JP3772121B2 - エンコーダの信号処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、NC装置の工作機械のテーブルやモータの位置を検出する検出装置に関し、回転角度(位置)を検出するロータリエンコーダや直線移動位置を検出するリニアスケール等のエンコーダにおいて、検出信号を内挿するエンコーダの信号処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は、従来のエンコーダにおける位置、角度検出方法のブロック図である。エンコーダの感知部から出力される正弦波Sa、余弦波Sbの元信号をアナログ増幅回路1a,1bにて次次段のアナログ−ディジタル変換回路2a,2bの入力に合うように増幅する。アナログ補正回路7でこの増幅された元信号Sa,Sbのオフセット、振幅差,位相差を補正し、理想的な正弦波、余弦波に近づける。このアナログ信号をアナログ−ディジタル変換回路2a,2bでディジタル信号に変換し、ディジタル内挿回路3にて元信号1周期(正弦波1周期)内の位置を計算する。計算された1周期内の位置データとこのブロック図では省略されている元信号の周期を数えているカウンタのデータよりポジションデータ生成回路6がポジションデータを生成し出力するようになっている。
【0003】
また、エンコーダの感知部からの元信号をディジタル信号に変換して、この変換されたディジタル信号に基づいて、オフセット値、振幅比を求め、オフセット調整及び振幅調整された位置データを得る方法も特開平10−311741号公報で知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のエンコーダで採用れているオフセット電圧、振幅差、位相差の調整をアナログ回路により行う方法は、回路が大きくなるため、実装面積が大きくなる、コストが高くなるという問題がある。また、波形歪み(高調波成分)を取り除くことは出来ないという問題、および、稼動中の温度変動による波形変化や経年的な波形変化に対応できないという問題が存在する。また、上述した特開平10−311741号公報に記載された方法は、オフセット、振幅の調整であり、位相差の調整は考慮されていない。
そこで、本発明は、実装面積を小さくし、かつ、オフセット電圧、振幅差、位相差の調整ができ、波形歪みを取り除くことができるエンコーダの信号処理装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、被測定体の移動に応じて、該被測定体に連結されたエンコーダから周期的に発生する90度位相の異なる2相の正弦波状のアナログ信号を所定時間毎にサンプリングして、前記エンコーダの位置データを検出し取得する位置データ取得手段を備えたエンコーダの信号処理装置であって、請求項1に係る発明は、前記被測定体を一定速度で移動しているときに前記位置データ取得手段から得られる前記1周期内を少なくとも2以上の領域に分割する3点以上の検出位置データP(k)を取得し、任意の設定位置PAを通過する前後に検出された連続する2つの位置データP(0),P(1)から該任意の設定位置PAを通過した時刻tAを求め、前記任意の位置から1周期分移動した任意の設定位置PBを通過する前後に検出された2つの位置データP(n),P(n+1)から該任意の設定位置PBを通過した時刻tBを求めることにより、設定位置PAと設定位置PBを結ぶ時間の関数としての直線を求め、この直線と検出位置データP(k)により時間に基づいて前記アナログ信号の1周期内での複数の位置あるいは位置指標に対応した誤差データを算出する誤差データ算出手段を設け、1周期内での複数の位置あるいは位置指標と該複数の位置あるいは位置指標に対応した誤差データを基準データとして記憶手段に記憶しておき、前記位置データ取得手段で取得した検出位置データに対し、前記記憶手段に記憶した基準データに基づいて誤差データを求め、検出された検出位置データに求めた誤差データを補正する補正手段を設けた。
【0007】
請求項2に係る発明は、この誤差データ算出手段に、被測定体の移動速度を求める移動速度検出手段を設け、該移動速度検出手段で所定速度が検出されているときに、前記基準データを求めるようにしたものである。
【0008】
請求項3に係わる発明は、前記誤差データ算出手段を、前記検出した検出位置データ群P(1)〜P(n)のうちm番目に検出された位置データP(m)(1≦m≦n)の誤差データD(m)を、該位置データが検出された時刻をtmとしたとき、下式により求めるものとしたものとした。
D(m)=P(m)−[PA+(PB−PA)×(tm−tA)/(tB−tA)]
請求項4に係わる発明は、前記誤差データ算出手段により、検出位置データにおいて前記1周期内の任意の位置から1周期経過した該任意の位置までの1周期期間中、位置がリニアに変化するものとして理想的位置データを複数求め、検出位置データより前記理想的位置に対応する位置データを求め、該位置データと前記理想的位置データとの差を誤差データとし、前記位置データに対して誤差データを組として基準データとして求め、前記記憶手段に設定記憶させるようにしたものである。
さらに、請求項5に係わる発明は、この誤差データ算出手段に、被測定体の移動速度を求める移動速度検出手段を備え、該移動速度検出手段で所定速度が検出されているときに、前記基準データを求めるようにしたものである。
【0009】
請求項6に係わる発明は、前記誤差データ算出手段を、任意の位置PXを通過する時刻tXを、P(m)≦PX≦P(m+1)、またはP(m)≧PX≧P(m+1)となるような検出位置データP(m)およびP(m+1)から求め、前記位置PXにおける誤差DXを下式により誤差データとして求め、かつ前記任意の位置PXを異なった複数の位置として、それに対応する誤差データを求め、この複数の各位置PXと対応する誤差データを基準データとして記憶するようにしたものである。
DX=PX−[PA+(PB−PA)×(tX−tA)/(tB−tA)]
【0010】
請求項7に係わる発明は、前記誤差データ算出手段に、前記速度検出手段で検出される1回前のサンプリング時の位置データP(−1)と今回のサンプリング時の位置データP(0)との差と、かつ2回前のサンプリング時の位置データP(−2)と1回前のサンプリング時の位置データP(−1)の差との差により加速度を求める手段を設け、検出速度が規定範囲に入りかつ検出加速度がある規定値内に入った時に基準データを求めるようにした。
【0011】
請求項8に係わる発明においては、前記誤差データ算出手段は、1回前のサンプリング時の位置データP(-1)と今回のサンプリング時の位置データP(0)との差V(0)がある規定範囲に入り、なおかつ2回前のサンプリング時の位置データP(−2)と1回前のサンプリング時の位置データP(−1)の差V(−1)と前記差V(0)の差がある規定値内に入り、なおかつP(n−2)とP(n−1)の差V(n−1)とP(n−1)とP(n)の差が規定値内に入った時に基準データの取得を開始するようにしたものである。
また、請求項9に係わる発明は、エンコーダが取り付けられた装置を制御する制御装置が、速度が規定値内に入りかつ加速度が規定値内に入っていることを判断し、前記制御装置が前記基準データの取得開始指令を出力し、これにより前記誤差データ算出手段が基準データの取得を開始するようにしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図2は、本発明の一実施形態のブロック図である。本実施形態においては、エンコーダの感知部から出力される正弦波Sa、余弦波Sbの元信号をアナログ増幅回路1a,1bにて次段のアナログ−ディジタル変換回路2a,2bの入力に合うように増幅する。増幅されたアナログ信号をアナログ-ディジタル変換回路2a,2bで一定サンプリング周期毎にディジタル信号に変換する。変換されたディジタル値により、ディジタル内挿回路3が元信号1周期(正弦波1周期)内の位置を計算し検出誤差データ算出回路4に出力する。
【0013】
検出誤差データ算出回路4は、開始条件判定回路41、レジスタ群42、誤差計算回路43、検出誤差格納レジスタ44、平均化回路45を備えている。開始条件判定回路41は、ディジタル内挿回路3から位置データを受け、開始時要件を満たしているか判別し、満たしていれば、元信号の1周期分のサンプリング数より僅か多いサンプリング数の位置データP(0)〜P(n+α)をレジスタ群42に格納する。なお、1周期をn回のサンプリングするものとしている。
【0014】
検出誤差計算回路43は、レジスタ群42に格納された位置データP(0)〜P(n+α)の状態より1周期内の等間隔な位置での検出誤差データを算定する。また、検出誤差格納レジスタ44は算出された検出誤差データを過去数回に渡り記憶する。この検出誤差格納レジスタ44に記憶された過去数回分の検出誤差データを平均化回路45で平均化して、その平均値の検出誤差データを検出誤差補正回路5の補正用検出誤差格納レジスタ51に格納する。複数の検出誤差データの平均をとるのは、検出誤差データの精度を向上させるためのものであり、簡単に行う場合には、検出誤差格納レジスタ44、平均化回路45を設けずに、検出誤差計算回路42で求めた検出誤差データをそのまま補正用検出誤差格納レジスタ51に格納するようにしてもよい。
【0015】
検出誤差補正回路5は、補正用検出誤差格納レジスタ51と補正計算回路52からなり、補正計算回路52が補正用検出誤差格納レジスタ51に格納された検出誤差データを用いてデジタル内挿回路3から出力される位置データの検出誤差を計算し補正してポジションデータ生成回路6に出力する。ポジションデータ生成回路6は、補正された1周期内の位置データと、このブロック図では省略されている元信号の周期を数えているカウンタのデータより位置データを生成する。
【0016】
図3は、開始条件判定回路41の詳細ブロック図である。開始条件判定回路41は、デジタル内挿回路3から所定サンプリング周期毎出力される位置データの内、今回、前回、前々回のサンプリング周期の位置データを記憶する3つの位置データレジスタ411a,411b,411c、第1、第2の速度計算回路412a,412b、ゼロクロスポイント検出回路413、加速度計算回路414、位置データレジスタ格納開始判定及び誤差計算開始信号判定回路415を備える。
【0017】
デジタル内挿回路3から出力される所定サンプリング周期毎の位置データは、今回の位置データレジスタ411aに格納され、今回の位置データレジスタ411aに格納されていた位置データは前回の位置データレジスタ411bに格納され、前回の位置データレジスタ411bに格納されていた位置データ前々の位置データレジスタ411cに格納され、デジタル内挿回路3から位置データが出力される毎(サンプリング周期毎)に位置データはシフトされ、今回、前回、前々回のサンプリング周期の位置データが記憶されることになる。
【0018】
第1の速度計算回路412aは、今回の位置データレジスタ411aに記憶する今回の位置データと前回の位置データレジスタ411bに記憶する位置データの差より現在速度を求め、第2の速度計算回路412bは、前回の位置データレジスタ411b、前々回の位置データレジスタ411cにそれぞれ記憶する位置データの差より周期前の現在速度を求める。また、加速度計算回路514は、第1、第2の速度計算回路412a,412bで求めた速度の差より加速度を求める。
ゼロクロスポイント検出回路413は、今回の位置データレジスタ411aと前回の位置データレジスタ411cに記憶する位置データより元信号Sa,Sbの1周期の開始であるゼロクロスポイントを検出する。
【0019】
位置データレジスタ格納開始判定及び誤差計算開始信号判定回路415は、位置データの設定取り込み条件が満足したことを条件として、ゼロクロスポイント検出回路413でゼロクロスポイントが検出されたときに、ゼロクロスポイントから次のゼロクロスポイントを包含する元信号の1周期以上の位置データP(0)〜P(n+α)をレジスタ群42へ格納させる。また、次のゼロクロスポイント検出時に検出誤差計算回路に誤差計算開始信号を渡す。
【0020】
位置データの取り込み条件としては、第1の速度計算回路412aで求められる速度(位置データP(−1)とP(0)の差)が所定範囲に入ったとき、さらに、精度を向上させるときには、加速度計算回路414で求められる加速度(位置データP(−2)とP(−1)の差とP(−1)とP(0)の差の差)が規定範囲に達に入ったとき、さらには、元信号の1周期の終了時点において、前記第1の速度計算回路412aで検出される加速度(位置データP(n−2)とP(n−1)の差とP(n−1)とP(n)の差の差)が規定値内に入っているときとする。
以上が本実施形態のエンコーダの信号処理装置の要部の構成である。
そこで、この実施形態で実施する検出誤差補正の各種方法の実施形態を説明する。
【0021】
図4は、第1の実施形態の説明図で、元信号1周期をn回のサンプリングで元信号の1周期分の位置データが得られたものとする。すなわち、サンプリング周期をTsとし、エンコーダの感知部が取り付けられた移動体(回転体)の移動速度が一定速度vであるとする。また、1周期分での移動体の移動量(回転角)がLであったとすると、L=n・Ts・vである。そして、ゼロクロスポイントを検出した後最初のサンプリング時点を時間0とし、このときサンプリングした位置データをP(0)、次のゼロクロスポイントを検出した後の最初のサンプリング時の位置データをP(n)とすると、位置データP(0)から位置データP(n)が得られるまでは約1周期に該当する(P(n)−P(0)=L)。
【0022】
この1周期内のn個のサンプリングの位置データを、横軸を時間軸、縦軸を検出位置としてプロットすると、図4に波線の曲線上に丸を書いて示したようになったとする。なお、図4(及び後述する図6,図7,図8)において、検出位置データは0〜Lまで繰り返し検出されるものであるから、1周期Lに達したときこの点を次の1周期の「0」として連続的に直線上に表している。
【0023】
位置データはサンプリング周期Ts毎に求められたものであるが、速度vが一定で、サンプリング周期Tsも一定であるから、サンプリング間の移動距離l=v・Tsは一定である。よって、図4における横軸は移動体の移動距離(回転角度)をも表す。すなわち、m回目のサンプリング時では、位置データP(0)が得られたサンプリング時からm・Tsの時間経過したときであり、移動体の移動距離(回転角度)l=m・v・Tsの位置である。
【0024】
等速vで移動し、サンプリング周期Tsがn回で、元信号1周期分の距離L移動するものであるから、位置はリニアに変化し、m回目のサンプリング時では、移動距離l=L・m/nである。そこで、位置データP(n)が位置データP(0)の1周期遅れの同じ値とすれば、位置データP(0)とP(n)を結ぶ図4に波線で示す直線上に位置するはずである。図4に示す波線直線は1周期分移動するとき、この検出されるべき位置を示している。しかし、実際にサンプリングされて検出された位置が図4の丸印で示された位置P(m)であったとき、検出誤差
D(m)は、
として求められる。
【0025】
そこで、各サンプリング位置m(=0,1,2…)の検出位置データP(m)を基準データの位置データPs(m)、各サンプリング位置で求められる検出誤差D(m)を基準データの検出誤差D(m)として、図5に示すように対応させて記憶する。すなわち、図2のレジスタ群42に格納された1周期分の位置データP(0)〜P(n)に対して、検出誤差計算回路43で上記1式で示される演算を行い検出誤差D(0)〜D(n)をそれぞれ求める。この例の場合は、平均化を行わず、検出誤差計算回路43で求めた検出誤差D(0)〜D(n)を検出各位置データP(0)〜P(n)(この検出位置データを基準データの検出位置データPs(0)〜Ps(n)とする)に対応されて、基準データ[Ps(0)〜Ps(n)、D(0)〜D(n)]として補正用検出誤差レジスタ51に格納する。
【0026】
その後、補正計算回路52は、ディジタル内挿回路3から出力される位置データP(x)と補正用検出誤差レジスタ51に記憶する基準データの位置データPs(0)〜Ps(n)を比較し、検出位置データP(x)が補正用検出誤差レジスタ51に記憶する位置データPs(m)とPs(m+1)の間にあったとすれば、検出位置データP(x)に対する検出誤差D(x)を、位置データPs(m)、Ps(m+1)に対して記憶する検出誤差データD(m)、D(m+1)によって、補間計算を行って求める。なお、この点は後述する。
こうして求めた検出誤差D(x)を検出位置データP(x)が有するものとして、補正計算回路52は、検出位置データP(x)からこの検出誤差D(x)を差し引いて補正し1周期内の位置データとして出力する。
【0027】
上述した実施形態では、ゼロクロスポイントを検出してから最初のサンプリング時の検出位置データP(0),P(n)間を1周期として、その差[P(n)−P(0)]を1周期の移動量Lとした。しかし実際は、検出位置データP(0)とP(n)は、ゼロクロスポイントから同一距離とは限らず、この間の距離が1周期の移動量Lとなるとは限らない。そのため、この近似した分精度が低下する。
【0028】
そこで、この問題を解決した第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態では、より精度を上げるために、サンプリング周期毎検出された位置によらず、任意に設定した1周期の両端となる位置PA,PBによって基準データとなる検出誤差D(0)〜D(n)を求める。ただし設定位置PAとPBの差は1周期分の移動量Lとなるように設定する。そして、レジスタ42に取り込むサンプリング位置データは、設定位置PA,PBが含まれるように位置データP(0)〜P(n+1)を取り込む。例えば、P(0)≦PA≦P(1)又はP(0)≧PA≧P(1)であれば、P(n)≦PB≦P(n+1)又はP(n)≧PB≧P(n+1)となるようにサンプリング位置データを取り込む。わかり安さからすれば、PA=0、PB=L(=0)とすれば、元信号の1周期の始点と終点の位置を指定したことになる。
【0029】
図6は、この第2の実施形態の説明図で、横軸を時間、縦軸を検出位置とし、位置データP(0)を検出した時点を時間軸の原点として、サンプリング位置データP(0)〜P(n+1)をプロットした図である。そして、設定位置PAを挟む両側のサンプリング位置データP(0),P(1)と設定位置PAおよびサンプリング周期Tsによって補間して、設定位置PAに対する時間tAを求める。同様にサンプリング位置データP(n),P(n+1)と設定位置PBおよびサンプリング周期Tsによって補間して求めた値と、位置データP(n)をサンプリングした時間n・Tsによって設定位置PBに対する時間tBを求める。等速移動で位置はリニアに変化するものであるから、こうして求めた点(tA,PA)、点(tB,PB)を結ぶ直線(図6に破線で示す直線)は、位置データが検出されるべき理想的な位置を表している。
【0030】
そこで、位置データ群の中でm番目のデータP(m)はm回目のサンプリング時tm(=m・Ts)に検出された位置データであり、該位置P(m)に対する検出されるべき理想上の位置P'(m)は、破線で示す直線で示される次の2式の演算式で求められる位置である。
P'(m)=PA+(PB−PA)×(tm−tA)/(tB−tA)…・(2)
そして、検出誤差D(m)は次の3式で求められる。
検出誤差計算回路43は、1周期分の各サンプリング位置データP(0)〜P(n)に対して上記3式の演算を行い上記検出誤差D(0)〜D(n)を求め、各位置データP(0)〜P(n)に対応させて検出誤差D(0)〜D(n)を求め、この位置データP(0)〜P(n)を基準データの検出位置データとして検出誤差D(0)〜D(n)と組み合わせて補正用検出誤差格納レジスタ51に格納する。なお、すべての位置データP(0)〜P(n)対して検出誤差D(0)〜D(n)を求めることなく、選ばれた位置データ、例えば、偶数回のサンプリング位置データP(0),P(2),P(4)……を基準の位置データとして、これに対して検出誤差D(0),D(2),D(4)……を求めこれらを組として補正用検出誤差格納レジスタ51に基準データとして格納するようにしてもよい。
【0031】
検出誤差補正を行うときには、補正計算回路52は、上述したように、ディジタル内挿回路3から出力される位置データP(x)と補正用検出誤差レジスタ51に記憶する位置データP(0)〜P(n)を比較し、検出位置データP(x)の前後の位置データを求め、求められた位置データに基づいて補間計算によって検出誤差を求める。
【0032】
補正計算回路52は、こうして求めた検出誤差D(x)を検出位置データP(x)から差し引いて補正し出力する。
【0033】
前述した第1、第2の実施形態は、検出誤差データD(0)〜D(n)をサンプリングされ検出された位置データP(0)〜P(n)に対して求めたが、任意の位置毎に求めるようにしてもよい。この例を第3の実施形態として図7とともに説明する。
この第3の実施形態は、検出誤差を任意の位置に対して求めるものであり、他は上述した図6に示す第2の実施形態と同一である。
【0034】
まず、検出誤差計算回路43は、設定されている位置PXがレジスタ42に格納された検出位置データP(0)〜P(n)のどの領域にあるかを探し、例えば、P(m)とP(m+1)にあったとすると、サンプリング位置データP(m),P(m+1)と設定位置PXおよびサンプリング周期Tsによって補間して求めた時間と、位置データP(m)をサンプリングした時間m・Tsによって設定位置PXに対する時間tXを求める。
【0035】
そして、設定した始点、終点の位置PA,PBとこの位置に対応する時間tA,tB及び上記求めた時間tXによって、次の4式の演算による直線補間によって、
該任意の位置PXが検出されるべき理論的な位置PX’を求める。
PX’=PA+(PB−PA)×(tX−tA)/(tB−tA)…・(4)
よって、この任意の位置PXが検出されたときに含まれる検出誤差DXは次の5式となる。
【0036】
DX=PX−PX'
=PX−[PA+(PB−PA)×(tX−tA)/(tB−tA)]…・(5)そこで、上記任意の位置PXを複数設定しておき(望ましくは等間隔にこの位置PXを設定する)、各検出誤差計算回路43は設定位置PX毎に上記5式の演算を行って、検出誤差DXを求める。そして、この複数の設定位置PXとそれに対応する検出誤差DXを対応させて基準データとして補正用検出誤差レジスタ51に格納する。また、この第3の実施形態の場合、設定位置PXが決まった位置であるから、この複数の設定位置PXに対する検出誤差DXを複数回分検出誤差格納レジスタ44に格納し、平均化回路45で各設定位置PXに対するそれぞれの検出誤差DXの平均をとり、各設定位置PXを基準の位置データPsとしこれに対応する平均誤差を組み合わせて基準データとして補正用検出誤差レジスタ51に格納する。
【0037】
なお、平均化回路45としては、単にk回の各検出誤差を加算しkで割って平均を求める方法、又は、すでに求めている検出誤差の平均値Dsに[(k−1)/k]を乗じた値に新たに求められた検出誤差Dをkで割った値を加算する等のフィルタリング処理により平均値を求める方法等の各種方法が適用できる。
【0038】
こうして求められた各設定位置PXに対する検出誤差DXが組となって補正用検出誤差レジスタ51に格納され、補正用計算回路52が、この補正用検出誤差レジスタ51に記憶された基準データに基づいて、ディジタル内挿回路3から出力される位置データP(x)に対する検出誤差D(x)を求め、該位置データP(x)を補正して1周期内の位置データとして出力する。
【0039】
図8は、本発明の第4の実施形態の説明図である。第3の実施形態が元信号の1周期内の任意の位置を設定することにより、その設定位置における検出誤差を求めて基準データとしたことに対して、この第4の実施形態は設定スタート位置PAと終了位置PB間を所定時間間隔Tで等分割して、各分割点の検出位置データに対する検出誤差を求め基準データとするものである。
【0040】
スタート位置PAと終了位置PBに対応する時間tA,tBは、第2の実施形態で述べたようにして求めることができる。この時間tAからtBまでの間を等間隔に分割し、その分割間隔をTとする。また、各分割点の時間をtX1,tx2,tx3…・・とする。各分割点において位置データが検出されるべき理論的な位置は位置PA、PB、そのときの時間tA,tB分割点の時間tXi(i=1,2.…)によって、前記4式と同様な式による補間計算で求めることができる。また、この分割点において検出されると予想される検出位置データは、分割点の前後のサンプリング位置データと、サンプリング周期Ts、スタート時間tA、分割点の時間tXiによって、直線補間によって同様に求めることができる。そして、この分割点における理論的な位置と、この分割点において検出されると予想される検出位置データとの差よりそれぞれ検出誤差D(i)を求める。
【0041】
そして、求めた分割点において検出されると予想される検出位置データとその分割点における検出誤差D(i)を組として、補正用検出誤差格納レジスタに格納し、基準データとする。また、この実施形態の場合も、分割点の位置は固定されるから(速度一定であり、一定時間T間隔であるから、分割点の位置は決まった位置となる)、検出誤差格納レジスタ44と平均化回路45を用いて、各分割点において検出されると予想される検出位置データに対する検出誤差の平均値を前述したようにして求め、この検出誤差の平均値を基準データの検出誤差としてもよい。
【0042】
図9は、基準データとして記憶された位置データPs(i)と各位置データに対応する検出誤差D(i)より、補正計算回路52が、ディジタル内挿回路3から出力される位置データP(x)に対して行う補正の説明図である。位置データP(x)と補正用検出誤差レジスタ51に記憶する基準データの位置データPs(0)〜P(n)を比較し、検出位置データP(x)の前後の位置データPs(i),Ps(i+1)を求める。そして、この基準データの位置データPs(i),Ps(i+1)とそれに対応する検出誤差データD(i),D(i+1)により、検出位置データP(x)に対する検出誤差D(x)を6式の補間演算を行って求める。
D(x)=D(i)+{D(i+1)−D(i)}・{P(x)−Ps(i)}/{Ps(i+1)−Ps(i)}…・(6)
補正計算回路52は、こうして求めた検出誤差D(x)を検出位置データP(x)から差し引いて補正し出力する。
【0043】
上述した各実施形態においては、検出誤差データ算出回路4中に開始条件判別回路41を設け、該開始条件判別回路41で判別してレジスタ42へのデータ取り込み、及び基準データの算出指令を出力するようにしたが、この開始条件判別回路41を設けず、このエンコーダを取り付けた機械や装置を制御する数値制御装置等の制御装置によって、開始条件を判別し、この制御装置からデータ取り込み、及び基準データの算出指令を出力するようにしてもよい。
【0044】
さらに、位置データ取得手段で前記1周期内を少なくとも3点以上の連続して検出された(n+1)個の位置データ群P(0)〜P(n)(n≧2)を求め、位置データ群P(0)〜P(n)を用いて、P(0)とP(n)間に存在する第3の任意の点P(x)の検出誤差を周波数解析により求め、求めた検出誤差データとそのときの位置を基準データとし、上述した方法によって、ディジタル内挿回路3から出力される位置データを補正するようにしてもよい。
【0045】
また、検出誤差データ算出回路4さらには検出誤差補正回路5をプロセッサで構成し、ソフトウエアによって、基準データ及び補正を行うようにしてもよい。図10はプロセツサで行うときの第4の実施形態と同様の基準データを求める処理(検出誤差データ算出回路4の行う処理と同等の処理)のフローチャートである。
まず、基準データ作成指令が、手動若しくはこのエンコーダを取り付けた機械や装置を制御する制御装置からの指令として入力されたとき、プロセッサは、ディジタル内挿回路3が出力されるサンプリング位置データに基づいて、設定検出誤差算出開始条件を満たしているか否かを判別する。すなわち、現在の速度が規定値であるか、さらには、加速度が規定値内かを判別する(ステップa1)。
【0046】
設定検出誤差算出開始条件を満たしていることが判別されると、ディジタル内挿回路3から出力されるサンプリング位置データを1周期分以上取り込む(ステップa2、a3)。この位置データの取り込みが完了すると、1周期分の位置データが取り込み完了時での加速度が規定範囲内か判断する(ステップa4)。規定範囲からはずれている場合には、位置データを取得した1周期分内で速度変化があったことを意味するので、ステップa1に戻り再度位置データの取り込みを行う。
【0047】
ステップa4で、加速度が規定範囲内と判断された場合には、取り込んだ位置データは速度一定のデータとみなされ、この位置データから設定されている位置PA、該位置PAより1周期経過後の設定位置PBの前後の位置データP(0),P(1)、及びP(n),P(n+1)を取り込んだ位置データから求める(ステップa5,a6)。位置データP(0)のサンプリング時を時間「0」とし、位置PA,PBの時間tA,tBを前述したように補間処理によって求める(ステップa7)。
【0048】
時間tA,tB間を均等に分割し、各分割点において検出されると予想される位置データを前述したように補間処理によって求め、さらにこの予想される検出位置に対する検出誤差を求め、この予想される検出位置とこれに対応する検出誤差を対応させて記憶する(ステップa8)。
【0049】
指標jを1インクリメントし(該指標jは初期設定で「0」にセットされている)、該指標jの値が設定回数か判断し(ステップa9,a10)設定回数でなければ、ステップa1に戻る。以下ステップa1からステップa10の処理を繰り返し、指標jが設定回数に達すると、予想される検出位置に対して記憶したj個の検出誤差の平均を求め(ステップa11)、予想される検出位置とこの検出誤差の平均の組を基準データとして記憶し(ステップa12)、基準データの取得処理は終了する。
【0050】
図11は、エンコーダが通常の位置検出を行うときに行う処理(検出誤差補正回路5で行う処理と同等の処理)のフローチャートで、所定周期毎プロセッサはこの図11に示す処理を実行する。
ディジタル内挿回路3の出力である位置データP(x)を読み(ステップb1)、基準データとして記憶する位置データの中から、この読みとった位置データP(x)の前後の位置データP(m),P(m+1)を求める(ステップb2)。求められた位置データP(m),P(m+1)に対して記憶されている検出誤差データD(m),D(m+1)を求め(ステップb3)、位置データP(m),P(m+1)と誤差データD(m),D(m+1)に基づいて、読みとった位置データP(x)に対する検出誤差D(x)を補間演算処理を行って求める(ステップb4)。読みとった位置データP(x)に対して検出誤差D(x)を補正して、1周期内の検出位置データとして出力する(ステップb5)。さらに、この補正された検出位置データと周期を計数するカウンタのデータ値により、ポジションデータとして出力する。
【0051】
【発明の効果】
周期的に発生する元信号の1周期内の位置をサンプリングして得られる各検出位置に含まれる検出誤差を求め、サンプリングによる検出位置に対して検出誤差を補正して1周期内の検出位置データとするから、この補正された検出位置データは、オフセット電圧、振幅差、位相差を補正し、かつ、波形歪みを取り除いたものとなり、正確な1周期内の位置を得ることができる。さらに、稼働中の温度変動による波形変化や経年的な波形変化による誤差変動についても自動的に取り除くことができる。しかもディジタル回路で構成したから、アナログ回路で構成する場合と比較して、格段に実装面積を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のエンコーダにおける位置、角度検出方法のブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態のブロック図である。
【図3】同実施形態における開始条件判定回路の詳細ブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の説明図である。
【図5】基準データの説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の説明図である。
【図7】本発明の第3の実施形態の説明図である。
【図8】本発明の第4の実施形態の説明図である。
【図9】基準データに基づいて検出位置データを補正する補正方法の説明図である。
【図10】基準データの取得をプロセッサで行ったときの一実施形態の処理のフローチャートである
【図11】プロセッサにより検出誤差を補正して1周期内の位置データを得る実施形態における処理フローチャートである。
【符号の説明】
4 検出誤差データ算出回路
5 検出誤差補正回路
P(0),P(n),P(m) 検出位置データ
P’(m),PX’ 理想的位置
D(m),DX 検出誤差
Claims (9)
- 被測定体の移動に応じて、該被測定体に連結されたエンコーダから周期的に発生する90度位相の異なる2相の正弦波状のアナログ信号を所定時間毎にサンプリングして、
前記エンコーダの位置データを検出し取得する位置データ取得手段を備えたエンコーダの信号処理装置であって、
前記被測定体を一定速度で移動しているときに前記位置データ取得手段から得られる1周期内を少なくとも2以上の領域に分割する3点以上の検出位置データP(k)を取得し、任意の設定位置PAを通過する前後に検出された連続する2つの位置データP(0),P(1)から該任意の設定位置PAを通過した時刻tAを求め、前記任意の位置から1周期分移動した任意の設定位置PBを通過する前後に検出された2つの位置データP(n),P(n+1)から該任意の設定位置PBを通過した時刻tBを求めることにより、設定位置PAと設定位置PBを結ぶ時間の関数としての直線を求め、この直線と検出位置データP(k)により時間に基づいて前記アナログ信号の1周期内での複数の位置あるいは位置指標に対応した誤差データを算出する誤差データ算出手段と、
1周期内での複数の位置あるいは位置指標と該複数の位置あるいは位置指標に対応した誤差データを基準データとして記憶する記憶手段と、
前記位置データ取得手段で取得した検出位置データに対し前記記憶手段に記憶した基準データに基づいて誤差データを求め、検出された検出位置データに求めた誤差データを補正する補正手段とを備えることを特徴とするエンコーダの信号処理装置。 - 前記誤差データ算出手段は、被測定体の移動速度を求める移動速度検出手段を有し、該移動速度検出手段で所定速度が検出されているときに、前記基準データを求めるようにした請求項1記載のエンコーダの信号処理装置。
- 前記誤差データ算出手段は、前記検出した検出位置データ群P(1)〜P(n)のうちm番目に検出された位置データP(m)(1≦m≦n)の誤差データD(m)を、該位置データが検出された時刻をtmとしたとき、下式により求める請求項1に記載のエンコーダの信号処理装置。
D(m)=P(m)−[PA+(PB−PA)×(tm−tA)/(tB−tA)] - 前記誤差データ算出手段は、検出位置データにおいて前記1周期内の任意の位置から1周期経過した該1周期内の任意の位置までの1周期期間中、位置がリニアに変化するものとして理想的位置データを複数求め、検出位置データより前記理想的位置に対応する位置データを求め、該位置データと前記理想的位置データとの差を誤差データとし、前記位置データに対して誤差データを組として基準データとして求める請求項1記載のエンコーダの信号処理装置。
- 前記誤差データ算出手段は、被測定体の移動速度を求める移動速度検出手段を有し、該移動速度検出手段で所定速度が検出されているときに、前記基準データを求めるようにした請求項4記載のエンコーダの信号処理装置。
- 前記誤差データ算出手段は、任意の位置PXを通過する時刻tXを、P(m)≦PX≦P(m+1)、またはP(m)≧PX≧P(m+1)となるような検出位置データP(m)およびP(m+1)から求め、前記位置PXにおける誤差DXを下式により誤差データとして求め、かつ前記任意の位置PXを異なった複数の位置として、それに対応する誤差データを求め、この複数の各位置PXと対応する誤差データを基準データとしたことを特徴とする請求項4に記載のエンコーダの信号処理装置。
DX=PX−[PA+(PB−PA)×(tX−tA)/(tB−tA)] - 前記誤差データ算出手段は、前記速度検出手段で検出される1回前のサンプリング時の位置データP(−1)と今回のサンプリング時の位置データP(0)との差と、かつ2回前のサンプリング時の位置データP(−2)と1回前のサンプリング時の位置データP(−1)の差との差により加速度を求める手段を有し、検出速度が規定範囲に入りかつ検出加速度がある規定値内に入った時に基準データを求めるようにしたことを特徴とする請求項2又は請求項5記載のエンコーダの信号処理装置。
- 前記誤差データ算出手段は、1回前のサンプリング時の位置データP(-1)と今回のサンプリング時の位置データP(0)との差V(0)がある規定範囲に入り、なおかつ2回前のサンプリング時の位置データP(−2)と1回前のサンプリング時の位置データP(−1)の差V(−1)と前記差V(0)の差がある規定値内に入り、なおかつP(n−2)とP(n−1)の差V(n−1)とP(n−1)とP(n)の差が規定値内に入った時に基準データの取得を開始することを特徴とする請求項2又は請求項5記載のエンコーダの信号処理装置。
- エンコーダが取り付けられた装置を制御する制御装置が、速度が規定値内に入りかつ加速度が規定値内に入っていることを判断し、前記制御装置が前記基準データの取得開始指令を出力し、これにより前記誤差データ算出手段は、基準データの取得を開始する請求項1又は請求項5記載のエンコーダの信号処理装置。
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