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JP3771166B2 - ベルト伝動装置およびプーリ - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用エンジンのベルト伝動装置に関し、特にそのベルト伝動装置に適用されるプーリに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車用エンジン(内燃機関)には複数の補機を単一の無端ベルトで多軸駆動するベルト伝動装置が採用され、特にその専有スペースをコンパクト化するために無端ベルトとしてVリブドベルトが広く利用されている。
【0003】
アンダーカバーがついていない車輌などでは、雨天走行時にはエンジンの下部に位置するタイヤの跳ね上げ等による水飛沫を浴び易く、エンジンルーム内に水が飛散するあるいは浸水するとベルトとプーリとの間でスティックスリップ現象と呼ばれる微小滑りが生じ、特有の異音を生じることが知られている。この異音は近年の自動車の静粛化にとって好ましいものではない。従来では、ベルト張力を高める、ベルトの表面に微小短繊維を突出させて浸入した水を積極的に掃き出す、あるいはベルトのリブを高くしてグリップを向上させること等により、ベルト−プーリ間のスリップを防止しているが、これらの対策では異音発生を十分に抑制することができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、回転変動の大きいベルト伝動装置において注水時でも異音の発生を防止することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によるベルト伝動装置は、Vリブドベルトと、Vリブドベルトが巻きかけられる面にポリテトラフルオロエチレンを主成分とするコート層が形成されるプーリとを備えることを最も主要な特徴とする。これによりVリブドベルトおよびプーリ間で積極的な滑りを発生させスティックスリップを抑えることにより、注水時においても異音の発生を防止することができる。
【0006】
上記ベルト伝動装置において、コート層が形成されるプーリは異音の音源となるプーリであることが好ましく、例えばベルト伝動装置に用いられるプーリの中で最も小径のプーリ、あるいはベルト伝動装置に用いられるプーリの中で最も大きい負荷を受けるプーリであることが好ましい。一般的には相対的に小径で大きい負荷が作用するオルタネータプーリである。
【0007】
また、本発明によるプーリは、Vリブドベルトを用いたベルト伝動装置に設けられるプーリであって、Vリブドベルトが巻きかけられる面にポリテトラフルオロエチレンを主成分とするコート層が形成されることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0009】
図1は本発明の実施形態であるベルト伝動装置を簡単に示すレイアウト図である。このベルト伝動装置は図示しない自動車のエンジンルーム内に設けられ、無端のVリブドベルト10を複数のプーリ12、14、16、18および20の周囲に巻回して成る。駆動源であるエンジンのクランク軸に連結されたクランクプーリ12が回転させられると、Vリブドベルト10を介してその回転駆動力がエアーコンディショナー用プーリ14、パワーステアリング用プーリ16、ウォーターポンプ用プーリ18およびオルタネータ用プーリ20の順に伝達され、各補機が作動させられる。クランクプーリ12とウォーターポンプ用プーリ18との間にはVリブドベルト10を背面から弾性を持って押圧するオートテンショナが配されており、このオートテンショナのテンショナプーリ22が実線位置と破線位置との間で揺動することにより、走行中のVリブドベルト10に適切な張力を与えられると共に、回転数の変動等により生じるVリブドベルト10の振動が抑制される。
【0010】
オルタネータ用プーリ20はこのベルト伝動装置において相対的に最も小径のプーリであり、エンジン回転数の変動即ちクランクプーリ12の角速度変動の影響を受けやすい。なぜなら、オルタネータ用プーリ20はクランクプーリ12より小径であるため、その回転速度はクランクプーリ12の回転速度より大きく、角速度変動がさらに顕著となるからである。また、オルタネータは発電のためにベルト伝動装置の中で相対的に大きい負荷を発生し、またオルタネータ用プーリ20自身の回転慣性が大きいため、Vリブドベルト10の速度変動が大きいとVリブドベルト10との間で微小な位置ずれ、即ち微小滑りが生じやすい。
【0011】
従ってオルタネータ用プーリ20のように角速度変動および負荷が大きいプーリでは、Vリブドベルト10との間にスティックスリップが生じ易く、特有の異音が発生しやすい。本実施形態においてはこのスティックスリップを防止するために、以下に説明するようにオルタネータ用プーリ20の改良を行っている。
【0012】
図2は一部破断したオルタネータ用プーリ20をVリブドベルト10の一部と共に示す斜視図である。Vリブドベルト10の内周面にはベルト長手方向に延びるV状突起102が複数個形成され、オルタネータ用プーリ20の外周面にはこれらV状突起102に対応する寸法形状のV溝202が形成される。V状突起102および対応するV溝202がそれぞれ係合することにより、Vリブドベルト10からオルタネータ用プーリ20へ駆動力が伝達される。
【0013】
Vリブドベルト10は、いわゆるゴム材料から形成されるベルト本体104と、このベルト本体104に埋設された心線コード106とを備え、必要に応じてベルト表面は帆布108により覆われる。ベルト本体104は、耐熱性および耐オゾン性に優れた合成ゴム、例えばクロロプレンゴムやエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)を主成分とする配合ゴムから形成され、配合ゴムには必要に応じて短繊維、例えば綿やアラミド繊維等が混入される。心線コード106は引張強度に優れたポリエステル繊維やアラミド繊維等の素材からなる。
【0014】
オルタネータ用プーリ20の外周面には、ポリテトラフルオロエチレンを主成分とするコート層204が形成される。このコート層204は図2のように少なくともVリブドベルト10に当接する外周面に設けられていればよく、コート層の設ける領域は本実施形態に特に限定されない。
【0015】
コート層204は、ポリテトラフルオロエチレンを主成分とする配合材料から生成され、特に高硬度で耐磨耗性、非粘着性に優れたデュポン社製のセラミックフッ素塗料から形成されることが好ましい。コート層204は、オルタネータ用プーリ20の本体部206を成形した後、その外周面にセラミックフッ素塗料の接着性を向上させるための前処理を行った後、吹き付け等によってセラミックフッ素塗料を付着させ、さらにセラミックフッ素塗料が塗布された本体部206を焼成する。これにより、コート層204が形成される。なお、コート層204が磨耗に十分耐え得るだけの厚みを有するように上記工程を複数回繰り返してもよい。本体部206は、成形が容易で高強度、かつセラミックフッ素塗料の焼成温度(約420℃)に耐え得る金属材料、例えば鉄系合金から形成されることが好ましい。
【0016】
従来、一般にはオルタネータ用プーリには亜鉛メッキ処理あるいはカチオン塗装処理が施され、ポリテトラフルオロエチレンを主成分とするコート層は設けられていなかった。このような従来のオルタネータ用プーリを用いたベルト伝動装置においては、自動車の雨天走行時などエンジンルームに水、あるいは氷結防止の電解質成分(塩分)を含んだ水が浸入すると、ベルト−プーリ間に水が付着して微小滑りを生じる、所謂スティックスリップ現象を生じ、異音が発生することが知られている。このスティックスリップ現象は、エンジン回転数の変動即ちクランクプーリ12の角速度変動が大きいことに起因し、クランクプーリ12より小径であってかつ電気負荷によって回転軸にかかる負荷が相対的に大きいオルタネータ用プーリ20で生じやすい。
【0017】
従来では、ベルト張力を高めたりVリブドベルトのV状突起の高さ(以下、リブ高さと記載する)を従来のベルトのリブ高さより大きく設定することにより、Vリブドベルトのオルタネータ用プーリ側への押圧力を高めてスティックスリップを防止する、あるいはVリブドベルトの構造または材質を改良したり一方向クラッチを設けてVリブドベルトに無理な応力が作用するのを防止することにより騒音の低下を図る等、種々の改良が試みられてきた。しかし、これらの試みは異音の発生を抑制することについては効果的でない場合もあった。
【0018】
そこで、本出願人は、オルタネータ用プーリ20の外周面に、摩擦係数が小さくスティックスリップを生じ難いという摩擦特性を有するポリテトラフルオロエチレンを主成分とするコート層を設け、Vリブドベルト10およびオルタネータ用プーリ20間をある程度積極的に滑らせている。この構成により、Vリブドベルト10の材質を従来と変えることなくまた構成の複雑な一方向クラッチを設けることなく、注水時であってもスティックスリップを防止し、異音の発生を低減することができる。なお、ベルト張力はVリブドベルト10からオルタネータ用プーリ20に確実に動力伝達できる値に調整される。
【0019】
図1に示す本実施形態のベルト伝動装置を用いて注水実験を行ったところ、異音発生現象がみられなかったことが確認された。この注水試験において、オルタネータ用プーリ20のコート層として、耐熱性250℃、ビッカース硬度77kgf/mm2のセラミックフッ素塗料(デュポン社)が用いられ、その膜厚は約50μmであった。注水はウォーターポンプ用プーリ18とオルタネータ用プーリ20との間(図1の矢印A〜Eが示す位置)で行われた。
【0020】
本実施形態においては、オルタネータ用プーリ20についてのみコート層を設けているが、特にオルタネータ用プーリ20に限定されることはなく、ベルト伝動装置において異音が生じ易いプーリに適用してもよい。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のベルト伝動装置は、相対的に小径で負荷の大きいオルタネータ用プーリの外周面にポリテトラフルオロエチレンを主成分とするコート層を設けているため、Vリブドベルト10およびオルタネータ用プーリ20間を積極的に滑らせてスティックスリップを防止することができるので、回転変動の大きいベルト伝動装置において注水時でも異音の発生を防止できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるベルト伝動装置の実施形態を示すレイアウト図である。
【図2】図1に示すオルタネータ用プーリを一部破断して示す図であって、Vリブドベルトの一部と共に示す斜視図である。
【符号の説明】
10 Vリブドベルト
20 オルタネータ用プーリ
204 コート層

Claims (2)

  1. 第1プーリおよび、以上の第2のプーリにVリブドベルトが巻回して成り、前記第1のプーリが回転させられると前記Vリブドベルトを介してその回転駆動力が前記以上の第2のプーリに伝達されるベルト伝動装置において、
    前記第2のプーリのうち、相対的に最も小径であり、かつ相対的に最も大きい負荷を受けるプーリのみにおいて、前記Vリブドベルトが巻きかけられる面にポリテトラフルオロエチレンを主成分とするコート層が形成されることを特徴とするベルト伝動装置。
  2. エンジンのクランク軸に連結されたクランクプーリと、補機を作動させるための2以上の従動プーリとを含む複数のプーリにVリブドベルトを巻回して成り、前記クランクプーリが回転させられると前記Vリブドベルトを介してその回転駆動力が前記従動プーリそれぞれに伝達される多軸補機ベルト伝動装置において、
    前記従動プーリのうちオルタネータを作動させるためのオルタネータ用プーリのみにおいて、前記Vリブドベルトが巻きかけられる面に、ポリテトラフルオロエチレンを主成分とするコート層が形成されることを特徴とする多軸補機ベルト伝動装置。
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