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JP3773977B2 - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents
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JP3773977B2 - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車に用いられる自動変速機の変速制御装置に係り、詳しくは作動油温の高低等に起因するシフトレスポンスの悪化やシフトショックを防止する技術に関する。
【0002】
【関連する技術】
自動車用の自動変速機では、一般にプラネタリギヤによる変速機構が用いられており、油圧式の湿式多板クラッチや油圧式のバンドブレーキ等の油圧摩擦係合要素によりサンギヤやプラネタリキャリヤ等の係合あるいは解放を行って所望の変速段を得るようにしている。
【0003】
通常、自動変速機の油圧摩擦係合要素はエンジンのクランクシャフトと共に回転する油圧ポンプが発生するライン圧を駆動源としており、電子制御式のものでは、その駆動制御を油圧制御手段である電磁式油圧制御弁(以下、電磁弁と記す)により行っている。すなわち、TCU(トランスミッションコントロールユニット)が電磁弁をデューティ制御することにより、供給するライン圧を所定の割合で増減させ、油圧クラッチや油圧ブレーキを係合あるいは解放する。そして、変速は、作動する油圧クラッチや油圧ブレーキの切り換え、つまり、一方の油圧摩擦係合要素を解放しながら他方の油圧摩擦係合要素を係合させることにより行う。例えば、2速段から3速段にシフトアップさせる場合には、2速段を確立させる油圧クラッチ(以下、解放側クラッチと記す)の係合を解除すると共に、3速段を確立させる油圧クラッチ(以下、結合側クラッチと記す)を係合させる。この油圧クラッチの掴み換え操作により、エンジントルクの伝達経路が切り換えられ、シフトアップが完了する。
【0004】
ところで、油圧式多板クラッチでは、交互に重ねられたドライブプレートとドリブンプレートとをクラッチピストン(油圧ピストン)により圧着させて係合を行う。また、係合を解除する場合には、クラッチピストンを係合時とは逆方向に移動させ、両プレートを離隔させる。この際、各プレートが作動油(ATF)に侵漬されていることもあり、引きずりの無い完全な解除を行うには、各プレート間の間隙を大きくする必要がある。そのため、結合側クラッチのクラッチピストンの移動速度が低過ぎると、係合に時間が掛かってシフトレスポンスが悪化する問題があった。また、逆にクラッチピストンの移動速度が高過ぎると、油圧クラッチが急激に係合して大きなシフトショックが発生する問題があった。
【0005】
そこで、油圧クラッチが係合する直前までを無効ストロークとし、電磁弁を全開することにより供給油量を多くしてクラッチピストンを比較的高速で移動させる、いわゆる、がた詰めを行った後、フィードバックにより徐々に係合を深めてゆく制御が従来より行われている。このような制御を行う際には、適正な供給油量を得るため、ライン圧に応じてがた詰め時間を決定する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前述した油圧ポンプはエンジンのクランクシャフトと共に回転しており、エンジン回転速度が低いアイドル運転時等には、一般に発生するライン圧が規定値より低くなる。また、自動変速機の個体差により、図16に示したように、油圧特性自体にもばらつきが生じる。尚、同図中に実線で示したものが油圧特性の中央値であり、破線および一点鎖線で示したものが個体差による偏向値である。このため、特にスロットルを完全に戻した状態からの変速、例えば、NレンジからのDレンジあるいはRレンジへのシフト、コーストダウンシフトやパワーオフアップシフト等では、エンジン回転速度によっては、ライン圧が異なりシフトレスポンスが悪化する虞があった。
【0007】
一方、周知のように、ATFは、冷間始動直後等で温度が低い場合には粘度が高くなり、高速走行直後等で温度が高い場合には粘度が低くなる。したがって、暖機が進むにつれて変速機内の各摺動部のクリアランスが増大することも相俟って、ATFの温度により変速機内でのその洩れ量が増減し、図17に示したように、ライン圧が変化することになる。尚、同図中に実線で示したものが暖機後のライン圧の中央値であり、破線および一点鎖線で示したものが油温の高低による偏向値である。そのため、がた詰め時間を一定にした場合、ATFの温度によるライン圧の変化に対応できず、高温時にはがた詰めが十分に行われず、クラッチの結合開始が遅れることによりシフトレスポンスが悪化したり、低温時にはがた詰めにより係合が進行してしまい、フィードバックが殆ど行えずにシフトショックが発生する虞があった。
【0008】
本発明は、上記状況に鑑みてなされたもので、自動変速機の個体差による油圧特性のばらつきや作動油温の高低等に起因するシフトレスポンスの悪化やシフトショックを防止した自動変速機の変速制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、この目的を達成するために、本発明の請求項1では、内燃機関と駆動輪との間に介装される自動変速機の変速制御装置において、上記自動変速機の摩擦要素に対する油圧の給排を制御する油圧制御手段と、上記自動変速機の油温を検出する油温検出手段と、上記内燃機関又は上記油圧を発生する油圧ポンプの回転速度を検出する回転速度検出手段と、上記油圧制御手段に関する制御パラメータを、上記油温及び上記回転速度により複数に分割記憶された学習領域毎に学習補正する学習補正手段とを備えることを特徴とするものを提案する。
【0010】
また、本発明の請求項2では、請求項1の変速制御装置において、上記制御パラメータは、上記摩擦要素のピストン無効ストロークを解消するための時間であることを特徴とするものを提案する。
また、本発明の請求項3では、請求項2の変速制御装置において、上記学習補正手段は、上記ピストン無効ストロークの解消時点から実変速開始時点までの時間に基づいて、上記ピストン無効ストロークを学習補正することを特徴とするものを提案する。
【0011】
また、本発明の請求項4では、請求項3の変速制御装置において、上記変速制御装置は、上記自動変速機の入力回転速度を検出する自動変速機入力回転速度検出手段を備え、上記自動変速機の入力回転速度の変化量が所定値以上となったとき上記実変速開始時点に達したと判断することを特徴とするものを提案する。
また、本発明の請求項5では、請求項1の変速制御装置において、上記学習補正手段は、少なくとも上記回転速度が低回転領域にあるとき、上記学習補正を行うことを特徴とするものを提案する。
【0012】
また、本発明の請求項6では、請求項1の変速制御装置において、上記学習補正手段は、上記自動変速機の変速段を中立位置から走行位置へ切り換えるシフトの場合に、上記学習補正を行うことを特徴とするものを提案する。
また、本発明の請求項7では、請求項1の変速制御装置において、上記学習補正手段は、車両が停止する前でのダウンシフトの場合に、上記学習補正を行うことを特徴とするものを提案する。
【0013】
また、本発明の請求項8では、請求項1の変速制御装置において、上記摩擦要素は係合用摩擦要素であり、上記油圧制御手段は、上記係合用摩擦要素へ全圧を供給することにより、上記係合用摩擦要素のピストン無効ストロークを解消する無効ストローク解消手段と、上記ピストン無効ストロークの解消後、所定油圧を上記係合用摩擦要素へ供給する所定油圧供給手段とを含み、また、上記制御パラメータは上記所定油圧であることを特徴とするものを提案する。
【0014】
また、本発明の請求項9では、請求項8の変速制御装置において、上記学習補正手段は、上記ピストン無効ストロークの解消時点から実変速開始時点までの時間に基づいて、上記学習補正を行うことを特徴とするものを提案する。
また、本発明の請求項10では、請求項1の変速制御装置において、上記制御パラメータは、上記自動変速機の変速段を中立位置から走行位置へ切り換えるシフトに関連する制御パラメータであることことを特徴とするものを提案する。
【0015】
また、本発明の請求項11では、請求項1の変速制御装置において、上記制御パラメータは、車両が停止する直前でのダウンシフトに関連する制御パラメータであることを特徴とするものを提案する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の一実施例を詳細に説明する。
図1には、本発明に係る変速制御装置を適用した乗用車のパワートレーンの概略構成を示してある。同図において、1は自動車用のガソリンエンジン(以下、単にエンジンと記す)であり、その後端には前進4段型の自動変速機2が接続され、この自動変速機2を介して出力が図示しない駆動輪に伝達される。自動変速機2は、トルクコンバータ3,変速機本体4,油圧コントローラ5から構成されている。変速機本体4は複数組のプラネタリギヤの他、油圧クラッチや油圧ブレーキ等の油圧摩擦係合要素を内蔵している。また、油圧コントローラ5には、一体に形成された油圧回路の他、油圧制御用の複数の電磁弁が収納されている。エンジン1と自動変速機2とは、それぞれ図示しない入出力装置,多数の制御プログラムを内蔵した記憶装置(ROM,RAM,BURAM等),中央処理装置(CPU),タイマカウンタ等を具えた、ECU(エンジンコントロールユニット)6とTCU(トランスミッションコントロールユニット)7とにより駆動制御される。
【0017】
ECU6の入力側には、エンジン回転速度Ne や各気筒のクランク角度を検出するためのクランク角センサ8,冷却水温TW を検出する水温センサ9,吸気流量QA を検出するエアフローセンサ10,スロットル開度θTHを検出するスロットルセンサ11,スロットル弁の全閉状態を検出するアイドルスイッチ12等の他、図示しない各種のセンサやスイッチ類が接続している。一方、TCU7の入力側には、トルクコンバータ3のタービンシャフトの回転数(入力軸回転数)NT を検出するNT センサ13,車速Vに代えてトランスファドライブギヤ回転数NO を検出するNO センサ14,ATFの温度を検出する油温センサ15,イグニッションパルスからエンジン回転速度Ne を検出するNe センサ16の他、インヒビタスイッチ等、種々のセンサやスイッチ類が接続されている。また、ECU6とTCU7とは信号ケーブル17により接続されており、シリアル通信により互いに情報を交換する。ECU6は、各種の入力情報に基づいて、燃料噴射量や点火時期等、エンジン1の総合的な制御を行う。また、TCU7も、入力情報に基づき、油圧コントローラ5を介して変速機本体4内の油圧摩擦係合要素を駆動し、自動変速機2の変速制御を行う。
【0018】
図2には、変速機本体4に内蔵された、Dレンジ確立用の結合側の油圧クラッチ20を断面により示してある。この油圧クラッチ20は、内筒21と外筒22とを有する底付二重円筒状のクラッチドラム23内に、円盤状のクラッチピストン24の他、交互に重ねられた環状のドライブプレート25とドリブンプレート26とを、それぞれ軸方向に摺動自在に収納して構成されている。クラッチドラム23の内筒にはポート27が穿設されており、このポート27からクラッチドラム23内に高圧の作動油が供給されると、クラッチピストン24が図中で右側に往動する。その結果、クラッチピストン24に押圧されてドライブプレート25とドリブンプレート26とが圧着し、動力の伝達が行われる。クラッチドラム23の内筒21とクラッチピストン24の内側面との間には複数のクラッチスプリング28が介装されており、作動油の油圧が低下すると、このクラッチスプリング28に付勢されてクラッチピストン24が図中で左側に復動する。
【0019】
図3には、上記油圧クラッチ20の駆動油圧回路を示してある。油圧ポンプ30は、エンジン1のクランクシャフトと一体に回転し、油路31を介してオイルパン32内の作動油を吸引して油圧を発生する。油圧ポンプ30は油路33を介して油圧制御弁である電磁弁34の第1ポート35に接続しており、その吐出圧が油路33内の図示しない調圧弁等により調圧されたライン圧となり第1ポート35に供給される。また、電磁弁34の第2ポート36は油路37を介して油圧クラッチ20に接続しており、電磁弁34内の弁体38がリフトすることにより油圧クラッチ20にライン圧が供給される。
【0020】
電磁弁34の弁体38はリターンスプリング39により弁座40側に常時付勢されているが、TCU7からの駆動電流により付勢されたソレノイド41に吸引されてリフトする。尚、電磁弁34は、TCU7により所定の周波数(例えば、50Hz)でデューティ制御される。電磁弁34には、第2ポート36に常時連通し、かつ油路42を介してオイルパン32に接続する、ドレーンポート43が設けられている。また、油路37,42にはそれぞれオリフィス44,45が設けられているが、油路37側のオリフィス44の流路面積は油路42側のオリフィス45の流路面積より大きく設定されている。更に、油路37における油圧クラッチ20とオリフィス44との間にはアキュムレータ46が設けられている。
【0021】
以下、NレンジからDレンジへのシフト操作が行われた場合を例に、結合側油圧摩擦係合要素のがた詰めおよびその後の変速制御について説明する。
さて、TCU7は、後述する制御プログラムに基づき、変速指令出力から変速完了まで、電磁弁34を以下に述べるデューティ率で駆動する。この間のタービン回転数NT と電磁弁34の駆動デューティ率Dとは、図4のグラフに示した関係となり、電磁弁34の駆動制御は次の4つの工程から構成される。尚、図4のグラフにおいて、横軸は時間である。
【0022】
先ず、第1工程(時点aから時点bの間)では、Dレンジへの変速指令が出力された時点で、クラッチピストン24のがた詰め制御が直ちに開始される。すなわち、がた詰め開始時点(時点a)からがた詰め終了時点(時点b)の間の期間Tfに亘り、駆動デューティ率Dを100%として電磁弁34を全開させる。尚、このがた詰め期間中は、未だ変速が開始されないので、タービン回転数NT は一定で変化しない。
【0023】
次に、第2工程(時点bから時点cの間)では、駆動デューティ率Dを先ず係合初期デューティ率DA に設定し、その値から所定の割合で増加させる。この間に油圧クラッチ20の係合によりトルクの伝達が開始されると、タービン回転数NT は低下し始め、所定の回転数まで低下した時点cで変速が開始されたと見做す。
【0024】
次に、第3工程(時点cから時点dの間)は、タービン回転数NT の変化率が目標タービン回転変化率に一致するように、駆動デューティ率Dをフィードバック制御する工程である。そして、タービン回転数NT と変速終了回転数N0 との偏差が変速終了判定閾値ΔNF 以下となると(時点d)、この工程が終了し、次の第4工程が開始される。
【0025】
そして、第4工程(時点dから時点eの間)では、駆動デューティ率Dを一定に保って待機時間TD の経過を待ち、その経過時点(時点e)でタービン回転数NT が変速終了回転数N0 に完全に一致したと見做し、この時点で駆動デューティ率Dを再び100%とし、N−Dシフトを終了する。
以下、上述した各制御工程の手順と、がた詰め時間の学習補正とについて、図5〜図12のフローチャートを参照して、詳細に説明する。
【0026】
運転者がNレンジからDレンジへのシフト操作を行うと、TCU7内ではシフト指令信号が出力され(図4の時点a)、図5〜図11のN−Dシフト制御サブルーチンが実行される。そして、N−Dシフト制御が開始されると、油圧クラッチ20の係合が終了するまで、TCU7はこのサブルーチンを繰り返し実行することになる。
【0027】
サブルーチンを開始すると、TCU7は、先ず、図5のステップS1で上述した各種センサやECU6からの入力情報をRAMに読み込む。しかる後、ステップS3でプログラム制御変数ICが0であるか否か(すなわち、第1工程における初回の処理であるか否か)を判定する。このプログラム制御変数ICは初期値が0に設定されているため、制御開始直後においては、TCU7は、ステップS5に進んでN−Dシフト中フラグFNDを1にセットする。このフラグにより、TCU7は、N−Dシフト中であることを認識すると共に、ECU6にもその情報が伝達される。
【0028】
次に、TCU7は、ステップS7で、油温センサ15とNe センサ16とからの入力情報に基づき、現在の作動油温TATF とエンジン回転速度Ne とに対応する油温−回転数領域を決定する。本実施例の場合、油温−回転数領域において、作動油温TATF は5領域に分割され、エンジン回転速度Ne は4領域に分割されている。すなわち、作動油温TATF 側は、TATF ≦TA1(本実施例では、30℃),TA1<TATF ≦TA2(本実施例では、70℃),TA2<TATF ≦TA3(本実施例では、80℃),TA3<TATF ≦TA4(本実施例では、100℃),TA4<TAATFに分割され、エンジン回転速度Ne 側は、Ne ≦N1 (本実施例では、650rpm ),N1 <Ne ≦N2 (本実施例では、750rpm ),N2 <Ne ≦N3 (本実施例では、850rpm ),N3 <Ne に分割されている。
【0029】
油温−回転数領域を決定すると、TCU7は、ステップS9で、図13の基本時間マップと図14の補正時間マップと図15の初期デューティ率マップとから、この油温−回転数領域にそれぞれ対応する基本がた詰め時間Tfijと学習補正時間Tflijと初期デューティ率DAij とを検索する。基本時間マップと初期デューティ率マップとは共にROMに格納されており、両マップにおいて、基本がた詰め時間Tfijと初期デューティ率DAij とは、実験結果等に基づき、作動油温TATF が高く、エンジン回転速度Ne が低い領域で長く(大きく)設定され、作動油温TATF が低く、エンジン回転速度Ne が高い領域で短く(小さく)設定されている。尚、基本時間マップおよび初期デューティ率マップ中の各領域で、括弧内に記したものは、本実施例における具体的な設定値である。一方、補正時間マップはBURAMに格納されており、第1の制御パラメータである学習補正時間Tflijの値は、新車時やバッテリー脱着後には全て0にセットされている。
【0030】
次に、TCU7は、ステップS11で、基本がた詰め時間Tfijと学習補正時間Tflijと初期デューティ率DAij とから、がた詰め時間Tf と係合初期デューティ率DA とを下式により求める。
Tf =Tfij+Tflij
DA =DAij
次に、TCU7は、図6のステップS13で第1工程用タイマT1 のカウントを開始し、ステップS15でプログラム制御変数ICに1を加算して1とする。しかる後、TCU7は、ステップS17で駆動デューティ率Dを100%とした後、ステップS19で電磁弁34を駆動してがた詰めを開始すると共に、ステップS21で現時点でのエンジン回転速度Ne とタービン回転速度NT との初期偏差ΔNETを算出してRAMに記憶して、スタートに戻る。
【0031】
スタートに戻ったTCU7は、ステップS3の判定が今度はNoとなるため、図7のステップS23で、次にプログラム制御変数ICが1であるか否か(すなわち、第1工程中の処理か否か)を判定する。そして、この判定はYesとなるため、TCU7は、ステップS25で、第1工程用タイマT1 のカウントががた詰め時間Tf 以上になったか否か、すなわち、第1工程が終了したか否かを判定する。そして、この判定がNoである間は、ステップS27で100%の駆動デューティ率Dをもってがた詰めを続行し、Yesとなった時点で、ステップS29で第1工程用タイマT1 をリセットすると共に、ステップS31でプログラム制御変数ICに1を加算して2として、スタートに戻る。
【0032】
スタートに戻ったTCU7は、ステップS23の判定が今度はNoとなるため、図8のステップS33で、次にプログラム制御変数ICが2であるか否か(すなわち、第2工程における初回の処理か否か)を判定する。そして、この判定はYesとなるため、TCU7は、ステップS35で第2工程用タイマT2 のカウントを開始し、ステップS37でプログラム制御変数ICに1を加算して3とする。しかる後、TCU7は、ステップS39で駆動デューティ率Dを係合初期デューティ率DA とし、ステップS41で電磁弁34を駆動してスタートに戻る。
【0033】
スタートに戻ったTCU7は、ステップS33の判定が今度はNoとなるため、図9のステップS43で、次にプログラム制御変数ICが3であるか否か(すなわち、第2工程中の処理か否か)を判定する。そして、この判定はYesとなるため、TCU7は、ステップS45で、駆動デューティ率Dに所定の増量分ΔDを加算した後、ステップS47で、エンジン回転速度Ne とタービン回転速度NT との偏差が初期偏差ΔNETと所定の係合開始判定閾値ΔNB (本実施例では、50rpm )との和に等しいか或いはこれよりも大きくなったか否か、すなわち実変速が開始されたか否かを判定する。そして、この判定がNoである間は、ステップS45で駆動デューティ率Dを増加させながら、ステップS49で電磁弁34を駆動して油圧クラッチ20のピストンストロークを促進してゆく。
【0034】
油圧クラッチ20が係合し始め、実変速が開始されてステップS47の判定がYesとなったら、TCU7は、ステップS51でその時点の第2工程用タイマT2 の値を記憶する。尚、ここで記憶した値は、第2の制御パラメータとして、後述するがた詰め時間学習補正サブルーチンに用いられる。次に、TCU7は、ステップS53で第2工程用タイマT2 の値を0にリセットすると共に、ステップS55でプログラム制御変数ICに1を加算して4として、スタートに戻る。
【0035】
スタートに戻ったTCU7は、ステップS43の判定が今度はNoとなるため、図10のステップS59で、次にプログラム制御変数ICが4であるか否か(すなわち、第3工程中の処理か否か)を判定する。そして、この判定はYesとなるため、TCU7は、ステップS61で、タービン回転速度NT の変化率ΔNT が所定の目標タービン回転変化率ΔNTOに一致するように、駆動デューティ率Dをフィードバック制御により増減する。次に、TCU7は、ステップS63でタービン回転速度NT と変速終了回転数N0 との偏差が変速終了判定閾値ΔNF (本実施例では、150rpm )以下となったか否かを判定し、この判定がNoであれば、ステップS65でフィードバック制御で得られた最後の駆動デューティ率Dをもって電磁弁34を駆動し続ける。そして、タービン回転速度NT と変速終了回転数N0 との偏差が変速終了判定閾値ΔNF 以下となり、ステップS63の判定がYesとなると、TCU7は、ステップS67で第4工程用タイマT4 のカウントのカウントを開始し、ステップS69でプログラム制御変数ICに1を加算して5として、スタートに戻る。
【0036】
スタートに戻ったTCU7は、ステップS59の判定が今度はNoとなるため、図11のステップS71で、第4工程用タイマT4 の値が所定の待機時間TD (本実施例では、0.2sec )以上となったか否かを判定し、この判定がNoであれば、ステップS73で駆動デューティ率Dを維持して電磁弁34を駆動し続ける。
【0037】
待機時間TD が経過してステップS71の判定がYesになると、TCU7は、ステップS75,S77,S79で、第4工程用タイマT4 ,プログラム制御変数IC,N−Dシフト中フラグFNDをそれぞれ0にリセットする。次に、TCU7は、ステップS81で、がた詰め時間の学習補正条件が満たされているか否か、すなわち、車速Vが0km/h(停車中)であること、スロットル開度θTHが5%以下であること、エンジン回転速度Ne が1200rpm 以下であること、作動油温TATF が−7℃〜120℃の範囲にあること、アイドルスイッチ12がON状態にあることを確認する。しかる後、TCU7は、ステップS83で駆動デューティ率Dを100%とし、ステップS85で電磁弁34を駆動してN−Dシフト制御サブルーチンを終了する。
【0038】
さて、N−Dシフト制御サブルーチンを終了した時点で、TCU7は、がた詰め時間学習補正サブルーチンを実行する。
このサブルーチンを開始すると、TCU7は、先ず、図12のステップS90で上述した学習補正条件が成立しているか否かを判定し、この判定がNoであれば今回の学習補正を中止する。また、ステップS90の判定がYesであれば、TCU7は、ステップS92でN−Dシフト制御サブルーチンで記憶した第2工程用タイマT2 の値が所定の上限側判定閾値T2A(本実施例では、320ms)以上であるか否かを判定し、この判定がYesであれば、TCU7は、ステップS94で、今回の油温−回転数領域における学習補正時間Tflij(前述したように、初期値は0)に所定の補正ゲインΔTfl(本実施例では、16ms)を加える。一方、ステップS92の判定がNoであれば、TCU7は、ステップS96で第2工程用タイマT2 の値が所定の下限側判定閾値T2B(本実施例では、288ms)以下であるか否かを判定し、この判定がYesであれば、TCU7は、ステップS98で、学習補正時間Tflijから補正ゲインΔTflを減ずる。そして、ステップS96の判定もNoであれば、がた詰め時間は安定していると判定し、学習補正時間Tflijの更新は行わずにサブルーチンを終了する。
【0039】
これにより、第2工程に要する時間(以下、第2工程時間)T2 が長過ぎた(あるいは、短過ぎた)場合には、学習補正時間Tflijが延長(あるいは、短縮)され、繰り返し学習補正が行われることにより、各油温−回転数領域において第2工程時間T2 は上限側判定閾値T2A〜下限側判定閾値T2Bの範囲に収斂することになる。その結果、運転状況の相違や変速機本体4等の個体差等に拘わらず、N−Dシフトに要する時間が適正化され、シフトレスポンスの悪化やシフトショックが完全に防止されることになる。特に、パワーオフ状態となる低回転領域においては、がた詰めが十分になされることになり、シフトフィーリングが大きく向上する。
【0040】
尚、本実施例では第2工程時間T2 の値を基にがた詰め時間Tf の学習を行っているが、これはがた詰め時間Tf の大きさが第2工程時間T2 に直接反映されるからである。すなわち、油圧クラッチ20の実質的な無効ストローク時間は、変速指令(がた詰め開始)から実変速開始までの時間(図4中の時点a〜時点cの間)といえるから、がた詰め時間Tf が短ければ第2工程時間T2 が長くなり、逆に、がた詰め時間Tf が長ければ第2工程時間T2 が短くなる。更に、実変速開始から実変速終了までの時間(図4中の時点c〜時点dの間)に基づいてがた詰め時間Tf を学習補正することもできるが、この場合にはフィードバック制御により変速時間がばらつくため、オープンループ制御領域である第2工程時間T2 に応じた学習の方がより正確な補正を行える。
【0041】
以上で具体的実施例の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施例に限るものではない。例えば、上記実施例はN−Dシフトにおけるがた詰め時間の学習補正に本発明を適用したものであるが、N−Rシフトを始め、コーストダウンシフトやパワーオフアップシフト等に適用してもよい。また、第2工程に要する時間等に基づき、係合初期デューティ率の学習を行うようにしてもよい。更に、各種の判定閾値や設定値の他、制御の具体的な手順についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0042】
また、上記実施例ではデューティ駆動される電磁弁を使用したが、電流値で制御されるいわゆるリニアソレノイド弁を用いてもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の請求項1の変速制御装置によれば、内燃機関と駆動輪との間に介装される自動変速機の変速制御装置において、上記自動変速機の摩擦要素に対する油圧の給排を制御する油圧制御手段と、上記自動変速機の油温を検出する油温検出手段と、上記内燃機関又は上記油圧を発生する油圧ポンプの回転速度を検出する回転速度検出手段と、上記油圧制御手段に関する制御パラメータを、上記油温及び上記回転速度により複数に分割記憶された学習領域毎に学習補正する学習補正手段とを備えるので、油圧制御手段の駆動制御に関する制御パラメータの値の学習補正を学習領域毎に行える。従って、自動変速機の個体差、作動油温度の高低、内燃機関または油圧ポンプの回転速度の高低に拘わらず、制御パラメータの値を適正化でき、これにより、シフトレスポンスの悪化やシフトショックの発生を防止できる。
【0044】
また、請求項2の変速制御装置によれば、請求項1の変速制御装置において、上記制御パラメータは、上記摩擦要素のピストン無効ストロークを解消するための時間であるので、作動油温度の高低やエンジンまたは油圧ポンプの回転速度の高低に拘わらず、ピストン無効ストロークの解消に要する時間(がた詰め時間)を適正化できる。
【0045】
また、請求項3の変速制御装置によれば、請求項2の変速制御装置において、上記学習補正手段は、上記ピストン無効ストロークの解消時点から実変速開始時点までの時間に基づいて、上記ピストン無効ストロークを学習補正するので、無効ストローク解消時点から実変速開始時点までの時間が略一定になるように制御パラメータ値の学習補正が行われるため、特に自動変速機に個体差がある場合にも、係合用摩擦要素の係合開始が遅れ過ぎたり早過ぎたりすることを防止でき、円滑なシフトを実現できる。
【0046】
また、請求項4の変速制御装置によれば、請求項3の変速制御装置において、上記変速制御装置は、上記自動変速機の入力回転速度を検出する自動変速機入力回転速度検出手段を備え、上記自動変速機の入力回転速度の変化量が所定値以上となったとき上記実変速開始時点に達したと判断するので、実変速開始時点を的確に判別でき、制御パラメータ値の学習補正をより好適に行え、これによりシフトの円滑化が図られる。
【0047】
また、請求項5の変速制御装置によれば、請求項1の変速制御装置において、上記学習補正手段は、少なくとも上記回転速度が低回転領域にあるとき、上記学習補正を行うので、油圧ポンプ特性の変化が顕著であるエンジンまたは油圧ポンプの低回転領域においても制御パラメータ値を適正化できる。また、自動変速機の個体差による油圧ポンプ特性は低回転領域で顕著に変化するので、請求項5の変速制御装置によれば、自動変速機の個体差に起因するシフトショックの発生およびシフトレスポンスの悪化を確実に防止できる。更に、パワーオフ状態におけるシフトを円滑に行え、シフトショックを防止できる。
【0048】
また、請求項6の変速制御装置によれば、請求項1の変速制御装置において、上記学習補正手段は、上記自動変速機の変速段を中立位置から走行位置へ切り換えるシフトの場合に、上記学習補正を行うので、車両停止状態で行われるN−DシフトやN−Rシフトを円滑に行え、シフトショックを防止できる。
また、請求項7の変速制御装置によれば、請求項1の変速制御装置において、上記学習補正手段は、車両が停止する前でのダウンシフトの場合に、上記学習補正を行うので、車両停止直前でのダウンシフトを円滑に行え、シフトショックを防止できる。
【0049】
また、請求項8の変速制御装置によれば、請求項1の変速制御装置において、上記摩擦要素は係合用摩擦要素であり、上記油圧制御手段は、上記係合用摩擦要素へ全圧を供給することにより、上記係合用摩擦要素のピストン無効ストロークを解消する無効ストローク解消手段と、上記ピストン無効ストロークの解消後、所定油圧を上記係合用摩擦要素へ供給する所定油圧供給手段とを含み、また、上記制御パラメータは上記所定油圧であるので、自動変速機の個体差、作動油温度の高低、および、エンジンまたは油圧ポンプの回転速度の高低に拘わらず、係合用摩擦要素の係合開始時点での供給油圧を適正化できる。このため、自動変速機の個体差、作動油温度の高低、および、エンジンまたは油圧ポンプの回転速度の高低に起因するシフトショックの発生およびシフトレスポンスの悪化を防止できる。
【0050】
また、請求項9の変速制御装置によれば、請求項8の変速制御装置において、上記学習補正手段は、上記ピストン無効ストロークの解消時点から実変速開始時点までの時間に基づいて、上記学習補正を行うので、無効ストローク解消時点から実変速開始時点までの時間が略一定になるように制御パラメータ値の学習補正が行われるため、特に自動変速機に個体差がある場合にも、係合用摩擦要素の係合開始が遅れ過ぎたり早過ぎたりすることを防止でき、円滑なシフトを実現できる。
【0051】
また、請求項10の変速制御装置によれば、請求項1の変速制御装置において、上記制御パラメータは、上記自動変速機の変速段を中立位置から走行位置へ切り換えるシフトに関連する制御パラメータであるので、N−DシフトやN−Rシフトを円滑に行える。
また、請求項11の変速制御装置によれば、請求項1の変速制御装置において、上記制御パラメータは、車両が停止する直前でのダウンシフトに関連する制御パラメータであるので、車両停止直前でのダウンシフトを円滑に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る変速制御装置が適用されるパワートレーンの概略構成図である。
【図2】油圧クラッチを示した縦断面図である。
【図3】図2の油圧クラッチを操作する油圧回路を示したダイヤグラムである。
【図4】図2の油圧クラッチが係合する際における、タービン回転数と電磁弁の駆動デューティ率の変化を示したグラフである。
【図5】N−Dシフト制御サブルーチンの手順を示したフローチャートである。
【図6】N−Dシフト制御サブルーチンの手順を示したフローチャートである。
【図7】N−Dシフト制御サブルーチンの手順を示したフローチャートである。
【図8】N−Dシフト制御サブルーチンの手順を示したフローチャートである。
【図9】N−Dシフト制御サブルーチンの手順を示したフローチャートである。
【図10】N−Dシフト制御サブルーチンの手順を示したフローチャートである。
【図11】N−Dシフト制御サブルーチンの手順を示したフローチャートである。
【図12】がた詰め時間学習補正サブルーチンの手順を示したフローチャートである。
【図13】N−Dシフト制御に用いられる基本時間マップである。
【図14】N−Dシフト制御に用いられる補正時間マップである。
【図15】N−Dシフト制御に用いられる初期デューティ率マップである。
【図16】自動変速機の個体差による油圧特性のばらつきを示したグラフである。
【図17】作動油温によるライン圧の変化を示したグラフである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 変速機
5 油圧コントローラ
6 ECU
7 TCU
11 スロットルセンサ
13 NT センサ
14 NO センサ
15 油温センサ
16 Ne センサ
20 油圧クラッチ
24 クラッチピストン
30 油圧ポンプ
34 電磁弁

Claims (11)

  1. 内燃機関と駆動輪との間に介装される自動変速機の変速制御装置において、
    上記自動変速機の摩擦要素に対する油圧の給排を制御する油圧制御手段と、
    上記自動変速機の油温を検出する油温検出手段と、
    上記内燃機関又は上記油圧を発生する油圧ポンプの回転速度を検出する回転速度検出手段と、
    上記油圧制御手段に関する制御パラメータを、上記油温及び上記回転速度により複数に分割記憶された学習領域毎に学習補正する学習補正手段と
    を備えることを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  2. 上記制御パラメータは、上記摩擦要素のピストン無効ストロークを解消するための時間であることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
  3. 上記学習補正手段は、上記ピストン無効ストロークの解消時点から実変速開始時点までの時間に基づいて、上記ピストン無効ストロークを学習補正することを特徴とする請求項2に記載の自動変速機の変速制御装置。
  4. 上記変速制御装置は、上記自動変速機の入力回転速度を検出する自動変速機入力回転速度検出手段を備え、上記自動変速機の入力回転速度の変化量が所定値以上となったとき上記実変速開始時点に達したと判断することを特徴とする請求項3に記載の自動変速機の変速制御装置。
  5. 上記学習補正手段は、少なくとも上記回転速度が低回転領域にあるとき、上記学習補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
  6. 上記学習補正手段は、上記自動変速機の変速段を中立位置から走行位置へ切り換えるシフトの場合に、上記学習補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
  7. 上記学習補正手段は、車両が停止する前でのダウンシフトの場合に、上記学習補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
  8. 上記摩擦要素は係合用摩擦要素であり、上記油圧制御手段は、上記係合用摩擦要素へ全圧を供給することにより、上記係合用摩擦要素のピストン無効ストロークを解消する無効ストローク解消手段と、上記ピストン無効ストロークの解消後、所定油圧を上記係合用摩擦要素へ供給する所定油圧供給手段とを含み、また、上記制御パラメータは上記所定油圧であることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
  9. 上記学習補正手段は、上記ピストン無効ストロークの解消時点から実変速開始時点までの時間に基づいて、上記学習補正を行うことを特徴とする請求項8に記載の自動変速機の変速制御装置。
  10. 上記制御パラメータは、上記自動変速機の変速段を中立位置から走行位置へ切り換えるシフトに関連する制御パラメータであることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
  11. 上記制御パラメータは、車両が停止する直前でのダウンシフトに関連する制御パラメータであることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
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