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JP3772202B2 - 冷間圧延用複合ワークロール及びその製造方法 - Google Patents
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冷間圧延用複合ワークロール及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄鋼の冷間圧延に用いられる冷間圧延用複合ワークロール及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄鋼の冷間圧延用ワークロールとしては、特開昭54−159323号公報に開示されているような5〜7%Crを含む鍛鋼が適用されてきた。これら従来の5〜7%Cr鍛鋼はオーステナイト化温度900〜1000℃から焼入がなされ、Ms点が200〜300℃程度と高く、焼入完了時点で残留オーステナイトが十分に少なく、Hs90以上の高硬度が達成される。さらに、高硬度を安定して確保するため、残留オーステナイトをさらに分解すべく、焼入に引続き、サブゼロ処理の実施が不可欠の工程となっている。また、焼戻しは硬度を損なわないように200℃以下の低温にて行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
冷間圧延において圧延中にロールのスリップや板破断が発生した場合、ロール表面が局所的に急激に過熱される現象が生ずる。従来ロールは200℃以下の低温にて焼戻が施されており、ロール表面温度が200℃を超えると局所的な組織変化により硬度斑の発生、場合によっては表面亀裂が発生し問題となっている。さらに、低温焼戻を適用しているため、ロール表面の圧縮残留応力が高く、亀裂が発生した場合、その進展速度が大きくスポーリングに至る可能性があった。その対策として高温焼戻が有効であることは良く知られたことである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上述したような問題を解決するべく、発明者らは鋭意開発を進めた結果、本発明は、冷間圧延用ワークロールを製造するにあたり、その成分、熱処理特性を特定することにより、高温焼戻の実施を可能とし、さらに、従来は不可欠の工程であった、鍛造、サブゼロ処理を省略することにより、耐事故性に優れ、かつ安価なロールを供給することを目的とするものである。
【0005】
その発明の要旨とするところは、
(1)鋳鋼または鍛鋼からなる芯材の周囲に連続鋳掛肉盛法にて外層を形成してなる冷間圧延用複合ワークロールであって、上記外層を重量比で、C:0.8〜1.5%、Si:0.3〜1.5%、Mn:0.3〜1.5%、Cr:4.0〜10.0%、Mo:1.0〜8.0%、V:0.5〜5.0%、残部がFe及び不可避的不純物からなり、かつオーステナイト化温度1000〜1100℃におけるMs点が100℃以上220℃以下となるような成分で構成されることを特徴とする冷間圧延用複合ワークロール。
【0006】
)重量比で、C:0.8〜1.5%、Si:0.3〜1.5%、Mn:0.3〜1.5%、Cr:4.0〜10.0%、Mo:1.0〜8.0%、V:0.5〜5.0%、残部がFe及び不可避的不純物からなり、かつオーステナイト化温度1000〜1100℃におけるMs点が100℃以上220℃以下となる鋼を、鋳鋼または鍛鋼にて構成される芯材の周囲に連続鋳掛肉盛法にて外層として形成し、軟化焼鈍、予備調質を経て、オーステナイト化温度1000〜1100℃にて漸進誘導加熱・水焼入により、焼入を行い、サブゼロ処理を行うことなく400〜600℃の温度範囲で2回以上焼戻を行うことを特徴とする冷間圧延用複合ワークロールの製造方法にある
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る外層の成分を限定した理由を以下に述べる。
Cは硬さを得るための重要な元素である。C量が0.8%未満であるとマトリックスに固溶するCが不足し、十分なマトリックス硬さが得られなくなると同時に、高合金化が難しくなる。しかし、1.5%を超えると炭化物が粗大化し強度が低下するので上限を1.5%とした。
Siは脱酸剤として必要な元素である。その硬化を発揮するには0.3%以上必要であるが1.5%を超えると脆化するため好ましくない。
【0008】
MnもSi同様、脱酸剤として必要な元素である。その効果を発揮するには0.3%以上必要であるが1.5%を超えると脆化するため好ましくない。
CrはCと結合しやすくM7 3 系炭化物を構成し、耐摩耗性を確保する上で必要な元素であるが少ないと十分な耐摩耗性が確保できず、一方多すぎると炭化物が粗大化しネット状に発達する傾向があり靱性が低下する。その最適な範囲は4%以上10%以下である。
【0009】
Moは硬質の炭化物が得られ、また高温で焼戻を行う場合、その二次硬化に強く寄与する元素である。1%未満の場合、炭化物としての析出が不十分である。しかし、8%を超えるとネット状の粗大な炭化物となるため、その適切な範囲を1%以上8%以下とした。 Vは硬度の極めて高いMC系炭化物を形成するため最も強く耐摩耗性に寄与する元素である。しかし、0.5%未満であるとその効果は小さく、5%を超えると研削性が阻害されるため、その範囲を0.5%以上5%以下とした。
0010
本発明においては、以下に説明するようにオーステナイト化温度1000〜1100℃におけるMs点が100℃以上220℃以下であることが重要であり、そのためには上記成分範囲に中でさらにMs点が上記温度範囲に入るよう各々の成分の添加量組合せ及び調整が必要である。
なお、本発明のロールの焼入方法としては漸進誘導加熱・水焼入の採用が望ましく、焼入におけるロール表面の冷却速度としては200℃/分以上、さらに望ましくは500℃/分以上の冷却速度を確保することが望ましい。
0011
本発明の焼入条件および成分系ではMs点が低いため、残留オーステナイトが多量に残留し、焼入時の硬さはHs70〜80程度にすぎない。従来ならば、ここで焼戻実施前にサブゼロ処理が実施され、焼入硬さがHs90となるよう調整が行われる。しかし本発明においては、このようなサブゼロ処理の実施は不要である。なお、Ms点が100℃を下回ると残留オーステナイトがあまりに多量に残留し安定化するため、高温焼戻で二次硬化を得ることが困難となり、Hs90以上の高硬度を確保するためには、サブゼロ処理の実施が不可欠となり、本発明の目的の1つに反する。一方、Ms点が220℃を超えると、焼入時でHs90以上の高硬度が得られるものの、500℃以上の高温焼戻を行った場合、残留オーステナイトが少なすぎるため、二次硬化が得られず、硬さはむしろ低下することになる。
0012
次に、本発明に係る冷間圧延用複合ワークロールの製造法について説明する。
本発明に係る成分範囲は従来ロールに比べ、焼入性改善のため、高C、高合金の成分設計となっており、鋳造法としては連続鋳掛肉盛法が望ましい。従来のESR(エレクトロ スラグ リメルティング)法により鋳造した一体型ロールの場合、鍛造が必要であり、また、高C、高合金の成分設計とした場合軸の靱性確保の点で問題がある。従って、靱性のある素材を芯材として用いることのできる複合ロールとすることが望ましい。複合ロールの製造法としては、他に特公平7−68588号公報に開示されているESR法にて芯材の外周に外層材を溶着させる方法が提案されている。本発明においてはMs点を限られた温度範囲に入るよう調整するため、外層材の成分管理は厳しく行う必要がある。ESR法の場合、溶着時の芯材の溶け込み量の制御が難しく、成分誤差が大きいという難点がある。本発明においては、芯材の溶け込み量の制御の容易な連続鋳掛肉盛法の適用が望ましい。
0013
図1は本発明に係る連続鋳掛肉盛法を説明する概略図である。この図1に示すように、連続鋳掛肉盛法とは、垂直に立てられた芯材1の周囲に水冷モールド7を設け、その間隙に外層2からなる溶湯9を加熱コイル6により加熱しつつ導入し、芯材1を断続的に下方に引抜きながら順次凝固、芯材1への溶着を進め、複合ロールを鋳造するものである。この方法によれば、引抜き速度の調整により芯材溶け込み量の制御が容易にできるものである。鋳造後、直ちに軟化焼鈍を行い、所定の形状、寸法に粗削後、予備調質を経て漸進誘導加熱・水焼入により焼入が施される。なお、4は予熱コイル、5は耐火枠、7は水冷モールド、8はノズルである。
0014
本発明では最適なMs点の設定と焼戻し温度の組合せにより高硬度で、かつ耐事故性に優れた冷間圧延用複合ワークロールを提供するものである。本発明ではオーステナイト化温度1000〜1100℃の高温域から焼入が行われる。オーステナイト化温度が1100℃を超えると晶出炭化物が固溶してしまうため好ましくない。また、1000℃を下回るとMs点が高くなり、残留オーステナイトが不足するため、本発明の目的である高温焼戻の適用が困難となる。焼入後の焼戻は400℃以上の高温で行わなければならない。焼戻温度が400℃より低いと二次硬化作用が得られない。逆に、焼戻温度が600℃より高いとかえって硬さが低下することになる。望ましくは500〜550℃の温度範囲で2回以上行うとよい。
0015
【実施例】
(実施例1)
表1に示す各成分にてサンプル材を溶製し、850℃×10時間の軟化焼鈍を行い、1000℃×10時間の拡散処理、次いで700℃×10時間の焼戻を行った後、サイズ径3×10mmの試験片を作製した。各成分につき5〜6本の試験片を作製し、それぞれ全自動変態膨張測定装置を用いて温度1050℃に10分間保定の後、−200℃/分の冷却速度にて室温まで冷却した。その後、400〜600℃の温度範囲で温度条件を変えながら2〜3回焼戻処理を行い、ビッカース硬さを測定した。表1に全自動変態膨張測定装置にて測定された各成分のオーステナイト化温度1050℃におけるMs点および焼戻処理において得られた最高硬さをショア硬さに換算した値を示す。
0016
【表1】
Figure 0003772202
0017
表1から明らかなように、本発明にかかる成分範囲に属し、かつ、オーステナイト化温度範囲1000〜1100℃での高温焼戻によりMs点が100〜220℃の温度範囲にある本発明例No1〜No5の全てにおいてはサブゼロ処理を行うことなく、400〜600℃での高温焼戻の実施によりHs90以上の高硬度がいずれも確保されている。これに対して、比較例No6においては、C,Si,Mn,Cr,Mo,Vの成分は、本発明の成分範囲には属するものの、オーステナイト化温度1000〜1100℃におけるMs点が100℃未満であるため、残留オーステナイトが多く生成し、その結果500〜600℃の高温焼戻を行っても二次硬化が得られなかった。
0018
比較例No7においては、成分は本発明の成分範囲に属するものの、オーステナイト化温度1000〜1100℃におけるMs点が220℃を超えているため、400〜600℃での高温焼戻において、硬度低下によりHs90以上の硬度を得ることができなかった。比較例No8No9においては、オーステナイト化温度1000〜1100℃におけるMs点が220℃を超えているため、比較例No7と同じく、Hs90以上の硬度が得られなかった。なお、比較例No8の場合、C量が0.8%を下回っているため、合金量を調整してもMs点を本発明の温度範囲に調整することはできない。
0019
また、比較例No9の場合、C量が1.5%を超えており、合金量を本発明の成分範囲の上限に調整してもMs点を本発明の温度範囲を満足させることはできない。本発明の成分範囲を超えて合金を添加するとMs点を下げることは可能であるが、炭化物の粗大化するためロール材料としては適さない。
なお、C,Si,Mn,Cr,Mo,Vの各々の成分量が本発明工程の範囲内の溶湯であっても、Ms点が220℃より高くなった場合には、例えばC0.8〜1.5%の範囲内でC量を上げる、あるいは合金量を減らすことにより成分調整すると良い。また、逆にMs点が100℃より低い場合には、その逆の調整をすると良い。
0020
(実施例2)
表2に示す成分を有する外層材を径450mm、長さ3500mmの芯材SCM440に厚さ70mmで1700mm長さ連続鋳掛肉盛法により鋳造し、ロール用素材を作製した。なお、この成分のオーステナイト化温度1050℃におけるMs点は予じめ別途作製した試験片を用いて全自動変態膨張測定装置にて測定したところ120℃であった。鋳造後直ちに軟化焼鈍を行い、粗削後、調質処理として1000℃にオーステナイト化後、焼入し700℃にて焼戻を行った。焼入前加工実施後、表面温度1100℃にて漸進誘導加熱・水焼入により焼入を行った。室温まで冷却後、530℃にて2回焼戻を行った。その結果、硬さHs93を有するロールを製造することができた。このロールを最終仕上げ加工の後、冷間圧延タンデムミルにて使用に供したところ、板破断に遭遇しても硬度斑や表面亀裂が発生することなく、優れた耐事故性を有することが確認された。
0021
【表2】
Figure 0003772202
0022
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば耐事故性に優れ、かつ安価な冷間圧延用複合ワークロールを得ることができる極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る連続鋳掛肉盛法を説明する概略図である。
【符号の説明】
1 芯材
2 外層
4 予熱コイル
5 耐火枠
6 加熱コイル
7 水冷モールド
8 ノズル
9 溶湯

Claims (2)

  1. 鋳鋼または鍛鋼からなる芯材の周囲に連続鋳掛肉盛法にて外層を形成してなる冷間圧延用複合ワークロールであって、上記外層を重量比で、
    C:0.8〜1.5%、
    Si:0.3〜1.5%、
    Mn:0.3〜1.5%、
    Cr:4.0〜10.0%、
    Mo:1.0〜8.0%、
    V:0.5〜5.0%、
    残部がFe及び不可避的不純物からなり、かつオーステナイト化温度1000〜1100℃におけるMs点が100℃以上220℃以下となるような成分で構成されることを特徴とする冷間圧延用複合ワークロール。
  2. 重量比で、
    C:0.8〜1.5%、
    Si:0.3〜1.5%、
    Mn:0.3〜1.5%、
    Cr:4.0〜10.0%、
    Mo:1.0〜8.0%、
    V:0.5〜5.0%、
    残部がFe及び不可避的不純物からなり、かつオーステナイト化温度1000〜1100℃におけるMs点が100℃以上220℃以下となる鋼を、鋳鋼または鍛鋼にて構成される芯材の周囲に連続鋳掛肉盛法にて外層として形成し、軟化焼鈍、予備調質を経て、オーステナイト化温度1000〜1100℃にて漸進誘導加熱・水焼入により、焼入を行い、サブゼロ処理を行うことなく400〜600℃の温度範囲で2回以上焼戻を行うことを特徴とする冷間圧延用複合ワークロールの製造方法。
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