JP3791327B2 - 動力伝達装置、給紙装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯欠けギアを用いて動力伝達を行う動力伝達装置とこれを用いた給紙装置、さらには当該給紙装置を備える画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ファクシミリ装置、複写機、プリンタ等の画像形成装置には、画像形成部に向けて用紙を送り出す給紙装置が組み込まれている。給紙装置としては、給送対象となる用紙を給紙台の上に積載し、その最上位に配置された用紙から順に送り出すものが知られている。また、給紙装置には、モータ等の駆動源によって得られる駆動力をギア列によって伝達する動力伝達装置が具備されている。
【0003】
給紙装置の動力伝達装置には、例えば給紙ロール等の回転制御のために歯欠けギアを用いたものがある。歯欠けギアとは、ギアの円周上で歯の一部が欠如した構造のものである。この歯欠けギアを用いた場合は、これに噛み合う相手側ギアと対向する位置に歯欠部を配置することで、両ギア間での動力伝達が遮断された状態となる。また、この状態で歯欠けギアを所定量だけ回転動作させると、相手側ギアに歯欠けギアの歯が噛み合い、これによって両ギア間で動力伝達がなされる。
【0004】
一般に、歯欠けギアと相手側ギアとの関係は、回転制御上の理由から、歯欠けギアが従動側、相手側ギアが駆動側となる。つまり、歯欠けギアは、回転駆動している相手側ギア(以下、駆動ギア)に噛み合うことで回転力を得る。そのため、駆動ギアとの噛み合いによる歯欠けギアの回転動作は、駆動ギアに歯欠けギアの歯が噛み合ってから、その噛み合いが外れるまで(駆動ギアとの対向位置に歯欠部が戻るまで)の期間に限定される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、歯欠けギアを駆動ギアに噛み合わせる際には、噛み合い始める瞬間に両ギアの歯面同士が衝突して衝突音が発生し、これが耳障りになる。そこで、特開平8−113375号公報には、図10に示すように、歯欠けギア51の構成として、駆動ギア(相手側ギア)と噛み合い始める始端側の数個の歯52を軟質な歯とした動力伝達装置が開示されている。しかしながら、この公報に開示された技術では、駆動ギアに対して歯欠けギア51が常に同じ歯から噛み合い始め、この噛み合い始めの歯を軟質な歯52とするため、駆動ギアとの噛み合い動作を繰り返すことで軟質な歯52の摩耗が激しくなるうえ、歯形状の劣化も顕著になるという不具合があった。また、駆動ギアに軟質な歯52が噛み合っている間は大きなトルクを伝達できないという難点もあった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その主たる目的は、歯欠けギアに軟質な歯を設けなくても、歯欠けギアと駆動ギアとが噛み合い始めるときの衝撃を緩和することができる動力伝達装置とこれを用いた給紙装置、並びに画像形成装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、円周上で歯の一部が欠如した歯欠部を有する歯欠けギアと、この歯欠けギアに動力を伝達すべく回転駆動する駆動ギアと、この駆動ギアに歯欠部を対向させた動作開始ポジションで歯欠けギアの回転をロックするとともに、そのロックを解除することにより歯欠けギアを回転動作させて駆動ギアに噛み合わせる作動手段とを有する動力伝達装置とこれを用いた給紙装置、並びに画像形成装置に係り、特に、動力伝達装置の構成として、駆動ギアと同じ方向に回転駆動する緩衝ロールと、歯欠けギアと一体に回転するとともに、この回転によって周回移動する突起部を有し、かつ作動手段によるロック解除によって歯欠けギアが駆動ギアに噛み合い始める前に突起部が緩衝ロールに接触するように配置された回転体とを備えたものとなっている。
【0008】
上記構成の動力伝達装置においては、作動手段によるロック解除によって歯欠けギアが駆動ギアに噛み合い始める前に回転体の突起部を緩衝ロールに接触させることにより、両ギアが噛み合い始めるときの機械的な衝撃が緩和される。そのため、歯欠けギアに軟質な歯を設けなくても、噛み合い開始時の衝撃による音や振動の発生を抑えることが可能となる。また、突起部が緩衝ロールに接触した状態では、歯欠けギアが緩衝ロールと連れ回るため、駆動ギアと歯欠けギアとの噛み合いもスムーズに行われる。さらに、作動手段によるロックを解除した際には、回転中の緩衝ロールに任意のタイミングで突起部が接触するため、緩衝ロール上での突起部の接触位置がその都度異なるものとなる。したがって、緩衝ロールの摩耗を極力軽減することが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。図示した画像形成装置は、一様に帯電した後、像光を照射することにより表面に静電潜像が形成される像担持体1と、この像担持体1の表面を一様に帯電する帯電器2と、画像データに基づいて像担持体1に像光を照射し静電電位の差による潜像を形成する像書き込み装置3と、上記潜像にトナーを選択的に転移して可視化する現像器4と、用紙搬送路8に沿って搬送される用紙に像担持体1表面のトナー像を転写する転写器5と、用紙上のトナー像を加熱・加圧して融着させる定着器5と、トナー像が転写された後の像担持体1に残留するトナーを清掃するクリーナー7とを有している。また、画像形成装置の下部には、画像形成の対象となる用紙を収容し、これを一枚ずつ送り出す給紙装置9と、この給紙装置9によって送り出された用紙を所定のタイミングでトナー像の転写位置へ搬送するレジストロール10が備えられている。
【0011】
上記構成において、像担持体1は、表面に感光体層を有し、一様に帯電した後の露光により、露光部の電位が減衰するものである。帯電器2は、像担持体1に当接されるロール状の部材であり、これらの間に電圧が印加されることによって、当接部付近の微小間隙内で放電を発生させ、像担持体1の表面をほぼ一様に帯電するものである。帯電器としては、上記のロール状のもの以外に、電極ワイヤに高電圧を印加し、コロナ放電によって像担持体1の表面を帯電するものもある。
【0012】
像書き込み装置3は、点滅するレーザー光を像担持体1の外周面上で軸方向に走査させることにより、画像データに基づいた静電潜像を像担持体1の外周面上に形成するものである。像書き込み装置3としては、LED等の発光素子を配列し、これらを画像データに基づいて点滅させるものでもよい。
【0013】
現像器4は、像担持体1と近接して対向するように配置された円筒状の現像ロール4aを有する。この現像器4では、現像ロール4aと像担持体1との間に現像バイアス電圧が印加されることにより、両者の間に現像バイアス電界が形成される。これにより、電荷を有するトナーは像担持体1上の露光部に転移するため、像担持体1上にトナーによる可視像が形成される。
【0014】
転写器5は、像担持体1と対向するように設けられたロール状の部材であり、像担持体1との間に転写電界を形成することによって、通過する用紙上にトナー像を転写させるものである。
【0015】
給紙装置9は、上下に配置された2つの給紙トレイ部11,12と、上側の給紙トレイ部11に収容された用紙を送り出す第1の給紙ロール13と、下側の給紙トレイ部12に収容された用紙を送り出し第2の給紙ロール14と、これら第1,第2の給紙ロール13,14に圧接される捌き用の摩擦部材(リタードパッド)を支持するホルダー部材17,18とを有している。
【0016】
上記第1,第2の給紙トレイ部11,12のうち、上側の給紙トレイ部11は手差し式となっており、任意の大きさの用紙を差し入れて使用できるようになっている。また、下側の給紙トレイ部12はカセット式となっており、画像形成装置の本体部に対して脱着(抜き差し)できるようになっている。
【0017】
図2は本発明の実施形態に係る給紙装置に適用された動力伝達装置の構成を示す斜視図であり、図3はその側面図である。図においては、上述した第1の給紙トレイ部11に対応する第1の給紙ロール13が、支軸(シャフト)21に固着されている。支軸21は、画像形成装置の本体フレーム部分(不図示)に回転自在に支持されている。第1の給紙ロール13は、外周面が高摩擦材料によって構成されるもので、全体的には略半月形に形成されている。また、第1の給紙ロール13を支持する支軸21の端部には歯欠けギア22が固着されている。これにより、第1の給紙ロール13は支軸21を介して歯欠けギア22と一体に回転する構成となっている。
【0018】
歯欠けギア22は、例えば硬質のプラスチックによって形成されるもので、ギアの円周上で歯の一部が欠如した構造となっている。この歯欠けギア22では、円周上に所定のピッチで形成された複数の歯のうち、歯22aと歯22bの間で歯が欠如しており、その欠如した部分が歯欠部23となっている。また、歯欠けギア22には、その回転軸方向(歯幅方向)に突出する状態でカム部24が一体に形成されている。これにより、カム部24は歯欠けギア22と一体に回転することになる。
【0019】
カム部24は、その外周面をカム面24aとしたもので、上記歯22a,22bを含む歯の形成部分に隣接して形成されている。カム面24aは、歯欠けギア22のピッチ円と同心円をなす小径部24bと、この小径部24bよりも径の大きい大径部24cと、これら小径部24bと大径部24cとを滑らかに繋ぎ合わせるスロープ部24dとを有している。また、カム面24aの円周方向の一箇所には、小径部24bと大径部24cとの境界部分で段付き構造をなす係止部25が設けられている。
【0020】
カム部24の端面にはバネ掛け部26が形成されている。バネ掛け部26はカム部24の端面の一部を歯欠けギア22の回転軸方向に突出する状態で形成されている。さらにカム部24の端面には、歯欠けギア22の回転軸方向に厚みをもつ突起部27が形成されている。突起部27は、歯欠けギア22の円周方向で歯22aの近傍に配置されている。また、突起部27はカム部24のカム面24aよりも半径方向に突出する状態で形成されている。この突起部27は、歯欠けギア22と一体に形成されたカム部24が回転することで周回移動する。
【0021】
なお、ここでは歯欠けギア22と一体にカム部24を形成し、このカム部24に突起部27を形成しているが、これ以外にも、歯欠けギア22と別体で支軸21に回転体を取り付け、この回転体に突起部を形成したものであってもよい。ただし、本実施形態のように歯欠けギア22と一体にカム部24を形成した場合は、部品点数の増加を回避できるため、コスト低減や組立性の向上を図るうえで好ましいものとなる。
【0022】
また、上述したバネ掛け部26にはコイルバネ28の一端部が引っ掛けられている。コイルバネ28の他端部は画像形成装置の本体フレーム側に掛止されている。これにより、歯欠けギア22にはコイルバネ28のバネ力(引っ張り力)によってA方向に回転させようとする付勢力が付与されている。このA方向への歯欠けギア22の回転により、上述した歯22aは後述する駆動ギアと噛み合い始める歯(以下、始端歯という)となる。また、上述した歯22bは後述する駆動ギアと噛み合い終わる歯(以下、終端歯という)となる。
【0023】
また、歯欠けギア22の近傍にはフラッパタイプのソレノイド29が配設されている。このソレノイド29にはフラッパ構造をなすアーマチュア30が設けられている。アーマチュア30はソレノイド29の励磁状態に応じて作動するものである。アーマチュア30の後端部にはコイルバネ31の一端部が引っ掛けされている。コイルバネ31の他端部は、ソレノイド29のベース部材32から突出する突出片33に掛止されている。これにより、アーマチュア30の後端部はコイルバネ31の引っ張り力によって一方向に付勢されている。
【0024】
一方、アーマチュア30の先端部には曲げ成形によってフック状のストッパー部30aが形成されている。このストッパー部30aは、上述のように歯欠けギア22のカム面24aに形成された係止部25に係止されている。これらストッパー部30aと係止部25との係止状態は、コイルバネ31の付勢力によって保持されている。また、上述したコイルバネ28によるA方向への歯欠けギア22の回転動作は、係止部25にストッパー部30aが係止することで規制(回転ロック)されている。この回転ロック状態における歯欠けギア22の停止ポジションが動作開始ポジション(ホームポジション)となっている。
【0025】
さらに、歯欠けギア22の近傍には、相手側ギアとなる駆動ギア35が配設されている。この駆動ギア35は、モータ等の駆動源によってB方向に回転駆動されるもので、例えば硬質のプラスチックによって構成されている。駆動ギア35の円周上には所定のピッチで複数の歯が連続して形成されている。駆動ギア35の片側の端面部には、当該駆動ギア35と同心円をなす円筒部36が一体に形成されている。円筒部36は、駆動ギア35の刃底円の直径よりも小さな外径をもって駆動ギア35の回転軸方向(歯幅方向)に突出する状態で形成されている。
【0026】
駆動ギア35の円筒部36の外周側には緩衝ロール37が嵌め込まれている。この緩衝ロール37については、駆動ギア35と同軸上に別途、円筒部材を設け、この円筒部材に嵌合させて取り付けることも可能であるが、部品点数の増加を回避するうえでは、上述のように駆動ギア35に一体に形成された円筒部36に装着することが望ましい。
【0027】
緩衝ロール37は、例えばEPDM(ethylene-propylene-dienomethylene-rubber)などのゴム材で構成することで適度なゴム状弾性と高い摩擦特性を有するもので、駆動ギア35と同軸上に配置されている。また、歯欠けギア22が動作開始ポジションに保持された状態では、緩衝ロール37が、両ギア22,35の回転軸中心を結ぶ軸線よりも始端歯22a寄りでかつ上述した突起部27と所定の間隙を隔てて対向する位置に配置されている。この緩衝ロール37は適度な厚み(例えば、肉厚寸法が2.0〜3.0mm)を有する円形のリング状に成形されている。また、緩衝ロール37の外径は駆動ギア35の歯底円の直径とほぼ等しく設定されている。
【0028】
ここで、歯欠けギア22の回転軸中心と駆動ギア35の回転軸中心との間の距離(軸間距離)を“L1”、歯欠けギア22の回転軸中心から突起部27の先端部までの距離を“L2”、歯欠けギア22の回転軸中心からカム面24aまでの距離を“R1”、駆動ギア35の回転軸中心から緩衝ロール37の外周面までの距離(緩衝ロール37の外径)を“R2”とした場合、これらの寸法関係は、L2>R1の条件及びL1<L2+R2の条件を満たすように設定される。このことから、2つの回転軸中心を結ぶ軸線上に突起部27が存在した際には、D=L2+R1−L1の寸法をもって突起部27と緩衝ロール37の位置が干渉する構成となっている。具体的な寸法例を挙げると、L1=31.6mm、L2=21.2mm、R1=18.8mm、R2=10.8mm、D=0.4mmとなる。
【0029】
上記構成からなる動力伝達装置を有する給紙装置では、第1の給紙トレイ部11に収容された用紙の最上位置が第1の給紙ロール13に近接した状態で保持される。このように保持された用紙を第1の給紙ロール13によって送り出すにあたって、歯欠けギア22は、アーマチュア30のストッパー部30aがカム面24a上の係止部25に係止されることで回転ロックされ、動作開始ポジションに保持される。この動作開始ポジションでは、歯欠けギア22の歯欠部23が駆動ギア35と対向した状態(向き合った状態)、つまり歯欠けギア22と駆動ギア35が噛み合っていない状態となっている。そのため、図示しない駆動源の駆動によって駆動ギア35が回転していても、その駆動力が歯欠けギア22に伝達されることはない。
【0030】
こうした状態からソレノイド29を励磁(オン)すると、アーマチュア30に磁気吸引力が作用する。これにより、アーマチュア30の先端側はコイルバネ31の付勢力に抗して引き込まれ、これに連動してアーマチュア30先端部のストパー部30aがカム面24aの係止部25から外れる。つまり、歯欠けギア22の回転ロックが解除される。そうすると、歯欠けギア22はコイルバネ28の付勢力によってA方向に回転し、これと一体に第1の給紙ロール13も回転する。
【0031】
こうして歯欠けギア22がコイルバネ28の付勢力によって回転した際には、図4に示すように、歯欠けギア22の歯が駆動ギア35の歯に接触する前に、歯欠けギア22側(カム部24)に設けられた突起部27が緩衝ロール37に接触する。このとき、突起部27との接触によって緩衝ロール37に荷重が加わると、その荷重印加部で緩衝ロール37が弾性変形して運動エネルギーを吸収する。これにより、機械的な衝撃が緩和されるため、突起部27と緩衝ロール37との接触による衝撃音や振動の発生を抑えることができる。このとき、緩衝ロール37の衝撃吸収性を考慮すると、当該ロール材料の硬度としては20度程度とするのが望ましい。
【0032】
また、緩衝ロール37に突起部27が接触した際には、これに伴う接触抵抗によって歯欠けギア22の周速が減速される。そのため、歯欠けギア22の周速を十分に減速させた状態で、当該歯欠けギア22の歯を駆動ギア35の歯に噛み合わせることができる。したがって、両ギア22,35の噛み合い時における衝撃を小さく抑えることができる。
【0033】
さらに、緩衝ロール37は駆動ギア35と一体にB方向に回転しているため、図5に示すように、緩衝ロール37に突起部27が接触した状態では、歯欠けギア22が緩衝ロール37に連れ回るかたちで回転し、この回転中に両ギア22,35の歯が噛み合い始めることになる。これにより、歯欠けギア22と駆動ギア35の周速差を小さくして、両ギア22,35の歯をスムーズに噛み合わせることができる。そのため、歯欠けギア22と駆動ギア35が噛み合い始めるときの衝撃音や振動の発生を有効に抑えることができる。
【0034】
一方、上述のように励磁状態とされたソレノイド29は、その後、所定の時間が経過した時点で非励磁状態(オフ状態)となる。そうすると、アーマチュア30がコイルバネ31の付勢力によって位置変動し、これによってアーマチュア30先端のストッパー部30aがカム面24aに接触した状態となる。このとき、カム面24aの大径部24cにストッパー30aを接触させることで、アーマチュア30の位置変動量を小さく抑えることができる。そのため、ソレノイド29を励磁状態から非励磁状態に切り替えた際の、カム面24aとストッパー部30aとの接触による動作音を小さく抑えることができる。
【0035】
その後、歯欠けギア22の歯と駆動ギア35の歯が噛み合うことで、駆動ギア35から歯欠けギア22への動力伝達がなされるため、歯欠けギア22はA方向へと回転し続ける。この回転中(動力伝達中)の状態を図6に示す。歯欠けギア22が駆動ギア35からの動力伝達によって回転することにより、第1の給紙ロール13も歯欠けギア22と一体に回転する。このとき、第1の給紙ロール13の外周面が、第1の給紙トレイ部11に収容された用紙に接触することにより、最上位の用紙が送り出されることになる。
【0036】
また、歯欠けギア22の回転中においては、アーマチュア30のストッパー部30aがカム面24a上を摺動する。このとき、ストッパー部30aはカム面24aの大径部24cからスロープ部24dを経て小径部24bに接触した状態となる。そして、歯欠けギア22がほぼ一回転すると、駆動ギア35との噛み合い位置に再び歯欠部23が対向する状態となり、これによって両ギア22,35の噛み合いが外れる。
【0037】
歯欠けギア22と駆動ギア35の噛み合いが外れるタイミングは、歯欠けギア22の円周方向で歯欠部23の範囲を適宜設定することにより、アーマチュア30のストッパー部30aがカム面24上の係止部25に突き当たる少し前(好ましくは直前)に設定されている。そのため、両ギア22,35の噛み合いが外れると、歯欠けギア22はコイルバネ28の付勢力によって回転動作し、この回転動作によってカム面24a上の係止部25がアーマチュア30のストッパー部30aに突き当たる。これにより、歯欠けギア22はストッパー部30aによって回転がロックされた動作初期ポジションに戻る。
【0038】
これにより、歯欠けギア22は、ソレノイド29の一回の作動(オンオフ)によって一回転して停止することになる。そのため、第1の給紙ロール13も歯欠けギア2とともに一回転して停止する。以降は、所定のタイミングで上記同様の動作を繰り返すことにより、第1の給紙トレイ部11から用紙が一枚ずつ送り出される。その間、緩衝ロール37は駆動ロール35と一体になって連続回転していることから、緩衝ロール37に対する突起部27の接触位置はその都度、変化する。これにより、緩衝ロール37の摩耗が軽減されるため、長期にわたって高い動作信頼性が得られる。
【0039】
また、歯欠けギア22に衝撃緩和のための軟質な歯を設ける必要がなくなるため、駆動ギア35との噛み合い開始時(早いタイミング)から大きなトルクを伝達させることができる。したがって、動力伝達におけるトルク設定の自由度を高めることができる。また、軟質な歯を設けることに起因した歯形状の劣化やギアを大型化を回避することもできる。
【0040】
さらに、駆動ギア35と同軸上に緩衝ロール37を設けることにより、省スペースにて動力伝達装置を構成することが可能である。また、第2の給紙トレイ部12に対応する第2の給紙ロール14の支軸端に上記同様の構造をなす歯欠けギアを装着し、この歯欠けギアに設けた突起部を上記歯欠けギア22の突起部27と異なる位置で緩衝ロール37に接触させる構成とすることにより、一つの緩衝ロール37を複数の給紙トレイ部で共用させることも可能である。この場合は、衝撃緩和のための部品点数を少なくできるため、全体の部品コストを削減することが可能となる。
【0041】
また、歯欠けギアに軟質な歯を設ける場合は、軟質な歯の構造(形状)が複雑となるために、部品単価が高く、寸法の安定性にも欠けるのに対し、本実施形態においては緩衝ロール37が極めて単純な構造となっているため、部品単価を安く抑えたうえで、寸法の安定性を高めることができる。
【0042】
これに加えて、緩衝ロール37が長年の使用によって摩耗した際にも、緩衝ロール37のみを交換するだけで済むため、装置のメンテナンス費用(維持費等)を安く抑えることができるとともに、ロール交換を簡単な手作業だけで行うことができる。
【0043】
ところで、上述のように歯欠けギア22がほぼ一回転して動作初期ポジションに戻る際には、コイルバネ28による歯欠けギア22の回転動作によってアーマチュア30のストッパー部30aに係止部25が突き当たり、これによって衝撃音が発生したり画像形成に乱れが生じたりすることも懸念される。
【0044】
そこで、本発明の他の実施形態においては、図7に示すような構成を採用することとした。なお、本実施形態においては、先述した実施形態と同様の構成部分に同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0045】
図7において、歯欠けギア22のカム部24には、円周方向で突起部27と隣り合う位置に第2の突起部38が一体に形成されている。第2の突起部38は、歯欠けギア22の回転軸方向で突起部27と位置をずらして配置されている。これにより、第2の突起部38は、カム部24の回転によって突起部27とともに周回移動するものとなる。また、第2の突起部38は、突起部27と同様にカム部24のカム面24aよりも半径方向に突出する状態で形成されている。ただし、カム面24aを基準とした第2の突起部38の突出寸法は、突起部27のそれよりも大きく設定されている。
【0046】
一方、駆動ギア35側においては、これと一体形成された円筒部36が段付き構造となっており、その大径部分に緩衝ロール37が、その小径部分に第2の緩衝ロール39が嵌め込まれている。つまり、駆動ギア35に一体に形成された円筒部36に緩衝ロール37と第2の緩衝ロール39とが装着され、これによって部品点数の増加を回避した構成となっている。
【0047】
第2の緩衝ロール39は、緩衝ロール37と同様のゴム材によって構成されるもので、駆動ギア35と同軸上に配置されている。また、歯欠けギア22が動作開始ポジションに保持(回転ロック)された状態では、第2の緩衝ロール39が、両ギア22,35の回転軸中心を結ぶ軸線よりも終端歯22b寄りでかつ上述した第2の突起部38と所定の間隙を隔てて対向する位置に配置されている。この第2の緩衝ロール39は、緩衝ロール37と同様に適度な厚み(肉厚)を有する円形のリング状に成形されている。
【0048】
また、第2の緩衝ロール39の外径は、緩衝ロール37の外径よりも小さく設定されている。これら緩衝ロール37,39の外径差は、上述した突起部27,38の突出寸法差と等しく設定されている。具体的な寸法例を挙げると、歯欠けギア22の回転軸中心から第2の突起部38の先端部までの距離は25.7mm、駆動ギア35の回転軸中心から第2の緩衝ロール39の外周面までの距離は6.3mmで、上記外径差及び突出寸法差はそれぞれ4.5mmとなる。
【0049】
上記構成において、先述のようにソレノイド29のオンオフ駆動によって歯欠けギア22を回転動作させた場合は、図8に示すように、歯欠けギア22が動作開始ポジションに戻る前に、第2の突起部38が第2の緩衝ロール39に接触する。このとき、歯欠けギア22と駆動ギア35とは未だ噛み合った状態となっており、しかも接触による極軽度の衝撃も第2の緩衝ロール39によって吸収されるため、第2の突起部38と第2の衝撃ロール37との接触によって衝撃音や振動が発生することはない。
【0050】
その後、図9に示すように、歯欠けギア22と駆動ギア35の噛み合いが外れた時点では、第2の緩衝ロール39が第2の突起部38に若干押し込まれるかたちで凹状に変形した状態となる。このとき、歯欠けギア22にはコイルバネ28の付勢力が作用するものの、その付勢力に打ち勝つように第2の突起部38と第2の緩衝ロール39間の摩擦抵抗が作用する。そのため、歯欠けギア22は第2の緩衝ロール39に連れ回るかたちで回転する。このとき、第2の緩衝ロール39の外径が駆動ギア35のピッチ円直径よりも小さく設定されているため、歯欠けギア22の周速は両ギア22,35の噛み合いが外れると同時に減速される。その後、カム面24a上の係止部25にアーマチュア30のストッパー部30aが係止されて歯欠けギア22が動作開始ポジションに戻る。ちなみに、第2の突起部38と第2の緩衝ロール39との接触状態は、歯欠けギア22が動作開始ポジションに戻る直前に解除されるようになっている。
【0051】
このように歯欠けギア22が動作開始ポジションに戻る前に、第2の突起部38と第2の緩衝ロール39との接触によって歯欠けギア22の周速を減速させることにより、上述のようにカム部24の係止部25がアーマチュア30のストッパー部30aに突き当たる際の衝撃を抑えることができる。そのため、歯欠けギア22が動作開始ポジションに戻るときの衝撃音の発生や画像形成の乱れを有効に防止することが可能となる。
【0052】
ちなみに、第2の緩衝ロール39の外径を緩衝ロール37の外径の約1/2に設定することにより、歯欠けギア22の噛み合い開始時に比較して、噛み合い終了時の周速を約1/2に減速することが可能となる。また、第2の緩衝ロール39の外径を適宜調整することにより、歯欠けギア22の噛み合い終了時の周速を任意に制御することが可能となる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、作動手段によるロック解除によって歯欠けギアが駆動ギアに噛み合い始める前に回転体の突起部を緩衝ロールに接触させることにより、歯欠けギアに軟質な歯を設けなくても、噛み合い開始時の衝撃による音や振動の発生を有効に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】 本発明の実施形態に係る給紙装置に適用された動力伝達装置の構成を示す斜視図である。
【図3】 本発明の実施形態に係る給紙装置に適用された動力伝達装置の構成を示す側面図である。
【図4】 本発明の実施形態に係る動力伝達装置の動作過程を示す側面図(その1)である。
【図5】 本発明の実施形態に係る動力伝達装置の動作過程を示す側面図(その2)である。
【図6】 本発明の実施形態に係る動力伝達装置の動作過程を示す側面図(その3)である。
【図7】 本発明の他の実施形態に係る動力伝達装置の構成を示す側面図である。
【図8】 本発明の例の実施形態に係る動力伝達装置の動作過程を示す側面図(その1)である。
【図9】 本発明の他の実施形態に係る動力伝達装置の動作過程を示す側面図(その2)である。
【図10】 従来技術を説明する図である。
【符号の説明】
11…第1の給紙トレイ部、13…第1の給紙ロール、22…歯欠けギア、23…歯欠部、24…カム部、25…係止部、27…突起部、28,31…コイルバネ、29…ソレノイド、30…アーマチュア、30a…ストッパー部、35…駆動ギア、36…円筒部、37…緩衝ロール、38…第2の突起部、39…第2の緩衝ロール
Claims (10)
- 円周上で歯の一部が欠如した歯欠部を有する歯欠けギアと、この歯欠けギアに動力を伝達すべく回転駆動する駆動ギアと、この駆動ギアに前記歯欠部を対向させた動作開始ポジションで前記歯欠けギアの回転をロックするとともに、そのロックを解除することにより前記歯欠けギアを回転動作させて前記駆動ギアに噛み合わせる作動手段とを有する動力伝達装置であって、
前記駆動ギアと同じ方向に回転駆動する緩衝ロールと、
前記歯欠けギアと一体に回転するとともに、この回転によって周回移動する突起部を有し、かつ前記作動手段によるロック解除によって前記歯欠けギアが前記駆動ギアに噛み合い始める前に前記突起部が前記緩衝ロールに接触するように配置された回転体と
を備えることを特徴とする動力伝達装置。 - 前記緩衝ロールを前記駆動ギアと同軸上に配置してなる
ことを特徴とする請求項1記載の動力伝達装置。 - 前記歯欠けギアに前記回転体を一体に形成してなる
ことを特徴とする請求項1記載の動力伝達装置。 - 前記駆動ギアに、当該駆動ギアと同心円をなす円筒部を一体に形成し、この円筒部に前記緩衝ロールを装着してなる
ことを特徴とする請求項1記載の動力伝達装置。 - 前記歯欠けギアが前記動作開始ポジションに戻るときの周速を減速させる減速手段を具備する
ことを特徴とする請求項1記載の動力伝達装置。 - 前記減速手段は、前記駆動ギアと同じ方向に回転駆動する第2の緩衝ロールと、前記回転体に設けられて前記突起部とともに周回移動するとともに、前記歯欠けギアが前記動作開始ポジションに戻る前に前記第2の緩衝ロールに接触するように配置された第2の突起部とから成る
ことを特徴とする請求項5記載の動力伝達装置。 - 前記第2の緩衝ロールを前記駆動ギアと同軸上に配置してなる
ことを特徴とする請求項6記載の動力伝達装置。 - 前記駆動ギアに、当該駆動ギアと同心円をなす円筒部を一体に形成し、この円筒部に前記緩衝ロールと前記第2の緩衝ロールとを装着してなる
ことを特徴とする請求項6記載の動力伝達装置。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の動力伝達装置を用いて構成された
ことを特徴とする給紙装置。 - 請求項9記載の給紙装置を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
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