JP3775449B2 - 画像処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディジタル複写機、スキャナ、プリンタ、ファクシミリ、CRT等画像機器や、それらによって構成される画像システム、およびカラーマネージメントシステム等画像関連ソフトウェアなどにおいて、第1の表色系の色に対応するm次元の色信号を、ルックアップテーブル法を用いて第2の表色系の色に対応するn次元の色信号に変換する画像処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
印刷や、カラー複写機などにおいて色変換を行なう画像処理方法としては、例えばマスキング法といわれる、線形マトリックスおよび高次の非線形マトリックス演算法が知られている。また、さらに色変換精度を向上させる方法として、多次元のダイレクトルックアップテーブルを用いた色変換の手法が用いられている。
【0003】
ダイレクトルックアップテーブルによる色変換は、入力色空間を格子によって分割し、その格子点に対応する出力色空間のデータが用意される。出力信号は、入力信号の近傍の格子点のデータを取得し、これらのデータを用いて補間演算を行なって決定される。
【0004】
格子点に格納するデータは、出力装置のプリントサンプルの測色値から近似による対応関係より求める。例えば、L* a* b* 色空間の信号とYMCK色空間の信号の場合には、YMCK色空間の信号から作成した任意数のパターン(パッチ)を印字し、その印字パターンを測色したL* a* b* 色空間のデータと、そのパターンを印字した際のYMCK色空間の信号とから対応関係を求める。
【0005】
出力装置は、その特性等によって再現できる色が限られている。そのため、入力データによっては出力装置で再現できない場合が生じる。そのような場合、出力装置の色再現範囲外の入力信号については、例えば特開平6−225131号公報「カラーモニタ表示の色再現のための方法及び装置」および特開平6−225132号公報「色域該カラーテーブルを用いたカラー印刷方式及び装置」に示されるような、色空間の圧縮処理が行なわれる。例えば、色再現範囲の広い入力デバイスであるディスプレイに出力するためのRGB信号を装置に依存しないL* a* b* 信号に変換し、そのL* a* b* 信号を調整(圧縮)し、色再現範囲の狭い出力デバイスであるプリンタに出力するためのCMYK信号に変換する処理を行なっている。また、その際の彩度、明度についての調整はL* a* b* 信号に対して行なってL*'a*'b*'信号に変換し、これをYMCK信号に変換して出力する。この場合の調整は、任意の空間で可能であるが、一般にL* a* b* 信号に対して行なわれる。
【0006】
また、L* a* b* 信号からYMCKデータを生成するためには、下色除去処理(UCR)によってブラックK信号を作成する。その作成法としては、フルブラック法、スケルトンブラック法などがある。例えば、特開平2−23776号公報「色修正装置及び色修正データ算出装置」では、ダイレクトルックアップテーブルの格子点データの作成の際に、これらの異なるブラックK信号の作成法を利用している。
【0007】
色相調整および彩度調整については、特開平4−299664号公報「画像記録装置」では、ダイレクトルックアップテーブルの前処理として1次元ルックアップテーブルおよび演算によってL* a* b* 信号をL*'a*'b*'信号に変換し、調整を行なっている。
【0008】
このようなダイレクトルックアップテーブルを用いた色調整方法は、入力信号であるL* a* b* 色空間においての調整処理であり、基本的に、入力信号と出力信号の対応、すなわち予測の精度に大きく依存している。そのため、L* a* b* 空間で色調整を行なっても、出力される画像に対して適切な調整ができない場合がある。例えば、色再現範囲近傍の点については、予測の精度が悪いため、その影響は顕著である。また、出力信号がY,M,C,Kの4色の場合、ブラックK信号の決定処理が加わるため、予測の精度が悪く、色再現に適切なデータを得ることが困難であるとともに、L* a* b* 色空間での調整も当然、Y,M,Cの3色の場合に比べて困難である。さらに、上述の従来の技術は、入力データと出力が像との色一致を目的にしているため、再現画質を大きく特徴づけるものではなかった。
【0009】
以上のように、L* a* b* 信号に対して調整を行なう方式では、色の調整を細部にわたり行なうことができなかった。また、各画像の各種の特性に応じた画質を得ることができないか、できたとしても膨大なメモリを要し、実現は難しかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、色変換の際に用いるダイレクトルックアップテーブルに設定される格子点データに対して、容易にしかも短時間で修正を施すことができ、出力された画像の画質を向上させ、あるいは所望の画質に調整することのできる画像処理装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、入力された画像データに対して均等色空間である第1の表色系への変換を行ない、変換後の前記第1の表色系の色に対応するm次元の色信号を、補間機能付きのルックアップテーブルを用いて第2の表色系の色に対応するn次元の色信号に変換する色信号処理を行なう画像処理装置において、前記ルックアップテーブルは前記第1の表色系の色が取り得る色空間を格子によって分割して格子点に対応する前記第2の表色系の色を参照値として設定したものであり、前記ルックアップテーブルに設定される参照値は、実測データをもとに構築した予測方法によって決定され、グレー軸に対応する少なくとも1点の第2の表色系の色を示す参照値をグレーバランスがとれるように局所的に変更することを特徴とするものである。
【0012】
請求項2に記載の発明は、入力された画像データに対して均等色空間である第1の表色系への変換を行ない、変換後の前記第1の表色系の色に対応するm次元の色信号を、補間機能付きのルックアップテーブルを用いて第2の表色系の色に対応するn次元の色信号に変換する色信号処理を行なう画像処理装置において、前記ルックアップテーブルは前記第1の表色系の色が取り得る色空間を格子によって分割して格子点に対応する前記第2の表色系の色を参照値として設定したものであり、前記ルックアップテーブルに設定される参照値は、実測データをもとに構築した予測方法によって決定され、明度の高い領域の少なくとも1点の参照値を、出力媒体上に色材が印字されない値に変更することを特徴とするものである。
【0013】
請求項3に記載の発明は、入力された画像データに対して均等色空間である第1の表色系への変換を行ない、変換後の前記第1の表色系の色に対応するm次元の色信号を、補間機能付きのルックアップテーブルを用いて第2の表色系の色に対応するn次元の色信号に変換する色信号処理を行なう画像処理装置において、前記ルックアップテーブルは前記第1の表色系の色が取り得る色空間を格子によって分割して格子点に対応する前記第2の表色系の色を参照値として設定したものであり、前記ルックアップテーブルに設定される参照値は、実測データをもとに構築した予測方法によって決定され、グレー軸に対応する点およびその近傍点の少なくとも1点の参照値を、濃度が高くなるように調整したことを特徴とするものである。
【0014】
請求項4に記載の発明は、入力された画像データに対して均等色空間である第1の表色系への変換を行ない、変換後の第1の表色系の色に対応するm次元の色信号を、補間機能付きのルックアップテーブルを用いて第2の表色系の色に対応するn次元の色信号に変換する色信号処理を行なう画像処理装置において、前記ルックアップテーブルは前記第1の表色系の色が取り得る色空間を格子によって分割して格子点に対応する前記第2の表色系の色を参照値として設定したものであり、前記ルックアップテーブルに設定される参照値は、実測データをもとに構築した予測方法によって決定され、色再現範囲以外の色について前記予測方法によって決定された参照値を局所的に任意関数で変換することを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の画像処理装置の実施の一形態を適用したカラー複写機の一例を示すブロック図である。図中、1は画像入力部、2は入力階調補正部、3は第1の色信号変換部、4は文字/写真・色黒分離部、5は原稿モードデコーダ、6は第2の色信号変換部、7,10はセレクタ、8,9はFIFO、11は主走査縮小拡大部、12は空間フィルタ処理部、13は出力階調補正部、14は出力スクリーン切り替え部、15は画像出力部である。
【0016】
画像入力部1は、原稿上の画像を所定の画素密度でR,G,B各8ビットの色信号に分解し、画素順次に入力階調補正部2に送出する。入力階調補正部2で画像入力部1に依存した階調変換を行ない、第1の色信号変換部3に送出する。第1の色信号変換部3では、RGB色信号をL* ,a* ,b* 各8ビットの色信号に変換し、文字/写真・色黒分離部4および第2の色信号変換部6に送出する。文字/写真・色黒分離部4は、L* a* b* 色信号に基づいて、入力画素が文字であるか否か、文字であれば無彩色か有彩色であるかを判別する。判別結果は原稿モードデコーダ5に渡される。原稿モードデコーダ5は、文字/写真・色黒分離部4による識別結果と、ユーザが設定した原稿モード指定TAG情報とから、原稿モード信号を出力する。
【0017】
第2の色信号変換部6では、L* a* b* 信号を2種類のYMCK信号S1,S2に変換し、セレクタ7に送出する。例えば、YMCK信号S1は高い色変換精度が必要な写真用の出力値であり、YMCK信号S2は低い色変換精度しか要しない文字モードや地図モード、3色モード等における出力値である。セレクタ7は、原稿モード信号に従ってYMCK信号S1,S2のいずれかを選択してFIFO8に出力する。一方、FIFO9には第1の色信号変換部3から出力されるL* 信号を黒文字用として入力されている。FIFO8、FIFO9の出力、および‘0’信号のいずれかを原稿モード信号に従ってセレクタ10で選択し、主走査縮小拡大部5に送付する。
【0018】
主走査縮小拡大部11では、設定されている拡大率あるいは縮小率に従って、主走査方向の拡大あるいは縮小を行なう。なお、副走査方向の拡大縮小は、画像入力装置1の副走査方向の走査速度を変化させて行なうことができる。その後、空間フィルタ処理部12で例えば鮮鋭化処理やノイズ除去などの処理を行ない、出力補正部13で画像出力部15に応じた階調変換を行ない、出力スクリーン切り替え部14で原稿モード信号に従った出力スクリーンを選択してこれを用い、出力画像を構成して画像出力部15で画像を形成する。
【0019】
図2は、第2の色信号変換部6の一例を示す構成図である。図中、21は3次元ルックアップテーブル色変換LSIである。第2の色信号変換部6は、例えば図2(A)に示すように、補間機能付きの3次元ルックアップテーブル色変換LSI21を使用することができる。圧縮に関して複数調整する手段を設けるには、前記計算時間の問題や計算手法が複雑であるために、あらかじめ複数のパラメータを用意してダイレクトルックアップテーブルを選択させるようにするなどといったことが考えられるが、一般的にダイレクトルックアップテーブルの格納パラメータの容量は大きく、複数用意するには膨大なメモリがいるといった不具合があった。本発明は、前記不具合に鑑みて、複写機のようにデバイスが決まっている場合、デバイスに依存するYMCKでマッピング(調整も含む)することで、より簡単に圧縮の調整手段を提供することを可能にしている。なお、ダイレクトルックアップテーブル色変換LSI21のそれぞれの入力信号線の役割は、図7(B)に示す通りである。
【0020】
ダイレクトルックアップテーブル色変換LSI21は、ダイレクトルックアップテーブル色変換LSI21内部の記憶部への格子点データ(色変換パラメータ)の設定と、色変換時の動作設定と、色変換の3つの部分からなる。ダイレクトルックアップテーブル色変換LSI21内部の記憶部への格子点データ(色変換パラメータ)の設定は、リセット信号によりレジスタ設定を無効にして、ライトイネーブル信号によってダイレクトルックアップテーブル色変換LSI内部の記憶部への格子点データの書き込みを許し、次にクロック信号のタイミングに従って順次、アドレスに3次元ルックアップテーブル色変換LSI21内部の記憶部への格子点データアドレスを設定し、設定したアドレスに相当する格子点データを格子点データ信号として与えることによって、所望の色変換パラメータが設定できる。この設定は、C,M,Y,Kのそれぞれに分解した出力色の版ごとに印刷する画像記録装置の場合、インターイメージ(色と色の変わり目)で、この設定を次の出力色に設定し直せばよい。色変換時の動作設定は、レジスタ信号および原稿モードデコーダ5から出力される原稿モード信号であるTAG’信号によって行なう。色変換時には、L* ,a* ,b* の各信号を入力することによって、先に設定した格子点データを用い、補間処理を行なって色変換結果を出力信号として出力する。
【0021】
第2の色信号変換部6におけるダイレクトルックアップテーブルの色変換パラメータの決定、および色変換パラメータの調整に関して説明する。ダイレクトルックアップテーブルの色変換パラメータは、図2に示した3次元ルックアップテーブル色変換LSI21内部の記憶部に格納するK/Y/M/Cの格子点データを与えることによって設定される。ここでは、まず格子点に当たる各L* ,a* ,b* の色データが画像出力装置15の出力結果として忠実に再現されることをねらいとして、以下のような出力結果予測手法を用いて設定する。
【0022】
出力結果予測手法とは、ある出力装置の任意のK、C、M、Yの値の組み合わせに対して、出力された色(L* a* b* 色空間の値で表わす)が対応づけられるようにすることである。また、それとは逆に、出力装置より出力された色に対して、K、C、M、Yの値を対応づけられるようにもしておくものである。このような出力結果予測手法を用いることにより、格子点にあたるL* a* b* の色に対応するK、C、M、Yの値を求めることができ、その値を格子点データとして格納すれば、ダイレクトルックアップテーブルの色変換パラメータが設定できる。ただし、一般には、入力のL* a* b* 色空間のレンジが、出力装置で再現可能な色の範囲より大きいことから、出力結果予測手法を適用する際には、上述の色再現空間マッピング技術と組み合わせて設定する必要がある。色再現空間マッピング技術は、従来から幾種類かの方法が知られているが、ここでは特に規定しない。
【0023】
図3は、出力結果予測手法の一例の説明図である。ダイレクトルックアップテーブルの色変換パラメータを決定するには、まず、画像出力部15の階調を補正するため、図3(A)に示すように、出力階調補正部13の係数を決定する。係数決定には、Y,M,C,K各単色のパッチを画像出力部15で記録し、パッチ画像を測色して測色データ(L* a* b* )を得て、出力データ(カバレッジ信号YMCK)と対応させる。これによって画像出力部15の装置特性による悪影響(グレーバランスの悪さ、階調の非線形性など)を打ち消すように階調補正用の1次元ルックアップテーブルを決定することができる。これを出力階調補正部13に設定すればよい。
【0024】
次に図3(B)に示すように、出力可能な色の組み合わせ(C,M,Y)からなるベースデータを複数種類用意し、作成した1次元ルックアップテーブルを通して実際に画像出力装置15より出力してサンプルを作成する。作成されたサンプルを測色し、測色された例えば(L* ,a* ,b* )のデータと、対応する(C,M,Y)のデータをもとに、3×10などの高次のマトリックス近似式で(L* ,a* ,b* )から(C,M,Y)への対応関係を近似すればよい。その場合、Kの算出や下色除去(UCR)などに関しては、近似された(C,M,Y)から計算すればよく、4色分の版を作成することができる。
【0025】
また、ニューラルネットワークを応用した近似式などを用いて、(C,M,Y,K)と(L* ,a* ,b* )の関係を近似式し、(L* ,a* ,b* )から(C,M,Y,K)を計算できるような予測手法を用いてもよい。種々の予測手法が知られているが、それらは要求される予測精度などを考慮して、適当な手法を用いればよい。予測した(L* ,a* ,b* )から(C,M,Y)への関係から、ダイレクトルックアップテーブルの色変換パラメータを決定することができる。
【0026】
このようにして決定された色変換パラメータが設定されたダイレクトルックアップテーブルを用いて色変換を行なった場合、最良の画質を得るために、一部の色についてはさらに調整を必要とする場合がある。例えば、一例として、出力階調補正部13の係数の作成時とダイレクトルックアップテーブルの係数決定時との間の経時変動や、急峻な階調特性などのため、グレーバランスが悪い場合がある。その場合、グレー軸(C* =0)に対応するグリッドをグレーバランスを考慮して変更する。
【0027】
図4は、グレー軸補正処理の一例を示すフローチャートである。まずS31において、Y,M,C=0でK信号が最小値から最大値までの各値を有するデータを用意する。次にS32において、用意したデータを、上述した予測方法でL* a* b* 信号に逆予測する。そして、S33において、その予測値の中からグレー軸のアドレスに最も近いものをそれぞれピックアップする。S34において、ピックアップされたものを、上述の予測法を用いてYMCKに変換する。S35において、変換されたデータを初期のグリッドと入れ換える。このようにして、グレーバランスを調整することができる。
【0028】
別の方法としては、例えば、グレー軸上のグリッドをK信号を用いて等量に変更する。変更値は、YMC信号の平均値で変更値=(Y+M+C)/3である。例えば、グレー軸のグリッドがY,M,C,K=15,20,25,50の時、Y,M,C,K=20,20,20,50に変更すればよい。
【0029】
また、別の調整を必要とする場合として、予測を行なう際の出力サンプルのかぶりが影響してしまう場合があげられる。予測を行なう場合には、出力用紙を基準とするため、出力サンプルがかぶってしまう場合がある。そこで、最も明度の高い領域において、出力媒体上に色材が印字されないようにグリッドを変更する必要がある。出力階調補正部13でかぶりをとる方法も考えられるが、2次障害(2次色、3次色での色ズレ)を考えるとダイレクトルックアップテーブルで調整を行なった方がよい。
【0030】
この場合の最も簡単な調整方法としては、例えばグリッドの最も明るい参照値のうち、グレー軸(C* =0)の参照値を0にする。例えば、L* =5〜95のレンジでa* ,b* とも10刻みの場合、L* ,a* ,b* =95,0,0のグリッドを0にする。あるいは、グリッドの最も明るい参照値のうちグレー軸(C* =0)とともに、それに隣接するデータを0にしてもよい。例えば、L* =5〜95のレンジでa* ,b* とも10刻みの場合、L* =95,a* ≦10、b* ≦10のグリッドを0にすればよい。
【0031】
あるいは、印字しない原稿の色、例えばアート紙の白等を最も明るい色として決め、その色の場合に原稿に印字されないように、3次元ルックアップテーブルの補間法や印字開始ポイントを考慮し、グリッドデータを変更する。図5は、原稿色による影響を排除するためのダイレクトルックアップテーブルの調整方法の一例の説明図である。例えば、図5(A)に示すようにダイレクトルックアップテーブルの格子点アドレスが設定されており、印字させない原稿の地色の信号をP=L* ,a* ,b* =92,4,2とし、Y信号の初期の格子点データが図5(B)に示す値であるものとする。他の信号も同様に考えられるので、ここではY信号のみを考える。また、格子点データが7以上の時に印字が行なわれるものとする。この時、L* ,a* ,b* =92,4,2信号はダイレクトルックアップテーブルによりPy=11.65となるとすれば、この信号が7以下になれば印字されないので、影響のあるグリッドを同じ割合で減じる。このようにして、Y信号の格子点データは図5(C)に示すように変更し、印字させないようにすることができる。
【0032】
上述のように、文字や写真が同一ページ内に混在した原稿を複写する場合には、文字/写真・色黒分離部4において原稿の文字部分、写真部分をそれぞれ認識し、文字部(特に黒文字)に適した画像処理、および写真部に適した画像処理を別々に施している。このような技術は、例えば特開昭62−220072号公報、特開平1−200964号公報等に記載されている。認識手法としては、使用者が領域を指定するといったものから、読み取った画素の周辺のデータを解析し、該当画素のパターン(文字/写真)を決定するといった種々の方法が知られている。文字、絵をそれぞれ良好に再現するために、出力階調補正部13による階調補正や出力スクリーン切り替え部14によって選択されたスクリーン処理、さらには黒の入れ方等を変化させている。写真部なら階調の忠実再現、黒文字に対しては設計により写真/文字のどちらかの特性に近づける処理を施せばよい。
【0033】
しかし、文字/写真分離の認識手法、あるいは判定性能によるものの、見出しの文字などによく使われる黒の太文字や、黒の太線は、太文字の輪郭を文字領域と判定し、内部を写真領域と判定してしまう場合がある。図6は、文字/写真分離による画質劣化の説明図である。このように太文字の輪郭を文字領域と判定し、内部を写真領域と判定した場合、図6(A)に示すように、文字領域と写真領域の間に濃度差などのギャップが生じることがある。図6では、この濃度差をハッチングの違いによって示している。
【0034】
このような不具合を解決するため、本発明では、写真部分のグレー軸のみ文字の階調に近づけることで、写真部の有彩色部分の忠実再現はそのままにして、領域間のギャップ差を目立たせないようにする。
【0035】
一例としては、ダイレクトルックアップテーブルのグレー軸(C* =0)のグリッド(L* =5〜95)に格納されている、C,M,Y,Kの各値に対して、例えば、
f(x)=aX+b(a,bは係数)
で表わされるような変換式を適用する。a=1,b=0であれば、忠実再現ということである。黒文字部分の階調処理として、例えば、a=1.2,b=0とすれば、画質上、黒の埋まりをよくすることができる。あるいは、K値に対してのみ、このような変換を行なってもよい。理想的には写真部分のグレー軸と文字部分のグレー軸を同じにすればよいが、そうすると写真部分の階調性にコントラストが強すぎるなどの不具合が生じるため、写真部分のグレー軸の値は文字部分のグレー軸の係数〜写真部分のグレー軸の係数の間で適当な数値を選び、バランスをとるようにすればよい。
【0036】
また、ギャップは主に黒の中濃度から高濃度(濃い部分)で目立っていることから、グレー軸の明るい部分には調整を施さず、中濃度から高濃度のグリッドに対して調整を施すようにした方が、写真画質の低濃度が忠実に再現される。従って、
f(X)=aX+b (ただし、X<cの場合)
といった条件で調整し、黒文字の文字/写真分離ギャップを減じるようにしてもよい。図7は、明度重み付きグレー軸補正に用いる重みの具体例を示すグラフである。例えば、L* >75のときf(X)=X、55<L* <75のときf(X)=(0.01L+1.75)X、L* <55のときf(X)=1.2Xとすることができる。このとき、C,M,Y,Kの各値に対してこのような調整を行なったり、あるいはK軸の値に対してのみ調整を行なうことができる。このように調整することによって、ハイライト再現を良好にしつつ、画質上、黒の埋まりを良くすることができる。
【0037】
また、変換式は同様の効果が得られればよいことから、特に、前記の式に限るものではなく、Xの高次の関数式、あるいは折れ線など、任意の調整関数を設計してもよい。
【0038】
上述のように、画像出力部15で再現できない色(色再現域外の色)は、従来より色再現域圧縮、色再現域マッピングという技術で色再現域への写像が行なわれる。この色再現域への写像は、例えば、L* a* b* 色空間において、ある制約条件、例えば明度保持、彩度保持、色相保持、色差最小などのもとで行なわれる。これらは、出力装置の特性、例えば色再現範囲の空間的形状や、原稿の色の使われ方、画質設計指針、例えば彩度、明度、色差等の指標のうちなにを重視してマッピングするかによって、マッピング方法が異なる。所望の画質を得るためには、複数のマッピング方法を用いて複数のダイレクトルックアップテーブルを用意しておいて選択するようにしたり、格子点データを設定する際のマッピングパラメータを調整できるようにする必要がある。
【0039】
このような色再現範囲外の色について、例えば一様に任意の関数f(x)で変換する方法を用いることができる。具体的には、C,M,Y,Kの各値に対して、例えばf(Xn)=1.2Xnという関数を適用することによって、彩度をやや上げ、しっかりとした画質に調整することができる。また、f(Xn)=0.8Xnという関数を適用することによって、薄くあっさりとした画質に調整することができる。
【0040】
あるいは、明度により重みをつけることもできる。図8は、色圧縮処理において用いる関数における重み係数の具体例を示すグラフである。例えば、CMYKの各値に対して、L* >75のときf(Xn)=0.8Xn、55<L* <75のときf(Xn)=(−0.2L+2.3)Xn、L* <55のときf(Xn)=1.2Xnのように関数を適用することができる。この場合、ハイライトをあっさり目にして、中、低明度の彩度を上げしっかり出すように画質を調整することができる。
【0041】
色圧縮処理に用いる関数は、これらの例に限らず、画質上の狙いを意図した任意の関数形、例えばXの高次の関数式等を採用することができる。
【0042】
図9は、色圧縮処理時の処理過程の説明図である。上述のような色圧縮された格子点データを決定するためには、従来は図9(B)に示すように、まずL* a* b* 色空間のデータから、圧縮後のL*'a*'b*'色空間のデータを算出し、色圧縮後のL*'a*'b*'色空間のデータに対して上述のような予測法を用いてダイレクトルックアップテーブルの格子点データとして格納すべきC,M,Y,Kの値を計算する。この手順においてC,M,Y,Kの値を計算する予測計算に多くの時間を必要としている。また、このようにして設定した格子点データを用いて画像の出力を行なったところ、所望の結果が得られなかった場合、再度同じ計算を繰り返さなければならず、多大な時間を要していた。
【0043】
しかし、本発明の方法のように、格子点データに対して所定の関数を適用することによって、図9(A)に示すように、所望の結果が得られなかった場合でも多大な時間を要する予測計算を行なわずに、関数の変更あるいは個別の格子点データに対する対処によって調整を行なうことができ、簡単にしかも短時間で格子点データを調整し、所望の画質を得ることのできるダイレクトルックアップテーブルを得ることができる。
【0044】
また、色圧縮処理に関して複数の調整手段を設けるには、計算時間の問題や計算手法が複雑であるために、あらかじめ複数の格子点データを計算してそれぞれのダイレクトルックアップテーブルを用意しておき、画質に合わせてダイレクトルックアップテーブルを選択させるようにするなどといったことが考えられる。しかし、一般的にダイレクトルックアップテーブルの格子点データを格納するために必要となる容量は大きく、複数のダイレクトルックアップテーブルを用意するには膨大なメモリ容量が必要となるといった不具合があった。本発明では、上述のように、所定の関数などを用いて簡単にしかも短時間で色圧縮を実現できるので、それぞれの画質に合わせたダイレクトルックアップテーブルを用意しておく必要はなく、小規模のメモリによって構成可能となる。
【0045】
図10は、本発明の画像処理装置の実施の一形態を適用した別のシステムの一例を示すブロック図である。図中、41はフォトCD、42はスキャナ、43はホストコンピュータ、44,45はカラープリンタである。本発明は、図1に示したようなディジタルカラー複写機の色変換系に適用するほか、図10に示すようなネットワークを介在する画像処理システムの色変換部として適用することもできる。例えば、ホストコンピュータ43が色変換を行なう各種の機能、例えば図1における画像入力部1と画像出力部15を除いた部分を有しており、フォトCD41やスキャナ42からの入力画像をホストコンピュータ43で色変換を行ない、カラープリンタ44や45に出力する。ホストコンピュータ43では、カラープリンタ44および45にそれぞれ対応した色変換処理を行なうことによって、カラープリンタ44に出力してもカラープリンタ45に出力しても、それぞれのプリンタの特性に依存しないで高画質の出力画像を得ることができる。
【0046】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、YMCK色空間のデータとL* a* b* 色空間のデータの予測精度に依存する調整が困難な色について、画質調整の性能を向上させることができる。特に、色再現範囲近傍および色再現範囲外領域における予測精度が、C,M,Yの3色の再現よりも困難なK信号については、その効果は顕著である。したがって、ダイレクトルックアップテーブルとして設定される格子点データの局所的な変更のみによってディフェクトを減じることができ、任意の色およびその領域について、ユーザが所望する再現画質を達成することが可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の画像処理装置の実施の一形態を適用したカラー複写機の一例を示すブロック図である。
【図2】 第2の色信号変換部6の一例を示す構成図である。
【図3】 出力結果予測手法の一例の説明図である。
【図4】 グレー軸補正処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】 原稿色による影響を排除するためのダイレクトルックアップテーブルの調整方法の一例の説明図である。
【図6】 文字/写真分離による画質劣化の説明図である。
【図7】 明度重み付きグレー軸補正に用いる重みの具体例を示すグラフである。
【図8】 色圧縮処理において用いる関数における重み係数の具体例を示すグラフである。
【図9】 色圧縮処理時の処理過程の説明図である。
【図10】 本発明の画像処理装置の実施の一形態を適用した別のシステムの一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…画像入力部、2…入力階調補正部、3…第1の色信号変換部、4…文字/写真・色黒分離部、5…原稿モードデコーダ、6…第2の色信号変換部、7,10…セレクタ、8,9…FIFO、11…主走査縮小拡大部、12…空間フィルタ処理部、13…出力階調補正部、14…出力スクリーン切り替え部、15…画像出力部、21…3次元ルックアップテーブル色変換LSI、41…フォトCD、42…スキャナ、43…ホストコンピュータ、44,45…カラープリンタ。
Claims (4)
- 入力された画像データに対して均等色空間である第1の表色系への変換を行ない、変換後の前記第1の表色系の色に対応するm次元の色信号を、補間機能付きのルックアップテーブルを用いて第2の表色系の色に対応するn次元の色信号に変換する色信号処理を行なう画像処理装置において、前記ルックアップテーブルは前記第1の表色系の色が取り得る色空間を格子によって分割して格子点に対応する前記第2の表色系の色を参照値として設定したものであり、前記ルックアップテーブルに設定される参照値は、実測データをもとに構築した予測方法によって決定され、グレー軸に対応する少なくとも1点の第2の表色系の色を示す参照値をグレーバランスがとれるように局所的に変更することを特徴とする画像処理装置。
- 入力された画像データに対して均等色空間である第1の表色系への変換を行ない、変換後の前記第1の表色系の色に対応するm次元の色信号を、補間機能付きのルックアップテーブルを用いて第2の表色系の色に対応するn次元の色信号に変換する色信号処理を行なう画像処理装置において、前記ルックアップテーブルは前記第1の表色系の色が取り得る色空間を格子によって分割して格子点に対応する前記第2の表色系の色を参照値として設定したものであり、前記ルックアップテーブルに設定される参照値は、実測データをもとに構築した予測方法によって決定され、明度の高い領域の少なくとも1点の参照値を、出力媒体上に色材が印字されない値に変更することを特徴とする画像処理装置。
- 入力された画像データに対して均等色空間である第1の表色系への変換を行ない、変換後の前記第1の表色系の色に対応するm次元の色信号を、補間機能付きのルックアップテーブルを用いて第2の表色系の色に対応するn次元の色信号に変換する色信号処理を行なう画像処理装置において、前記ルックアップテーブルは前記第1の表色系の色が取り得る色空間を格子によって分割して格子点に対応する前記第2の表色系の色を参照値として設定したものであり、前記ルックアップテーブルに設定される参照値は、実測データをもとに構築した予測方法によって決定され、グレー軸に対応する点およびその近傍点の少なくとも1点の参照値を、濃度が高くなるように調整したことを特徴とする画像処理装置。
- 入力された画像データに対して均等色空間である第1の表色系への変換を行ない、変換後の前記第1の表色系の色に対応するm次元の色信号を、補間機能付きのルックアップテーブルを用いて第2の表色系の色に対応するn次元の色信号に変換する色信号処理を行なう画像処理装置において、前記ルックアップテーブルは前記第1の表色系の色が取り得る色空間を格子によって分割して格子点に対応する前記第2の表色系の色を参照値として設定したものであり、前記ルックアップテーブルに設定される参照値は、実測データをもとに構築した予測方法によって決定され、色再現範囲以外の色について前記予測方法によって決定された参照値を局所的に任意関数で変換することを特徴とする画像処理装置。
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