JP3779535B2 - 発雷予測システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、落雷の発生を予報し、気象防災に資する発雷予測システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から知られている落雷予測システムに、気象レーダを用いるものがある。これは、レーダエコーからセル(雲を構成する基本単位)に含まれる水分量やその変化を解析し、これをもとに落雷の危険性を判定するものである。
【0003】
この種のシステムとしては、雷放電時に放電路から放射される電磁波を受信して、交会法(例えばLLS(Lightning Location System))、到達時間差法(例えばLPATS(Lightning Position and Tracking System))、または電波干渉法(例えばSAFIR)などにより落雷発生確率を求める技術が知られている。
【0004】
しかし、この技術では、現時点での落雷の有無を正確に標定できるものの、未来に落雷の生じる可能性を正確に予測することができない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように従来考えられている落雷予測システムでは、現時点での落雷の有無を正確に標定できても、将来に発生し得る落雷の可能性を正確に予測できないといった不具合を有していた。
【0006】
この発明の目的は、簡単かつ安価な設備で、落雷発生をより正確に予測し得る発雷予測システムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る発雷予測システムは、気象レーダで得られるエコー強度データから鉛直方向積算水分量、最大雨量強度及び最大雨量強度層の高度を求めると共に、高層気象情報に基づく高度−温度対比データを参照して雲頂温度を求め、かつ最大雨量強度層の高度と高度−温度対比データの参照結果との組み合わせにより最大雨量強度層温度を求める演算部と、この演算部で求められた鉛直方向積算水分量から雷雲セルを判別する雷雲セル判別部とを備え、この雷雲セル判別部で判別される雷雲セルについて、追尾を行なうことで発雷を判定する発雷予測システムであって、過去のレーダ観測で得られる観測データに基づき、発雷統計モデルを作成する発雷統計モデル作成部と、雷雲セル判別部で判別される雷雲セルについて、演算部で求められた鉛直方向積算水分量、最大雨量強度、雲頂温度及び最大雨量強度層の温度といった発雷判定に必要な発雷パラメータの履歴を記録する履歴記録部と、雷雲セル判別部で判別される雷雲セルのうち所定回数以上の追尾が行なわれた雷雲セルについて、その履歴パラメータデータを履歴記録部から読み出し、この読み出した履歴パラメータデータから発雷統計モデル作成部で作成された発雷統計モデルに従って所定時間後の発雷を判定する発雷判定処理部とを備えるようにしたものである。
【0008】
この構成によれば、気象レーダから求められた鉛直方向積算水分量を用いて判別される雷雲セルについて、所定回数以上の追尾を行なうとともに、この雷雲セルに対応する鉛直方向積算水分量、最大雨量強度、雲頂温度及び最大雨量強度層の温度といった発雷判定に必要な発雷パラメータの履歴を追尾期間保持しておくようにし、所定回数以上の追尾が行なわれた場合に、この雷雲セルに対応する履歴パラメータデータと発雷統計モデルとを比較照合し、この比較照合結果に基づいて所定時間後の発雷を判定できるようにしている。すなわち、気象レーダにより得られる追尾中の雷雲セルに対応する発雷パラメータデータと過去の履歴による発雷統計モデルの発雷パラメータデータとを比較照合し、この比較照合結果に基づいて所定時間後の発雷を予測できるようにしている。
【0009】
このため、簡単かつ安価な設備で、所定時間後の落雷の発生確率を正確に予測することが可能となる。また、最大雨量強度及び最大雨量強度層の温度といった発雷パラメータデータを用いていることにより、従来に比してより正確に発雷予測を行なうことが可能となる。
【0010】
上記構成において、発雷統計モデル作成部は、所定回数以上の追尾が行なわれた雷雲セルについて、その履歴パラメータデータを発雷統計モデルに従って発雷のあるグループと発雷のないグループとにグループ分けし、発雷統計モデルを作成することを特徴とする。また、発雷統計モデル作成部は、所定回数以上の追尾が行なわれた雷雲セルについて、エコー強度データにより得られる鉛直方向積算水分量が最大値をとる時刻を原点として履歴パラメータデータの平均をとることを特徴とする。さらに、発雷判定処理部は、所定回数以上の追尾が行なわれた雷雲セルについて、履歴パラメータデータと発雷統計モデルのパラメータデータとの時間軸の原点をシフトさせて、両データの差の2乗和から最小値を求めることで発雷ありモデルか発雷無しモデルかの適用と、モデル曲線上の現在位置を判定することを特徴とする。このようにすることで、精度良く所定時間後の発雷予測を行なうことができる。
【0011】
上記構成において、発雷判定処理部は、雷雲セルの盛衰時期を判定する盛衰判定過程と、この盛衰判定過程による判定結果から発雷可能性の高くなっている位置、時間を判定する発雷判定過程とを備えることを特徴とする。このようにすることで、雷雲セルの発雷可能性を雷雲セルの盛衰時期から判定し、より有効な発雷情報の提供を実現できる。
【0012】
上記構成において、盛衰判定過程は、雷雲セル判定部で判定された雷雲セルから、エコー強度が強く雲頂温度が低く発達している核の部分を抽出し、その1個または複数個の核毎に取得した時系列情報から雷雲セルについて別個に盛衰を判定することを特徴とする。このようにすることで、雷雲セルから、エコー強度が強く、雲頂温度が低く発達している核の部分を抽出し、その1個または複数個の核毎に取得した時系列情報から雷雲セルの発達期、成熟期、衰退期を判別し、特に衰退期にあるセルを発雷可能性が高いと判別できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、この発明に係る発雷予測システムの一実施形態の構成を示すもので、入力データとして、気象レーダで観測毎に得られるエコー強度データ及び気象庁から提供される高層気象情報から求められた高度−温度対比データが与えられる。なお、エコー強度データは、X軸、Y軸、Z軸の直交座標系もしくはr軸、θ軸、φ軸の極座標系に変換された雨量強度値メッシュデータである。
【0015】
また、この図1に示す発雷予測システムは、演算部11と、雷雲セル判別部12と、発雷判定処理部13と、発雷統計モデル作成部14とにより構成されている。このうち、演算部11は、図2に示すように、鉛直方向積算水分量(VIL)演算部111と、最大雨量強度演算部112と、最大雨量強度層温度演算部113と、雲頂高度演算部114と、雲頂温度演算部115とを備えている。
【0016】
上記エコー強度データは、VIL演算部111、最大雨量強度演算部112、最大雨量強度層温度演算部113及び雲頂高度演算部114にそれぞれ供給される。VIL演算部111は、エコー強度データについて、鉛直方向(Z軸方向)にメッシュ単位の雨量強度値を積算することでVILを求める。最大雨量強度演算部112は、エコー強度データから最大雨量層の強度を求める。雲頂高度演算部114は、エコー強度データから雲頂高度を求める。
【0017】
一方、上記高度−温度対比データは、最大雨量強度層温度演算部113及び雲頂温度演算部115にそれぞれ供給される。最大雨量強度層温度演算部113は、エコー強度データから最大雨量強度層の高度を求め、高度−温度対比データを参照して最大雨量強度層温度に換算する。雲頂温度演算部115は、雲頂高度演算部114で求められた雲頂高度を、高度−温度対比データを参照することで雲頂温度に換算する。
【0018】
上記雷雲セル判別部12は、演算部11で求められたVILデータから雷雲域(雷雲セル)を判定する。この判定結果は、発雷判定処理部13に送られる。また、この発雷判定処理部13には、発雷統計モデル作成部14により作成された発雷統計モデルの初期データが送られる。この発雷統計モデル作成部14は、気象データベースから成り、過去の観測データに基づき、発雷統計モデルの初期データを作成するものである。
【0019】
上記発雷判定処理部13は、具体的には図3に示すような処理を行なう。
【0020】
まず、雷雲セル判別部12の判定結果から雷雲セルを抽出し(ステップS1)、抽出された1以上の雷雲セルについて発雷判定に必要なVIL、最大雨量強度、雲頂温度、雲頂高度及び最大雨量強度層温度といった発雷パラメータデータを演算部11から取得し、各パラメータデータの履歴をメモリに記憶しておく(ステップS2)。
【0021】
続いて、雷雲セルについての追尾処理を行ない、追尾回数がn回以上であるか否かを判定する(ステップS3)。ここで、追尾回数がn回以上でない場合(No)、発雷判定処理部13は、予測不可と判定し、発雷判定処理を終了する(ステップS4)。また、追尾回数がn回以上である場合(Yes)、発雷判定処理部13は、発雷統計モデル作成部14から送られてくる初期データに基づき過去の実績による発雷統計モデルを求め、メモリに記憶された履歴パラメータデータから発雷統計モデルの判定を行なう(ステップS5)。なお、発雷統計モデルについては、図4に示すように、例えばVILデータについて発雷ありと発雷無しとに分類される。その他のパラメータデータについても同様である。
【0022】
上記ステップS5について具体的に説明する。現在観測したデータが3ポイント(9分)と、発雷統計モデルは20ポイント(60分)とする。ただし、観測の時間間隔と発雷統計モデルのポイント数の値は一例であり、その他の値を選んでもよい。まず、発雷判定処理部13は、実観測した発雷判定要素を発雷ありモデルのカーブに対して時間軸上で基準点をずらしながら下式に示すような平均二乗誤差を算出し、最も数値の少ない位置を発雷ありモデルでの誤差とし、その位置を予測上の原点とする。
【数1】
【0023】
次に、発雷判定処理部13は、発雷無しモデルに対して同様の処理を行なう。履歴パラメータデータ及び発雷パラメータデータの両者の誤差を比較し、誤差の少ない側のモデルに今回観測された雷雲が適合していると判定する。そして、今後の予測として、予測上の原点の次のポイントから先の値でその発雷判定要素が推移すると予測する。
【0024】
以上を発雷判定要素(VIL、最大雨量強度、雲頂温度、雲頂高度及び最大雨量強度層温度)それぞれに対して実行し、それぞれの要素の予測値を算出する。
【0025】
上記ステップS5により、発雷ありモデルを適用するパラメータデータであると判定された場合に、発雷判定処理部13は、発雷ありモデルに従った各パラメータデータの予測を行ない(ステップS6)、発雷無しモデルを適用するパラメータデータであると判定された場合に、発雷無しモデルに従った各パラメータデータの予測を行なう(ステップS7)。以後、予測したパラメータデータにより、3〜60分後の発雷判定を行なう(ステップS8)。
【0026】
さらに、発雷判定処理部13は、上記ステップS8について図5に示すような処理を行なう。
まず、発雷判定処理部13は、ステップS6とステップS7により予測したパラメータデータのうちの鉛直方向積算水分量(VIL)がしきい値V1以上であるか否かの判断を行なう(ステップS81)。そして、鉛直方向積算水分量がしきい値V1未満であれば(NO)、発雷無しと判定する。
【0027】
これに対して鉛直方向積算水分量がしきい値V1以上である場合に(YES)、発雷判定処理部13は、鉛直方向積算水分量がしきい値V3以上かつ予測した雲頂温度(CT)がしきい値ct2以下であるか否か、または予測した最大雨量強度(MR)がしきい値Mr2以上かつ最大雨量強度層の温度(MT)がしきい値Mt2以下の条件を満たしているか否かの判断を行なう(ステップS82)。そして、条件を満たしているならば(YES)、強雷と判定する。
【0028】
これに対して、上記条件を満たしていない場合に(NO)、発雷判定処理部13は、以下の条件を満たしているか否かの判断を行なう。
(1)予測した鉛直方向積算水分量(VIL)がしきい値V2以上かつ雲頂温度(CT)がしきい値Ct1以下、または予測した最大雨量強度(MR)がしきい値Mr1以上かつ最大雨量強度層の温度(MT)がしきい値Mt1以下(ステップS83)。
(2)追尾中に強雷判定がありかつ雷雲セルが衰退期(ステップS84)。
(3)予測した雲頂高度(CH)がしきい値Ch1以上(ステップS85)。
【0029】
ここで、発雷判定処理部13は、(1)及び(2)の条件を満たしている場合に強雷と判定し、(1)の条件を満たし(2)の条件を満たしていない場合に中雷と判定し、(1)の条件を満たしておらず(3)の条件を満たしている場合に弱雷と判定し、(1)及び(3)のどちらの条件も満たしていない場合に雷セルと判定する。
【0030】
ところで、雷雲は、図6に示すように、発達期、成熟期、衰退期で大別されることが知られている。これに対し、落雷は、成熟期の後半から衰退期にかけて、核(エコー強度の特に強い部分)が雲の上部から降下してくることに伴って起こることが多い。
【0031】
発達期はまだ発雷までには余裕があり、エコー強度もまだ弱く、雲頂高度も低いため、「弱雷」もしくは「中雷」として判定しておいてもよい。しかし、衰退期は、地上への落雷が最も懸念される時期であり、核の降下に伴ってエコー強度が弱くなり、雲頂高度も下がってきているとはいえ、強雷として判定されるべき時期である。
【0032】
そこで、上述のエコー強度と雲頂温度による雷雲セル判定に加え、雷雲セルの盛衰を判定することで、より精度の高い発雷予測確率を求めることができる。具体的には、図7に示すような処理により盛衰判定処理を行なう。
【0033】
この盛衰判定処理において、発雷判定処理部13は、以下の条件の判定を行なう。
(a)雷雲セル内の最大鉛直方向積算水分量[VIL(max)]がしきい値Vh1未満
(b)雷雲セル内の最大鉛直方向積算水分量[VIL(max)]がしきい値Vh3より大きい
(c)雷雲セル内の最大雨量強度(MR)がしきい値Mrh1未満
(d)雷雲セル内の最大雨量強度(MR)がしきい値Mrh3より大きい
(e)雷雲セル内の最大雨量強度層の温度(MT)がしきい値Mth1より大きい
(f)雷雲セル内の最大雨量強度層の温度(MT)がしきい値Mth3未満 ここで、発雷判定処理部13は、(a)乃至(f)のいずれか1つを満たしている場合に発達期と判定する(ステップST1)。ここで、(b)、(d)、(f)全ての条件を満たさない場合に、発雷判定処理部13は、消滅期と判定する(ステップST2)。また、(a)、(c)、(e)のいずれか1つの条件を満たさない場合に、発雷判定処理部13は、成熟期と判定する(ステップST3)。
【0034】
この成熟期において、発雷判定処理部13は、以下の条件の判定を行なう。
(g)最大鉛直方向積算水分量のピークからの減少量[ΔVIL(max)]がしきい値Vh2未満
(h)最大雨量強度のピークからの減少量(ΔMR)がしきい値Mrh2未満
(i)最大雨量強度層の温度のピークからの減少量(ΔMT)がしきい値Mth2より大きい
ここで、発雷判定処理部13は、(g)乃至(i)全ての条件を満たすならば、まだ成熟期であると判定し、(g)乃至(i)のいずれの条件を満たさず、また満たすことがあっても雷雲セル内に対流域が存在する場合に、衰退期と判定する(ステップST4)。
【0035】
そして、この衰退期が所定追尾回数以上継続した場合で、上記(b)、(d)、(f)のいずれか1つのを満たす場合に、発雷判定処理部13は、発達期と判定する(ステップST1)。
【0036】
また、衰退期において、(b)、(d)、(f)全ての条件を満たさない場合に、発雷判定処理部13は、消滅期と判定する(ステップST2)。さらに、この消滅期において、(b)、(d)、(f)のいずれかの条件を満たした場合に、発雷判定処理部13は、発達期と判定する(ステップST1)。
【0037】
また、上記ステップS8による発雷判定予測結果が強雷判定であった場合、発雷判定処理部13は、追尾中の雷雲セル毎に発雷統計モデルの組み合わせを求め、次式により発雷予測確率を求める。
発雷予測確率[%]=(発雷数/過去実績数)×100
以上述べたように上記実施形態によれば、発雷判定処理部13において、雷雲セル判別部12により判別される雷雲セルについて、所定回数以上の追尾を行なうとともに、この雷雲セルに対応する鉛直方向積算水分量、最大雨量強度、雲頂温度及び最大雨量強度層温度といった発雷判定に必要な発雷パラメータの履歴を追尾期間メモリに保持しておくようにし、所定回数以上の追尾が行なわれた場合に、この雷雲セルに対応する履歴パラメータデータと発雷統計モデルとを比較照合し、この比較照合結果に基づいて60分以内の発雷を判定できるようにしている。すなわち、気象レーダにより得られる追尾中の雷雲セルに対応する発雷パラメータデータと過去の実績による発雷統計モデルの発雷パラメータデータとを比較照合し、この比較照合結果に基づいて60分以内の発雷を予測できるようにしている。
【0038】
このため、簡単かつ安価な設備で、60分以内の落雷の発生確率を正確に予測することが可能となり、この予測情報を外部システムに提供することにより落雷事故に対する準備等の対応処置の迅速化に寄与できる。また、最大雨量強度及び最大雨量強度層温度といった発雷パラメータデータを用いていることにより、従来に比してより正確に発雷予測、つまり中雷であるか強雷であるかの予測を行なうことが可能となる。
【0039】
特に、発雷判定処理部13は、所定回数以上の追尾が行なわれた雷雲セルについて、その履歴パラメータデータを発雷統計モデルに従って発雷のあるグループと発雷のないグループとにグループ分けしたり、履歴パラメータデータと発雷統計モデルのパラメータデータとの時間軸の原点をシフトさせて、両データの差の2乗和から最小値を求めることで発雷ありモデルか発雷無しモデルかの適用と、モデル曲線上の現在位置を判定するようにしているので、発雷予測のために複雑な演算処理を必要とすることなく、精度良く60分以内の発雷予測を行なうことができる。
【0040】
また、発雷判定処理部13は、雷雲セルの盛衰時期を判定し、この判定結果から発雷可能性の高くなっている位置、時間を判定することで、雷雲セルの発雷可能性を雷雲セルの減衰時期から判定し、より有効な発雷情報の提供を実現できる。
【0041】
なお、盛衰判定過程においては、雷雲セル判定部12で判定された雷雲セルから、エコー強度が強く雲頂温度が高く発達している核の部分を抽出し、その1個または複数個の核毎に取得した時系列情報から雷雲セルについて別個に盛衰を判定するようにしているので、雷雲セルから、エコー強度が強く、雲頂温度が高く発達している核の部分を抽出し、その1個または複数個の核毎に取得した時系列情報から雷雲セルの発達期、成熟期、衰退期を判別し、特に衰退期にあるセルを発雷可能性が高いと判別できる。
【0042】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、発雷判定処理部13は、発雷ありモデルと発雷無しモデルに分けて履歴パラメータデータの予測を行なっているが、その他に、所定回数以上の追尾が行なわれた雷雲セルについて、エコー強度データにより得られるVILが最大値をとる時刻を原点として履歴パラメータデータの平均をとるようにしてもよい。ところで、全ての発雷パラメータデータを別々に平均化すると、VIL以外はそのカーブが顕著に変化しないため、VILのみを独立して平均化し、それ以外の発雷パラメータデータに対しVILと時間軸を同期させて平均化している。つまり、雷雲の盛衰はVILの変化で表すことができ、その他の発雷パラメータデータは雷雲の盛衰に時間を同期させて平均している。
【0043】
その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、発雷予測システムの構成及び発雷判定手順を種々変形しても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【0044】
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明によれば、過去の実績による発雷統計モデルに従って発雷パラメータデータの予測を行なうことにより、簡単かつ安価な設備で、落雷発生をより正確に予測し得る発雷予測システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る発雷予測システムの一実施形態の構成を示すブロック図。
【図2】上記図1に示した演算部の具体的構成を示すブロック図。
【図3】上記図1に示した発雷判定処理部の具体的な処理内容を示すフローチャート。
【図4】発雷統計モデルの内容を示す図。
【図5】上記図3に示したステップS8の詳細な処理内容を示すフローチャート。
【図6】雷雲の盛衰の様子を示す図。
【図7】雷雲の盛衰状態を判定する手順を示す図。
【符号の説明】
11…演算部、
12…雷雲セル判別部、
13…発雷判定処理部、
14…発雷統計モデル作成部、
111…VIL演算部、
112…最大雨量強度演算部、
113…最大雨量強度層温度演算部、
114…雲頂高度演算部、
115…雲頂温度演算部。
Claims (8)
- 気象レーダで得られるエコー強度データから鉛直方向積算水分量、最大雨量強度及び最大雨量強度層の高度を求めると共に、高層気象情報に基づく高度−温度対比データを参照して雲頂温度を求め、かつ最大雨量強度層の高度と高度−温度対比データの参照結果との組み合わせにより最大雨量強度層温度を求める演算部と、この演算部で求められた鉛直方向積算水分量から雷雲セルを判別する雷雲セル判別部とを備え、この雷雲セル判別部で判別される雷雲セルについて、追尾を行なうことで発雷を判定する発雷予測システムであって、
過去のレーダ観測で得られる観測データに基づき、発雷統計モデルを作成する発雷統計モデル作成部と、
前記雷雲セル判別部で判別される雷雲セルについて、前記演算部で求められた鉛直方向積算水分量、最大雨量強度、雲頂温度及び最大雨量強度層の温度といった発雷判定に必要な発雷パラメータの履歴を記録する履歴記録部と、
前記雷雲セル判別部で判別される雷雲セルのうち所定回数以上の追尾が行なわれた雷雲セルについて、その履歴パラメータデータを前記履歴記録部から読み出し、この読み出した履歴パラメータデータから前記発雷統計モデル作成部で作成された発雷統計モデルに従って所定時間後の発雷を判定する発雷判定処理部とを具備してなることを特徴とする発雷予測システム。 - 前記発雷統計モデル作成部は、過去の観測データに基づき、前記発雷統計モデルの初期値を作成することを特徴とする請求項1記載の発雷予測システム。
- 前記発雷統計モデル作成部は、所定回数以上の追尾が行なわれた雷雲セルについて、その履歴パラメータデータを発雷のあるグループと発雷のないグループとにグループ分けし、発雷統計モデルを作成することを特徴とする請求項1記載の発雷予測システム。
- 前記発雷統計モデル作成部は、所定回数以上の追尾が行なわれた雷雲セルについて、エコー強度データにより得られる鉛直方向積算水分量が最大値をとる時刻を原点として、発雷ありの場合と発雷無しの場合とに分けて履歴パラメータデータの平均をとることで発雷統計モデルを作成することを特徴とする請求項1記載の発雷予測システム。
- 前記発雷判定処理部は、所定回数以上の追尾が行なわれた雷雲セルについて、履歴パラメータデータと発雷統計モデルのパラメータデータとの時間軸の原点をシフトさせて、両データの差の2乗和から最小値を求めることで発雷ありモデルか発雷無しモデルかの適用と、モデル曲線上の現在位置を判定することを特徴とする請求項1記載の発雷予測システム。
- 前記発雷判定処理部は、前記雷雲セル判別部で判別される雷雲セルについて、追尾された回数が所定回数以上であるか否かを判定する第1処理過程と、
この第1処理過程により判定された所定回数以上の追尾が行なわれた雷雲セルについて、前記履歴記録部に記録された履歴パラメータデータから発雷ありモデルを適用するか発雷無しモデルを適用するかを判定する第2処理過程と、
この第2処理過程により判定された発雷ありモデルもしくは発雷無しモデルに従い所定時間後の発雷パラメータデータを予測する第3処理過程と、
この第3処理過程により予測された発雷パラメータデータに基づいて発雷判定を行なう第4処理過程とを備えることを特徴とする請求項1記載の発雷予測システム。 - 前記第3処理過程は、雷雲セルの盛衰時期を判定する盛衰判定過程と、この盛衰判定過程による判定結果から発雷可能性の高くなっている位置を判定する発雷判定過程とを備えることを特徴とする請求項6記載の発雷予測システム。
- 前記盛衰判定過程は、前記雷雲セル判定部で判定された雷雲セルから、エコー強度が強く雲頂温度が低く発達している核の部分を抽出し、その1個または複数個の核毎に取得した時系列情報から雷雲セルについて別個に盛衰を判定することを特徴とする請求項1または7記載の発雷予測システム。
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