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JP3781882B2 - エンジンの燃料制御装置 - Google Patents
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの燃料制御装置に係り、特にエンジンの加速時の燃料制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子式の燃料噴射制御装置を備えたエンジンの加速時に空燃比を補正する燃料増量制御方法が、例えば特公昭54−27491号公報や特公昭62−31177号公報等に提案されている。
【0003】
また、近年の制御装置では大気圧センサにより大気圧を検出し、そのデータを利用して空燃比の補正を行っている。以下、図6に大気圧のデータを利用したエンジンの加速時の燃料増量制御方法を示す。
【0004】
エンジンの基準クランク位置から噴射を開始する通常の噴射パルスに加速時の燃料増量分を加算して噴射させる同期式加速増量噴射方法の場合、図6の式Aに示すように、通常噴射基本パルス時間(T)に加速増量基本パルス時間(TACC0)を加えたものに吸入空気温度、冷却水温度および大気圧の各補正係数(K,K,K)を掛け合わせることにより総パルス時間(Ti)が算出される。
【0005】
一方、エンジンのクランク位置に関わらず、加速と判断したと同時に加速燃料増量噴射を行う非同期式噴射方法の場合、通常時は通常噴射基本パルス時間(T)に上記各補正係数(K,K,K)を掛け合わせることにより通常分補正後パルス時間(Tu)が算出され(図6の式B−1参照)、また、加速増量時は加速増量基本パルス時間(TACC0)に上記各補正係数(K,K,K)を掛け合わせることにより加速増量分補正後パルス時間(TACC)が算出される(図6の式B−2参照)。なお、非同期式の通常分補正後パルス時間と加速増量基本パルス時間とを加算すると同期式加速増量噴射方法の総パルス時間と同じなる(Tu+TACC=Ti)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した式Aまたは式B−1およびB−2を用いた大気圧による空燃比の補正方法では、以下に述べる理由からエンジンの加速時に良好な大気圧補正が行われない。
【0007】
その理由とは、例えばスロットルを閉位置から開位置へ開くような加速操作時、スロットルの開度(α)に比例した量の吸入空気が直ちにシリンダ内に供給されるが、同時刻に吸気通路内に噴射された燃料は吸入空気より遅れてシリンダ内に達する。
【0008】
吸気通路内に噴射された燃料のうち、霧状になって空気流に乗り、シリンダ内に達する量は、燃料の噴射状態やエンジンの温度、吸入空気の量や温度、気圧および燃料の噴射口からシリンダまでの距離や吸気通路の形状などの諸条件によって左右されるが、概ね十分の一から二分の一程度である。そして、残りの燃料は吸気通路やエンジンの内壁面に付着して壁面付着燃料となり、実際にシリンダ内に供給される燃料の量はこの壁面付着燃料が直接噴射された燃料に加わったものとなる。
【0009】
加速時には、吸入空気の流量が増加して壁面付着燃料がシリンダ内に送り込まれる。また、加速状態と判断されて増量噴射された燃料のうち、上述したように一部のみが直接シリンダ内に送り込まれるが、加速直後の一回〜数回の燃焼は既存の壁面付着燃料からの補助によってまかなわれることになる。
【0010】
上述した現象は、吸気通路に設けられる噴射口からシリンダまでの距離が長く、壁面の面積が大きいクランク室与圧式2サイクルエンジンの場合特に顕著に現れる。
【0011】
本来、エンジンに供給される燃料の量は排気ガスの浄化や燃料消費率(燃費)の向上を考慮して薄目(リーン)に設定することが望ましい。従って、壁面付着燃料の量も通常運転時には燃費がよくなるように設定される。そして、気圧の低い高地では空気密度の低下に合わせて大気圧補正によって燃料の噴射量が減量補正されるようになっている。
【0012】
この場合、高地での壁面付着燃料の量は当然低地より少なく、エンジンの加速時に増量噴射された燃料だけでは不足分を補うことが困難になり易い。さらに、空気密度の低い高地では燃焼圧力も低下するため、加速時のリーン化に伴う運転フィーリングの悪化が低地における同様な状況下に比べ顕著に表れる。
【0013】
そこで、気圧の低い高地では加速増量分の大気圧補正量の割合を通常分噴射量の補正量より大きくする必要があるが、図6の式A、式B−1およびB−2で示した従来の制御方法では一つの大気圧補正係数(K)で通常分と増量分との両方を補正しているため、低地で適切となる加速増量基本パルス時間(TACC0)を設定すると高地における加速時に空燃比がリーン状態となり、運転フィーリングが悪化する一方、高地で適切となる加速増量基本パルス時間(TACC0)を設定すると低地における加速時に空燃比がリッチ状態となり、排気ガスの状態や燃費が悪化する。
【0014】
さらに、カルマン渦式や熱線式等のエアフローメータを備え、直接吸入空気流量を測定するシステムを備えたエンジンにおいてはエンジンの加速操作による吸入空気量の変化が瞬時に判断できるが、スロットル開度(α)とエンジン回転数(N)とから吸入空気量を推測するα―Nシステムを備えたエンジンにおいてはスロットル開度の変化量を判別した後に加速動作を判断するため、スロットル操作が所定の変化量を示すまで燃料の増加操作が遅れてしまう。
【0015】
そのため、加速を判断し、燃料を増量するまでの間は通常分の噴射燃料と壁面付着燃料とでエンジンの燃焼を賄うことになるので、加速操作時の燃料はリーン状態になりやすく、特に空気密度の低い高地においては前述した理由により著しい運転フィーリングの悪化を招く虞がある。
【0016】
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、大気圧に関わらず、燃料消費率、排気ガス状態および運転フィーリングの向上を図ったエンジンの燃料制御装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るエンジンの燃料制御装置は、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、大気圧情報に基づいて加速時の燃料噴射量を電子的に増量制御するエンジンの燃料制御装置において、通常運転時に利用する一般用大気圧補正係数とは別に、気圧が低い領域では上記一般用大気圧補正係数を利用する場合よりも増量補正となるように、上記一般用大気圧補正係数の気圧に対する変化量よりも緩やかに変化する加速増量分専用大気圧補正係数を設定し、上記エンジンの加速運転時に上記加速増量分専用大気圧補正係数を利用して燃料噴射量を増量制御するように構成したものである。
【0018】
また、上述した課題を解決するために、請求項2に記載したように、上記エンジンをクランク室与圧式の2サイクルエンジンとしたものである。
【0019】
さらに、上述した課題を解決するために、請求項3に記載したように、エンジン回転信号と、スロットルバルブの開度信号とを基に吸入空気量を推測するα―N制御方式を備えたものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、2サイクルエンジンに用いられる一般的な電子式燃料噴射制御装置(EFI)のシステム概要図である。
【0022】
この2サイクルエンジン1は一般的なクランク室与圧式の水冷二気筒2サイクルエンジンであり、その2内にはクランクシャフト3が回転自在に軸支される。また、シリンダブロック4内にはシリンダ5が形成され、その内部にはピストン6がクランクシャフト3と直角方向に摺動自在に挿入される。そして、ピストン6とクランクシャフト3とがコンロッド7によって連結され、ピストン6の往復ストロークがクランクシャフト3の回転運動に変換されるようになっている。
【0023】
クランクシャフト3の一端にはマグネト装置8が設けられ、そのフライホイールマグネト9の例えば周縁近傍に気筒を判別したりクランクシャフト3の回転角度やその回転数、すなわちエンジン1の回転数(N)を検出する電磁ピックアップコイル10が設置される。また、フライホイールマグネト9の内部にはエキサイタ11が配置される。
【0024】
さらに、マグネト装置8はAC電力を出力すると共に、後述するコントロールユニット12やフューエルインジェクタ13、燃料ポンプ14等の各機器にも電力を供給する。
【0025】
一方、例えばシリンダブロック4にはエンジン1の冷却水温度を検出する冷却水温センサ15が設けられる。また、シリンダヘッド16とシリンダブロック4との接合部には燃焼室17が形成され、その中央部には外方から点火プラグ18が装着される。
【0026】
クランク室2にはスロットルバルブ19を備えた吸気通路20が接続される。吸気通路20の例えば外部にはスロットルバルブ19の開度(α)を検出するスロットル開度センサ21が設けられる。さらに、スロットルバルブ19より下流の吸気通路20には、外方からフューエルインジェクタ13が装着される。そして、燃料タンク22内の燃料は燃料ポンプ14によって汲み上げられ、デリバリパイプ23を通ってフューエルインジェクタ13に導かれる。また、デリバリパイプ23内の燃圧は、フューエルインジェクタ13にかかる燃圧が常に一定になるよう、プレッシャレギュレータ24により調整される。
【0027】
フューエルインジェクタ13による燃料噴射は、上述したEFI25によって電子的に制御される。EFI25はエレクトロニックフューエルコントロールユニット12(以下、ECUと略す)を備える。ECU12は、例えば上記電磁ピックアップコイル10から送られるエンジン回転信号(N)と、スロットル開度センサ21から送られるスロットルバルブ19の開度信号(α)とを基に吸入空気量を推測するα―N制御方式を備え、さらにシリンダブロック4壁に設けられた冷却水温センサ15からの冷却水温度のデータ、吸気通路20に設けられた空気温センサ26からの吸入空気温度のデータ、およびエンジン1外に配置された大気圧センサ27からの大気圧のデータを利用して最適な空燃比となるように燃料の噴射時間を制御する。
【0028】
さらにまた、電磁ピックアップコイル10から送られるクランクシャフト3の回転角度信号によりECU12は各シリンダ5ごとに燃料を噴射する時期を制御する。すなわち、各シリンダ5のフューエルインジェクタ13は、ECU12からの信号に従って決められた時期に決められた時間だけ燃料を噴射するように制御される。
【0029】
そして、ECU12は燃料の噴射時間やタイミングを制御するほかに、点火プラグ18を作動させる点火コイル28に点火信号を送ったり、燃料ポンプ14の作動制御も行う。
【0030】
次に、図2に大気圧のデータを利用したエンジン加速時の燃料増量制御方法の一実施形態を説明する。
【0031】
エンジン1の基準クランク位置から噴射を開始する通常の噴射パルスに加速時の燃料増量分を加算して噴射させる同期式加速増量噴射方法の場合、図2の式1に示すように、通常噴射基本パルス時間(T)に一般用の大気圧補正係数(K)を掛け合わせたものと、加速増量基本パルス時間(TACC0)に加速増量分専用大気圧補正係数(KPACC)を掛け合わせたものとを合わしたものに吸入空気温度および冷却水温度の各補正係数(K,K)を掛け合わせることにより総パルス時間(Ti)が算出される。
【0032】
一方、エンジン1のクランク位置に関わらず、加速と判断したと同時に加速燃料増量噴射を行う非同期式噴射方法の場合、通常時は通常噴射基本パルス時間(T)に上記各補正係数(K,K,K)を掛け合わせることにより通常分補正後パルス時間(Tu)が算出され(図2の式2−1参照)、また、加速増量時は加速増量基本パルス時間(TACC0)に吸入空気温度と冷却水温度の各補正係数(K,K)および加速増量分専用大気圧補正係数(KPACC)を掛け合わせることにより加速増量分補正後パルス時間(TACC)が算出される(図2の式2−2参照)。なお、非同期式の通常分補正後パルス時間と加速増量基本パルス時間とを加算すると同期式加速増量噴射方法の総パルス時間と同じなる(Tu+TACC=Ti)。
【0033】
次に、図3に大気圧のデータを利用したエンジン加速時の燃料増量制御方法の第2実施形態を説明する。
【0034】
エンジン1の基準クランク位置から噴射を開始する通常の噴射パルスに加速時の燃料増量分を加算して噴射させる同期式加速増量噴射方法の場合、図3の式3に示すように、通常噴射基本パルス時間(T)に一般用の大気圧補正係数(K)を掛け合わせたものと、大気圧補正加速増量基本パルス時間(TACC1)とを合わしたものに吸入空気温度および冷却水温度の各補正係数(K,K)を掛け合わせることにより総パルス時間(Ti)が算出される。
【0035】
一方、エンジン1のクランク位置に関わらず、加速と判断したと同時に加速燃料増量噴射を行う非同期式噴射方法の場合、通常時は通常噴射基本パルス時間(T)に上記各補正係数(K,K,K)を掛け合わせることにより通常分補正後パルス時間(Tu)が算出され(図3の式4−1参照)、また、加速増量時は大気圧補正加速増量基本パルス時間(TACC1)に吸入空気温度および冷却水温度の各補正係数(K,K)を掛け合わせることにより加速増量分補正後パルス時間(TACC)が算出される(図3の式4−2参照)。なお、大気圧補正加速増量基本パルス時間(TACC1)は加速増量基本パルス時間(TACC0)と加速増量分専用大気圧補正係数(KPACC)とを掛け合わせることにより得られる(TACC0×KPACC=TACC1)。また、非同期式の通常分補正後パルス時間と加速増量基本パルス時間とを加算すると同期式加速増量噴射方法の総パルス時間と同じなる(Tu+TACC=Ti)。
【0036】
そして、図4(a)および(b)に加速増量基本パルス時間(TACC0)とエンジン回転数(N)との関係を示すグラフと、一般用の大気圧補正係数(K)および加速増量分専用大気圧補正係数(KPACC)と大気圧(P)との関係を示すグラフとを示す。また、図5に大気圧補正加速増量基本パルス時間(T CC01)をエンジン回転数(N)と大気圧(P)とから求めるための三次元マップを示す。
【0037】
上述したように、通常運転時に利用する一般用大気圧補正係数(K)とは別に加速増量分専用大気圧補正係数(KPACC)を設定し、エンジン1の加速運転時にこの専用大気圧補正係数(KPACC)を利用して燃料噴射量を増量制御するように構成したことにより、従来高度差などの要因から生じた空気密度の変化による燃料消費率、排気ガス状態および運転フィーリングの悪化が防止される。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るエンジンの燃料制御装置によれば、大気圧情報に基づいて加速時の燃料噴射量を電子的に増量制御するエンジンの燃料制御装置において、通常運転時に利用する一般用大気圧補正係数とは別に、気圧が低い領域では上記一般用大気圧補正係数を利用する場合よりも増量補正となるように、上記一般用大気圧補正係数の気圧に対する変化量よりも緩やかに変化する加速増量分専用大気圧補正係数を設定し、上記エンジンの加速運転時に上記加速増量分専用大気圧補正係数を利用して燃料噴射量を増量制御するように構成したため、大気圧に関わらず、燃料消費率、排気ガス状態および運転フィーリングが向上する。
【0039】
また、上記エンジンをクランク室与圧式の2サイクルエンジンとしたため、上記効果がさらに高まる。
【0040】
さらに、エンジン回転信号と、スロットルバルブの開度信号とを基に吸入空気量を推測するα―N制御方式を備えたため、上記効果がさらに高まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2サイクルエンジンに用いられる一般的な電子式燃料噴射制御装置のシステム概要図。
【図2】本発明に係るエンジンの燃料制御装置の、エンジン加速時の燃料増量制御方法の第一実施形態を示す式。
【図3】本発明に係るエンジンの燃料制御装置の、エンジン加速時の燃料増量制御方法の第二実施形態を示す式。
【図4】(a)および(b)はそれぞれ加速増量基本パルス時間とエンジン回転数との関係を示すグラフと、一般用の大気圧補正係数および加速増量分専用大気圧補正係数と大気圧との関係を示すグラフ。
【図5】大気圧補正加速増量基本パルス時間をエンジン回転数と大気圧とから求めるための三次元マップ。
【図6】従来の大気圧データを利用したエンジンの加速時の燃料増量制御方法を示す式。
【符号の説明】
1 2サイクルエンジン
12 エレクトロニックフューエルコントロールユニット(ECU)
15 冷却水温センサ
21 スロットル開度センサ
25 電子式燃料噴射制御装置(EFI)
26 空気温センサ
27 大気圧センサ
吸入空気温度の補正係数
一般用の大気圧補正係数
PACC 加速増量分専用大気圧補正係数
冷却水温度の補正係数
通常噴射基本パルス時間
ACC 加速増量分補正後パルス時間
ACC0 加速増量基本パルス時間
ACC1 大気圧補正加速増量基本パルス時間
Ti 総パルス時間
Tu 通常分補正後パルス時間

Claims (3)

  1. 大気圧情報に基づいて加速時の燃料噴射量を電子的に増量制御するエンジンの燃料制御装置において、通常運転時に利用する一般用大気圧補正係数とは別に、気圧が低い領域では上記一般用大気圧補正係数を利用する場合よりも増量補正となるように、上記一般用大気圧補正係数の気圧に対する変化量よりも緩やかに変化する加速増量分専用大気圧補正係数を設定し、上記エンジンの加速運転時に上記加速増量分専用大気圧補正係数を利用して燃料噴射量を増量制御するように構成したことを特徴とするエンジンの燃料制御装置。
  2. 上記エンジン1をクランク室与圧式の2サイクルエンジンとした請求項1記載のエンジンの燃料制御装置。
  3. エンジン回転信号(α)と、スロットルバルブ19の開度信号(N)とを基に吸入空気量を推測するα―N制御方式を備えた請求項1または2記載のエンジンの燃料制御装置。
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