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JP3794658B2 - ノイズカットトランス及びその製造方法 - Google Patents
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昭彦 矢ケ崎
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一次側コイルから二次側コイルへ伝達されるノイズを遮断するトランスであって、特に電源線路と機器側回路との間に配置され機器の誤動作を防止するトランスに関する。
【0002】
【従来技術】
従来技術としてノイズの伝達を防止するために、例えば、実公昭60-17882号公報に開示されたように、コアに高周波実効透磁率の低い材質を使うことによってノイズの伝達を防止する手段や、また、実公昭57-18748号公報に示すように、一次側コイルの軸心と二次側コイルの軸心とを直交させることにより、ノイズの伝達を防止する手段(以下、軸心直交型ノイズカットトランスという)が提案されている。
【0003】
特に、後者の軸心直交型ノイズカットトランスでは、コアから離れて空中を通過する磁束が一次側コイルと二次側コイル間で鎖交しない。このためコアを離れた磁束により、一次側コイルから二次側コイルへのノイズが伝達することがなく、もって、一次側から二次側への電力・信号伝達時にノイズを除去することができる。
【0004】
このノイズカットトランスは、例えば特開平2-199809 号公報に示されるように、帯状材を巻回して、内径側から外径側に積層された環状のコアを構成し、このコア両側の対向する二辺をねじることにより、これに取り付ける一次側コイルと二次側コイルのそれぞれの軸心を直交させることにより構成されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した軸心直交型ノイズカットトランスは、例えば、特公平7-56848号公報に記載されたように、一方の辺をクランプし、対向する他方の辺をひねることによって製造されていたが、この際、かかる加工にはきわめて大きな力を加える必要があり、特殊な加工機械が必要となる。また、コアを構成する帯状材の幅方向のみならず、積層径方向にも厚みを持った立体物であるため、曲げ部の内径と外径との間で曲率が大きく異なり、曲げ部で積層された帯状材がずれてしまったり、皺がよってしまうなどの問題があった。このため、かかる曲げ加工作業には作業員の熟練を要し、生産効率が低いという問題点もあった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、4つのカットコアを組み合わせることにより、曲げ加工作業を必要としないで軸心直交型のノイズカットトランスを構成することにより、製造作業に熟練を必要とせず、生産効率が良好なノイズカットトランス、並びにその製造方法を提案することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、コアに取り付けられた一次側コイルの軸心方向と二次側コイルの軸心方向とが直交する軸心直交型ノイズカットトランスであって、コアは、それぞれ複数の板材が積層され、積層方向に曲げられて側面L字型に形成したカットコアを4つ用い、一のカットコアの端部正面を隣接するカットコアの端部側面に面接するように順次連結し、環状体を形成することにより構成されたノイズカットトランスを提供して上記課題を解決する。
【0008】
また、上記したノイズカットトランスを製造する方法として、帯状材を心材の側面に重ねて巻き付けて、環状積層体を形成する工程と、前記心材を抜き取った後、環状積層体を4つに分割して、それぞれ側面がL字型となった4つのカットコアを形成する工程と、これら4つのカットコアのうち、2つのカットコアの一辺に、それぞれ一次側コイル、二次側コイルを外嵌する工程と、これら一次側コイル及び二次側コイルが外嵌された2つのカットコアの間に、他の2つのカットコアを配置し、一のカットコアの端部正面を隣接するカットコアの端部側面に面接するように連結することにより、前記一次側コイルの軸心方向と二次側コイルの軸心方向が直交する環状コアを構成する工程と、からなるノイズカットトランスの製造方法を提案する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のノイズカットトランスの実施例を図1乃至図6に基づいて説明する。図1はノイズカットトランスの斜視図、図2はコアの側面図、図3はカットコアの説明図、図4及び図5はカットコアの製造工程を示す説明図、さらに図6はカットコアを用いたコアの組立て方法を説明するコアの分解斜視図である。
【0010】
本実施例のノイズカットトランス(以下、単にトランスという)1は、図示しない電源と機器との間に配置され、電源のノイズを機器に伝達させないために設けられるトランスである。図1に示すように、このトランス1は4つのカットコア2(2A〜2D)を組み合わせて構成されるコア3と、該コア3に取り付けられた一次側コイル4及び二次側コイル5とから構成される。
【0011】
一次側コイル4及び二次側コイル5は、図示しない電線をボビン4a、5aの外周面に所定数巻回させたものであって、電線の端部はリード線4b、5bとして引き出されている。ボビン4a、5aは、後述するカットコア2に外嵌可能な四角形状および同一の内径を有する。
【0012】
それぞれのコイル4、5は巻回した電線の外周面や全周面を、金属箔・金属製成形函・金属溶着膜・金属蒸着膜・導電塗料等の良電導材で被覆し、これから接地用導体4c、5cを引き出す遮蔽構造として静電結合によるノイズの移行を防止することにより、いっそうノイズカット効果を高めることができる。
【0013】
なお、コイル4、5は、後述するように予め製造しておいたものを、コア3の組立て時に組み込むことができる。このため、コアの製造後、事後的にボビンを回転させて電線を巻き付けることによりコイルを構成する必要のあった従来構造に比べて、必ずしも回転巻付用のボビンを必要としない。従って、例えば、心材に電線を巻回した後、心材を外し、これをテーピングや接着剤により固定した、ボビンを必要としない、構造がよりシンプルで低コストのコイルを使用することもできる。
【0014】
これら一次側コイル4及び二次側コイル5は、それぞれ第1カットコア2A、第3カットコア2Cの一辺に外嵌され、これら第1カットコア2A、第3カットコア2Cは、第2カットコア2B、第4カットコア2Dを介して連結され、三次元的に環状体となったコア3が構成される(構造については後に詳述する)。なお、一次側コイル4のリード線4bは電源側に接続され、二次側コイル5のリード線5bは機器側に接続される。
【0015】
リード線4b、5bのそれぞれは、図1に示すように、2本の電線を互いに撚り合わせて構成されており、コアから離れて空中を通過する磁束がこれらリード線4b、5bに鎖交しても、それぞれの電線の誘導起電力が反対になるため、両者が打ち消しあって消滅し、もって、電源側並びに機器側に影響を与え難いトランスを構成することができる。
【0016】
なお、各カットコア2及びこれらにより構成されるコア3は、それぞれ高周波実効透磁率の低い材質を用いて形成されている。このような材質としては、例えば珪素鋼板が選択される。
【0017】
図2は図1の視点方向Sからとらえたコア3の側面図である。同図に示すように、コア3は8個所で上下、左右方向に交互に90度ねじられた環状体であって、同視点方向Sから見ると、前方部と後方部では直交して重なる構造を有している。そして、この前方部(第1カットコア2A)並びに後方部(第3カットコア2C)に外嵌した一次側コイル4及び二次側コイル5のそれぞれの軸心X、Yも直交する。このため、一次側コイル4から発生した磁束のうち、コア3を介せず、空中を通過する磁束は、二次側コイル5に鎖交することがなくなる。
【0018】
一次側コイル4に入力された電力・信号は、電磁誘導作用により磁気に変換され、コア3を経て、二次側コイル5で再び電力・信号に逆変換されて取り出される。このとき、コア3は、高周波実効透磁率が低いために、電源側(一次側コイル4)に高周波ノイズが含まれていても、コア3を介することで、この間に除去され、装置側(二次側コイル5)にノイズが伝達されることはない。
【0019】
加えて、上記のごとく、一次側コイル4から発生し、空中を通過する磁束は二次側コイル5に鎖交することがない。このため、コア3以外の経路で一次側コイル4と二次側コイル5が磁気的に結合することがなく、コア3を迂回する経路でノイズが伝達されてしまうことを防止することができる。
【0020】
以上説明したように、かかるトランス1は、電源側(一次側コイル4)から装置側(二次側コイル5)へ電力・信号を伝達する際、これに含まれるノイズを確実に除去することができ、もってノイズによる装置の誤動作等を防止することができる。また、逆に装置側からノイズが発生しても、これが電源側に漏れることを阻止でき、電源の汚染を防止することができる。
【0021】
図3及び図6を用いてコアの構造を説明する。図3( a) はカットコアの側面図、図3( b) はカットコアの正面図である。カットコア2は、複数の金属板を積層した側面L字型のブロックであって、同図( a) に示すとおり、中央で大きく湾曲している。
【0022】
カットコア2の両側面2e、2f及び両端面2c、2dには、それぞれ金属板材の積層面2x、2yが現れる。そして、少なくとも、一方端の積層面2x及び一方側面の積層面2yは表面が研削されて平面状に均されている。
【0023】
ここで、カットコア2の互いに直交した両辺2a、2bの長さl1、l2は同一長さを有する。また、両辺2a、2bの端部に現れる端面2c、2dは、高さm1、幅m2とも同じ長さを有する。
【0024】
図4並びに図5を用いて、カットコア2の製造方法を説明する。まず、図4に示すように、心材7の周囲に金属帯材8aを巻回して、環状積層体8を製造する。この際、この作業に用いる心材7は断面正方形の棒体であって、環状積層体8の中央開口は正面正方形の形状を有することになる。そして、所定の厚さとなるまで金属帯材8aを巻回させた後、心材7を抜き取り、環状積層体8を取り出す。
【0025】
次に、図5に示すように、環状積層体8の角部が中心となるように、該環状積層体8の各辺の中央を通る切断線8bで4つの部分に分割する。環状積層体8は各辺が等しい、角の取れた正方形であるために、分割された部分はそれぞれ中央が屈曲したL字型部材となる。そして、この部材について、外側に露出する端面2c、2dの積層面2x、同様に露出する側面2e、2fの積層面2yを研削して表面処理することによりカットコア2として使用する。
【0026】
なお、金属帯材8aは環状積層体8を形成した後、接着剤を積層間に含浸させることにより固定するか、あるいはバインドにより締結することにより、上記のようにカットコア2に分割されても、剥離してしまうことはない。
【0027】
図6を用いて、上記のごとく製造されたカットコア2を組み合わせ、コア3を構成する方法を説明する。同図に示すように、一のカットコア2は、その一方の端面2cを隣接する他のカットコア2の側面2eに面接させるように逐次連結していく。カットコア接着は、接着剤や溶接、またはバインドによる締結により行う。
【0028】
各連結部では一のカットコア2の側面2e、2fが、他のカットコア2の側面2e、2fに常に直交するように接続する。そして、この規則に従って、第1乃至第4カットコア2A〜2Dを4個所で連結することにより、環状体であるコア3が構成されることになる。すなわち、コア3は、各カットコア2の屈曲部、並びにカットコア2同士の連結部において、それぞれ三次元方向に90度ずつ屈折することにより、幾何学的に立体的な環状体が形成される。
【0029】
この際、カットコア2の端面2c、側面2eはいずれも積層面2x、2yであり、連結部では隣接するカットコア2の間で、積層面2x、2y同士が面接することになる。このため、連結部においても良好な透磁性を確保することができ、一体型でなくとも、十分な性能を持ったコア3を構成することができる。
【0030】
なお、一次側コイル4、二次側コイル5は、予め、ボビン4a、5bに電線を巻回して製造しておき、コア3の組立て時に、対向するカットコア2A、2Cの一辺に外嵌させることにより組み込むことができ、トランス1が構成される(図1参照)。なお、前記したごとく、これらコイル4、5は、従来技術のような電線の回転巻付用ボビンを必要とせず、ボビンなしのコイルを用いることもできる。
【0031】
このように、L字型に形成したカットコアを4つ用い、一のカットコアの端部正面を隣接するカットコアの端部側面に面接するように順次連結することにより、両側の辺が直交するコアを簡単に構成することができる。このため、一体の環状体であるコアをねじって両コイルの軸心を直交させていた従来のトランスに比べて、大型の加工機械を必要とせず、また、ねじられる部分のストレス処理等を行う必要がないため、非熟練作業者であっても、容易に軸心直交型のノイズカットトランスを構成することができる。
【0032】
また、従来の一体型のコアを用いた場合は、上記したコアのねじり作業終了後、コア上に分割ボビンを取り付けた後、ボビン回りに電線を巻回してコイルを形成しなければならなかったのに対して、本発明では予め構成しておいたコイルを事後的に取り付ければ済むため、生産効率に優れたトランスとなる。
【0033】
なお、上記実施例では、各カットコア2の寸法をl1=l2、m1=m2となるように設定したが、本発明は必ずしもこの条件に限られることはない。例えばl1>l2と設定することにより、横長のコアを構成することができ、また、2つをm1>m2、他の二つをm1<m2と設定することにより、断面矩形のコアを構成することもできる。また、上記実施例では、カットコア2の積層面2x,2yの全体を研削したが、両者が接触する最小部分を研削してもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のノイズカットトランスでは、対向する両側の辺を直交させるに際し、4つのカットコアを組み上げることで簡単にかかる形状を構成することができる。従って、従来の技術に比べ、コアの製造作業に熟練を必要とせず、もって生産効率が良好な軸心直交型のノイズカットトランスを構成することができる。
【0035】
また、一体型のコアを用いた従来技術に比べ、事前にコイルを製造しておき、これをコアの製造時に組み入れることができるため、この点からも生産効率に優れたノイズカットトランスとなる。
【0036】
また、本発明のノイズカットトランスの製造方法によれば、板材を積層した4つのL字型カットコアを容易に、かつ相互に揃った寸法で製造することができ、さらに、これら4つのL字型カットコアを使用することにより、軸心直交型のノイズカットトランスを簡単に作ることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ノイズカットトランスの斜視図である。
【図2】ノイズカットトランスに用いるコアの側面図である。
【図3】( a) はカットコアの側面図、( b) はカットコアの正面図である。
【図4】カットコアの製造方法を示す説明図である。
【図5】カットコアの製造方法を示す説明図である。
【図6】カットコアによるコアの組立て構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
X …一次側コイルの軸心
Y …二次側コイルの軸心
1 …トランス
2 …カットコア
2A…第1カットコア
2B…第2カットコア
2C…第3カットコア
2D…第4カットコア
2c、2d…端面
2e、2f…側面
2x…カットコア端面の積層面
2y…カットコア側面の積層面
3 …コア
4 …一次側コイル
5 …二次側コイル
8 …環状積層体

Claims (2)

  1. 環状のコアの両側に一次側コイルと二次側コイルを外嵌し、一次側コイルの軸心方向と二次側コイルの軸心方向とを直交させるように前記コアが構成されたトランスであって、
    前記コアは、それぞれ複数の板材が積層され、積層方向に曲げられて側面L字型に形成したカットコアを4つ用い、一のカットコアの端部正面を隣接するカットコアの端部側面に面接するように順次連結し、環状体を形成することにより構成されることを特徴とするノイズカットトランス。
  2. 帯状材を心材の側面に重ねて巻き付けて、環状積層体を形成する工程と、
    前記心材を抜き取った後、環状積層体を4つに分割して、それぞれ側面がL字型となった4つのカットコアを形成する工程と、
    これら4つのカットコアのうち、2つのカットコアの一辺に、それぞれ一次側コイル、二次側コイルを外嵌する工程と、
    これら一次側コイル及び二次側コイルが外嵌された2つのカットコアの間に、他の2つのカットコアを配置し、一のカットコアの端部正面を隣接するカットコアの端部側面に面接するように連結することにより、前記一次側コイルの軸心方向と二次側コイルの軸心方向が直交する環状コアを構成する工程と、
    からなることを特徴とするノイズカットトランスの製造方法。
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