JP3797183B2 - 糖度アップシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は果樹園などで使用される糖度アップシートに関し、さらに詳しくは、耐水性(撥水性)、透湿性(通気性)及び透光性等の糖度アップ機能を備えながら、優れた敷設作業性を有する糖度アップシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
糖度アップシートは、果樹の根本を囲むように敷設することにより根に雨水が吸収される量を制限し、果樹を水不足状態にすることによりその果樹に結実する果実の糖度をアップする手段として使用されている。糖度アップシートは、このような糖度アップ機能を備えるため、果樹の根に雨水を到達させないように制限する耐水性(撥水性)、土中のバクテリア(微生物)を健全状態に維持する透湿性(通気性)と透光性を備えるようにしている。
【0003】
従来の糖度アップシートには、専ら麻シートが使用されていた。しかし、麻は吸水性が高いため耐水性が低く、また通気性はあるものの透光性がないため、果樹に対して有害な微生物を発生させやすいという問題があった。そのため、最近ではポリプロピレン繊維やポリエチレン繊維などの合成繊維製シートが多く使用されている。しかし、合成繊維製シートは、耐水性、透湿性、透光性などの糖度アップ機能には優れているものの、耐候劣化して寿命になった際に新しいシートに交換するとき、耐候劣化でボロボロになっているため回収作業が非常に手間取るという問題がある。しかも、回収後のシートは腐らずに環境汚染の原因になるため、産業廃棄物としての問題を生じている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した従来技術の問題を解消し、耐水性、透湿性及び透光性等の良好な糖度アップ機能を備えながら、優れた敷設作業性を有する糖度アップシートを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の糖度アップシートは、繊維径10μm以下のポリ乳酸繊維からなる不織布Aと、繊維径15〜50μmのポリ乳酸繊維からなる不織布Bとの少なくとも2種類の不織布を積層し、該積層間を、多数の部分的融着部を分散させて互いに接着した構成からなり、かつ、該積層体の透湿度が3500〜8000g/m 2 ・24hrであり、耐水度が800〜2000mmであることを特徴とするものである。
【0006】
このように糖度アップシートを構成する不織布が、いずれもポリ乳酸繊維から構成されているため、使用中のシートが耐候劣化して新しいシートを敷設する際に、劣化シートは回収せずにそのまま放置しても土中のバクテリアにより自然に分解消失させることができる。したがって、劣化シートの回収作業が必要でなくなり、しかも公害問題も発生しないため敷設作業性を大幅に向上することができる。
【0007】
また、不織布Aは、繊維径10μm以下の極細ポリ乳酸繊維からなるため、繊維間の緻密化により耐水機能と透湿性を増大し、また生分解性合成繊維は天然繊維に比べ高い透光性を有するため、糖度アップ機能を具備することができる。また、極細繊維からなる不織布Aだけであると可撓性が大きいため、敷設作業や中間管理時に時々行うめくり作業がしにくくなるが、繊維径15〜50μmの剛性の高いポリ乳酸繊維からなる不織布Bを積層したことにより、作業性を向上することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の糖度アップシートは、極細の生分解性ポリ乳酸繊維から形成された不織布Aと、比較的繊維径が大きい生分解性ポリ乳酸繊維から形成された不織布Bとの少なくとも2種類の不織布の積層体として構成されている。そして、該2種類の不織布の該積層間を、多数の部分的融着部を分散させて互いに接着した構成からなっている。
このうち不織布Aは、極細繊維から構成されるため繊維間の緻密化が容易になり、耐水性(撥水性)、透湿性(通気性)などを向上する糖度アップ機能を有している。
【0009】
耐水性に優れた不織布Aは雨水の透過を制限し、糖度アップシートとして果樹の根本に配置すると、果樹の根に対する水の供給を制限して果実の糖度をアップする。透湿性にも優れている不織布Aは、水は透過しないが空気は透過するため、糖度アップシートの表面側の空気を内側の土表面に通し、土中の微生物を死滅させないようにする。また、微生物を生存させるためには光を与えることが必要であるが、ポリ乳酸繊維はそれ自体が透光性であるため、その機能を果たすことができる。
【0010】
不織布Aは、上記糖度アップ機能のため、構成繊維であるポリ乳酸繊維の繊維径を10μm以下にしている。繊維径が10μmよりも太いと、繊維間の緻密化に不利になるため耐水性が悪化する。不織布Aを構成するポリ乳酸繊維の繊維径は小さいほど好ましく、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2μm以下にするとよい。このような極細の繊維径を安定して得やすくするため、不織布Aはメルトブロー法で製造することが好ましい。すなわち、メルトブロー不織布であることが好ましい。
【0011】
他方、不織布Bの方は、比較的繊維径の大きいポリ乳酸繊維から構成されることにより高い強度と剛性を有する。この特性を有することにより、強度や剛性が小さい不織布Aを補強している。不織布Aは極細ポリ乳酸繊維から構成されるため、単独では柔らかすぎてシートの敷設作業を不安定にするが、不織布Bがこれを解消して敷設作業性を向上する役目をしている。このような作用を行う不織布Bは、スパンボンド法で製造することが好ましい。すなわち、スパンボンド不織布であることが好ましい。
【0012】
不織布Bを構成しているポリ乳酸繊維は、繊維径を15〜50μmにしてあり、好ましくは15〜40μm、さらに好ましくは15〜30μmになっている。繊維径を15μmよりも小さくすると、スパンボンド法の製糸では糸切れを多発し、品質が不均一になると共に、強度を上げることが難しくなる。また、50μmよりも太いと、不織布Aに対する補強繊維数が少なくなるため、十分な補強作用が行えなくなる。そのため糖度アップシートを敷設する際に、多数の毛羽が表面に発生するなどの不具合が生ずる。
【0013】
上述した2種類の不織布A、Bの積層の仕方は特に限定されないが、例えば、図1に示すように、不織布Bの上に不織布Aを積層して糖度アップシートSを形成し、雨水を最初に不織布Aで受けるようにするとか、或いは逆に不織布Aの上に不織布Bを積層するようにしてもよい。また、図2のように、不織布Aの表裏両面にそれぞれ不織布Bを積層するようにしてもよい。また、不織布Aの片面当たり、不織布Bの積層数を複数枚にするようにしてもよく、特に繊維径が異なる繊維からなる不織布Bを重ねるとよい。
【0014】
2種類の不織布A、Bを積層するよう構成する糖度アップシートの製造方法としては、それぞれ不織布Aと不織布Bとを個別の工程で製造し、それらを積層して接着するようにするとか、或いはスパンボンド法の不織布製布工程とメルトブロー法の不織布製布工程とを順に並べ、連続的に製布した不織布を下流側に移送しながら順次積層して仮接着し、最後に接着処理するものでもよい。複数の不織布の積層間の接着はエンボスローラを使用し、積層間に多数の部分的融着部が分散するようにして互いに接着させることが肝要である。このように多数の部分的融着箇部を積層間に点在させることにより、層間で面方向の相対移動が部分的に許容されて柔軟性が付与され、糖度アップシートの敷設作業が容易になる。
【0015】
図3は、本発明の糖度アップシートを連続して製造する工程を例示する。
【0016】
1はスパンボンド紡糸機、2はメルトブロー紡糸機、3はネットコンベアである。スパンボンド紡糸機1から吐出された連続フィラメントYは、噴射流と共にネットコンベア3上に展開して不織布Bを形成する。この不織布Bはネットコンベア3で移送されながら、メルトブロー紡糸機2の下に来ると、その上面にメルトブロー紡糸機2から熱風と共に噴射された極細の短繊維yが展開して不織布Aが形成される。
【0017】
このように上下に積層体となった不織布Bと不織布Aは、加熱されたエンボスローラ4を通過するとき、層間が多数の部分的融着部によって融着され、図1に示すような積層構造の糖度アップシートSを形成してロール体R(S)として巻き挙げられる。
【0018】
図3では、スパンボンド紡糸機1とメルトブロー紡糸機2との2基が直列に並べられているが、その下流側に更に別のスパンボンド紡糸機1を直列に並べると、図2に示すような積層構造の糖度アップシートSを製造することができる。さらに、必要により繊維径の異なる繊維を吐出する別のスパンボンド紡糸機やメルトブロー紡糸機を並べるようにすることもできる。
【0019】
上述した不織布AおよびBは、さらに好ましくは目付がそれぞれ15〜30g/m2 の範囲になるようにするのがよい。不織布Aの場合に目付が15g/m2 よりも小さいと、糖度アップシートに必要な耐水性や透湿性を維持することが難しくなり、特に不織布Aを構成するポリ乳酸繊維の繊維径が2μm以下である場合に難しい。また、不織布Bの場合に目付が15g/m2 よりも小さいと、不織布Aに対する補強効果が不十分になる。したがって、糖度アップシートの敷設作業時に破れなどを発生して、作業性を低下させる。
【0020】
目付が30g/m2 よりも大きいと、不織布AとBの合計の目付が 60g/m2 を超えるため、糖度アップシートを敷設する時の取り扱いが困難になる。特に、図2のように、不織布Aの両面に不織布Bを積層した糖度アップシートの場合には、合計の目付が90g/m2 を超えるため益々扱いにくくなり、さらにコストも割高になる。
【0021】
不織布AおよびBの見掛け密度は、それぞれ0.2〜0.5g/cm3 であることが好ましく、より好ましくは0.3〜0.45g/cm3 にするとよい。不織布Aの見掛け密度が0.2g/cm3 よりも小さいと、糖度アップシートとして耐水性を維持することが難しくなる。また、不織布Bの見掛け密度が0.2g/cm3 よりも小さいと、不織布Aに対する補強効果が低下し、不織布Aのシート表面に毛羽を発生させやすくする。見掛け密度が0.5g/cm3 よりも大きいと、不織布AおよびBは共にフィルムライクになるため、糖度アップシートが取り扱い難く敷設作業性を低下させる。
【0022】
不織布AおよびBの層間を多数の部分的融着部で接着させる手段は、エンボスロールを使用すれば容易に行うことができる。このような層間における部分的融着部の合計面積は、層間面積に対して7〜20%の比率にすることが好ましい。更に好ましくは、10〜17%にするとよい。部分的融着部の合計面積が7%よりも少ないと、糖度アップシートが柔らかく、毛羽立ちやすくなる。また、20%よりも多いと、糖度アップシートの曲げ剛性が硬くなり、取り扱い性が悪化する。
【0023】
上記のように不織布間にエンボスロールで多数の部分的融着部を形成する場合、各不織布の見掛け密度が高い場合には、それぞれを別々にカレンダーロールで予め必要な密度まで調整したのち、それら不織布を積層してエンボスロールで処理するようにすると、融着を良好にすることができる。また、図3のようにスパンボンド製布工程やメルトブロー製布工程を直列に連結した連続工程の場合には、複数の不織布が積層された最後の段階で、かつエンボスロールに通す前にカレンダーロールで必要な密度まで調整すると、融着を良好にすることができる。
【0024】
本発明において、上記のように2種類の不織布AとBを積層したできた糖度アップシートは、糖度アップシートとしての透湿度を3500〜8000g/m2 ・24hrとすることが肝要であり、より好ましくは5000〜8000g/m2 ・24hrにするとよい。透湿度をこのような範囲に設定することにより、土中の微生物を健全に保つことができ、果樹に対して有害な微生物を発生させないようにすることができる。さらに好ましくは、糖度アップシートとしての通気度を0.01〜10cc/cm2 ・secの範囲、より好ましくは0.01〜8cc/cm2 ・secの範囲にするとよい。
【0025】
また、糖度アップシートとしての耐水度を800〜2000mmの範囲とすることが肝要であり、より好ましくは1000〜1700mmにするとよい。このような耐水性(撥水性)に設定することにより、雨水の浸透を適度に抑制し、果実の糖度アップを良好にすることができる。しかし、耐水度が2000mmを超えるほどに大きいと、雨水が殆ど糖度アップシートを透過しないため、果実を過度の水分不足にすることになり、問題である。
これら透湿度、耐水性は、各不織布の構成繊維の繊維径、目付、密度などを上述した好ましい範囲にして糖度アップシートを製造することなどにより達成することができる。
【0026】
不織布A及びBを構成する繊維としては、土中の微生物により分解する性質を良好に有する点から、特にポリ乳酸繊維を用いることが肝要である。
【0027】
ポリ乳酸としては、好ましくは、L−乳酸を主成分とするポリエステルがよい。L−乳酸を主成分とするとは、構成成分の60重量%以上がL−乳酸からなることを意味し、残りは40重量%以上を超えない範囲でD−乳酸を含有するポリエステルであって差し支えないということである。
【0028】
ポリ乳酸の製造方法には、乳酸を原料として一旦環状二量体であるラクチドを生成せしめ、その後開環重合を行うようにする二段階のラクチド法と、乳酸を原料として溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法とが知られている。本発明で用いるポリ乳酸は、いずれの製法によって得たものでもよい。ラクチド法によって得たポリマーの場合には、ポリマー中に含有される環状二量体が溶融紡糸時に気化して糸斑の原因になるため、溶融紡糸以前の段階でポリマー中に含有される環状二量体の含有量を0.1重量%以下にすることが望ましい。また、直接重合法の場合には、環状二量体に起因する問題が実質的にないため、製糸性の観点からはより好適である。
【0029】
スパンボンド法に用いる場合のポリ乳酸は、重量平均分子量として10万〜30万であるものがよく、より好ましくは10万〜20万のものがよい。重量平均分子量が10万よりも少ないと、繊維強度が低くなるため不織布強度を十分にだすことができない。また、重量平均分子量が30万よりも大きいと、口金から紡出したフィラメントをエアーサッカーで吸引牽引しても、曳糸性に欠けるために高速紡糸ができず、未延伸糸ライクになるため十分な繊維強度を得ることができない。
【0030】
メルトブロー不織布に用いる場合のポリ乳酸は、重量平均分子量として15万以下、より好ましくは3万〜10万の範囲にしたものがよく、更に好ましくは3万〜7万にしたものがよい。重量平均分子量が15万よりも大きいと、ポリ乳酸を溶融するとき熱分解性との関係から溶融温度を240℃以上にすることができないため、溶融温度アップにより溶融粘度を下げることができない。そのため、不織布Aに必要な繊維径10μm以下の極細繊維を得ることができない。また、重量平均分子量が3万より小さいものは、溶融して口金から紡糸する際にポリマー状の塊が混入しやすいため、品質悪化のおそれがある。
【0031】
本発明に用いるポリ乳酸は、L−乳酸、D−乳酸のほかにエステル形成能を有する他の成分を共重合した共重合ポリ乳酸であってもよい。共重合可能な成分としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類のほか、エカチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分子内に複数の水酸基を含有する化合物またはそれらの誘導体、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸等の分子内に複数のカルボン酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体が挙げられる。
【0032】
また、溶融粘度を低減させるため、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、およびポリエチレンサクシネートのような脂肪族ポリエステルポリマーを内部可塑剤として、或いは外部可塑剤として用いることができる。さらに、艶消剤、消臭剤、難燃剤、糸摩擦低減剤、抗酸化剤、着色顔料等として無機微粒子や有機化合物を必要に応じて添加することができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、実施例中に使用した各特性値は、次の測定方法によって求めたものである。
【0034】
A.繊維径(μm)
それぞれの不織布からランダムに5枚ずつサンプルを採取し、各サンプルのシート表面を走査型電子顕微鏡を用いることにより、不織布Aは1000〜3000倍に、不織布Bは200〜300倍にそれぞれ拡大し、それぞれ20本〔合計100本=20本×n(=5))の繊維径をノギスで測定し、その平均値を算出した。
【0035】
B.目付(g/m2 )
不織布から20cm×20cmのサンプルを3枚採取し、それぞれについて測定した重量の平均値を1m2 当たりの質量に換算した。
【0036】
C.見掛け密度(g/cm3 )
不織布よりランダムに5枚のサンプルを採取し、それぞれの厚み(mm)をJIS L−1096規定のダイヤルゲージ法により7g/cm2 の荷重下で測定し、その厚み(mm)によりシート目付(g/m2 )を割ることにより次式により求め、サンプル5枚分の値の平均値を算出した。
【0037】
見掛け密度=目付/(厚み×1000)
D.透湿度(g/m2 ・24hr)
JIS Z−0208の修正法(30℃,90%)により測定した。
【0038】
E.耐水度(mm)
JIS L−1902の低水圧法により測定した。
【0039】
F.糖度の評価
糖度アップシートを使用した果実と、使用しなかった果実とについて、10人のパネラーが試食して比較した。10人中7人以上のパネラーが糖度アップシートを使用した果実の方が糖度が高いと判定した場合に効果ありとした。
【0040】
G.生分解性能の評価
糖度アップシートを5cm×5cmに切断したサンプルを、温度35℃、水分30%の土壌中に埋め、1年間放置後に目視により分解の程度を判定した。
【0041】
実施例1
不織布Aの製造:
重平均分子量10万のポリ乳酸チップを、温度120℃の真空乾燥機で24時間乾燥した原料を用意した。このポリ乳酸チップを、口金孔数1000孔/mのメルトブロー不織布製布設備を使用し、エクストルーダの溶融温度230℃、紡糸温度235℃でメルトブロー紡糸して、ネットコンベア上に繊維径1.5μmの繊維からなる不織布Aを製造した。この不織布Aの目付は28g/m2 、見掛け密度は0.14g/cm3 であった。
【0042】
不織布Bの製造:
重平均分子量13万のポリ乳酸チップを、温度120℃の真空乾燥機で24時間乾燥した原料を用意した。このポリ乳酸チップを口金孔数2500孔/mのスパンボンド不織布製布設備を使用し、エクストルーダの溶融温度235℃、紡糸温度230℃でスパンボンド紡糸して、ネットコンベア上に繊維径27μmの繊維からなる不織布Bを製造した。この不織布Bの目付は30g/m2 、見掛け密度は0.24g/cm3 であった。
【0043】
上記のようにして得た2種類の不織布Aと不織布Bを積層し、温度135℃のエンボスロールに通して相互融着した糖度アップシートを製造した。
【0044】
得られた糖度アップシートの見掛け密度は0.38g/cm3 であり、その耐水度及び透湿度を測定したところ、耐水度は1580mm、透湿度は6800g/m2 ・24hrであった。
【0045】
また、上記糖度アップシートを葡萄果樹園に1年間使用し、収穫された葡萄と、同じ葡萄果樹園で糖度アップシートを使用しなかった果樹から得た葡萄とについて、10人のパネラーに試食してもらったところ、全員が糖度アップシートを使用した葡萄の方が糖度が高いことを認めた。
【0046】
また、糖度アップシートの微生物分解性を調べたところ、ほとんどのシートが原形をとどめない程度に分解が進んでいた。
【0047】
実施例2
実施例1で得た不織布A,Bを用いて、不織布Aの両面に不織布Bを積層した後、温度135℃のエンボスロールで相互に熱圧着することにより糖度アップシートを製造した。得られた糖度アップシートの見掛け密度は0.43g/cm3 、耐水度は1530mm、透湿度は7400g/m2 ・24hrであった。
【0048】
上記糖度アップシートを葡萄果樹園に使用して得られた葡萄の糖度を評価したところ、この糖度アップシートを使用しなかった果樹の葡萄に比べて糖度が高くなっていることが認められた。また、施工時の破れの発生などがなく取扱い性に優れており、施工性も満足できるものであった。
【0049】
実施例3
実施例1で使用した製造装置と原料とを用い、繊維径が5μm、目付が30g/m2 である不織布Aと、繊維径が18μm、目付が30g/m2 である不織布Bを製造した。得られた不織布A,Bを用い、不織布Aの両面に不織布Bを積層し、温度が135℃のエンボスロールに通して相互融着した糖度アップシートを製造した。得られた糖度アップシートの見掛け密度は0.33g/cm3 、耐水度は910mm、透湿度は7800g/m2 ・24hrであった。
【0050】
上記糖度アップシートを葡萄果樹園に使用して得られた葡萄の糖度を評価したところ、この糖度アップシートを使用しなかった果樹の葡萄に比べて糖度が高くなっていることが認められた。
【0051】
比較例1
実施例1で使用した製造装置と原料とを用い、繊維径が15μm、目付が30g/m2 である不織布Aと、繊維径が24μm、目付が25g/m2 である不織布Bを製造した。得られた不織布A,Bを用い、不織布Aの両面に不織布Bを積層し、温度が135℃のエンボスロールに通して相互融着した糖度アップシートを製造した。得られた糖度アップシートの見掛け密度は0.17g/cm3 、耐水度は320mm、透湿度は8500g/m2 ・24hrであった。
【0052】
上記糖度アップシートを葡萄果樹園に使用して得られた葡萄の糖度を評価したところ、この糖度アップシートを使用しなかった果樹の葡萄と差がなく、糖度アップ効果は認められなかった。また、この糖度アップシートを果樹園に施工する際には毛羽が発生し、施工作業性はよくなかった。
【0055】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、糖度アップシートを構成する不織布が、いずれも生分解性を有するポリ乳酸繊維から構成されているため、使用中のシートが耐候劣化して新しいシートを敷設する際に、劣化シートは回収せずにそのまま放置しても土中のバクテリア(微生物)により分解消失させることができる。したがって、劣化シートの回収作業が必要でなくなり、しかも公害問題も発生しないため敷設作業性を大幅に向上することができる。
【0056】
また、不織布Aは繊維径10μm以下の極細ポリ乳酸繊維からなるため、繊維間の緻密化により耐水機能と透湿性を増大し、またポリ乳酸繊維は天然繊維に比べ高い透光性を有するため、糖度アップ機能を具備することができる。また、極細ポリ乳酸繊維からなる不織布Aだけであると可撓性が大きいため、敷設作業や中間管理時に時々行うめくり作業がしにくくなるが、繊維径15〜50μmの剛性の高いポリ乳酸繊維からなる不織布Bを積層したことにより、作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の糖度アップシートの実施形態を示す縦断面図である。
【図2】本発明の糖度アップシートの他の実施形態を示す縦断面図である。
【図3】本発明の糖度アップシートの製造装置を例示する概略図である。
【符号の説明】
A 不織布A
B 不織布B
S 糖度アップシート
1 スパンボンド紡糸機
2 メルトブロー紡糸機
3 ネットコンベア
4 エンボスローラ
Claims (6)
- 繊維径10μm以下のポリ乳酸繊維からなる不織布Aと、繊維径15〜50μmのポリ乳酸繊維からなる不織布Bとの少なくとも2種類の不織布を積層し、該積層間を、多数の部分的融着部を分散させて互いに接着した構成からなり、かつ、該積層体の透湿度が3500〜8000g/m 2 ・24hrであり、耐水度が800〜2000mmであることを特徴とする糖度アップシート。
- 前記不織布Aがメルトブロー不織布であり、前記不織布Bがスパンボンド不織布である請求項1に記載の糖度アップシート。
- 前記不織布AおよびBの目付が、それぞれ 15〜30g/m2 である請求項1又は2に記載の糖度アップシート。
- 前記不織布AおよびBの見掛け密度が、それぞれ0.2〜0.5g/cm3 である請求項1、2又は3に記載の糖度アップシート。
- 前記不織布Aの表裏両面に、それぞれ前記不織布Bを積層した請求項1〜4のいずれかに記載の糖度アップシート。
- 前記部分的融着部の合計面積が積層面に占める比率が7〜20%である請求項1〜5のいずれかに記載の糖度アップシート。
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