適用することによって、未知パラメータθを推定し、これにより伝達関数を同定する。
【0042】
具体的には、検出された車輪速振動Δω1を離散化データΔω(k)(k=1,2,3,...)に変換し、該データをN点サンプルし、次式の最小自乗法の演算式を用いて、伝達関数のパラメータθを推定する。
【0043】
【数7】
【0044】
ここに、記号”^”の冠した量をその推定値と定義することにする。
【0045】
また、上記最小自乗法は、次の漸化式によってパラメータθを求める逐次型最小自乗法として演算してもよい。
【0046】
【数8】
【0047】
ここに、ρは、いわゆる忘却係数で、通常は0.95〜0.99の値に設定する。このとき、初期値は、
【0048】
【数9】
【0049】
とすればよい。
【0050】
また、上記最小自乗法の推定誤差を低減する方法として、種々の修正最小自乗法を用いてもよい。本実施の形態では、補助変数を導入した最小自乗法である補助変数法を用いた例を説明する。該方法によれば、(9)式の関係が得られた段階でm(k)を補助変数として、次式を用いて伝達関数のパラメータを推定する。
【0051】
【数10】
【0052】
また、逐次演算は、以下のようになる。
【0053】
【数11】
【0054】
補助変数法の原理は、以下の通りである。(28)式に(22)式を代入すると、
【0055】
【数12】
【0056】
となるので、(19)式の右辺第2項が零となるように補助変数を選べばθの推定値は、θの真値に一致する。そこで、本実施の形態では、補助変数として、ζ(k)=[−ξy1(k)−ξy2(k)]Tを式誤差r(k)と相関を持たないほどに遅らせたものを利用する。すなわち、
m(k)=[−ξy1(k−L)−ξy2(k−L)]T (20)
とする。ただし、Lは遅延時間である。
【0057】
上記のようにして伝達関数を同定した後、μ勾配演算手段4において、路面μ勾配D0 に関係する物理量を、
【0058】
【数13】
【0059】
と演算する。このように(21)式により路面μ勾配D0 に関係する物理量を演算できると、例えば、該物理量が小さいとき、タイヤと路面との間の摩擦特性が飽和状態であると容易に判定できる。
【0060】
ところで、車輪速検出手段1により、検出された車輪速信号は、周波数に応じて分解すると、図2に示すように、2つの共振点と1つの反共振点を有する。2つの共振点のうち周波数が小さい側の共振点は、タイヤ慣性などに基づく前後共振点であり、周波数はf1(15〜20)Hzである。また、2つの共振点のうち周波数が高い側の共振点は、タイヤの空気圧やタイヤゴム弾性に基づく捩れ共振点であり、周波数はf3(35〜40)Hzである。そして、車輪速信号には、色々な信号に対して不感帯の反共振点を有し、周波数f2(20〜25)Hzである。本実施の形態に係るバンドパスフィルタ5は、車輪速検出手段1により検出された車輪速信号のうち、捩れ共振点(周波数f3)含む所定範囲Δfの車輪速信号を抽出している。なお、バンドパスフィルタ5は、捩れ共振点以外の、前後共振点や反共振点を含む所定範囲Δfの車輪速信号を抽出するようにしてもよい。
【0061】
振動レベル演算手段6Aは次式より定まる車輪速信号の振動レベルG(N)を演算する。なお、バンドパスフィルタ5の出力はω(k)である。
【0062】
【数14】
【0063】
なお、振動レベル演算手段6Aは、実際には、演算タイミング毎に、
【0064】
【数15】
【0065】
の漸化式を逐次的に演算する。このように、振動レベル演算手段6Aで振動レベルを演算するのは次の理由からである。即ち、前述したように路面μ勾配は、突起乗り越し等により、適正に推定されない(図10参照)。
【0066】
一方、このようにして得られた振動レベルと路面μ勾配の推定値とを、アスファルト路面、低μ路路面においてプロットすると、図3に示すようにアスファルト路面と低μ路路面とでは明確に区別されて認識されるとともに、アスファルト路面中に突起を乗り越したとしても、低μ路における領域と明確に区別されて認識される。上記事実に鑑み本発明者は、種々の路面状態毎に振動レベルと路面μ勾配との推定値との関係を求めたところ、図4に示すように、振動レベルと路面μ勾配の推定値とは各路面状態、例えば低μ路、アスファルト路、石畳路、圧雪路、砂利・非整地路毎に領域毎に明確に区別されて認識出来ることが実験の結果得られた。即ち、例えば、圧雪路は路面μ勾配の推定値としては高μ路(アスファルト路、石畳路)より若干小さい値となっているが、振動レベルの違いによって領域に差が表れている。砂利道等は更に振動レベルが高い領域にあるが、路面μ勾配の推定値は高μ路より低い値となっている。
【0067】
そこで、路面摩擦状態推定手段7は、振動レベル演算手段6Aにより演算された振動レベル及びμ勾配演算手段4により演算された路面μ勾配の推定値と、上記路面状態毎の両者の関係(図4参照)と、基づいて、車輪の路面に対する摩擦状態を推定する。
【0068】
ところで、本実施の形態では、バンドパスフィルタ5は、車輪速信号のうち、2つの共振点の何れか一方の共振点の車輪速信号または、反共振点の車輪速信号を抽出する。即ち、図2に示すように、周波数が低周波数領域より大きい車輪速信号を検出するようにしている。このように周波数が低周波数領域より大きい車輪速信号を検出するようにしているのは、図2に示すように周波数が低周波数領域より小さい車輪速信号は誤差が大きいため影響が大きくなり、路面摩擦状態を精度よく推定することが出来ないためである。
【0069】
即ち、図5には、アスファルト路、低μ路を走行したときの車輪速度信号の周波数特性が示されている。なお、低μ路は、アスファルト路に比較して凹凸が非常に小さくなっている。
【0070】
40Hz付近にある共振特性を見ると、低μ路はアスファルト路に比較して振動レベルが小さくなっており、路面の凹凸をよく反映していることが理解できる。また、共振の強さも小さくなっており、本手法によって低μ路であることが推定できる。
【0071】
低周波数領域(5Hz以下)の振動成分をみると、この領域では、振動レベルは路面μ勾配の逆数に比例して大きくなるため、低μ路の低周波数領域の車輪速度信号の振動レベルは、アスファルト路の低周波数領域の車輪速度信号の振動レベルより大きくなっている。
【0072】
よって、低周波数領域の車輪速度信号に基づいて振動レベル及び路面μ勾配を演算して路面状態を推定すると、次のような問題が生ずる。
【0073】
即ち、低周波数領域の振動成分は、路面μ勾配に依存し、実路面の凹凸状態を反映していない。このため、路面判定用のマップ作成には多くの適合工数を必要となる。
【0074】
また、低周波数領域の車輪速度信号には、車両のロール、ピッチング運動による振動成分も含まれているため、走行条件によっては路面状態を精度よく判定することができない場合がある。
【0075】
更に、上記理由から、判定マップは、タイヤや車両の物理パラメータに応じて用意しなければならないが、タイヤ交換等により車両の緒元を変更したときは対応が困難であり、場合によっては路面状態の判定ができない虞がある。
【0076】
一方、本実施の形態では、低周波数領域より大きい領域の車輪速度信号を対象としているため、上記問題が発生せず、路面状態を精度よく判定することができる。
【0077】
次に本発明の第2の実施の形態を説明する。本実施の形態の構成は、前述した第1の実施の形態と同様の構成部分を有するので、同一部分は同一の符合を付してその説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0078】
即ち、本実施の形態に係る路面摩擦状態推定装置は、第1の実施の形態に係る振動レベル演算手段6Aにかえて、振幅演算手段6Bを備えている。
【0079】
次に、本実施の形態に係る作用を説明する。なお、本実施の形態に係る作用は前述した第1の実施の形態に係る作用と同様の作用部分があるので、同一の作用部分はその説明を省略し、異なる作用部分についてのみ説明する。
【0080】
本実施の形態に係る振幅演算手段6Bは、バンドパスフィルタ5により抽出された所定周波数の車輪速信号の振幅を演算する。具体的には、次の通りである。
【0081】
即ち、所定周波数fの振幅を求めるには、後述するsin関数の値Siとcos関数の値Ciを用いて求める。
【0082】
即ち、サンプル時間をTSとし、
【0083】
【数16】
【0084】
を求め、振幅を求めたい車輪速信号をy、現在のサンプリング時の車輪速信号の値をy(N)とすると、
【0085】
【数17】
【0086】
となり、振幅Aが求められる。
【0087】
ところで、本発明者は、上記のように演算された振幅と路面μ勾配の推定値との関係は、路面状態毎に領域に分かれて明確に区別されて認識出来ることを発見した。
そこで、本実施の形態に係る路面摩擦状態推定手段7は、μ勾配演算手段4により演算された路面μ勾配及び振幅演算手段6Bにより演算された振幅と上記関係(図7参照)とに基づいて、路面摩擦状態を推定する。
【0088】
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。本実施の形態の構成は、前述した第1の実施の形態の構成と同一部分を有するので、同一部分には同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0089】
即ち、本実施の形態に係る路面状態推定装置は、車輪速検出手段1、前処理フィルタ2、伝達関数道程手段3、及びμ勾配演算手段4を備えている。更に本実施の形態に係る路面摩擦状態推定装置は、μ勾配演算手段4により演算された路面μ勾配の変化率を演算するμ勾配変化率演算手段6Cを備えている。
【0090】
本発明者は、路面μ勾配の変化率と路面μ勾配の推定値とが、図9に示すように、路面状態に応じて領域毎に分割されて明確に区別されて認識出来ることを発見した。
【0091】
そこで、本実施の形態に係る路面摩擦状態推定手段7は、μ勾配演算手段4により演算された路面μ勾配及びμ勾配変化率演算手段6Cにより演算された路面μ勾配の変化率と、上記関係(図9参照)と、に基づいて車輪の路面に対する摩擦状態を推定する。
【0092】
前述した第1の実施の形態乃至第3の実施の形態では、路面μ勾配を演算しているが、本発明はこれに限定されるものでなく、路面μ勾配と等価な制動トルク勾配を演算するようにしても良い。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、車輪の路面に対する摩擦状態を推定するために、低周波数領域より大きい所定範囲の車輪速度信号を抽出するので、車輪の路面に対する摩擦状態を精度よく判定することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第2の実施の形態のブロック図である。
【図2】車輪速信号の周波数と振幅との関係を示したグラフである。
【図3】車輪速度信号の振動レベルと路面μ勾配との、アスファルト路及び低μ路の関係を示したグラフである。
【図4】車輪速度信号の振動レベルと路面μ勾配との路面状態毎の関係を示したグラフである。
【図5】車輪速度信号の周波数特性を示した図である。
【図6】第2の実施の形態のブロック図である。
【図7】車輪速度信号の振幅と路面μ勾配との路面状態毎の関係を示したグラフである。
【図8】第3の実施の形態のブロック図である。
【図9】路面μ勾配と路面μ勾配の変化率との路面状態毎の関係を示したグラフである。
【図10】低μ路を走行する前に突起を乗り越した時の路面μ勾配推定値の変化を表すグラフである。
【符号の説明】
1 車輪速検出手段(検出手段)
4 μ勾配演算手段(推定手段)
5 バンドパスフィルタ(抽出手段)
6A 振動レベル演算手段(演算手段)
7 路面摩擦状態推定手段
6B 振幅演算手段(演算手段)
6C μ勾配変化率演算手段(演算手段)
Claims (3)
- 車輪速度信号を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された車輪速度信号の内、少なくとも1つの共振点又は少なくとも1つの反共振点を含む周波数が低周波数領域より大きい所定範囲の車輪速度信号を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された車輪速度信号に基づいて、車輪の振動の大きさを表す物理量を演算する演算手段と、
前記検出手段により検出された車輪速度信号に基づいて、車輪のすべり易さを表す物理量として、路面μ勾配、制動トルク勾配または駆動トルク勾配のいずれか1つを推定する推定手段と、
前記演算手段により演算された車輪の振動の大きさを表す物理量と前記推定手段により推定された車輪のすべり易さを表す物理量とに基づいて、車輪の路面に対する摩擦状態を推定する路面摩擦状態推定手段と、
を備えた路面摩擦状態推定装置。 - 前記車輪の振動の大きさを表す物理量は、前記抽出手段により抽出された車輪速度信号の振動レベル又は振幅であることを特徴とする請求項1記載の路面摩擦状態推定装置。
- 車輪速度信号を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された車輪速度信号に基づいて、車輪のすべり易さを表す物理量として、路面μ勾配、制動トルク勾配または駆動トルク勾配のいずれか1つを推定する推定手段と、
前記推定手段により推定された車輪のすべり易さを表す物理量の時間的変化率を演算する演算手段と、
前記推定手段により推定された車輪のすべり易さを表す物理量と前記演算手段により演算された車輪のすべり易さを表す物理量の時間的変化率とに基づいて、車輪の路面に対する摩擦状態を推定する路面摩擦状態推定手段と、
を備えた路面摩擦状態推定装置。
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