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JP3769578B2 - 射出成形同時加飾品の製造方法及び射出成形同時加飾用金型 - Google Patents
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JP3769578B2 - 射出成形同時加飾品の製造方法及び射出成形同時加飾用金型 - Google Patents

射出成形同時加飾品の製造方法及び射出成形同時加飾用金型 Download PDF

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本発明は、射出成形同時加飾品の製造方法及び射出成形同時加飾用金型に関するものである。
近年、軽薄短小化の要請から、電子機器の成形品や各種部品を極力薄肉化する要望が高まっている。この要望に応えるため、各製品の外形に適合した成形空間部と成形空間部の全周を囲む補助空間部とから構成される射出成形金型を用いた樹脂成形品の製造方法に関するものとして、例えば、特許第3044027号公報に記載されているような樹脂成形品の製造方法がある。
この従来における成形品の製造方法においては、互いに対向配置された2枚の金型により形成される空間である成形空間部の全周を囲む補助空間部に溶融した成形樹脂をゲート部から注入させた後、補助空間部を介して成形空間部に成形樹脂を注入して樹脂成形品を得る発明であり、補助空間部のあらゆる方向から成形空間部に樹脂を流入させることができるので、成形空間部が薄肉であっても樹脂を均一に流入させることが容易に可能となるとされている。
ここで、前記2枚の金型により夫々の空間が形成された状態の夫々の金型の模式断面図を図40Aに示し、さらに、図40Aにおける夫々の空間への溶融された成形樹脂の注入の際における当該成形樹脂の流れを示す模式平面図を図40Bに示し、これらの図面を用いて、前記従来の製造方法について具体的に説明する。図40Aに示すように、前記2枚の金型、すなわち、第1金型501と第2金型502とが互いに対向されて配置されて、さらに型締めされることで、夫々の金型501と502との内側表面間には、成形空間部503と、この成形空間部503の外周全体に渡って連通されて配置された補助空間部504とが形成される。補助空間部504には、金型501の外部より溶融された成形樹脂を注入可能なゲート部514が連通されて備えられている。このような状態において、ゲート部514から補助空間部504内に溶融された成形樹脂の注入が行なわれると、補助空間部504内に注入された成形樹脂は、図40Bに示すように、成形空間部503の外周全体を回り込むように流された後、成形空間部503の略中央部分に向かって流れ込むようにして(図示矢印dが成形樹脂の流れ方向を示す)、補助空間部504から成形空間部503へ成形樹脂の導入が行なわれる。
すなわち、ゲート部514を通して補助空間部504に注入された成形樹脂は、補助空間部504から成形空間部503へと向かうあらゆる方向より、成形空間部503内へ導入されることとなる。このようにあらゆる方向から成形空間部503内への成形樹脂の導入が行なわれることにより、薄肉の成形空間部503内へ略均一な状態で成形樹脂の供給を行なうことが可能となる。そして、導入された成形樹脂が固化された後、第1金型501と第2金型502とが離間されて、薄肉の樹脂成形品505が取り出される。さらにその後、この樹脂成形品505の表面への加飾が、例えば、印刷や塗装により行なわれることで射出成形加飾品が製造される。
特許第3044027号公報
しかしながら、このような従来の樹脂成形品の製造方法においては、樹脂成形品が形成された後に、当該樹脂成形品に対する加飾が行なわれるというように、加飾が後加工となるため、加飾が多層になると生産効率が悪い上に、成形品が立体形状になると容易に印刷することができなかったり、精度を必要とするパターンでは塗装できなかったりする場合があるという問題がある。
また、ゲート部514より補助空間部504に注入された溶融した成形樹脂が、補助空間部504を介して成形空間部503内に注入されるため、つまり成形空間部503の全周を囲むように配置された補助空間部504から成形空間部503に向かって溶融した成形樹脂が流れ込むことになるため、次のような問題点がある。
すなわち、ガスを多く含む溶融した成形樹脂の先端部分が成形空間部503の中心部に集まることになり、成形された樹脂成形品505の中心部にガスが残りやすい。さらに、このようにガスが残りやすい状態において、溶融した成形樹脂が成形空間部503の中心部付近で相互にぶつかりあうことで、図42の樹脂成形品505の模式図に示すように、成形空間部503により形成された樹脂成形部505a(なお、図示505bは、補助空間部504により形成された樹脂成形部である。)の当該中心部付近において、ガスによる樹脂焼け552が発生するおそれがある。また、図41に示すように、溶融した成形樹脂が成形空間部503の中心部付近で相互にぶつかりあうことにより、成形空間部503により形成された樹脂成形部505aの略中心部付近において、ウエルド551が生じ易いという問題がある。
また、成形空間部503の全周を囲む補助空間部504を介して溶融した成形樹脂を成形空間部503に注入させて、成形空間部503へのあらゆる方向からの略均一な成形樹脂の注入を実現させるため、成形空間部503をはさんでゲート部514と反対側に位置される補助空間部504に、成形空間部503への成形樹脂の充填が開始される前までに、成形樹脂の充填を行なう必要があるという制約がある。このような制約の存在は、成形空間部503及び補助空間部504の形状や配置を実質的にごく限られたものに限定してしまうという問題点がある。
従って、本発明の目的は、前記問題点を解決することにあって、互いに対向配置された第1金型と第2金型との間に加飾フィルムを配置し、当該加飾フィルムを前記第1金型とによって形成される成形空間部に溶融した成形樹脂を注入して、当該注入により前記成形空間部に充填された前記成形樹脂を固化させるとともに、当該成形樹脂の表面に前記加飾フィルムにより加飾を行なう射出成形同時加飾において、様々な形状の成形品への加飾を高精度かつ効率的に行なうことができ、さらに、成形される樹脂成形品の中心部等にウエルド等が発生することを防止できる射出成形同時加飾品の製造方法及び当該製造において用いられる射出成形同時加飾用金型を提供することにある。
本発明は、前記目的を達成するため、以下のように構成している。
本発明に係る射出成形同時加飾品の製造方法は、互いに対向配置された第1金型と第2金型との間に加飾フィルムを配置し、当該加飾フィルムと当該第1金型とによって形成される成形空間部に溶融した成形樹脂を注入して当該成形空間部に充填された成形樹脂を固化させて射出成形同時加飾品を得る射出成形同時加飾品の製造方法において、前記第1金型には前記成形樹脂を注入するゲート部が設けられ、前記成形空間部が、ゲート部から注入された成形樹脂が流入する当該ゲート部に連通して形成された樹脂注入用成形空間部と樹脂注入用成形空間部に流入した成形樹脂が当該樹脂注入用成形空間部から流入する当該樹脂注入用成形空間部に隣接して形成された製品成形空間部と製品成形空間部に充填された成形樹脂の一部の成形樹脂が製品成形空間部から排出されて流入する当該製品成形空間部に隣接して形成された樹脂排出用成形空間部とを備え、前記樹脂注入用成形空間部と前記製品成形空間部と前記樹脂排出用成形空間部との各境界部分がそれぞれ互いに仕切られることなく連通しており、注入された成形樹脂がゲート部を中心として該ゲート部から略放射状に流れて広がって樹脂注入用成形空間部に充填されて当該ゲート部からの前記略放射状の広がりを維持した状態で樹脂注入用成形空間部から製品成形空間部に流れ込んで製品成形空間部に充填され、製品成形空間部から排出されるように樹脂排出用成形空間部に流れ込んで成形空間部全体に充填され、その後、成形樹脂を固化させると共に当該成形樹脂の表面を前記加飾フィルムにより加飾して射出成形同時加飾品を得るものである。
また、本発明は、前記射出成形同時加飾品の製造方法において、第1金型と第2金型との間に加飾フィルムを配置した状態で第1金型と第2金型とを型締めして成形空間部を密閉させた状態において成形樹脂の注入を行ない、成形空間部に成形樹脂が充填された後、成形空間部の容積を縮小させて充填された成形樹脂の圧縮を行なうものである。
また、本発明は、前記射出成形同時加飾品の製造方法において、第1金型と第2金型との間に加飾フィルムを配置した状態で第1金型と第2金型とを近接配置させて成形空間部を開放させた状態において成形樹脂の注入を行ない、その後、第1金型と第2金型とを型締めして成形空間部の容積を縮小させて充填された成形樹脂の圧縮を行なうものである。
また、本発明に係る射出成形同時加飾用金型は、互いに対向配置された第1金型と第2金型との間に加飾フィルムを配置し、当該加飾フィルムと当該第1金型とによって形成される成形空間部に溶融した成形樹脂を注入して当該成形空間部に充填された成形樹脂を固化させると共に当該加飾フィルムにより成形樹脂の表面に加飾を行って射出成形同時加飾品を得るための射出成形同時加飾用金型において、前記第1金型には前記成形樹脂を注入するゲート部が設けられ、前記成形空間部が、ゲート部から注入された成形樹脂が流入する当該ゲート部に連通して形成された樹脂注入用成形空間部と樹脂注入用成形空間部に流入した成形樹脂が当該樹脂注入用成形空間部から流入する当該樹脂注入用成形空間部に隣接して形成された製品成形空間部と製品成形空間部に充填された成形樹脂の一部の成形樹脂が製品成形空間部から排出して流入される当該製品成形空間部に隣接して形成された樹脂排出用成形空間部とを備え、前記樹脂注入用成形空間部と前記製品成形空間部と前記樹脂排出用成形空間部との各境界部分がそれぞれ互いに仕切られることなく連通しており、注入された成形樹脂がゲート部を中心として該ゲート部から略放射状に流れて広がって樹脂注入用成形空間部に充填されて当該ゲート部からの前記略放射状の広がりを維持した状態で樹脂注入用成形空間部から製品成形空間部に流れ込んで製品成形空間部に充填され、製品成形空間部から排出されるように樹脂排出用成形空間部に流れ込んで成形空間部全体に充填されるものである。
また、本発明は、前記射出成形同時加飾用金型において、樹脂排出用成形空間部を形成する第2金型の表面に該表面に密着した加飾フィルムの弛みを除去して保持する略凸状に隆起したフィルム保持部が設けられているものである。
さらに、本発明は、前記いずれかの射出成形同時加飾用金型において、成形空間部が方形状であって製品成形空間部の平均断面積S1(mm)と製品成形空間部の平均厚みT1(mm)と外枠成形空間部の平均断面積S2(mm)と外枠成形空間部の平均厚みT2(mm)とがS1≧4×S2かつT1≧T2の関係にあるものである。
本発明によれば、射出成形同時加飾品の製造方法において、成形空間部が、製品成形空間部と、当該製品成形空間部に注入された成形樹脂が流入される樹脂排出用成形空間部とからなり、前記製品成形空間部に前記成形樹脂の注入を行なうとともに、当該注入された成形樹脂の一部を当該製品成形空間部より前記樹脂排出用成形空間部に排出しながら、当該製品成形空間部への前記成形樹脂の充填を行なうことで、前記製品成形空間部内において、前記成形樹脂の注入の位置から前記樹脂排出用成形空間部への排出の方向に向けての前記成形樹脂の流れを形成することができる。したがって、製品部分としての成形品が形成される前記製品成形空間部内において、前記成形樹脂があらゆる方向から流れ込むのではなく、前記成形樹脂同士のぶつかり合いが生じないように、当該成形樹脂の流れ方向を規制することができる。よって、前記製品成形空間部内において、ウエルドが生じることを確実に防止することができる。
また、前記製品成形空間部に充填された成形樹脂の一部は、前記樹脂排出用成形空間部に流入されることとなるため、上述のようなウエルドが発生するような場合であっても、そのウエルドは製品部分として用いられず、除去される部分である当該樹脂排出用成形空間部内において生じることとなるため、特に問題は生じない。
さらに、前記成形樹脂中に含まれるガスも、前記規制された流れ方向に沿って前記成形樹脂とともに、前記樹脂排出用成形空間部に流入されて集積されることとなるため、前記製品成形空間部にガス溜り部分を生じさせることなく、ガスによる樹脂焼けを防止することができる。
したがって、最終的な製品部分となる前記製品成形空間部により形成される成形品の表面には、ウエルドや樹脂焼けを生じさせることなく、その品質を向上させることができる。
また、前記ウエルドや樹脂焼けを防止することができるため、前記製品成形空間部において形成される成形品の表面に、当該成形とともに加飾フィルムによる加飾を行なうことができ、効率的な加飾を実現することができる。
さらに、このような加飾フィルムを用いた射出成形同時加飾を実現できることにより、加飾が多色になっても生産性にほとんど影響がでない。また、加飾フィルムが金型形状に追随して成形されるため、通常の印刷では困難な三次元形状面に対する加飾も可能とすることができ、高精度な加飾を効率的に行なうことができる。
また、本発明によれば、前記成形空間部が、当該成形空間部の外部より前記成形樹脂が注入される樹脂注入用成形空間部をさらに有していることにより、前記成形空間部の外部より前記樹脂注入用成形空間部に前記成形樹脂の注入を行なうとともに、当該注入された成形樹脂を当該樹脂注入用成形空間部より前記製品成形空間部に流入させて、当該製品成形空間部への前記成形樹脂の注入を行なうことができる。このように、前記成形樹脂の注入が行なわれる注入孔部を、直接的に前記製品成形空間部に設けるのではなく、別の空間部である前記樹脂注入用成形空間部に設けることで、前記注入孔部より注入される成形樹脂の噴出圧力等による前記加飾フィルムの損傷を防止することができるとともに、前記製品成形空間部への前記成形樹脂の注入をより均一化されたものとすることができる。
また、本発明によれば、前記成形空間部が2つの製品成形空間部を備えるような場合であっても、上述の効果を有する製造方法を提供することができる。さらに、前記成形空間部において、夫々の製品成形空間部に対して、個別に前記樹脂注入用成形空間部や前記樹脂排出用成形空間部を備えさせるような場合でなくても、例えば、共通の前記樹脂注入用成形空間部や共通の前記樹脂排出用成形空間部を備えさせることで、前記成形空間部における夫々の空間配置を効率的に行なうことができる。したがって、金型の小型化や使用される成形樹脂の有効活用等、効率的な射出成形同時加飾品の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、本発明の射出成形同時加飾品の製造方法に、射出成形にて用いられる様々な成形方法を適用することができる。例えば、密閉状態にて成形空間部への成形樹脂の注入を行なうことで、金型周部に露出される成形樹脂をなくすことができ、また、成形樹脂の注入後、前記成形空間部の容積を縮小させることで、前記成形空間部が薄型空間等であるような場合であっても、前記成形樹脂の注入を良好に行なうことができるとともに、前記注入された成形樹脂の密度を高めることができ、高密度成形品を製造することができる。
また、本発明によれば、射出成形同時加飾用金型において、成形空間部が、製品成形空間部と、当該製品成形空間部に注入された成形樹脂が流入される樹脂排出用成形空間部とからなることにより、前記製品成形空間部に前記成形樹脂の注入を行なうとともに、当該注入された成形樹脂の一部を当該製品成形空間部より前記樹脂排出用成形空間部に排出しながら、当該製品成形空間部への前記成形樹脂の充填を行ない、前記製品成形空間部内において、前記成形樹脂の注入の位置から前記樹脂排出用成形空間部への排出の方向に向けての前記成形樹脂の流れを形成という成形品の製造を実現することができる。したがって、前記製品成形空間部内において、ウエルドが生じることを確実に防止することができる。また、上述のようなウエルドが発生するような場合であっても、そのウエルドは製品部分として用いられず、除去される部分である当該製品成形空間部内において生じることとなるため、特に問題は生じない。
さらに、前記成形樹脂中に含まれるガスも、前記規制された流れ方向に沿って前記成形樹脂とともに、前記樹脂排出用成形空間部に流入されて集積されることとなるため、前記製品成形空間部にガス溜り部分を生じさせることなく、ガスによる樹脂焼けを防止することができる。
したがって、最終的な製品部分となる前記製品成形空間部により形成される成形品の表面には、ウエルドや樹脂焼けを生じさせることなく、その品質を向上させることができる射出成形同時加飾用金型を提供することができる。
また、本発明によれば、前記成形空間部が、当該成形空間部の外部より前記成形樹脂が注入される樹脂注入用成形空間部をさらに有していることにより、前記成形空間部の外部より前記樹脂注入用成形空間部に前記成形樹脂の注入を行なうとともに、当該注入された成形樹脂を当該樹脂注入用成形空間部より前記製品成形空間部に流入させて、当該製品成形空間部への前記成形樹脂の注入を行なうというような成形品の製造方法を実現することが可能となる。このように、前記成形樹脂の注入が行なわれる注入孔部を、直接的に前記製品成形空間部に設けるのではなく、別の空間部である前記樹脂注入用成形空間部に設けることで、前記注入孔部より注入される成形樹脂の噴出圧力等による前記加飾フィルムの損傷を防止することができるとともに、前記製品成形空間部への前記成形樹脂の注入をより均一化することができる射出成形同時加飾用金型を提供することができる。
また、本発明によれば、前記フィルム保持部により、前記加飾フィルムを密着させることで、当該加飾フィルムの弛みの除去を行ないながら、当該加飾フィルムの配置の保持を行なうことができるため、前記成形品の表面に前記加飾フィルムの皺や弛みの跡部を形成することもなく、さらに、前記成形品の表面における所定の位置に確実に加飾を行なうことができ、高精度な射出成形同時加飾品を製造することができる。
なお、本発明において、前記フィルム保持部又はその近傍に加飾フィルムを吸引して保持する複数の吸引部を備える場合には、当該加飾フィルムの保持をより確実なものとすることができる。
また、前記第1金型又は前記第2金型に溝部と該溝部と係合可能な係合部を備える場合には、溝部と係合部とが前記加飾フィルムを介して係合されることで、当該加飾フィルムへの張力付与を行なうことができる。これにより、前記第1金型と前記第2金型との前記加飾フィルムを介した型締めの際に、前記加飾フィルムに対して張力付与を自動的に行なうことができ、前記成形空間部における前記加飾フィルムの皺や弛みの発生を抑制することができる。
さらに、前記樹脂排出用成形空間部にエアベント部を設ける場合には、当該樹脂排出用成形空間部に集束されたガスをエアベント部を通して確実に除去することができる。また、エアベント部が、前記樹脂排出用成形空間部において、前記製品成形空間部の周部近傍に位置されることで、前記製品成形空間部に僅かに残留するガスの除去をも併せて行なうことができる。
本発明の実施の形態を説明するに先だって、本発明の特許請求の範囲、及び本明細書において用いられている用語の定義について説明する。
用語「成形空間部」とは、互いに対向配置された第1金型と第2金型との間に加飾フィルムを配置し、前記加飾フィルムと第1金型とによって形成される空間のことであって、当該空間内に樹脂が注入され、さらに当該樹脂が固化されることで、当該空間の形態に応じた樹脂成形品(すなわち、製品部分及び製品を形成するための除去部分を含めた成形品全体)を形成することが可能となるような空間のことである。
用語「製品成形空間部」とは、前記成形空間部のうちの前記製品部分となり得る樹脂成形品が形成される空間のことである。すなわち、前記樹脂成形品から前記除去部分を取り除いた製品部分が形成される空間のことである。
用語「樹脂排出用成形空間部」とは、前記成形空間部の一部であって、前記製品成形空間部の周囲の少なくとも一部に隣接かつ連通して形成され、前記製品成形空間部に注入された成形樹脂の一部が、当該製品成形空間部を介して充填される空間のことであり、本発明の前記成形空間部には必ず備えられている空間のことである。また、言い換えれば、前記製品成形空間部に注入された成形樹脂の一部が、当該製品成形空間部から排出されて流入される排出先の空間のことである。この樹脂排出用空間部において形成された樹脂成形品の部分は、主に、前記除去部分として前記樹脂成形品より取り除かれることが多く、このように取り除かれることで、当該樹脂成形品から製品が形成されることになる。ただし、前記樹脂排出用空間部にて形成された部分が取り除かれることなく、製品部分の一部として用いられるような場合であってもよい。なお、この樹脂排出用成形空間部のことを、付加成形空間部というような場合であってもよい。
用語「樹脂注入用成形空間部」とは、前記成形空間部の一部であって、前記製品成形空間部の周囲の少なくとも一部に隣接かつ連通して形成されるとともに、前記成形樹脂が前記成形空間部の外部より注入される空間のことである。さらに、前記外部から注入された成形樹脂を、当該樹脂注入用成形空間部を介して、前記製品成形空間部内に流入させることで、前記製品成形空間部内へ前記成形樹脂の注入を行なうような空間でもある。この樹脂注入用成形空間部において形成された樹脂成形品の部分は、主に、前記除去部分として前記樹脂成形品より取り除かれることが多く、このように取り除かれることで、当該樹脂成形品から製品が形成されることとなる。ただし、前記樹脂注入用成形空間部にて形成された部分が取り除かれることなく、製品部分の一部として用いられるような場合であってもよい。なお、この樹脂注入用成形空間部のことを補助成形空間部というような場合であってもよい。
本発明の実施の形態を説明するにあたって、まず、本発明の概念的な構成について詳細に説明する。本発明においては、射出成形品の加飾方法として射出成形同時加飾法を採用している。射出成形同時加飾法は、射出成形用金型の第1金型と第2金型との間に加飾フィルムを配置させて、夫々の金型の型締めを行ない、加飾フィルムと第1金型によって形成される成形空間部に溶融した成形樹脂をゲート部から注入し、注入された成形樹脂を固化させて加飾フィルムが成形樹脂と一体化された射出成形同時加飾品を得る方法である。 なお、その後の工程で、加飾フィルムを構成する基体シートを剥離することもある。射出成形同時加飾法では、予め印刷加工を施している加飾フィルムを使用するため、加飾が多色になっても生産性にほとんど影響が出ない。また、加飾フィルムが第2金型形状に追随して成形されるため、通常の印刷ではできない三次元形状面にも加飾が可能となる。また、加飾フィルム上でパターン化が可能である。
また、本発明においては、成形空間部が、相互に連通した、複数の製品成形空間部と各々の製品成形空間部を囲む外枠成形空間部とからなり、例えば、外枠成形空間部が、ゲート部に近い樹脂注入用成形空間部とゲート部から離れて製品成形空間部を介して位置される樹脂排出用成形空間部とからなり、溶融した成形樹脂が樹脂注入用成形空間部を介して製品成形空間部に充填された後あるいは当該充填とともに、製品成形空間部に充填された成形樹脂の一部が樹脂排出用成形空間部に流れ込んで充填されるように構成している。
また、このような夫々の空間部が形成されることより、前記第1金型は、前記加飾フィルムとの間にて前記製品成形空間部を形成可能な製品成形品形成部と、前記加飾フィルムとの間にて前記樹脂注入用成形空間部を形成可能な注入用空間成形品形成部と、前記加飾フィルムとの間にて前記樹脂排出用成形空間部を形成可能な排出用空間成形品形成部とを、その表面に形成された凹状の部分に備えていると言える。また、前記製品成形空間形成部に対して、前記注入用空間成形品形成部は隣接されて配置されており、また、前記製品成形空間形成部に対して、前記排出用空間成形品形成部は隣接されて配置されている。
そして本発明では、成形樹脂をこのように流動させるために、成形空間部が板状などの方形状であって、製品成形空間部の平均断面積をS1(mm)、製品成形空間部の平均厚みをT1(mm)、外枠成形空間部の平均断面積をS2(mm)、外枠成形空間部の平均厚みをT2(mm)としたとき、S1≧4×S2かつT1≧T2の関係がある射出成形同時加飾用金型とするのが好ましい。
すなわち、製品成形空間部の平均厚みおよび平均断面積を、外枠成形空間部の平均厚みおよび平均断面積以上となるように設定することで、溶融した成形樹脂を例えば樹脂注入用成形空間部を介して製品成形空間部に充填させた後、樹脂排出用成形空間部に充填させることができる金型を構成することができる。なお、これらの数値は表1に示す試験結果から設定することができる。
Figure 0003769578
表1の試験結果において、所望の成形樹脂の流れの可否は、溶融した状態の成形樹脂が、樹脂注入用成形空間部を介して製品成形空間部に充填された後、あるいは当該充填とともに、当該製品成形空間部に充填された成型樹脂の一部が樹脂排出用成形空間部に流れ込んで充填された場合を○で示し、そうでない場合を×で示している。なお、前記「そうでない場合:×」においては、樹脂排出用成形空間部内に成形樹脂の流れ込み自体は確認することができたものの、完全に充填するまでの状態とはされなかったため、前記「充填された場合:○」と区別している。
このような形状の金型を構成することにより、成形空間部内に注入された成形樹脂の先端部分が樹脂排出用成形空間部に送り込まれることになるため、成形樹脂中に発生するガスを当該成形樹脂とともに樹脂排出用成形空間部に送り込むことができ、製品成形空間部におけるガスの残留量を低減することができる。また、溶融した成形樹脂が製品成形空間部の中心部付近で相互にぶつかりあうことを回避できるため、ガスによる樹脂焼けが発生することもない。さらに、溶融した成形樹脂が製品成形空間部の中心部付近で相互にぶつかりあうことを回避できるため、ウエルドが発生するような場合であっても、当該ウエルドの発生箇所を樹脂排出用成形空間部へ移動させることができる。なお、射出成形同時加飾法を採用する際には、加飾フィルムのウエルド発生箇所に該当する位置に大皺が発生し、射出成形同時加飾品の外観を損ねやすいが、前記構成とすることにより、ウエルドの発生箇所を樹脂排出用成形空間部へ移動させることができるので、この問題も同時に解消される。
さらに、本発明では、射出成形同時加飾法の採用に伴って製品成形品部に新たに生じるおそれのある加飾フィルムの小皺の発生を防止できる射出成形同時加飾金型を、第1金型と第2金型とを有し、第2金型の凹部面の各々の製品成形空間部を囲む外枠成形空間部に仕切り凸部が設けられるような構成としてもよい。射出成形同時加飾法においては、通常、溶融した成形樹脂の流動にともなう引き摺りの負荷が加飾フィルムにかかり、これによって加飾フィルムに弛みが生じる。しかし、第2金型の凹部面に仕切り凸部が設けられている場合、次の理由により、前記加飾フィルムの弛みを生じにくくすることができる。何故なら、溶融した成形樹脂は、樹脂注入用成形空間部に充填された後、製品成形空間部との間に設けられた仕切り凸部を越えて製品成形空間部に進入する。この際、溶融した成形樹脂は、加飾フィルムを仕切り凸部でもって押さえつつ、かつ引き伸ばしながら製品成形空間部に充填されていくからである。したがって、仕切り凸部で囲まれた加飾フィルムには小皺が発生しにくい。
なお、仕切り凸部の形成位置は、製品成形空間部と接する位置に設けてもよいし、離れた位置に設けてもよい。すなわち、仕切り凸部によって囲まれた成形空間部は、製品成形空間部のみであってもよいし、製品成形空間部と外枠成形空間部を含んでいてもよい。また、仕切り凸部は、輪のように連続的に設けてもよいし、不連続的に設けてもよい。また、本発明では、前記射出成形同時加飾用金型において、仕切り凸部に吸引ピンが設けられる構成としてもよい。吸引ピンは、加飾フィルムを第2金型に吸引固定する機能を有するとともに、加飾フィルムと第2金型の間に残った空気やゴミ、および加飾フィルムの基体シートから発生するガスなどを取り除く機能がある。吸引ピンの形状は円筒型のほかブロックのような方形状であってもよい。また、吸引ピンは、仕切り凸部によって囲まれた成形空間部内にも設けてもよい。
また、本発明では、前記射出成形同時加飾用金型において、外枠成形空間部の外周の基準面に、張溝が設けられている構成としてもよい。仕切り凸部によって囲まれた成形空間部が小皺なく形成されたとしても、仕切り凸部の外側、とくに樹脂排出用成形空間部は依然として小皺が発生しやすい状態であり、その小皺のために射出成形同時加飾品の加飾の位置が若干ずれることがある。しかし、射出成形同時加飾用金型に張溝が設けられていると、樹脂排出用成形空間部で生じた加飾フィルムの弛みが張溝で緩和されるとともに、成形空間部内の加飾フィルム全体の張力も適度に保たれる。したがって、射出成形同時加飾品の加飾の位置がずれることはない。なお、張溝は輪のように連続的に設けてもよいし、不連続的に設けてもよい。ただし、張溝を輪のように成形空間部全外周に設けた場合の方が、その効果がどの方向に対しても均一になるため、好ましい。
また、本発明では、前記射出成形同時加飾用金型において、樹脂排出用成形空間部における製品成形空間部と接する位置にエアベントピンを設けてもよい。射出成形同時加飾法は、加飾フィルムを第2金型側に挟んで成形するため、第2金型側からの成形樹脂のガスが逃げにくく、一般の射出成形用金型より成形樹脂のガスを逃がしにくい。このため、第1金型側にガスを逃がすための工夫が必要となる。また、成形樹脂のガスは比較的溶融した成形樹脂の先端部分に多く含まれる。そこで、第1金型側の溶融した成形樹脂の先端部分が最終的に集まる箇所(つまり、樹脂排出用成形空間部)にエアベントピンを設けることで、エアベントピンと第1金型本体との隙間から当該樹脂排出用成形空間部に集まった成形樹脂のガスを逃がすことができる。
特に、エアベントピンを製品成形空間部に最も近い位置(つまり、製品成形空間部と接する位置)に設けることにより、樹脂排出用成形空間部に集束した成形樹脂のガスだけでなく、製品成形空間部に僅かに残り得る成形樹脂のガスも効率的に逃がすことができる。エアベントピンと製品成形空間部との接する巾は0.1〜1.0mmが好ましい。接する巾が1.0mmより大きいと、射出成形同時加飾品を製品成形品部と樹脂排出用成形品部とに切断した後でも、この接する部分が製品成形品部に跡として残り、見栄えが悪くなるためである。一方、この接する部分が0.1mmより小さいと製品成形空間部に僅かに残った成形樹脂のガスが逃げにくい。なお、エアベントピンの形状は円筒型のほかブロックのような方形状であってもよい。
以上、この射出成形同時加飾用金型を用いて射出成形同時加飾することにより、複数の製品成形品部と、当該製品成形品部と連通された外枠成形品部を有する射出成形同時加飾品であって、製品成形品部と接する外枠成形品部における樹脂排出用成形品部にエアベント跡が形成されている射出成形同時加飾品が得られる。なお、エアベント跡は貫通していてもよいし、していなくともよい。
第1実施形態
以下、図面を参照して本発明における第1の実施形態を詳細に説明する。なお、本発明の夫々の実施の形態の説明にて用いられる添付図面においては、同じ部品については同じ参照符号を付している。
まず、本第1実施形態にかかる射出成形同時加飾品の製造方法を模式的に示す模式説明図として、第1金型と第2金型の模式断面図を図1、図2、図3及び図4に示す。また、この第1金型の平面図を図5に示し、図5の第1金型におけるB−B線断面図を図6Aに、D−D線断面図を図6Bに、C−C線断面図を図6Cに、E−E線断面図を図6Dに示す。さらに、第2金型の平面図を図7に示し、図7の第2金型におけるF−F線断面図を図8Aに、G−G線断面図を図8Bに示す。なお、図1から図4に示す第1金型の断面は、図5の第1金型におけるA−A線断面図となっており、また、第2金型の断面は、図7の第2金型におけるA−A線断面図となっている。
まず、図1に示すように、本第1実施形態の射出成形同時加飾品の製造方法においては、射出成形同時加飾用金型を構成する第1金型1及び第2金型2の2つの金型が用いられ、夫々の金型1、2における凹部が形成された側の表面を互いに対向配置させるとともに、夫々の金型1、2の間に、樹脂成形品の表面に模様を付加するための加飾フィルム5を配置させて、第1金型1の前記凹部と加飾フィルム5の表面とで形成される成形空間内に溶融した成形樹脂を注入することで、当該成形樹脂の冷却固化とともに、加飾フィルム5と接触されている当該成形樹脂の表面に加飾が行なわれて、射出成形同時加飾品を得ることができる。
第1金型1は、図5、並びに図6Aから図6Dに示すように、略四角形平板状の形状を有しており、その一方の表面における四周端部には第2金型2と直接接触される凸状部分の上面である基準面11が、前記略四角形状の前記四周端部に沿って一続きに連なって形成されている。この基準面11により囲まれた内側部分には、樹脂成形品の外形に適合した形状の凹部12が形成されており、さらにこの凹部12と基準面11との間には、後述する加飾フィルム5への張力付与を行なう部分である張溝15が、基準面11の内周に沿って形成されている。
また、図5及び図6Dに示すように、第1金型1の上下左右の中心付近、すなわち、凹部12の内底部の中心付近には、溶融された成形樹脂の注入を行なうための注入口であるゲート部14が形成されている。なお、図5及び図6Bに示すように、本第1実施形態における第1金型1の凹部12の内底部には、必要に応じてエアベントピン19が設けられるが、このエアベントピン19の構成については後述する。
一方、第2金型2は、図7、並びに図8A及び図8Bに示すように、第1金型1に対応するように、略同じ大きさの外形を有し、略四角形平板状に形成されており、第1金型1の基準面11と略同じ配置及び幅にて形成され、第1金型1の基準面11と直接接触される凸状部分の上面である基準面21が、その四方外周に一続きに連なって形成されている。さらに、この基準面21により囲まれた内側部分には、樹脂成形品の外形に適合した形状の凹部22と、後述する加飾フィルム5への張力付与を行なう部分である張溝15とが形成されている。
このような構成を有する第1金型1と第2金型2とを夫々が備える基準面11と基準面21とが向き合うように(すなわち、基準面11と基準面21とが互いに合致可能なように)位置合わせを行なって対向配置させるとともに、第1金型1と第2金型2との間に加飾フィルム5を配置させた状態(図1に示す状態)とすると、第1金型1の凹部12の内側空間と、第2金型2の凹部22の内側空間とが、加飾フィルム5を介して接するように配置させることが可能となっている。このような状態より、さらに、第1金型1の基準面11と、第2金型2の基準面21とを、加飾フィルム5を介して当接させるように、第1金型1と第2金型2との型締めを行なうことで、加飾フィルム5と第1金型1との間に成形空間部3が形成される。この成形空間部3の空間形状、すなわち、当該空間の高さ、幅、及び厚みは、形成される樹脂成形品の所定の高さ、幅及び厚みに相当する。このように成形空間部3が形成されることにより、この成形空間部3内に溶融状態にある樹脂(成形樹脂)4を注入して、その後固化させることにより、所定寸法の射出成形同時加飾品10を得ることができる。
ここで、第1金型1と第2金型2とが加飾フィルム5を挟んで型締め状態とされることにより形成される成形空間部3は、複数の空間部により構成されている。例えば、成形空間部3は、製品成形空間部、樹脂排出用空間部及び樹脂注入空間部により構成されている。このような成形空間部3における夫々の空間部の平面的な配置図を図9に示し、図9におけるA−A線断面図を図10に示し、これらの図面を用いて、夫々の空間部の配置について詳細に説明する。なお、図9における平面図は、加飾フィルム5の表面から、第1金型1を見た状態の第1金型の平面図上に、夫々の空間部を配置させたものである。また、図9は、夫々の空間部の配置を明確に示すことを目的とする図面であり、その理解を容易なものとするため、第1金型1の主要な構成のみを図示するものとし、細部の構成についてはその図示を一部省略している。また、図9及び図10においては、夫々の空間部を視覚的に認識し易いように、ハッチング模様を付している。
図9及び図10に示すように、第1金型1の凹部12と加飾フィルム5とで囲まれて形成された成形空間部3においては、互いに接することなく略均等に配置された4つの製品成形空間部31(第1の製品成形空間部及び第2の製品成形空間部の一例である)が配置されている。この製品成形空間部31は、成形空間部により形成される樹脂成形品のうちの最終的な製品部分となる部分が形成される空間であり、このように4つの製品成形空間部31が配置されているため、第1金型1及び第2金型2よりなる射出成形同時加飾用金型は、複数の製品を一度に成形することができる多面取りの金型となっている。
さらに、成形空間部3には、夫々の製品成形空間部31の外周の一部と個別に連通かつ隣接配置された空間である樹脂注入用成形空間部32(共通の樹脂注入用成形空間部の一例である)と樹脂排出用成形空間部33(共通の樹脂排出用成形空間部の一例である)とが備えられている。樹脂注入用成形空間部32は、第1金型1の略中央付近に配置された樹脂注入用のゲート部14と連通されて配置されており、具体的には、図9に示すように、4つの製品成形空間部31の夫々の間に平面的に略十字状に配置されている。一方、樹脂排出用成形空間部33は、第1金型1の凹部12の内側周部と4つの製品成形空間部31との間に平面的に略O字状に配置されている。また、夫々の製品成形空間部31と、樹脂注入用成形空間部32と、樹脂排出用成形空間部33との夫々の境界部分は、互いに仕切られることなく、互いに連通されており、ゲート部14より樹脂注入用成形空間部32に注入された樹脂は、樹脂注入用成形空間部32自体を充填しながら、その一部が夫々の製品成形空間部31に流れ込んで、夫々の製品成形空間部31に充填されるとともに、さらに、夫々の製品成形空間部31に流れ込んだ樹脂の一部は、樹脂排出用成形空間部33に排出されるように流れ込むことが可能とされている。なお、図10において、第1金型1の凹部12と加飾フィルム5とで囲まれた空間が成形空間部3となっており、第2金型2の凹部22と加飾フィルム5とで囲まれた空間が別途存在している。当該空間は、成形空間部3内への樹脂の注入によって加飾フィルム5が図示下方に押し付けられる、すなわち、第2金型2の凹部22の内側底面に押し付けられることにより消滅することとなる空間である。また、樹脂注入用成形空間部32と樹脂排出用成形空間部33とは、夫々の製品成形空間部31の外周を取り囲むように配置されていることから、樹脂注入用成形空間部32と樹脂排出用成形空間部33とにより、夫々の製品成形空間部31を取り囲む外枠部分の空間である外枠成形空間部が構成されているということもできる。
このような夫々の空間配置に関連して、第2金型2の構成についてさらに説明する。図7及び図8Aに示すように、第2金型2の凹部22における内底面には、夫々の製品成形空間部31に相当する部分の外周を取り囲むようにして配置されるとともに、対向配置される第1金型1側に向けて突出された仕切り凸部23が形成されている。すなわち、夫々の製品成形空間部31に相当する部分の外周全体を取り囲むようにして形成されている夫々の仕切り凸部23は、樹脂注入用成形空間部32及び樹脂排出用成形空間部33と、夫々の製品成形空間部31との境界付近近傍に配置されて形成されている。また、図7及び図8Aに示すように、夫々の仕切り凸部23における凸状の上面、及び夫々の仕切り凸部23によって囲まれた成形空間部3における夫々の仕切り凸部23の近傍には、複数の吸引ピン25が設けられている。なお、夫々の吸引ピン25には、図示しない吸引通路を介して吸引装置に接続されている。
夫々の製品成形空間部31内に溶融状態の樹脂の注入が行なわれた際に、加飾フィルム5が引延ばされながら第2金型2の凹部22の内底部に密着されることとなる。この際に、これらの仕切り凸部23は、凸状の隆起部分の表面に加飾フィルム5を密着させることで、加飾フィルム5が密着させる表面積を増加させて、加飾フィルム5に弛み等が発生することを未然に防止するとともに、凹部22の内底面への加飾フィルム5の密着状態の保持を行なうという機能を有している。さらに、夫々の仕切り凸部23上、あるいはその近傍において夫々の吸引ピン25が設けられていることにより、加飾フィルム5の前記夫々の凸状の隆起部分への密着及びこの密着状態の保持をより確実に行なうことができる。なお、本実施形態においては、夫々の仕切り凸部23が、加飾フィルム5の弛みの除去を行ないながらその配置の保持を行なうフィルム保持部の一例となっており、さらに、夫々の吸引ピン25が吸引部の一例となっている。
次に、第1金型1と第2金型2との型締めの際に、加飾フィルム5を介して互いに接触される基準面11と基準面12に設けられている凹状の溝部である張溝15について説明する。張溝15は、加飾フィルム5を第1金型1と第2金型2との間に配置した際に成形空間部3で生じた加飾フィルム5の弛みを緩和するために設けるものである。
ここで、第1金型1と第2金型2との間に加飾フィルム5が配置された型締め前の状態における夫々の張溝15付近の部分拡大模式断面図を図11Aに示し、さらに、型締めされた状態の部分拡大模式断面図を図11Bに示して、これらの図を用いて、張溝15の機能について具体的に説明する。
図11Aに示すように、第1金型1の張溝15には、この張溝15における凹状の溝部と係合される係合部の一例である係合部材16が係合されており、当該係合状態においてこの係合部材16は、第2金型2の張溝15とも係合可能に基準面11よりも突出されている。また、図示下方に配置されている第2金型2上においては、加飾フィルム5が配置されているが、加飾フィルム5は弛みを有した状態とされている。
このような状態において、図11Bに示すように、第1金型1と第2金型2との型締めを行なうと、係合部材16の図示下部が第2金型2の張溝15と係合されることとなるが、この際に、当該係合が加飾フィルム5を介して行なわれることより、加飾フィルム5の一部が第2金型2の張溝15内に押し込まれて、前記弛みを吸収して、加飾フィルム5上に皺が生じないようにすることができる。
なお、本実施形態においては、第1金型1に張溝15が形成され、この張溝15に係合部材16が係合されるような場合について説明したが、このような場合にのみ限定されるものではない。例えば、このような場合に代えて、第1金型1に予め凸状の隆起部分が形成されているような場合であってもよい。このような場合であっても、前記隆起部分を第2金型2の張溝15に係合させることで、係合部材16を用いる場合と同様な効果を得ることができるからである。
また、張溝15は、成形空間部3の全外周に設けるのが好ましく、深さ0.5〜5mm、巾0.5〜7mmの範囲で設けるのが好ましい。深さや巾が小さすぎると加飾フィルム5の弛みを緩和する効果が弱く、深さや巾が大きすぎると金型の強度を低下させるためである。
また、張溝15は、A金型1、B金型2の両方に設けてよいし、一方だけに設けてもよい。また、両方に設ける場合、深さや巾をそれぞれ異ならせてもよい。
次に、第1金型1における樹脂排出用成形空間部33に設けられる夫々のエアベントピン19(エアベント部の一例である)について説明する。エアベントピン19は、溶融した成形樹脂に含まれるガスを成形空間部3内から外部に効率的に逃がすために設けるものである。
その目的に添えば、図6Bに示すように、夫々のエアベントピン19を設ける位置は、溶融した成形樹脂4の先端部が最後に充填される位置、すなわちゲート部14から最遠の位置に配置されている樹脂排出用成形空間部33になる。
ただ、実際上、樹脂排出用成形空間部33に集まるガスよりも、夫々の製品成形空間部31に僅かに残り得るガスの方が問題となる可能性が大きいので、当該僅かに残り得るガスを効率的に取り除くために製品成形空間部31に近い位置における樹脂排出用成形空間部33に設けた方が好ましい。
したがって、エアベントピン19を、ゲート部14から最遠の樹脂排出用成形空間部33であって製品成形空間部31と接する位置付近に設けることにより、樹脂排出用成形空間部33に集束されたガスだけでなく、夫々の製品成形空間部31に僅かに残ったガスをも逃がすことができる。
夫々のエアベントピン19の形状、大きさ、位置、および製品成形空間部31との接する巾は、夫々の製品成形空間部31のサイズや形状、ゲート部14からの距離、射出成形同時加飾用金型(すなわち、第1金型1及び第2金型2)の凹凸による成形樹脂4の流動抵抗の大小等に基づいて、適宜決定される。
また、設置されるエアベントピン19の本数は、成形空間部3及び夫々の製品成形空間部31の容積及びガスを排出すべき速度に基づいて、ガスがスムーズに排出されるように適宜決定される。
特に射出成形同時加飾法においては、加飾フィルム5とその凹部22の内底面において接触される第2金型2からは成形樹脂4のガスが逃げにくいので、前記のような夫々のエアベントピン19を設置することは有用であり、また、このように問題を解決できることから、ガス発生の多い成形樹脂4を用いることも可能となる。
また、図4に示すように、成形空間部3内に充填された樹脂により形成される射出成形同時加飾品10は、製品成形空間部31において充填された樹脂により形成される部分である製品成形品部30と、樹脂注入用成形空間部32において形成される部分である注入用空間成形品部42と、樹脂排出用成形空間部33において形成される部分である排出用空間成形品部43とに分けることができる。なお、注入用空間成形品部42及び排出用空間成形品部43は、夫々の製品成形品部30の周囲に配置されて形成されるため、これらの成形品部を併せて外枠成形品部40ということができる。このような射出成形同時加飾品10の成形において、夫々のエアベントピン19が設けられることによって、図4に示すように、射出成形同時加飾品10には複数のエアベント孔20が形成される。このような夫々のエアベント孔20は、射出成形後の後処理において、射出成形同時加飾品10を、製品成形品30と、外枠成形品部40とに切断する際の位置決め用に用いることもできる。
また、エアベント孔20が排出用空間成形品部43に形成されるので、エアベント孔20が外枠成形品部40の一部として製品成形品部30から分離処理することができ、製品成形品部30に悪影響を与えることがないという利点を有する。
また、成形樹脂4としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ノリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂といった熱可塑性樹脂を用いることができる。
また、図4に示すように、第1金型1の凹部12の内底部の周部近傍には、成形空間部3内にて形成された射出成形同時加飾品10を押し出して、第1金型1の凹部12から離型させる複数のエジェクタピン24が備えられている。なお、このように夫々のエジェクタピン24により離型が行なわれるような場合に代えて、エアベントピン19に離型動作の機能を備えさせるような場合であってもよい。
次に、上述のような構成を有する第1金型1、第2金型2、及び加飾フィルム5を用いて、射出成形同時加飾品10を製造する方法について詳細に説明する。
まず、図1に示すように、第1金型1と第2金型2とを夫々の凹部12、22が向き合うように対向配置させる(すなわち、図1においては、第2金型2の凹部22を図示上向きとし、第1金型1の凹部12を図示下向きとして対向配置させる)とともに、第1金型1と第2金型2との間に、加飾層50が配置されている面が第1金型1側に配置されるように加飾フィルム5を配置させる。このとき、第1金型1の基準面11と第2金型2の基準面21とが互いに加飾フィルム5を介して合致するように夫々の金型1、2の位置決めを行なうとともに、夫々の金型1,2に対する加飾フィルム5の位置決めも併せて行なう。
この位置決めの後、図2に示すように、第1金型1と第2金型2とを加飾フィルム5を介して型締めする。この型締めにより、図9及び図10に示すように、第1金型1の凹部12と加飾フィルム5とにより成形空間部3、すなわち、夫々の製品成形空間部31、樹脂注入用成形空間部32及び樹脂排出用成形空間部33が形成される。また、この型締めの際には、図11A及び図11Bに示すように、第1金型1の張溝15に係合された係合部材16(図1及び図2においては図示しない)が、第2金型2の張溝15に加飾フィルム5を介して係合されることで、加飾フィルム5に張力が付与されて、皺や弛み等が取り除かれる。
その後、図2に示すように、ゲート部14から成形空間部3内への溶融された成形樹脂4の注入が開始される。この注入された成形樹脂4は、まず樹脂注入用成形空間部32に注入され、加飾フィルム5を第2金型2側に押圧し、押された加飾フィルム5は仕切り凸部23に当接するとともに、吸引ピン25によって固定される。その後、溶融した成形樹脂4は、ゲート部14近傍の樹脂注入用成形空間部32を充填するとともに、近傍側の仕切り凸部23を越えて夫々の製品成形空間部31に進入する。
その際、溶融した成形樹脂4は、加飾フィルム5を仕切り凸部23でもって押さえつつ、かつ徐々に引き伸ばしながら成形空間部3を充填していくので、加飾フィルム5は弛みにくくなる。したがって、夫々の仕切り凸部23で囲まれた加飾フィルム5には小皺が発生しにくい。
その後、溶融した成形樹脂4が夫々の製品成形空間部31を充填した後、あるいはこの充填とともに、夫々の製品成形空間部31に注入された成形樹脂4の一部が樹脂排出用成形空間部33に進入して、樹脂排出用成形空間部33が成形樹脂4で充填されることとなる。これにより、成形空間部3は成形樹脂4で充填された状態とされる(図3参照)。また、このように充填される過程で、成形樹脂4によって発生したガスの多くは樹脂排出用成形空間部33に集束されるとともに、夫々のエアベントピン19により集束されたガスが成形空間部3の外部に排出される。さらに、夫々のエアベントピン19が夫々の製品成形空間部31の近傍における樹脂排出用成形空間部33に設けられていることにより、夫々の製品成形空間部31に僅かに残留するガスも、夫々のエアベントピン19により外部に排出されて除去される。
ここで、成形空間部3に注入された成形樹脂4の流れを、成形空間部3の空間配置図(模式平面図)を用いて図12に視覚的に示す。図12に示すように、成形空間部3の略中央付近に配置されたゲート部14から注入された溶融状態にある成形樹脂4は、まずゲート部14と直接的に連通されている樹脂注入用成形空間部32内に注入されるとともに、この注入された成形樹脂4は、ゲート部14より略放射状に広がるような流れ方向F1(図中の矢印)にて、樹脂注入用成形空間部32に充填される。この注入の進行の経過にしたがって、成形樹脂4は略放射状の流れ方向F1にて広がり、樹脂注入用成形空間部32から夫々の製品成形空間部31内に流れ込み、夫々の製品成形空間部31を充填する。さらに、成形樹脂4は略放射状に広がって、夫々の製品成形空間部31に注入された成型樹脂4の一部が、樹脂排出用成形空間部33に排出されるように流れ込み、成形空間部3全体に成形樹脂4が充填される。
図12に示すような略放射状の流れ方向F1で成形空間3内を広がるようにして成形樹脂4の注入が行なわれることで、発生するガスを成形樹脂4の注入の末端部分の空間部である樹脂排出用成形空間部33に集めることが可能となるとともに、夫々の製品成形空間部31において、注入された成形樹脂4同士がぶつかり合うような部分が生じることがなく、夫々の製品成形空間部31にてウエルドが発生することを防止することができる。
このようにして成形空間部3に成形樹脂4の充填が行なわれた後、溶融状態にあった成形樹脂4は冷却固化される。その後、図4に示すように、第1金型1と第2金型2との型締めが解除されるとともに、夫々のエジェクタピン24が突出されて、射出成形同時加飾品10が離型される。加飾フィルム5における夫々の加飾層50が基体シート51より剥離されて、射出成形同時加飾品10における加飾フィルム5と接触されていた表面に固着されることとなる。これにより、射出成形同時加飾品10対する加飾が行なわれたこととなる。
このようにして形成された射出成形同時加飾品10の模式平面図を図13に示す。図13に示すように、射出成形同時加飾品10においては、夫々の製品成形品部30、注入用空間成形品部42、及び排出用成形品部43の夫々の部分が一体的な状態として形成されている。また、夫々の製品成形品部30の表面には、加飾層50によりN字形状の模様が付されている。また、夫々の製品成形品部30の周囲を取り囲むように、外枠成形品部40には、第2金型2における夫々の仕切り凸部23の跡である夫々の仕切り溝部16が形成されている。夫々の仕切り溝部16上あるいはその近傍においては、第2金型2における夫々の吸引ピン25の跡である複数の吸引孔あるいは吸引凸部26(吸引ピン25の形状により、その跡部が孔状に形成される場合あるいは凸状に形成される場合のいずれもが考えられるからである。)が形成されている。さらに、外枠成形品部40においては、夫々のエアベントピン19の跡である複数のエアベント孔20が形成されている。したがって、夫々の製品成形品部30には、仕切り溝部16や吸引孔あるいは吸引凸部26やエアベント孔20が形成されることはない。
このようにして得られた射出成形同時加飾品10は、図14及び図15に示すように、注入用空間成形品部42及び排出用空間成形品部43と、夫々の製品成形品部30との境界部分において所定寸法で切断されて、4個の製品成形品部30(図15参照)と外枠成形品部40(図14参照)とに分けられて、例えば、夫々の製品成形部30が製品部分として得られる。なお、切断方法としては、切削加工、レーザ加工、トムソン加工、金型プレス加工、彫刻刃加工(熱加工含む)、高周波加工等がある。なお、図13及び図15においては、夫々の成形品部の区分等を容易に認識することができるように、ハッチング模様を付している。
次に、本実施形態において使用される加飾フィルム5の構造について説明する。図16に示すように、加飾フィルム5は、基体シート51およびこの基体シート51上に設けられた加飾層50から形成され、加飾層50は、絵柄層52(前記N字形状の模様を構成する部分)と、接着層53等とからなる。
基体シート51としては、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂等から選択される単層フィルム、または前記の中から選択された2種以上の樹脂による積層フィルムまたは共重合フィルムがある。
基体シート51の厚みとしては、5〜500μmが好ましい。5μm未満のシートでは、夫々の金型1、2間への配置及び型締め等の金型へのセット時における取り扱い性が悪くなって、その後の成形工程が不安定となることが考えられ、500μmを越える基体シート51では、剛性がありすぎるため、夫々の仕切り凸部23への密着性が低下し、射出成形同時加飾品10の表面に加飾フィルム5の皺跡等が生じるような場合がある。
基体シート51上には、加飾層50が強固に密着するよう易接着層を形成しても良い。易接着層の材質としては、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂等がある。易接着層を設ける方法としては、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷法等の汎用印刷方法のほか、各種コーティング法のいずれでも構わない。
基体シート51上には、文字、幾何学模様、ベタ等の絵柄層52が形成される。この絵柄層52の材質としては、アクリル系樹脂、硝化綿系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂などを挙げることができるが、特に限定されない。
また、絵柄層52には、真空蒸着やメッキ等の方法によって、アルミニウム、クロム、銅、ニッケル、インジウム、錫、酸化珪素などの金属膜層を設けてもよい。この場合、金属膜層は全面でもパターン状でもよい。
絵柄層52の膜厚は0.5μm〜50μmが好ましい。膜厚が0.5μmより薄いと、十分な意匠性が得られないという問題があり、50μmより厚いと、印刷後に乾燥し難いという問題があるためである。但し、金属膜層の場合は50Å〜1200Åが好ましい。金属膜層の膜厚が50Åより薄いと、十分な金属光沢感が得られないという問題があり、1200Åより厚いと、クラックが生じやすいという問題があるためである。
絵柄層52を全面またはパターンで設ける方法としては、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷法等の汎用印刷方法、タンポ印刷、塗装、各種コーティング法、蒸着、イオンプレーティング、スパッタ法等の金属膜形成法等がある。
接着層53は、加飾フィルム5と成形樹脂4を接合する作用を有するものである。接着層53の材質としては、アクリル系樹脂、硝化綿系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂等を用いるのが良い。
接着層53の厚みは、0.5〜50μmが好ましい。膜厚が0.5μmより薄いと、十分な接着性が得られないという問題があり、50μmより厚いと、印刷後に乾燥し難いという問題があるためである。接着層53の形成方法は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷などの汎用印刷方法でも、塗装、ディッピング、リバースコーターなどいずれの方法でもよい。
なお、加飾フィルム5における加飾層50のみを成形樹脂4と接合させる場合には、図17に示すように、基体シート51と絵柄層52との間に剥離層54を設けてもよい。あるいは、基体シート51に離型層55を設けて離型性のある基体シートとしてもよい。
剥離層54の材質としては、アクリル系樹脂、硝化綿系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂等を用いるのが良い。
剥離層54の厚みは、0.5〜50μmが好ましい。膜厚が0.5μmより薄いと、十分な接着性が得られないという問題があり、50μmより厚いと、印刷後に乾燥し難いという問題があるためである。離型層55の形成方法は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷などの汎用印刷方法でも、塗装、ディッピング、リバースコーターなどいずれの方法でもよい。
離型層55の材質としては、アクリル系樹脂、硝化綿系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂等を用いるのが良い。
離型層55の厚みは、0.5〜50μmが好ましい。膜厚が0.5μmより薄いと、十分な接着性が得られないという問題があり、50μmより厚いと、印刷後に乾燥し難いという問題があるためである。離型層55の形成方法は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷などの汎用印刷方法でも、塗装、ディッピング、リバースコーターなどいずれの方法でもよい。
なお、図16に示すような構造の加飾フィルム5においては、夫々の絵柄層52により所定の模様を形成するために、基体シート51あるいは接着層53を透明あるいは半透明状とすることが望ましく、また、図17に示すような構造の加飾フィルム5においては、剥離層54や接着層53を透明あるいは半透明状とすることが好ましい。
第2実施形態
なお、本発明は第1実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、本発明の第2の実施形態にかかる射出成形同時加飾品の製造方法は、第1実施形態と略同様な構成を有する第1金型及び第2金型、並びに加飾フィルムを用いる点においては同様な手法であると言えるものの、加飾フィルムを間に配置した状態で第1金型と第2金型とを対向配置させて、型締めを行なわず、夫々の金型を開放させた状態にて、成形樹脂の注入を行なう点において、第1実施形態の手法とは異なっている。すなわち、本第2実施形態においては、第1金型と加飾フィルムとの間に形成された成形空間部を、開放状態(すなわち、開放空間とした状態)において成形樹脂の注入を行ない、その後、夫々の金型の型締めを行なうことで、成形空間部の容積を縮小させて、当該成形空間部内に充填された成形樹脂の圧縮を行なうという、いわゆる圧縮方式による射出成形(射出圧縮成形)を採用している点において、密閉状態の成形空間部に成形樹脂の注入を行ない、その後、成形空間部の容積の縮小変化を伴わない射出成形を行なう第1実施形態とは異なっている。以下、この異なる部分についての説明を主として行なうものとし、第1実施形態と同じ部分については,第1実施形態の記載を参照されるものとする。なお、本第2実施形態における夫々の金型や加飾フィルムの構成の中で、第1実施形態と同様な構成部分については、その構成の理解を容易なものとするために、第1実施形態と同じ参照符号を付している。
まず、本第2実施形態にかかる射出成形同時加飾品の製造方法を模式的に示す模式説明図として、第1金型と第2金型との模式断面図を図18、図19、図20及び図21に示す。また、この第1金型の模式平面図を図22に示す。
第1金型71は、図22に示すように、第1実施形態の第1金型1と同様に略四角形平板状の形状を有しており、その四周端部には第2金型72と直接接触する基準面11を備える。この基準面11により囲まれた内側部分には、樹脂成形品の外形に適合した形状の凹部12と、金型タッチセンサー77と、張溝15とが形成されている。金型タッチセンサー77は、互いに対向配置された第1金型71と第2金型72との型締めが完全になされる前に、第2金型72の基準面21と接触させることで金型タッチの状態にし、第1金型71と第2金型72との間隔寸法を所定の寸法とした状態に保ちながら、成形樹脂4を射出させるためのセンサーである。なお、本第2実施形態においては、金型タッチセンサー77が第1金型71に設けられる場合について説明するが、このような場合に代えて、金型タッチセンサー77が第2金型72の側に設けられるような場合であってもよい。なお、その他の部分における第1金型71の構造及び第2金型72の構造は、第1実施形態の第1金型1及び第2金型2と同様な構造となっている。
また、このような構成を有する第1金型71と第2金型72とがその間に加飾フィルム5を位置させながら対向配置されることで、図19に示すように、第1実施形態と同様に成形空間部83を形成することができる。また、この成形空間部83は、夫々の製品成形空間部91、樹脂注入用成形空間部92及び樹脂排出用成形空間部93により構成される点、並びに夫々の成形空間部の平面的配置の点においても第1実施形態と同様である。
このような構成を有する第1金型71、第2金型72、及び加飾フィルム5を用いて、射出成形同時加飾品80を製造する方法について詳細に説明する。
まず、図18に示すように、第1金型71と第2金型72とを夫々の凹部12、22が向き合うように対向配置させるとともに、第1金型71と第2金型72との間に、加飾層50が配置されている面が第1金型71側に配置されるように加飾フィルム5を配置させる。このとき、夫々の基準面11、21の位置決めを行なうとともに、加飾フィルム5の位置決めをも併せて行なう。
この位置決めの後、図19に示すように、第1金型71と第2金型72とを近接させて、第1金型71の基準面11に備えられている金型タッチセンサー77の先端が、第2金型72の基準面21に直接的あるいは加飾フィルム5を介して接触させる。この接触が図示しない制御装置において検出されると、前記近接が停止されて、第1金型71と第2金型との間に所定の間隔寸法が保持される。
この保持状態において、図19に示すように、開放された状態が保たれている成形空間部83内への溶融された成形樹脂4の注入が開始される。ゲート部14から注入された成形樹脂4は、まず樹脂注入用成形空間部92に注入され、加飾フィルム5を第2金型72側に押圧し、押された加飾フィルム5は仕切り凸部23に当たり、吸引ピン25によって固定される。その後、溶融した成形樹脂4は、型締めによって、ゲート部14近傍の樹脂注入用成形空間部92を充填するとともに、近傍側の仕切り凸部23を越えて製品成形空間部91に進入する。
その際、溶融した成形樹脂4は、加飾フィルム5を仕切り凸部23でもって押さえつつ、かつ引き伸ばしながら成形空間部83を充填していくので、加飾フィルム5は弛みにくくなる。したがって、仕切り凸部23で囲まれた加飾フィルム5には小皺が発生しにくい。
その後、図20に示すように、溶融した成形樹脂4が製品成形空間部81を充填した後、あるいはこの充填とともに、製品成形空間部81に充填された成形樹脂4の一部が樹脂排出用成形空間部93に進入し、成形空間部83全体が成形樹脂4で充填される。この充填ともに、前記所定の間隔寸法が保持された状態にある第1金型71と第2金型72とが互いにさらに近接されて、加飾フィルム5を介して、第1金型71の基準面11と、第2金型72の基準面21とが当接される。これにより、成形樹脂4が充填された状態の成形空間部83の容積が縮小されるとともに、成形空間部83が開放状態から密閉状態とされる。これにより、成形空間部83内に充填された成形樹脂4が圧縮されて、成形空間部83の隅々にまで行き渡るように充填されるとともに、成形樹脂4が高密度化される。また、このように充填される過程で、成形樹脂4によって発生したガスの多くは樹脂排出用成形空間部93に集束される。また、ウエルドが発生するような場合であっても、ウエルドの発生箇所は樹脂排出用成形空間部93内に移動する。なお、上述した成形樹脂4の充填の際における成形空間部83内に充填された成形樹脂4の流れ方向は、第1実施形態において説明した流れ方向F1と同様となる(図12参照)。
このようにして成形空間部83に成形樹脂の充填が行なわれた後、溶融状態にあった成形樹脂4は冷却固化される。その後、図21に示すように、第1金型71と第2金型72との型締めが解除されるとともに、夫々のエジェクタピン24が突出されて、射出成形同時加飾品80が離型される。加飾フィルム5における夫々の加飾層50が基体シート51より剥離されて、射出成形同時加飾品80における加飾フィルム5と接触されていた表面に固着されることとなる。これにより、射出成形同時加飾品80に対する加飾が行なわれたこととなる。
その後、射出成形同時加飾品80は、第1実施形態と同様に、夫々の製品成形品部と外枠成型品部とに切断されて、夫々の製品成形品部が製品として得られることとなる。
第2実施形態によれば、成形空間部83内への成形樹脂4の注入の際に、成形空間部83が開放された状態とされ、成形樹脂4の充填の後、開放状態とされていた第1金型71と第2金型72とが型締めされて、成形空間部83が密閉状態とされるとともに、成形空間部83の容積が縮小されるため、充填されている成形樹脂4を圧縮して成形空間部83の隅々にまで行き渡らせることができる。このような効果は、特に、成形空間部83が薄型の空間で、均一な状態での成形樹脂4の注入に困難性を有するような場合に特に有効である。また、成形樹脂4を圧縮することができるため、高密度な成形品を形成することができ、例えば、射出成形同時加飾品80が、光学レンズ等の光学系の部品等である場合の製造方法として適している。
なお、第2実施形態においては、第1金型71と第2金型72とが所定の間隔寸法を保って成形空間部83を開放状態として、成形樹脂4の注入を行ない、その後、第1金型71と第2金型72とを型締めして成形空間部83の容積を縮小させるとともに、密閉させるような射出圧縮成形について説明したが、射出圧縮成形はこのような場合のみに限られるものではない。このような場合に代えて、例えば、第1金型の一部を移動可能な構成として、第1金型と第2金型とを型締め状態にて、密閉された成形空間部を形成した後、成形樹脂の注入を行ない、その後、前記第1金型の一部を移動させることで、成形空間部の容積を縮小させることで、充填された成形樹脂に対する圧縮を行なうような場合であってもよい。
(成形空間部の実施例)
次に、本発明の夫々の実施形態において説明した第1金型と加飾フィルムにより形成される成形空間部の配置についての様々な実施例について空間配置図を用いて説明する。
実施例1:実施例1にかかる成形空間部120の空間配置図(模式平面図)を図23に示す。図23に示すように、成形空間部120は、1つの製品成形空間部121、樹脂注入用成形空間部122及び樹脂排出用成形空間部123により形成されている。具体的には、平面的に略方形状の空間である製品成形空間部121の図示下方の端部に隣接かつ連通されるように、平面的に略三角形状の空間形状を有する樹脂注入用成形空間部122が配置されるとともに、製品成形空間部121の残りの三辺端部に隣接かつ連通するように、樹脂排出用成形空間部123が配置されている。さらに、樹脂注入用成形空間部122の図示下方近傍には、ゲート部124が配置されている。
成形空間部120がこのような構成とされていることにより、ゲート部124より樹脂注入用成形空間部122内に注入された成形樹脂は、図23において成形樹脂の流れ方向F3に示すように、ゲート部124より隣接する製品成形空間部121に向かうように略放射状に広がりながら、樹脂注入用成形空間部122内に充填される。さらに、樹脂注入用成形空間部122に充填された成形樹脂が、製品成形空間部121内に流れ込んで、製品成形空間部121内に充填される。その後、この充填された成形樹脂の一部が製品成形空間部121より樹脂排出用成形空間部123へと流れ込み、成形空間部120全体に成形樹脂が充填されることとなる。
前記実施例1によれば、成形空間部120において、成形樹脂を放射状に広がらせながら、発生するガスを樹脂排出用成形空間部123に集めることができるとともに、製品成形空間部121内においてはウエルドを発生させることもない。さらに、ゲート部124が樹脂注入用成形空間部122に配置されていることにより、加飾が施される製品成形空間部121をゲート部124から離して配置させることができ、ゲート部124から高圧の成形樹脂の注入が行なわれることに伴う、加飾層の破壊(例えば、インキ流れ)を起こりにくくし、確実な加飾を行なうことが可能となる。また、製品成形空間部121内にて形成される成形品の表面にゲート部124の跡が残ることもないため、例えば、製品成形空間部121により形成される成形品の略全体を占めるように視認用の透明窓部分121aを形成することが可能となる。
実施例2:次に、実施例2にかかる成形空間部140の空間配置図を図24に示す。図24に示すように、成形空間部140は、互いに並べて配置された2つの製品成形空間部141と、夫々の製品成形空間部141の間に配置され、夫々の製品成形空間部141と隣接かつ連通された樹脂注入用成形空間部142と、樹脂注入用成形空間部142が配置されている部分を除いて、夫々の製品成形空間部141の周囲を囲むように隣接かつ連通されて配置された2つの樹脂排出用成形空間部143とにより形成されている。また、樹脂注入用成形空間部142における略中央付近にはゲート部144が配置されている。
成形空間部140がこのような構成とされていることにより、ゲート部144より樹脂注入用成形空間部142内に注入された成形樹脂は、ゲート部144より略放射状に広がりながら、樹脂注入用成形空間部142内に充填される。さらに、樹脂注入用成形空間部142に充填された成形樹脂が、夫々の製品成形空間部141内に流れ込んで、夫々の製品成形空間部141内に充填される。その後、この充填された成形樹脂の一部が各々の製品成形空間部141より各々の樹脂排出用成形空間部143へと流れ込み、成形空間部140全体に成形樹脂が充填されることとなる(図24に示す成形樹脂の流れ方向F5を参照)。
前記実施例2によれば、前記実施例1と同様な効果を得ることができるとともに、製品成形空間部141が2つ配置されているような場合でありながら、ゲート部144を1つのみ備えさせる構成を可能とすることができ、ゲート部144への成形樹脂の注入経路であるスプルーランナーを簡素化することができる。これにより、スプルーランナーに残留する成形樹脂量を低減することができる。また、夫々の製品成形空間部141内にて形成される成形品の表面にゲート部144の跡が残ることもないため、例えば、夫々の製品成形空間部141により形成される成形品の略全体を占めるように視認用の透明窓部分141aを形成することが可能となる。
実施例3:また、上述のような夫々の実施例にかかる成形空間部の配置構成は、製品成形空間部の個数に限定されることなく、さらに多数の製品成形空間部が備えられるような場合にも適用することができる。例えば、実施例3にかかる成形空間部210の空間配置図を図25に示す。
図25に示すように、製品成形空間部211が6個備えられているような場合であっても、前記夫々の実施例の効果を有するような成形空間部を形成することができる。
(成形品の形態)
次に、上述のような夫々の実施形態等の製造方法により形成される射出成形同時加飾品の様々な形態例について、図26A、図26B、図26C及び図26Dに示す射出成形同時加飾品の模式図を用いて説明する。
まず、図26Aに示す射出成形同時加飾品301は、透明窓部分を備えていないような成形品である。例えば、その表面にウエルドや樹脂焼け等の跡を残したくないような自動車部品、家電、建材、生活用品等の成形品や、その他一般的な成形品がある。
次に、図26Bに示す射出成形同時加飾品302は、透明窓部分302aが成形品の略全体に渡って形成されるような成形品である。このような透明部分302aは、一般的に視認用として形成されるものであり、その表面及び内部にウエルドや樹脂焼け等の跡を残したくない部分であり、なおかつ、薄型部分とされるという特徴を有している。このような射出成形同時加飾品302としては、例えば、携帯電話等の携帯情報端末の情報表示窓部分や、パーソナルコンピュータや小型テレビ等のディスプレイ部分がある。
次に、図26Cに示す射出成形同時加飾品303は、透明窓部分303aが成形品のごく一部に形成されるような成形品である。このような透明部分303aは、一般的に視認用として形成されるものであり、その表面及び内部にウエルドや樹脂焼け等の跡を残したくない部分であり、なおかつ、薄型部分とされるという特徴を有している。このような射出成形同時加飾品303としては、例えば、電化製品(炊飯器、洗濯機等)等の入力パネル部分がある。
次に、図26Dに示す射出成形同時加飾品304は、その全体が透明窓部分として形成されるような成形品である。このような射出成形同時加飾品304としては、光学製品、例えば、レンズ等がある。
(仕切り凸部の形態)
次に、前記夫々の実施形態において用いられている第2金型2、72に形成された仕切り凸部23の様々な形態例について説明する。
図7に示す第1実施形態の第2金型2においては、夫々の製品成形空間部31の周囲全体を囲むように、夫々の仕切り凸部23が配置されている場合について説明したが、仕切り凸部23の配置はこのような場合についてのみ限られるものではなく、その他様々な配置を採用することができる。
例えば、図27に示すように、夫々の製品成形空間部31の周囲を囲むように配置されるものの、夫々の製品成形空間部31の角部分においてのみ配置されないように夫々の仕切り凸部351が形成されるような場合であってもよい。
また、図28に示すように、夫々の製品成形空間部31の周囲を略囲むように配置されるものの、連続して形成された凸状の隆起部分と、断続的に形成された隆起部分とが組み合わせて夫々の仕切り凸部352が形成されるような場合であってもよい。
また、図29に示すように、夫々の製品成形空間部31の周囲を略円状の不連続の隆起部分で囲むように夫々の仕切り凸部353が形成されるような場合であってもよい。
また、図30に示すように、夫々の製品形成空間部31を2重に囲み、かつ、当該2重の夫々の隆起部分の配置パターンが異なるように、夫々の仕切り凸部354が形成されるような場合であってもよい。
さらに、図31に示すように、隆起部分の幅が箇所によって異なるように、夫々の仕切り凸部355が形成されるような場合であってもよい。
特に、加飾フィルム5の弛みの生じやすさは、成形品の形状や箇所によって多少異なる場合があるため、仕切り凸部の形態を前記成形品の形状等に応じて変えることにより、加飾フィルム5における弛みの発生を防止することができる。また、皺や弛みが生じ易い場合には、連続的で2列に配置するとともに、その隆起部分の幅を大きくすることで対処することができる。なお、このような皺や弛みが生じ難い場合には、1列にて形成するか、あるいは、仕切り凸部自体を設けないこともできる。
(吸引ピンの配置形態)
次に、前記夫々の実施形態における第2金型2、72に形成されている夫々の吸引ピン25の様々な配置形態のバリエーションについて説明する。
例えば、図32に示すように、仕切り凸部23の内側において、4隅部分及び各辺の中央付近に夫々の吸引ピン25を配置することができる。
また、図33に示すように、仕切り凸部23の内側において、製品成形空間部31との間の領域に略均一に配置させるように多数の吸引ピン25を配置させることもできる。
また、図34に示すように、仕切り凸部23が存在しないような場合にあっては、製品成形空間部31の外周近傍に均等に夫々の吸引ピン25を配置させることができる。
また、図35に示すように、仕切り凸部23の内周と、製品成形空間部31の外周との間の領域が大きいような場合にあっては、仕切り凸部23の近傍と製品成形空間部31の近傍との夫々に吸引ピン25を配置させることで、確実な加飾フィルム5の保持を行なうことができる。
また、このような場合においては、図36に示すように、仕切り凸部23の4つの隅部分における内周側及び外周側の夫々に吸引ピン25を設けるような場合であってもよい。
特に、加飾フィルム5の第2金型2への追随性は箇所によって異なる場合があるが、製品成形空間部31内においては皺や弛みが生じないようにする必要がある。仕切り凸部23の近傍であって、しかも隅部分ほど、加飾フィルム5の金型への追随性が悪くなるため、このような部分に吸引ピン25を設けることが望ましい。また、皺等の発生を防止したい対象部分である製品成形空間部31の近傍に夫々の吸引ピン25を設置することが好ましい。
(張溝の配置態様)
次に、前記夫々の実施形態における夫々の金型1、2、71、72の周部に形成されている張溝15の様々な配置形態について説明する。
例えば、金型の全周に形成されているような場合に代えて、図37に示すように、加飾フィルム5の送り方向である図示上下方向沿いに配置される張溝15を連続的に形成し、前記送り方向と直行する方向である加飾フィルム5の幅方向沿いに配置される張溝15を不連続的に形成するような場合であってもよい。
また、図38に示すように、加飾フィルム5の送り方向と幅方向とで、張溝15の幅を変えることもできる。例えば、前記送り方向沿いに配置される張溝15は、前記幅方向沿いに配置される張溝15の幅よりも大きな幅で形成するとともに、成形空間部3の近傍に形成し、前記幅方向沿いに配置される張溝15は成形空間部3からやや離れて形成することができる。また、図39に示すように、図38に示す張溝15の4隅部分を円形に変形させるようなこともできる。
加飾フィルム5の弛みは、加飾フィルム5に張力がかかる送り方向と幅方向とによって異なり、成形品の形状や、張溝15の太さ、形状、さらに成形空間部3までの距離によっても異なる。そのため、このような張溝15の配置態様を採用することで、夫々の弛み状況に応じて、張溝15の最適な態様を選択して、できる限り弛みが生じないようにすることができる。また、張溝15の配置態様は、上述のような場合のみに限られず、2列のみ備えさせるような場合、あるいは形成しないような場合であってもよい。
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明は、添付の図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して十分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
本発明の第1実施形態にかかる射出成形同時加飾品の製造方法を示す模式断面図であり、成形樹脂の注入前の状態を示す。 第1実施形態の射出成形同時加飾品の製造方法において成形樹脂の注入状態を示す模式断面図である。 第1実施形態の射出成形同時加飾品の製造方法において成形樹脂が充填された状態を示す模式断面図である。 第1実施形態の射出成形同時加飾品の製造方法において成形品が離型される状態を示す模式断面図である。 第1実施形態の第1金型の模式平面図である。 図6A、図6B、図6C及び図6Dは、図5の第1金型における模式断面図であり、図6AはB−B線断面図であり、図6BはD−D線断面図であり、図6CはC−C線断面図であり、図6DはE−E線断面図である。 第1実施形態の第2金型の模式平面図である。 図8A及び図8Bは、図7の第2金型における模式断面図であり、図8AはF−F線断面図であり、図8BはG−G線断面図である。 第1実施形態における成形空間部の空間平面配置図である。 図9のA−A線断面における空間配置図である。 図11A及び図11Bは、第1実施形態における張溝を示す部分拡大断面図であり、図11Aは係合部材が係合される前の状態を示し、図11Bは係合部材が係合された状態を示す。 第1実施形態の成形空間部における成形樹脂の流れ方向を示す空間配置図である。 第1実施形態の射出成形同時加飾品の模式平面図である。 第1実施形態の外枠成形品部の模式平面図である。 第1実施形態の夫々の製品成形品部の模式平面図である。 第1実施形態の加飾フィルムの構造を示す模式断面図である。 第1実施形態の別の例にかかる加飾フィルムの模式断面図である。 本発明の第2実施形態にかかる射出成形同時加飾品(射出圧縮成形同時加飾品)の製造方法を示す模式断面図であり、成形樹脂の注入前の状態を示す。 第2実施形態の射出成形同時加飾品の製造方法において成形樹脂の注入状態を示す模式断面図である。 第2実施形態の射出成形同時加飾品の製造方法において成形樹脂が充填されるとともに圧縮された状態を示す模式断面図である。 第2実施形態の射出成形同時加飾品の製造方法において成形品が離型される状態を示す模式断面図である。 第2実施形態の第1金型の模式平面図である。 実施例1にかかる成形空間部の空間配置図である。 実施例2にかかる成形空間部の空間配置図である。 実施例3にかかる成形空間部の空間配置図である。 図26A、図26B、図26C及び図26Dは、夫々の実施形態における射出成形同時加飾品の模式平面図であり、図26Aは透明窓部分を有さない成形品であり、図26Bは略全体に渡るような透明窓部分を有する成形品であり、図26Cはその一部に透明窓部分を有する成形品であり、図26Dは全体が透明に形成されている成形品である。 夫々の実施形態にかかる仕切り凸部の形態の一例を示す模式平面図である。 仕切り凸部の形態の別の一例を示す模式平面図である。 仕切り凸部の形態の別の一例を示す模式平面図である。 仕切り凸部の形態の別の一例を示す模式平面図である。 仕切り凸部の形態の別の一例を示す模式平面図である。 夫々の実施形態にかかる吸引ピンの配置態様の一例を示す模式平面図である。 吸引ピンの配置態様の別の一例を示す模式平面図である。 吸引ピンの配置態様の別の一例を示す模式平面図である。 吸引ピンの配置態様の別の一例を示す模式平面図である。 吸引ピンの配置態様の別の一例を示す模式平面図である。 夫々の実施形態にかかる張溝の配置態様の一例を示す模式平面図である。 張溝の配置態様の別の一例を示す模式平面図である。 張溝の配置態様の別の一例を示す模式平面図である。 図40A及び図40Bは、従来の射出成形品の製造方法を示す図であり、図40Aは金型の断面図であり、図40Bは金型内における成形樹脂の流れ方向を示す図である。 従来の射出成形品においてウエルドが生じた状態を示す図である。 従来の射出成形品において樹脂焼けが生じた状態を示す図である。
符号の説明
1 第1金型(A金型)
10 射出成形同時加飾品
11 基準面
12 凹部
14 ゲート部
15 張溝
16 係合部材
19 エアベントピン
120 成形空間部
121 製品成形空間部
122 樹脂注入用成形空間部
123 樹脂排出用成形空間部
140 成形空間部
141 製品成形空間部
141a 透明窓部分
142 樹脂注入用成形空間部
143 樹脂排出用成形空間部
144 ゲート部
2 第2金型(B金型)
20 エアベント孔
21 基準面
22 凹部
23 凸部
24 エジェクタピン
25 吸引ピン
26 吸引凸部
210 成形空間部
211 製品成形空間部
3 成形空間部
30 製品成形品部
31 製品成形空間部
32 樹脂注入用成形空間部
33 樹脂排出用成形空間部
301 射出成形同時加飾品
302 射出成形同時加飾品
302a 透明窓部分
303 射出成形同時加飾品
303a 透明窓部分
304 射出成形同時加飾品
351 仕切り凸部
352 仕切り凸部
353 仕切り凸部
354 仕切り凸部
355 仕切り凸部
4 樹脂(成形樹脂)
40 外枠成形品部
42 注入用空間成形品部
43 排出用空間成形品部
5 加飾フィルム
50 加飾層
51 基体シート
52 絵柄層
53 接着層
54 剥離層
55 離型層
501 第1金型
502 第2金型
503 成形空間部
504 補助空間部
505 樹脂成形品
505a 樹脂成形部
505b 図示
514 ゲート部
551 ウエルド
552 樹脂焼け
71 第1金型
72 第2金型
77 金型タッチセンサー
80 射出成形同時加飾品
81 製品成形空間部
83 成形空間部
91 製品成形空間部
92 樹脂注入用成形空間部
93 樹脂排出用成形空間部
F1 流れ方向
F3 流れ方向
F5 流れ方向
F12 流れ方向

Claims (6)

  1. 互いに対向配置された第1金型(1、71)と第2金型(2、72)との間に加飾フィルム(5)を配置し、当該加飾フィルムと当該第1金型とによって形成される成形空間部(3)に溶融した成形樹脂(4)を注入して当該成形空間部に充填された成形樹脂を固化させて射出成形同時加飾品(10)を得る射出成形同時加飾品の製造方法において、
    前記第1金型には前記成形樹脂(4)を注入するゲート部(14)が設けられ、前記成形空間部が、ゲート部から注入された成形樹脂が流入する当該ゲート部に連通して形成された樹脂注入用成形空間部(32)と樹脂注入用成形空間部に流入した成形樹脂が当該樹脂注入用成形空間部から流入する当該樹脂注入用成形空間部に隣接して形成された製品成形空間部(31)と製品成形空間部に充填された成形樹脂の一部の成形樹脂が製品成形空間部から排出されて流入する当該製品成形空間部に隣接して形成された樹脂排出用成形空間部(33)とを備え、
    前記樹脂注入用成形空間部と前記製品成形空間部と前記樹脂排出用成形空間部との各境界部分がそれぞれ互いに仕切られることなく連通しており、注入された成形樹脂がゲート部を中心として該ゲート部から略放射状に流れて広がって樹脂注入用成形空間部に充填されて当該ゲート部からの前記略放射状の広がりを維持した状態で樹脂注入用成形空間部から製品成形空間部に流れ込んで製品成形空間部に充填され、製品成形空間部から排出されるように樹脂排出用成形空間部に流れ込んで成形空間部全体に充填され、その後、成形樹脂を固化させると共に当該成形樹脂の表面を前記加飾フィルムにより加飾して射出成形同時加飾品を得ることを特徴とする射出成形同時加飾品の製造方法。
  2. 第1金型(1)と第2金型(2)との間に加飾フィルムを配置した状態で第1金型と第2金型とを型締めして成形空間部を密閉させた状態において成形樹脂の注入を行ない、成形空間部に成形樹脂が充填された後、成形空間部の容積を縮小させて充填された成形樹脂の圧縮を行なう請求項1記載の射出成形同時加飾品の製造方法。
  3. 第1金型(71)と第2金型(72)との間に加飾フィルムを配置した状態で第1金型と第2金型とを近接配置させて成形空間部を開放させた状態において成形樹脂の注入を行ない、その後、第1金型と第2金型とを型締めして成形空間部の容積を縮小させて充填された成形樹脂の圧縮を行なう請求項1記載の射出成形同時加飾品の製造方法。
  4. 互いに対向配置された第1金型(1、71)と第2金型(2、72)との間に加飾フィルム(5)を配置し、当該加飾フィルムと当該第1金型とによって形成される成形空間部(3)に溶融した成形樹脂(4)を注入して当該成形空間部に充填された成形樹脂を固化させると共に当該加飾フィルムにより成形樹脂の表面に加飾を行って射出成形同時加飾品(10)を得るための射出成形同時加飾用金型において、
    前記第1金型には前記成形樹脂(4)を注入するゲート部(14)が設けられ、前記成形空間部が、ゲート部から注入された成形樹脂が流入する当該ゲート部に連通して形成された樹脂注入用成形空間部(32)と樹脂注入用成形空間部に流入した成形樹脂が当該樹脂注入用成形空間部から流入する当該樹脂注入用成形空間部に隣接して形成された製品成形空間部(31)と製品成形空間部に充填された成形樹脂の一部の成形樹脂が製品成形空間部から排出して流入される当該製品成形空間部に隣接して形成された樹脂排出用成形空間部(33)とを備え、
    前記樹脂注入用成形空間部と前記製品成形空間部と前記樹脂排出用成形空間部との各境界部分がそれぞれ互いに仕切られることなく連通しており、注入された成形樹脂がゲート部を中心として該ゲート部から略放射状に流れて広がって樹脂注入用成形空間部に充填されて当該ゲート部からの前記略放射状の広がりを維持した状態で樹脂注入用成形空間部から製品成形空間部に流れ込んで製品成形空間部に充填され、製品成形空間部から排出されるように樹脂排出用成形空間部に流れ込んで成形空間部全体に充填されることを特徴とする射出成形同時加飾用金型。
  5. 樹脂排出用成形空間部を形成する第2金型の表面に該表面に密着した加飾フィルムの弛みを除去して保持する略凸状に隆起したフィルム保持部(23)が設けられている請求項4記載の射出成形同時加飾用金型。
  6. 成形空間部が方形状であって製品成形空間部の平均断面積S1(mm)と製品成形空間部の平均厚みT1(mm)と外枠成形空間部の平均断面積S2(mm)と外枠成形空間部の平均厚みT2(mm)とがS1≧4×S2かつT1≧T2の関係にある請求項4又は請求項5記載の射出成形同時加飾用金型。
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