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JP3785982B2 - 回転電機 - Google Patents
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JP3785982B2 - 回転電機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば乗用車や航空機、工具などの小型高性能が重視される分野において電動機や発電機として用いられる回転電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用として用いられる回転電機としての電動機や発電機には、小型軽量高出力が要求されており、これまでこの要求を満たすために、性能を支配する界磁磁束量を増やすさまざまな方法が提案されている。小型高磁束化を可能とする代表的な従来技術としては、回転軸を嵌装するボス部と、それに連接したディスク部と、更にそれに連接した爪状磁極部とからなるいわゆるランデル型の界磁鉄心を有する回転子が普及している。このランデル型の界磁鉄心では、集中単純巻きによって巻回された界磁巻線によって発生した磁束が、各爪状磁極部を含んで形成される磁気回路に並列に供給されるため、各爪状磁極部の励磁アンペアターンを大きく設定することができ、高出力を得ることができるという特長がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したランデル型の回転子を用いた場合には、一定の回転子外径を考えたときに、爪状磁極部の径方向の厚みや必要な界磁巻線量を確保するためには、界磁磁束量を支配するボス部の外径をあまり大きくできないため、このボス部において磁束の飽和が生じやすく、高出力化に限界があるという問題があった。また、爪状磁極部を含む界磁鉄心が塊状であるため、磁束が変動したときに爪状磁極部の表面に渦電流が発生し、一般の積層磁極と比べると大きな磁極損失が生じるという問題があった。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、高出力化が可能であるとともに磁極損失を低減することができる回転電機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明の回転電機は、多相巻線が巻装された環状の固定子鉄心を有する固定子と、前記固定子鉄心の内径側に配置されて界磁を発生する回転子とを備えている。この回転子は、回転軸に嵌装固定された筒状のボス部と、このボス部の端面より半径方向に広がるディスク部と、このディスク部に連接して回転軸方向にボス部の外径側に配置されて周方向に連続する円筒部と、ボス部と前記円筒部との間に配置された界磁巻線とを有し、円筒部の外周部において、多相巻線の電気角に関して周期2πの磁気抵抗の周期的変化を与える形状あるいは組成を有している。これにより、従来のランデル型の爪状磁極に代えて円筒部を用いた磁極を用いることができるため、回転子に遠心力が作用したときに、従来のように爪状磁極に働く強大な曲げモーメントが発生するのではなく、円筒部全体を径方向外側に広げようとする引っ張り応力が発生することになり、回転子に形成される磁極は、確実な耐遠心力性を備えることとなる。また、円筒部全体に磁束が導けるために、同一磁束量を通磁するための磁極の厚みを従来の爪状磁極に比べて薄くすることができる。このため、界磁巻線の巻装条件を同一にした場合に、ボス部の外径を増すことができるので、結局出力を左右するボス部の磁束量を増やすことができ、回転電機の高出力化が可能となる。
【0006】
また、上述した円筒部の外周部に配置された環状積層鉄心をさらに備え、円筒部の外周部および環状積層鉄心の内周部の少なくとも一方に、周方向に交互に配置された複数の凸部と凹部を有することが望ましい。このように、環状積層鉄心と円筒部の少なくとも一方に凹凸による間隙を形成することにより、円筒部の外周部に配置された環状積層鉄心に対して、周方向に沿って磁気抵抗の周期的変化を与えることが容易となる。また、回転子の外周部に環状積層鉄心を配置することにより、その表面における渦電流の発生を抑制することができ、磁気損失の低減が可能になる。
【0007】
また、上述した円筒部は、周方向に交互に配置された複数の凸部と凹部を外周部に有し、凹部に径方向に着磁された第1の永久磁石を配置することにより、外周部において周方向に沿って凸部と第1の永久磁石とで一対のNS磁極を構成することが望ましい。円筒部の一部に形成された凹部に第1の永久磁石を配置することにより、円筒部の外周部において、周方向に沿って磁気抵抗の周期的変化を与えることが容易となる。特に、第1の永久磁石を配置することにより、この部分において電気的、磁気的に高抵抗になるため、渦電流の発生を抑制することができる。
【0008】
また、上述した円筒部の外周部に配置された環状積層鉄心をさらに備え、環状積層鉄心には、内周側で対向する凸部と凹部の周方向の繰り返し間隔で複数の磁極部が形成されており、これら複数の磁極部は円筒部より磁束供給を受けて交互にNS極性が形成され、固定子鉄心に交番磁束供給が行われることが望ましい。これにより、磁極表面である環状積層鉄心の表面における渦電流の発生をさらに低減することができる。
【0009】
また、上述した環状積層鉄心は、凸部と凹部の境界に、多相巻線の電気角に関して周期πで、径方向に形成された複数のスリットを有することが望ましい。これにより、環状積層鉄心の周方向に沿った磁束の漏れを低減することが可能になり、さらなる高出力化が可能になる。
【0010】
また、上述した円筒部の外周部に配置され、周方向に配置されて外周部に開口した複数のスロットを有する環状積層鉄心をさらに備え、スロットに径方向に着磁された第2の永久磁石を配置することにより、環状積層鉄心の外周部において周方向に沿ってN磁極とS磁極を交互に形成することが望ましい。回転子の外周部に配置された環状積層鉄心およびその一部に形成されたスロットに配置された第2の永久磁石を用いることにより、これらの表面における渦電流の発生を抑えることができるため、磁気損失の低減が可能になる。また、上述したように、爪状磁極を用いる代わりに、円筒部と環状積層鉄心によって構成される磁極を用いることにより、磁極を薄くすることができ、これに伴うボス部の径の拡大による高出力化が可能になる。また、第2の永久磁石を用いる分だけ界磁巻線の巻装数を減らすこともできるため、さらにボス部の径の拡大が可能となり、さらなる高出力化を実現することができる。
【0011】
また、上述したスロット内に配置された第2の永久磁石の径方向の移動を拘束する拘束部を備えることが望ましい。これにより、遠心力による永久磁石の飛び出し等を防止して遠心力耐久性を高めることができるため、永久磁石の体積や個数を増すことが可能になり、回転電機の高性能化を実現することができる。
【0012】
また、上述した円筒部の外周部に配置され、周方向に配置されて径方向に形成された複数の磁石収納部を有する環状積層鉄心をさらに備え、磁石収納部に径方向に着磁された第3の永久磁石を収納することにより、環状積層鉄心の外周部において周方向に沿ってN磁極とS磁極を交互に形成することが望ましい。これにより、円筒部に外周部に配置された環状積層鉄心に対して、周方向に沿って磁気抵抗の周期的変化を与えることが容易となる。また、上述したように、爪状磁極を用いる代わりに円筒部や環状積層鉄心によって磁極を形成することにより、磁極を薄くしてボス部の径を拡大することが可能になるとともに、環状積層鉄心を用いることにより、その表面における渦電流の発生を抑えることができるため、回転電機の効率向上による高出力化が可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した回転電機の一種である車両用交流発電機について、図面を参照しながら説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、第1の実施形態の車両用交流発電機の部分的な構成を示す断面図であり、回転子とこれに組み合わされる固定子を抜き出して示したものである。図2は、図1に示した回転子の部分的な横断面図である。
【0014】
図1に示すように、固定子200は、積層固定子鉄心21と多相巻線22とを含んで構成されている。積層固定子鉄心21には、内径側に開口したスロット(図示せず)が形成されており、これらのスロットに多相巻線22が巻装されている。多相巻線22としては、例えばX相、Y相、Z相からなる三相巻線が用いられる。
【0015】
また、回転子100は、回転子鉄心1、回転軸2、界磁巻線3、環状積層鉄心4を含んで構成されている。
回転子鉄心1は、回転軸2に嵌挿固定された筒状のボス部11と、このボス部11の端面より半径方向に広がるディスク部12と、このディスク部12に連接して回転軸2に沿って連続する円筒部13とを有している。円筒部13は、ボス部11の外周側に配置されて、ボス部11を包囲するように周方向に連続している。また、この円筒部13は、外径部に周方向に交互に配置された複数個の凸部13aと凹部13bを有している。例えば、円筒部13は、径方向の厚さが、凸部13aが形成された部分において4mmに、凹部13bが形成された部分において2mmに設定されており、凸部13aと凹部13bは外周面において2mmの高低差を有している。上述した回転子鉄心1は2個が一組となって用いられており、これら2個の回転子鉄心1は、一方の円筒部13の凸部13aと他方の円筒部13の凹部13bのそれぞれの周方向位置を合わせるように、しかもそれぞれのボス部11、ディスク部12、円筒部13によって包囲された内部空間が向かい合うように配置された状態で、それぞれのボス部11に回転軸2が嵌挿される。
【0016】
界磁巻線3は、回転子鉄心1のボス部11の周囲に巻装されており、回転軸2に設けられたスリップリング(図示せず)を介して給電される。
環状積層鉄心4は、回転子鉄心1の外径部を包囲する。例えば、径方向幅が3mmに、軸方向の厚みが固定子鉄心21の軸方向厚みとほぼ等しく設定されている。この環状積層鉄心4の内径部は、回転子鉄心1の円筒部13の凸部13aの外径部に密着配置されている。また、環状積層鉄心4は、周方向に多相巻線22の電気角に関して周期πの間隔で配置されたスリット41を有している。2個一組のスリット41を形成することにより、このスリット41を挟んで周方向に隣接配置された各磁極部4aは、互いに磁気的に分離されている。
【0017】
本実施形態の車両用交流発電機に含まれる回転子100および固定子200はこのような構成を有しており、次にその作動を説明する。
本実施形態の回転子100は、2個の回転子鉄心1の円筒部13の外周部に着目すると、一方の円筒部13の凸部13aと他方の円筒部13の凹部13bとが組み合わされて配置される。例えば、図1に示すように、N極性となる一方の円筒部13の凸部13aに環状積層鉄心4が密着配置されて、この断面部分において環状積層鉄心4がN極性になる。また、この位置から周方向に電気角でπずれると、S極性となる他方の円筒部13の凸部13aに環状積層鉄心4が密着配置されて、この部分において環状積層鉄心4がS極性になる。このように、周方向に沿って配置された凸部13aと凹部13bの繰り返し周期と同じ周期で、環状積層鉄心4にN極性の磁極部4aとS極性の磁極部4aが交互に現れる。
【0018】
界磁巻線3に通電することにより発生した界磁磁束は、N極性の円筒部13の凸部13aおよび環状積層鉄心4の磁極部4aを経由し、回転子100と固定子200との間の空隙を通って固定子鉄心21に導かれた後、S極性の環状積層鉄心4の磁極部4aおよび円筒部13の凸部13aに戻る。このような磁束分布状態で回転子100を回転させることにより、多相巻線22に交流電圧が誘起される。
【0019】
従来のランデル型爪状磁極の場合には、例えば、回転子の外径(直径)が105mmのときに、爪状磁極の厚さが13mm、界磁巻線の巻装部の外形と内径の差が12mmで、ボス部の直径が55mmであり、ボス部を通る磁束の総量が0.04Wbであった。ところが、この実施形態の回転子100では、円筒部13と環状積層鉄心4のそれぞれは、一周が膜状に連続して椀状をなす構造となっているため、従来のランデル型の爪状磁極部のように遠心力による先端部の広がり等を考慮する必要がなく、強度上は最小限の厚みを確保すればよい。例えば、円筒部13の凸部13aと環状積層鉄心4を加えた厚さを7mmとして、6mmの縮小が可能となり、同一巻回数、すなわち径差12mmの界磁巻線3を用いた場合に、ボス径11の直径を67mmにすることができた。このため、このボス部11を通過することができる磁束量は、0.04Wb×(67/55)2=0.06Wbとなり、約1.5倍に増やすことができるため、理論上はその分出力を増加させることができる。実際には、磁気回路の飽和もありその効果は多少目減りするが、それでも本実施形態の場合には約30%の著しい出力向上を達成することができた。また、回転子鉄心1の外周部には、環状積層鉄心4が配置されているため、その外周面における渦電流の発生を抑制することができ、磁極表面の損失がほぼ無視できる程度となるため、発電の効率がその分向上する。例えば、出力2kwに対して磁極表面損失が100wであったものがほぼ無視できる程度となり、これにより発電効率が約5%も向上する効果が認められた。
【0020】
〔第2の実施形態〕
図3は、第2の実施形態の車両用交流発電機の部分的な構成を示す断面図であり、回転子とこれに組み合わされる固定子を抜き出して示したものである。図4は、図3に示した回転子の部分的な横断面図である。
【0021】
本実施形態の車両用交流発電機は、第1の実施形態の車両用交流発電機に含まれる回転子100を回転子100Aに置き換えたものである。この回転子100Aは、図1に示した第1の実施形態の回転子100に対して、回転子鉄心1の円筒部13に形成された凹部13b内に永久磁石5が嵌装されている。この永久磁石5は、外周側がその外側に配置された環状積層鉄心4と同極性になるように、径方向に着磁されている。すなわち、図4に示すように、S極性となる一方の回転子鉄心1に形成された凹部13b内に嵌装された永久磁石5は、外周側がN極性に、内周側がS極性に着磁されている。また、N極性となる他方の回転子鉄心1に形成された凹部13b内に嵌装された永久磁石5は、外周側がS極性に、内周側がN極性に着磁されている。
【0022】
これにより、凹部13bにおける磁束漏れが防げるのみならず、永久磁石5からこれに隣接する外周側の環状積層鉄心4に対して磁束が加えられるため、出力を増加させることができる。また、永久磁石5を用いない第1の実施形態の構成では、環状積層鉄心4内を軸方向に磁束が通り、変動成分が重畳するので積層鉄心板の面内にうず電流が生じるが、本実施形態では永久磁石5が入ることでそのような磁束の積層横断成分がなくなり、効率がさらに向上するという効果がある。
【0023】
〔第3の実施形態〕
図5は、第3の実施形態の車両用交流発電機の部分的な構成を示す断面図であり、回転子のみを抜き出して示したものである。また、図6は図5のVI−VI線断面図である。図7は、図5のVII−VII線断面図である。図8は、図5に示した回転子の外周部の展開図である。
【0024】
本実施形態の車両用交流発電機は、第2の実施形態の車両用交流発電機に含まれる回転子100Aを回転子110に置き換えたものである。この回転子110は、基本的には、図3に示した第2の実施形態の回転子100Aに対して、回転子鉄心1の外周に密着配置されていた環状積層鉄心4を省略した構造を有している。第2の実施形態で説明したように、図5に示す断面において、永久磁石5が嵌装された一方の回転子鉄心1がS極性に磁化され、この回転子鉄心1の円筒部13の凹部13bに内径側がS極性に外径側がN極性に着磁された永久磁石5が嵌装された場合を考えると、他方の回転子鉄心1および永久磁石5の外径部がともにN極性となる。反対に、N極性に磁化された他方の回転子鉄心1の円筒部13の凹部13bに内径側がN極性に外径側がS極性に着磁された永久磁石5が嵌装された断面部分においては、一方の回転子鉄心1および永久磁石5の外径部がともにS極性となる。このように、回転子110の外径部には、第1および第2の実施形態の回転子100、100Aと同様に周方向に沿って交互にN極性の磁極部とS極性の磁極部とが現れることになる。したがって、これらの磁極部が配置された回転子110を回転させることにより、固定子の多相巻線に交流電圧が誘起される。
【0025】
このように、本実施形態の回転子110では、円筒部13は、一周が膜状に連続して椀状をなす構造となっているため、従来のランデル型の爪状磁極部のように遠心力による先端部の広がり等を考慮する必要がなく、強度上は最小限の厚みを確保すればよい。また、第2の実施形態の回転子100Aに比べると、環状積層鉄心を省略しているため、効率が低下するとともに耐遠心強度が低下するものの、簡素で低コストになるという特長がある。
【0026】
〔第4の実施形態〕
図9は、第4の実施形態の車両用交流発電機の部分的な構成を示す断面図であり、回転子のみを抜き出して示したものである。また、図10は図9のX−X線断面図である。図11は、図9のXI−XI線断面図である。図12は、図9に示した回転子の外周部の展開図である。
【0027】
本実施形態の車両用交流発電機は、第2の実施形態の車両用交流発電機に含まれる回転子100Aを回転子120に置き換えたものである。この回転子120は、図3に示した第2の実施形態の回転子100Aが環状積層鉄心4の内側に永久磁石5が配置されていたのに対して、環状積層鉄心の外側(外周側)に永久磁石の一部を配置した点が異なっている。
【0028】
図9に示すように、本実施形態の回転子120は、回転子鉄心101、回転軸2、界磁巻線3、環状積層鉄心104、永久磁石105、106、中性極ヨーク環107を含んで構成されている。第1および第2の実施形態の回転子100、100Aと基本的に同じ構成については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0029】
回転子鉄心101は、回転軸2に嵌挿固定された筒状のボス部11と、このボス部11の端面より半径方向に広がるディスク部12と、このディスク部12に連接して回転軸2に沿って連続する円筒部113とを有している。円筒部113は、ボス部11の外周側に配置されて、ボス部11を包囲するように周方向に連続している。また、この円筒部113は、内径面および外径面がともに平坦な厚さが均一な筒形状を有している。上述した回転子鉄心101は2個が一組となって用いられており、これら2個の回転子鉄心1は、それぞれのボス部11、ディスク部12、円筒部113によって包囲された内部空間が向かい合うように配置された状態で、それぞれのボス部11に回転軸2が嵌挿される。
【0030】
また、環状積層鉄心104は、外径部に周方向に配置された複数個のスロット104aを有している。スロット104aは、径方向に沿った側面が拘束部を形成している。スロット104aは、この拘束部を備えることにより、周方向の幅が最外周部が最も狭く、内周になるほど広く設定されており、この内部空間に配置された永久磁石105が遠心力によって外周側に移動してしまうことを防止している。また、このスロット104aの最外周部の幅は、隣接する2つのスロット104aの間の環状積層鉄心104の外周面の幅の約1/2となるように設定されている。
【0031】
永久磁石105は、同じ軸方向に沿って配置された環状積層鉄心104と同極性になるように、径方向に着磁されている。すなわち、図12に示すように、N極性となる円筒部113の外周に配置された環状積層鉄心104と同じ軸方向に配置された永久磁石105は、外周側がN極性に、内周側がS極性に着磁されている。同様に、S極性となる円筒部113の外周に配置された環状積層鉄心104と同じ軸方向に配置された永久磁石105は、外周側がS極性に、内周側がN極性に着磁されている。
【0032】
また、本実施形態の回転子120では、回転子鉄心101の円筒部113の内径側に、中性極ヨーク環107によって支持された永久磁石106が配置されている。この永久磁石106は、これに隣接する円筒部113から環状積層鉄心104に導かれる磁束を増加させる向きに径方向に沿って着磁されている。
【0033】
このように、本実施形態の回転子120では、円筒部113および環状積層鉄心104の周囲に永久磁石105、106を配置することにより、各部位において磁束の漏れを防ぐとともに磁束を増加させており、高性能化を実現している。
〔第5の実施形態〕
図13は、第5の実施形態の車両用交流発電機の部分的な構成を示す断面図であり、回転子のみを抜き出して示したものである。また、図14は図13のXIV−XIV線断面図である。図15は、図13のXV−XV線断面図である。図16は、図13に示した回転子の外周部の展開図である。
【0034】
上述した第2の実施形態の車両用交流発電機では円筒部13に形成された凹部13b内に永久磁石5を収納し、第4の実施形態の車両用交流発電機では環状積層鉄心104の外周側に形成されたスロット104aに永久磁石105を収容したが、本実施形態の車両用交流発電機では、環状積層鉄心内に磁石収納部を設けて永久磁石を嵌装した点が異なっている。
【0035】
図13に示すように、本実施形態の回転子130は、回転子鉄心101、回転軸2、界磁巻線3、環状積層鉄心204、永久磁石205を含んで構成されている。第1、第2および第4の実施形態の回転子100、100A、120と基本的に同じ構成については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0036】
環状積層鉄心204は、多相巻線22の電気角2πと同じ繰り返し周期で周方向の複数箇所に、軸方向に沿った貫通孔である磁石収納部206を有している。一方の回転子鉄心101に対応する環状積層鉄心204に形成された磁石収納部206と、他方の回転子鉄心101に対応する環状積層鉄心204に形成された磁石収納部206は、互いに電気角でπだけ周方向に形成位置がずれている。
【0037】
永久磁石205は、環状積層鉄心204の各磁石収納部206の内部に嵌装されている。また、この永久磁石205は、外周側がその内側に配置された回転子鉄心101の円筒部113と同極性となるように、径方向に着磁されている。すなわち、図15に示すように、S極性となる一方の回転子鉄心101の円筒部113の外側に配置された環状積層鉄心204内の磁石収納部206に嵌装された永久磁石205は、外周側がS極性に、内周側がN極性に着磁されている。また、N極性となる他方の回転子鉄心101の円筒部113の外側に配置された環状積層鉄心204内の磁石収納部206に嵌装された永久磁石205は、外周側がN極性に、内周側がS極性に着磁されている。
【0038】
このように、いわゆるIPM(Interior Permanent Magnet)構造とすることにより、環状積層鉄心204と永久磁石205とをあらかじめ一体的な部品として取り扱うことが可能であり、組み立てが容易になるという特長がある。
また、界磁はランデル型機と同様に高アンペアターンが確保でき、かつ磁極の表面は積層により渦電流の発生が抑えられるため、飛躍的に高性能な回転電機を実現することができる。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した第1の実施形態では、回転子鉄心100の円筒部13に凸部13aと凹部13bを設けたが、代わりに、環状積層鉄心4の内周面にこれらの凸部13aと凹部13bを形成するようにしてもよい。
【0040】
また、上述した各実施形態では、車両用交流発電機に含まれる回転子について説明したが、基本構造は車両用電動機についても同じであり、高出力化による回転トルクの向上や、磁気損失の低減の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の車両用交流発電機の部分的な構成を示す断面図である。
【図2】図1に示した回転子の部分的な横断面図である。
【図3】第2の実施形態の車両用交流発電機の部分的な構成を示す断面図である。
【図4】図1に示した回転子の部分的な横断面図である。
【図5】第3の実施形態の車両用交流発電機の部分的な構成を示す断面図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【図7】図5のVII−VII線断面図である。
【図8】図5に示した回転子の外周部の展開図である。
【図9】第4の実施形態の車両用交流発電機の部分的な構成を示す断面図である。
【図10】図9のX−X線断面図である。
【図11】図9のXI−XI線断面図である。
【図12】図9に示した回転子の外周部の展開図である。
【図13】第5の実施形態の車両用交流発電機の部分的な構成を示す断面図である。
【図14】図13のXIV−XIV線断面図である。
【図15】図13のXV−XV線断面図である。
【図16】図13に示した回転子の外周部の展開図である。
【符号の説明】
1 回転子鉄心
2 回転軸
3 界磁巻線
4 環状積層鉄心
5 永久磁石
11 ボス部
12 ディスク部
13 円筒部
13a 凸部
13b 凹部
21 積層固定子鉄心
22 多相巻線
100 回転子
200 固定子

Claims (9)

  1. 多相巻線が巻装された環状の固定子鉄心を有する固定子と、前記固定子鉄心の内径側に配置されて界磁を発生する回転子とを備える回転電機において、
    前記回転子は、回転軸に嵌装固定された筒状のボス部と、このボス部の端面より半径方向に広がるディスク部と、このディスク部に連接して回転軸方向に連続するとともに前記ボス部の外径側に配置されて周方向に連続する円筒部と、前記ボス部と前記円筒部との間に配置された界磁巻線とを有し、
    前記円筒部の外周部において、前記多相巻線の電気角に関して周期2πの磁気抵抗の周期的変化を与える形状あるいは組成としたことを特徴とする回転電機。
  2. 多相巻線が巻装された環状の固定子鉄心を有する固定子と、前記固定子鉄心の内径側に配置されて界磁を発生する回転子とを備える回転電機において、
    前記回転子は、回転軸に嵌装固定された筒状のボス部と、このボス部の端面より半径方向に広がるディスク部と、このディスク部に連接して回転軸方向に前記ボス部の外径側に配置されて周方向に連続する円筒部と、前記ボス部と前記円筒部との間に配置された界磁巻線とを有し、
    前記ボス部、前記ディスク部、前記円筒部によって回転子鉄心が形成され、
    前記円筒部の外周部において、前記多相巻線の電気角に関して周期2πの磁気抵抗の周期的変化を与える形状あるいは組成としたことを特徴とする回転電機。
  3. 請求項1または2において、
    前記円筒部の外周部に配置された環状積層鉄心をさらに備え、
    前記円筒部の外周部および前記環状積層鉄心の内周部の少なくとも一方に、周方向に交互に配置された複数の凸部と凹部を有することを特徴とする回転電機。
  4. 請求項1または2において、
    前記円筒部は、周方向に交互に配置された複数の凸部と凹部を外周部に有しており、前記凹部に径方向に着磁された第1の永久磁石を配置することにより、外周部において周方向に沿って前記凸部と前記第1の永久磁石とで一対のNS磁極を構成したことを特徴とする回転電機。
  5. 請求項4において、
    前記円筒部の外周部に配置された環状積層鉄心をさらに備え、
    前記環状積層鉄心には、内周側で対向する前記凸部と前記凹部の周方向の繰り返し間隔で複数の磁極部が形成されており、これら複数の磁極部は前記円筒部より磁束供給を受けて交互にNS極性が形成され、前記固定子鉄心に交番磁束供給が行われることを特徴とする回転電機。
  6. 請求項3または5において、
    前記環状積層鉄心は、前記凸部と前記凹部の境界に、前記多相巻線の電気角に関して周期πで、径方向に形成された複数のスリットを有することを特徴とする回転電機。
  7. 請求項1または2において、
    前記円筒部の外周部に配置され、周方向に配置されて外周部に開口した複数のスロットを有する環状積層鉄心をさらに備え、
    前記スロットに径方向に着磁された第2の永久磁石を配置することにより、前記環状積層鉄心の外周部において周方向に沿ってN磁極とS磁極を交互に形成したことを特徴とする回転電機。
  8. 請求項7において、
    前記スロット内に配置された前記第2の永久磁石の径方向の移動を拘束する拘束部を備えることを特徴とする回転電機。
  9. 請求項1または2において、
    前記円筒部の外周部に配置され、周方向に配置されて径方向に形成された複数の磁石収納部を有する環状積層鉄心をさらに備え、
    前記磁石収納部に径方向の着磁された第3の永久磁石を収納することにより、前記環状積層鉄心の外周部において周方向に沿ってN磁極とS磁極を交互に形成したことを特徴とする回転電機。
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