巻取紙に印刷する輪転機においては、複数の印刷部でそれぞれ印刷した複数枚の用紙を重ね合わせ、折部で折り畳んだ折丁の形で排紙する場合がある。とりわけ新聞用輪転機においては、ほとんどの場合、折丁の形で排紙が行われる。
このような輪転機の折部は、一般的に三角形状のフォーマーと呼ばれるプレートによって用紙の進行方向に平行に折り畳む縦折部と、その下流で一連のシリンダー群によって用紙の進行方向に直角に折り畳んで裁断する横折部とから構成される。この縦折部では、重ね合わされた複数枚の用紙をフォーマー先端で一度に縦折するために、重ね合わされた複数枚の用紙をフォーマーに向けて送り出す紙引き装置が、フォーマー上流近傍に設けられている。
従来の紙引き装置の基本的な構造(従来技術1)を示す説明図である図8に基づいて説明する。図8において図示されていない印刷部で印刷された後に重ね合わされた複数枚の用紙P1・・Pnは、ドラグローラー101と紙押さえ送り部材102とからなる紙引き装置によってフォーマー103へ送り出され、傾斜したフォーマー103の三角形の外縁に沿いながら、矢印で示す方向に進行することによって、フォーマー103の下部先端で進行方向に平行に縦折りされ、フォーミングローラー104によって、下流の図示されていない横折部へと導かれる。
図8の紙引き装置は、フォーマー103の上流近傍に、駆動回転するドラグローラー101が、その接線方向をフォーマー103の上面と略一致させるような位置に設けられており、ドラグローラー101の外周に押圧力調整可能に押し付けられた紙押さえ送り部材102とともに回転して、それらの間に導かれ重ね合わされた複数枚の用紙P1・・Pnを矢印方向に移動させフォーマー103に向けて送り出す構成である。紙押さえ送り部材102は、用紙の両端の他、必要に応じて用紙幅の中央部など幅方向の複数個所の位置で用紙Pをドラグローラー101外周面へ押さえている。紙押さえ送り部材102は、図8に示す従来技術1では複数の紙押さえコロ102からなる。
また、フォーミングローラー104と、フォーマー103の下流に設けられる横折部(図示せず)との間には図示されていないニッピングローラーが設けられており、縦折りされた用紙を挟んで横折部へと送り込んでいる。一般に駆動されているドラグローラー101の回転速度(外周面速度)は、図示されていない印刷部が複数枚の用紙P1・・Pnを送り出す用紙送り速度よりも、僅かに早い速度になっており、フォーマー103下流のニッピングローラーの紙引き速度は、ドラグローラー101の外周面速度と同じ速度か、外周面速度より僅かに速い速度になっている。
したがって、フォーマー103の上流に位置する紙引き装置と、下流に位置するニッピングローラーにおいて、重ね合わされた複数枚の用紙P1・・Pnの送りが確実に行われた場合は、用紙P1・・Pnのいずれにもたるみが生ずることは無く、従ってこれに伴う不具合は発生しない。
紙引き装置が、ドラグローラー101と紙押さえ送り部材102によって、複数枚の用紙P1・・Pnを送り出す基本的な作用を説明する。複数枚の用紙P1・・Pnが、ドラグローラー101と紙押さえ送り部材である複数の紙押さえコロ102との間から送り出される作用は、最下面用紙Pnとドラグローラー101の外周面との間、重ね合わされた用紙P1・・Pn相互の間、及び紙押さえコロ102と最上面用紙P1との間に働く摩擦力に依存している。この摩擦力の大きさは、紙押さえコロ102の押圧力の大きさと、ドラグローラー101、重ね合わされた用紙P1・・Pn、及び紙押さえコロ102を構成する素材の物性から定まる摩擦係数に依存している。
一般的に、紙押さえコロ102は、用紙P1との間で滑りを起こしにくいゴムや合成樹脂などの素材で製造されている。また、ドラグローラー101は、清掃が必要である等の理由から外周表面にクロームメッキを施した鉄製ローラーであることが通常である。そのため、紙押さえコロ102と最上面用紙P1との間の摩擦係数α1は、一般的に重ね合わされた用紙P1・・Pn相互の間の摩擦係数α2及び最下面用紙Pnとドラグローラー101の外周面との間の摩擦係数α3より相対的に大きい。また、最下面用紙Pnとドラグローラー101の外周面との間の摩擦係数α3は、重ね合わされた用紙P1・・Pn相互の間の摩擦係数α2より相対的に小さい。更に、重ね合わされた中間の用紙P1・・Pnの各々の相互間の摩擦係数α2は、用紙の質が一定であれば同一とみなすことができる。
したがって、摩擦係数αにおいて通常α1>α2>α3の関係が成り立つ。
一方、紙押さえコロ102の押圧力は、紙押さえコロ102と最上面用紙P1との間で最も大きく、重ね合わされた用紙P1・・Pn相互間で徐々に減少していき、紙押さえコロ102から最も遠い最下面用紙Pnとドラグローラー101との間で最も小さくなる。
したがって、ドラグローラー101と紙押さえコロ102による用紙の送り作用に寄与する摩擦力は、摩擦係数α1と押圧力がともに相対的に一番大きい紙押さえコロ102と最上面用紙P1との間で最大であり、摩擦係数α3と押圧力がともに相対的に一番小さい最下面用紙Pnとドラグローラー101との間で最小となる。また中間の重ね合わされた用紙P1・・Pn相互間の摩擦力は、基本的に紙押さえコロ102の押圧力の減少に応じて最上面用紙P1から最下面用紙Pnへ向かって徐々に僅かに単調に減少している。即ち、用紙送り作用の大本となるドラグローラー101の表面で最下面用紙Pnとの間にずれが起きなければ、それより上に重なった用紙は、特別な原因、例えば紙継ぎ時の異常高張力などによって単独に大きな引き戻しの力を受けたりしない限り、摩擦力で一斉に揃って送られる。
しかし、重ね合わされた用紙P1・・Pnの枚数が増えると、紙押さえコロ102の押圧力がドラグローラー101の表面に達するまでに減少する量が多くなる。そのため、重ね合わされた下部の用紙、特に最下面用紙Pnとドラグローラー101表面との間の押圧力が低下し、摩擦力が減少するので、重ね合わされた用紙P1・・Pnを確実に送るためには用紙の枚数の増加に伴って紙押さえコロ102の押圧力を増大させる必要がある。非駆動の紙押さえコロ102は、最上面用紙P1の走行によって自由回転させられているので、紙押さえコロ102の押圧力を増大させると、紙押さえコロ102の回転抵抗が増加する。そのため用紙送り開始時などに紙押さえコロ102の起動抵抗で紙押さえコロ102と最上面用紙P1との間に擦れを生じ最上面用紙P1に汚れや損傷を起こすことがあった。又、常時最上面用紙P1上に紙押さえコロ102が押圧された跡が残ったり、紙押さえコロ102が短期間に損耗したりするという不具合を生ずることがあった。
上述したような不具合を生じさせないために、重ね合わされた用紙P1・・Pnの枚数を増やす場合には、紙押さえコロ102の押圧力を局部的に集中させず、分散させた摩擦力の合計を送り作用として十分な量とするか、又は、最も摩擦力が小さくなる最下面用紙Pnを確実に送り出すことができる別な手段を使って紙押さえコロ102の押圧力を極端に増大させないような対策が考えられた。
紙押さえコロ102の押圧力を分散させた従来技術としては、図9に示す特許第2819253号公報に開示された紙引き装置(従来技術2)がある。従来技術2では、紙押さえ送り部材として、図8に示す従来技術1と同様に紙押さえコロ102を使用している。従来技術2の紙押さえコロ102は、ドラグローラー101の幅方向に複数設けるとともにドラグローラー101の円周方向にも複数設けている。そしてドラグローラー101の円周方向に複数設けられたそれぞれの紙押さえコロ102a、102bは、それぞれ流体圧シリンダー105、105に加える圧力を個別に調整することによってドラグローラー101に対する押圧力を個々に調整可能としている。
従来技術2は、上述の構成によって、重ね合わされた用紙P1・・Pnを送り出すのに必要な摩擦力を発生させる紙押さえコロ102の押圧力を、ドラグローラー101の外周面の円周方向複数個所に分散して、局部的に大きな押圧力が発生することを防いでいる。更に、ドラグローラー101の各個所における紙押さえコロ102の押圧力を個々に最適化して、ドラグローラー101全体での押圧力のバランスを図り、紙押さえコロ102の押さえ付けの跡が用紙上に残ったり、ドラグローラー101の外周面の形状跡が用紙に移ることを防いでいる。また、紙押さえコロ102に対して過剰な負荷が掛かることを避けることにより、紙押さえコロ102の寿命の短縮を防止している。具体的には、最下面用紙Pnとドラグローラー101との間において必要な摩擦力が得られるように流体圧シリンダー105を調整して複数の紙押さえコロ102に個別に必要な最小圧力を与えている。そして、最小圧力でもそれぞれの紙押さえコロ102に対する負荷が過剰となる場合には、紙押さえコロ102の数を増加させていた。
また、図10に示す特開2002−337307号公報に開示されている紙引き装置(従来技術3)においても、用紙とドラグローラー101に対する紙押さえ送り部材の押圧力の分散が図られている。従来技術3の紙押さえ送り部材としては、紙押さえコロに代わりベルト車107、107に掛け渡されて張られたベルト106が使用されている。そして、ドラグローラー101に巻き付いている重ね合わされた用紙P1・・Pnに対するベルト106の巻き付け角を調整可能とし、重ね合わされた用紙P1・・Pnを押し付けるベルト106の接触面積を、紙押さえコロ102の場合の接触面積よりも広くして摩擦力を広い範囲で発生させて、単位面積では低い押圧力でも、用紙P1・・Pnを送るに十分な摩擦力となるような構成としている。従来技術3では、流体圧シリンダー105によって押圧力の調整も可能であり、重ね合わされた用紙P1・・Pnに対するベルト106の押圧力が過剰となってベルト106と用紙面との擦れによる用紙面の汚れ、損傷、皺などの不具合が発生することを防止している。
従来技術3においては、最下面用紙Pnとドラグローラー101との間での必要な摩擦力を得られるような最小圧力を流体圧シリンダー105に与えるように調整し、この最小圧力でも押圧力の過剰から前記した不具合が発生する場合には、更にベルト106とドラグローラー101との巻き付け角度を増やして最小圧力をより小さな値とするように調整を行っている。
また、図11に示す特開2002-226099号公報に開示される紙引き装置及び紙引き方法(従来技術4)は、汚れを起こさせたくない特定用紙(図11においてPs)を確実に送り出す別の手段を加えた構成である。従来技術4では、ドラグローラー109と紙押さえコロ110の組み合わせである上流側の紙引き部108及びドラグローラー112と紙押さえコロ113の組み合わせである下流側の紙引き部111の他に、ドラグローラー115と紙押さえコロ116の組み合わせからなる副紙引き部114を設けている。
そして、重ね合わせた場合に汚れが発生すると目立ちやすい面、従来技術4の例では新聞の見開き面(折り畳んだときの最内側面)に相当する一の特定用紙Psのみを、上流側の紙引き部108の手前で他の用紙群P・・・から分離させて副紙引き部114に導く。副紙引き部114においては、用紙Psの紙幅方向両端のみを押さえるなど個別の調整を加えて、紙押さえコロ116が見開き面の用紙幅中央部を押さえたときに発生し易い汚れを防ぎ、下流側の紙引き部111の手前で、再度用紙群P・・・と合流させ、ドラグローラー109、112、115を同速度で回転するように制御することによって、汚れが目立ち易い用紙面に紙押さえコロ110による汚れが発生するのを防ぐという装置及び方法が開示されている。
また、従来技術4には、「複数の副紙引き部を複数の異なる走行ルート上に設け、複数枚の用紙を他の用紙から分離させて各々紙引きを行う様に構成することも可能である。このように構成することで、見開き面用の用紙に限らず、全面印刷の用紙や多色刷りの用紙についても、ワリスによる汚れが生じないようにすることが可能になる。(0024欄)」との記載がある。
特許第2819253号公報
特開2002−337307号公報
特開2002-226099号公報
先にも述べたように一般的に、印刷され重ね合わされた複数枚の用紙P1・・Pnの枚数が増加して厚みが増した場合、紙引き装置において、重ね合わされた下部の用紙間、特に最下面用紙Pnとドラグローラー101表面との間の押圧力が低下し、これに伴って摩擦力が減少するため、用紙Pnの走行速度が他の用紙P1・・・Pn−1に対して相対的に落ち、重ね合わされた複数枚の用紙P1・・・Pnを安定して送ることができなくなることがある。そのため、重なり合った複数枚の用紙P1・・・Pnの下部の用紙が横流れしたり、紙皺を発生して、フォーマー折り精度の悪化又は用紙損傷を起こすことがあった。
したがって用紙P1・・Pnの枚数が増加して厚みが増したときは、厚さに応じて紙押さえコロ102の押圧力を増大させる必要があった。しかし、先にも述べたように押圧力を増大させると、紙押さえコロ102の回転抵抗によって、紙押さえコロ102と最上面用紙P1との間に擦れを生じ最上面用紙P1に汚れや損傷を起こすことがある。又、常時最上面用紙P1上に紙押さえコロ102が押圧された跡が残ったり、紙押さえコロ102が短期間に損耗したりするという不具合を生ずることがあった。
従来技術2及び従来技術3に開示された技術は、複数枚の用紙P1・・Pnの枚数が増加して厚みが増したときに、用紙送り作用の不安定化を解消するために、紙押さえ送り部材の押圧力を増大させる場合、押圧力を局部に集中させず分散させて、合計で十分な摩擦力を得ることを図った技術である。
また、従来技術4は、重ね合わされた用紙中の特定の用紙、特に最も摩擦力が小さくなる最下面用紙Pnに対して他の用紙と別の送り手段を設けることにより、押圧力の増加により発生する印刷面の汚れを防止している。
そして、印刷され重ね合わされた複数枚の用紙P1・・Pnの性質が同じであれば、上述してきた不具合は、従来技術2乃至4によって解決されると考えられる。
しかしながら、一部(一冊)の印刷物(雑誌など)を構成する用紙の紙質は、全て同質ではなく、異質の用紙が含まれていることが一般的である。また、通常は同質の用紙からなる日刊新聞紙においても、特集版などにおいて、新聞一部の最外側面であるおもて面に他の用紙とは異なる用紙、例えば上質紙、コート紙などを使用する例がよくある。
このような多種の性質の用紙を使用して一部(一冊)を構成する印刷物を製作する場合、雑誌などの一般出版物においては、印刷後の製本工程の一部である丁合工程において、別々の印刷工程で印刷された多種の用紙の印刷物(折丁)を丁合機に掛け、これら印刷物(折丁)を順次重ね合わせて、多種の用紙による出版物を作製している。このように印刷工程の後に必ず製本工程がある一般出版物においては、多種の用紙の印刷物(折丁)であっても、製本工程の一部である丁合工程において重ね合わせることによって出版物を作製可能であって、これが特に問題になることはない。
しかしながら、一般の出版物とは異なる新聞の場合は、印刷工程の後に製本工程が無い。印刷された新聞は、印刷機から排紙された状態のまま束にされ、製品発送される。したがって、新聞のおもて面に他の用紙とは異質な用紙、例えば上質紙を使用して新聞を製作しようとする場合は、印刷機上の印刷用紙の中に上質紙を加えて印刷を行い、印刷された上質紙を含む用紙を印刷機上で重ね合わせ折り畳む方法が、最も効率の良い製作方法である。
新聞のおもて面に他の用紙とは異質な用紙、例えば上質紙を使用して新聞を製作しようとする場合を、図8に示す従来技術1に当てはめて説明する。図8においては最上面用紙P1が、おもて面の上質紙に相当する。通常上質紙は、表面に平滑化処理を行っていることから、新聞用紙よりも摩擦係数が小さい。したがって、最上面用紙P1が、上質紙の場合、紙押さえコロ102と最上面用紙P1との間、最上面用紙P1とこれに接する新聞用紙P2との間の摩擦力が、他の新聞用紙P3・・・Pn間の摩擦力に比して小さくなり、送り開始時等に紙押さえコロ102と最上面用紙P1との間で擦れが起きやすくなるとともに、最上面用紙P1とこれに接する新聞用紙P2との間でズレが起きやすくなる課題がある。
更に考慮すべき条件として、上質紙、コート紙のような上質の用紙は、表面の吸湿性が低く、これらの用紙を使用して最良の印刷物を得ようとする場合、一般的には新聞印刷用インキとは異なったインキ、具体例としては加熱・冷却によって固化するヒートセットインキなどを使用し、印刷された用紙を乾燥装置及び冷却装置を通過させることによって、インキを用紙に定着・固化させている。この印刷工程の違いによって、上質紙、コート紙のような上質の用紙は、印刷する際に一般的に新聞用紙よりも大きな張力を必要とする。したがって、このような場合、紙引き装置は、上質の用紙の大きな張力に抗して用紙を送るために、より大きな摩擦力を必要とする。
しかし前述した様に、上質な用紙は、表面に平滑化処理を行っていることから、新聞用紙よりも摩擦係数が小さいため、最上面用紙P1が、上質紙の場合、紙押さえコロ102と最上面用紙P1との間、最上面用紙P1とこれに接する新聞用紙P2との間の摩擦力は、他の新聞用紙P3・・・Pn間の摩擦力に比して小さい。したがって、大きな摩擦力を得るためには、紙押さえコロ102のドラグローラー101に対する押圧力を更に大きくすることが必要になる。その結果、最上面用紙P1上への押し付け跡の発生や、紙押さえコロ102の回転不円滑化に伴う擦れから発生する最上面用紙P1上の汚れや損傷、また、最下面用紙Pnに発生するドラグローラー101外周面の形状の転写、紙押さえコロ102の寿命の短縮などの不具合が発生する可能性が非常に高くなる課題があった。更に、紙押さえコロ102と最上面上質紙P1間、及び最上面上質紙P1とそれに接する新聞用紙P2間の摩擦係数が、新聞用紙間の摩擦係数に対して大幅に小さくなる場合には、紙押さえコロ102の押圧調整だけでは十分な摩擦力が得られないことも起こり得た。
このような課題があるため、従来は新聞おもて面を上質紙のような上質な用紙とした新聞を製作する場合には、上質の用紙を使用した印刷物と、新聞用紙を使用した印刷物を別々の工程で印刷して折丁とし、排紙された新聞用紙折丁の上に、人手で上質の用紙の折丁を重ねるという作業が行われていた。この作業は、1/4サイズに折り畳んで印刷機から排紙された新聞用紙折丁を、一旦1/2サイズに開いて、その上に上質の用紙の折丁を開いて重ね、更に再び1/4サイズに折り直すという時間と人手が非常に掛る極めて効率の悪い作業によって行われていた。そのため、即時性が求められる日刊新聞には使用できず、発行まで時間的な余裕がある特集版の新聞のみに限って実施されていた。
また、新聞の見開き面、図8においては最下面用紙Pnに相当する用紙や、用紙P2から用紙Pn−1までの間の任意の用紙、又は任意の複数の用紙などに上質の用紙を使用して、注目を集めたい記事又は特殊広告などを、その上質な用紙に印刷したいというニーズがある。従来は、このようなニーズに対しては、別工程で印刷した上質の用紙を使用した特別ページ、チラシ広告などを印刷の後で折り畳まれた新聞の中に折り込む作業が行われていた。この折り込み作業は、一旦印刷されて排紙された新聞をインサーターと呼ばれる折り込み装置に掛けて行うか、人手により折り畳まれた新聞を開いて特別紙を折り込むことによって行われていた。このような作業が必要となるため、新聞が求められている即時性が阻害される課題があった。
このニーズに対処するために、例えば新聞の見開き面、図8においては最下面用紙Pnに相当する用紙に上質な用紙を使用する場合を考えると、同質の新聞用紙を重ね合わせた場合でも最も小さくなる最下面用紙Pnとドラグローラー101間の摩擦力が、更に低下する。また、最下面用紙Pnと直ぐ上側で接する用紙Pn−1との間の摩擦力も、その他の用紙間相互の摩擦力より小さくなる。その結果、用紙送り作用の大本であるドラグローラー101外周面と接する最下面用紙Pnの送りが極めて不安定となる。したがって最下面用紙Pnを安定して送るために、紙押さえコロ102の押圧力を大きくすることを求められるが、最上面用紙P1を上質の用紙とした場合と同様に、押圧力を増大させると、紙押さえコロ102と最上面用紙P1との間に擦れを生じたり、最上面用紙P1に汚れや損傷を起こしたり、常時最上面用紙P1上に紙押さえコロ102が押圧された跡が残ったり、紙押さえコロ102が短期間に損耗したりするという不具合を生ずる可能性が高まるという課題があった。
更に、用紙P2から用紙Pn−1までの間の任意の用紙Pxを上質の用紙とした場合は、同質の新聞用紙を重ね合わせた場合に単調に上から下まで減少する摩擦力が、中間に入った上質の用紙Pxの上下面において単調減少ラインから外れた小さな値となり、この部分の用紙送り作用が不安定となる。これを防ぐためには最下面用紙Pn、最上面用紙P1に上質の用紙を使用した場合と同様、紙押さえコロ102の押圧力を大きくすることを求められるが、押圧力を増大すると、紙押さえコロ102と最上面用紙P1との間に擦れを生ずることによって最上面用紙P1に汚れや損傷を起こしたり、常時最上面用紙P1上に紙押さえコロ102が押圧された跡が残ったり、紙押さえコロ102が短期間に損耗したりするという不具合を生ずる可能性が高まるという課題があった。
図9に示す従来技術2及び図10に示す従来技術3は、使用される用紙が全て同質な用紙、例えば全て同質な新聞用紙であることを前提とした技術である。したがって、従来技術2及び従来技術3では、上述したような異質な用紙を使用した場合に必要となる紙押さえコロ102の高い押圧力までは考慮されていない。したがってこのような高い押圧力の局所化を避けて押圧力を分散させようとすると、紙押さえコロ102の数の増加又はベルト106の巻き付け角の増大による対処が構造的な制約から極めて困難となり得る。
図11に示す従来技術4では、「複数の副紙引き部を複数の異なる走行ルート上に設け、複数枚の用紙を他の用紙から分離させて各々紙引きを行うような構成とすることも可能である」との開示はある。しかし、従来技術4の構成は、副紙引き部114のドラグローラー115、上流側の紙引き部108のドラグローラー109、下流側の紙引き部111のドラグローラー112の、それぞれのドラグローラーは同一の回転速度で回転するように制御される構成であり、その作用効果は「見開き面用の用紙に限らず、全面印刷の用紙や多色刷りの用紙についても、ワリスによる汚れが生じないようにする」ことである。
ここで、上述したように新聞用紙の中に上質の用紙などの異質の用紙を使用する場合、上質の用紙の張力は、他の新聞用紙の張力よりも大きくなる。この送られている用紙の張力は、基本的にその用紙を送っている前後の送り部材の速度差と、その間における送り抵抗から生ずるものであるから、輪転機の紙引き装置においては、複数の印刷部の送り出し速度と、ドラグローラー101の牽引速度との差、及びその間に存在する用紙経路を案内する様々な部材の送り抵抗から用紙の張力が定まる。
図11に示す従来技術4の場合、通常の各用紙ごとの送り抵抗の条件には大きな差はないが、上質の用紙と新聞用紙とでは、印刷に要する適性張力値が大幅に異なり、従って送り出しの張力にも差が出る。このような張力が異なる用紙を同一速度で引くと、必ず送り量に差を生じる。したがって副紙引き部114を通過する用紙Psが張力の大きい上質の用紙であった場合、上流側の紙引き部108のドラグローラー109、下流側の紙引き部111のドラグローラー112と同じ回転速度で回転する副紙引き部114のドラグローラー115では、他の用紙Pに対して用紙Psを同速で送ることはできず、用紙Psは徐々に遅れてくる。即ち、従来技術4によっても、他の用紙と性質の異なる異質の用紙を使用する場合において発生する用紙送り量の差を解消するという課題への解決は為されていない。
更に、従来技術4において、「用紙にワリスによる汚れが生じないようにする」作用効果を生じせしめるための「複数の副紙引き部を設け、複数枚の用紙を他の用紙から分離させて各々紙引きを行うような構成」という記述から推測されることは、重ね合わされた用紙中任意の位置にある異質の用紙Pxよりもワリス側にあるる全ての用紙について個別に単独に副紙引き部を通過させることが必要になり、場合によっては全ての用紙数に近い数の副紙引き部を設けることが必要となり得て、極めて無駄な現実性に乏しい構成といわざるをえない。
上述した課題を解決するために、複数の印刷部で印刷された複数枚の用紙を、折部に設けられたフォーマーの上流側近傍で重ね合わせ、駆動回転するドラグローラーと、ドラグローラー外周面に押圧調整可能に押し付けられている紙押さえ送り部材との間に、重ね合わされた複数枚の用紙を導き一斉にフォーマーに送り出す紙引き装置において、フォーマーの上流に設けられ、ドラグローラーと紙押さえ送り部材とを有し重ね合わされた複数枚の用紙を導くことが可能である主紙引き部と、主紙引き部の上流に設けられ、各々ドラグローラーと紙押さえ送り部材とを有し重ね合わされた複数枚の用紙を導くことが可能である2組以上の副紙引き部と、主紙引き部のドラグローラーの回転速度と、各々の副紙引き部のドラグローラーの回転速度とを各々個別の回転速度で駆動させることが可能である駆動系を有し、主紙引き部のドラグローラーの回転速度と、各々の副紙引き部のドラグローラーの回転速度とを調整制御することが可能であり、かつ、各々の副紙引き部の上流に移動ガイドローラーを位置移動可能に設け、移動ガイドローラーの位置を移動することによって、各々の副紙引き部の各ドラグローラーに巻き付く用紙の巻き付け角度を調整可能にしたことを特徴とする輪転機の紙引き装置を提案する。
更に、2組以上の副紙引き部の各ドラグローラーを回転させる各々の駆動系が、一以上のグループ駆動系となることが可能である0042欄に記載の輪転機の紙引き装置を提案する。
この発明によれば、印刷された用紙を重ね合わせた印刷物(折丁)を製作する場合に、重ね合わせる用紙の中に性質の異なる用紙、すなわち異なる摩擦係数、異なる張力を有する用紙が混在していても、紙押さえ送り部材の押圧力を増大させることなく、印刷された用紙を重ね合わせて折部のフォーマーへ正確に送り出すことが可能になった。
また、紙押さえ送り部材の押圧力の増大に起因して用紙に発生する紙押さえ送り部材の押し付け跡、紙押さえ送り部材の回転の不円滑化による用紙の汚れ及び損傷、ドラグローラー外周形状の用紙面への転写などを防止するとともに、紙押さえ送り部材の寿命の短縮を防ぐことができる。
更に、印刷後に性質の異なる用紙を重ね合わせて安定して折部へ送ることが出来るため、雑誌などのように従来異なる性質の用紙を使用する出版物において必要であった折丁を組み合わせる工程(丁合工程)を省略することができる。そのため、設備投資の削減、製作工程の短縮、設備スペースの縮小などを図ることができる。
更にまた、新聞紙、特に日刊新聞のように即時性を要し、製本工程がなく、印刷機から排紙された状態の印刷物が、そのまま製品となるものにおいては、従来不可能であった複数の異なる性質を有する用紙を混在させ主たるページ、注目を集めたいページに特殊用紙を用いた日刊新聞を製作でき、更に、日刊新聞以外の特集版も容易に短時間に製作できるという大きな効果を有する。
この発明の一の実施形態である紙引き装置の各ローラーの配置関係を示す構成説明図であり、かつ7つの使用例A乃至使用例Gを示す図1乃至図7に基づいて説明する。図1乃至図7においては、フォーミングローラー4の下方に示す用紙P1・・・Pnは縦折りされた後の用紙P1・・・Pnを側面から見た状態を示している。
印刷され重ね合わされた複数枚の用紙P1・・・Pnは、紙引き装置を経由して傾斜したフォーマー3の三角形の外縁に沿いながら進行方向に平行に縦折され、フォーミングローラー4へ導かれている。更に重ね合わされた複数枚の用紙P1・・・Pnは、図示されていないニッピングローラ−を経て下流側に設置されいる横折り部へ導かれている。
この発明の紙引き装置は、主紙引き部1と、2組以上、この実施形態では4組の副紙引き部2a、2b、2c、2dと、図示されない駆動系とを有しており、重ね合わされた複数枚の用紙P1・・・Pnを導き一斉にフォーマー3に送り出す。駆動系は、用紙P1・・・Pnの性質等の条件の違いに対応して主紙引き部1の主ドラグローラー11の回転速度と、各々の副紙引き部2a、2b、2c、2dの各ドラグローラー21、31、41、51の回転速度とを各々個別の回転速度で駆動させ、かつ調整制御することが可能である。
折部に設けられたフォーマー3の上流側近傍には、主ドラグローラー11と、紙押さえ送り部材である複数の主紙押さえコロ12との組み合わせ一組からなる主紙引き部1を設けており、送られてくる複数枚の用紙を重ね合わせている。主紙引き部1の主ドラグローラー11は、フォーマー3の上端に近接し、かつその接線方向がフォーマー3の上面と略一致するような位置に設けられており、図示されていない駆動系に接続され、駆動系の制御によって駆動回転する。複数の主紙押さえコロ12は、主ドラグローラー11の外周面に押圧調整可能に押し付けられている。主紙引き部1は、重ね合わされた複数枚の用紙を導くことが可能である。
主紙引き部1の上流には、少なくとも2組以上の複数の副紙引き部2が設けられる。副紙引き部2は、この実施形態では4組設けられており、第1副紙引き部2a、第2副紙引き部2b、第3副紙引き部2c、第4副紙引き部2dからなる。
第1副紙引き部2aは、駆動系により制御され駆動回転する第1ドラグローラー21と、紙押さえ送り部材である複数の第1紙押さえコロ22との組み合わせからなる。5aは、第1副紙引き部2aの上流に設けられた第1移動ガイドローラーである。第1紙押さえコロ22と、第1移動ガイドローラー5aは、用紙の走行速度に対応して自由回転する。複数の第1紙押さえコロ22は、それぞれ第1ドラグローラー21の外周面に押圧調整可能に押し付けられている。
第2副紙引き部2bは、駆動系により制御され駆動回転する第2ドラグローラー31と、紙押さえ送り部材である複数の第2紙押さえコロ32との組み合わせからなる。5bは、第2副紙引き部2bの上流に設けられた第2移動ガイドローラーである。第2紙押さえコロ32と、第2移動ガイドローラー5bは、用紙の走行速度に対応して自由回転する。複数の第2紙押さえコロ32は、それぞれ第2ドラグローラー31の外周面に押圧調整可能に押し付けられている。
第3副紙引き部2cは、駆動系により制御され駆動回転する第3ドラグローラー41と、紙押さえ送り部材である複数の第3紙押さえコロ42との組み合わせからなる。5cは、第3副紙引き部2cの上流に設けられた第3移動ガイドローラーである。第3紙押さえコロ42と、第3移動ガイドローラー5cは、用紙の走行速度に対応して自由回転する。複数の第3紙押さえコロ42は、それぞれ第3ドラグローラー41の外周面に押圧調整可能に押し付けられている。
第4副紙引き部2dは、駆動系により制御され駆動回転する第4ドラグローラー51と、紙押さえ送り部材である複数の第4紙押さえコロ52との組み合わせからなる。5dは、第4副紙引き部2dの上流に設けられた第4移動ガイドローラーである。第4紙押さえコロ52と、第4移動ガイドローラー5dは、用紙の走行速度に対応して自由回転する。複数の第4紙押さえコロ52は、それぞれ第4ドラグローラー51の外周面に押圧調整可能に押し付けられている。
これら各副紙引き部2a、2b、2c、2dの上流側に多数の第2ガイドローラー60からなる一群の下流側ガイドローラー群と、更にその上流側に多数の第1ガイドローラー61からなる一群の上流側ガイドローラー群が設けられている。第2ガイドローラー60及び第1ガイドローラー61の数は、印刷後の用紙P1・・・Pnの数に対応する数であり、それぞれの第2ガイドローラー60、第1ガイドローラー61によって印刷後の各々1枚の用紙Pがガイドされている。
主紙引き部1の主ドラグローラー11の回転速度と、4組の各副紙引き部2a、2b、2c、2dのそれぞれの第1ドラグローラー21、第2ドラグローラー31、第3ドラグローラー41、第4ドラグローラー51の回転速度とを、各々個別の回転速度で駆動制御可能とする駆動系を有する。駆動系は、4組の各副紙引き部2a、2b、2c、2dのそれぞれの第1ドラグローラー21、第2ドラグローラー31、第3ドラグローラー41、第4ドラグローラー51を回転させる各々の駆動系が、一以上のグループ駆動系となることが可能である。即ち、各ドラグローラー21、31、41、51の駆動系をいくつかのグループに分けてグループ制御することによって、複数のドラグローラーを一つの制御作用によって同一回転速度で回転させることも可能である。この制御方法は、公知のいずれかの技術を使用して行う。この実施形態では、基本的な構成として、各ドラグローラー21、31、41、51を共通の駆動源から駆動させるとともに、駆動系の途中に変速機を各ドラグローラー21、31、41、51毎に設けている。各変速機は、コントローラーから集中制御可能な速度設定器によって制御されている。
駆動系は、コントローラーから各速度設定器に個別の設定値を送ることによって共通駆動源による速度を各変速機を経由して変速させ、各ドラグローラー21、31、41、51を各々個別の速度で回転させることが可能である。また、グループ制御する場合は、コントローラーから各速度設定器に同じ設定値を送ることによってグループ制御させ、各ドラグローラー21、31、41、51を同一の速度で回転させることが可能である。
駆動系の他の実施形態としては、各ドラグローラー21、31、41、51毎に、それぞれ単独モーターを設けて、各々の単独モーターの速度設定値をコントローラーから集中制御可能な構成とすることによって、各ドラグローラー21、31、41、51を各々個別の速度で回転させることも、またグループ毎に同じ速度で回転させることも可能である。
上記のいずれの実施形態、及び他の公知の技術からなる駆動系においても、個々の速度設定器又は単独モーターの速度設定値を、使用される用紙Pの構成、紙質、用紙経路、印刷内容などに合わせて、予めコントローラーのメモリー内に記憶させておくこともできる。そして作業開始前に、その作業に最適な設定値の組み合わせを選択して各ドラグローラー21、31、41、51の回転速度を設定することもできる。
主紙引き部1の主紙押さえコロ12は、主ドラグローラー11の円周方向及び用紙幅方向において複数個所で主ドラグローラー11の外周面を押圧可能かつ押圧力を調整可能に設けられている。また、第1副紙引き部2aの第1紙押さえコロ22、第2副紙引き部2bの第2紙押さえコロ32、第3副紙引き部2cの第3紙押さえコロ42、第4副紙引き部2dの第4紙押さえコロ52のそれぞれは、各ドラグローラー21、31、41、51の円周方向及び/又は用紙幅方向において複数個所で各ドラグローラー21、31、41、51の外周面を押圧可能かつ押圧力を調整可能に設けている
紙押さえ送り部材の他の実施形態としては、例えば従来技術2を開示する特許第2819253号公報に記載される紙押さえ送り部材でもよく、また従来技術3を開示する特開2002−337307号公報に記載される紙押さえ送り部材でもよい。
主紙引き部1及び各副紙引き部2a、2b、2c、2dのいずれも、印刷され重ね合わされた複数枚の用紙P1・・・Pnを導くことが可能である。
各副紙引き部2a、2b、2c、2dのそれぞれの直ぐ上流位置に、それぞれ移動ガイドローラー5a、5b、5c、5dが位置移動可能に設けられている。各移動ガイドローラー5a、5b、5c、5dは、それぞれ直動又は揺動して位置を移動することによって各副紙引き部2a、2b、2c、2dに対する位置を変え、印刷され重ね合わされた複数枚の用紙P1・・・Pnが各ドラグローラー21、31、41、51のそれぞれの外周へ巻き付けられる角度を調整することが可能である。この実施形態では、各移動ガイドローラー5a、5b、5c、5dの移動は、各ドラグローラー21、31、41、51の回転中心を中心として円周方向に移動可能に設けられている。また、各移動ガイドローラー5a、5b、5c、5dを通過する用紙Pは、一枚である。
次に、この発明の一実施形態である輪転機の紙引き方法について説明する。この発明の一実施形態である輪転機の紙引き方法は、
複数の印刷部で印刷された複数枚の用紙P1・・・Pnを、折部に設けられたフォーマー3の上流側近傍で重ね合わせ、駆動回転する主ドラグローラー11と、主ドラグローラー11の外周面に押圧調整可能に押し付けられている紙押さえ送り部材である主紙引きコロ12との間に、重ね合わされた複数枚の用紙P1・・・Pnを導き一斉にフォーマー3に送り出す紙引き方法において、複数枚の用紙P1・・・Pnを複数のグループに分け、各グループ毎に重ね合わせて、重ね合わされたグループ毎の用紙Pa・・・Pdを、それぞれ設定された速度で副紙引きである牽引をし、更に副紙引きした各グループの用紙Pa・・・Pdを重ね合わせて一斉に主紙引きである牽引をし、フォーマーに送り出している。この実施形態では各々の副紙引きである牽引は、4組の副紙引き部2a、2b、2c、2dによって処理され、主紙引きである牽引は、主紙引き部1で処理される。
また、上記した輪転機の紙引き方法に加え、各々の副紙引きである牽引において、副紙引き部2a、2b、2c、2dの各ドラグローラー21、31、41、51への用紙P1・・・Pnの巻き付け角度の調整を、各移動ガイドローラー5a、5b、5c、5dを移動させることによって行うことも可能である。
更に、上記した輪転機の紙引き方法の4つの副紙引きである牽引が、各グループ毎に設定された各々の用紙送り速度を、複数のグループで同一速度に設定して牽引するように駆動系を制御可能な方法としてもよい。
次にこの発明の紙引き装置及び紙引き方法について、7つの使用例A乃至Gを図1乃至図7に基づいて説明する。図1は、この発明の一の実施形態である紙引き装置の各ローラーの配置関係を示すとともに、印刷され重ね合わされた複数枚の用紙P1・・・Pnが同じ性質である場合の使用例Aを示している。図1において図示されていない印刷部から送り出された各印刷用紙P1・・・Pnは、それぞれ第1ガイドローラー61及び第2ガイドローラー60を経由して、第3副紙引き部2cの第3ドラグローラー41上で重ね合わされ、紙引き作用を行う主紙引き部1を経由してフォーマー3へ送られる。通常、第3ドラグローラー41の回転速度と主ドラグローラー11の回転速度は、同一の用紙送り速度になるように回転速度を制御されている。この使用例Aでは、第3副紙引き部2cの近くに設けられている第3移動ガイドローラー5cは、用紙P1・・・Pnの送り作用には使用されていない。また、第1副紙引き部2a、第2副紙引き部2b及び第4副紙引き部2dのそれぞれのドラグローラー21、31及び51は、回転を停止するように制御される。
図1において各印刷用紙P1・・・Pnを重ね合わせる副紙引き部2は、第3副紙引き部2cを使用しているが、代わりに近傍の第2副紙引き部2bを使用することも可能である。しかし、一般的に副紙引き部2のドラグローラーが、主紙引き部1の主ドラグローラー11の回転方向とは逆方向に回転する第3ドラグローラー41または第4ドラグローラー51を経由した方が各印刷用紙P1・・・Pnの送りが安定するため、この実施形態では副紙引き部2として、第4副紙引き部2dより上流側に位置する第3副紙引き部2cを使用している。
図2は、この発明の一の実施形態である紙引き装置の各ローラーの配置関係を示すとともに、印刷され重ね合わされた複数枚の用紙P1・・・Pn−1が同じ性質であり、また主紙引き部1での最上面用紙Pn、新聞ならばおもて面に相当する1枚の用紙Pnが異質である場合の使用例Bを示している。この使用例Bでは最上面用紙Pnは、他の複数枚の用紙P1・・・Pn−1とは、異なった性質、すなわち異なった張力を持っており、用紙Pn−1と最上面用紙Pnとの間の摩擦力は、他の用紙P1・・・Pn−1間の摩擦力とは異なった作用をする。
図2に示す使用例Bでは、最上面用紙Pnのみが上流側の一群の第1ガイドローラー61において他の用紙P1・・・Pn−1から分離される。分離された最上面用紙Pnのみを第4副紙引き部2dの直ぐ上流に位置する第4移動ガイドローラー5dを経由させて、第4副紙引き部2dの第4ドラグローラー51に巻き付けさせた後、主紙引き部1へ送る。
最上面用紙Pn以外の他の用紙P1・・・Pn−1は、上流側の一群の第1ガイドローラー61から下流側の一群の第2ガイドローラー60を経て第3副紙引き部2cの第3ドラグローラー41上で重ね合わされ、紙引き作用を行う主紙引き部1へ送られる。
主紙引き部1において最上面用紙Pnは、副紙引き部2cから重ね合わされて送られてくる用紙P1・・・Pn−1と重ね合わされてフォーマー3へ送られる。
このとき第3ドラグローラー41の回転速度と主ドラグローラー11の回転速度は、使用例Aと同様に同一の用紙送り速度になるように回転速度を制御されているが、第4副紙引き部2dの第4ドラグローラー51の回転速度は、最上面用紙Pnが主紙引き部1において他の用紙P1・・・Pn−1の用紙送り速度と同一になるように、最上面用紙Pnと他の用紙P1・・・Pn−1との性質の違い及びこれに伴う張力の違いに応じて異なった回転速度に設定されている。例えば最上面用紙Pnが上質の用紙で、他の新聞用紙P1・・・Pn−1よりも大きな張力を有する用紙である場合、第4ドラグローラー51の回転速度を、第3ドラグローラー41及び主ドラグローラー11の回転速度より僅かに速めの回転速度に制御する。この作用によって、最上面用紙Pnは、第4ドラグローラー51の出側において張力を低減させられるとともに、摩擦係数が低いことに起因する主ドラグローラー11上での摩擦力の不足分を積極的な送り込みによって補われ、主紙引き部1において最上面用紙Pnが、他の用紙P1・・・Pn−1から遅れることが防がれる。
最上面用紙Pnの性質に応じて第4副紙引き部2dからの最上面用紙Pnの送り出しを安定させるために、第4紙押さえコロ52の第4ドラグローラー51への押圧力を調整するとともに、第4移動ガイドローラー5dの位置を第4ドラグローラー51に対して移動させて最上面用紙Pnの第4ドラグローラー51への巻き付け角度を調整する。このような調整により最上面用紙Pnと他の用紙P1・・・Pn−1との性質の相違に対応することができ、性質が異なる最上面用紙Pnを他の用紙P1・・・Pn−1との走行のズレを起こすことなく主紙引き部1から安定してフォーマー3へ送り出すことができる。
使用例Bでは、第3副紙引き部2cの近くに設けられている第3移動ガイドローラー5cは、用紙P1・・・Pn−1の送り作用には使用されていない。また、第1副紙引き部2a及び第2副紙引き部2bのそれぞれの第1ドラグローラー21、第2ドラグローラー31は、回転を停止している。
図3は、この発明の一の実施形態である紙引き装置の各ローラーの配置関係を示すとともに、印刷され重ね合わされた複数枚の用紙P2・・・Pnが同じ性質であり、主紙引き部1での最下面用紙P1、新聞ならば見開き面に相当する1枚の用紙P1が異質である場合の使用例Cを示している。使用例Cでは最下面用紙P1は、他の複数枚の用紙P2・・・Pnとは、異なった性質、すなわち異なった張力を持っており、最下面用紙P1と用紙P2との間の摩擦力は、他の用紙P2・・・Pn間の摩擦力とは異なった作用をする。
図3に示す使用例Cでは、最下面用紙P1のみが上流側の一群の第1ガイドローラー61において他の用紙P2・・・Pnから分離される。分離された最下面用紙P1のみを第1副紙引き部2aの直ぐ上流に位置する第1移動ガイドローラー5aを経由させて、第1副紙引き部2aの第1ドラグローラー21に巻き付けさせた後、主紙引き部1へ送る。
最下面用紙P1以外の他の用紙P2・・・Pnは、上流側の一群の第1ガイドローラー61から下流側の一群の第2ガイドローラー60を経て第3副紙引き部2cの第3ドラグローラー41上で重ね合わされ、紙引き作用を行う主紙引き部1へ送られる。
主紙引き部1において最下面用紙P1は、副紙引き部2cから重ね合わされて送られてくる用紙P2・・・Pnと重ね合わされてフォーマー3へ送られる。
このとき第3ドラグローラー41の回転速度と主ドラグローラー11の回転速度は、使用例Aと同様に同一の用紙送り速度になるように回転速度を制御されているが、第1副紙引き部2aの第1ドラグローラー21の回転速度は、最下面用紙P1が主紙引き部1において他の用紙P2・・・Pnの用紙送り速度と同一になるように、最下面用紙P1と他の用紙P2・・・Pnとの性質の違い及びこれに伴う張力の違いに応じて異なった回転速度に設定されている。例えば最下面用紙P1が上質の用紙で、他の新聞用紙P2・・・Pnよりも大きな張力を有する用紙である場合、第1ドラグローラー21の回転速度を、第3ドラグローラー41及び主ドラグローラー11の回転速度より僅かに速めの回転速度で駆動するように設定制御する。この作用によって、最下面用紙P1は、第1ドラグローラー21の出側において張力を低減させられるとともに、摩擦係数が低いことに起因する主ドラグローラー11上での摩擦力の不足分を積極的な送り込みによって補われ、主紙引き部1において最下面用紙P1が、他の用紙P2・・・Pnから遅れることが防がれる。
最下面用紙P1の性質に応じて第1副紙引き部2aからの最下面用紙P1の送り出しを安定させるために、第1紙押さえコロ22の第1ドラグローラー21への押圧力を調整するとともに、第1移動ガイドローラー5aの位置を第1ドラグローラー21に対して移動させて最下面用紙P1の第1ドラグローラー21への巻き付け角度を調整する。このような調整により最下面用紙P1と他の用紙P2・・・Pnとの性質の相違に対応することができ、性質が異なる最下面用紙P1を他の用紙P2・・・Pnとの走行のズレを起こすことなく主紙引き部1から安定してフォーマー3へ送り出すことができる。
使用例Cでは、第3副紙引き部2cの近くに設けられている第3移動ガイドローラー5cは、用紙P2・・・Pnの送り作用には使用されていない。また、第2副紙引き部2b及び第4副紙引き部2dのそれぞれの第2ドラグローラー31及び第4ドラグローラー51は、回転を停止している。
図4は、この発明の一の実施形態である紙引き装置の各ローラーの配置関係を示すとともに、印刷され重ね合わされた複数枚の用紙P2・・・Pn−1の中の任意の一枚の用紙Pxのみが異なる性質であり、用紙Px以外のP1・・・Pnが同質である場合の使用例Dを示している。
使用例Dでは、主紙引き部1において最終の重ね合わせ時に異質の用紙Pxよりも上になる用紙Px+1・・・Pnを上流側一群の第1ガイドローラー61から下流側一群の第2ガイドローラー60を通過させずに直接第4副紙引き部2dに導き、第4副紙引き部2dから主紙引き部1へ送る。また、主紙引き部1において最終の重ね合わせ時に異質の用紙Pxよりも下になる用紙P1・・・Px−1を第2ガイドローラー60から第2副紙引き部2bに導き、第2紙引き部2bから主紙引き部1へ送る。そして異質の用紙Pxのみを第1ガイドローラー61から第2ガイドローラー60を通過させずに、第3移動ガイドローラー5cを経由して第3副紙引き部2cに導き、第3副紙引き部2cから主紙引き部1へ送る。
主紙引き部1において用紙P1・・・Px−1、Px及びPx+1・・・Pnは、重ね合わされてフォーマー3へ送られる。
このとき第2ドラグローラー31によって送られる用紙P1・・・Px−1、及び第4ドラグローラー51によって送られる用紙Px+1・・・Pnは同質なので、第2ドラグローラー31の回転速度、第4ドラグローラー51の回転速度、及び主ドラグローラー11の回転速度は、使用例Aと同様に同一の用紙送り速度になるように回転速度を制御されている。
しかし第3副紙引き部2cの第3ガイドローラー41の回転速度は、用紙Pxが主紙引き部1において他の用紙P1・・・Px−1及びPx+1・・・Pnの間に挟み込まれたときに、その上下の異質の用紙群と用紙送り速度が同一になるように、用紙Pxと他の用紙P1・・・Px−1及びPx+1・・・Pnとの性質の違い及びこれに伴う張力の違いに応じて異なった回転速度に設定されている。例えば用紙Pxが上質の用紙で、他の新聞用紙P1・・・Px−1及びPx+1・・・Pnよりも大きな張力を有する用紙である場合、第3ドラグローラー41の回転速度を、第2ドラグローラー31の回転速度、第4ドラグローラー51の回転速度、及び主ドラグローラー11の回転速度より僅かに速めの回転速度に制御する。この作用によって、用紙Pxは、第3ドラグローラー41の出側において張力を低減させられるとともに、摩擦係数が低いことに起因する主ドラグローラー11上での摩擦力の不足分を積極的な送り込みによって補われ、主紙引き部1において用紙Pxが、他の用紙P1・・・Px−1及びPx+1・・・Pnから遅れることが防がれる。
また、用紙Pxの性質に応じて第3副紙引き部2cからの用紙Pxの送り出しを安定させるために、第3紙押さえコロ42の第3ドラグローラー41への押圧力を調整するとともに、第3移動ガイドローラー5cの位置を第3ドラグローラー41に対して移動させて用紙Pxの第3ドラグローラー41への巻き付け角度を調整する。このような調整により用紙Pxが、他の用紙用紙P1・・・Px−1及び用紙Px+1・・・Pnとの性質の相違に対応することができ、性質が異なる用紙Pxを他の用紙P1・・・Px−1及び用紙Px+1・・・Pnとの走行のズレを起こすことなく主紙引き部1から安定してフォーマー3へ送り出すことができる。
更に、用紙Pxと下面の用紙P1・・・Px−1との間、用紙Pxと上面の用紙Px+1・・・Pnとの間で送りの差を生ずる場合は、第2ドラグローラー31及び第4ドラグローラー51をグループ制御することを止め、それぞれ個別に単独制御にして回転速度を調整する。これらの調整によって、異質の用紙Pxを用紙P1・・・Px−1と用紙Px+1・・・Pnの間に挟み込んだ状態でも、重ね合わせ用紙P1・・・Pnを安定して主紙引き部1からフォーマー3へ送り出すことができる。
この使用例Dでは、第2副紙引き部2bの近くに設けられている第2移動ガイドローラー5bは、用紙P1・・・Px−1の送り作用に使用されず、第4副紙引き部2dの近くに設けられている第4移動ガイドローラー5dは、用紙Px+1・・・Pnの送り作用には使用されていない。また、第1副紙引き部2aのドラグローラー21は、回転を停止している。
図5は、この発明の一の実施形態である紙引き装置の各ローラーの配置関係を示すとともに、印刷され重ね合わされた複数枚の用紙P2・・・Pn−1が同じ性質であり、主紙引き部1での最上面用紙Pn、新聞ならばおもて面に相当する1枚の用紙Pn及び主紙引き部1での最下面用紙P1、新聞ならば見開き面に相当する1枚の用紙P1が異質である場合の使用例Eを示している。この使用例Eでは最上面用紙Pn及び最下面用紙P1は、他の複数枚の用紙P2・・・Pn−1とは、異なった性質、すなわち異なった張力を持っており、用紙Pn−1と最上面用紙Pnとの間の摩擦力及び用紙P2と最下面用紙P1との間の摩擦力は、他の用紙P2・・・Pn−1間の摩擦力とは異なった作用をする。
図5に示す使用例Eでは、最上面用紙Pnと最下面用紙P1が、それぞれ異なる位置にある上流側の一群の第1ガイドローラー61において他の用紙P2・・・Pn−1から分離される。分離された最上面用紙Pnを第4副紙引き部2dの直ぐ上流に位置する第4移動ガイドローラー5dを経由させて、第4副紙引き部2dの第4ドラグローラー51に巻き付けさせた後、主紙引き部1へ送り、分離された最下面用紙P1は第1副紙引き部2aの直ぐ上流に位置する第1移動ガイドローラー5aを経由させて、第1副紙引き部2aの第1ドラグローラー21に巻き付けさせた後、主紙引き部1へ送る。
最上面用紙Pn及び最下面用紙P1以外の他の用紙P2・・・Pn−1は、上流側の一群の第1ガイドローラー61から下流側の一群の第2ガイドローラー60を経て第3副紙引き部2cの第3ドラグローラー41上で重ね合わされ、紙引き作用を行う主紙引き部1へ送られる。
主紙引き部1において最上面用紙Pnと最下面用紙P1は、副紙引き部2cから重ね合わされて送られてくる用紙P2・・・Pn−1の上下に重ね合わされてフォーマー3へ送られる。
このとき第3ドラグローラー41の回転速度と主ドラグローラー11の回転速度は、使用例Aと同様に同一の用紙送り速度になるように回転速度を制御されているが、第4副紙引き部2dの第4ガイドローラー51の回転速度及び第1副紙引き部2aの第1ガイドローラー21の回転速度は、最上面用紙Pn及び最下面用紙P1が主紙引き部1において他の用紙P2・・・Pn−1の用紙送り速度と同一になるように、最上面用紙Pn及び最下面用紙P1と他の用紙P2・・・Pn−1との性質の違い及びこれに伴う張力の違いに応じて異なった回転速度に設定されている。例えば最上面用紙Pn及び最下面用紙P1が上質の用紙で、他の新聞用紙P2・・・Pn−1よりも大きな張力を有する用紙である場合、第4ドラグローラー51及び第1ドラグローラー21の回転速度を、第3ドラグローラー41及び主ドラグローラー11の回転速度より僅かに速めの回転速度に制御する。この作用によって、最上面用紙Pn及び最下面用紙P1は、第4ドラグローラー51及び第1ドラグローラー21の出側において張力を低減させられるとともに、摩擦係数が低いことに起因する主ドラグローラー11上での摩擦力の不足分を積極的な送り込みによって補われ、主紙引き部1において最上面用紙Pn及び最下面用紙P1が、他の用紙P2・・・Pn−1から遅れることが防がれる。
最上面用紙Pn及び最下面用紙P1の性質に応じて第4副紙引き部2d及び第1副紙引き部2aからの最上面用紙Pn及び最下面用紙P1の送り出しを安定させるために、第4紙押さえコロ52の第4ドラグローラー51への押圧力及び第1紙押さえコロ22の第1ドラグローラー21への押圧力を調整するとともに、第4移動ガイドローラー5d及び第1移動ガイドローラー5aの位置を、それぞれ第4ドラグローラー51及び第1ドラグローラー21に対して移動させて最上面用紙Pnの第4ドラグローラー51への巻き付け角度及び最下面用紙P1の第1ドラグローラー21への巻き付け角度を調整する。このような調整により最上面用紙Pn及び最下面用紙P1と他の用紙P2・・・Pn−1との性質の相違に対応することができ、性質が異なる最上面用紙Pn及び最下面用紙P1を他の用紙P2・・・Pn−1との走行のズレを起こすことなく主紙引き部1から安定してフォーマー3へ送り出すことができる。
使用例Eでは、第3副紙引き部2cの近くに設けられている第3移動ガイドローラー5cは、用紙P2・・・Pn−1の送り作用には使用されていない。また、第2副紙引き部2bの第2ドラグローラー31は、回転を停止している。
図6は、この発明の一の実施形態である紙引き装置の各ローラーの配置関係を示すとともに、印刷され重ね合わされた複数枚の用紙P2・・・Pn−2が同じ性質であり、主紙引き部1での最上面用紙Pn、新聞ならばおもて面に相当する1枚の用紙Pnと、用紙Pnの直ぐ下面の用紙Pn−1及び主紙引き部1での最下面用紙P1、新聞ならば見開き面に相当する1枚の用紙P1の3枚の用紙が、それぞれ異質である場合の使用例Fを示している。この使用例Fでは最上面用紙Pn、その下面の用紙Pn−1及び最下面用紙P1は、他の複数枚の用紙P2・・・Pn−2とは、異なった性質、すなわちそれぞれ異なった張力を持っており、最上面用紙Pnとその下面の用紙Pn−1との間の摩擦力、用紙Pn−1と用紙Pn−2との間の摩擦力及び用紙P2と最下面用紙P1との間の摩擦力は、他の用紙P2・・・Pn−2間の摩擦力とは異なった作用をする。
図6に示す使用例Fでは、最上面用紙Pn、最上面用紙Pnの直ぐ下面の用紙Pn−1及び最下面用紙P1が、それぞれ異なる位置にある上流側の一群の第1ガイドローラー61、61、61において他の用紙P2・・・Pn−2から分離される。分離された最上面用紙Pnを、第4副紙引き部2dの直ぐ上流に位置する第4移動ガイドローラー5dを経由させて、第4副紙引き部2dの第4ドラグローラー51に巻き付けさせた後、主紙引き部1へ送る。また、分離された最上面用紙Pnの直ぐ下面の用紙Pn−1を、第3副紙引き部2cの直ぐ上流に位置する第3移動ガイドローラー5cを経由させて、第3副紙引き部2cの第3ドラグローラー41に巻き付けさせた後、主紙引き部1へ送る。更に、分離された最下面用紙P1を、第1副紙引き部2aの直ぐ上流に位置する第1移動ガイドローラー5aを経由させて、第1副紙引き部2aの第1ドラグローラー21に巻き付けさせた後、主紙引き部1へ送る。
最上面用紙Pn、最上面用紙Pnの直ぐ下面の用紙Pn−1及び最下面用紙P1以外の他の用紙P2・・・Pn−2は、上流側の一群の第1ガイドローラー61から下流側の一群の第2ガイドローラー60を経て第2副紙引き部2bの第2ドラグローラー31上で重ね合わされ、紙引き作用を行う主紙引き部1へ送られる。
主紙引き部1において最上面用紙Pn、最上面用紙Pnの直ぐ下面の用紙Pn−1及び最下面用紙P1は、第2副紙引き部2bから重ね合わされて送られてくる用紙P2・・・Pn−2の上下へ重ね合わされてフォーマー3へ送られる。
このとき最上面用紙Pn、最上面用紙Pnの直ぐ下面の用紙Pn−1が同質の用紙であった場合は、用紙Pn−1を第3副紙引き部2cの第3ドラグローラー41から送り出した後、図6において2点鎖線で示すような経路により第4副紙引き部2dの第4ドラグローラー51上で、最上面用紙Pnと重ね合わせて主紙引き部1へ導くことも可能である。この場合、第4ドラグローラー51の外周面上において、第4紙押さえコロ52の上流側に位置するコロ52aが最上面用紙Pnのみを押さえ、残りの下流側のコロ52bで最上面用紙Pnと用紙Pn−1を重ね合わせて押さえるようにして2枚の用紙の送りを安定化させてもよい。
最上面用紙Pnと直ぐ下の用紙Pn−1が同質の用紙である場合の使用例Fでは、第3ドラグローラー41と第4ドラグローラー51も、同一の用紙送り速度になるように回転速度を制御されており、これとは別個に主ドラグローラー11と第2ドラグローラー31は、同一の用紙送り速度になるように回転速度を制御されている。そして別個に、第1ドラグローラー21は、個別に回転速度を単独制御されている。これらの回転速度は、それぞれ上記した使用例A乃至Eにおいて説明したように、用紙Pの性質の違い及びこれに伴う張力の違いに応じて異なる回転速度に設定する。
また、最上面用紙Pnと直ぐ下の用紙Pn−1が異質の用紙である場合は、第3ドラグローラー41と第4ドラグローラー51も、それぞれ個別に回転速度を単独制御される。この場合、用紙Pn-1は、図6において実線で示すような経路により第3副紙引き部2cの第3ドラグローラー41から直接に主紙引き部1へ導かれる。
使用例Fでは、最上面用紙Pnと、その直ぐ下面の用紙Pn−1とが、他の用紙Pn−2・・・P2とは、それぞれ異質な(互いは同質な用紙の場合も含む)場合であるが、類似の使用例として、最下面用紙P1、新聞ならば見開き面P1と、その直ぐ上面の用紙P2、又は中間の2枚の接して重ね合わされる用紙PxとPx-1が、他の用紙とそれぞれ異質な(互いは同質な用紙の場合も含む)場合も同様な方法で使用することが可能である。
図7は、この発明の一の実施形態である紙引き装置の各ローラーの配置関係を示すとともに、印刷され重ね合わされた複数枚の用紙P1・・・Pnを4層に分けて、それぞれの層は、単数あるいは複数枚の同質の用紙が重ね合わされている場合の使用例Gである。異なる用紙層の隣接する境界層では、各用紙層内とは異なる摩擦力が作用する。4用紙層Pa層、Pb層、Pc層、Pd層は、それぞれ4つの副紙引き部2a、2b、2c、2dを通過して、主紙引き部1へ送られ、主紙引き部1で4層の用紙Pa層、Pb層、Pc層、Pd層は重ね合わされて、フォーマー3へ送り出される。
図7の使用例Gにおいては、4用紙層Pa層、Pb層、Pc層、Pd層が通過する4つの副紙引き部2a、2b、2c、2dのドラグローラー21、31、41、51は、それぞれ個別に回転速度を制御されている。それぞれのドラグローラー21、31、41、51の回転速度は、それぞれ上記した使用例A乃至Fにおいて説明したように、用紙Pの性質の違い及びこれに伴う張力の違いに応じて異なる回転速度に設定する。
図7の使用例Gでは、4用紙層、即ちPa層、Pb層、Pc層、Pd層は、実線で示された経路の場合には、4つの副紙引き部2a、2b、2c、2dのそれぞれの移動ガイドローラー5a、5b、5c、5dを通過させていないが、相対的に摩擦力が小さくなる各用紙層の最下面用紙のみを、各ドラグローラー21、31、41、51への巻き付け角度を大きくさせて、図7において2点鎖線で示すように、それぞれ各移動ガイドローラー5a、5b、5c、5dを経由させてから、各ドラグローラー21、31、41、51へ送り出すことも可能である。
この発明の実施形態では、副紙引き部2を4組備えた構成の紙引き装置、紙引き方法について説明したため、図7の使用例Gは4層の用紙に分けたが、他の実施形態として副紙引き部2を追加して備える等の方法により5組以上設けた場合、備えた副紙引き部2の組数と同数の異質な用紙層を、それぞれの副紙引き部2から主紙引き部1へ送り出すことができ、主紙引き部1で重ね合わせた用紙として、確実に揃えてフォーマー3へ送ることができる。