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JP3772016B2 - 波長選択型カメラ装置 - Google Patents
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JP3772016B2 - 波長選択型カメラ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的バンドパスフィルタと、撮像素子とを組み合わせて、特定の波長の被写体画像を抽出する波長選択型カメラ装置に係わり、特に海面上に浮いている油膜などの画像を抽出して映像化する波長選択型カメラ装置に関する。
【0002】
[発明の概要]
本発明は、光学的バンドパスフィルタと、撮像素子とを組み合わせて、特定の画像を抽出する波長選択型カメラ装置に関するもので、光電変換機能を有する複数の撮像素子と、これらの撮像素子に同じ光学画像を分配するレンズを含む光学系と、各撮像素子とレンズの間に設けられた互いに異なる透過波長帯域を持つ複数の光学的バンドパスフィルタと、波長の異なる複数の画像について、同じ空間座標もしくはレジストレーション調整後の誤差範囲内の近さの空間座標をもつ画素毎に、信号レベル差を計算し、かつ、その絶対値に比例した値を出力する画像演算部とによって波長選択型カメラ装置を構成することにより、従来、検出することが困難であった海面や水面などに浮かんだ油膜や有機膜などの薄膜を高コントラストの画像として映像化するものである。
【0003】
【従来の技術】
波長選択型のカメラ装置の1つとして、従来、図22に示すフルカラーカメラ装置が知られている。
【0004】
この図に示すフルカラーカメラ装置200では、レンズ201と撮像素子202、203、204との間に、ダイクロイックプリズム205を設けて、被写体側からの白色光206を3原色光R、G、Bに分解している。この場合、撮像素子202、203、204としては、CCD(Charge Coupled Device)、MOS(Metal Oxide Semiconductor)、CPD(Charge Priming Device)、SIT(Static Induction Transistor)、CMD(Charge Modulation Device)、AMI(Amplified Mos Intelligent Imager)など、従来から良く用いられている個体撮像素子が用いられる。その他、プランビコン、サチコン、ビジコン、カルニコン、ハーピコンなどの撮像管なども使われる。
【0005】
そして、各撮像素子202〜204によって生成された各映像信号が各ヘッドアンプ回路207、208、209に供給されて各々、増幅されるとともに、各映像処理回路210、211、212によって各種の補償処理が行われた後、エンコーダ回路213によって、合成されて、カラーテレビ信号に変換され、次段装置に供給される。
【0006】
なお、ここでは、フルカラーカメラ装置200では、入射光量を減衰するアイリスやND(Neutral Density)フィルタ、赤外線を遮断するIR(Infrared)フィルタ、駆動回路や画像処理回路にパルス信号を送るパルス発生器、映像の輪郭を強調する輪郭補償回路、電源などもが使用されるが、各要素部品については、このフルカラーカメラ装置200の本質に関わらないため、省略している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、淡水や海水に浮かんだ油膜や有機膜などの膜は水に近い屈折率を持つため、光吸収率が小さい場合、光(特に可視光以上の長波長光)をほとんど吸収せず、目視では水やガラスなどの透明物質と区別することが難しいという特性を持っている。また、吸収率が大きくても膜厚が薄い場合でも、殆どの光が薄膜を通過してしまい、目視では水やガラスなどの透明物質と区別することが難しい。例えば、水の吸収率(緑色光に対して約2.3×10-4cm-1)の3万倍以上の大きな吸収率を持つ原油(緑色光に対しての吸収率は約8cm-1:文献[1]V.M.ZOLOTAREV,I.A.KITUSHINA,and S.M.SUTOVSKIY,Optical Characteristics of Oils in the 0.4-15μm Band,Oceanology Vol.17,No.6,pp.736-739(1977).)でも、厚さが1μmの場合には、高々1%の光が吸収されるに過ぎない。
【0008】
このため、従来から知られている一般的な波長選択型カメラ装置では、海面の映像と、油膜などの映像とを明確に区別することが難しく、淡水や海水に浮かんだ油膜や有機膜など検出することが困難である。
【0009】
同様に、図22に示すフルカラーカメラ装置200でも、人間の視覚特性にできるだけ近い画像を撮影することを目的としているため、前述した水面に浮かんだ油膜や有機膜など、目視観察では容易に検出できない被写体を撮影しても、これらを高コントラストな画像として検出することができない。
【0010】
また、このようなフルカラーカメラ装置200以外の波長選択型カメラ装置として、フルカラーカメラ装置のレンズの前後に、特定の波長領域の光を透過させ、それ以外の領域の光を吸収させる色フィルタを設置した波長選択型カメラ装置もある。
【0011】
しかしながら、この波長選択型カメラ装置は、フルカラーカメラ装置の波長選択領域を狭めただけであり、撮像の原理については、図22のフルカラーカメラ装置200と何ら変わらないことから、図22に示すフルカラーカメラ装置200と同様に、水面に浮かんだ油膜や有機膜などを高コントラストな画像にすることが困難である。
【0012】
以下、海面に浮かんだ油膜を例に取り、図面を参照しながら、その理由を以下に詳細に述べる。
【0013】
まず、海面に油膜が浮いている場合には、図23に示すように、上層(一般に空気)215、中層(液体の油膜あるいは有機膜)216、下層(淡水や海水などの液体)217の3層構造と見なすことができることから、上層215側から中層216に光218が入射したとき、中層216を構成する薄膜の内部で何度も反射を繰り返しながら、上層215側から光219が放射されるとともに、下層217側から光220が放射される。これらの多数の光219(または、光220)は互いに干渉するため、薄膜で反射された光219および薄膜を透過した光220の強度は弱い波長依存性を持つ。このことから、水面に浮かんだ油膜は、性能の悪い一種の反射増加膜あるいは反射防止膜と見なすことができる。
【0014】
ここで、上層215、中層216、下層217の各屈折率をそれぞれn1、n2、n3とし、中層216の吸収率と厚さをそれぞれをa、Lとすると、中層216からの反射光の強度Iは、次の(1)式で与えられる。
【0015】
【数1】
Figure 0003772016
ここで、ψは図23に示すように、隣接する反射光線(光219)の間の位相差であり、入射する光218の真空中における波長をλとすると、次の(2)式で表すことができる。
【0016】
【数2】
ψ=(4πn2d)[1−(n1/n22]sin2φ10.5/λ …(2)ただし、この(2)式では、上層215から中層216に入射する光218の入射角度をφ1とした。また、dは図23に示すように、中層216を一度だけ、横切るときの光路長であり、次の(3)式で表される。
【0017】
【数3】
d=L/[1−(1−n1/n22sin2φ10.5 …(3)
さらに、r1は上層215と中層216との界面における振幅反射率、r2は中層216と下層217との界面における振幅反射率であり、入射する光218がP波光であるとき、次の(4)式で与えられる。
【0018】
【数4】
1=tan(φ1−φ2)/tan(φ1+φ2
2=tan(φ3−φ2)/tan(φ3+φ2)…(4)
ここで、φ2、φ3は以下の(5)式で表される。
【0019】
【数5】
φ2=sin-1[(n1/n2)sinφ1
φ3=sin-1[(n1/n3)sinφ1]…(5)
また、入射する光218がS波光である場合、r1、r2は以下の(6)式で与えられる。
【0020】
【数6】
1=−sin(φ1−φ2)/sin(φ1+φ2
2=−sin(φ3−φ2)/sin(φ3+φ2)…(6)
そして、(1)〜(6)式より、中層216からの反射光(光219)と波長との関係を求めることができる。例えば、上層215を空気(n1=1)、下層217を海水(n3=1.33)、中層216である膜の屈折率をn2=1.5、その吸収率をa=0cm-1とすると、S波光の規格化された反射強度(以後、中層216の反射率と呼ぶ)とスペクトルの関係は、図24(a)〜(e)、図25(a)〜(e)で表される。ただし、図24(a)〜(e)は中層216の厚さLがL=1μm、図25(a)〜(e)は中層216の厚さLがL=10μmの場合であり、各層の屈折率分散を無視している。ここで、波長依存性のない直線(波線)は、膜のない海面の反射率である。
【0021】
これらの図から明らかなように、海面が空間的、時間的に一定で、かつ膜に入射する光218の強度が一定の場合には、膜からの反射光強度および膜がない海面からの反射光強度の差を測定することにより、原理的には、両者を区別する事が可能である。
【0022】
しかしながら、実際には、時間的にも、空間的にも、海面の高さ形状などが大きく変化し、さらに天候状態や撮影方向により、膜に入射する光218の強度も大きく変動するため、入射角度φ1が小さく、膜からの反射光強度および膜がない海面からの反射光強度の差が非常に小さい場合のみならず、入射角度φ1が大きい場合でも、膜の反射率と海面の反射率との差を検出するだけでは、膜の存在位置を定めることはきわめて困難である。
【0023】
さらに、実際の測定では、反射率を直接、測定することができず、反射光強度を測定し、この測定結果に基づき、反射率を計算しなければならないことから、前述のようなさまざまな要因によって、反射光強度が変化しているとき、人間が判定に介在しない限り、海面上に油膜などが浮いていても、これを認識することができない。したがって、従来の油膜検出方法では、測定の自動化を図ることは事実上不可能であるのみならず、油膜と潮目を間違えるなど、信頼性にも問題があることが指摘されている。
【0024】
また、上述した説明では、膜の吸収が無視できることを条件にして計算を行なって、図24(a)〜(e)、図25(a)〜(e)に示すように、S波光の反射率を求めているが、吸収を考慮した場合、例えば膜の吸収率aをa=8cm-1とした場合にも、図26(a)〜(e)、図27(a)〜(e)に示すように、中層216の反射率が波長依存性を持つ。ただし、図26は中層216の厚さLがL=1μm、図27は中層216の厚さLがL=10μmの場合であり、各層の屈折率分散を無視している。ここで、波長依存性のない直線(波線)は、膜のない海面の反射率である。
【0025】
これらの図から明らかなように、膜の吸収率が大きい場合でも、膜の反射率の依存性がやや小さくなるだけで、図24(a)〜(e)、図25(a)〜(e)と本質的な差は違わないことから、従来の波長選択型カメラ装置のように、光学的バンドパスフィルタを用いて波長領域を狭め、撮像素子で単純に光電変換して画像化するだけでは、海面上に浮いている油膜などのように、元来、目視観察が困難もしくは不可能な非常にコントラストの低い画像をコントラストの高い見やすい画像に変換することはできない。
【0026】
このため、海面に浮かんだ油膜や有機膜を正確にかつ迅速に検出しなければならない場合、例えば遭難した航空機や船舶の探索あるいは、タンカーからの原油流出状況の的確な把握などを行なうときなどでも、油膜などを映像化することがでず、このような映像を得ることができる波長選択型カメラ装置の開発が強く望まれていた。
【0027】
本発明は上記の事情に鑑み、請求項1〜3では、海面からの反射光が強い場合でも、海面上などに浮いている油膜を高いコントラストで映像化することができ、これによって遭難現場などを確実に見つけ出すことができる波長選択型カメラ装置を提供することを目的としている。
【0028】
また、請求項4〜6では、海面からの反射光が強い場合でも、また海面がどのような状態であっても、海面上などに浮いている油膜を高いコントラストで映像化することができ、これによって遭難現場などを確実に見つけ出すことができる波長選択型カメラ装置を提供することを目的としている。
【0029】
また、請求項では、ヘリコプタや航空機などで、探索範囲の上空を高速で飛行しながら、海面からの反射光が強い場合でも、また海面がどのような状態であっても、海面上などに浮いている油膜を高いコントラストで映像化することができ、これによって遭難現場などを迅速に、かつ確実に見つけ出すことができる波長選択型カメラ装置を提供することを目的としている。
【0030】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、請求項1では、撮影動作によって得られた光像を各波長域毎の光像にして特定の波長の被写体画像を抽出することで海水面または淡水面上の油膜を検出する波長選択型カメラ装置において、前記撮影動作によって得られた光像を透過/反射して、2つの光像を生成する光学系と、互いに異なる透過波長領域を持ち、前記光学系によって生成された各光像から各波長域の光像を抽出する2つの光学的バンドパスフィルタと、各光学的バンドパスフィルタによって抽出された各波長域毎の光像を光電変換して各波長域の映像信号を生成する2つの撮像素子と、各撮像素子から出力される各波長域の各映像信号を構成する各画素について、同じ空間座標またはレジストレーション調整後の誤差範囲内の近さの空間座標を持つ各画素毎に信号レベル差を計算し、この差の絶対値に基づき、映像信号を生成する画像演算部とを備え、
前記2つの光学的バンドパスフィルタの中心波長間の差が、
・短波長側の光学的バンドパスフィルタの中心波長が400nm以上500nm以下のときは30nm未満、
・短波長側の光学的バンドパスフィルタの中心波長が500nmを超えて600nm以下のときは60nm未満、
・短波長側の光学的バンドパスフィルタの中心波長が600nmを超えて1300nm以下のときは110nm未満、
となるように、長波長側の光学的バンドパスフィルタの中心波長が決定されている、
ことを特徴としている。
【0031】
また、請求項2では、請求項1に記載の波長選択型カメラ装置において、前記画像演算部は、各撮像素子から出力される各映像信号を取り込んで、各映像信号を構成する各画素について、同じ空間座標もしくはレジストレーション調整後の誤差範囲内の近さの空間座標を持つ2つの画素を選択し、これらのレベル差を計算する差分回路と、この差分回路から出力されるレベル差の絶対値を計算する絶対値回路とを有することを特徴としている。
【0036】
また、請求項では、請求項1または2に記載の波長選択型カメラ装置において、前記各光学的バンドパスフィルタは、中心波長が短くなるほど、各光学的バンドパスフィルタの中心波長の差の絶対値が小さくなることを特徴としている。
【0038】
また、請求項では、撮影動作によって得られた光像を各波長域毎の光像にして、特定の波長の被写体画像を抽出することで海水面または淡水面上の油膜を検出する波長選択型カメラ装置において、撮影動作によって得られた光像を透過/反射して、3つの光像を生成する光学系と、互いに異なる透過波長領域を持ち、前記光学系によって生成された各光像から各波長域の光像を抽出する3つの光学的バンドパスフィルタと、各光学的バンドパスフィルタによって抽出された各波長域毎の光像を光電変換して各波長域の映像信号を生成する3つの撮像素子と、各撮像素子から出力される各波長域の各映像信号を構成する各画素について、同じ空間座標またはレジストレーション調整後の誤差範囲内の近さの空間座標を持つ各画素毎に信号レベル差を計算し、この差の絶対値に基づき、映像信号を生成する画像演算部とを備え、
前記3つの光学的バンドパスフィルタの中心波長をλ1、λ3、λ2(λ1<λ3<λ2)(単位nm)としたとき、
・λ1が400nm以上500nm以下のとき、λ3−λ1が30nm未満、
・λ1が500nmを超えて600nm以下のとき、λ3−λ1が60nm未満、
・λ1が600nmを超えて1300nm以下のとき、λ3−λ1が110nm未満、
となるようにλ3が決定されているとともに、
λ3−λ1<λ2−λ3であって、
・λ3が400nm以上500nm以下のとき、λ2−λ3が30nm未満、
・λ3が500nmを超えて600nm以下のとき、λ2−λ3が60nm未満、
・λ3が600nmを超えて1300nm以下のとき、λ2−λ3が110nm未満、
となるようにλ2が決定されている、
ことを特徴としている。
【0039】
また、請求項では、請求項に記載の波長選択型カメラ装置において、前記画像演算部は、各撮像素子から出力される各映像信号を取り込んで、各映像信号を構成する各画素について、同じ空間座標もしくはレジストレーション調整後の誤差範囲内の近さの空間座標を持つ2つの画素を選択し、これらのレベル差を計算する2つ以上の差分回路と、各差分回路から出力されるレベル差の絶対値を計算する絶対値回路とを有することを特徴としている。
【0044】
また、請求項では、請求項4または5に記載の波長選択型カメラ装置において、前記各光学的バンドパスフィルタは、中心波長が短くなるほど、隣接した2つの光学的バンドパスフィルタの中心波長の差の絶対値が小さくなることを特徴としている。
【0046】
また、請求項では、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の波長選択型カメラ装置において、波長選択型カメラ装置の前に、光シャッタを配置し、この光シャッタを動作させて、前記波長選択型カメラ装置に間欠的に光像を供給することを特徴としている。
【0048】
上記の構成において、請求項1では、光学系によって、撮影動作で得られた光像を透過/反射して、2つの光像を生成する。互いに異なる透過波長領域を持つ2つの光学的バンドパスフィルタは、前記光学系で生成された各光像から各波長域の光像を抽出する。2つの撮像素子は、前記各光学的バンドパスフィルタで抽出された各波長域毎の光像を光電変換して各波長域の映像信号を生成する。そして、画像演算部は、各撮像素子から出力される各波長域の各映像信号を構成する各画素について、同じ空間座標またはレジストレーション調整後の誤差範囲内の近さの空間座標を持つ各画素毎に信号レベル差を計算し、この差の絶対値に基づき、映像信号を生成する。これにより、海面からの反射光が強い場合でも、海面上などに浮いている油膜や有機膜などを高いコントラストで映像化し、遭難現場などを確実に見つけ出す。
【0049】
また、請求項2では、画像演算部として、各撮像素子から出力される各映像信号を取り込んで、各映像信号を構成する各画素について、同じ空間座標もしくはレジストレーション調整後の誤差範囲内の近さの空間座標を持つ2つの画素を選択し、これらのレベル差を計算する差分回路と、この差分回路から出力されるレベル差の絶対値を計算する絶対値回路とを有する画像演算部を使用することにより、海面からの反射光が強い場合でも、海面上などに浮いている油膜や有機膜などを高いコントラストで映像化し、遭難現場などを確実に見つけ出す。
【0054】
また、請求項では、各光学的バンドパスフィルタとして、中心波長が短くなるほど、各光学的バンドパスフィルタの中心波長の差の絶対値が小さくなる光学的バンドパスフィルタを使用することにより、海面からの反射光が強い場合でも、海面上などに浮いている油膜や有機膜などを高いコントラストで映像化し、遭難現場などを確実に見つけ出す。
【0056】
また、請求項では、光学系によって、撮影動作で得られた光像を透過/反射して、3つ以上の光像を生成しながら、互いに異なる透過波長領域を持つ3つ以上の光学的バンドパスフィルタによって、前記光学系で生成された各光像から各波長域の光像を抽出する。3つ以上の撮像素子は、各光学的バンドパスフィルタで抽出された各波長域毎の光像を光電変換して各波長域の映像信号を生成する。そして、画像演算部は、各撮像素子から出力される各波長域の各映像信号を構成する各画素について、同じ空間座標またはレジストレーション調整後の誤差範囲内の近さの空間座標を持つ各画素毎に信号レベル差を計算し、この差の絶対値に基づき、映像信号を生成する。これにより、海面からの反射光が強い場合でも、また海面がどのような状態であっても、海面上などに浮いている油膜や有機膜などを高いコントラストで映像化し、遭難現場などを確実に見つけ出す。
【0057】
また、請求項では、画像演算部として、各撮像素子から出力される各映像信号を取り込んで、各映像信号を構成する各画素について、同じ空間座標もしくはレジストレーション調整後の誤差範囲内の近さの空間座標を持つ2つの画素を選択し、これらのレベル差を計算する2つ以上の差分回路と、各差分回路から出力されるレベル差の絶対値を計算する絶対値回路とを有する画像演算部を使用することにより、海面からの反射光が強い場合でも、また海面がどのような状態であっても、海面上などに浮いている油膜や有機膜などを高いコントラストで映像化し、遭難現場などを確実に見つけ出す。
【0062】
また、請求項では、各光学的バンドパスフィルタとして、中心波長が短くなるほど、隣接した2つの光学的バンドパスフィルタの中心波長の差の絶対値が小さくなる光学的バンドパスフィルタを使用することにより、海面からの反射光が強い場合でも、また海面がどのような状態であっても、海面上などに浮いている油膜や有機膜などを高いコントラストで映像化し、遭難現場などを確実に見つけ出す。
【0064】
また、請求項では、波長選択型カメラ装置の前に、光シャッタを配置し、この光シャッタを動作させて、前記波長選択型カメラ装置に間欠的に光像を供給することにより、ヘリコプタや航空機などで、探索範囲の上空を高速で飛行しながら、海面からの反射光が強い場合でも、また海面がどのような状態であっても、海面上などに浮いている油膜や有機膜などを高いコントラストで映像化し、遭難現場などを迅速に、かつ確実に見つけ出す。
【0066】
【発明の実施の形態】
《第1の実施の形態の説明》
<第1の実施の形態の基本説明>
図1は本発明による波長選択型カメラ装置の実施の形態のうち、請求項1、2、3に対応する波長選択型カメラ装置の一例を示すブロック図である。なお、この図においては、説明を簡単にするために、本発明の説明に係わらない部分、例えば入射光量を減衰させるアイリスやNDフィルタなど、カメラ装置を構成するのに必要な部品、駆動回路、映像処理回路などにパルス信号を送るパルス発生回路、映像の輪郭を強調する輪郭補償回路、電源回路などを省略してある。
【0067】
この図に示す波長選択型カメラ装置1は、被写体からの光像2を取り込んで、これを波長毎に光電変換して、短波長域の映像信号と長波長域の映像信号とを生成する波長選択光学系3と、この波長選択光学系3から出力される短波長域の映像信号を画像処理して、デジタル化した短波長域の映像信号を生成する短波長側映像処理部4と、前記波長選択光学系3から出力される長波長域の映像信号を画像処理してデジタル化した長波長域の映像信号を生成する長波長側映像処理部5と、この長波長側映像処理部5から出力される長波長域の映像信号と短波長側映像処理部4から出力される短波長域の映像信号との差に基づき、海面や水面などに浮かんだ油膜の映像や有機膜の映像などのコントラストを高くした映像信号を生成する差映像抽出部6とを備えており、波長選択光学系3によって、油膜が浮かんだ海面などを撮影して、短波長域の映像信号と、長波長域の映像信号とを生成しながら、短波長側映像処理部4によって短波長域の映像信号を画像処理して、デジタル化した短波長域の映像信号を生成するとともに、長波長側映像処理部5によって長波長側の映像信号を画像処理して、デジタル化した長波長域の映像信号を生成した後、差映像抽出部6によって短波長域の映像信号と、長波長域の映像信号との差を抽出して、水面などに浮かんだ油膜の映像や有機膜の映像などのコントラストを高くした映像信号を生成し、これを次段装置(図示は省略する)に供給する。
【0068】
波長選択光学系3は、被写体からの光像(白色の光像)2を取り込んで、所定距離だけ後方に結像させるレンズ7と、図2に示すように、入射面8に入射されたレンズ7からの光像2の半分を反射透過面9で2等分し、この等分処理で得られた一方の光像(反射透過面9を透過した光像)2aを直進させて第2出射面11から出射させるとともに、反射透過面9で45度の角度で反射された他方の光像(光像2aと左右が反転していない光像)2bを全反射面12で全反射させて第1出射面10から出射させるビームスプリッタ13と、波長λ1を中心波長とするバンドパスフィルタリング特性で、ビームスプリッタ13の第1出射面10から出射される光像をバンドパスフィルタリングする光学的バンドパスフィルタ14と、CCD、MOS、CPD、SIT、AMIなど、シリコンを用いた固体撮像素子またはGaAs、InGaAsなど赤外線領域で高い感度を示す材料を用いた固体撮像素子、または非晶質セレンなど、紫外線や短波長可視光で高い感度を示す材料を用いた固体撮像素子、あるいはプランビコン、サチコン、ビジコン、カルニコン、ハーピコンなどの撮像管のいずれかによって構成され、レンズ7との間の光路長が所定距離となる位置に配置されて、光学的バンドパスフィルタ14から出射される光像を光電変換し、映像信号を生成する撮像素子15とを備えている。
【0069】
さらに、波長選択光学系3は、波長λ2を中心波長とするバンドパスフィルタリング特性で、ビームスプリッタ13の第2出射面11から出射される光像をバンドパスフィルタリングする光学的バンドパスフィルタ16と、CCD、MOS、CPD、SIT、AMIなど、シリコンを用いた固体撮像素子またはGaAs、InGaAsなど赤外線領域で高い感度を示す材料を用いた固体撮像素子、または非晶質セレンなど、紫外線や短波長可視光で高い感度を示す材料を用いた固体撮像素子、あるいはプランビコン、サチコン、ビジコン、カルニコン、ハーピコンなどの撮像管のいずれかによって構成され、レンズ7との間の光路長が所定距離(レンズ7と撮像素子15との距離と同じ距離)となる位置に配置されて、光学的バンドパスフィルタ16から出射される光像を光電変換し、映像信号を生成する撮像素子17とを備えている。
【0070】
この場合、被写体の上層側が空気(屈折率n1=1)、下層が表1(理科年表から引用した表)に示すような屈折率分散を持つ淡水であれば、淡水からの反射率の差が1%以下になるように、表2に示す如く各光学的バンドパスフィルタ14、16の透過波長領域が短波長域側にシフトするほど、光学的バンドパスフィルタ14の中心波長λ1と、光学的バンドパスフィルタ16の中心波長λ2と差の絶対値|λ1−λ2|が小さくなるように、光学的バンドパスフィルタ14の中心波長λ1の値と、光学的バンドパスフィルタ16の中心波長λ2の値とが決められる。なお、表2に示す値はあくまでも目安であり、各光学的バンドパスフィルタ14、16の中心波長λ1、λ2が各数値から多少、外れていても良い。
【0071】
【表1】
Figure 0003772016
【表2】
Figure 0003772016
【0072】
そして、ビームスプリッタ13によって、被写体からの光像2を取り込んで、これを2等分し、一方の光学的バンドパスフィルタ14によってビームスプリッタ13から出射される一方の光像2bをバンドパスフィルタリングして、短波長域の光像(波長λ1を中心とする波長範囲の光像)を抽出するとともに、一方の撮像素子15によって光学的バンドパスフィルタ14から出射される光像を光電変換し、これによって得られた映像信号を短波長側映像処理部4に供給し、さらに他方の光学的バンドパスフィルタ16によってビームスプリッタ13から出射される他方の光像2aをバンドパスフィルタリングして、長波長域の光像(波長λ2を中心とする波長範囲の光像)を抽出するとともに、他方の撮像素子17によって光学的バンドパスフィルタ16から出射される光像を光電変換し、これによって得られた映像信号を長波長側映像処理部5に供給する。
【0073】
短波長側映像処理部4は、波長選択光学系3から出力される短波長域の映像信号を一定の増幅率で増幅するヘッドアンプ回路18と、このヘッドアンプ回路18から出力される映像信号に対し、予め設定されている画像処理、例えば各撮像素子感度のバラツキ補償、各光学的バンドパスフィルタ14、16の透過領域補償、各光学的バンドパスフィルタ14、16の透過率補償などを行なう映像処理回路19と、この映像処理回路19から出力される映像信号をA/D変換して、デジタル化された映像信号を生成するA/D変換回路20とを備えており、波長選択光学系3から出力される短波長域の映像信号に対し、前置増幅処理、各撮像素子感度のバラツキ補償処理、各光学的バンドパスフィルタ14、16の透過領域補償処理、各光学的バンドパスフィルタ14、16の透過率補償処理などを行ない、これによって得られた映像信号をデジタル化して、差映像抽出部6に供給する。
【0074】
また、長波長側映像処理部5は、波長選択光学系3から出力される長波長域の映像信号を一定の増幅率で増幅するヘッドアンプ回路21と、このヘッドアンプ回路21から出力される映像信号に対し、予め設定されている画像処理、例えば各撮像素子感度のバラツキ補償、各光学的バンドパスフィルタ14、16の透過領域補償、各光学的バンドパスフィルタ14、16の透過率補償などを行なう映像処理回路22と、この映像処理回路22から出力される映像信号をA/D変換して、デジタル化された映像信号を生成するA/D変換回路23とを備えており、波長選択光学系3から出力される長波長域の映像信号に対し、前置増幅処理、各撮像素子感度のバラツキ補償処理、各光学的バンドパスフィルタ14、16の透過領域補償処理、各光学的バンドパスフィルタ14、16の透過率補償処理などを行ない、これによって得られた映像信号をデジタル化して、差映像抽出部6に供給する。
【0075】
この場合、短波長側映像処理部4を構成する映像処理回路19と、長波長側映像処理部5を構成する映像処理回路22とを調整する方法として、例えば白紙など、反射率が一定した被写体を撮影した状態で、一方のA/D変換回路20から出力される映像信号と、他方のA/D変換回路23から出力される映像信号とが等しくなるように、各映像処理回路19、22の補償定数などが調整される。
【0076】
差映像抽出部6は、短波長側映像処理部4から出力されるデジタル化された映像信号と長波長側映像処理部5から出力されるデジタル化された映像信号とを取り込んで、各映像信号に含まれている各画素のうち、同じ空間座標の各画素またはレジストレーション調整後の誤差範囲内の近さを持つ空間座標となる各画素同士のレベル差を演算して各映像信号の差を示す映像信号を生成する差分回路24と、この差分回路24から出力される映像信号の絶対値を演算する絶対値回路25と、この絶対値回路25から出力されるデジタル信号形式の映像信号をアナログ信号形式の映像信号に変換するD/A変換回路26と、このD/A変換回路26から出力される映像信号を増幅する増幅回路27とを備えており、長波長側映像処理部5から出力される長波長域の映像信号と、短波長側映像処理部4から出力される短波長域の映像信号とを取り込んで、各画素単位でレベル差を演算し、水面に浮かんだ油膜の映像や有機膜の映像などのコントラストを高くした映像信号を生成し、これを次段装置に供給する。
【0077】
次に、図1に示すブロック図および図3に示すグラフを参照しながら、この実施の形態の動作について説明する。
【0078】
まず、波長選択型カメラ装置1によって、油膜が浮かんだ海面などを撮影すると、波長選択型カメラ装置1内に設けられている波長選択光学系3のビームスプリッタ13によって、被写体からの光像2が2等分された後、一方の光学的バンドパスフィルタ14によってビームスプリッタ13から出射される一方の光像2bがバンドパスフィルタリングされて、短波長域の光像(波長λ1を中心とする波長範囲の光像)が抽出されるとともに、一方の撮像素子15によって光学的バンドパスフィルタ14から出射される光像が光電変換され、これによって得られた映像信号が短波長側映像処理部4に供給される。
【0079】
そして、この短波長側映像処理部4によって、波長選択光学系3から出力される短波長域の映像信号に対し、前置増幅処理、各撮像素子感度のバラツキ補償処理、各光学的バンドパスフィルタ14、16の透過領域補償処理、各光学的バンドパスフィルタ14、16の透過率補償処理などが行なわれ、これによって得られた映像信号がデジタル化されて、差映像抽出部6に供給される。
【0080】
また、この動作と並行し、他方の光学的バンドパスフィルタ16によって、ビームスプリッタ13から出射される他方の光像2aがバンドパスフィルタリングされて、長波長域の光像(波長λ2を中心とする波長範囲の光像)が抽出されるとともに、一方の撮像素子17によって光学的バンドパスフィルタ16から出射される光像が光電変換され、これによって得られた映像信号が長波長側映像処理部5に供給され、この長波長側映像処理部5によって、波長選択光学系3から出力される長波長域の映像信号に対し、前置増幅処理、各撮像素子感度のバラツキ補償処理、各光学的バンドパスフィルタ14、16の透過領域補償処理、各光学的バンドパスフィルタ14、16の透過率補償処理などが行なわれ、これによって得られた映像信号がデジタル化されて、差映像抽出部6に供給される。
【0081】
そして、この差映像抽出部6によって、長波長側映像処理部5から出力される長波長域の映像信号と、短波長側映像処理部4から出力される短波長域の映像信号とが取り込まれて、各画素単位でレベル差が演算され、これによって水面に浮かんだ油膜の映像や有機膜の映像などのコントラストを高くした映像信号が生成され、次段装置に供給される。
【0082】
この際、厳密には、海水の屈折率分散により反射率が変化するもの、表1に示すような水の屈折率分散例から分かるように、その変化量が非常に小さいことから、表2の上段に示す波長領域のとき、水の屈折率分散を無視しても良く、また図3(a)〜(e)に示すように、油面の無い海面の反射率が波長依存性を殆ど持たないことから、図3(f)に示すように、最下段に記載された2つの光学的バンドパスフィルタ(両者の中心波長λ1、λ2の差が50nmであり、表2の条件を満足する)14、16を用いて、油面が無い海水面を撮影したとき、短波長側映像処理部4から出力される映像信号と、長波長側映像処理部5から出力される映像信号とが画素単位で同じレベルになって、差映像抽出部6からゼロを示す映像信号が出力される。
【0083】
一方、図3(a)〜(e)に示すように、油膜がある海水では、入射角度がどのような角度でも、波長に応じて油膜の反射率が大きく変化するものの、2つの光学的バンドパスフィルタ14、16の中心波長λ1、λ2の透過率(最大透過率)に対し、1/e以上の透過率を持つ波長領域(図3のA〜Bの領域、B〜Cの領域)に限ぎると、一方の光学的バンドパスフィルタ14の波長領域(図3のA〜Bの領域)の反射率と、他方の光学的バンドパスフィルタ16の波長領域(図3のB〜Cの領域)の反射率とが異なっていることから、油面がある海水面を撮影したとき、短波長側映像処理部4から出力される映像信号と、長波長側映像処理部5から出力される映像信号とが異なるレベルになって、差映像抽出部6から油膜を示す映像信号が出力される。
【0084】
また、極めて稀に、油膜がある海面を撮影したとき、特定の入射角度からの光が入射されて、短波長側映像処理部4から出力される映像信号と、長波長側映像処理部5から出力される映像信号とが一致することも考えられるが、このような場合でも、波や風などによって海面が常に変動し、海面が鏡面状態のときの入射角度よりも、多様な入射角度からの光像が波長選択型カメラ装置1に取り込まれることから、特定の入射角度で反射率が同じレベルになっても、他の入射角度で反射率が異なるレベルになることから、差映像抽出部6から油膜を示す映像信号が出力される。
【0085】
このように、この実施の形態では、波長選択光学系3によって、油膜が浮かんだ海面などを撮影して、短波長域の映像信号と、長波長域の映像信号とを生成しながら、短波長側映像処理部4によって短波長域の映像信号を画像処理して、デジタル化した短波長域の映像信号を生成するとともに、長波長側映像処理部5によって短波長域の映像信号を画像処理して、デジタル化した長波長域の映像信号を生成した後、差映像抽出部6によって短波長域の映像信号と、長波長域の映像信号との差を抽出して、水面に浮かんだ油膜の映像や有機膜の映像などのコントラストを高くした映像信号を生成し、これを次段装置に供給するようにしているので、従来、検出が困難であった水面上の油膜や有機膜などを高いコントラストで画像として、検出することができる。
【0086】
これによって、従来、ヘリコプタや航空機などから目視観察で遭難現場などの探索が困難な場合、例えば海からの反射光が強い場合(逆光状態)、雨天の場合、波浪が高い場合などでも、海面の状態に関わらず、遭難した航空機や船舶などの油膜が海面上に浮いているとき、これを確実に検出して、遭難現場などを見つけ出すことができる。
【0087】
また、この実施の形態では、撮影した海面などに油膜や有機膜などがあるときにのみ、差映像抽出部6から出力される映像信号がゼロ以外の値になるようにしているので、差映像抽出部6から出力される映像信号を次段装置などに設けられた判定回路に導き、予め設定されているしきい値を越えているかどうかを判定させるだけで、遭難現場の探索を容易に自動化することができる。これによって、ヘリコプタや航空機などに、図1に示す波長選択型カメラ装置1を複数、搭載し、各波長選択型カメラ装置1によって、全方位を同時に探索させて、油膜などの有無を自動判定させれば、従来の目視による場合に比べて、格段に探索効率を向上させて、迅速な災害救助を行なうことができる。
【0088】
また、図1に示す波長選択型カメラ装置1と、GPS(Global Positioning System)装置とを組み合わせることにより、油膜の位置を瞬時に決定することができ、これによって遭難現場などの発見を一層、迅速化させることができるとともに、タンカーなどの原油流出状況をリアルタイムで、容易に地図化することができる。
【0089】
<第1の実施の形態の第1変形例の説明>
また、図1に示す波長選択型カメラ装置1では、レンズ7からの光像2をビームスプリッタ13の反射透過面9で2等分し、一方の光像(反射透過面9を透過した光像)2aを直進させて第2出射面11から出射させるとともに、反射透過面9で45度の角度で反射され、全反射面12によってさらに45度の角度で全反射された他方の光像(光像2aと左右が反転していない光像)2bを第1出射面10から出射させて、被写体からの光像2を2等分するようにしているが、このようなビームスプリッタ13に代えて、図4に示すようなビームスプリッタ28を使用するようにしても良い。
【0090】
この図に示すビームスプリッタ28は、入射面29に入射されたレンズ7からの光像2を45度より小さい入射角度αで反射透過面30に入射させ、この反射透過面30を透過した光像2cを直進させて第2出射面32から出射させるとともに、反射透過面30で反射された光像2dを45度の角度より大きな入射角度βで全反射面86に入射させ、全反射された光像(光像2cと左右が反転していない光像)2dを第1出射面31から出射させる。
【0091】
このように、このビームスプリッタ28を使用しても、レンズ7からの光像を左右が反転されていない2つの光像2c、2dに2等分して、各光学的バンドパスフィルタ14、16に各々、入射させ、各撮像素子15、17上に結像させることができる。
【0092】
勿論、このビームスプリッタ28でも、レンズ7と一方の撮像素子15との間の光路長と、レンズ7と他方の撮像素子17との間の光路長とが同じくなるように、ビームスプリッタ28内の各光路長が設定される。
【0093】
<第1の実施の形態の第2変形例の説明>
また、図1に示す波長選択型カメラ装置1では、1つのビームスプリッタ13と、2つの光学的バンドパスフィルタ14、16と、2つの撮像素子15、17によって構成される波長選択光学系3を使用するようにしているが、図5に示すように、プリズム型バンドパスフィルタ33と、2つの撮像素子34、35とによって構成される波長選択光学系36を使用するようにしても良い(請求項5、6の内容)。
【0094】
この場合、プリズム型バンドパスフィルタ36は、前面37側が45度にカットされたプリズム38と、前面39(後面40)と斜面41、42とのなす角度が45度、135度になるようにカットされた並行四辺形型のプリズム43と、このプリズム43の斜面42とプリズム38の前面37との接合面に配置され、図6、図7に示すようなローパス特性で、入射した光像2を構成する長波長の光を透過させるとともに、短波長の光を反射させる光学的ローパスフィルタ44と、プリズム38の出射面45に接合され、図6に示すように、光学的ローパスフィルタ44の透過波長特性のカットオフ波長λ44(但し、ここでは、光学的ローパスフィルタ44の透過率が最大透過率の50%になる波長をカットオフ波長と定義する)より長波長側にシフトしたカットオフ波長特性を持ち、光学的ローパスフィルタ44を透過した長波長光のうち、カットオフ波長λ46より短い波長の光(斜線部分の光)を透過させる光学的ハイパスフィルタ46と、プリズム43の出射面47(後面40)に接合され、図7に示すように、光学的ローパスフィルタ44の反射波長特性のカットオフ波長λ44より短波長側にシフトしたカットオフ波長λ48を持ち、光学的ローパスフィルタ44で反射された短波長光のうち、カットオフ波長λ48より長い波長の光(斜線部分の光)を透過させる光学的ローパスフィルタ48とを備えている。
【0095】
勿論、このプリズム型バンドパスフィルタ33でも、レンズ7と一方の撮像素子34との間の光路長と、レンズ7と他方の撮像素子35との間の光路長とが同じくなるように、プリズム型バンドパスフィルタ33内の各光路長が設定される。
【0096】
そして、レンズ7からの光像2が入射面49(前面39)に入射したとき、光学的ローパスフィルタ44のフィルタリング動作、光学的ハイパスフィルタ46のフィルタリング動作によって、光像2を構成する各波長のうち、図6に示すように、波長λbを中心とする長波長領域の光像を選択して、これを一方の撮像素子35に入射させ、長波長域の映像信号を生成させるとともに、光学的ローパスフィルタ44のフィルタリング動作、光学的ローパスフィルタ48のフィルタリング動作によって、光像2を構成する各波長のうち、図7に示すように、波長λa(但し、|λa−λb|は表2を満たす値)を中心とする短波長領域の光像を選択して、これを他方の撮像素子34に入射させ、短波長域の映像信号を生成させる。
【0097】
このように、プリズム型バンドパスフィルタ33と、2つの撮像素子34、35とによって構成される波長選択光学系36を使用しても、レンズ7からの光像2を左右が反転されていない2つの光像に2等分して、長波長域の映像信号と、短波長域の映像信号とを生成することができる。
【0098】
<第1の実施の形態の第3変形例の説明>
また、図5に示す変形例では、プリズム型バンドパスフィルタ33と、2つの撮像素子34、35とによって波長選択光学系36を構成するようにしているが、図8に示すように、プリズム型ローパスフィルタ50と、光学的ローパスフィルタ51と、光学的ハイパスフィルタ52と、2つの撮像素子53、54とによって波長選択光学系55を構成し、この波長選択光学系55を使用して光像2を波長弁別して、短波長域の映像信号と、長波長域の映像信号とを生成するようにしても良い(請求項5の内容)。
【0099】
この場合、プリズム型ローパスフィルタ50は、前面56側が45度にカットされたプリズム57と、前面58(後面59)と斜面60、61とのなす角度が45度、135度になるようにカットされた並行四辺形型のプリズム62と、このプリズム62の斜面61とプリズム57の前面56との接合面に配置され、図5に示す光学的ローパスフィルタ44と同じローパス特性で、入射した光像2を構成する長波長の光を透過させるとともに、短波長の光を反射させる光学的ローパスフィルタ63とを備えており、入射面64にレンズ7からの光像2が入射したとき、光学的ローパスフィルタ63のフィルタリング動作によって、光像2中の長波長の光を透過させ、これを出射面65から出射させて、光学的ハイパスフィルタ52に入射させるとともに、光学的ローパスフィルタ63によって光像2中の短波長の光を反射させた後、これを全反射面66で反射させて、出射面67から出射させ、光学的ローパスフィルタ51に入射させる。
【0100】
光学的ローパスフィルタ51は、図5に示す光学的ローパスフィルタ48と同様なローパス特性(図7に示すローパス特性)を持つフィルタ板によって構成されており、プリズム型ローパスフィルタ50の出射面67から出射される短波長域の光像を構成する各波長のうち、図7に示すように、波長λaを中心とする短波長領域の光像を選択して、これを一方の撮像素子53に入射させ、短波長域の映像信号を生成させる。
【0101】
また、光学的ハイパスフィルタ52は、図5に示す光学的ハイパスフィルタ46と同様なハイパス特性(図6に示すハイパス特性)を持つフィルタ板によって構成されており、プリズム型ローパスフィルタ50の出射面65から出射される長波長域の光像を構成する各波長のうち、図6に示すように、波長λbを中心とする長波長領域の光像を選択して、これを他方の撮像素子54に入射させ、長波長域の映像信号を生成させる。
【0102】
このように、プリズム型ローパスフィルタ50と、光学的ローパスフィルタ51と、光学的ハイパスフィルタ52と、2つの撮像素子53、54とによって構成される波長選択光学系55を使用しても、レンズ7からの光像2を波長弁別して、短波長域の映像信号と、長波長域の映像信号とを生成することができる。
【0103】
<第1の実施の形態の第4変形例の説明>
また、図8に示す変形例では、プリズム型ローパスフィルタ50と、光学的ローパスフィルタ51と、光学的ハイパスフィルタ52と、2つの撮像素子53、54とによって波長選択光学系55を構成するようにしているが、図9に示すように、プリズム型ローパスフィルタ68と、2つの光学的バンドパスフィルタ69、70と、2つの撮像素子71、72とによって波長選択光学系73を構成し、この波長選択光学系73を使用して、光像2を波長弁別して、短波長域の映像信号と、長波長域の映像信号とを生成するようにしても良い(請求項5の内容)。
【0104】
この場合、プリズム型ローパスフィルタ68は、前面74側が45度にカットされたプリズム75と、前面76(後面77)と斜面78、79とのなす角度が45度、135度になるようにカットされた並行四辺形型のプリズム80と、このプリズム80の斜面79とプリズム75の前面74との接合面に配置され、図8に示す光学的ローパスフィルタ63と同じローパス特性で、入射した光像2を構成する長波長の光を透過させるとともに、短波長の光を反射させる光学的ローパスフィルタ81とを備えており、入射面82にレンズ7からの光像2が入射したとき、光学的ローパスフィルタ81のフィルタリング動作によって、光像2中の長波長の光を透過させ、これを出射面83から出射させて、一方の光学的バンドパスフィルタ70に入射させるとともに、光学的ローパスフィルタ81によって光像2中の短波長の光を反射させた後、これを全反射面84で反射させて、出射面85から出射させ、他方の光学的バンドパスフィルタ69に入射させる。
【0105】
また、光学的バンドパスフィルタ70は、図10に示すように、光学的ローパスフィルタ81のローパスフィルタリング特性によって選択された長波長域の光像中から波長λdを中心として、所定領域に含まれる長波長の光を抽出するバンドパス特性を持つフィルタ板によって構成されており、プリズム型ローパスフィルタ68の出射面83から出射される長波長域の光像を構成する各波長のうち、図10に示すように、波長λdを中心とする所定波長領域の光像を選択して、これを一方の撮像素子72に入射させ、長波長域の映像信号を生成させる。
【0106】
また、光学的バンドパスフィルタ69は、図11に示すように、光学的ローパスフィルタ81のローパスフィルタリング特性によって選択された短波長域の光像中から波長λcを中心として、所定領域に含まれる短波長の光を抽出するバンドパス特性を持つフィルタ板によって構成されており、プリズム型ローパスフィルタ68の出射面85から出射される短波長域の光像を構成する各波長のうち、図11に示すように、波長λcを中心とする所定波長領域の光像を選択して、これを他方の撮像素子71に入射させ、短波長域の映像信号を生成させる。
【0107】
このように、プリズム型ローパスフィルタ68と、2つの光学的バンドパスフィルタ69、70と、2つの撮像素子71、72とによって波長選択光学系73を構成し、この波長選択光学系73を使用しても、光像2を波長弁別して、短波長域の映像信号と、長波長域の映像信号とを生成することができる。
【0108】
《発明の第2の実施の形態の説明》
<第2の実施の形態の基本説明>
図12は本発明による波長選択型カメラ装置の一実施の形態のうち、請求項4、5、6に対応する波長選択型カメラ装置の一例を示すブロック図である。なお、この図においては、説明を簡単にするために、本発明の説明に係わらない部分、例えば入射光量を減衰させるアイリスやNDフィルタなど、カメラ装置を構成するのに必要な部品、駆動回路、映像処理回路などにパルス信号を送るパルス発生回路、映像の輪郭を強調する輪郭補償回路、電源回路などを省略してある。
【0109】
この図に示す波長選択型カメラ装置100は、被写体からの光像101を取り込んで、これを波長毎に光電変換して、短波長域の映像信号と中波長域の映像信号と長波長域の映像信号とを生成する波長選択光学系102と、この波長選択光学系102から出力される短波長域の映像信号を画像処理して、デジタル化した短波長域の映像信号を生成する短波長側映像処理部103と、波長選択光学系102から出力される中波長域の映像信号を画像処理して、デジタル化した中波長域の映像信号を生成する中波長側映像処理部104と、波長選択光学系102から出力される長波長域の映像信号を画像処理してデジタル化した長波長域の映像信号を生成する長波長側映像処理部105と、中波長側映像処理部104から出力される中波長域の映像信号を基準として、長波長側映像処理部105から出力される長波長域の映像信号と短波長側映像処理部103から出力される短波長域の映像信号との差を演算して、水面に浮かんだ油膜の映像や有機膜の映像などのコントラストを高くした映像信号を生成する差映像抽出部106とを備えている。
【0110】
そして、波長選択光学系102によって、油膜が浮かんだ海面などを撮影して、短波長域の映像信号と、中波長域の映像信号と、長波長域の映像信号とを生成ししながら、短波長側映像処理部103、中波長側映像処理部104、長波長側映像処理部105によって短波長域の映像信号、中波長域の映像信号、短波長域の映像信号を各々、デジタル化した後、差映像抽出部106によって短波長域の映像信号と、中波長域の映像信号、長波長域の映像信号との間の差を抽出して、水面に浮かんだ油膜の映像や有機膜の映像などのコントラストを高くした映像信号を生成し、これを次段装置(図示は省略する)に供給する。
【0111】
波長選択光学系102は、被写体からの光像(白色の光像)101を取り込んで、所定距離だけ後方に結像させるレンズ107と、1つの入射面108と2つの全反射面109、110と第1出射面111、第2出射面112および第3出射面113とを有するプリズム114、このプリズム114内に配置され、図13に示すように、入射面108に入射された光像101を構成する長波長域の光、中波長域の光を透過させ、それ以外の光(短波長域の光)を反射させる光学的ローパスフィルタ115、プリズム114内に配置され、光学的ローパスフィルタ115を透過した長波長域の光、中波長域の光のうち、長波長域の光(長波長域の光)を透過させるとともに、それ以外の光(中波長域の光)を反射させる光学的ローパスフィルタ116によって構成され、第1出射面111、第2出射面112、第3出射面113から短波長域の光像、長波長域の光像、中波長域の光像を各々、出射させる分岐素子123と、図14に示すように、波長λ1(この波長λ1は、光学的ローパスフィルタ115のカットオフ波長より短波長側にある波長)を中心波長とするバンドパスフィルタリング特性で分岐素子123の第1出射面111から出射される光像をバンドパスフィルタリングする光学的バンドパスフィルタ117と、CCD、MOS、CPD、SIT、AMIなど、シリコンを用いた固体撮像素子またはGaAs、InGaAsなど赤外線領域で高い感度を示す材料を用いた固体撮像素子、または非晶質セレンなど、紫外線や短波長可視光で高い感度を示す材料を用いた固体撮像素子、あるいはプランビコン、サチコン、ビジコン、カルニコン、ハーピコンなどの撮像管などのいずれかによって構成され、レンズ107との間の光路長が所定距離となる位置に配置されて、光学的バンドパスフィルタ117から出射される光像を光電変換し、映像信号を生成する撮像素子120とを備えている。
【0112】
さらに、波長選択光学系102は、図15に示すように、波長λ2(この波長λ2は、光学的ローパスフィルタ116のカットオフ波長より長波長側にある波長)を中心波長とするバンドパスフィルタリング特性で分岐素子123の第2出射面112から出射される光像をバンドパスフィルタリングする光学的バンドパスフィルタ118と、CCD、MOS、CPD、SIT、AMIなど、シリコンを用いた固体撮像素子またはGaAs、InGaAsなど赤外線領域で高い感度を示す材料を用いた固体撮像素子、または非晶質セレンなど、紫外線や短波長可視光で高い感度を示す材料を用いた固体撮像素子、あるいはプランビコン、サチコン、ビジコン、カルニコン、ハーピコンなどの撮像管などのいずれかによって構成され、レンズ107との間の光路長が所定距離(レンズ107と撮像素子120との距離と同じ距離)となる位置に配置されて、光学的バンドパスフィルタ116から出射される光像を光電変換し、映像信号を生成する撮像素子121と、図16に示すように、波長λ3(この波長λ3は、光学的ローパスフィルタ116のカットオフ波長より短波長側にある波長)を中心波長とするバンドパスフィルタリング特性で分岐素子123の第3出射面113から出射される光像をバンドパスフィルタリングする光学的バンドパスフィルタ119と、CCD、MOS、CPD、SIT、AMIなど、シリコンを用いた固体撮像素子またはGaAs、InGaAsなど赤外線領域で高い感度を示す材料を用いた固体撮像素子、または非晶質セレンなど、紫外線や短波長可視光で高い感度を示す材料を用いた固体撮像素子、あるいはプランビコン、サチコン、ビジコン、カルニコン、ハーピコンなどの撮像管などのいずれかによって構成され、レンズ107との間の光路長が所定距離(レンズ107と撮像素子120との距離と同じ距離)となる位置に配置されて、光学的バンドパスフィルタ119から出射される光像を光電変換し、映像信号を生成する撮像素子122とを備えている。
【0113】
この場合、各光学的バンドパスフィルタ117、118、119の各中心波長λ1、λ2、λ3の間に、λ1<λ3<λ2が成り立つように、各光学的バンドパスフィルタ117、118、119の各中心波長λ1、λ2、λ3の数値が決定される。さらに、被写体の上層側が空気(屈折率n1=1)、下層が表1に示すような屈折率分散を持つ淡水であれば、下層の屈折率分散の影響を小さくして、淡水からの反射率の差が小さくなるように、光学的バンドパスフィルタ117の中心波長λ1と光学的バンドパスフィルタ119の中心波長λ3と差の絶対値|λ1−λ3|と、光学的バンドパスフィルタ119の中心波長λ3と光学的バンドパスフィルタ118の中心波長λ2と差の絶対値|λ3−λ2|とが|λ1−λ3|<|λ3−λ2|となるように、各光学的バンドパスフィルタ117、118、119の透過中心波長λ1、λ2、λ3の各数値が決められる。なお、各波長λ1、λ2、λ3の値はあくまでも目安であり、各光学的バンドパスフィルタ117、118、119の中心波長λ1、λ2、λ3が各数値から多少、外れていても良い。
【0114】
そして、分岐素子123によって、被写体からの光像101を取り込んで、短波長域の光像と、中波長域の光像と、長波長域の光像とに分離した後、各光学的バンドパスフィルタ117、118、119によって、短波長域の光像、中波長域の光像、長波長域の光像に各々、含まれている波長λ1を中心波長とする所定波長範囲の光像、波長λ2を中心波長とする所定波長範囲の光像、波長λ3を中心波長とする所定波長範囲の光像を抽出するとともに、各撮像素子120、121、122によって各光像を各々、光電変換し、これによって得られた短波長域の映像信号、中波長域の映像信号、長波長域の映像信号を短波長側映像処理部103と、中波長側映像処理部104と、長波長側映像処理部105とに各々、供給する。
【0115】
短波長側映像処理部103は、波長選択光学系102から出力される短波長域の映像信号を一定の増幅率で増幅するヘッドアンプ回路124と、このヘッドアンプ回路124から出力される映像信号に対し、予め設定されている画像処理、例えば各撮像素子感度のバラツキ補償、各光学的バンドパスフィルタ117、118、119の透過領域補償、各光学的バンドパスフィルタ117、118、119の透過率補償などを行なう映像処理回路125と、この映像処理回路125から出力される映像信号をA/D変換して、デジタル化された映像信号を生成するA/D変換回路126とを備えており、波長選択光学系102から出力される短波長域の映像信号に対し、前置増幅処理、各撮像素子感度のバラツキ補償処理、各光学的バンドパスフィルタ117、118、119の透過領域補償処理、各光学的バンドパスフィルタ117、118、119の透過率補償処理などを行ない、これによって得られた映像信号をデジタル化して、差映像抽出部106に供給する。
【0116】
また、中波長側映像処理部104は、波長選択光学系102から出力される中波長域の映像信号を一定の増幅率で増幅するヘッドアンプ回路127と、このヘッドアンプ回路127から出力される映像信号に対し、予め設定されている画像処理、例えば各撮像素子感度のバラツキ補償、各光学的バンドパスフィルタ17、118、119の透過領域補償、各光学的バンドパスフィルタ117、118、119の透過率補償などを行なう映像処理回路128と、この映像処理回路128から出力される映像信号をA/D変換して、デジタル化された映像信号を生成するA/D変換回路129とを備えており、波長選択光学系102から出力される中波長域の映像信号に対し、前置増幅処理、各撮像素子感度のバラツキ補償処理、各光学的バンドパスフィルタ117、118、119の透過領域補償処理、各光学的バンドパスフィルタ117、118、119の透過率補償処理などを行ない、これによって得られた映像信号をデジタル化して、差映像抽出部106に供給する。
【0117】
また、長波長側映像処理部105は、波長選択光学系102から出力される長波長域の映像信号を一定の増幅率で増幅するヘッドアンプ回路130と、このヘッドアンプ回路130から出力される映像信号に対し、予め設定されている画像処理、例えば各撮像素子感度のバラツキ補償、各光学的バンドパスフィルタ117、118、119の透過領域補償、各光学的バンドパスフィルタ117、118、119の透過率補償などを行なう映像処理回路131と、この映像処理回路131から出力される映像信号をA/D変換して、デジタル化された映像信号を生成するA/D変換回路132とを備えており、波長選択光学系102から出力される長波長域の映像信号に対し、前置増幅処理、各撮像素子感度のバラツキ補償処理、各光学的バンドパスフィルタ117、118、119の透過領域補償処理、各光学的バンドパスフィルタ117、118、119の透過率補償処理などを行ない、これによって得られた映像信号をデジタル化して、差映像抽出部106に供給する。
【0118】
この場合、短波長側映像処理部103を構成する映像処理回路125と、中波長側映像処理部104を構成する映像処理回路128と、長波長側映像処理部105を構成する映像処理回路131とを調整する方法として、例えば白紙など、反射率が一定した被写体を撮影した状態で、各A/D変換回路126、129、132から出力される映像信号が等しくなるように、各映像処理回路125、128、131の補償定数などが調整される。
【0119】
差映像抽出部106は、中波長側映像処理部104から出力されるデジタル化された映像信号と短波長側映像処理部103から出力されるデジタル化された映像信号とを取り込んで、各映像信号に含まれている各画素のうち、同じ空間座標の各画素またはレジストレーション調整後の誤差範囲内の近さを持つ空間座標となる各画素同士のレベル差を演算して各映像信号の差を示す映像信号を生成する短波長側差分回路133と、この短波長側差分回路133から出力される映像信号の絶対値を演算する短波長側絶対値回路134と、中波長側映像処理部104から出力されるデジタル化された映像信号と長波長側映像処理部105から出力されるデジタル化された映像信号とを取り込んで、各映像信号に含まれている各画素のうち、同じ空間座標の各画素またはレジストレーション調整後の誤差範囲内の近さを持つ空間座標となる各画素同士のレベル差を演算して各映像信号の差を示す映像信号を生成する長波長側差分回路135と、この長波長側差分回路135から出力される映像信号の絶対値を演算する長波長側絶対値回路136と、この長波長側絶対値回路136から出力されるデジタル信号形式の映像信号と短波長側絶対値回路134から出力されるデジタル信号形式の映像信号とを加算して、1つの映像信号を生成する加算回路137と、この加算回路137から出力されるデジタル信号形式の映像信号をアナログ信号形式の映像信号に変換するD/A変換回路138と、このD/A変換回路138から出力される映像信号を増幅する増幅回路139とを備えている。
【0120】
そして、短波長側映像処理部103から出力される短波長域の映像信号と、中波長側映像処理部104から出力れさる中波長域の映像信号と、長波長側映像処理部105から出力される長波長域の映像信号とを取り込んで、中波長域の映像信号の各画素と、短波長域の映像信号の各画素とのレベル差を演算するとともに、中波長域の映像信号の各画素と、長波長域の映像信号の各画素とのレベル差を演算した後、各レベル差を加算して、水面に浮かんだ油膜の映像や有機膜の映像などのコントラストを高くした映像信号を生成し、これを次段装置に供給する。
【0121】
次に、図12に示すブロック図を参照しながら、この実施の形態の動作について説明する。
【0122】
まず、波長選択型カメラ装置100によって、油膜が浮かんだ海面などを撮影すると、波長選択型カメラ装置100内に設けられている波長選択光学系102の分岐素子123によって、被写体からの光像101が取り込まれて、短波長域の光像と、中波長域の光像と、長波長域の光像とに分離された後、各光学的バンドパスフィルタ117、118、119によって、短波長域の光像、中波長域の光像、長波長域の光像に各々、含まれている波長λ1を中心波長とする所定波長範囲の光像、波長λ2を中心波長とする所定波長範囲の光像、波長λ3を中心波長とする所定波長範囲の光像が抽出されるとともに、各撮像素子120、121、122によって各光像が各々、光電変換され、これによって得られた短波長域の映像信号、中波長域の映像信号、長波長域の映像信号が短波長側映像処理部103と、中波長側映像処理部104と、長波長側映像処理部105とに各々、供給される。
【0123】
そして、この短波長側映像処理部103、中波長側映像処理部104、長波長側映像処理部105によって波長選択光学系102から出力される短波長域の映像信号、中波長域の映像信号、長波長域の映像信号に対し、前置増幅処理、各撮像素子感度のバラツキ補償処理、各光学的バンドパスフィルタ117、118、119の透過領域補償処理、各光学的バンドパスフィルタ117、118、119の透過率補償処理などが行なわれ、これによって得られた短波長域の映像信号、中波長域の映像信号、長波長域の映像信号が各々、デジタル化されて、差映像抽出部106に供給される。
【0124】
次いで、この差映像抽出部106によって、短波長側映像処理部103から出力される短波長域の映像信号と、中波長側映像処理部104から出力れさる中波長域の映像信号と、長波長側映像処理部105から出力される長波長域の映像信号とが取り込まれ、中波長域の映像信号の各画素と、短波長域の映像信号の各画素とのレベル差が演算されるとともに、中波長域の映像信号の各画素と、長波長域の映像信号の各画素とのレベル差が演算された後、各レベル差が加算されて、水面に浮かんだ油膜の映像や有機膜の映像などのコントラストを高くした映像信号が生成され、これが次段装置に供給される。
【0125】
この際、厳密には、海水の屈折率分散により反射率が変化するもの、表1に示す水の屈折率分散例から分かるように、その変化量が非常に小さいことから、波長領域のとき、水の屈折率分散を無視しても良く、また油面の無い海面の反射率が波長依存性を殆ど持たないことから、3つの光学的バンドパスフィルタ117、118、119を用いて、油面が無い海水面を撮影したとき、短波長側映像処理部103から出力される映像信号と、中波長側映像処理部104から出力される映像信号と、長波長側映像処理部105から出力される映像信号とが同じレベルになって、差映像抽出部106からゼロを示す映像信号が出力される。
【0126】
一方、油膜がある海水では、入射角度がどのような角度でも、波長応じて油膜の反射率が大きく変化するものの、3つの光学的バンドパスフィルタ117、118、119の中心波長λ1、λ2、λ3の透過率(最大透過率)の1/e以上の透過率を持つ波長領域に限ぎると、各光学的バンドパスフィルタ117、118、119の波長領域のうち、少なくとも2つの波長領域の光強度が異なることから、油面がある海水面を撮影したとき、短波長側映像処理部103から出力される映像信号、中波長側映像処理部104から出力される映像信号、長波長側映像処理部105から出力される映像信号のうち、2つの映像信号が異なるレベルになって、差映像抽出部106から油膜を示す映像信号が出力される。
【0127】
また、極めて稀に、油膜がある海面を撮影したとき、特定の入射角度からの光が入射されて、短波長側映像処理部103から出力される映像信号と、中波長側映像処理部104から出力される映像信号と、長波長側映像処理部105から出力される映像信号とが一致することも考えられるが、このような場合でも、図17に示すように、波や風などによって海面140が常に変動し、海面104が鏡面状態のときの入射角度よりも、多様な入射角度からの光像101が波長選択型カメラ装置100に取り込まれていることから、特定の入射角度で反射率が同じレベルになっても、他の入射角度で反射率が異なるレベルとなり、差映像抽出部106から油膜を示す映像信号が出力される。
【0128】
このように、この実施の形態では、波長選択光学系102によって、油膜が浮かんだ海面140などを撮影して、短波長域の映像信号と、中波長域の映像信号と、長波長域の映像信号とを生成しながら、短波長側映像処理部103、中波長側映像処理部104、長波長側映像処理部105によって短波長域の映像信号、中波長域の映像信号、短波長域の映像信号を各々、デジタル化した後、差映像抽出部106によって短波長域の映像信号と、中波長域の映像信号、長波長域の映像信号との間の差を抽出して、水面に浮かんだ油膜の映像や有機膜の映像などのコントラストを高くした映像信号を生成し、これを次段装置に供給するようにしているので、水面の状態がどのような状態であっても、水面上の油膜や有機膜などを高いコントラストで画像として、検出することができる。
【0129】
これによって、従来、ヘリコプタ141や航空機などから目視観察で遭難現場など探索が困難な場合、例えば海面140からの反射光が強い場合(逆光状態)、雨天の場合、波浪が高い場合などでも、海面140の状態に関わらず、遭難した航空機や船舶などの油膜が海面上に浮いているとき、これを確実に検出して、遭難現場などを見つけ出すことができる。
【0130】
また、この実施の形態では、撮影した海面140などに油膜や有機膜などがあるときにのみ、差映像抽出部106から出力される映像信号がゼロ以外の値になるようにしているので、差映像抽出部106から出力される映像信号を次段装置などに設けられた判定回路に導き、予め設定されているしきい値を越えているかどうかを判定させるだけで、遭難現場の探索を容易に自動化することができる。これによって、ヘリコプタ141や航空機などに、図12に示す波長選択型カメラ装置100を複数、搭載し、各波長選択型カメラ装置100によって、全方位を同時に探索させ、油膜などの有無を自動判定させれば、従来の目視による場合に比べて、格段に探索効率を向上させて、迅速な災害救助を行なうことができる。
【0131】
また、図12に示す波長選択型カメラ装置100と、GPS(Global Positioning System)装置とを組み合わせることにより、油膜の位置を瞬時に決定することができ、これによって遭難現場などの発見を一層、迅速化させることができるとともに、タンカーなどの原油流出状況をリアルタイムで、容易に地図化することができる。
【0132】
<第2の実施の形態の第1変形例の説明>
また、図12に示す波長選択型カメラ装置100では、1つの入射面108と2つの全反射面109、110と第1出射面111、第2出射面112および第3出射面113とを有するプリズム114、このプリズム114内に配置され、図13に示すように、入射面108に入射された光像101を構成する長波長域の光、中波長域の光を透過させ、それ以外の光(短波長域の光)を反射させる光学的ローパスフィルタ115、プリズム114内に配置され、光学的ローパスフィルタ115を透過した長波長域の光、中波長域の光のうち、長波長域の光を透過させるとともに、それ以外の光(中波長域の光)を反射させる光学的ローパスフィルタ116によって構成され、第1出射面111、第2出射面112、第3出射面113から短波長域の光像、長波長域の光像、中波長域の光像を各々、出射させる分岐素子123を使用して、被写体からの光像101を短波長域の光像と、中波長域の光像と、長波長域の光像とに分離するようにしているが、このような分岐素子123に代えて、図18に示すような分岐素子142を使用するようにしても良い。
【0133】
この図に示す分岐素子142は、1つの入射面143と2つの全反射面144、145と第1〜第3出射面146、147、148とを有するプリズム149と、このプリズム149内に形成され、入射面143に入射された光像101の半分を反射させた後、全反射面144で全反射させて、第1出射面146から出射させるとともに、残り半分を透過させる第1反射透過面150と、プリズム149内に形成され、第1反射透過面150を透過した光像101の半分を透過させて、第2出射面147から出射させるとともに、残り半分を反射させた後、全反射面145で全反射させて、第3出射面148から出射させる第2反射透過面151とを備えており、入射面143にレンズ107からの光像が入射されたとき、第1、第2反射透過面150、151で、光像101の半分を透過させるとともに、半分を反射させて、第1出射面146、第2出射面147、第3出射面148から出射させる。
【0134】
勿論、この分岐素子142でも、レンズ107と、各撮像素子120、121、122との間の各光路長とが同じくなるように、分岐素子142内の各光路長が設定される。
【0135】
このように、レンズ107から出射される光像101を単純に、3分割する分岐素子142を使用しても、この分岐素子142の第1出射面146、第2出射面147、第3出射面148から各々、出射される光像を各光学的バンドパスフィルタ117、118、119によって、バンドパスフィルタリングして、短波長域の光像と、中波長域の光像と、短波長域の光像とを抽出し、これらを各撮像素子120、121、122に各々、入射させて、短波長域の映像信号と、中波長域の映像信号と、長波長域の映像信号とを出力させることができる。
【0136】
<第2の実施の形態の第2変形例の説明>
また、図12に示す波長選択型カメラ装置100では、1つの分岐素子123と、3つの光学的バンドパスフィルタ117、118、119と、3つの撮像素子120、121、122によって構成される波長選択光学系102を使用して、被写体からの光像101を短波長域の光像と、中波長域の光像と、長波長域の光像とに分離するようにしているが、図19に示すように、プリズム型バンドパスフィルタ152と、3つの撮像素子153、154、155とによって構成される波長選択光学系156を使用して、被写体からの光像101を短波長域の映像信号と、中波長域の映像信号と、長波長域の映像信号とを生成するようにしても良い(請求項14の内容)。
【0137】
この場合、プリズム型バンドパスフィルタ152は、1つの入射面157と2つの全反射面158、159と第1出射面160、第2出射面161および第3出射面162とを有するプリズム163と、このプリズム163内に配置され、図13に示すように、入射面157に入射された光像101を構成する長波長域の光、中波長域の光を透過させ、それ以外の光(短波長域の光)を反射させる光学的ローパスフィルタ164と、プリズム163内に配置され、光学的ローパスフィルタ164を透過した長波長域の光、中波長域の光のうち、長波長域の光を透過させるとともに、それ以外の光(中波長域の光)を反射させる光学的ローパスフィルタ165と、プリズム163の第1出射面160に接合され、波長λ1(この波長λ1は、光学的ローパスフィルタ164のカットオフ波長より短波長側にある波長)を中心波長とするバンドパスフィルタリング特性でプリズム163の第1出射面160から出射される光像をバンドパスフィルタリングする光学的バンドパスフィルタ166と、プリズム163の第2出射面161に接合され、波長λ2(この波長λ2は、光学的ローパスフィルタ165のカットオフ波長より長波長側にある波長)を中心波長とするバンドパスフィルタリング特性でプリズム163の第2出射面161から出射される光像をバンドパスフィルタリングする光学的バンドパスフィルタ167と、プリズム163の第3出射面162に接合され、波長λ3(この波長λ3は、光学的ローパスフィルタ165のカットオフ波長より短波長側にある波長)を中心波長とするバンドパスフィルタリング特性でプリズム163の第3出射面162から出射される光像をバンドパスフィルタリングする光学的バンドパスフィルタ168とを備えている。
【0138】
そして、プリズム163の各光学的ローパスフィルタ164、165によって、被写体からの光像101を取り込んで、短波長域の光像と、中波長域の光像と、長波長域の光像とに分離した後、各光学的バンドパスフィルタ166、167、168によって、短波長域の光像、中波長域の光像、長波長域の光像に各々、含まれている波長λ1を中心波長とする所定波長範囲の光像、波長λ2を中心波長とする所定波長範囲の光像、波長λ3を中心波長とする所定波長範囲の光像を抽出するとともに、各撮像素子153、154、155によって各光像を各々、光電変換し、これによって得られた短波長域の映像信号、中波長域の映像信号、長波長域の映像信号を短波長側映像処理部103と、中波長側映像処理部104と、長波長側映像処理部105とに各々、供給する。
【0139】
このように、プリズム型バンドパスフィルタ152と、3つの撮像素子153、154、155とによって構成される波長選択光学系156を使用しても、被写体からの光像101を短波長域の光像と、中波長域の光像と、長波長域の光像とに分離して、長波長域の映像信号と、中波長域の映像信号と、長波長域の映像信号とを生成することができる。
【0140】
《第3の実施の形態の説明》
次に、上述した各波長選択型カメラ装置1、100を使用して、海面上に浮いている油膜を検出する際における各撮像素子15、17などの分解能と、油膜検出感度の関係について説明する(請求項17の内容)。
【0141】
<静止状態での探査能力>
まず、上述した各波長選択型カメラ装置1、100、例えば図1に示す波長選択型カメラ装置1で使用されている撮像素子15、17の最小検出単位である各画素(ピクセル)が大きい場合や撮影距離が短い場合には、1つのピクセルに対し、入射角度φ1が異なる複数の光線が入射し、各ピクセルの出力が各光線の輝度を加算した値になる。
【0142】
この際、各光線毎の入射角度φ1が異なり、その角度差が大きいと、反射率から求めた輝度の波長依存性が緩和されて、油膜検出感度が低下する恐れがあることから、この点について詳細に説明する。
【0143】
今、波長選択型カメラ装置1で使用される撮像素子15、17として、垂直画素数が“450”、水平画素数が“600”程度の画素数に設定され、かつピクセルの受光部が正方形に形成される撮像素子を使用するものと仮定し、図20に示すように、ヘリコプタ170に波長選択型カメラ装置1を取り付けて、波長選択型カメラ装置1の画像取込み角度(波長選択型カメラ装置1の光軸171と被写体からの光線とがなす最大角度)を所定の値、例えば“±25”になるようにレンズ7を調整するとともに、波長選択型カメラ装置1の光軸171が海面172と直交するように、波長選択型カメラ装置1の撮影方向を調整した状態で、海面172からの高さが300〜800mとなるようにヘリコプタ170を飛ばして、海面172上に浮かんでいる油膜を探査する場合を考える。
【0144】
この場合、ヘリコプタ170が、例えば海面から300〜800m上空、例えば800m上空を飛びながら、波長選択型カメラ装置1によって海面172を撮影すると、図21に示すように波長選択型カメラ装置1の撮像素子15、17の撮影動作によって、1フレーム間に、海面172上で、直径“746m”の円に内接する長方形の領域ABCD(約597m×約448m)を探査することができることから、海面172上の“約1m2”の部分からの光線が撮像素子15、17を構成する1つのピクセルに入射される。
【0145】
この面積は、波やうなりなどによる海面172の揺らぎと比較すると、十分に小さな値であることから、本発明による波長選択型カメラ装置1を使用するだけで、十分な検出感度で、海面172に浮いている油膜を検出することができる。また、ハイビジョンテレビカメラ装置などの高解像度テレビカメラ装置で使用されている撮像素子を用いれば、分解できる最小面積Sを“0.2m2”にすることができることから、探査能力をさらに向上させることができる。
【0146】
<移動状態での探査能力、探査範囲>
また、探査範囲を広げるために、ヘリコプタ170を移動させながら、海面172上に浮いている油膜を探査する場合には、上述した分解可能な最小面積Sまで、検出するには、ヘリコプタ170の飛行速度V(Km/h)を以下に示す値にすることが望ましい。
【0147】
【数7】
0.5≦(V×103)/(3.6×103×30) …(7)
このように、ヘリコプタ170の飛行速度V(Km/h)を規制しても、ヘリコプタ170の飛行速度Vが約108km/hのとき、撮像素子15、17を構成する1ピクセル当たりの探査面積SをS≒1m2にすることができ、これによって油膜検出時における十分な分解能を確保しながら、1時間当たり、“64.8Km2(108×0.6Km2)”の広い範囲を探索することができる。
【0148】
<高速移動状態での探査能力、探査範囲>
また、このように、移動しながら探査する方法では、撮影方法として、連続撮影方法を使用することから、隣接したテレビフレーム間では、上下2画素列しか画像が変化しないようにすることができ、目視で映像信号の画像を観察して油膜などを検出する際には、これで十分であるが、本発明による波長選択型カメラ装置1では、次段装置内に判定回路を設けることにより、CCDなどの撮像素子15、17が持つ垂直画素数に匹敵する距離毎に撮影を行うようにすれば、探査を行なうヘリコプタ170などの飛行速度をさらに速くすることができ、これによってさらに広い範囲を捜索することができる。
【0149】
但し、このような方法で、撮影を行なう場合には、撮像素子15、17の前に光シャッタを設け、この光シャッタを動作させて、各ピクセルに空間分解能以下の海面面積からの光を入れることが必要であることから、光シャッタの開口時間tと、探査を行なうヘリコプタ170などの飛行速度V(Km/h)とが次式を満たすようにすることが望ましい。
【0150】
【数8】
0.5≦(V×103×t)/(3.6×103×30) …(8)
これにより、ヘリコプタ170に搭載した波長選択型カメラ装置1に設けた光シャッタの開口時間tを“t=5(ミリ秒)”にしたとき、“V≦720(Km/h)”にすることができ、先の例に比べて、およそ6.7倍(720×0.6=432Km2)に拡大することができる。
【0151】
さらに、1台のヘリコプタ170や航空機などに、波長選択型カメラ装置1を複数台、搭載し、各波長選択型カメラ装置1の撮影方向を互いに異ならせて、異なる方向を探査すれば、さらに探査範囲を拡大することができる。
【0152】
例えば、3台の波長選択型カメラ装置1を使用して、左右および真下を同時に監視すれば、1時間当たりの探査範囲を約1300Km2にすることができ、これによって1時間以内で、東京湾全域を隈無く探索することができる。
【0153】
<光シャッタの選択>
また、上述した光シャッタとしては、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶などの材料を使用することができる。この場合、光シャッタとして、90度ねじれネマチック液晶を使用すれば、白色光を変調することができ、これによって広い波長範囲で利用することができ、またスメクチック液晶の一種である強誘電性液晶や反強誘電性液晶を使用すれば、1ミリ秒以下の高速度で、光画像をピックアップすることができる(請求項18の内容)。
【0154】
また、光シャッタとして、LiNbO3、LiTaO3、KDP、DKDP、PZT、GaAsなどの電気材料を用いることもできる。但し、各電気材料の特性として、非常に高速で光像の透過/不透過を制御することができるものの、駆動する際、大きな印加電圧が必要である。
【0155】
これらのことから、光シャッタとして、強誘電性液晶や反強誘電性液晶を使用することが望ましい。
【0156】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、請求項1〜3の波長選択型カメラ装置では、海面からの反射光が強い場合でも、海面上などに浮いている油膜や有機膜などを高いコントラストで映像化することができ、これによって遭難現場などを確実に見つけ出すことができる。
【0157】
また、請求項4〜6の波長選択型カメラ装置では、海面からの反射光が強い場合でも、また海面がどのような状態であっても、海面上などに浮いている油膜や有機膜などを高いコントラストで映像化することができ、これによって遭難現場などを確実に見つけ出すことができる。
【0158】
また、請求項の波長選択型カメラ装置では、ヘリコプタや航空機などで、探索範囲の上空を高速で飛行しながら、海面からの反射光が強い場合でも、また海面がどのような状態であっても、海面上などに浮いている油膜や有機膜などを高いコントラストで映像化することができ、これによって遭難現場などを迅速に、かつ確実に見つけ出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による波長選択型カメラ装置の一実施の形態のうち、請求項1〜3に対応する波長選択型カメラ装置の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す波長選択光学系の詳細な構成例を示す上面図である。
【図3】図1に示す波長選択型カメラ装置の波長選択動作例を示すグラフである。
【図4】図1に示す波長選択光学系と同等な機能を持つ波長選択光学系の第1例を示す上面図である。
【図5】図1に示す波長選択光学系と同等な機能を持つ波長選択光学系の第2例を示す上面図である。
【図6】図5に示す光学的ローパスフィルタ、一方の光学的ハイパスフィルタの波長選択例を示すグラフである。
【図7】図5に示す光学的ローパスフィルタ、他方の光学的ローパスフィルタの波長選択例を示すグラフである。
【図8】図1に示す波長選択光学系と同等な機能を持つ波長選択光学系の第3例を示す上面図である。
【図9】図1に示す波長選択光学系と同等な機能を持つ波長選択光学系の第4例を示す上面図である。
【図10】図9に示す光学的ローパスフィルタ、一方の光学的バンドパスフィルタの波長選択例を示すグラフである。
【図11】図9に示す光学的ローパスフィルタ、他方の光学的バンドパスフィルタの波長選択例を示すグラフである。
【図12】 本発明による波長選択型カメラ装置の一実施の形態のうち、請求項4〜6に対応する波長選択型カメラ装置の一例を示すブロック図である。
【図13】図12に示す波長選択光学系を構成する各光学的ローパスフィルタの波長選択特性例を示すグラフである。
【図14】図12に示す波長選択光学系を構成する短波長域用光学的バンドパスフィルタの波長選択特性例を示すグラフである。
【図15】図12に示す波長選択光学系を構成する長波長域用光学的バンドパスフィルタの波長選択特性例を示すグラフである。
【図16】図12に示す波長選択光学系を構成する中波長域用光学的バンドパスフィルタの波長選択特性例を示すグラフである。
【図17】図12に示す波長選択型カメラ装置の使用例を示す概略構成図である。
【図18】図12に示す波長選択光学系と同等な機能を持つ波長選択光学系の第1例を示す上面図である。
【図19】図12に示す波長選択光学系と同等な機能を持つ波長選択光学系の第2例を示す上面図である。
【図20】本発明による波長選択型カメラ装置を使用して、海面上に浮いている油膜を検出する際の検出範囲を説明する正面図である。
【図21】本発明による波長選択型カメラ装置を使用して、海面上に浮いている油膜を検出する際の検出範囲を説明する模式図である。
【図22】従来から知られている一般的なフルカラーカメラ装置の一例を示すブロック図である。
【図23】海面上に浮いている油膜をモデル化した断面図である。
【図24】図23に示す中層が厚さ1μmで、かつ光を吸収しないときにおける反射率と波長との関係を示すグラフである。
【図25】図23に示す中層が厚さ10μmで、かつ光を吸収しないときにおける反射率と波長との関係を示すグラフである。
【図26】図23に示す中層が厚さ1μmで、かつ光を吸収するときにおける反射率と波長との関係を示すグラフである。
【図27】図23に示す中層が厚さ10μmで、かつ光を吸収するときにおける反射率と波長との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1:波長選択型カメラ装置
2、2a、2b、2c、2d、101:光像
3:波長選択光学系
4:短波長側映像処理部(画像演算部)
5:長波長側映像処理部(画像演算部)
6:差映像抽出部(画像演算部)
7:レンズ
8、29:入射面
9:反射透過面
10、31、111、146、160:第1出射面
11、32、112、147、161:第2出射面
12、144、145、158、159:全反射面
13、28:ビームスプリッタ(光学系)
14、16、69、117、118、119、70、166、167、168:光学的バンドパスフィルタ
15、17、34、35、53、54、71、72、120、121、122、153、154、155:撮像素子
18、21、124、127、130:ヘッドアンプ回路
19、22:映像処理回路
20、23:A/D変換回路
24:差分回路
25:絶対値回路
26:D/A変換回路
27:増幅回路
30:反射透過面
33:プリズム型バンドパスフィルタ(光学系)
36:波長選択光学系
37、39、56、58、74、76:前面
38、43、57、62、75、80、114、149、163:プリズム(光学系)
40、59、77:後面
41、42、60、61、78、79:斜面
44、48、63、81、115、116、164、165:光学的ローパスフィルタ
45、47、65、67、83、85:出射面
46、51、52:光学的ハイパスフィルタ
49、64、82、108:入射面
50:プリズム型ローパスフィルタ(光学系)
55:波長選択光学系
66、84、86、109、110:全反射面
68、:プリズム型ローパスフィルタ(光学系)
73、102:波長選択光学系
100:波長選択型カメラ装置
103:短波長側映像処理部(画像演算部)
104:中波長側映像処理部(画像演算部)
105:長波長側映像処理部(画像演算部)
106:差映像抽出部(画像演算部)
107:レンズ
113、148、162:第3出射面
123:分岐素子(光学系)
125、128、131:映像処理回路
126、129、132:A/D変換回路
133:短波長側差分回路
134:短波長側絶対値回路
135:長波長側差分回路
136:長波長側絶対値回路
137:加算回路
138:D/A変換回路
139:増幅回路
140、172:海面
141、170:ヘリコプタ
142:分岐素子
143、157:入射面
150:第1反射透過面
151:第2反射透過面
156:波長選択光学系
152:プリズム型バンドパスフィルタ(光学系)
171:光軸

Claims (7)

  1. 撮影動作によって得られた光像を各波長域毎の光像にして特定の波長の被写体画像を抽出することで海水面または淡水面上の油膜を検出する波長選択型カメラ装置において、
    前記撮影動作によって得られた光像を透過/反射して、2つの光像を生成する光学系と、
    互いに異なる透過波長領域を持ち、前記光学系によって生成された各光像から各波長域の光像を抽出する2つの光学的バンドパスフィルタと、
    各光学的バンドパスフィルタによって抽出された各波長域毎の光像を光電変換して各波長域の映像信号を生成する2つの撮像素子と、
    各撮像素子から出力される各波長域の各映像信号を構成する各画素について、同じ空間座標またはレジストレーション調整後の誤差範囲内の近さの空間座標を持つ各画素毎に信号レベル差を計算し、この差の絶対値に基づき、映像信号を生成する画像演算部とを備え、
    前記2つの光学的バンドパスフィルタの中心波長間の差が、
    ・短波長側の光学的バンドパスフィルタの中心波長が400nm以上500nm以下のときは30nm未満、
    ・短波長側の光学的バンドパスフィルタの中心波長が500nmを超えて600nm以下のときは60nm未満、
    ・短波長側の光学的バンドパスフィルタの中心波長が600nmを超えて1300nm以下のときは110nm未満、
    となるように、長波長側の光学的バンドパスフィルタの中心波長が決定されている、
    ことを特徴とする波長選択型カメラ装置。
  2. 請求項1に記載の波長選択型カメラ装置において、
    前記画像演算部は、
    各撮像素子から出力される各映像信号を取り込んで、各映像信号を構成する各画素について、同じ空間座標もしくはレジストレーション調整後の誤差範囲内の近さの空間座標を持つ2つの画素を選択し、これらのレベル差を計算する差分回路と、
    この差分回路から出力されるレベル差の絶対値を計算する絶対値回路と、
    を有することを特徴とする波長選択型カメラ装置。
  3. 請求項1または2に記載の波長選択型カメラ装置において、
    前記各光学的バンドパスフィルタは、中心波長が短くなるほど、各光学的バンドパスフィルタの中心波長の差の絶対値が小さくなることを特徴とする波長選択型カメラ装置。
  4. 撮影動作によって得られた光像を各波長域毎の光像にして、特定の波長の被写体画像を抽出することで海水面または淡水面上の油膜を検出する波長選択型カメラ装置において、
    撮影動作によって得られた光像を透過/反射して、3つの光像を生成する光学系と、
    互いに異なる透過波長領域を持ち、前記光学系によって生成された各光像から各波長域の光像を抽出する3つの光学的バンドパスフィルタと、
    各光学的バンドパスフィルタによって抽出された各波長域毎の光像を光電変換して各波長域の映像信号を生成する3つの撮像素子と、
    各撮像素子から出力される各波長域の各映像信号を構成する各画素について、同じ空間座標またはレジストレーション調整後の誤差範囲内の近さの空間座標を持つ各画素毎に信号レベル差を計算し、この差の絶対値に基づき、映像信号を生成する画像演算部とを備え、
    前記3つの光学的バンドパスフィルタの中心波長をλ1、λ3、λ2(λ1<λ3<λ2)(単位nm)としたとき、
    ・λ1が400nm以上500nm以下のとき、λ3−λ1が30nm未満、
    ・λ1が500nmを超えて600nm以下のとき、λ3−λ1が60nm未満、
    ・λ1が600nmを超えて1300nm以下のとき、λ3−λ1が110nm未満、
    となるようにλ3が決定されているとともに、
    λ3−λ1<λ2−λ3であって、
    ・λ3が400nm以上500nm以下のとき、λ2−λ3が30nm未満、
    ・λ3が500nmを超えて600nm以下のとき、λ2−λ3が60nm未満、
    ・λ3が600nmを超えて1300nm以下のとき、λ2−λ3が110nm未満、
    となるようにλ2が決定されている、
    ことを特徴とする波長選択型カメラ装置。
  5. 請求項に記載の波長選択型カメラ装置において、
    前記画像演算部は、
    各撮像素子から出力される各映像信号を取り込んで、各映像信号を構成する各画素について、同じ空間座標もしくはレジストレーション調整後の誤差範囲内の近さの空間座標を持つ2つの画素を選択し、これらのレベル差を計算する2つ以上の差分回路と、
    各差分回路から出力されるレベル差の絶対値を計算する絶対値回路と、
    を有することを特徴とする波長選択型カメラ装置。
  6. 請求項4または5に記載の波長選択型カメラ装置において、
    前記各光学的バンドパスフィルタは、中心波長が短くなるほど、隣接した2つの光学的バンドパスフィルタの中心波長の差の絶対値が小さくなることを特徴とする波長選択型カメラ装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の波長選択型カメラ装置において、
    波長選択型カメラ装置の前に、光シャッタを配置し、この光シャッタを動作させて、前記波長選択型カメラ装置に間欠的に光像を供給する、
    ことを特徴とする波長選択型カメラ装置。
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