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JP3786766B2 - 射出成形機の油圧回路 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は油圧駆動源として固定吐出型油圧ポンプ及びこの油圧ポンプを駆動するサーボモータを備える射出成形機の油圧回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、射出成形機の油圧回路として、油圧駆動源に固定吐出型油圧ポンプ及びこの油圧ポンプを駆動するサーボモータを使用し、サーボモータの回転数を制御することにより当該油圧ポンプの吐出流量と吐出圧力を制御するようにした油圧回路が知られている。
【0003】
ところで、この種の油圧回路では循環する作動油の温度を適温に維持することが、作動油の最適な粘性を確保し、油圧アクチュエータの円滑な作動を担保する上で重要である。作動油の適温は通常40℃前後であるため、運転初期には油圧ポンプ等で発生する熱を利用して循環する作動油を加熱するとともに、40℃前後の設定温度に達したならオイルクーラにより冷却し、運転継続中は設定温度に維持する制御が行われる。一方、サーボモータは作動中にコイルの銅損等により発熱するため、通常、モータシャフトに付設した冷却ファンによる空冷方式の冷却が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の油圧回路は、次のような問題点があった。
【0005】
第一に、冬季等では作動油温度の低下により、作動油が運転開始から適温になるまでかなりの時間を要する。図3には従来の油圧回路における運転経過時間に対する作動油温度とサーボモータ温度の関係を一例としてTor(作動油温度)とTmr(サーボモータ温度)により示すが、運転開始時の温度が20℃の場合、作動油温度Torが適温に達するまでは30分程度の時間を要し、結局、この間は安定成形を行えないとともに、生産効率の低下を招く。
【0006】
第二に、サーボモータは空冷方式により冷却されるが、成形サイクルの高速化によりサーボモータの消費電力が大きくなった場合には、十分に冷却できず、図3に示すTmrのように発熱が大きくなるとともに、温度ドリフトによる制御誤差を生じやすい。しかも、冷却ファンによる風により埃等が発生しやすくなるため、射出成形機や成形品にとっても好ましいものではない。
【0007】
本発明はこのような従来の技術に存在する課題を解決したものであり、運転開始時における作動油の昇温時間を短縮して成形立上時の安定性を速やかに確保し、生産効率の向上を図るとともに、サーボモータにおける冷却ファンの排除と十分な冷却の確保を同時に実現する射出成形機の油圧回路の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び実施の形態】
本発明は、油圧駆動源2として固定吐出型油圧ポンプ3c及びこの油圧ポンプ3cを駆動するサーボモータ4sを備えるとともに、油圧ポンプ3cにより循環する作動油Oを冷却するオイルクーラ5を備える射出成形機の油圧回路1を構成するに際して、作動油Oとサーボモータ4sの間で熱交換を行うことにより、サーボモータ4sの発熱により作動油Oを加熱し、かつ作動油Oによりサーボモータ4sを冷却する熱交換部6を設けたことを特徴とする。
【0009】
この場合、好適な実施の形態により、熱交換部6は、作動油Oが循環する送油管10をサーボモータ4sの外面に巻付けて構成できるとともに、特に、この形態では、作動油Oの温度を検出し、検出した温度が設定値以下のときは作動油Oを熱交換部6に流し、かつ検出した温度が設定値を越えたときは作動油Oを熱交換部6をバイパスして流すバイパス機能部11を設けることができる。また、熱交換部6は、作動油Oを収容するオイルタンク12とサーボモータ4s間の伝熱部位13により構成することもできる。
【0010】
これにより、作動油Oとサーボモータ4sの間には熱交換部6が介在するため、射出成形機の運転開始時に、作動油Oの温度が低い場合には、固定吐出型油圧ポンプ3cで発生する熱により加熱されることに加え、サーボモータ4sの発熱によっても加熱されるため、作動油Oが適温(設定温度)に達するまでの昇温時間が短縮される。一方、作動油Oは適温に達した後、オイルクーラ5によって設定温度となるように冷却制御されるため、サーボモータ4sは作動油Oによる油冷方式によって冷却される。
【0011】
【実施例】
次に、本発明に係る好適な実施例を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0012】
まず、第一実施例に係る油圧回路1の構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0013】
図1中、Mは射出成形機であり、射出装置M1と型締装置M2を備える。一方、油圧回路1において、21は各種制御弁等を備える油圧パネルであり、この油圧パネル21には射出成形機Mにおける各種油圧アクチュエータが接続される。実施例は、油圧パネル21に接続される油圧アクチュエータとして、射出装置M1の射出シリンダ22及び型締装置M2の型締シリンダ23を例示する。
【0014】
また、2は油圧駆動源であり、油圧ポンプ3を構成する固定吐出型油圧ポンプ3cと、この油圧ポンプ3cを駆動する駆動モータ4を構成するサーボモータ4sを備える。この油圧駆動源2は、サーボモータ4sの回転数を制御することにより油圧ポンプ3cの吐出流量と吐出圧力を制御できる。そして、油圧ポンプ3cの吐出ポート3oは油圧パネル21の供給ポート21iに接続するとともに、油圧ポンプ3cの吸入ポート3iはオイルタンク24に接続する。これにより、油圧ポンプ3cから吐出する作動油Oは油圧パネル21の供給ポート21iを通して射出成形機Mの油圧アクチュエータに供給される。
【0015】
他方、油圧パネル21には射出成形機Mの油圧アクチュエータから戻される作動油Oを排出する排出ポート21oを備え、この排出ポート21oは本発明に従ってサーボモータ4sに付設した熱交換部6を介してオイルクーラ5の入口ポート5iに接続する。この場合、熱交換部6は図2に示すように、油圧パネル21の排出ポート21oとオイルクーラ5の入口ポート5iを接続する送油管10を、サーボモータ4sの外面に密着するように巻付けて構成する。また、オイルクーラ5の出口ポート5oはオイルタンク24に接続する。なお、25は油圧ポンプ3cとオイルクーラ5間に接続したケースドレイン(外部ドレイン)、26はサーボモータ4sのモータシャフトを示す。
【0016】
次に、第一実施例に係る油圧回路1の動作について、図1〜図3を参照して説明する。
【0017】
今、比較的寒い気温環境下で射出成形機Mの運転を開始する場合を想定する。まず、電源の投入により、サーボモータ4sが作動して油圧ポンプ3cが駆動せしめられる。これにより、油圧ポンプ3cには吸入ポート3iからオイルタンク24の作動油Oが吸入されるとともに、油圧ポンプ3cの吐出ポート3oから作動油Oが吐出し、この吐出した作動油Oは油圧パネル21の供給ポート21iに供給される。一方、射出成形機Mの油圧アクチュエータは停止しているため、油圧パネル21の供給ポート21iに供給された作動油Oは排出ポート21oから排出(リリーフ)され、熱交換部6を備える送油管10及びオイルクーラ5を通ってオイルタンク24に戻される。
【0018】
この際、一例として、作動油Oの設定温度が40℃,運転開始時の温度が20℃であるとした場合、運転初期にはオイルクーラ5は作動しないため、油圧駆動源2の回路を循環する作動油Oは、油圧ポンプ3等で発生する熱により加熱されるとともに、さらに、サーボモータ4sの発熱によっても加熱される。即ち、サーボモータ4sで発生した熱は、当該サーボモータ4sに巻付けられた送油管10(熱交換部6)に伝達され、送油管10を流れる作動油Oが熱交換により加熱される。図3は運転経過時間に対する作動油温度Toとサーボモータ温度Tmの関係を示すが、同図に示すように、熱交換部6を設けることにより、作動油Oが適温となる設定温度(40℃)に達するまでの昇温時間が短縮される。実施例で示す作動油温度Toの場合、昇温時間は20分程度となり、熱交換部6を用いない従来の技術(Tor)に比べて10分程度短縮される。よって、成形立上時の安定性が速やかに確保され、生産効率の向上が図られる。
【0019】
一方、作動油温度Toが上昇して設定温度(40℃)に達した場合には、不図示の温度センサによる検出に基づいてオイルクーラ5が作動し、作動油Oが冷却される。即ち、作動油温度Toが設定温度を維持するようにフィードバック制御される。また、設定温度に維持された作動油Oは熱交換部6を構成する送油管10を流れるため、今度はサーボモータ4sが熱交換部6による油冷方式により冷却され、図3にTmで示すように、十分かつ安定した冷却が確保されることにより、温度ドリフトによる制御誤差が低減される。しかも、冷却ファンが不要になるため、冷却ファンによる埃等の発生がなくなるとともに、コスト面でも有利になる。
【0020】
他方、図4及び図5には第二実施例を示す。なお、図4及び図5における図1及び図2と同一部分にはそれぞれ同一符号を付し、各部の構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0021】
第二実施例は、熱交換部6を構成するに際し、作動油Oを収容するオイルタンク12とサーボモータ4s間の伝熱部位13により構成したものである。即ち、オイルタンク12の側面部12sにサーボモータ4sを収容する収容凹部31を設け、この収容凹部31にサーボモータ4sを収容した。したがって、この収容凹部31の壁面が伝熱部位13となる。第二実施例の場合には、油圧パネル21の排出ポート21oとオイルクーラ5が直接送油管10により接続される。なお、基本的な動作及び作用は第一実施例と同じである。
【0022】
さらに、図6には図1に示した第一実施例の変更例を示す。この変更例は、熱交換部6に対してバイパス機能部11を付設したものである。このバイパス機能部11は、作動油Oの温度を温度センサ41により検出し、検出した温度が設定値以下のときは、三方切換弁42を一方側に切換えて作動油Oを熱交換部6に流すとともに、検出した温度が設定値を越えたときは、三方切換弁42を他方側に切換えて作動油Oをバイパス管43に流し、熱交換部6をバイパスさせる機能を有する。このような変更例は、運転立上時にサーボモータによる作動油の加熱は行われるも、作動油によるサーボモータの冷却は行われない。したがって、発熱を伴うも冷却が不要なサーボモータ、即ち、自然冷却方式のサーボモータを用いた場合に適用できる。
【0023】
以上、実施例について詳細に説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、細部の構成,形状等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。例えば、第二実施例において、サーボモータ4sを耐油処理し、直接オイルタンク12の中に収容することにより、モータシャフト26のみをオイルタンク12の外部に露出させる構造であってもよい。
【0024】
【発明の効果】
このように、本発明に係る射出成形機の油圧回路は、固定吐出型油圧ポンプにより循環する作動油とサーボモータの間で熱交換を行うことにより、サーボモータの発熱により作動油を加熱し、かつ作動油によりサーボモータを冷却する熱交換部を設けたため、次のような顕著な効果を奏する。
【0025】
▲1▼ 運転初期における作動油の昇温時間を短縮できるため、成形立上時の安定性を速やかに確保し、生産効率の向上を図ることができる。
【0026】
▲2▼ サーボモータに対する十分かつ安定した冷却を確保し、温度ドリフトによる制御誤差を低減するとともに、同時に冷却ファンを不要にできるため、冷却ファンによる埃等の発生がなくなり、しかも、コスト面でも有利になる。
【0027】
▲3▼ 別途の追加部品を使用することなく容易かつ低コストに実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例に係る油圧回路のブロック系統図を含む射出成形機の構成図、
【図2】同油圧回路に備える熱交換部の一部断面構成図、
【図3】同油圧回路における運転経過時間に対する作動油温度とサーボモータ温度の関係を示す特性図、
【図4】本発明の第二実施例に係る油圧回路のブロック系統図、
【図5】同油圧回路に備える熱交換部の断面構成図、
【図6】第一実施例の変更例に係る油圧回路のブロック系統図、
【符号の説明】
1 油圧回路
2 油圧駆動源
3c 固定吐出型油圧ポンプ
4s サーボモータ
5 オイルクーラ
6 熱交換部
10 送油管
11 バイパス機能部
12 オイルタンク
13 伝熱部位
O 作動油

Claims (4)

  1. 油圧駆動源として固定吐出型油圧ポンプ及びこの油圧ポンプを駆動するサーボモータを備えるとともに、前記油圧ポンプにより循環する作動油を冷却するオイルクーラを備える射出成形機の油圧回路において、前記作動油と前記サーボモータの間で熱交換を行うことにより、前記サーボモータの発熱により前記作動油を加熱し、かつ前記作動油により前記サーボモータを冷却する熱交換部を設けたことを特徴とする射出成形機の油圧回路。
  2. 前記熱交換部は、前記作動油が循環する送油管を前記サーボモータの外面に巻付けて構成することを特徴とする請求項1記載の射出成形機の油圧回路。
  3. 前記作動油の温度を検出し、検出した温度が設定値以下のときは前記作動油を前記熱交換部に流し、かつ検出した温度が設定値を越えたときは前記作動油を前記熱交換部をバイパスして流すバイパス機能部を備えることを特徴とする請求項2記載の射出成形機の油圧回路。
  4. 前記熱交換部は、前記作動油を収容するオイルタンクと前記サーボモータ間の伝熱部位により構成することを特徴とする請求項1記載の射出成形機の油圧回路。
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