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JP3790487B2 - ポリカーボネート樹脂の製造方法および光学用成形品 - Google Patents
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JP3790487B2 - ポリカーボネート樹脂の製造方法および光学用成形品 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂の製造方法および光学用成形品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート樹脂の製造方法に関する。さらに詳しくは長期的に光学的に影響の少ない光学用成形品に好適なポリカーボネート樹脂を製造する方法である。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は、耐熱性や低吸水性に優れ、特に透明性が優れているがゆえに、CD(コンパクトディスク)、CD−R、MO(光磁気ディスク)、DVD(デジタルバーサタイルディスク)等の光ディスク基板、CD用光ピックアップレンズ、コンパクトカメラ用レンズ、デジタル画像機器用レンズ(fθレンズ、シリンドリカルレンズ、トーリックレンズ等)等の光学レンズ、VDR(ビジュアルディスプレイターミナル)フィルター用、LCD(液晶ディスプレイ)用等の位相差フィルムなどの光学用成形品に使用されている。光学用途に使用されるポリカーボネート樹脂は、光線透過性の妨げになる為、一定レベル以下の異物含有量であることが要求されている。また、ポリカーボネート樹脂を長期間にわたり高温、高湿下に放置した際に発生する微小な白点も光線透過性の妨げになる為、その長期信頼性という面から抑制が必要であった。それぞれの用途の高性能、高機能化に伴い、光学材料に対する微粒子低減の要求レベルは厳しくなり、高温、高湿下で発生する微小な白点も従来よりも抑制が必要となっている。
【0003】
特開昭61−90345号公報には、光ディスク基板中に含まれる粒径0.5μm以上の大きさの異物量を1×105個/g以下とし、且つこの条件を満足させる為にモノマーなどの使用原料中の異物を蒸留及び/またはろ過によって除去するとともに、製造設備の洗浄及び製造工程における異物の混入を防止する必要があることが開示されている。
【0004】
また、特開昭63−91231号公報には、信頼性の高い光ディスク基板を得るためには粒径1μm以上の大きさの異物量を10000個/g以下とすることが必要であり、かつこの条件を満足させるために有機溶媒により溶解せしめた溶液を濾過したり、溶融状態のときに焼結金属フィルターを通して異物微粒子を除去した樹脂組成物で光ディスク基板を形成する技術が開示されている。
【0005】
また、特開2000−169571号公報には、デジタルバーサタイルディスク等の光学用ポリカーボネート樹脂成形材料及び光ディスクに関し、0.5μm以上の異物が10000個/g以下で、かつ粒径20μm以上の異物が200個/g以下とすることで、エラー率とトラッキング外れ発生率の少ない光ディスク基板が得られることが提案されている。
【0006】
光学用ポリカーボネート樹脂に含まれる異物の原因として、ポリカーボネート樹脂の製造工程における異物除去が不十分であること、使用設備の腐食による異物の混入、使用設備の金属部との接触による異物の混入、その他設備の外気吸引による異物の混入等、異物の除去不足、設備の不備等が原因と考えられる。これらの原因により発生する異物は、フィルターの強化、設備の調整、設備の材質変更等にて対処することができ、光学用途に適したポリカーボネート樹脂が製造される。
【0007】
光学用途に適したポリカーボネート樹脂を製造するに当たり、その他の異物発生の原因として、ポリカーボネート樹脂の製造過程に使用される水が考えられる。水に含まれる異物は、ポリカーボネート樹脂の品質を大きく作用するものである。特に界面重合法によって製造されるポリカーボネート樹脂は、多量の水を使用し、製造される為、大きく影響される。また、溶融重合法によって製造されるポリカーボネート樹脂においても、水が直接ポリカーボネート樹脂に接触する工程、例えばペレット化工程が存在する場合は、水の影響を受けることは当然である。
【0008】
通常、工業的に使用される水は、用途によってその要求特性が異なるが、蒸留法、イオン交換法、逆浸透膜法、限外ろ過法、精密ろ過法等、これらの方法単独またはこれらの組み合わせによって製造される。ポリカーボネート樹脂の製造工程において使用される水は、イオン交換法、逆浸透膜法またはこれらの組み合わせによって製造された水を使用する場合が一般的である。
【0009】
特許第2855572号公報では、溶融押出されたポリカーボネートの冷却に用いる水として、電気伝導度が1mS/cm以下、0.5〜25μmの異物量が105以下である水を使用することが示されている。しかしながら、この公報で使用される水はその品質が未だ不十分であり、また、水の備蓄中あるいは輸送中に微粒子がコンタミしたり水中で微生物が増殖することがあり、このような水を使用すると得られたポリカーボネート樹脂を特に高密度の光ディスク用の材料として用いた場合に長期信頼性に劣るという問題がある。
【0010】
近年の光ディスクの高密度化、液晶画像の高解像度化に伴い、光学レンズ、位相差フィルム用途を含めた光学材料に対する微粒子低減の要求レベルは厳しくなり、長期信頼性の面で、高温、高湿下で発生する微小な白点も従来よりも抑制が必要となっている。従来の水の管理レベルで製造したポリカーボネート樹脂では、長期信頼性の要求に答えられなくなってきている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、長期信頼性の向上した高密度化の光ディスク、光学レンズ、位相差フィルム等に対応できるポリカーボネート樹脂を製造する方法を提供することにある。
【0012】
本発明者は、この目的を達成せんとして鋭意研究を重ねた結果、一定水準以上の純水を、ポリカーボネート樹脂の製造工程において使用することによって、上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
【0013】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、ポリカーボネート樹脂の製造工程において、ポリカーボネート樹脂またはポリカーボネート樹脂溶液と接触する水として、導電率1μS/cm以下、トータルオーガニックカーボン(TOC)100ppb以下、粒径0.5μm以上の微粒子が150個/ml以下である純水を使用することを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法が提供される。
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】
本発明の対象とするポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂またはその溶液と水とが直接接触する工程が製造工程内に存在すれば、その製造方法に特に制限はない。一例として二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させる界面重合法または二価フェノールとジフェニルカーボネート等の炭酸エステルとを反応させる溶融重合法が一般的である。その製造上、多量の水を使用する界面重合法で製造されるポリカーボネート樹脂に、特に本発明の効果が見られる。
【0016】
ここで使用される二価フェノールの代表的な例としてはハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールE)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4′−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどが挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0017】
なかでもビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールM、ビスフェノールZ、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよび9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンからなる郡より選ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単独重合体または共重合体が好ましく、特にビスフェノールAの単独重合体、ビスフェノールAと1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの共重合体、ビスフェノールAと9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンの共重合体、ビスフェノールMと1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの共重合体およびビスフェノールMと9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンの共重合体が好ましく使用される。
【0018】
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライドまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲンまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。炭酸エステルとしてはジフェニルカーボネートが挙げられる。
【0019】
上記二価フェノールとカーボネート前駆体または炭酸エステルを使用して、ポリカーボネート樹脂を製造するに当たっては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0020】
界面重合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が用いられる。酸結合剤は、水にて適当な濃度に希釈して用いられる。
【0021】
有機溶媒としては、常温で水と2相に分離し、ポリカーボネート樹脂を十分に溶解し、且つ水溶性不純物を溶解しない溶媒であればよく、例えば塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、ブロモエタン、ブチルクロライド、クロロプロパンおよびクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。これらの中で塩化メチレンおよびクロロベンゼンが好ましく、塩化メチレンが工業的に特に好ましく用いられる。
【0022】
また、反応促進のために例えばトリエチルアミン等の第三級アミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド等の第四級アンモニウム化合物または第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることが出来る。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜10時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
【0023】
また、かかる重合反応において、通常末端停止剤が用いられる。かかる末端停止剤として、単官能フェノール類を用いることができる。単官能フェノール類は、末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比較して熱安定性に優れている。かかる単官能フェノール類としては、一般的にはフェノールまたは低級アルキル置換フェノール、アリールアルキル置換フェノールを挙げることができる。低級アルキル置換フェノールの具体例としては、p−tert−ブチルフェノール、イソオクチルフェノール、アリールアルキル置換フェノールとしては、p−クミルフェノールが挙げられる。
【0024】
また、他の単官能フェノール類としては、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族ポリエステル基を置換基として有するフェノール類または安息香酸クロライド類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類を使用することができ、これらを用いてポリカーボネート樹脂の末端を封鎖すると、これらは末端停止剤または分子量調節剤として機能するのみならず、樹脂の溶融流動性が改良され、成型加工が容易になるばかりでなく、光学用途として必要な物性、特に樹脂の吸水率を低くする効果があり、好ましく使用される。具体例としては、デシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。脂肪族ポリエステル基を置換基として有するフェノール類としては、ヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアンコシル等が挙げられる。
【0025】
これらの末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル%以上末端に導入されることが望ましく、また、末端停止剤は単独または2種以上混合して用いてもよい。
【0026】
ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で、10,000〜100,000が好ましく、更に好ましくは11,000〜45,000である。その使用目的によって、粘度平均分子量を変更する必要がある。かかる粘度平均分子量は、塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-40.83
c=0.7
【0027】
界面重合法によって製造される重合反応後のポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液(以下、ポリカーボネート樹脂溶液と称することがある)中には、アルカリ金属塩化物、アルカリ水酸化物、未反応二価フェノール等の不純物が溶解した水が含まれている。ポリカーボネート樹脂溶液中のこれらのアルカリ金属塩化物、アルカリ水酸化物、未反応二価フェノール等の不純物の除去には、通常水洗浄が施される。
【0028】
このポリカーボネート樹脂溶液を水洗浄する工程(精製工程と称する)は、ポリカーボネート樹脂溶液と水とを混合後、静置してあるいは遠心分離機等を用いて有機相と水相とを分液し、水溶性の不純物を水相に移動させる事を繰り返し行う方法が用いられ、この方法により精製したポリカーボネート樹脂溶液を得ることができる。精製の状態を確認する方法としては、水洗に使用した水の導電率を測定する方法がよく用いられ、水洗に使用した水と水洗後の水の導電率が同レベルであれば、精製が終了したと判断される。水溶性不純物を十分に除去することにより、得られるポリカーボネート樹脂の色相は良好なものとなる。また、上述のポリカーボネート樹脂溶液は、触媒等の不純物を除去する為に、酸洗浄やアルカリ洗浄を行うことも好ましい。
【0029】
前記水洗の施されたポリカーボネート樹脂溶液は、不溶性不純物である異物を除去することが通常行われる。この異物を除去する方法として濾過する方法が好ましく採用される。濾過に用いるフィルターは、有機溶媒に耐えうる材質であり、例えばセルロース製、セラミックス製、ポリオレフィン系樹脂製及び銅・ステンレス等の金属製材質のもの等が挙げられる。フィルターは、段階的に孔径を小さくしていく方が好ましく、最終的には0.1〜1μmの孔径のものを用いるのが好ましい。
【0030】
次いで、ポリカーボネート樹脂溶液は、溶媒を除去してポリカーボネート樹脂の粉粒体を得る操作が行われる(造粒工程と称する)。ポリカーボネート樹脂粉粒体を得る方法としては、操作や後処理が簡便なことから、ポリカーボネート粉粒体および異物の濾過された温水(好ましくは65〜90℃程度)が存在する造粒装置中に、攪拌状態でポリカーボネート樹脂溶液を連続的に供給して、該溶媒を蒸発させることにより、スラリーまたは湿潤ペーストを製造する方法が採用される。造粒装置としては攪拌槽やニーダーなどの混合機が好ましく採用される。
【0031】
ここでいうスラリーとはポリカーボネート樹脂粉粒体が有機溶媒および水よりなる混合媒体中に懸濁した流動性を有する状態のものであり、湿潤ペーストとは、このスラリーよりも混合媒体の量が少なく、流動しないか或いは流動性が低い状態のものを言う。かかるスラリーおよび湿潤ペーストは、ポリカーボネート樹脂粉粒体1重量部に対して、水0.005〜100重量部および有機溶媒0.001〜1.5重量部からなるポリカーボネート樹脂混合物である。造粒装置内のポリカーボネート樹脂混合物は、乾燥効率の良いポリカーボネート粉粒体を効率良く得る為にスラリー状とすることが好ましい。このスラリーは、ポリカーボネート樹脂粉粒体1重量部に対して、水の量が好ましくは1.0〜100重量部であり、好ましくは1.5〜20重量部である。生成されたスラリーまたは湿潤ペーストは、好ましくは造粒装置の上部または下部から連続的に排出される。
【0032】
前記排出されたスラリーまたは湿潤ペーストは、次いで熱水処理を行うこともできる。熱水処理工程は、かかるスラリーまたは湿潤ペーストを90〜100℃の熱水の入った熱水処理容器に供給するかまたは供給した後に蒸気を吹き込みなどにより水温を90〜100℃にすることによって、スラリーまたは湿潤ペーストに含まれる有機溶媒を除去するものである。
【0033】
前記造粒工程または熱水処理後のスラリーまたは湿潤ペーストは、濾過、遠心脱水機等によってさらに水を除去した後乾燥工程に送られる。乾燥工程に送られるポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂1重量部に対して水の量が0.05〜1.5重量部程度の範囲が好ましい。乾燥機としては、伝導加熱方式でも熱風加熱方式でもよく、ポリカーボネート樹脂が静置、移送または攪拌されていてもよい。乾燥温度は130〜150℃の範囲が好ましい。
【0034】
上記乾燥後得られたポリカーボネート樹脂粉粒体は、用途によっては溶融押出して、ペレット化することがある(ペレット化工程と称する)。使用される溶融押出機としては、単軸押出機、二軸押出機等が使用され、ベント付で、スクリューとダイの間にフィルターを付設した押出機が好ましく用いられる。溶融押出されたストランド状のポリカーボネート樹脂は、冷却バスに張った水中に浸漬または水を振り掛けることにより冷却された後、カッターで切断してペレット化される。
【0035】
界面重合法によって製造されるポリカーボネート樹脂は、多量の水を使用して製造される。従って、使用される水の品質はそのまま、ポリカーボネート樹脂の品質に大きく影響を与えるものである。
【0036】
また、溶融重合法によって製造されるポリカーボネート樹脂においても、ペレット化工程において、ポリカーボネート樹脂の溶融物と水とを接触し冷却する工程を含んでおり、水の影響で、ポリカーボネート樹脂の品質が左右される。
【0037】
本発明で使用される純水は、導電率1μS/cm以下、好ましくは0.8μS/cm以下、より好ましくは0.7μS/cm以下であり、TOC100ppb以下、好ましくは80ppb以下、より好ましくは50ppb以下であり、粒径0.5μm以上の微粒子が150個/ml以下、好ましくは120個/ml以下、より好ましくは100個/ml以下である。かかる純水を安定的に供給できれば、目的の光学用途に適したポリカーボネート樹脂を製造することができる。
【0038】
本発明で使用される純水を製造する際には、使用する膜の種類やモジュールの形式によって異なるが、温度調整、pH調整、微生物対策、懸濁性固体の除去等の前処理を行うことが好ましい。
【0039】
原水の温度は、透過流束に影響する為、使用する膜に適用する温度に調整することが好ましい。また、膜にはpHの許容範囲があるので、原水のpHが膜の許容範囲を超えている場合は、化学薬品にて調整する必要がある。
【0040】
微生物対策には、塩素の添加が有効である。次亜塩素酸ナトリウム等により原水中の塩素濃度が1〜5mg/lとなるように、なるべく上流で添加することが好ましい。後工程で使用する膜によっては残留塩素濃度の上限があるので、膜モジュール入口における塩素濃度が規定値内に入るようにする必要がある。脱塩素方法としては、活性炭による吸着、亜硫酸および亜硫酸水素ナトリウム等を使用して還元する方法があげられる。また、紫外線による殺菌も有効である。
【0041】
懸濁性固体は、原水中に含まれる有機酸、微生物、コロイド状シリカ、泥炭等が考えられる。これらの除去には、ポリ塩化アルミウム(PAC)、固形硫酸バンド等の凝集剤が用いられ、原水中の濁質成分を粗大化した後、濾過して徐濁される。ろ過には、一般的に精密ろ過膜、砂ろ過器等が使用される。凝集剤の量は、原水の濁度に対して注入率の制御が必要である。適正注入率を下回る場合、濁度の原因である微生物、泥炭、コロイド状シリカ等が後工程に流出する。適正注入率を上回ると、残存した凝集剤の分解物が流出する。凝集していない微生物、コロイド状シリカ等および凝集剤の分解生成物である水酸化アルミニウムは、フィルター孔径より大きな径のものでもすり抜けてしまう為、フィルター孔径0.45μm以下の精密ろ過膜を使用しても、完全な除去が困難である。また、限外ろ過膜、逆浸透膜等で、これらを多量に含んだ水を処理すると、目詰まりの為膜の寿命が短くなり好ましくない。
【0042】
これらの前処理は、原水の状態によって必要に応じて実施され、前処理の行われた原水は、蒸留法、イオン交換法、逆浸透膜法等の単独またはその組合せにより、本発明で使用される純水が製造される。
【0043】
蒸留法にて得られた純水は、純水製造時の飛沫同伴に注意して製造されていれば、本発明に使用できる純水が製造できる。但し、備蓄中、輸送中の微生物の発生、微粒子の混入に注意する必要がある。
【0044】
イオン交換法は、微生物及び微粒子の除去能力がなく、またイオン交換樹脂等の欠片の影響で、微粒子が増加する為、得られた純水を使用するまでに微生物及び微粒子を除去する必要がある。微生物は、前処理工程で除去する方が好ましい。微粒子は使用前に除去する必要がある。安定的に目標の純水を得る為には、逆浸透膜法及び/または限外ろ過法と組み合わせて使用すると好ましい。逆浸透膜法と組み合わせる場合は、イオン交換法の前工程、後工程どちらでも使用できる。逆浸透膜法をイオン交換法の前工程に使用する場合は、ポリカーボネート樹脂の製造工程において使用する前に、精密ろ過膜または限外濾過膜にて微粒子を除去する必要がある為、逆浸透膜法をイオン交換法の後工程に使用したほうがコスト的には有利である。限外濾過膜と組み合わせる場合は、限外濾過膜は、イオン交換法の後工程に使用する必要がある。
【0045】
逆浸透膜法は、イオン状物質の除去能力が低い為、安定的に目標の純水を得る為には、イオン交換法と組み合わせて使用するほうが好ましい。イオン交換法と組み合わせる場合は、逆浸透膜法の前工程、後工程どちらでも使用できる。イオン交換法を逆浸透膜法の後工程に使用する場合は、製造工程に使用する前に、更に精密ろ過膜または限外濾過膜にて微粒子を除去する必要がある為、イオン交換法を逆浸透膜法の前工程に使用したほうがコスト的には有利である。
【0046】
本発明で使用される純水は、純水製造時に上記導電率、TOCおよび微粒子量の特性値を満足しているだけでは不十分であり、実際にポリカーボネート樹脂を製造する際に使用される時点で、上記特性値を満足している必要がある。従って、純水を製造してすぐに使用することが望ましいが、備蓄中または輸送中に微粒子がコンタミしたり、また微生物が増殖したりしないように管理する必要がある。純水の備蓄中または輸送中にコンタミした微粒子がある場合は、ポリカーボネート樹脂の製造工程に使用する直前に、精密ろ過膜、逆浸透膜、限外濾過膜等にて再度ろ過する必要がある。また、微生物が増殖した場合は、逆浸透膜、限外ろ過膜を使用して微生物を除去する必要がある。微生物の増殖は、例えば備蓄タンク、配管の液だまり部、サンプリング口の液だまり部等で発生し、TOC及び微粒子量を上昇させる原因となる。発生した微生物は、通常使用する精密ろ過膜のレベルでは、完全な除外が困難である。目標とする0.5μm以上の微粒子を除外する為に、0.45μmのフィルター孔径の精密ろ過膜を使用したとしても、定量的には除外できない。また、フィルター孔径0.22μmの精密ろ過膜を使用したとしても、時間の経過と共に微生物の漏洩が発生する為、安定的に高度に精製された純水を得ることは困難であり、上述したように逆浸透膜や限外ろ過膜を使用することが好ましい。
【0047】
純水の管理・監視方法としては、定期的に純水をサンプリングし、監視する方法が一般的であるが、通常純水製造ラインにて実施されているpH、導電率と共に、TOC、微粒子量を連続的に監視する方法が好ましい。連続的に監視することで、水質悪化を早期に発見でき、品質の低下したポリカーボネート樹脂の製造を予防することができる。各製造工程で実際に使用する純水の導電率、TOCおよび微粒子量を監視する事が好ましい。
【0048】
本発明において、ポリカーボネート樹脂の重合反応に用いられるアルカリ水溶液の水として導電率1μS/cm以下、TOC100ppb以下、粒径0.5μm以上の微粒子が150個/ml以下である純水が使用される。この重合工程において、導電率の高い水を使用した場合、重合反応を阻害することがある。また、TOCの高い水を使用した場合、重合反応後のポリカーボネート樹脂有機溶媒溶液中には、分配率は低くその影響は小さいけれども少量の微生物が含まれる。有機溶媒溶液中に混入した微生物は、次工程の精製工程後の濾過を施しても完全にポリカーボネート有機溶媒溶液の不溶性異物を除去することは困難である。これは、微生物は、その形態がやわらかく、通常異物濾過に使用される精密ろ過膜では、孔径が小さくてもすり抜けてしまう為である。
【0049】
本発明において、重合反応後のポリカーボネート樹脂溶液の精製工程に用いられる洗浄水として前記純水が使用される。かかる精製工程において、導電率の高い水を使用した場合、精製の効率が悪く、また、精製終了時の精製レベルも低くポリカーボネート樹脂溶液中に不純物が残存する。また、TOCが高い水を使用した場合、ポリカーボネート樹脂溶液中に微生物が残存する原因となる。有機溶媒中に残存した微生物は、通常の異物濾過に使用される精密ろ過膜では、孔径が小さくてもすり抜けてしまう為、完全に取り除くことが困難である。また、微粒子の多い水を使用すると、通常除去できるポリカーボネート樹脂溶液中に存在する未溶解の異物の除去効率が低下する。
【0050】
本発明において、ポリカーボネート樹脂溶液からポリカーボネート樹脂粉粒体を得る造粒工程に用いられる温水として前記純水が使用される。かかる造粒工程において、導電率の高い水を使用した場合、ポリカーボネート樹脂粉粒体に含浸した水は、乾燥後に溶解していた不純物を析出させ、ポリマー中に不純物を微粒子として残存することとなり、ポリマー着色の原因、長期信頼性能低下の原因となる。TOCが高い水または微粒子量の多い水を使用した場合もポリマー中に微生物や微粒子が残存することとなり、ポリカーボネート樹脂を殊に光学用成形品として使用した際にその長期信頼性低下の原因となる。
【0051】
本発明において、造粒工程から排出されたスラリーまたは湿潤ペーストを90〜100℃の熱水で処理する際に用いられる熱水として前記純水が使用される。かかる熱水処理工程において、導電率の高い水を使用した場合、ポリカーボネート樹脂粉粒体に含浸した水は、乾燥後に溶解していた不純物を析出させ、ポリマー中に不純物を微粒子として残存することとなり、ポリマー着色の原因、長期信頼性能低下の原因となる。TOCが高い水または微粒子量の多い水を使用した場合もポリマー中に微生物や微粒子が残存することとなり、ポリカーボネート樹脂を殊に光学用成形品として使用した際にその長期信頼性低下の原因となる。
【0052】
また、本発明において、ポリカーボネート樹脂粉粒体を溶融押出してペレット化する工程に用いられる溶融物の冷却水として前記純水が使用される。かかるペレット化工程において、導電率、TOCまたは微粒子量の高い水を溶融物の冷却水として使用した場合、その影響度は低いけれども、ペレット中に微生物や微粒子が残存することとなる。
【0053】
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂には、熱安定剤(燐酸エステル、亜燐酸エステル等)、離型剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の改質改良剤を適宜添加して用いることができる。
【0054】
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂は、CD(コンパクトディスク)、CD−R、MO(光磁気ディスク)、DVD(デジタルバーサタイルディスク)等の光ディスク基板、CD用光ピックアップレンズ、コンパクトカメラ用レンズ、デジタル画像機器用レンズ(fθレンズ、シリンドリカルレンズ、トーリックレンズ等)等の光学レンズ、VDR(ビジュアルディスプレイターミナル)フィルター用、LCD(液晶ディスプレイ)用等の位相差フィルムなどの光学用成形品として好適に使用される。
【0055】
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂は、その長期信頼性において、従来使用されてきたCDや、CDプレーヤー用ピックアップレンズレベルの用途にはそれほど大きな効果を示さないけれども、特に、直径12cm以下で、1GB以上の容量、好ましくは3GB以上の容量を持つDVD等の高密度の光ディスクやブルーレーザー以下の波長に対応する光学レンズ、位相差フィルム等に対し、非常に大きな効果を示す光学用途に適したポリカーボネート樹脂である。
【0056】
【実施例】
以下、実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。なお、評価は下記の方法に従った。
【0057】
(1)FI値(FOULING INDEX)
メンブランフィルター(径:47φ、目開き:0.45μm)を用い、圧力0.21MPaで水をろ過した時の時間を下記式にて算出した値である。
FI値=(1−T0/T15)/15×100
T0:初期500ccのろ過時間
T15:15分後の500ccのろ過時間
※FI値が小さいほど、水中の異物が少ない。
【0058】
(2)水の導電率
実施例、比較例に使用した水を、交流2電極方式の自動導電率計を使用して、換算係数2%/℃で25℃に換算した水の導電率を測定した。
【0059】
(3)TOC
実施例、比較例に使用した水を、湿式酸化−赤外線式TOC分析法(JISK0551−4.4)にて測定した。
【0060】
(4)ペレット微粒子個数
ペレットを、予め0.05μmのフィルターで濾過した塩化メチレンに溶解した溶液を使用して、レーザー光を利用した光散乱/光遮断方式による液体微粒子カウンターに通液し、0.5μm以上のペレット中の異物個数を測定した。
【0061】
(5)湿熱処理後の白点個数
過酷な雰囲気下に長時間放置した際の白点の発生数を確認する為、発生した白点の確認が容易である光ディスク基板を代表サンプルとして取り上げ、光ディスク基板を温度80℃、相対湿度85%に制御した恒温恒湿槽に500時間保持し、その後の大きさ20μm以上の白点発生数を数えた。これを25枚の光ディスク基板についておこない、その平均を求め、これを白点個数とした。白点個数が、多くなると、光ディスク、光学レンズ、位相差フィルム共に悪影響がでる。
【0062】
(6)湿熱処理後のエラー率
過酷な雰囲気下に長時間放置した時の光ディスクのエラー率の増加を再現する為に、光ディスクを温度80℃、相対湿度85%に制御した恒温恒湿槽に500時間保持し、その後のエラー率をデッキ(DVD用:パルステック社製DDU−1000、CD用:オーディオディべロップメント社製CD−CATS)にかけPIエラーを測定した。
【0063】
[実施例1]
(純水の製造)
FI値5.5の原水に、次亜塩素酸ナトリウムを塩素濃度3mg/lとなるように投入し微生物を滅菌後、ポリ塩化アルミニウムを10ppm投入してフロックを発生させた水を、重力式砂ろ過器にてフロックを除去しFI値3の水を得た。亜硫酸にてpH7に調整後、10μmのフィルターを通した後、イオン交換法にて製造した導電率0.7μS/cm、TOC91ppbの純水を、下記のポリカーボネート樹脂の各製造工程で使用する前に、段階的にろ過を実施し、最終的にはフィルター孔径0.45μmの精密ろ過膜を使用して導電率0.7μS/cm、TOC91ppb、レーザー光を利用した光散乱/光遮断方式による液体微粒子カウンターに通液して測定した0.5μm以上の微粒子130個/mlの純水を得た。
【0064】
(ポリカーボネート樹脂の製造)
ビスフェノールAのアルカリ水溶液とホスゲンとを塩化メチレン存在下で末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノールを使用して界面重合法によって反応させ、ポリカーボネート樹脂反応溶液を得た(重合工程)。重合反応終了後の反応溶液を有機相と水相に分離し、得られたポリカーボネート樹脂溶液と水とを攪拌混合し、水相を分離除去する操作を繰り返し、水洗後分離した水相の導電率が使用した水と殆ど同じになるまで水洗した(精製工程)。次いで、このポリカーボネート樹脂溶液をニーダーの温水中に滴下し塩化メチレンを蒸発させスラリーを生成させた(造粒工程)。ニーダーより排出されたスラリーは、95℃の熱水の入った容器に供給した(熱水処理工程)。熱水処理後のスラリーは遠心分離機により脱水され、次いで乾燥機で乾燥しポリカーボネート樹脂パウダーを得た。このポリカーボネート樹脂パウダーは、ベント付き二軸押出機を用いて溶融押出し、ダイより吐出されたストランドは50℃にコントロールされた水を張った冷却バスにより冷却され、その後切断機で切断してペレットを得た(ペレット化工程)。このポリカーボネート樹脂の製造工程において、重合工程のアルカリ水溶液の水、精製工程の洗浄水、造粒工程の温水、熱水処理工程の熱水およびペレット化工程の冷却水の水として、上記(純水の製造)で得られた導電率0.7μS/cm、TOC91ppb、0.5μm以上の微粒子130個/mlの純水を使用した。
【0065】
得られたポリカーボネート樹脂ペレットの粘度平均分子量は15000であった。このペレットを直径120mm、肉厚0.6mmの光ディスク基板に射出成形し、該基板にアルミニウム膜をスパッタし、2枚貼り合わせたDVD4.7GBの光ディスクを得た。光ディスク基板を使用して湿熱処理後の白点個数を、光ディスクを使用してエラー率を測定した。その結果を表1に示した。
【0066】
[実施例2]
FI値5の原水を実施例1と同様の方法で処理して得られた導電率0.7μS/cm、TOC56ppb、0.5μm以上の微粒子110個/mlである純水を使用した以外は、実施例1と同様の方法でポリカーボネート樹脂ペレットを得て評価した。その結果を表1に示した。
【0067】
[実施例3]
FI値5の原水を実施例1と同様の方法で処理して得られた導電率0.7μS/cm、TOC56ppb、0.5μm以上の微粒子110個/mlである純水を精製工程の洗浄水、造粒工程の温水、熱水処理工程の熱水およびペレット化工程の冷却水として使用し、後述する比較例1で得られた導電率0.9μS/cm、TOC180ppb、0.5μm以上の微粒子180個/mlである純水を重合工程のアルカリ水溶液の水として使用した以外は、実施例1と同様の方法でポリカーボネート樹脂ペレットを得て評価した。その結果を表1に示した。
【0068】
[実施例4]
FI値5の原水を実施例1と同様の方法で処理して得られた導電率0.7μS/cm、TOC56ppb、0.5μm以上の微粒子110個/mlである純水を造粒工程の温水、熱水処理工程の熱水およびペレット化工程の冷却水として使用し、後述する比較例1で得られた導電率0.9μS/cm、TOC180ppb、0.5μm以上の微粒子180個/mlである純水を重合工程のアルカリ水溶液の水および精製工程の洗浄水として使用した以外は、実施例1と同様の方法でポリカーボネート樹脂ペレットを得て評価した。その結果を表1に示した。
【0069】
[実施例5]
実施例1において、イオン交換法にて製造した純水をポリカーボネート樹脂の各製造工程に使用する前にRO膜(逆浸透膜)を通して導電率0.7μS/cm、TOC18ppb、0.5μm以上の微粒子86個/mlである純水を得て、この純水を使用する以外は、実施例1と同様の方法でポリカーボネート樹脂ペレットを得て評価した。その結果を表1に示した。
【0070】
[実施例6]
実施例1において使用された導電率0.7μS/cm、TOC91ppb、0.5μm以上の微粒子130個/mlである純水を、ビスフェノールAとジフェニルカーボネートを溶融重合法で重合して得られたポリカーボネート樹脂溶融物のペレット化工程の冷却水として使用した。得られたポリカーボネート樹脂ペレットの粘度平均分子量は15000であった。このペレットを実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表1に示した。
【0071】
[実施例7]
実施例1において、ビスフェノールAの代わりにビスフェノールMと1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(モル比1:1)を使用した以外は実施例1と同様の方法でポリカーボネート樹脂ペレットを得た。得られたポリカーボネート樹脂ペレットの粘度平均分子量は14800であった。このペレットを実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表1に示した。
【0072】
[実施例8]
実施例1において、ビスフェノールAの代わりにビスフェノールAと9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(モル比1:1)を使用した以外は実施例1と同様の方法でポリカーボネート樹脂ペレットを得た。得られたポリカーボネート樹脂ペレットの粘度平均分子量は14800であった。このペレットを実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表1に示した。
【0073】
[比較例1]
実施例1と同様の方法で微生物除去の前処理工程を経て、イオン交換法にて製造された導電率0.7μS/cm、TOC91ppbの純水を、ポリカーボネート樹脂の各製造工程で使用するまでに、開放ベントのある備蓄タンク内で3日間保管した。この保管した水を用い、段階的にろ過を実施し、最終的にはフィルター孔径0.45μmの精密ろ過膜を使用して、導電率0.9μS/cm、TOC180ppb、レーザー光を利用した光散乱/光遮断方式による液体微粒子カウンターに通液して測定した0.5μm以上の微粒子180個/mlの純水を得た。該純水を、実施例1と同様の方法でポリカーボネート樹脂の各製造工程において使用した。得られたポリカーボネート樹脂ペレットの粘度平均分子量は15000であった。このペレットを実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表1に示した。
【0074】
[比較例2]
実施例1において、原水の微生物前処理工程で用いた凝集剤であるポリ塩化アルミニウム量を20ppmに変更する以外は実施例1と同様の方法で、導電率0.8μS/cm、TOC35ppb、レーザー光を利用した光散乱/光遮断方式による液体微粒子カウンターに通液して測定した0.5μm以上の微粒子230個/mlの純水を得た。該純水を、実施例1と同様の方法でポリカーボネート樹脂の各製造工程において使用した。得られたポリカーボネート樹脂ペレットの粘度平均分子量は15000であった。このペレットを実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表1に示した。
【0075】
[比較例3]
比較例1で得られたポリカーボネート樹脂ペレットを直径120mm、肉厚1.2mmの光ディスク基板に射出成形し、該基板にアルミニウム膜をスパッタし、650MBのCDの光ディスクを得た。光ディスク基板を使用して湿熱処理後の白点個数を、光ディスクを使用してエラー率を測定した。その結果を表1に示した。
【0076】
【表1】
Figure 0003790487
【0077】
【発明の効果】
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法によれば、導電率1.0μS/cm以下、TOC100ppb以下、0.5μm以上の微粒子が150個/ml以下の水を、ポリカーボネート樹脂の製造工程に使用する事で、成形品の湿熱処理後の白点発生を抑制することができ、デジタルバーサタイルディスク等の高光線透過性能の要求に対応できる長期信頼性に優れた光学用成形品に適したポリカーボネート樹脂を提供でき、その奏する効果は格別のものである。

Claims (7)

  1. ポリカーボネート樹脂の製造工程において、ポリカーボネート樹脂またはポリカーボネート樹脂溶液と接触する水として、導電率1μS/cm以下、トータルオーガニックカーボン(TOC)100ppb以下、粒径0.5μm以上の微粒子が150個/ml以下である純水を使用することを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
  2. 純水の導電率が0.8μS/cm以下である請求項1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  3. 純水のTOCが80ppb以下である請求項1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  4. 純水に含まれる0.5μm以上の微粒子が100個/ml以下である請求項1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  5. ポリカーボネート樹脂の造粒工程以降において、請求項1記載の純水を使用するポリカーボネート樹脂の製造方法。
  6. ポリカーボネート樹脂の精製工程以降において、請求項1記載の純水を使用するポリカーボネート樹脂の製造方法。
  7. ポリカーボネート樹脂のペレット化工程において、請求項1記載の純水を使用するポリカーボネート樹脂の製造方法。
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